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第7次火山噴火予知計画の推進について(中間報告)の概要

2003年6月2日
科学技術・学術審議会測地学分科会

1.火山噴火予知計画のこれまでの成果と課題

○ 有珠山では噴火前兆現象の推移を着実にとらえ、さらに、適切な情報発信が行われた結果、噴火前に住民が避難。
○ また、三宅島でも、噴火前兆をとらえるとともに、当初のマグマの移動については確実に把握。
○ しかし、いずれの場合でも、噴火開始後の火山活動の推移予測については、依然として解決すべき問題が残されている。

1.6次計画による主な成果

(1)火山観測研究の強化

年次計画による観測網の整備と実験観測の推進により、噴火の前駆現象の検知及びそれに基づく火山噴火予知に関しては、着実な成果。

(2)火山噴火予知高度化のための基礎研究の推進

火山体構造探査実験による火山の浅部構造の情報が火山性地震の震源決定精度の向上に大きく寄与。また、広帯域地震観測や地殻変動観測により、火山性地震や微動の発生機構の解明が進み、火山流体の運動と関連させて議論できる段階にまで到達。

(3)火山噴火予知体制の整備

大学において、地域センターの整備が完了し、地域センターと現地の観測施設で構成されるネットワークの形成が行われるとともに、気象庁において火山監視・情報センター(全国4か所)が設置されるなど、観測研究、監視、情報発信のための組織整備が進展。

2.展望と課題

○ 現状では、適切な観測を行えば、前兆現象をとらえ、噴火の発生時期をある程度予測可能。しかし、監視観測体制の不十分な火山も存在することから、火山活動度、防災上の重要性に応じて、全国の活火山で監視体制を順次整備することが必要。全国的な監視体制の整備と強化は、我が国の火山における突発的な噴火の予測と災害の軽減に確実に貢献するものと期待。

○ 噴火開始前に噴火規模や様式、活動推移を予測することや、噴火当初から活動終息時期を予測することは、現状では困難。また、噴火開始後に活動様式が大きく変化する場合の推移予測などについても困難。この困難の打開のためには、火山噴火予知の基礎となる噴火機構の解明が重要であり、このためには、マグマ供給系に関しての理解が不可欠。

○ 火山体構造探査はマグマ供給系のイメージングに有効で、火山性地震の意味づけ等に大きく寄与。このため、今後とも浅部3次元構造探査の対象火山を増やしていくとともに、より深部にその存在が予想されているマグマ溜りの探査に向けて、長期的には新たな観測機器や解析手法の開発が不可欠。これら基礎研究の進展は、火山噴火予知の水準向上に連結。

○ 火山噴火予知計画の成果を活かし、火山噴火予知の質的向上を実現し、防災に貢献するためには、火山活動の高まりを把握し、噴火の場所や時期を予測するための監視観測の強化と併せて、これまで以上の基礎研究の推進と観測研究の充実、火山噴火予知の研究推進体制の強化及び分かりやすい火山情報の発信など、観測研究成果の社会への還元への一層の努力が必要。

2.第7次火山噴火予知計画策定の方針

1.第7次火山噴火予知計画の位置付け

適切な観測体制がとられた火山では、火山活動の高まりを把握し、噴火時期をある程度予測できるまでになっているが、噴火開始後の推移予測については、依然として困難。この解決のためには、火山観測研究を一層強化するとともに、火山体内部構造、噴火発生機構、火山流体の挙動などに関する基礎研究を推進することが必要。

2.第7次火山噴火予知計画の基本的方針

これまでの予知計画の成果を踏まえ、監視観測や常時観測体制の強化整備を、火山の活動度や防災の観点から順次行うとともに、噴火機構の理解や噴火ポテンシャル評価の定量化を図るために、基礎研究を幅広く推進。さらに、総合的な火山活動の評価に資するために、関係機関の連携強化・関連観測データを一層、有効活用。
このような考え方から、次の方針により第7次計画を推進。

(1)火山観測研究の強化

火山防災の観点からすべての活動的火山の活動度を定量的に把握することを長期的目標として、必要な監視観測の強化や常時観測体制を整備。また、基礎研究推進に対応した、各種の実験観測を実施。

(2)火山噴火予知高度化のための基礎研究の推進

火山噴火の定量的予測を目標として、マグマ供給系や噴火発生場の構造解明とその時間変化を把握、噴火発生機構の定量的理解に基づいた噴火の物理化学モデルを構築。

(3)火山噴火予知体制の整備

火山活動を迅速かつ総合的に評価する体制の強化など火山噴火予知体制の一層の整備。

3.第7次火山噴火予知計画の実施内容

1.火山観測研究の強化

火山監視観測の一層の強化を進めるとともに、火山噴火予知の高度化を目指した基礎研究の推進を含む各種の実験観測を実施。

(1)火山観測研究の強化

○ 必要に応じ関係機関の協力を得ながら、火山監視・情報センターにおける監視観測体制を強化。

○ 電子基準点及び必要に応じて設置するGPS観測点を活用して活火山及びその周辺での地殻変動をリアルタイムで監視。

○ 南方諸島及び南西諸島の海域火山について、航空機による定期巡回監視を引き続き行う。海域火山の活動が活発化した場合には、航空機や無人測量船等による機動的観測を実施。

(2)実験観測の推進

○ 噴火の準備過程や火山流体の移動・蓄積に伴う現象の発生過程の解明等の「基礎研究の推進」に対応するため、高精度の多項目総合観測点の整備を引き続き行い、各種の実験観測を実施。

○ 火山体の構造や火山活動状況の定量的な把握及び噴火ポテンシャル評価のため、小型、軽量の可搬型記録機器の開発を行い、計画的に集中総合観測や共同観測を実施。さらに、集中総合観測と連携した長期間の稠密自然地震観測により、火山体深部構造を把握。

2.火山噴火予知高度化のための基礎研究の推進

マグマや熱水などの火山流体の挙動の解明とそれに基づく噴火発生機構の定量的理解、マグマ供給系や噴火発生場の構造とその時間変化の把握、火山活動の中長期的な推移の解明とそれに基づく噴火ポテンシャルの評価手法の開発、予知の高度化のための観測・解析技術の開発及び国外の火山との比較研究を行うための国際共同研究の推進が重点目標。

(1)噴火の発生機構の解明

噴火の発生機構を定量的に理解するため、マグマや熱水などの火山流体の挙動とマグマの上昇に伴う発泡・結晶化・脱ガス過程を各種観測、実験及びシミュレーションによって解明。また、マグマや火山ガスと地下水との相互作用、及び爆発の発生機構を解明。

(2)マグマ供給系の構造と時間的変化の把握

噴火活動を定量的に予測するためには、マグマ供給系や噴火発生場の構造とその時間的変化の把握が不可欠であり、引き続き火山体構造探査を推進。地球物理学的観測のほか、地球化学的観測や地質調査、岩石学的実験なども併せて推進し、総合的なマグマ供給系モデルの構築。

(3)火山活動の長期予測と噴火ポテンシャルの評価

噴火の長期予測や推移予測の手法を確立するために、活動的火山の中長期的な噴火活動の推移を研究するとともに、静穏期にある火山の噴火ポテンシャルを評価する手法を確立するための研究を推進。

(4)火山観測・解析技術の開発

火山噴火予知の高度化と実用化に向けて、新たな観測・解析手法や機器・システムを開発。

(5)国際共同研究・国際協力の推進

火山噴火予知の高度化、特に火山活動の推移や噴火様式の予測に関する研究の進展を図るため、国際共同研究を推進。さらに、世界の中で我が国が火山噴火予知研究の拠点となることを目指す。

3.火山噴火予知体制の整備

火山噴火予知の高度化を図るため、次の三つの体制の強化を図る。すなわち、監視観測の充実・高度化を図り、迅速かつ総合的な活動評価とこれに基づく実用的な情報の発信を行う体制、広範な基礎研究を推進するとともに、将来の火山噴火予知を担う研究者を育成する体制、火山噴火予知技術の体系化と実用化を目指した研究を推進する体制。

(1)火山噴火予知体制の機能強化

火山噴火予知の高度化を目指して、監視観測体制の整備を進めるとともに、基礎研究の進展のために、大学の法人化後も各大学の研究施設の機能確保に努め、さらに、火山噴火予知技術の体系化に向けた開発研究を強力に推進するための体制を整備。
また、火山噴火発生や活動推移の的確な予測に向けて、火山噴火予知連絡会の機能強化を図るとともに、研究者の育成・流動化の促進。
(ア)火山監視観測体制の強化
(イ)基礎研究を推進するための体制の強化
(ウ)火山噴火予知技術の体系化・実用化のための研究体制の整備
(エ)火山噴火予知連絡会の機能強化
(オ)若手研究者の育成・研究者の流動化促進
(カ)研究者と技術者の交流促進

(2)火山活動に関する情報の向上と普及

予知計画の成果を社会に還元し、火山災害の軽減に貢献するため、火山活動に関する情報の質的向上を進め、正確かつ分かりやすい情報の迅速な提供。

(3)基礎データの蓄積と活用

火山活動の評価と予測の基礎となるデータの整備と活用は重要な課題。このため、精密な地形図や火山地質図等の様々な地図情報の整備に加え、噴出物量、岩石学的分析、年代決定等に関する精密で定量的な基礎データを整備。

(4)地震予知観測研究等との連携強化

火山噴火予知の高度化及び活動評価のためには、監視観測網の一層の拡充を図ることが必要。このため、予知計画による観測網の整備に加えて、火山近傍での基盤的調査観測網や地方公共団体等の観測網によるデータを有効利用し、火山の状態を把握。また、地震予知観測研究等と連携して、火山活動と広域地殻活動との関連や火山体の深部構造に関する共同研究を推進。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

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