課題番号1902
京都大学防災研究所
近代観測以降の大噴火時の観測データの整理と低頻度大規模噴火予知に寄与する情報の抽出
1.(2)ア.史料,考古データ,地質データ及び近代的観測データ等に基づく低頻度大規模・地震火山現象の解明
1.(5)ア.マグマ噴火を主体とする火山
1.(5)イ.熱水系の卓越する火山
2.(4)事象系統樹の高度化による火山噴火予測
桜島火山噴火
新規研究
近代観測データが得られるようになった噴火事象の中で顕著な国内の噴火について観測データを網羅して整理する.そして,噴火発生前後の地震活動,地盤変動などをから,現在の観測データから低頻度大規模噴火予知に役立つ情報を抽出する.
明治・大正の日本の科学黎明期に発生した大規模噴火として,磐梯山明治噴火と桜島大正噴火を取り上げ,文献事例調査と当時の観測データの再検討をする.
磐梯山明治噴火については,既存の研究結果を検証するために,水蒸気爆発時の地震動の聞き取り調査結果から震度分布から震源位置とメカニズムを評価する.爆発発生源の位置と火山構造探査結果との比較検討を行う.あわせて明治期の限られた火山の知識に基づいて推定された噴火メカニズムを現代の火山学知見にて検証する.
桜島大正噴火については,地震と地盤変動の定常観測データを用いて,桜島におけるひずみ速度と応力変化の構成関係を明らかにする.そして,大正噴火時の地震回数や規模からひずみ速度を推定する.大正噴火に至った時点での積算ひずみ速度を推定して,今後の噴火警戒レベル設定のおおよそ目安(閾値)とする.また,大正噴火の時に発生した桜島地震の再評価を行う.気象庁と連携して,各地の測候所の地震記録を入手して,震源とメカニズムを推定する.
本研究において大噴火の前兆現象の理解を進めることで項目2.(4)事象系統樹の高度化による火山噴火予測の研究に寄与できる.
本課題は,地震・噴火予知協議会共同事業に基づいた計画である.
平成26及び27年度においては,磐梯山明治噴火については,水蒸気爆発時の地震動の聞き取り調査結果から加速度分布(震度分布)を精査して,震源位置とメカニズムを評価する.
平成27〜29年度においては,桜島大正噴火の地震活動の再評価を行う.現在の観測から得られている地盤変動と地震活動からひずみ速度と応力変化の関係を明らかにして,大正噴火当時の群発地震から地盤変動を推定して評価する.桜島地震については,現存する波形記録を用いて震源決定とメカニズム解推定を行う.また,磐梯山明治噴火については前兆現象についてその物理的背景を検討し, 低頻度大規模噴火のメカニズムの知見の向上を目指す.
平成27〜30年度においては,前述の調査対象火山について観測データ・資料・論文などを収集して整理する.そして,現在の観測データから低頻度大規模噴火予知に役立つ情報の抽出を行う.
中道治久・井口正人(京都大学防災研究所附属火山活動研究センター)
他機関との共同研究の有無:有
浜口博之・植木貞人(東北大学大学院理学研究科),後藤和彦(鹿児島大学大学院理工学研究科)
部署等名:京都大学防災研究所附属火山活動研究センター
電話:099-293-2058
e-mail:nakamiti@svo.dpri.kyoto-u.ac.jp
URL:
氏名:中道治久
所属:京都大学防災研究所附属火山活動研究センター
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成26年07月 --