2011年東北地方太平洋沖地震前後のプレート境界およびその周辺域の挙動の解明

課題番号:1219

(1)実施機関名:

東北大学大学院理学研究科

(2)研究課題(または観測項目)名:

2011年東北地方太平洋沖地震前後のプレート境界およびその周辺域の挙動の解明

(3)研究執行の形態

1.新規に研究課題を立ち上げる

(3)もっとも関連の深い建議の項目

5 超巨大地震に関する当面実施すべき観測研究の推進

(1)超巨大地震とそれに起因する現象の解明のための観測研究

イ.超巨大地震の発生とその前後の過程の解明

(4)その他関連する建議の項目:

見直し前の建議の項目番号

2 (1)日本列島及び周辺域の長期・広域の地震火山現象
ア.列島及び周辺域のプレート運動、広域応力場
(2)(2-1)地震準備過程
ア.アスペリティの実体
イ.非地震性滑りの時空間変化とアスペリティの相互作用
ウ.ひずみ集中帯の成因と内陸地震発生の準備過程
エ.スラブ内地震の発生機構

5 超巨大地震に関する当面実施すべき観測研究の推進
(2)超巨大地震とそれに起因する現象の予測のための観測研究
ア.超巨大地震の震源域における地殻活動のモニタリング
(1)超巨大地震とそれに起因する現象の解明のための観測研究
ウ.超巨大地震に誘発された内陸地震や火山活動等の解明

(5)これまでの関連する研究成果(または観測実績)の概要(もしも継続課題ならば):

平成23年度において、2011年東北地方太平洋沖地震の震源域の広がりの北端・南端に該当する陸域の領域において、オフライン観測による稠密・広帯域・高サンプリング地震観測を開始した。岩手県沿岸地域においては既存の広帯域観測点を埋めるように、17点の広帯域地震観測点を設置した。また、東北大の既存の短周期地震計観測点7点において、サンプリング周波数1kHzの収録による臨時観測を既存の観測設備に並列することで実施した。それ以外にもオフライン観測により東北地方内陸部において既存の観測網の稠密化を行った。 各データは順調に蓄積されており、一部については解析を開始している(岡田・他、地震学会秋季大会、2011など)。

(6)本課題の平成25年度までの到達目標:

2011年東北地方太平洋沖地震の発生前から発生後に至るプレート境界の挙動の解明は、この様な超巨大地震の発生メカニズムやその後の余震と余効変動の発生メカニズムを明らかにするために重要である。本研究では、陸域の定常および臨時観測のデータより、2011年東北地方太平洋沖地震後の非地震性すべり、小繰り返し地震、低周波地震などのデータと、これまで得られてきた東北地方太平洋沖地震前の結果との比較から、これらの時空間変化を調査し、この超巨大地震の震源域の北端と南端が何に規定されたのか、そしてなぜ破壊が拡大しM9という規模に至ったのか、その原因を明らかにする。また、島弧に沿ったプレートの固着域の深さ分布の変化に注目し、地震活動やプレート構造の空間変化から固着の成因を明らかにする。さらにプレート境界でのすべりが、沈み込むスラブや上盤側プレートの変形過程やその地震活動におよぼす影響についても検討を行う。

(7)本課題の計画の概要:

平成23年度に収録された各データを元に以下の各解析を行う。観測点の一部については、余効変動および地震活動の推移により、継続ないし再配置を行う。
余効変動の時間発展の調査および隣接領域での大地震発生の調査を目的として、今回の地震の震源域の北部および南部の太平洋沿岸に、GEONETを補間する形で設置されたGPS観測点により、急速に変化する地殻変動パターンを詳細に得る。一方、高サンプリング地震観測データを利用し、小地震の震源パラメタを推定することで、相似地震解析を高精度化する。これらの結果を総合化し、余効すべり、粘性緩和、プレート間カップリングを評価する。
 破壊が停止した原因や今後の破壊の進展の可能性を明らかにするため、震源域の南北両端付近の広帯域地震計を含む稠密観測データにより、地震波速度構造、地震波減衰構造の推定等に基づいて、これらの領域における地下構造を明らかにする。さらに、スラブ内や上盤側プレート内の地震活動について、詳細な震源分布や断層モデルと震源域の構造との関係からその背景を明らかにすることで、今後の地震活動の予測に寄与する。
 得られた結果を元に、2011年東北地方太平洋沖地震前後のプレート境界およびその周辺域の挙動について、総合的な検討を行う。特に、この超巨大地震の震源域の北端と南端が何に規定されたのか、そしてなぜ破壊が拡大しM9という規模に至ったのか、その原因を明らかにし、巨大地震の発生過程を理解する。

(8)実施機関の参加者氏名または部署等名:

海野徳仁・松澤暢・矢部康男・中島淳一・内田直希・太田雄策・市来雅啓・伊藤喜宏・岡田知己
他機関との共同研究の有無:有
平原和朗(京都大)、八木勇治(筑波大)、三浦哲(東京大学地震研究所)・浅野陽一(防災科学技術研究所)、2011年東北地方太平洋沖地震合同余震観測グループ(北海道大学(高橋浩晃)、弘前大学(小菅正裕)、千葉大学(津村紀子)、防災科学技術研究所(武田哲也)、東京大学地震研究所(小原一成)、名古屋大学(山中佳子)、京都大学防災研究所(片尾浩)、高知大学(久保篤規)、九州大学(松島健)、鹿児島大学(宮町 宏樹))

(9)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先

部署等名:東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター
電話:022-225-1950
e-mail:zisin-yoti@aob.geophys.tohoku.ac.jp

(10)この研究課題(または観測項目)の連絡担当者

氏名:岡田知己
所属:東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター
電話:022-795-3919
FAX:022-264-3292
e-mail:okada@aob.gp.tohoku.ac.jp

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

-- 登録:平成25年04月 --