海溝型巨大地震の履歴とメカニズム解明

課題番号5004

(1)実施機関名:

独立行政法人産業技術総合研究所

(2)研究課題(または観測項目)名:

海溝型巨大地震の履歴とメカニズム解明

(3)関連の深い建議の項目:

1.(2)ア.史料、考古データ、地質データ及び近代的観測データ等に基づく低頻度大規模地震・火山現象の解明

(4)その他関連する建議の項目:

(5)優先度の高い地震・火山噴火との関連:

東北地方太平洋沖地震、南海トラフの巨大地震、首都直下地震

(6)平成25年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要:

 南海トラフ沿いでは、平成21年度より津波堆積物と地殻変動の検出を目的とした掘削調査を静岡県から三重県、和歌山県、徳島県沿岸で行い、平成25年度に高知県沿岸を加えた。その結果、いずれの地域とも地形や地質に残る規模の地震が数百年以上の間隔であることが明らかになった。さらに潮岬周辺では津波石の地上レーザー計測を実施し、その結果を基に平成25年度に津波の浸水計算を行い、モデルの検討を行った。日本海溝沿いでは2011年東北地方太平洋沖地震より前の平成22年度までに、869年貞観地震の津波堆積物調査に基づいた断層モデルを提示していた。地震後の現地調査結果に基づいて平成25年度はモデルの改良を行い、両者がよく似た地震であったことがより明確になった。このほか下北半島で新たに17世紀の巨大津波の痕跡を発見した。相模トラフ沿いにおいて、元禄関東地震のモデルの見直しや、航空レーザー計測やボーリング掘削による海岸段丘の調査から未知のタイプの地震について探った。

(7)本課題の5か年の到達目標:

  • 千島-日本海溝
     2011年東北地方太平洋沖地震の破壊領域よりも北のプレート境界で発生する巨大地震および津波に関して、過去の履歴と規模を津波堆積物調査等に基づいて復元し、断層モデルの構築を試みる。
  • 相模トラフ
     おもに房総半島沿岸の地形、地質調査のデータから、過去の関東地震の履歴と隆起パターンなどを復元し、関東地震の多様性を評価する。特に房総半島南東~東沖の領域の破壊の可能性について検証する。
  • 南海トラフ
     沿岸域において地形、地質の調査を行い、史料の情報などと併せ、過去に海域で発生した地震の時期とそれに伴う地殻変動や津波浸水域を解明する。特に最大クラスの地震について、地形、地質に記録された実証データから検証し、規模の上限について評価を試みる。

(8)本課題の5か年計画の概要:

  • 千島-日本海溝
     平成26年度は青森県および岩手県南部の太平洋沿岸で津波堆積物調査を実施する。平成27年度は同地域の補完調査に加え、北海道南部太平洋沿岸に調査範囲を拡大する。平成28年度以降は北海道太平洋岸などの津波堆積物調査を行い、それらのデータに基づいて断層モデルについて検討を行う。
  • 相模トラフ
     平成26~27年度は、おもに産総研がこれまでに房総半島で取得した詳細地形(DEM)データについて、地形判読や高度分布の解析を行い、海岸段丘の分布を再評価する。また房総半島沿岸各地で実施した掘削調査による既存のコア試料の分析を行い、海岸段丘の年代を解明する。平成28年度以降も上記解析を継続すると共に、九十九里浜平野などで津波堆積物調査を実施する。
  • 南海トラフ
     おもに文部科学省(委託先:海洋研究開発機構)の南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトに参画して津波履歴調査を担い、平成26年度はおもに高知県沿岸、平成27~29年度は四国・九州から南西諸島にかけて、平成30年度以降は東海~紀伊半島沿岸で、それぞれ津波堆積物調査および隆起痕跡調査を実施する。また期間を通じて地震サイクルシミュレーションなどから規模予測の手法を検討する。

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名:

活断層・火山研究部門 海溝型地震履歴研究グループ

他機関との共同研究の有無:有
筑波大学、新潟大学、島根大学、法政大学、建築研究所、地域地盤環境研究所

(10)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先

部署等名:活断層・火山研究部門 海溝型地震履歴研究グループ
電話:029-861-3691
e-mail:
URL:https://unit.aist.go.jp/ievg/group/subducteq/index.html

(11)この研究課題(または観測項目)の連絡担当者

氏名:宍倉正展
所属:活断層・火山研究部門 海溝型地震履歴研究グループ

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

-- 登録:平成26年07月 --