課題番号:1709
名古屋大学
古文書を用いた南海トラフ超巨大地震の地震発生メカニズムの解明
1.新規に研究課題を立ち上げる
2.従来ある研究課題の研究計画に修正を加えて実施する
(現研究課題番号:)
5(1)イ.超巨大地震の発生とその前後の過程の解明
(3)地震・火山現象に関するデータベースの構築
ア.地震・火山現象の基礎データベース
(1)日本列島及び周辺域の長期・広域の地震・火山現象
オ.地震発生サイクルと長期地殻ひずみ
(2)地震・火山噴火に至る準備過程
(2-1)地震準備過程
ア.アスペリティの実体
(3)地震・火山噴火に至る準備過程
(3-2)地震準備過程
イ.強震動・津波の生成過程
山中はすでに昭和東南海地震について強震計記録を用いた地震波解析および津波の解析を行っており、昭和東南海地震のアスペリティ分布についての情報を持っている(山中、2005)。南海地震については室谷らによって同じく強震動記録を用いた解析結果がある。また2011年東北地方太平洋沖地震やそのほかの津波地震についての解析もすでに山中によって行われており、津波地震は何らかの条件で流体をプレート境界に持ち込めたところで発生しているという仮説を立てている(山中、2010)。これらを南海トラフ沿いに適用していく。古文書についても現在山中は神社明細帳について協力者とともに調査を進めており、そこに書かれた由緒にはその神社や寺院が経験した災害について記載されている。また郷土史料には被害状況や災害後に陳情した文書などが残っており、これらから津波到達域や地盤沈下、液状化の様子なども得ることができる。一方、石川、羽賀、溝口らは文学部出身の研究者で古文書から災害を研究している専門家である。これまでも濃尾地震や宝永東南海・南海地震についての調査を行っている。
明治12年内務省通達により全国府県で作成された寺院明細帳、神社明細帳の情報や郷土史の資料から地震被害の情報等を整理する。本研究で調べた情報と過去の研究者によって得られている情報も含めて整理しデータベース化する。その上で昭和地震での被害状況、津波状況などと比較し、アスペリティの位置の推定や津波地震発生の可能性などについて検討を行う。さらに名古屋大学では濃尾地域や伊勢地方の情報を多く含む高木家文書を所蔵しており、ここから愛知県周辺の情報を得る。ただ高木家文書は傷みが激しく現在は開くことができない。そこで高木家文書で安政東南海・南海地震に関する日記を修復に出す。このほか神宮皇學館文庫や蓬左文庫にある古文書の調査も行う。高木家文書については修復が終わったものから翻刻(電子化)を開始し、地震情報に関する調査を行う。
南海トラフ沿いでの超巨大地震発生メカニズムを考えるためには、過去に発生した巨大地震についての情報なしにはできない。これまでにも多くの資料が集められているが、慶長地震が本当に津波地震であったのかなど曖昧な点が多い。古文書に関しては信憑性に欠けるものも多く、古文書に書かれている日付が間違っているとして現在扱われているものもあるが、もう一度これらを見直す必要性があるのではないか?そのためにもより多くの情報を収集する必要がある。本課題ではまず新収日本地震史料、日本の歴史地震史料、寺院明細帳、神社明細帳、郷土史資料等を用いて、南海トラフ沿いで発生した地震の被害、津波、地殻活動に関する情報を収集・整理し、昭和の地震との比較を行うことで過去に発生した巨大地震の発生メカニズムについて検討する。これらの資料については本来信憑性などを検証する必要があるが、ここではとりあえず同様の資料が同時期複数の所で記載されているかどうかで信憑性を判断する。さらに名古屋大学が所有する濃尾地域や伊勢地方の情報を多く含む高木家文書のうち安政東南海・南海地震に関する記事について解読する。
山中佳子、溝口常俊(以上名古屋大学大学院環境学研究科)
石川寛、羽賀祥二(以上名古屋大学文学部)
武村雅之、都築充雄(以上名古屋大学減災連携研究センター)
他機関との共同研究の有無:無
部署等名:名古屋大学大学院環境学研究科地震火山研究センター
電話:052-789-3046
e-mail:sanchu@seis.nagoya-u.ac.jp
氏名:山中佳子
所属:名古屋大学大学院環境学研究科地震火山研究センター
電話:052-789-3024
FAX:052-789-3047
e-mail:sanchu@seis.nagoya-u.ac.jp
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成25年04月 --