課題番号1912
京都大学防災研究所
強震動によって発生する地すべり現象の発生ポテンシャル評価と事前予測手法の高度化
3.(3)地震・火山噴火災害誘因の事前評価手法の高度化
3(1)地震・火山災害事例の研究
3(2)地震・火山噴火災害発生機構の解明
3(5)地震・火山噴火災害軽減のための情報の高度化
本研究は総合的研究の一部ではないが、次の地震に深く関係している。南海トラフの巨大地震、首都直下地震、東北地方太平洋沖地震
「新規研究」
斜面の地すべり現象(地すべり・崩壊・土石流を総称)は、地震による最も大きな災害要因の一つであり、山間地とともに都市域の造成地でも発生している。2011年東北地方太平洋沖地震時には、事前降雨が極めて少なかったため、発生数、発生域ともに限られていたが、近い将来大規模な地震が予測される南海トラフの地震や首都直下地震、およびその他の内陸地震では,それとは比較にならないほど広域かつ甚大であると考えられる。これらの地震による地すべり現象の発生には,地質,地質構造,地下水,地震波の斜面内部での挙動など,様々な要因が関与するが,地震による地すべり発生のメカニズムと発生場についての研究は極めて立ち遅れているのが現状である。本研究では,これらの要因と地震時地すべり現象発生との関連を事例研究および観測研究によって明らかにし,地震動に伴って発生する地すべり現象の発生ポテンシャル評価と事前予測手法の高度化を行う。
本研究では、地域的多様性を考慮したハザード評価手法の構築と観測・実験・シミュレーションによる災害発生メカニズムの検討(二次災害のハザード評価を含む)の二つのサブテーマをセットとして推進する。
1)地域的多様性を考慮したハザード評価手法の構築-過去の事例の地質・地形的要因の調査・分析とハザードマップ作成手法の構築-
地すべりと地震との関係を、有史前までさかのぼって野外調査と室内分析によって分析し,地すべり発生事前予測のための指標を明らかにする。特に航空レーザー計測による詳細地形の活用を図る。さらに,地すべりと震源断層との関係,地すべりに先行すると考えられる斜面重力変形地形の特徴,および,地震に弱い岩石の風化帯構造や谷埋め堆積物の構造を解明し,地質・地形的にみた地震時ハザードマップ作成手法を,科学的にも実用的にもレベルの高いものとして構築する。
2)観測・実験・シミュレーションによる災害発生メカニズムの検討-斜面内での地震動の観測、及びそれが引き起こす地下水と斜面変位への影響の解明-
現在、地震計・強震計の多くは、比較的平坦で堅固な地盤に設置されているため、斜面での地震動の観測は不十分なままである。本研究では、サブテーマ1で抽出した不安定候補斜面と過去に発生した地すべり斜面と堆積物(天然ダムを含む)において、以下の三点を実施する。
千木良雅弘(京都大学・防災研究所・教授):総括、サブテーマ1(主査)、サブテーマ2
釜井俊孝(京都大学・防災研究所・教授):サブテーマ1、サブテーマ2(主査)
松浦純生(京都大学・防災研究所・教授):サブテーマ2
松四雄騎(京都大学・防災研究所・准教授):サブテーマ1
王 功輝(京都大学・防災研究所・助教):サブテーマ1、サブテーマ2
土井一生(京都大学・防災研究所・助教):サブテーマ2
他機関との共同研究の有無:有
西山賢一(徳島大学・環境防災研究センター):サブテーマ1
山崎新太郎(北見工業大学・工学部・社会環境工学科):サブテーマ1
部署等名:京都大学防災研究所地盤災害研究部門
電話:0774-38-4097
e-mail:
氏名:千木良雅弘
所属:京都大学防災研究所地盤災害研究部門
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成26年07月 --