課題番号:6017
国土地理院
GPS解析技術の高度化
3.(2)ア.宇宙測地技術
1.(1)ア.日本列島域
1.(1)イ.地震発生・火山噴火の可能性の高い地域
1.(1)ウ.東海・東南海・南海地域
2.(2)(2‐2)ア.マグマ上昇蓄積過程
1)電子基準点の1秒サンプリングGPSデータを用いたリアルタイム地殻変動監視システムの開発・改造・試験運用を行い、最大60点までの基線解析と緊急地震速報を用いた地震時地殻変動のリアルタイム自動抽出が可能なシステムを試験的に構築した。この間、2006年4月21日に伊豆半島東方沖で発生した地震(M5.8)については、試験運用していたシステムにより地震に伴う変位を実際に検出することができた。また、平成20年岩手・宮城内陸地震(M7.2)や平成17年8月16日の宮城県沖の地震(M7.2)等の大地震については、後処理1秒データ解析により、震源断層モデルの推定に耐えうる精度の地殻変動が地震後10分以内に得られることを確認した。
GPS時系列データに含まれる測位誤差の季節的変動の特性を定量的に評価し、電離層遅延および非潮汐海洋質量による荷重変形について補正手法を確立した。また、大気遅延量の誤推定による誤差について数値シミュレーションによる評価を行い、
GPS解析で用いられている静水圧遅延量およびマッピング関数を、数値気象モデルから直接計算された最新のものに変更することで、ほぼ誤差を解消できることを明らかにした。
2)リアルタイムで地殻変動の監視を行うための準備過程として、GEONETで得られた1秒データを用いて後処理での解析を実施し、その解析戦略の確立、解析処理の迅速化等の高度化について検討を行った。その結果、解析精度の向上、解析処理時間の短縮などの成果が得られた。
1)GPSの1秒間隔データを用い、地震前後や火山噴火過程等、高速に進行する地殻変動について、その時間推移を準実時間で把握する技術の高度化を図る。GPSによる地殻変動観測の高精度化のため、季節依存成分の定量的補正手法、電離層及び大気による遅延誤差の補正手法、及び非潮汐海洋質量による荷重変形補正手法について、それぞれ高度化を図る。GPS、水準測量、潮位観測、衛星海面高度計等の各種測地的データを統合し、上下変動情報抽出の高精度化を目指す。また、他機関のGPS データを国土地理院の運用するGPS連続観測網(GEONET)と共通の基盤で取り扱えるように統合解析の技術を開発する。
2)地震、火山噴火等におけるGEONETによる地殻変動監視の時間分解能の向上を図る。
1)GPS時系列データに含まれる季節的誤差について、補正手法を構築する。
平成21~24年度において、数値気象モデルを用いて、GPSによる地殻変動観測に含まれる時間・空間スケールの小さな大気擾乱による遅延誤差の影響を明らかにする。また、数値気象モデルを用いた大気遅延誤差の軽減効果について評価を行う。
上下変動監視に関係する、験潮、GPS、水準測量、ジオイド等の観測・モデルについて、それぞれの精度向上を図るとともに、相互比較を通じて整合性の評価および改善を図る。
平成21~23年度において、一周波受信機を含む任意のGPS観測データをGEONETの解と整合させて解析を行うGPS統合解析技術の開発を行う。
2)地震、火山噴火等におけるGEONETによる地殻変動監視の時間分解能の向上を図る。GEONETにより取得される1秒データを用い、地震発生前後及び火山噴火過程において、1秒の時間分解能で地殻変動の時間的な変化を安定して監視することができるように、解析技術を高度化する。
地理地殻活動研究センター宇宙測地研究室、測地観測センター地殻監視課
他機関との共同研究の有無:なし
部署等名:地理地殻活動研究センター 研究管理課
電話:029‐864‐5954
e‐mail:eiss@gsi.go.jp
URL:http://www.gsi.go.jp
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成22年02月 --