地質調査に基づく火山活動履歴調査とデータベース整備

課題番号5003

(1)実施機関名:

独立行政法人産業技術総合研究所

(2)研究課題(または観測項目)名:

地質調査に基づく火山活動履歴調査とデータベース整備

(3)関連の深い建議の項目:

1.(1)ウ.地質データ等の収集と整理
1.(2)ア.史料,考古データ,地質データ及び近代的観測データ等に基づく低頻度大規模地震・火山現象の解明

(4)その他関連する建議の項目:

2.(4)事象系統樹の高度化による火山噴火予測
4.(2)イ.地震・火山現象のデータベースとデータ流通

(5)優先度の高い地震・火山噴火との関連:

(6)平成25年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要:

 将来噴火の可能性の高い日本列島の活火山において、地質調査に基づき、火山形成史や噴火履歴を明示した火山地域の地質図を、2010年に樽前及び十勝岳、2012年に榛名山、2013年に諏訪之瀬島及び桜島(第2版)で整備した。また、日本列島の第四紀火山を一覧できる「日本の火山(第3版)」を2013年に整備した。
 これら地質調査に基づく知見を背景に、日本列島の火山活動の噴火履歴とその規模や噴火様式を「日本の火山データベース」として2013年にWEB公開した。データベースでは、第四紀における火山活動のデータ、更に活火山の場合、より詳しい情報を掲載した1万年噴火イベントデータ集、個別火山のデータ(火山地質図集・詳細火山データ集・火山研究解説集)について、順次データ追加を行った。
 富士火山や伊豆諸島の火山では、地表調査に加え、ボーリング・トレンチ調査及び海底調査によって得られた火山岩試料の岩石学的解析に加え、テフロクロノロジー、放射性同位体分析を活用した噴出物の年代測定などを総合して、噴火年代、噴火発生間隔の規則性、マグマの長距離移動等の時間的進化を解明した。また、過去1000年間に3回の巨大噴火を発生させているインドネシアにおいて、カルデラ噴火前後の噴火推移を明らかにした。

(7)本課題の5か年の到達目標:

 火山活動の評価と予測の基礎となるデータとして、九重、蔵王、伊豆諸島、富士山、恵山などの活動的火山の噴火履歴調査を実施し、形成史や噴火履歴を明示した地質図の整備を推進する。また、火山に関する基礎データの収集と整理を行い、日本の火山データベースとして維持更新する。大規模噴火を発生させた火山対象に大規模噴火に至る準備過程の特徴を抽出し、大規模噴火の再来の可能性を検討する。

(8)本課題の5か年計画の概要:

 将来噴火の可能性の高い活動的火山の形成史・噴火履歴を明示した地質図整備を、火山防災のために監視・観測体制の充実が必要な活火山(47火山)で重点的に行う。このうち九重、蔵王、伊豆諸島、富士山、恵山などでは、噴火履歴調査に基づいて形成史を解明し、あわせて定量的な噴出物量、化学分析、年代測定等の基礎データを取得し、地質図として整備する。
 日本列島の火山の基礎情報を最新の知見に基づいて収集・整理し、これらを日本の火山データベースとして引き続き整備し公開する。新たに20万分の1スケールでの全国火山図を作成し、この火山区分に基づいた噴火年代、噴出量、岩石学的分析等を基礎データとしてデータベースに取り込む。これらの整備により、国土の基礎情報として関係諸機関の利用に供すると共に、火山活動の噴火推移予測に貢献する。
 十和田やインドネシアを含め、後期更新世から完新世に大規模噴火を発生させた火山において、過去の大規模噴火とそれ以前の噴出物を対象に、ボーリング・トレンチを含めた地質学岩石学的調査を行い、大規模噴火に至る噴火推移の復元とマグマ供給系の変遷を明らかにする。

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名:

活断層・火山研究部門 火山活動研究グループ

他機関との共同研究の有無:有
北海道大学、山形大学、電力中央研究所など

(10)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先

部署等名:活断層・火山研究部門 火山活動研究グループ
URL:https://unit.aist.go.jp/ievg/actvolcano-rg1/

(11)この研究課題(または観測項目)の連絡担当者

氏名:石塚吉浩
所属:活断層・火山研究部門 火山活動研究グループ

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

-- 登録:平成26年07月 --