課題番号:3014
独立行政法人防災科学技術研究所
GPS解析手法の高度化
5ヶ年の到達目標:気象数値モデル等を用いて、GPS測位精度の向上を図り、水平成分の再現性(1σ)を1ミリメートル未満に、上下成分の再現性を3ミリメートル未満にすることを目指す。
平成18年度実施計画の位置付け:平成19年度までの2年間をかけて、気象数値モデルの6時間毎の客観解析値を用いて、観測データの大気伝播遅延補正を行うプログラムの開発を行う。また、気圧荷重変動による地球の変形の影響に起因する解析精度劣化を補正するプログラムを実用化する。
気象数値モデルの6時間毎の客観解析値を用いて、メッシュ上のマッピング関数の補正値を計算し、これを元に、観測点毎の30秒サンプリングのデータのマッピング関数に補間するプログラムの開発に着手する。JMAの気象数値モデルの6時間毎の客観解析値を試験的に購入し、客観解析値から気象数値モデルのメッシュ上の気象要素を抽出し、これを使ってマッピング関数補正値を計算する部分の開発を行う。
また、JMAの全球気象数値モデルの客観解析値を用いて、気圧荷重変動による地球の変形を考慮したときに、どの程度解析精度が向上するかを、実際のデータを用いて評価する。これに基づいて、JMAの全球気象数値モデルの客観解析値を用いて、気圧荷重変動による地球の変形の影響に起因する解析精度劣化を補正するプログラムを実用化する。
気象数値モデルの6時間毎の客観解析値を用いるために、気象数値モデルを収容したファイルのGRIB2ファイル形式に関する調査を行った。GRIB2ファイル形式のファイルを読み込むためのテストプログラムを開発中である。また、6時間毎のメッシュ上のマッピング関数の補正値を元に、GAMITプログラムを用いて、観測点毎の30秒サンプリングのデータのマッピング関数に補間するプログラムを開発した。
JMAの全球気象数値モデルの客観解析値を用いて、気圧荷重変動による地球の変形を考慮したときに、どの程度解析精度が向上するかを、2004年の神奈川県西部・伊豆半島・東海地域のGEONET及び防災科研GPS観測網を用いて評価を行った。その結果、GAMITプログラムを用いる限り、有意な精度の向上は見られなかった。JMAの全球気象数値モデルの客観解析値を用いて、気圧荷重変動による地球の変形の影響に起因する解析精度劣化を補正するプログラムを開発し、現在評価中である。
島田 誠一・風神 朋枝
国立天文台水沢観測所 佐藤 忠弘・田村 良明