課題番号1521
東京大学地震研究所
海底での地震・地殻変動観測に向けた観測技術の高度化
4.(2)ウ.観測・解析技術の開発
1.(2)イ.プレート境界巨大地震
2.(2)ア.プレート境界滑りの時空間発展
2.(3)先行現象に基づく地震活動予測
本研究課題は、これまでの課題番号1431、1432、1433の3課題を統合し引き継ぐものである。
機動的観測技術開発としては、自己浮上型の広帯域海底地震計(BBOBS)、強震動観測用の海底地震計を既に実用的観測の段階に到達させた。更に、前者での能力的課題を解決すべく、次世代型の広帯域海底地震計(BBOBS-NX)を開発し、ひとまず潜水艇利用を前提とするシステムとして完成させた。これを観測研究の核とした「特別推進研究」を実施中である。また、海域機動観測で地殻変動観測を行うべく、精密水圧計による上下変動、BBOBS-NXを基にした傾斜同時観測を試験的ではあるが既に開始し評価用データを取得した。加えて、海溝付近まで観測域を拡大させるため、従来の海底地震計の発展型と根本的に新方式の海底地震計での開発試験が進行中である。
海域における定常的観測技術開発としては、現行計画において、文部科学省委託研究と連携し、マイクロプロセッサとインターネット技術を用いた信頼性が高く、対費用効果が高い新しいケーブル地震観測システムを開発し、その実機を新潟県粟島沖に設置して、観測を行った。このシステムは現在でも稼働中である。さらに、このシステムを基として、津波および地殻変動観測のための精密水圧計観測、センサーの拡張性のための外部ポートの実装などの高機能化を行った。このようなこれまでの実績から、従来の海底ケーブル観測システムでは難しかった大規模展開、または機動的展開の可能性がでてきた。
地震予知の基礎的観測研究を行う上で、海洋プレートの沈み込み帯でのプレート境界地震及びスロースリップイベントが繰り返し発生している場の直上である海底での、地震・地殻変動観測は重要である。陸域と同等な観測をこの海底で実現させるという基本的観点から、これまでにも長期高密度な機動的地震観測、機動的強震観測、機動的で長期の広帯域地震観測、新方式のケーブルシステムによる定常的地震観測、などをこの10数年で実現させてきた。海域での地震・地殻変動観測をより高度化させるため、陸上と同等な広帯域地震観測を海域で機動的に行う技術開発、超深海域での機動的地震観測の実用化、海底面での機動的な水圧(上下変動)観測と傾斜観測の面的展開技術の実用化、および定常的な海域観測網の高度化、などを今後の技術開発の課題として取り組む。
これらの観測技術開発を進展させることで、研究基盤の整備を目指す。その結果として、海域での地震・測地観測の高度化を図り、プレート境界の地震発生帯その場でのモニタリングを可能とさせて、今後の地震発生の予測へ貢献する。
本研究課題では、明確な年度計画は設定せず、後述の開発項目のうち予算的裏付けと試験観測が可能となったものを順次進めて行く。その理由として、これらの機器開発の予算はその大部分を科学研究費や運営費交付金(地震研内のセンター経費・所長裁量経費など)で賄っていること、及び試験観測には研究船利用(潜水艇も含む)が必要であり、その実行には不確定要素が多いためである。
機動的観測での主たる開発項目は、
を開発項目とする。
塩原肇・篠原雅尚・望月公廣・山田知朗・一瀬建日
他機関との共同研究の有無:無
部署等名:東京大学地震研究所
電話:03-5841-5712
e-mail:yotikikaku@eri.u-tokyo.ac.jp
URL:
氏名:塩原 肇
所属:東京大学 地震研究所 海半球観測研究センター
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成26年07月 --