課題番号7005
気象庁
地球電磁気学的手法による火山活動監視の高度化
1(5)イ.熱水系の卓越する火山
雌阿寒岳、草津白根山、三宅島、伊豆大島、阿蘇山、吾妻山において全磁力観測を柱とした各種地球電磁気観測を実施し、火山活動との対応を調査した。その結果、全磁力は火山の地下浅部に存在する熱水活動に非常に敏感に感応し、特に水蒸気爆発を起こす火山で有効な観測であることが確かめられた。平成25年7月から始まった雌阿寒岳の全磁力の減少は、他の火山観測ではほとんど変化が認められず、震動観測などでとらえきれない小規模な熱活動に対する全磁力の感度の高さを示すものとして注目された。草津白根山では過去36年間の観測記録を精査し、火山体内部の熱源の変動状況を明らかにした。吾妻山では全磁力繰り返し観測の結果、大穴火口下において熱消磁が進行しており、熱消磁と地殻変動のソースの位置が一致していることを確かめた。
雌阿寒岳、草津白根山など熱水活動の活発な火山において全磁力連続観測および繰り返し観測を継続的に実施し、火山活動との対応を調査する。全磁力連続データから火山活動に伴う変動を準リアルタイムに抽出することを目指し、補正手法の高度化、異常検知手法の確立を進める。観測点による外部擾乱の影響量の違いを把握するため補足的観測を実施し、火山活動に伴う変動の検知能力の向上を図る。その他、MT法による比抵抗構造探査を実施し、熱水貯留層の構造などを把握する。
より高度な火山活動監視の実現を目指すため、特に水蒸気爆発型の噴火を起こす火山について重点的に調査を行う。平成26年度は雌阿寒岳を重点的に調査するため、全磁力連続観測点を1点増設し3観測点態勢とし、熱源の推定能力の向上を図る。さらに、雌阿寒岳においてMT法による比抵抗構造探査を実施し、全磁力から推定される熱消磁域と比抵抗構造との関連性について理解を深める。平成27年度以降も引き続き雌阿寒岳、草津白根山などにおいて全磁力の連続観測、繰り返し観測を継続し、火山活動との対応関係を調査する。その他、全磁力データの処理技術開発として外部磁場擾乱の補正手法の改良を進め、全磁力による火山監視技術の高度化を図る。
気象庁地磁気観測所
他機関との共同研究の有無:なし
部署等名:気象庁地磁気観測所調査課
電話:0299-43-6909
e-mail:kakioka@met.kishou.go.jp
URL:http://www.kakioka-jma.go.jp
氏名:山崎 明
所属:気象庁地磁気観測所技術課
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成26年07月 --