地殻変動監視観測

平成20年度年次報告

課題番号:8005

(1)実施機関名:

 海上保安庁海洋情報部

(2)研究課題(または観測項目)名:

 地殻変動監視観測

(3)最も関連の深い建議の項目:

 2.(2)ア. 日本列島域

(4)その他関連する建議の項目:

 2.(2)エ. その他特定の地域

(5)本課題の平成16年度からの5ヵ年の到達目標と、それに対する平成20年度実施計画の位置付け:

 GPS観測による地殻変動の監視を継続する。

(6)平成20年度実施計画の概要:

 GPS観測による地殻変動の監視を継続する。

(7)平成20年度成果の概要:

 海上保安庁のGPS観測点において通年の観測を実施し、地殻変動について地震調査委員会、地震予知連絡会等に報告した。
 2008年5月8日の茨城県沖の地震により、塩屋埼・銚子の各GPS局で地殻変動が観測された。平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震により、釜石・酒田・塩釜・金華山の各GPS局で地殻変動が観測された。2008年7月19日の福島県沖の地震により、塩釜・金華山・塩屋埼の各GPS局で地殻変動が観測された。(付図参照。)

(8)平成20年度の成果に関連の深いもので、平成20年度に公表された主な成果物(論文・報告書等):

 2008年5月8日の茨城県沖の地震(M7.0)に伴う地殻変動について
 (地震予知連絡会会報 第80巻)
 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(M7.2)に伴う地殻変動について
 (地震予知連絡会会報 第81巻)
 2008年7月19日の福島県沖の地震(M6.9)に伴う地殻変動について
 (地震予知連絡会会報 第81巻)

(9)本課題の5ヵ年の成果の概要:

 海上保安庁のGPS観測点において通年の観測を実施し、地殻変動について地震調査委員会、地震予知連絡会等に報告した。
 銭洲では、紀伊半島南西沖地震(平成16年9月5日)後の平成16年11月以降、移動速度の向きが同地震前と比べてやや北向きに変化したことを検出した。
 また、平成16年9月の紀伊半島南東沖地震(M7.4、M6.9)、同年11、12月の釧路沖の地震(M7.1、M6.9)、平成17年3月の福岡県西方沖地震(M7.0)、平成20年5月の茨城県沖の地震(M7.0)、同年6月の平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(M7.2)、同年7月の福島県沖の地震(M6.6)等に伴う地殻変動を検出した。

(10)実施機関の参加者氏名または部署等名:

 海洋調査課航法測地室
 他機関との共同研究の有無:なし

(11)公開時にホームページに掲載する問い合わせ先:

 部署等名:海上保安庁海洋情報部海洋調査課航法測地室
 電話:03‐3541‐4232
 e‐mail:下記URLの問い合わせフォームから問い合わせ下さい。
 URL:http://www1.kaiho.mlit.go.jp

(付図)

第1図 2008年5月8日の茨城県沖の地震(M7.0)に伴う地殻変動

第1図 2008年5月8日の茨城県沖の地震(M7.0)に伴う地殻変動

 解析には2008年4月23日~2008年5月17日の24時間データ及び精密暦(IGS暦)を使用した。当該地震により、銚子で東に約0.7cm、塩屋埼で南東に約1.0cm(下里固定)の地殻変動が観測された。

第2図 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(M7.2)に伴う地殻変動

第2図 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(M7.2)に伴う地殻変動

 解析には2008年5月30日~2008年6月28日の24時間データ及び精密暦(IGS暦)を使用した。当該地震により、釜石で西に約1.1cm、酒田で東に約1.2cm、塩釜で北西に約0.7cm、金華山で北西に約1.1cm(下里固定)の地殻変動が観測された。
 図中の白抜き矢印は、国土地理院の震源断層モデルによる計算値である。断層パラメータは以下のとおりで、計算には気象研究所作成のMICAP‐Gを使用した。

北緯 東経 上端深さ 長さ 走向 傾斜角 すべり角 すべり量
39.05° 140.93° 0.4km 20km 12km 198° 31° 74° 3.5m

第2図 2008年7月19日の福島県沖の地震(M6.9)に伴う地殻変動

第2図 2008年7月19日の福島県沖の地震(M6.9)に伴う地殻変動

 解析には2008年7月9日~2008年7月29日の24時間データ及び精密暦(IGS暦)を使用した。当該地震により、塩釜で南東に約0.8cm、金華山で南東に約1.3cm、塩屋埼で南東に約0.5cm(下里固定)の地殻変動が観測された。
 図中の白抜き矢印は、国土地理院の震源断層モデルによる計算値である。断層パラメータは以下のとおりで、計算には気象研究所作成のMICAP‐Gを使用した。

北緯 東経 上端深さ 長さ 走向 傾斜角 すべり角 すべり量
37.56° 142.42° 27.8km 19.9km 29.9km 210.1° 15.2° 94.9° 1.08m

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)