課題番号1401
東京大学理学系研究科
地殻流体の連続化学観測にもとづいた地殻の状態評価システムの開発
1.(3)ウ.内陸地震と火山噴火
2.(3)先行現象に基づく地震活動予測
抽出された地下水溶存ガスの精製システムを開発したことで、バックグラウンドを2桁下げることが実現でき、長期の連続観測に耐える地下水溶存ガス分析システムを構築できた。この装置を跡津川断層に設置して600日にわたる観測を行った結果、地下水溶存ガスの成分は1年程度の弱い長期変動を示すことを明らかにした。本計画終了後に実施する予定の多点観測のために、中部地方から九州地方の活断層とそれらの地下水系の化学組成との関係を検討し、流体が地震発生域から活断層に沿って上昇する水系を特定した。 また、塩濃度をキーにした溶存物質の特徴から、断層破砕帯を通路にして上昇する断層流体の特徴や深部流体の特徴について明らかにした。
本研究では、地下水に含まれる溶存イオンや溶存ガスの濃度・存在比・同位体比を連続的に分析するシステムの高度化と実装を行う。物理的・化学的な地殻の内部状態に関して情報を得るために、その変動パターンを説明する試みを行う。
平成26年度:
関東・東海地域にある温泉や鉱泉のひとつに、試作中の同位体比測定装置を試験導入する。温泉分析表に基づく候補地の絞り込みを行ったのち、いくつかの温泉で実際に採水分析を実施し、実施地の選定を行う。測定装置の実装においては、測定そのものだけでなく付帯する制御技術・生成技術の高度化を目指し、実験室環境での動作テストを実施する。
平成27年度:
選定した観測地での採水分析を定期的に行う。また、測定装置の小型化や耐久性を向上させる。イオン分析装置やラドン測定装置などを含めた装置群の集積化を行い、選定した候補地へ導入してテスト分析を開始する。
平成28、29年度:
選定した観測地での採水分析を定期的に行う。集積化した装置の耐久性を確認し、野外における連続運転に関連して発生する問題点を解決する。観測データの変動成分について情報を蓄積すると共に、測地学的データや地震学的データとの関連について検討する。
平成30年度:
これまでの内容を継続・総合し、システムのさらなる改良を検討する。最終的には他の研究者や行政機関が導入運用できるようなシステムを提案する。得られた観測データや時間変動パターンはホームページ上で公開する。
担当者:東京大学大学院理学系研究科 角森史昭・田中秀実、参加人数:2人
他機関との共同研究の有無:無
部署等名:東京大学大学院理学系研究科
電話:03-5841-4624
e-mail:fumi@eqchem.s.u-tokyo.ac.jp
URL:
氏名:角森史昭
所属:東京大学大学院理学系研究科
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成26年07月 --