課題番号1909
京都大学防災研究所
焼岳火山の噴火準備過程の研究
1.(5)イ.熱水系の卓越する火山
1.(3)ウ.内陸地震と火山噴火
平成22年秋より焼岳周辺で開始した臨時微小地震観測により、平成23年東北地方太平洋沖地震直後からの飛騨山脈南部における活発な群発地震の活動状況を詳細に捉えることができた。この地震観測は、平成26年4月現在も継続中である。
参考文献:
大見士朗・和田博夫・濱田勇輝、2012、飛騨山脈焼岳火山周辺における東北地方太平洋沖地震後の群発地震活動、地震2、65、85-94.
飛騨山脈の焼岳火山は、東北地方太平洋沖地震の直後に地震活動が非常に活発化するなど、今後の動向を注視する必要がある火山のひとつであると考えられることから、同火山において複数項目の観測を行い、その火山噴火準備過程の理解に資する。本計画では、現状では手薄な地盤変動の観測研究を中心に、すでに実施中の微小地震観測や、他機関によって実施されている赤外熱映像観測等のデータの集約と解析を行い、将来の火山防災に資するための基礎データとすることを目的とする。
焼岳火山においては、大学、気象庁、国交省砂防部局、長野県等が各種観測機器を設置してデータを取得しているが、各データが有機的に集約されているとは言いがたいのが現状である。本計画では、既存データの有機的な集約・統合を試みつつ、既存の観測で取得されていない地盤変動データを集中的に取得することで同火山の噴火準備過程の理解に資する。地盤変動データは、噴火の直前過程において微小地震観測データに先行して変化が現れる可能性があり、基礎データとして平常時のデータを取得しておくことは特に重要である。以下、年度別の計画を記述する。
平成26年度:現計画で実施中の焼岳近傍での微小地震観測および解析を継続すると共に山体近傍へ地震計の再設置を含めた観測点配置の再検討を行う。また、山体に傾斜計を設置するための地点選定と、そのための各種許認可手続きを開始する。傾斜計観測点は、山体を囲むように、長野県側に2点、岐阜県側に1点の計3点を計画している。1点はボアホール型、他の2点は気泡型の予定である。平成26年度は気泡型傾斜計1点の設置まで行う。さらに、現在オフライン方式で継続している長野県側の地震観測点の一部を、携帯電話サービスを使用した簡易的なテレメータ観測点に改造することを試みる。なお、傾斜計本体は別経費で調達する。
平成27年度:微小地震観測を継続するとともに、引き続き傾斜計設置のための許認可手続きを行う。また、ボアホール型傾斜計1点の設置作業を行う。
平成28年度:微小地震観測を継続するとともに、引き続き傾斜計設置のための許認可手続きを行う。また、気泡型傾斜計1点の設置作業を行う。
平成29年度:微小地震観測およびその解析の継続、さらには傾斜観測データの解析を行う。また、国交省砂防部局が取得している赤外熱映像データの解析手法を開発し、同データを有効利用する手立てを検討する。
平成30年度:傾斜観測データの解析から、データの精度チェックおよび2年間の地殻変動の評価を行う。微小地震観測および熱映像解析もあわせて行い、本計画の総括を行う。
京都大学防災研究所:大見士朗、加納靖之
他機関との共同研究の有無:有
京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設:横尾亮彦
部署等名:京都大学防災研究所地震防災研究部門
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氏名:大見士朗
所属:京都大学防災研究所地震防災研究部門
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成26年07月 --