地理空間情報の総合的活用による災害に対する社会的脆弱性克服のための基礎研究

課題番号1006

(1)実施機関名:

北海道大学

(2)研究課題(または観測項目)名:

地理空間情報の総合的活用による災害に対する社会的脆弱性克服のための基礎研究

(3)関連の深い建議の項目:

3.(5)地震・火山噴火の災害軽減のための情報の高度化
4.(5)社会との共通理解の醸成と災害教育

(4)その他関連する建議の項目 

(5)優先度の高い地震・火山噴火との関連: 

(6)平成25年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要:

  「新規研究」

(7)本課題の5か年の到達目標:

 地理空間情報(G空間情報),GIS(地理情報システム),衛星測位(GPS,準天頂測位システムなど)に関して,防災・減災への統合的な活用方法を開発する。本研究では,この高精度避難ナビゲーションシステムを含む防災・減災のための情報システム構築と,その活用方法開発を目指す。
 上記で開発したシステムを援用し,地域開発と自然災害リスクとの関係を分析し,その結果から災害に対する社会的脆弱性について,人文社会科学と自然科学の両方の立場から議論を行う。特に,ここでは地方レベル,市町村レベル,町内会レベルというように空間スケールごとに分析を行ない,各スケールにおける開発と災害リスクの関係やリスク軽減のための課題などを明らかにする。
 上記の分析結果を受けて,防災・減災の対策を情報流通の面から検討する。特に,災害リスクを軽減させるために,国,地方自治体,住民組織,住民個人の間で,どのような情報流通を行う必要があるか明らかにし,それによって「災害に対する社会的脆弱性(Vulnerability)」克服のための可能性を探る。
 また、地域防災のための公開講座の開催、自治体防災担当者対象の講義の実施、自治体との相互協力協定にもとづく防災教育・地域貢献の実施等により、最も効果的な研究成果の普及手法を探る。

(8)本課題の5か年計画の概要:

●平成26年には,災害の人文社会学的研究に関する地理空間情報,GIS,衛星測位の統合的活用方法の開発を行う。また、人口,土地利用など下記の分析に用いるデータ(特に地理空間情報を含むもの)の収集を行う。
●平成27年以降は,地域情報(土地利用および人口等)と被害想定に関する時系列的分析,避難施設と避難圏域に関するデータの収集と分析,住民の避難行動に関するデータの収集と分析などを行う。平成27年度には,北海道全域を対象に,現在,北海道危機対策課が整備を続けている津波浸水想定データを用いて,マクロな視点による津波被害分析を行う。その際には地域情報(土地利用および人口など)をGISに取り込んで空間データベースを構築する。
●平成28年度以降には,事例市町村を選定し,人口,土地利用,津波浸水想定だけではなく,避難施設と避難圏域に関するデータの収集と分析を行う。その際には避難施設や避難ルートなど,住民避難に関する地理空間情報も取り込み,空間データベースを構築する。この分析により,生活レベルのミクロな視点で,各自治体のもつ「災害に対する社会的脆弱性」に関する分析を行う。
●これらの結果を受けて平成29年度以降は,町内会レベルもしくは個人レベルの避難に関する分析を行なう。なお,最後に各スケールにおける開発と災害リスクの関係やリスク軽減のための課題などを明らかにする。平成29年度以降は,上記の分析と並行して,自治体・住民組織を対象とした災害関係の情報流通に関する分析を行う。ここでは,防災・減災の対策を,各種避難警報やハザードマップなどを要素とした情報の流通に関して検討する。特に,災害リスクを軽減させるために,国,地方自治体,住民組織,住民個人の間で,どのような情報流通を行う必要があるか,自治体,住民などへの聞き取りから明らかにする。また,この情報流通を加速させる手段について,自治体と協力し実証実験を行う。以上の分析の成果を統合し,地域開発と災害に対する社会的脆弱性との関係を明らかにする。なお,災害の危険生が高い地域で積雪寒冷地の地域性を考慮した研究を行うために,積雪のある冬季と,積雪のない夏季の2時期で調査を行う。
●全ての年度を通じて,地域防災のための公開講座の開催し、自治体防災担当者への講義を実施し、北海道大学理学研究院とえりも町との相互協定を利用したえりも町での防災教育活動・地域貢献を実施し、効果的な研究成果の普及手法を探る。

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名:

谷岡勇市郎・村上亮・茂木透・大島弘光・高橋浩晃・勝俣啓・村井芳夫・橋本武史
西村裕一・青山裕・森済・山田卓司
(北海道大学大学院理学研究院地震火山研究観測センター)
橋本雄一(北海道大学大学院文学研究科)
他機関との共同研究の有無:有
参加機関 北海道大学大学院文学研究科

(10)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先

部署等名:北海道大学大学院理学研究院地震火山研究観測センター
電話:011-706-3591
e-mail:isv-web@mail.sci.hokudai.ac.jp
URL:http://www.sci.hokudai.ac.jp/grp/isv/isv-web/

(11)この研究課題(または観測項目)の連絡担当者

氏名:谷岡勇市郎
所属:北海道大学大学院理学研究院地震火山研究観測センター

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

-- 登録:平成26年07月 --