平成20年度年次報告
課題番号:3013
独立行政法人防災科学技術研究所
超長周期地震計の開発
3.(2) ボアホールによる地下深部計測技術の開発と高度化
2.(2)ア. 日本列島域
2.(2)ウ. 東南海・南海地域
2.(2)エ.
その他の特定地域
2.(3)ア. 日本列島地殻活動情報データベースの構築
日本列島及びその周辺域における地殻活動をより正確にモニタリングすることは、地震発生の予測をする上で最も基本的かつ重要な事項であり、地殻活動予測シミュレーションモデルを開発する際にも、モデル構築、評価、及び実用化に対して現状の観測データが必要不可欠である。様々な規模の、様々な周波数帯域で出現する地球物理的現象を的確に捉え、地殻活動のモニタリングを正確に行うためには、高ダイナミックレンジ、広帯域のセンサーによる、SN比の良いボアホールにおける観測が必要である。したがって、ボアホールタイプでかつ長周期成分まで安定して記録可能な長周期地震計の開発を行い、様々な地球物理現象の把握に努める。これらの到達目標に対して平成20年度においては、これまでに開発された地震計の性能評価を行う。
平成20年度では、前年度までに製作した高感度加速度計および強震計の試作機について総合的な性能評価を行う。平成19年度では、温度の安定した横坑においての長期観測をおこなっているが、平成20年度においてもこれを続行し、長期稼働した時の地震計の挙動を確認する。また、他の地震計との比較データを取得する。
海溝型地震による地震動は広帯域かつ大振幅である。また、スロースリップ、プレスリップ、余効変動といった、超長周期の地震波をともなう可能性が高い。これらの現象を高精度観測することができれば、海溝型地震の発生プロセスの解明や、長大構造物に被害をもたらす長周期地震動に関する研究が大きく進展することが期待される。本課題では、既存の地震計をベースに広帯域・高ダイナミックレンジ化を図りかつ安定運用が可能な新型地震計の開発を行っている。平成20年度では、平成19年度に作成された試作機(図1)を温度の安定した横坑であるF‐netつくば観測施設(茨城県つくば市)に設置し比較観測を行った。観測の結果、四川地震(2008年5月12日)等による地震波(図2)を計測した。また、STS‐1型地震計で計測された記録との比較から、試作地震計が広帯域地震計としても使用可能であることが示された。
図1 新型高感度加速度計の感度曲線
図2 四川地震(2008年5月12日)による記録
なし
本課題の目標は、超長周期成分まで記録できる高ダイナミックレンジのボアホール型地震計の開発である。既存のボアホールセンサーを改良することにより、速度型強震計と高感度加速度計(広帯域地震計)の開発を行い、その動作を確認した。特に高感度加速度計(広帯域地震計)の水平動は傾斜計を改良したものであり、傾斜(地動の超長周期成分)と地震波を同時に計測できるものである。
地震研究部
他機関との共同研究の有無:なし
部署等名:独立行政法人防災科学技術研究所企画部広報普及課
電話:029‐851‐1611
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研究開発局地震・防災研究課