課題番号:1007

平成18年度年次報告

(1)実施機関名

北海道大学大学院理学研究院

(2)研究課題(または観測項目)名

北海道・南千島での巨大地震発生サイクルの解明

(3)最も関連の深い建議の項目

(4)その他関連する建議の項目

(5)本課題の平成16年度からの5ヵ年の到達目標と、それに対する平成18年度実施計画の位置付け

 本研究では北海道から南千島に発生した過去の巨大地震の発生履歴を高精度に明らかにし、この地域での巨大地震発生サイクルに関する情報を得る事を目的とする。まず、日本、ロシア、アメリカ(特にハワイ)で観測された津波記象データ及び地震記象データを収集・統合する。また津波計算に必要な地震発生時の観測点近傍の海底地形データを収集・統合する。これらのデータを用いて過去の巨大地震の詳細な震源過程を明らかにする。特に研究が進んでいない1800年代後半にこの地域で発生した、巨大地震につてできるかぎりデータを集めて震源過程の解析をおこない、繰り返し発生した地震のすべり量分布を比較する事からこの地域の巨大地震発生サイクルを理解する。さらに、1994年北海道東方沖地震発生以降、巨大地震にはスラブ内地震が多く含まれているのではと考えられるようになってきた。そこで過去の巨大地震がプレート境界地震なのかスラブ内地震であったのかを震源過程解析により明らかにし、スラブ内巨大地震を含めて地震発生サイクルを理解する。最後に、最近の津波堆積物調査により、この地域でマグニチュード9クラスの超巨大地震が約500年に一度の周期で発生していた事が明らかになってきている。しかしこれまでの津波堆積物調査は十勝沖沿岸に限定されていた。本研究では北海道太平洋沿岸全域での津波堆積物調査を詳細に行い、過去の超巨大地震の発生域を把握する。

平成16年度 日本及びロシアの津波及び地震記象データ及び海底地形データの収集・統合。
平成17年度 日本及びロシアの津波及び地震記象データ及び海底地形データの収集・統合。津波数値計算による大地震震源過程解析。
平成18年度 日本及びアメリカの津波及び地震記象データ及び海底地形データの収集・統合。津波数値計算及び地震波形解析による大地震震源過程解析。太平洋沿岸での津波堆積物調査
平成19年度 日本及びアメリカ・ロシアの津波及び地震記象データ及び海底地形データの収集・統合。太平洋沿岸での津波堆積物調査。
平成20年度 北海道・南千島地域の地震サイクル再評価

(6)平成18年度実施計画の概要

 アメリカ,日本での津波波形データの収集を行う。また地震発生時の観測点近傍の海底地形データを収集も行う。今年後入手した千島の検潮記録を含めた1973年根室沖地震の詳細な津波波形解析を行う。さらに1973年根室半島沖地震の最大余震(マグニチュード7.1,Mt(津波マグニチュード)7.5)の津波波形解析を行い、震源過程を推定する。1973年根室沖本震と最大余震の震源域を合わせて、1894年根室沖地震との違いを明確にする。太平洋沿岸で広く津波堆積物調査を行い、超巨大津波の太平洋沿岸全域での波高分布を明らかにする。

(7)平成18年度成果の概要

(8)平成18年度の成果に関連の深いもので、平成18年度に公表された主な成果物(論文・報告書等)

(9)実施機関の参加者氏名または部署等名

他機関との共同研究の有無

なし

(10)問い合わせ先