課題番号:1707

平成18年度年次報告

(1)実施機関名

名古屋大学大学院環境学研究科

(2)研究課題(または観測項目)名

ボアホール型地殻歪連続観測と間欠応力測定法の開発

(3)最も関連の深い建議の項目

(4)その他関連する建議の項目

(5)本課題の平成16年度からの5ヵ年の到達目標と、それに対する平成18年度実施計画の位置付け

 ボアホール型地殻歪連続観測と間欠応力測定法の開発において、本課題で目標とすることは、FRPロッドを用いた充電式のボアホール型歪計と、小口径のインテリジェント型歪計を開発することである。充電式のボアホール型歪計が開発できれば、同じボーリング孔において孔底で歪の連続観測を行いつつ、ボーリング孔の上方では、間隙水圧を測定したり、地下水温を測定するなど他の項目の観測が実施でき、ボーリング孔を有効に活用でき、地下深部における多くの知見が得られる。
 平成17年度では、小口径のインテリジェント型歪計を改良した。また、跡津川において防災科研がこの装置を用いた応力測定を実施し、良好な結果を得ている。測定結果が乱されるとして指摘された肉厚の問題点の解決に役立つデータが得られた。また、FRPロッドの試供品の実験を継続し、FRPロッドを利用する充電式ボアホール歪計の開発に向けた開発の準備をする。

(6)平成18年度実施計画の概要

 平成18年度は、開発した小口径のインテリジェント型歪計による初期応力の測定を菊川において実施し、平成17年度に引き続き、新歪計の性能の試験と、測定結果が理論的な計算結果と一致するか否かをチェックする。また、引き続き、FRPロッドを利用する充電式歪計のためにFRPロッドの操作性や、充電式歪計に必要な、充電回路や、接触電極を製作し、歪計製作の準備を開始する。

(7)平成18年度成果の概要

 菊川において,400メートル深度と500メートル深度で,開発した小口径のインテリジェント型歪計を用いて初期応力測定を実施し,現在,データを解析中である.暫定的な結果では,400メートル,500メートルとも北西―南東方向に極めて大きな伸びを記録し,この方向に大きな伸張力を受けていることが分かる.また,応力測定をした近傍では,コアが縦割れする事実からも,大きな伸張力の作用が裏付けられた.当初計画では,充電式のボアホール歪計の開発のため,充電回路や,接触電極の製作を予定していたが,開発に時間がかかるため,低消費電力で長時間作動するメモリー部分の製作を先行させた.この基板を利用すれば,長期観測が可能になる.(基板の外形や特性は資料に示す.)また,充電式歪計に不可欠な,FRPロッドの操作性の確認のため,菊川では,デジタル式地殻活動総合観測装置用に初めてFRPロッドを使用し,FRPドッロの実施実験をした.これから,長期観測を行って,長期間の安定性等をチェックする.

(8)平成18年度の成果に関連の深いもので、平成18年度に公表された主な成果物(論文・報告書等)

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名

名古屋大学環境学研究科地震火山・防災研究センター 山内常生

他機関との共同研究の有無

  • 財団法人地震予知総合研究振興会東濃地震科学研究所 石井 紘・浅井 康広
  • 東京大学地震研究所 松本滋夫
  • 奈良産業大学情報学部 向井厚志

(10)問い合わせ先

菊川における初期応力測定(400メートル深度のセンサー配置)

菊川における初期応力測定(500メートル深度のセンサー配置)

菊川における初期応力測定の結果(暫定値)