課題番号:6023

平成18年度年次報告

(1)実施機関名

国土地理院

(2)研究課題(または観測項目)名

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震域の地殻変動特性に関する研究

(3)最も関連の深い建議の項目

(4)その他関連する建議の項目

(5)本課題の平成16年度からの5ヵ年の到達目標と、それに対する平成18年度実施計画の位置付け

 対象地域についてGPSおよびSARの観測結果について統合した解析を実施する。また、海底地殻変動データの取得・解析への反映を試みる。

(6)平成18年度実施計画の概要

 対象地域にGPS観測点を6点増設する。衛星SARについては、定常的な地殻変動解析の可能性について検討する。また、海底地殻変動データの取得・解析への反映を試みる。

(7)平成18年度成果の概要

 福島に1点、宮城に5点のGPS連続観測点を設置した。2005年8月16日に発生した宮城県沖の地震の地震時の地殻変動、およびその後の余効変動について、原因となるプレート間すべりの時空間的広がりと変化を地殻変動観測データから解明した。2005年以降の北海道太平洋側のスロースリップのパターン変化を追跡し、余効滑りの時間的発展について検討した。水準測量データや三角・三辺測量データを用いて、過去に発生した大地震の滑り分布の推定を行い、1952年十勝沖地震は、2003年十勝沖地震とほぼ同じ領域で発生したことを示した。1973年根室半島沖地震の滑り域と、1952年、2003年十勝沖地震のすべり域の間には、100キロメートル程度のギャップがあり、十勝沖と根室沖の大地震震源域(セグメント)の境界がこの付近にあることを示した。2003年以降岩手付近で西向きの遷移的な変動が観測され、岩手付近でのプレート間カップリングの時間変化に関するモデル化が行われた。

(8)平成18年度の成果に関連の深いもので、平成18年度に公表された主な成果物(論文・報告書等)

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名

地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室

他機関との共同研究の有無

(海底地殻変動観測)
東北大学、東京大学地震研究所、名古屋大学、海上保安庁、海洋研究開発機構

(10)問い合わせ先

図1 1952年と2003年の十勝沖地震と、地震後の推定プレート間すべり。1952年と2003年の十勝沖地震では、同じような領域ですべりが推定されている。

図2 黒矢印は観測値、白矢印は計算値。赤矢印は推定されたプレート間すべり。陸側プレートの太平洋プレートに対する動きを示している。

図3 1998年1月〜2000年1月までのデータからトレンド及び年周・半年周成分を推定し時系列データから除去している。ただし、上下成分は年周・半年周成分は除去していない。黒線は推定モーメントの総量、赤線は図2中の赤線で囲まれた領域のモーメント、青線は図2中の青線で囲まれた領域のモーメントの時間変化を示す。