首都圏に被害を及ぼす地震の解明およびその被害の実像

課題番号1514

 

(1) 実施機関名:

東京大学地震研究所

(2) 研究課題(または観測項目)名:

首都圏に被害を及ぼす地震の解明およびその被害の実像

(3)関連の深い建議の項目:

3.(2)地震・火山噴火の災害発生機構の解明

(4)その他関連する建議の項目:

1(3)ア. プレート境界地震
1(3)イ. 海洋プレート内部の地震

(5)優先度の高い地震・火山噴火との関連:

首都直下地震

(6)平成25年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要:

 「特定地域の地殻活動モニタリングシステムの高度化(課題番号1402)」では、文部科学省委託研究事業「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト(平成19年~平成23年、代表:平田直)」によって首都圏地域に作られた296点の地震観測点によるMeSO-netを用いた研究がなされた。MeSO-netは深さ20mのボアホール内に設置されたが、間隔が2kmと非常に稠密であるため、雑音の多い首都圏においても良好な記録を収録することができた。自律協調型のテレメータシステムを導入したため、震災時の停電や回線断においてもデータが再送され、欠測なしの観測ができた。
 「スラブ内地震とプレート境界地震の相互作用(課題番号1418)」では、MeSO-netの稠密な観測データを用いて首都圏の下のプレート構造を詳細に求めた。その結果、フィリピン海プレートが、従来考えられているより約10km浅い部分があることが明らかになったことや、地震波を減衰させる地域が明らかになるなど、今後の地震活動や地震動の推定に重要な知見を得ることができた。

(7)本課題の5か年の到達目標:

 首都圏地震観測網(MeSO-net)による観測を継続し、これらの観測点で得られた地震データを用いて、首都圏直下の速度構造や減衰構造に関する解析を進める。プレートの詳細な構造と地震活動との関係を解明し、将来発生が予想される首都直下地震の地震像を明らかにする。歴史地震の震度分布を理解するために、MeSO-netで得られた観測値とモデル構造で計算した値とで比較することで、首都圏の地盤の揺れの特性を解明する。MeSO-netで得られた観測値を利用して、災害の素因となる地域ごとの揺れの特徴を明らかにする。

(8)本課題の5か年計画の概要:

 本課題は、文部科学省委託研究「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト(平成24年~28年、代表:平田直)」のデータや成果を利用して、研究を進める。
 平成26~27年度は、MeSO-netで得られた観測データを用いて、首都圏直下の速度構造および減衰構造を詳細に求め、その構造で地震波の伝播をシミュレートする。MeSO-net観測点の直上で測ったデータをまとめて、地下の地震計と地表の地震計を比較し、伝達関数を求める手法を調査する。
 平成28~29年度は、地下の地震計と地表の地震計の観測波形を比較して、伝達関数を求める。地震計の観測波形とモデル構造によるシミュレート波形を比較し、モデル構造を高度化する。
 平成30年度は、伝達関数を利用して、首都圏直下で発生する地震に対して想定される揺れの分布を明らかにする。

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名:

酒井慎一、中川茂樹、平田直(東京大学地震研究所)
他機関との共同研究の有無:無

(10)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先

部署等名:東京大学地震研究所
電話:03-5841-5712
e-mail:yotikikaku@eri.u-tokyo.ac.jp
URL:

(11)この研究課題(または観測項目)の連絡担当者

氏名:酒井慎一
所属:東京大学地震研究所

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

-- 登録:平成26年07月 --