火山活動把握のためのリモートセンシング観測・解析技術に関する研究

課題番号3005

(1)実施機関名:

独立行政法人防災科学技術研究所

(2)研究課題(または観測項目)名:

火山活動把握のためのリモートセンシング観測・解析技術に関する研究

(3)関連の深い建議の項目:

4.(2)ウ.観測・解析技術の開発

(4)その他関連する建議の項目:

2.(4)事象系統樹の高度化による火山噴火予測

(5)優先度の高い地震・火山噴火との関連:

基盤的火山観測網の火山、および、桜島等の国内外の活動的火山

(6)平成25年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要:

 平成25年度までにおいては、衛星搭載型合成開口レーダー(SAR)を用いた火山活動・地震に伴う地表変動の検出、航空機搭載型光学センサーを用いた火山体の輝度温度分布やガス濃度分布等の推定に関する研究を実施した。
 衛星搭載型SARに関する研究においては、数値気象モデルを用いた大気遅延誤差の軽減手法、複数軌道(衛星)から得られるSAR干渉画像を用いた時系列解析手法を開発し、従来の手法より高い精度で地殻変動時系列を推定できることを示した。また、2011年新燃岳噴火においてはSARデータから溶岩の噴出率や粘性を推定し、2011年東北地方太平洋沖地震においては、地震に伴う火山周辺の局所的な沈降・収縮変形を明らかにした。
 航空機搭載型光学センサーに関する研究においては、防災科研が所有する航空機搭載型光学センサー(ARTS)により、浅間山、三宅島、阿蘇山中岳、桜島南岳、霧島山新燃岳を観測し、火口内の輝度温度分布、温度頻度分布、放熱率、ガス濃度分布を推定した。これらの結果は、関係機関に情報を提供することにより、火山活動把握にも役立てられた。また、ARTSによる観測機会の拡大を目的とし、ARTSを小型化する技術開発をH23-25年度に実施し、単発機搭載用の現行ARTS用新型小型制御装置、単発機搭載用の新型LCDモニタとその搭載用インターフェースを完成させた。

(7)本課題の5か年の到達目標:

 リモートセンシング技術は、現地観測では検出困難なほどの高密度情報を得ることが可能である。また、災害発生時などの現地へのアクセスが困難な場合においても、遠隔地からの観測が可能という利点も有している。このようなリモートセンシング技術を用いて、より効率的に火山活動把握に役立つ情報を得る技術を開発することを目標として、以下に示す研究を実施する。

○合成開口レーダーによる火山活動把握に関する研究
 SARデータから火山性地殻変動をmm/yrレベルの精度で求めるため、永続散乱体SAR干渉法等に関する高度解析技術を開発する。また、平成26年度に打ち上げ予定の「だいち2号」(ALOS-2)等のSARデータを用いて、高精度地殻変動情報(3次元地殻変動など)を得るための技術を開発する。また、火山活動の活発化が発生した場合には、これまでに開発した技術を用いて、それに伴う地殻変動を検出する。

○航空機搭載型光学センサーに関する研究
 火山ガス・温度等の把握を目的とした航空機搭載型光学センサーの観測・解析技術の開発として、小型単発機に搭載可能なセンサーに関する技術開発を進め、同センサーの実現と同センサーによる火山観測を実現する。

(8)本課題の5か年計画の概要:

 火山活動に関する地殻変動・ガス・温度等の把握を目的とし、SAR解析技術の開発、航空機搭載型光学センサーに関する観測・解析技術の開発を進める。本課題は、防災科学技術研究所の中期計画に基づいた計画である。

 平成26年度においては、永続散乱体SAR干渉解析において、数値気象データからの大気遅延推定手法を併用する技術を開発する。また、ALOS-2データの解析に向けたソフトウェア開発も進める。航空機搭載型光学センサーに関する開発においては、現行ARTSを単発航空機用に搭載するためのインターフェースを完成させる。

 平成27年度においては、ALOS-2データ等を用いた3次元地殻変動検出を試みる。多観測モード(衛星)のデータから得られたSAR解析結果を結合する等、永続散乱体SAR干渉法に関する高度解析技術に関する研究も進める。また、単発航空機に搭載した装置を改良型ARTSとして修理改造検査を受検し搭載許可を取得する。

 平成28年度以降についても、防災科学技術研究所の次期計画に基づいて、リモートセンシング観測・解析技術に関する研究を進める。また、活動が活発化した火山に対し、SAR解析および改良型ARTSによる観測・解析を適宜実施する。

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名:

独立行政法人防災科学技術研究所
観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット

他機関との共同研究の有無:無

(10)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先

部署等名:防災科学技術研究所 アウトリーチ・国際研究推進センター
電話:029‐851‐7611
e-mail:toiawase@bosai.go.jp
URL:http://www.bosai.go.jp/index.html


(11)この研究課題(または観測項目)の連絡担当者

氏名:小澤拓
所属:防災科学技術研究所 観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

-- 登録:平成26年07月 --