古文書解読による南海トラフ巨大歴史地震像の解明

課題番号1701 

(1) 実施機関名:

名古屋大学

(2)研究課題(または観測項目)名:

古文書解読による南海トラフ巨大歴史地震像の解明

(3)関連の深い建議の項目:

1.(2)ア.史料・考古・地質データ及び近代観測データに基づく低頻度大規模地震・火山現象の解明

(4)その他関連する建議の項目:

1.(2)ア.史料の収集とデータベース化
1.(2)イ.プレート境界巨大地震
2.(1).地震発生長期評価手法の高度化
3.(1).地震・火山噴火の災害事例の研究

(5)優先度の高い地震・火山噴火との関連:

南海トラフの巨大地震

(6)平成25年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要:

 名古屋大学が所蔵する高木家文書の内,安政期の御用日記を修復し,翻刻を行った.そのほか名大所蔵の神宮文庫や徳川林政史研究所,岐阜県歴史資料館などでの史料調査を行った.また神社明細帳や郷土史の調査を行い,過去の南海トラフ巨大地震に関連しそうな記載を収集した.

(7)本課題の5か年の到達目標:

 本研究では古文書を読み解き,南海トラフ巨大歴史地震の地震活動,地殻変動,津波,人的・建物的被害状況などを地震毎に面的に整理し,情報量が多く地球物理的データも存在する昭和の南海,東南海地震と比較することによって,南海トラフでの巨大地震を明らかにすることを目的とする.古文書の解釈は人によってかなり異なることから,すでに解読がなされているものも含めて再検討し,南海トラフで発生する巨大地震の特徴を明らかにする.まだ翻刻されていない史料もたくさんあることから南海トラフ巨大地震に関する古文書調査,翻刻も並行して行う.近年,防災・減災のために自治体等でも古文書史料の重要性が言われていることから,収集した情報について地域防災に役立てやすいようなフレンドリーなデータベース化を目指す.

(8)本課題の5か年計画の概要:

 本研究では地震史料から得られる情報と昭和東南海,南海地震の被害状況などを直接比較し,過去の地震がどういう地震であったか,次に起きた場合各地でどのような災害を想定する必要があるかについて理学,工学,文学の研究者で協力しながら検討を行う.地震史料については過去に集められた史料に新たに史料を追加し,これらの史料から地震活動,地盤沈下,津波,人的被害,建物被害の情報を抽出し,地震毎に面的分布を求める.昭和の地震についてはこれまでに出されている資料を整理,再調査を行い,これまで以上に詳細な被害分布,震度分布を求める.これと過去の地震の特徴を比較することにより,それぞれの地震の相違点を明確化し,それぞれの地震像を検討する.
[年度毎の実施事項]:
平成26年度:史料収集および翻刻を行う.またすでに翻刻された史料の整理,郷土史(神社等の被害,碑など)の調査,神社明細帳の調査,古地図の収集を行う.
平成27年度:引き続き調査,整理を行う.また古文書情報地点場所の推定を行う.
平成28年度:引き続き調査,整理を行う.整理された史料から南海トラフ巨大地震の特徴を抽出する.翻刻史料データベースの検討を行う.
平成29年度:引き続き調査,整理を行う.南海トラフ巨大地震および誘発地震の特徴を面的に検討する.翻刻史料データベースの構築を行う.
平成30年度:引き続き調査,整理を行う.これまでに得られた史料から南海トラフ歴史巨大地震の地震像の推定を行う.

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名:

山中佳子,溝口常俊(名古屋大学大学院環境学研究科)
石川寛,羽賀祥二(名古屋大学文学部)
武村雅之,都築充雄,福和伸夫,虎谷健司(名古屋大学減災連携研究センター)

他機関との共同研究の有無:無

(10)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先

部署等名:名古屋大学大学院環境学研究科地震火山研究センター
電話: 052-789- 3046
e-mail:sanchu@seis.nagoya-u.ac.jp
URL:http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/

(11)この研究課題(または観測項目)の連絡担当者

氏名:山中佳子
所属:名古屋大学大学院環境学研究科地震火山研究センター

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)

-- 登録:平成26年07月 --