地震火山部会 次期研究計画検討委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成25年7月8日(月曜日)13時~18時15分

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 次期研究計画の検討について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)平田、藤井
(臨時委員)井口、今給黎、小泉、末廣、関口、仙石、仲西、橋田
(専門委員)市原、加藤、保立、宮澤

文部科学省

鬼澤審議官,森澤地震・防災研究課長、鈴木防災科学技術推進室長、澄川地震・防災研究課長補佐、重野地震火山専門官、 森田科学官、吉本学術調査官、その他関係官

5.議事録

[委員の出欠状況など]

  • 委員の出欠について:西村主査代理,田村専門委員が欠席。市原専門委員が遅れて参加
  • 人事異動について:寺田前地震・防災研究課長に寺田に代わり,森澤地震・防災研究課長が着任。
  • 配付資料について

[議事1.次期研究計画の検討について]

【末廣主査】  それでは,ただいまより議事に入ります。
 早速,次期研究計画の検討についてですが,初めに前回からの経過などについて,事務局から説明をお願いします。
【重野地震火山専門官】  それでは,第7回目以降について御説明いたします。前回から余り日にちが経過しておりませんので,ごく簡単に説明いたします。
 まず,6月25日の第7回の委員会では,本日,参考資料5として配付しました資料について検討しました。この中で,ロードマップや計画を推進するための体制に関してが議論の中心になりました。
 前回の委員会での議論を踏まえまして,会議がありました翌日の6月26日に,すぐに対応できるところに関しては修正をいたしまして,メーリングリストにて各委員の方々に意見照会を行ったのと同時に,測地学分科会及び地震火山部会に属されます委員の皆様にも意見照会いたしております。これらの意見を踏まえて,科学官を中心に事務局で取りまとめましたのが,本日の資料1となっております。それから,委員の皆様に配付しています履歴付きとなります。
 ロードマップに関しては,委員の皆様をはじめ,分科会,部会の委員からも意見を頂いておりまして,本日,資料1として用意したもののほかに,対案といいますか,別案として資料2に配付しております。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,本日,いろいろ御議論いただきたく思っていることを概略申し上げますが,基本的な考えのところで,記載の順番をどうするかというのが議論になりましたので,そこを詰めたいと思います。
 それから,宿題が幾つかあったのと,測地学委員会からの指摘がロードマップに対してありましたので,先ほど説明があったように,こんなのはどうかというのを,一応2案,7月8日版の計画の中にも書いてありますけれども,それとは別に二つ,どういったことを強調するかという違いですが,ありますので,それを議論したいと思います。
 また,測地学分科会委員の方から,南海トラフについて,これでいいのかという御指摘も頂いていますので,その辺についても,この委員会としての対応を御議論いただきたいと思います。
 それから,3の地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究というタイトルについても議論いただきたいと思いますし,これに関して,今日欠席ですけれども,田村委員から詳しい説明が送られていると思います。
 次に,体制の整備に関して,前回いろいろ議論ありましたけれども,これも更に議論を進めたいと思います。
 それから,全体の1,2,3の3番目の実施内容ですね。全般について,これでよいか,御議論いただきたいと思います。
 また,何度か議論しましたけれども,この次期研究計画の呼び名をどのようなものがふさわしいか,更に意見を頂きたいと思います。複数案用意していいということですので,幾つか提案できればと思います。
 それでは,今言ったことを5時までやるわけですけれども,3時ぐらいまでに災害誘因予測のための研究というくくり方についての議論まで行って,体制の整備については3時以降というような目安で考えておりますけれども,もちろん,議論の成り行きによって変わり得ますが,基本的には,そういったふうに進むと時間のあんばいはよろしいんではないかと,こちらでは考えております。
 それでは,まずこの資料1ですね。皆様,お目通しいただく時間があったかどうか。1に関して,森田科学官から修正作業の中身を,ちょっと説明お願いいたします。
【森田科学官】  前回の委員会の議論を踏まえまして,事務局でできる修正というものを極力いたしました。その資料1の行番号とページ番号に従って説明いたします。
 最初の1ページに関しましては,主に畑中委員から少し表現の問題の指摘がありましたので,その部分,15行目及び25行目から26行目にかけて,若干の修正を加えております。それから,3ページ目の107行目のところ,畑中委員からの指摘を受けまして,若干変えております。
 さらに118行目から124行目,これも畑中委員からの指摘に加えまして,火山の記述が抽象的ではないかという指摘がございましたので,具体的に書き加えました。
 それから,4ページ目の3,基本的考え方というところ,これは次の2,本計画の方針と計画の概要のところの1,2,3,4という,この順番に関連するところでもございますが,まず,書き換えたものとしては,132行目に「災害科学とは」という一文を加えました。これは災害科学の一部であると言って,次からも災害科学という言葉がいろいろ出てきますが,少し説明が要るであろうという意見がございましたので,ここに一文加えました。
 136行目から,「つまり,自然現象である」と,次の計画の柱の順序を説明するときに,やはりこの自然現象である理解をどう捉えるかということを,ここに書く必要があるだろうと思いまして,136から137の一文を増やしております。
 それから,145から150ですが,これは幾つかのことが書いてありました。これは「予測」という言葉と同時に,研究の成果の伝え方ということが一緒に書かれておりましたので,ここでは「予知」「予測」という言葉の使い方に限定して,少し話を整理しました。書いてありました成果の社会への伝え方については,後の310から311行目のところに持ってきております。
 あとは実用科学というところ,167から179のところですが,これはこれまでの成果についての記述を何度も繰り返しではないかという委員からの指摘もあり,その指摘を踏まえ,なるべく短くしましたが,これまでの成果も踏まえて,最低限のことが分かるような格好で縮めております。
 それから,190行目から268行目までの,災害ロードマップの件です。これに関しては,いろいろ意見があるので,ほぼ前の委員会のままです。一部変えましたのは,火山の噴火予測の場合,噴火事象系統樹がどう予測につながるのか分からないという指摘があったので,256行目から261行目まで書き換えましたが,これはそもそも,後でまた議論になりますロードマップのところで使わなくなるかもしれませんが,一応書き換えをしたということです。
 それから,先ほど言いましたように,310から311行目は,その予知,予測の言葉の定義のところから持ってきたものであります。
 続きまして,10ページ目,基本的考えの最初の丸。320から328の部分ですが,その次の丸の329とほぼ同じような内容を,しかも順序を変えて書いていたということで,非常に分かりにくいという指摘がございました。それで,もう一度,ここの文章で書くべきことは一体何だろうかということを考えてみました。基本的には,この研究計画で,災害科学の一部であると見直し,その第1期目として,この5か年計画を始めるということ。そして,具体的には何を始めるかというと,災害誘因予測の研究を始めること,この2点が非常に重要であるということで,それを明確にしました。研究の順序その他については,従来どおり329行目から336行目まで,そのまま使っております。
 さらに,先ほど少し主査から指摘がございましたが,南海トラフの地震等,そういう非常に社会的影響の大きい地震・火山噴火について,この研究計画の中ではよく見えないというような御指摘が,測地学分科会の委員からもございました。それで,実際は研究計画の中身を見ていただくと御理解頂けるのですが,実際にそういう研究をやります。やりますが,項目名には上がってこないので,それを説明する必要があります。また,それらの研究を,重点的に進めるという意味から,351行目から355行目まで。つまり,これ,1,2,3,4の計画を立てて進める。これを縦糸とし,優先度が高い南海トラフ地震,首都直下地震,桜島火山噴火等については,こういう分け方とは違うカテゴリーで,1から4の全てを含む総合的な研究として,横糸を通して,本計画の中で優先して推進するというような記述を加えました。
【吉本学術調査官】  1行ずつずれています。
【森田科学官】  1行ずつずれているという指摘がございました。すいません。私が印刷したものと会議資料との違いです。すいません。私は,印刷したもので説明しましたので,これまでの説明は1行ずれています。これからは会議資料の番号でいいます。
 それから,あとは言葉の問題ですけど,378行目ですね。「余効活動」と言う語が元々あったんですけど,これはちょっと言葉がおかしいんじゃないかと指摘があり,「余震・余効変動」という言葉に直しました。
 体制以外は,このようなところかと思います。よろしいでしょうか。
【末廣主査】  はい。ありがとうございました。
 今日は西村主査代理が欠席ですが,加藤委員,何か補足ありますか。
【加藤主査代理】  ロードマップですが,西村主査代理と,私と,あとほかにも何人かの方と相談しましたけれども,別の案を作っています。資料2-1ですけれども,地震と火山の書き方が違うということと,あとロードマップと言いながら,何年後に何を達成するとか,そういったことがないということを言われたので,多少変えてみました。
 地震と火山は一緒に両方合わせて段階1,2,3,4という案も作ってみたんですが,結局あんまりうまくいかずに,両方とも予測という名前じゃなくて,段階という言葉に換えましたけれども,地震の段階と火山の段階も,なるべく対応が付くようにはしましたが,完全には対応付いていません。
 あと,地震・火山,それぞれについて,今後5年間で重点的に取り組む内容等を記述したものが,資料2-1に付いているものです。
 以上です。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは議論に入りたいと思いますが,最初,森田科学官。
【森田科学官】  先ほどちょっと説明遅れました。
 この委員会の委員の橋田委員,あるいは代理として青木さんから頂いた意見も,当然のことながら,この中に反映させております。各委員からの意見は,説明をちょっと省きましたが,極力ここに反映させているという御理解いただければと思います。
 以上です。
【末廣主査】  ということでございますので,御意見出していただいた方に,議論の最中にでも,それぞれ御確認していただければと思います。
 まず,記載の順番が議論になったわけですけれども,この点に関して,今,現在版の資料1に照らして,いかがでしょうか。10ページを見ればいいんですね。
【井口臨時委員】  1,2,3の順番ですけれども,やっぱり1,2,3の順番を維持するという根拠は,唯一,この328行から書いてある,要するに,地震,津波及び火山噴火災害を引き起こす根本的な原因は地震と噴火であるという,この認識なんですね。僕はこれは正にそのとおりだと思っていて,もしその1,2,3を維持するのであれば,この文章を,要するに基本的な,ロードマップの基本的な考え方に変えていただきたいと思います。これはやっぱり本計画だけの考え方じゃなくて,要するに,こんなもん未来永劫変わることのない話なので,それは多分,森田科学官に言わせれば,ここのところに書いてあると言われるのかもしれませんが,恐らく現象を理解し,136から137のところですね。これは災害科学の底辺を支えると書いているんですね。底辺を支えるという意味は,要するに,研究の構造の問題であって,やっぱり基本的な考えではないと思うんですね。328に書いてあることが,私は基本的な考えだと思います。
【末廣主査】  そうしますと,例えば,長期的,ここのところに,今ここは,多分,災害科学の切り口で説明していますけれども,何か具体的な文章の提案はありますか。
【井口臨時委員】  130から始まる基本的な考え方というところは,災害科学のことだけではなくて,やっぱりそこの1,2,3に関わることを全て書かないと,これが今後のロードマップを全て支配するところの基本的な考え方になってくるので,もし1,2,3を維持するんであれば,今の130行から始まる基本的な考え方のところに,328からあるような考え方というのを基本的な考え方として書くべきだと思います。ただ,現状の130行以降の基本的な考え方であれば,私は3,2,1というふうにやるのが,妥当だろうと思います。
【末廣主査】  皆さん,井口委員の御意見,お分かりいただいたでしょうか。
【平田委員】  131行目からのところにも,一応,今の1,2,3の順番で書いてあるつもりなんですけれども。例えば,災害科学とは何とかって,今,新しく定義をしましたけれども,その中で,「一旦発災すると被害が甚大となる地震,津波,火山噴火による災害を軽減するためには」と言って,「長期的展望に基づき,災害を起こす原因にまで遡った理解を基づく方策を探る必要がある」と言って,「つまり」と言って,その次に,自然現象である云々(うんぬん)を理解し,「それに引き起こされる災害を知ることが災害科学の底辺を支える」ところが1で,それから予測をするということが書いてあって,それから諸現象を災害発生の「誘因」として捉えて云々(うんぬん)と書いてある。ここは,だから1,2,3の順番になっていると私には読めますが,いかがでしょうか。
【井口臨時委員】  いや,そのとおりです。平田委員の言われたように,一応書いてあると言われましたけれども,私も一応書いてあるというふうには読んでいます。ただし,分かりにくいということですね。
 多分,我々はこの文書をかなり突っ込んで読んでいるので分かるんですけれども,初めから読む人が,これをもって分かるんでしょうかというところはあります。一番最初に,さっと読んだ人がですね。
 私は3,2,1の方が良いだろうと思うのは,現建議でも,これは1,2の順番は逆なんですよね。
【平田委員】  だから,理論的には,1,2,3の順番は,どういうふうにでもなると思うんです。現に現建議は2が先にあって,その次に1ですけれども,その一つ前の建議は,地震の場合には1があって2があると,そういう順番になっていたんです。だから研究の段階によって順番が変わることは大いにあるので,今の段階としては,こういう戦略をとるというのが,ここの基本的な考え方というか,現計画の順番として318からのところに書いてあります。
【井口臨時委員】  いやいや,今,平田委員が研究の段階と言われて,正にそのとおりだと思っていて,研究の段階ということであれば,我々は要するに,次の段階に踏み出さないといけないというのが,この建議ですよね。転換点であると書いてあるので。そう言われるのであれば,なおさら3,2,1ではないかと思ってしまうんですが。
【小泉臨時委員】  議論の蒸し返しになるかもしれませんけれども,井口委員の仰ることは分かるんですけど,やっぱり,まず,今回の反省は,我々が現象を十分に理解していなくて予測に行ったからという点もあると思うので,最初にもう一回,現象をちゃんと理解しましょうということが来るのは,別に問題ないと私は思います。それから,1,2,3,4の順番が優先順位でないということをきちんと言えば,それで目的が達成されるのではないかなと思います。今までは1,2で終わっていたのが,新たに3を加えたということが新しいことであるということで説明できると思うので。私,ちょっと控えめに書きましたけれども,井口委員自身が仰っているように,王道だということですから,それは逆に,現況,実施者にとっても,その方がやっぱり理解しやすいわけですよね。ですから,そういうことを理解していただいた上で,3は非常に重要なんだということを言えば,目的は達成されると思うんですが,いかがでしょうか。
【井口臨時委員】  いや,今,小泉委員が,研究実施者にとっても,その方がやりやすいと言われたんですが,この建議というのは,研究実施者のためのものなんでしょうか。
【保立専門委員】  順序の問題とちょっとずれますけれども,この基本的考え方の最初の丸については,田村委員から幾つか修正するべきところがある。基本的には災害科学なり防災学の文書に基づいて書くべきではないかという意見が出ていると思います。
 これは今日受け取ったものですから,きちんと点検を,私しておりませんけれども,電車の中で読んできた形では,やはりそういうふうにしておいた方が良いのではないかと思います。その上で,井口委員の言われた順序の問題を考えた方が良いのではないかと思いますが,いかがでしょうか。もしよろしければ,田村委員の意見を踏まえて,こういうふうに直した方が良いのではないかという意見を言いたいと思います。
【末廣主査】  今はちょっと,この10ページの1,2,3,4という順番に関して,委員会として,このままでいくのか,順番を変えるべきなのかということで,これは前回も議論したわけで,多分,議事録見れば,この順番でいこうとなったと思うんですけれども,なるべく,これから読んでもらう人たちにとって理解しやすい計画にしないといけませんので,その辺,不十分なところがあれば直すべきだろうと思うんですが。だから,この1,2,3,4があって,4ページの基本的考え方。これは誘因に関しては後ほどやりますけれども,ここの「災害科学の一部であると考え,計画を推進すべきである」という,これも大胆な文章なんですけれども,これもこの委員会として合意を得たものであると私は理解しております。ただし,だったらこうするんじゃないのという考え方も出てき得ることは理解できますので,もう少し,ここをかんで含めるように説明を加えるということはよろしいのかもしれませんね。その点いかがでしょうか。
【森田科学官】  先ほど井口委員から御指摘があった点について,少し説明を加えます。
 131行目から144行目までの,この基本的考えは,これはこの研究計画というもの,観測研究計画の長い道筋で,これは災害科学として考えたら,こういう順番であろうということを,やはり書くべきところだろうと思います。それで,この1,2,3,4というのは,この5年間の計画,次の計画の中で,どういう順番で,どういう構成にするかということを記述するため,それを319行目ですか,319行目から335行目までに書いたというような仕組みです。ですから,王道であるというところは,正にその基本的考えで,そういう意味では合っているのではないかと理解して,このように修文いたしました。
 以上です。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 ちょっとほかの委員の御意見を伺いたいんですけれども,いかがでしょう。この順番,その10ページにある順番でいくのでよろしいですか。
 そのことと,その4ページにある長期的な方向と,それから,今,森田科学官が説明された,その2の方ですね。10ページの頭の方に書いてあることと,その読む人が,すっと,なるほど,そういうふうに変わるのかと理解してもらえるかどうか,その点について,御意見お願いします。
 そういうことであれば,今この時点においては,現在の資料1の文のままでいくということにいたしたいと思います。
 それでは,ロードマップを検討したいと思いますけれども,先ほど資料2-1については,ここにあります,6,7ページと差し替えたらどうかという提案と,もう一つ,メーリングリストで皆様に流れたと思いますけれども,保立委員からの,ある意味,ちょっと違う切り口の提案がありました。これを同じ土俵で議論するのはちょっと違うかなという感じもするんですけれども,議論進める上で,まず資料2-1をやるんでいいですか。
【保立専門委員】  はい。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 それでは,この資料2-1と,それから,なぜこれを一生懸命議論するかというと,指摘があったからで,こういうロードマップになっていないんじゃないのと言われたからでありますが,やっぱりこの委員会として,このロードマップというのを,どういうふうに考えているのか,皆様のお考えも伺いながら議論したいと思いますけれども。
 まず,このロードマップというのは,長期的な方向の中に書かれているわけですので,だから部会委員の御指摘も,要するに長期的な方向の中で,更にこの5年でどうなるのという御下問だと思いますが,さっき加藤委員から説明してもらったんだけれども,もう一回,ちょっと決定的に違うところはどこなのか言っていただけますか。
【加藤主査代理】  そうですね。決定的に違うところと言われると,余りないのかもしれないんですけれども。
 地震の方に関しては,予測1,2,3,4となっていたのを,段階1,2,3,4と,火山に合わせて直しました。2,3,4は余り変わらないんですけれども,段階1に関しては,予測というよりも,地震がどういうところで,どういう規模の地震がどの辺で起こって,それがどういった地震動で津波を引き起こすかということを理解して,それに基づいて災害に備えるということで,余り予測的なことは前面には出てこない内容になっています。火山の段階1も,それに近いものになっています。
 あと,段階1,2,3,4と言いましたけれども,これは段階1が終わって段階2に行く,段階2が終わって段階3に行くという,そういう単純なものではなくて,段階1よりも4の方が段々難しくはなるのですが,この計画の中では,それぞれの段階について取り組んでいくということを考えています。
 それから,前の案でも,今後5年間に力を入れることは,ちょっと書いたんですが,ロードマップに書くのはふさわしくないだろうということで一旦削りましたが,やはり達成目標というか,この計画が5年間でどのくらいのところまで行ったかが計れるようなことは書いた方が良いのではないかという意見があったので,今後5年間に何に力を注ぐかということは書きました。その程度です。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,ちょっとまず,資料2-1が,原案の,いわば2-1の方が望ましいとお考えなのか,あるいはもっと違う点で指摘されたいことがあれば,それも含めて,御意見をお願いします。
【橋田臨時委員】  資料2-1について,地震と火山の整合性をとる試みを頂いたことに対しては敬意を表したいと思います。
 私も気になるなとは言っていたんですけれども,部会・分科会の先生に言っていただけると,こういうように試みていただいたんですけれども,何点か気になることは今でもございます。地震と火山をなるだけ合わせようとしたということで,じゃあ,段階1から段階4を比較してみると,地震の方は,災害の軽減や対策までしっかり書き込んでいるということに対して,火山は特にそこまで書き込んでいないという違いが,まず最初に目に付きます。どっちが良いかは,それはそれぞれだと思うんですけれども,何となく,地震の方は,ここまで書くのだろうかと。確かに書くことによって,それぞれの段階で行っている理解や予測といったものが,どういうように位置付けられるかはよく分かるということはあるんですけれども,そうであるならば,引っ繰り返して書くんだろうな。例えば,段階1,段階2,何とかのための即時予測とかというように書くと,単なるレトリックの問題でもあるんですけれども,火山との関係がより対応付けやすくなるのではないかというような印象は受けました。これが1点でございます。
 それから,あとはちょっと細かい話ではあるんですけれども,例えば,この資料2-1でありますと,25からなんですけれども,このパラグラフというんでしょうか,いろいろ直線的に進むものではないということを書きたいというのはよく分かりますので,これは良いとして,あとの段階のものについては,地震についての詳細な理解や高い技術が必要になると。ただ,段階2や3や4は,どのように利用するか,何に使われるかという観点で書いておりますので,技術や理解がそれなりに高くなくても,それぞれに応じた対策が考えられるということがあるので,いわゆるプロバイダーというんでしょうか,予測をする側が,ある意味,そのレベルを決めているのも変かなと。それはそれぞれの予測の技術に応じた対策をとればよろしいのではないかというように思いますので,地震についての詳細な理解と技術が必要となるというところまで明示的に書くのが,ちょっと分かりづらいかなと。例えば,地震の発生の短期予測についても,不確実性が高いなら高いなりの対策をすればよろしいので,社会がどう許容するかも含めて,おもんばかってこちらで書く必要も必ずしもないのではなかろうかというような印象もございます。その観点で,27行から33行は,あえて書かなくてもよろしいのではなかろうかという印象も持ちました。
 とりあえず,いつものように最初にお話をさせていただきました。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 なかなか重要な指摘ではないかと思いますが,ただいまの橋田委員の意見に関して,何か,賛成でも何でも,御意見を。
 たしか,部会委員の方も似たような指摘が。
【森田科学官】  別のところで似たような意見がございまして,それは直したのですけれども,こちらには,反映されていないと思います。
【末廣主査】  確かに,この段階2のところで,「基づき対策を講じる」と書いてあるけれども,この計画としてのことを言っているわけではないですよね。
【森田科学官】  違います。
【末廣主査】  今の橋田委員の御意見は,対策というのは,もう段階1,2,3,4,それぞれいろいろやりようがあるのであるということであろうかと思うんですが,まあ,そうでしょうね。そうであってほしいと思いますが。
【小泉臨時委員】  ここは非常に苦労して書かれているということは分かるんですけど,それだけに,どうしても突っ込まれてしまう。つまり,段階1,2,3,4と合わせると,段階1同士で比較しちゃうんですよね。そうすると,もう全然火山と地震で違うよねということが分かってしまうという。今,橋田委員も御指摘ありましたけれども,ほかのところでも測地学や我々の同業者から見たら,やっぱりここ突っ込むなと思うところを突っ込んでくるわけで。
 それで,ここのところは,先ほど井口委員から御指摘ありましたけれども,つまりロードマップと最初のこの1,2,3,4という順番が,やっぱり合っていないんですよね。これは井口委員の仰るとおり,災害誘因予測のロードマップと書きながら,実はそうじゃなくて,やっぱり旧来の予測の発想がそのまま残っているんですよね。ロードマップと称しながら,従来の地震とか火山噴火予測をやってきた研究の延長でロードマップを書いているから,このロードマップが1,2,3,4と対応していなくて,これはおかしいと。これは本当に井口委員の仰るとおりだと思います。
 非常に書くのを苦労されたということは分かるんですけれども,やっぱり,ちょっと発想を変える必要があるのかなと思います。つまり現状でやれるところということを書くと,どうしてもこういう書き方になってしまって,あとは地震と火山を無理やり合わせようとすると,こういう書き方になってしまって,逆に突っ込まれるというところがありますから,つまり本計画の基本的考えで,336から343ぐらいに書かれているわけですよね。理解して予測して,災害誘因予測まで持っていくという発想が,このロードマップには,ちょっと見えないんですね。そういうふうに書き換えることができないかなと思いました。それを克服すれば,井口委員も,あるいは井口委員に近い考え方の方も納得していただけるのではないかなと個人的には思います。簡単でないのは重々承知しています。
【平田委員】  漠然と地震と火山は全く同じでなくて違うから,同じにはできないと言うんではなくて,本当に地震と火山の何が違うかを,やっぱりはっきりさせた方が良いんじゃないですか。
 一応,私は地震と火山合わせて一つで書いたらどうなるかって,試しにやってみたんですけれども,私ぐらいざっくりとした発想でやるならできないことはないんですよ。だけど細部にわたって,物理現象として,岩石の脆性(ぜいじゃく)破壊と,それと爆発とは違うと。そこは違うし,それから規模が違う場合もあるとか,いろいろ違いはあるけれども,地震と火山の観測研究計画,一緒にやれるぐらいなんだから,一緒のところも私としてはあると思うんですね。だけど,違うと言うんであれば,やっぱり違いをはっきり。例えば,体制も違うのははっきりしているから,その体制的なことも違うし,自然現象としても違うし,災害科学とも違うというのを,ちょっと関係者が集まって,マトリックス作って,違いを。そうすれば,この議論ははっきりする。どこが違って,どこが一緒か分からなくて,何となく同じようにするから,橋田委員の言われるように違いが目立つだけになります。違いがあるから全然違うふうにすると言って,前みたいに,片一方は段階で片一方は予測というのは,やっぱりこれはかなり未成熟な段階で,現建議は初めて地震と火山を一緒にしたからいいんだけれども,これはもう2回目なんだから,やっぱりちゃんとよく話し合ってそろえるべきじゃないかなと。
 現段階ではどうすればいいという案は,今は持っていませんけれども,そういう議論を,ちょっとする必要があるかと思います。
【井口臨時委員】  地震と火山のところの段階1,2,3,4のところは,確かに地震と火山は違うんだけども,例えば,基本となる考え方で,段階1のところは長期のやつだからいいんですけれども,例えば,火山のところで段階2に,要するに,「観測により火山活動の異常を捉えることができる」と書いていますよね。そうすると,地震の方は,要するに,「観測により地殻活動の異常を捉えることができる」というやつは書いてないんですが,これは必ず必要なんではないでしょうか。
【加藤主査代理】  異常を捉えることができるというのは,恐らく地震でいえば段階4で,多分,一番難しいものになってしまうんだと思うんです。長期的な予測であるとか即時予測は,いわゆる先行現象みたいなものを捉えるわけではないので,そちらの方が役に立つ予測にはつながりやすい。現状では,異常を捉えるということが,その異常をどういうふうに判断することが,地震にとっては非常に難しいんだと思っています。
【井口臨時委員】  多分,地震と火山のところの書き方が全く違っていて,地震の方は,災害の軽減ということで書いてあるんですよね。火山の方は,当然,どなたか言われたかもしれませんけど,災害の軽減に対する段階1,2,3,4というやつが書いていないわけです。火山の方で書こうと思ったら,要するに,その地震に対する1,2,3,4に対応するものは書けるので,それを書けばいいし,地震の方も火山の1,2,3,4に対応するものを,やっぱり発生予測のための一つのプロセスの問題ですから,それは書くということはできないんでしょうか。
【小泉臨時委員】  加藤委員の仰ることは,とても分かるんですけど,この段階1,2,3,4を易しい方から難しい方へと思い込んでしまうから,そういう回答になるのであって,段階1,2,3,4は,直線的に進むものではないと書いているわけですよね。ですから,例えば,火山に合わせて書いてみて,ただし,地震においては2は非常に困難であるというような書き方をすれば,合わせることは可能だと思います。もちろん,その逆も可能だと思うんですよね。でも,書くとしたら,どうしたって,段階1に対して段階1と皆見ちゃうし,段階2は段階2って見るわけですよね。ロードマップじゃ無しに,本計画の基本的な考えでは,当たり前と仰るかもしれない。現象を理解して,予測して,誘因まで持っていくということをしているわけですから,ロードマップの書き方は,予測のロードマップと書いてありますけれども,そうしたら,例えばですけれども,こういう書き方に合わせて書いてみて,地震はここはできるけど,ここはできないとか,火山はここはできるけど,ここはできないと書くというのも一つのやり方かなと。あるいは,今言われたように,火山に合わせるとか地震に合わせるというやり方も一つのやり方かなとは思いますが,いかがでしょう。
【末廣主査】  どなたか名案をお持ちの方。
 私はこれ読んで思うのは,さっき平田委員が言いましたけれども,地震と火山では,やっぱりストラテジーが違うんだろうと。したがって,それを素直に認めて,きちっと説明すると。今のこれだと,ちょっとそこが説明不足なのかなという感じを受けますが。
【井口臨時委員】  よろしいですか。
 確かに,もうそれは,今の計画をやっていても,地震と火山は違うというのは百も承知なんですが,そんなことをいつまでも言っとったってらちが明かないので,ロードマップで長期戦略としてどういうふうに持っていくかという話なんで,次の5年の中に,これを全部やるとは書いていないんですね。飽くまでもロードマップだから,我々はこういう方向で持っていきたいというのを書くのがロードマップではないんでしょうか。
【末廣主査】  ちょっと私はそれに答えるオーソリティーないんですけど。
【宮澤専門委員】  あえて違った方向から意見申し上げます。
 まず私も,このロードマップに関しては,いろいろ自分で作文をしてみようと試みたんですが,非常に困難な作業でして,そうこうしているうちに,いろいろな方の意見が出てきまして,特に資料2-1に関しては,私は出てきた中でも非常に共感を持ったところであります。
 といいますのは,まずロードマップに何を記述すべきかと考えましたときに,先ほど直前に議論になりましたように,基本的考え方の内容が,まずロードマップに反映される必要がある。そして,前回,主査の方から,地震と火山の書き方について随分違いがあるといわれましたが,ここをどうそろえるかということに関して,先ほどから井口委員が指摘されているように,同じ項目で対応付けたらどうかというのは,確かに私もそう考えたんですが,例えば,火山の段階2にあるような,地震前の異常現象を捉えることができるというのを地震現象に書いたときに,そもそも,そういった前兆現象があるのかないのかも現時点で分かりません。そもそも,ないことを証明するのも非常に困難な中で,仮にそういった内容をロードマップに書いてしまうとすると,恐らくそのロードマップというのは,今後,非常に長期的に見たときに,かなり独り歩きをするような内容になってしまうと思います。仮にですけれども,そういった前兆現象がないことが証明できるかどうか分かりませんが,分かったときに,そういったロードマップは全て,その先については全部考え直さないといけないことになると思います。当然,そういった見直しというのは必要かもしれないですけれども,ただ,現時点でそれがあると認めてロードマップを作るのが良いのかどうかというのは,私は非常に疑問に思っております。
 その中で,ロードマップというのは,やっぱりビジョンと戦略というのが明確でないといけないとは思っています。まず,最初に書いております,1行目から13行目までの(1)から(4)というものに関して,あるいは段階1から4というものに関しては,非常にビジョンが私は明確であると思いました。もちろん地震と火山について,それぞれ対応していないという問題はあります。ただ,戦略について,どこに書かれているのかと考えたところ,実は余り書かれておりません。そして,先ほど平田委員の方からの意見の中であったと思いますけれども,やはり戦略というのは,体制のことを書くのかなというのは,今,少し思っているところであります。
 そして,ロードマップのもう一つ重要な点というのは,もちろん外に向けて,この研究計画がどうであるのか,それでこの5か年がどうであるのかというのを見せることも大切なんですけれども,計画の中の研究者にとって,研究の意思の疎通に使われる必要があると思います。ロードマップ自体が形式的なものになっては,次期研究計画自体が十分なものではなくなってしまうということを非常に危惧しております。
 そういった中で,やはり研究者間で意思の疎通ができる,実現可能な,あるいは遠い将来であっても,恐らくできるであろうと思われるような内容にするのが良く,そういったことを考えると,例えば,火山の段階2の内容を地震の方の段階2に合わせるというのは非常に困難であるかなと思っております。
【関口臨時委員】  非常に大ざっぱな考え方なんですけれども,火山は噴火した後に,マグマの粘性とか何かによって,いろいろ状況が違って,複雑で大変だなと私なんか思っていたんですけれども,地震の方も最近はいろいろ,割と終わりだじゃなくて,いろいろ連動してみたりとか,複雑なところが出てきたので,地震は地震でまた複雑になってきたなという現状だと思うんですよね。ですので,回答じゃないですけれども,例えば,地震であれば,段々ひずみが溜まって,それが解放される。地震で解放されて,また戻ってというのを,それぞれのステップについて,ここはここまで分かっている,ここはここまで分かっていると分類していって,火山の方も,火山は熱を解放するんですね。段々とマグマが溜まっていって,それが噴火して,また収まってというのを,それぞれどこで,どのステップであれば,ここまで,今こういうことが分かっています。これが分かれば,災害のこういうところに役立ちますというふうに分けていくと,何かうまくいくかなと,何となく漠然とですけれども,そういう切り口もあるかなと,ちょっと考えて,参考にしていただけると。
【橋田臨時委員】  今の関口委員の指摘と非常に同感というか似ているんですけれども。その前に,私,この別紙。資料2-1を批判するという立場より,是非,こういう形でまとめてほしいという観点で,先ほど意見を言わせていただいたんですけれども。
 それで,段階2が地震の場合は非常に難しいということを,どうして考えてしまうんだろうかというのが,それはきっと,非常に厳密な意味で,地震とは断層運動であるという,普通の人は,余りそうは思っていないんですけれども。そういうことにこだわり過ぎているのではなかろうかなという気がするんですね。災害科学としてポジションを変えた瞬間に,火山で言うところの段階2は,地殻の異常もそうだし,今,きっと関口委員が仰っていることとも通ずると勝手に思っているんですけれども。
 地震が,いわゆる狭い意味での断層運動が始まり,津波が発生しとか,長周期地震動が伝わるというようなことを考えていくと,地震としての災害の全容というのは,それぞれの地震サイクルと言うと変ですけれども,地震としての現象を捉えて,それを火山でいえば,観測によって,今どういう地殻の変動ないし,地震動の伝搬ないし,そういう異常を捉えることによって,それらの原因を使って予測をしていけばいいと思うと,結構近い形で火山に相当する記述もできるのではなかろうかなという気もします。そういう意味で,地震の段階1,段階2,段階3,段階4についても,火山に近い形で書くということで初めて,その災害科学としての考え方に近付いていくことができるのではないかというような印象を,私自身は持っています。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 一番最初に,災害科学としての取組ということで,(1),(2),(3),(4)と書いているわけですが,加藤委員,これは地震・津波による災害予測のロードマップに段階1,2,3,4として書いてあるんですか。
【加藤主査代理】  正確には対応していないですけども,(1)は段階1に近いですかね。2が2ですかね。で,3が3です。段階4も(3)ですね。4はちょっと違った内容のことを書いていると思います。
 火山の段階1も(1),あと(2)に対応しますかね。あとは火山の段階2,3,4は,(3)になるんだと思いますね。
【末廣主査】  というわけで,ちょっとくくり方が違ってはいるけれども,一応,大きな取組方の線には沿っているという説明だと思いますが,それが異なるレベルで書いてあるのは,地震と火山の自然現象としての違いによるものであるということが,もし上手に説明できれば,書き入れて,理解してもらうという手もあろうかと思いますが。
 私はちょっと,この地震と火山を同じように書くというのはぴんとこないんですが。つまり,書けるか書けないかじゃなくて,どういう努力をしないと,こういうサイエンスが前に進まないかということで考えると,おのずと地震と火山でレベルの考え方が違っていてもいいのではないかと思うんですが,いかがでしょう。
【今給黎臨時委員】  今,主査の方からお話があったとおりだと私も思うんですね。ですから,今,加藤主査代理の方からお話があったように,災害科学としての取組の(1)から(4)に相当する考え方で整理したときに,地震の場合のその段階というのはどこに相当していて,火山の場合の段階1,2,3,4というのは,どういうところに対応しているのかということをエクスプリシットに,このロードマップを示す際に,つまり,地震の場合はこういような段階という形で進めて,もちろん,それを全部積み重ねないとできないんじゃなくて,それぞれのところで解決できるものを解決することによって,少しでも災害軽減に役立つようなことができるということを考えているんだと。火山の方も同様なところがあるんであれば,そういうふうに書くし,若しくは火山の場合は順番にクリアしていくことで軽減できるという考え方の方が重ければ,そういうことを書くというような,それを説明しやすいように,もう明示的に書いておくというのが,後で突っ込まれるというのは,結局説明不足だから突っ込まれるんだと思いますんで,そういう説明を予め(あらかじめ)しておくということが重要なんじゃないかと思います。
【末廣主査】  ありがとうございます。
【平田委員】  私は全然違う観点から少し申し上げます。
 ここに書くべきことは災害科学としての取組で,その長期的なロードマップを書くべきであると。それで,つまり,なぜ災害科学,自然災害,地震・火山の災害の予測をする必要があるかということから考えるべきだと思います。
 一般に,予測をしなくても,地震や火山の災害は,過去にどういうものがあったかということを理解するだけでも,地震災害,火山災害に対する,ある程度の予防策はできる。だから,それは昔からやってきたわけで,地震学とか火山学が発達しない段階でもあるわけです。防災とか災害,科学と言うかどうか知りませんけど,そういうものが非常にプリミティブな段階,地震はナマズが起こすんではなくて,自然現象であるという理解をして,それに備えるという,そういう基本的な段階。それから,その次に,地震というものはどういうものかというのが,ある程度分かった段階で,それを非常に長期的に,地震の起きやすい場所とか起きにくい場所とかいうことを分けて,だから言うならば,時間に依存しないハザードの評価をするという段階があります。
 それから,もうちょっと理解が進んでくると,現状が地殻活動,地震活動とか,火山活動とか,そういうものがどういうものであるかというのを,観測に基づいて理解して,もう少しスペシフィックに言うならば,時間に依存するハザードの評価ができるような段階というのが必要だと思う。それが現在の我々の地震学,火山学の,かなりうまくいっている部分では,時間に依存するようなハザードの評価ができます。
 例えば,地震の場合には,余震の評価などについては,そういうことが,もうちょっとのところでできるようになっています。それから火山の場合には,山を厳密に観測していると,噴きそうだというようなことを評価できる。これはやっぱり時間に依存するハザードを評価していると私は思います。
 それから,その次の段階としては,将来のことを,狭い意味の予知ですね。将来のことを予測するということができて,これが狭い意味の予知の段階になってくると。そこまで行けば,まだ起きないことについてのハザードを評価することが,つまり予知できて,これに備えるということは非常に社会に役に立つわけです。
 今までは,その最後の予知と言ったときに,将来のことを予測するということを,どういう段階でやるかということが,火山は割と明確に書かれていて,地震の場合には,そこの段階が結構違うと。だから,もちろんそこは,それぞれ地震と火山と戦略や何かが違うかもしれないけど,災害科学としてのロードマップを考えるんであれば,割と私は一般化して,その仕組みの一般的な理解と,時間に依存しないハザードと,現状把握に基づいて時間依存,それから最終的に将来を本当に予測するということをやると。それがやっぱりロードマップとしては段階を追ってやるべきことで,それぞれが直線的じゃないというのは,私はそのとおりだと思いますから,一般的な理解が進まなければ難しいことはできないんだから,少しずつダブりつつ,新しい段階に進んでいくと。それで一部,火山などについては,本当に将来を予測するというところまで行っているところもあるし,だから,そこの最後のところは,少し地震と火山を区別,差別化するというか,具体に書くことはできるけれども,災害科学としてのロードマップというような観点からすれば,一応,どういう段階で理解をして予測をするということは書けるんじゃないかなと思います。だから,これは今までと皆さん方とちょっと違いますが,一応言ってみて,反応を見て,これは駄目だというんであれば引っ込めます。
【井口臨時委員】  平田委員の言われるとおりだと思います。つまり,要するに,発生予測そのものにディペンドするものとしないものと分ければいいだけの話なんで,言われるとおりだと思います。
【小泉臨時委員】  非常に私の分からないところが明快になり,雲が晴れたような気がいたします。
 それで,もう一点考えたのは,これはタイトルに関連する話で,私,前から考えていたんですけど,地震発生予知はできなくても,地震災害が予知できるんなら,タイトルに予知を入れるのはいいなと思ったんですが,今の平田委員の話だと,地震は予知できなくても地震災害は予知できると言えないこともないかなと思いました。タイトルの方はちょっとおまけですけれども,今の整理は非常に私は分かりやすかったので,その整理がもしできるのであれば,それで変えてみたらいかがでしょうかと思いました。
【平田委員】  ありがとうございます。
 保立委員の考えを私は借用しているだけなんですけれども,予め(あらかじめ)知るという概念を使えば,つまり地震というものは何か,火山噴火というものは何か,それが起きたらどういうことが起きるかということを,予め(あらかじめ),いろいろなレベルで理解するということが予知ということであれば,広い意味で,地震及び火山噴火災害予知という概念はあるかなと。そこでは狭い意味の予測ということだけではなくて,定性的に地震とか火山の災害が起きるということはどういうことであるかと。それは自然現象として,どういうことであるか。それが社会現象としてどういうことであるかということも含めて,まず非常に一般的な理解をする。それをもう少し定量的に評価する。それから,もう少し,その推移予測と言うと,ちょっと火山の方が使っている推移予測と違う意味ですけれども,だからタイムディペンデントなハザードを予測するというところまで行ってということで,広い意味の予知という概念を使えば,小泉委員が言われたことができるんじゃないかなと思いました。
【末廣主査】  ちょっとタイトルはまた後でやるんで,今のこのロードマップのところの皆さんの総意をまとめたいんですが。
 一つは,何となく皆さん思われているのは,もう少し災害科学としてのロードマップというのを,ですから最初の丸をもう少し展開するんですかね。先ほど平田委員が言われたように,時間に依存しない予測と時間依存というところが。時間依存というところが難しいわけですけど,それは地震にしろ火山にしろ共通に書けることがあろうということが一つと,もう一つは,先ほど関口委員が言われましたけれども,結局,今,我々はどういう立ち位置にあるのか,何が分かっているのかというのを少し分かりやすく書くと。ですから,ある意味,抽象化した流れと,それから,それは具体的に何を指しているのかが,説明が明示的に,地震・火山それぞれにあるというような形で書けるのが望ましいと皆さん仰っているように聞こえるんですが,いかがでしょうか。
 大きな反論はないようですが,今言った筋道で,発言した人,頑張って書いてくださいますね。
 それから,橋田委員が,今の資料2-1で,27行から33行は要らないんじゃないかと仰いましたっけ。
【橋田臨時委員】  はい。
【末廣主査】  その点は,皆さん,いかがですか。
【森田科学官】  橋田委員の仰ること分かるのですけれども,基本的には,予測の精度が上がれば上がるほど,防災により役に立つ情報ができてくるという視点で,その都度その都度,それを利用。どう利用できるか考えるの裏返しは,やはり予測の精度を上げていくことが社会の役に立つという考えでよろしいのですね。そういうふうな捉え方の方が,私はここの計画では書きやすいのではないかと思いましたので,その捉え方と,その表現の仕方の問題かと思います。
【橋田臨時委員】  捉え方は,一般的には,それでよろしいかと思うんですけれども,確度が低い,予想が十分でないから役に立たないと,あえて一生懸命言うほどこのことでもないのではなかろうか。要するに,確度を上げていく必要があるとは書けばいいと思うんですけれども,何かができないからといって,全部ができないようなイメージで書く必要もないので,頑張ってやっていきますと書けばいい程度ではなかろうかなという,そういう表現の問題かもしれません。
【森田科学官】  あともう一点,実は私も修文していて気にはなったのですが,ずっとそのままになっている箇所です。この2-1の最初の丸,2行目から12行目で,(1)から(4)と書いてあると。これ,先ほど平田委員から言われたように,(1)が一般的な災害について周知されるという。(2)が,時間依存しない予測で,(3)が地震・火山噴火の発生と書いてありますけど,どっちかというと,これが予知という意味だったら,この部分だけを除くと時間依存する予測で,この(4)があるがために,少しこの構造が分からなくなっていますが,(4)は,実は不確実性を含むというのは,その前に将来の予測を試みて,それが未完成の段階で,不確実な情報を含む予測であってもというような考え方で,基本的には,先ほど平田委員が言われたような整理で,この四つというのは,何となく私は整理できているのかなと思っておりました。
 以上です。
【末廣主査】  ではありますが,平田委員の意見をくむと,この(1),(2),(3),(4)を,もう少しちょっと書き直せる感じがしますね。
【保立専門委員】  よろしいですか。
 今の橋田委員と森田科学官のやりとりで考えたんですけれども,災害を軽減するということから考えると,必ずしも短期予測の方が役に立つということは言えないのではないかと私は思いますが。つまり,地震も噴火も客観的に起こるわけでございますので,短期予測によって防げる災害はあるでしょうけれども,一定度の時間と社会的な計画がなければ防げない計画というのはあるわけですから,長期的な予測と中期的な予測,短期的な予測で,各々役割は違うんだと思うんですね。ですから,要するに,その短期的な予測が災害を防ぐために他の予測よりも有用であるということは必ずしも言えないのではないかと思いますけれども。例えば,南海トラフについて,100年に1度という,ある周期性がある可能性があるということになっているのだろうと思いますけれども,それによって社会的な備えというのは確実に進んでいるわけだと思います。ですから,100年に1度だとか,例えば,宮城県沖地震について32年に1度だとか,そういう形での長期予測というのは,社会の防災力を高めるという意味では,独自の意味があるというように思うんですけれども,ちょっと話がずれたかもしれませんけれども,考えていたものですから,申し上げました。そういう意味では,その100年に1度ですとか,32年に1度ですとかという数字が社会的にも評価されるといいますか,情報になっているということは,地震学としては相当社会的に役に立っている。ないし,少なくとも他の分野の学術に携わる者にとっては,大変啓発的な話だと受けとめています。
【末廣主査】  ありがとうございます。
【井口臨時委員】  よろしいですか。
 確かに保立委員の言われるように地震の方はそうかもしれませんが,やっぱり火山の方は短期予測というのは物すごく重くて,そこを言い出すと,やっぱり地震と火山は違うじゃないかという話になってしまうんですけれども。やっぱり短期予測で人を避難させることによって,人命をいかに守るかということを,我々はずっとそれをやってきたわけですよね。長期予測が不要だというわけではないんですけれども,やはり短期予測というのは非常に重い。そこにいたら人が死んでしまうということで,火山噴火というのは,むしろ地震ではなくて津波に近いと思っているんですけれども,それは私は一つの柱として必要なんだろうと思います。
【末廣主査】  それでは,先ほどちょっと,このロードマップのところをどのように書き直しを試みるか,私から申し上げましたが,今ちょっと,ここの会議中にやることは不可能ですが。
【平田委員】  私が理解したことが正しければ,3時の休みのときに骨子を皆さんに配られますけれども,実は考えてあった上で言っているわけですから。私の理解では,だからプロ向けに言うならば,最初に定性的なハザードの予測をする。それから定量的な時間に依存しないハザードの予測をする。それから,定量的な時間に依存するハザードの予測をする。それで三つ。それで,4段階としては,地震・火山噴火災害の源である自然現象としての地震発生,火山噴火を予測する。これは狭い意味の予測をするとの四つの段階がありますと。
 保立委員が言われたように,別に短期予知することが最終目標ではないんだけれども,まず定性的に理解をすることと,定量的に理解するということと,それから時々刻々変化するということを,すぐ先のことを理解。つまり地震が起きて津波を予測する。地震が起きて揺れを予測する。それから火山が,ちょっとこれは井口委員に怒られるかもしれないけど,小っちゃな地震が起きて山が膨らみ始めるということをモニターして,そのちょっと先の噴火を予測するというのは,それは地震が起きて津波が出るというのとほぼ同じかな。割と近いところにね。それと本当に東海地震を予知するというのと,桜島を,もう少し長期に予測すると。そこは少し議論しますけれども。だから,そういう最後の一番難しいところは,人を避難させるとか,避難行動に直接結び付くようなことの段階4というのがあると,そういうふうにまとめていいんであれば,その骨子は今日中に作りますと。その最後のところは,少し意見を言っていただければと考えます。
【井口臨時委員】  最後のところで,確かにやっぱり4番目というのはどうしても必要であって,ただ,火山の方で今まで書いてきたのは,その最後の4をいかにして進めていくかという発展段階をそこのところに集中して書いているんですよね。ですから,それは火山のところで,もう少し詳しく説明するのかもしれないですけれども,合わす部分はそうしておいて,最後の4の部分のところで,こういう段階で進めていくんだということは書いていただきたいと思います。並べる必要はないんですけれども。
【平田委員】  実は書いて,その4の1と4の2というふうに分けて,4の1が火山の3で,4の2というのを火山の4というふうに分類しようかなと思っているんですけれども。それだと大体,私と森田科学官で,ざっくり書いて,ちょっと隙だらけでたたかれやすいですけど,たたかれやすいものを出した方が良いですから,それをある程度出して,意見を頂いて,ちょっと長過ぎるので短くする必要があるけれども,まずいところを指摘していただければ,それで直せます。そういう提案をできると思います。
【末廣主査】  それと,あともう一つは,この5年でどうするのというのもありますので,そういった点も含めて,後ほどプリント版を皆さんに読んでもらって検討したいと思います。
 それで,資料2-2の方ですけれども,これは保立委員からのロードマップの提案ですけれども,これは非常に実現できたかできないかが分かるようなことが書いてあるのかなと私は読みましたが,これはロードマップではなくて,計画の実施内容のところに書き込まれているんですよね。
【保立専門委員】  実施内容のところに,各々書き込まれている部分があると思いますけれども,それを一応,その順序に書いてみたということであります。
【末廣主査】  ですので,ちょっと,今の資料2-1の方は,この保立委員の観点が必ずしも包含的になっていない部分があろうかと思うので,そこは工夫して書き入れる方針にしてよろしいでしょうか。
【保立専門委員】  これはいわば実施の時間軸をどうするかということについて,メーリングリストで議論があったものですから,すぐ反応してみたというレベルのものです。ですから,一種,学会的な研究計画になっていて,国家的な計画のロードマップとしては,なかなか不熟なものだろうというように思います。ですから,これがすぐ文書になることはあり得ないだろうと,すぐメーリングリストでも発言をいたしました。
 ただ,これを書きました趣旨は,やはり学際研究の組織に関わりますので,それは,ある形では判断をしておくべきではないかということです。これは何度か申し上げましたけれども,3・11を過ぎて2年経つわけですが,こういう段階で,他の社会科学や工学の学術の諸分野は,やはり自分たちから地震学,火山学の側に寄ってきて,どうしようかということを相談するのが本来だろうと思うんです。そういう形で学際研究が始まるのが学術の世界としては自然なことだと思うんですが,御存じのように現実にはそうなっていない事態があると思っております。そういう状態の中で,学際研究の組織を,地震学,火山学の側が全面的に負わないとならないというのは,なかなかきつい状態だろうと私は思います。地震・火山の,いつどうなるということの現状の矢面に立ちながら学際研究を組織していくというのは,地震学・火山学にとっては,なかなか難しい状況があると私は思います。
 ただ,実施の時間軸を何らかの形で入れるということは,つまり順序。これだけの巨大な研究計画において,順序と軽重と目標を立てて,時間軸を作るというのは,なかなか難しいことだろうと思いました。そういう意味では,逆に他の分野で,要するに他の分野の学問が地震学・火山学の下支えをするという形で地震学・火山学に奉仕するという形ならば,要求をして,やれと言えばいいわけでありますから,そういう形でのロードマップならば,ある部分は書けるであろうというように思いまして書いたものであります。
 言葉が何かすごく熟していなくて失礼な部分もあって申し訳ないと思いますけれども,どうもすみません。余計な説明をしましたが。
【末廣主査】  私の考えは,この資料2-2の中で,(3)の学際的な議論を本格的に展開し,必要な恒常的体制の在り方について結論を得る。これ,ずばりこういうふうに言うかどうかは別として,ここが大事なのかなと読んだんですけれども,もし,皆さんもそのように読まれているんならば,これを,この資料2-1の改訂版の方に,多少書いていないわけではないと思いますけれども,もう少し明示的に書くのは,今後の新しいストラテジーとして書き込んでいいんではないかと思いましたので。よろしいですか。
【平田委員】  いいです。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,ちょっと今遅れぎみですが,南海トラフ等の書きぶりについては,先ほど森田科学官から縦糸,横糸という説明でありましたけれども,それで対応できていると,皆さん,お考えでしょうか。ここでは明確に,優先すると書いているわけですが。いかがでしょうか。
【小泉臨時委員】  よろしいですか。
 森田科学官の苦肉の書き方だと私は思いますが,こういうふうに書くと,実施計画の中で,1から4の全てを含む総合的な計画としてメーンに出てくるというふうに読めるんですが。すいません。私,実施計画を全部きちんと読んでいますけど,そういうふうに読めますか。総合的計画というのが。個別のところに出てくるというふうになっていると思うんですけれども,今のところは。
【森田科学官】  個別のところに出てくるから,それぞれの研究課題を結び付けて研究しましょうという意味で,こう書いたわけです。それは非常に重要なので,それを優先してやりましょうと。
【末廣主査】  現段階では,その個別の提案している人は,そういう総合的な計画になるということは理解していないわけですね。
【森田科学官】  いえ,多分理解しながら提案しているというふうに想像できます。
【平田委員】  今作っているのは研究計画を作っているから,普通には研究計画を大きく柱が4本立てて,その柱の中に,更に幾つかの具体的な項目を立てて,それぞれを研究するというのが普通の考えです。ですけれども,そのときには今のストラテジーでは,理解する研究と,予測する研究と,それからそのハザードの予測をする研究とかあって,そういう柱だけど,もう一つの研究計画の作り方というのは,優先すべき研究の対象に沿って分類するという考えもあると。例えば,地震調査研究推進本部がおやりになっている研究の立て方は,海溝型,それから内陸の地震,そういうような立て方で,それぞれの海溝型の地震について理解して,予測して,防災の役に立つと,それを全部やるわけですね。ここでは,その学術の研究としてやるという観点もあるので,手法というか,割と抽象的な分類をしたけれども,もっとはっきり地域名の入ったような研究テーマをするというやり方も当然ある。そこで,この計画を横糸と言うんであれば,それと直交した方の縦糸の研究計画を立てる。ここでは,ここでこういうふうに書かれているのは,1,2,3,4の計画を独立に推進するのではなくて,それを横断したような実行計画を立てる。つまり,ここに書いてある実施内容を踏まえて,実行計画というのが別にあるという考え。今までは実行計画とこの計画は,ほとんどパラレルだったから,ほとんど大項目1の中項目2をやる人,やるグループというのが複数あって,全部足すと全体の計画になったけど,今度はそれだけではなくて,実施に当たっては独立に推進するだけではなく,それを横断するような実行計画を立てろと言っている。ですから,これは最初に精神論として言って,実際に実施計画のところでそれを担保するような組織を作らなければいけないと私は思います。蛇足です。最後のところ。
【井口臨時委員】  多分,科学官が書かれたのは,その地域を,要するに重要な地域を特定しなければならないからということに応えて書かれたと思うんですけれども,私はここの部分というのは物すごく重要だと思っていて,つまり四つの柱があるんですけど,四つの柱が独立に動くわけではないということを,ここのところではっきり明示することが私は重要なのではないかなと思います。
 これ,「独立に推進するだけではなく」と書いてありますけど,個々の研究は独立にやるんでしょうけれども,この研究計画全体が一つのものとして動く,その表れとして,こういうものを提案するという書き方の方が私は良いんではないかなと思いますけれども。つまり柱の間の連携というのが重要であるということを明示した方が良いと思います。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 ただいまの御提案は,350から52の,これも大事ですよというような言い方ではなくて,もっと積極的に,先ほどの平田委員の話し方だと,正にそういう感じだと思いますが,縦糸も同時に,正に重要で,それの展開を今までやられていなかったというような話ですが,今度はやるんだという。これをもっとはっきり書くべきであるということは,皆さん,よろしいでしょうか。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  すいません。ちょっと今のお話で,私が理解していないだけなのか,もしコンセンサスがなければお伺いしておきたいんですけれども。
 実施計画を,何かもう一つ新しく作るというお話だと思うんですけれども,そうすると,今までの実施計画との関係性でいうと,今までの実施計画の中から新しい横糸みたいなものに関するものを引っ張って,引っこ抜かれて,より一段上の計画みたいなものになっていく。プライオリティーが,上下感みたいなものができるような,そういうものをイメージされているのか。二つ計画ができるとすると,その二つの計画の上下関係とか,それがよく分からない。
【平田委員】  良いですか。ちょっと説明の仕方が悪かったです。
 ここには5か年の計画というのを全体として立てるわけですね。今度は,この建議をする内容としての計画ができた段階で,今度はそれを実施する人たちを募るんですね。これは飽くまで学術計画の側面もあるので,こういうことをやる人たちはいますかと言って,皆さんにアンケートというか,コミュニティに対してコールして,それに応えて,概算要求を,大学の場合には運営費交付金の特別研究として要求するんですけれども,そのときに実態は,それぞれの研究グループが,私たちは,この建議の計画の中のどの部分をやりますよと言って,本当の年度ごとの実施計画を提案してくるんです。そのときに,この建議の計画の大項目1の中項目(1)のあの部分をやりますよと言って要求してくるんですけれども,そのときに,単に大項目1の中項目1をやるんではなくて,大項目1-1と,中項目1-2と,大項目3の何とかを合わせたような,そういう研究計画,実行計画を立てていただく。その段階で,ここで言っている計画の1,2,3,4をうまく連携しているような,良い計画があれば,これを取りまとめるヘッドクォーターが,そのグループに対して支援をして研究を進めていただくというようなことになります。だから,もちろん,プライオリティーとしては,この研究計画にあるような項目立てが前面に出てくるわけだけど,これは実施の考え方を言っているわけで,そのときに,大きな1,大きな2,大きな3,大きな4を全部連携したような総合的な研究計画というのが複数,やっぱり出てくるんだと思います。その中には,大きな項目立ての1だけをやるというのもあるかもしれないし,それからいい計画は1,2,3,4全部含まれているものもあって,その中では,例えば,南海トラフの研究をするグループとか,東北地方太平洋沖地震の影響を評価する研究グループもあるだろうと。
 今までも,この計画に基づいて,じゃあ,今年度何をやりますかということを,皆さんのグループに,コミュニティに対して言って,200ぐらいの提案が出てきて,大きなマトリックスを作って,どこの実施機関がどれをやっているという,そういう表を作っていたんですけれども,その中には,主としてやる項目,それから関連する項目というのを二つか三つ,皆さん,大概出してきています。だから,飽くまで今まではこの建議の分類に従った項目が主たる項目があって,関連する項目というのがあるんだけれども,ここでこういうふうにはっきり1,2,3,4を総合的にやりなさいということをリコメンドするということは,1,2,3,4を全部,ある研究計画の場合にはイコールウエートでやりますよと,そういう計画が今後出てくると,そういうことです。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  要するに,既存の今までみたいな評価をするときに,今までの1,2,3,4みたいな評価の軸に加えて,横断的な南海トラフとか巨大地震に,災害に資するよという横軸的な観点を加味して,評価を今後更にしますよというような,そういう認識ですか。
【平田委員】  そうです。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  なるほど。ありがとうございます。
 その上で,もう一つなんですけれども,今,例えばということで,南海トラフと首都直下と桜島という三つを,具体に,ぴちっと書いてあるわけなんですけれども,実は「例えば」と書いて「等」と書いてあるので,ほかにもあるのかどうかの余地を残すんですけど,まず最初,かなり強くこの三つが意識されるかと思うんですけれども,何かコンセンサスみたいなものというのは。例えば,パブリックコメントなんかを考えると,私なんか,富士山ってあるんでしょうかとか,ぱっと思ってしまったんですけれども,こういうプライオリティーというか,三つ,横断で重要だというときに,それがどう決まるのかという。今,この三つを書いてあるということとの関連だと思うんです。
【平田委員】  一つは,実際に,この実施計画の内容を読むと,南海トラフの研究は,いろいろなところにいっぱい出てくるんですね。だから,個別に皆さんが,例えば,プレート境界の,いわゆるゆっくり滑りだとか,微動だとかというのは,この10年ぐらいで非常に進歩した研究分野ですけれども,それは南海トラフが一番典型的な研究フィールドです。同時に,そこで起きる可能性が高いという調査委員会の評価も近頃出ているし,内閣府のいろいろな被害想定も出ていますから,やはり重要であることは,もう間違いないから,これはほとんど,誰も反対しないと思って,ここに書かれた。
 それから,首都直下については,どこかに書いたけれども,社会への影響の強さということを考えたときに,やはり首都直下という。
 昔も,例えば,東海の地震とか南関東というような,そういう地域割をして,実施計画の中に特別に注意してやらなきゃいけないということは書いてあったんですけれども,そういうことは今はないんだけれども,やはり実態として,この地震だったらば南海トラフと首都直下というのは外せないだろうなという,そういう判断はあったと思います。
 今の計画の中にも,東北地方太平洋沖地震と,その影響に関する研究項目は明示的に今入っていますので,「等」というのは,そういうものも含めるということです。
 火山について,桜島については,総合的に研究が一番進展しているというのは,多分,誰も異論がないので,分かりやすい例としては,こう書いた。
【井口臨時委員】  若干コメントさせていただくと,やっぱりこれ災害の防止のための研究なんで,要するに,桜島をやるということは,鹿児島が近いんで,火山と都市の問題なんです。
 今,富士山と言われましたけど,富士山が何で注目されるかというと,ただ単に東京に近いというだけの話ですよ。正にこれは火山と都市の問題で,桜島でやったということは,必ず富士山にも役に立つと。災害ということで言えば,これは必ず役に立つと思っています。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  多分,そういうのが,聞いた人が分かるように,説明とかも含めて。突然ワンパラグラフで書いてあるので,多分,私みたいな疑問があるのかなと思うので,もし書くとすれば,多分,そういう何か,災害だけじゃなくて,例えば,科学的に分かっているところがあって,貢献しやすい分野ですとか,何かそういったところは,ある程度の分かるような説明が必要なのかなと思いました。
【平田委員】  正に10ページは,「例えば」「等」と,実にちゅうちょした書き方をしているのは,この場で,この三つの例が適切かどうかは,議論する必要があって,桜島以外に何とか島もあるかもしれないし,何とか地震というのもやっぱりあるという意見があれば,ここで少し議論して,一定のコンセンサスは必要だなとは私は思いますけれども。それは是非,皆さんの意見を聞きたいと思いますが。
【末廣主査】  まず,それやりますか。
 じゃあ,その350から54の書きぶりに関しては,もう少し強調して書くのが良いのではないかという御指摘と,それから,具体的に南海トラフと首都直下。これ部会委員の指摘にもあったわけですが,そういったものの項目立てでやるという方針は,今回,ここでとっていないわけですけれども,1から4を全て総合的に展開する例として,これら三つを例示することに関して,皆さんにお諮りします。いかがですか。
【小泉臨時委員】  どう使われるか分からないですけれども,この三つをどうして選んだかということの説明ですよね。一番単純な説明は,起こったときに被害が大きいという説明を,もし使うとすると,桜島はちょっと引っ掛かるなというのは,多分,普通の人の感覚だろうと思います。ただ,研究として,我々は非常によく桜島は進んでいるということと,それから防災に結び付いていることを知っているので,研究者として,ここに桜島が入るというのは,別に違和感はない。そこのところをどうされるかということだろうと思います。
 一般の人の関心は,今,補佐が仰いましたけれども,確かに首都直下と南海トラフが来たら富士山だよねというのが普通の人の感覚だろうと思います。そこのところを簡単にうまく説明できた方が良いかな。例えば,中庸をとるんだったら,この桜島火山の後に富士山を入れるというのは,一つのやり方かなというふうに思います。
【末廣主査】  ほかに御意見お持ちの方。
【橋田臨時委員】  桜島なんですけれども,確かに富士山は重要なので,富士山の研究が,ここに書くほど横断的にあるのであれば,富士山を書いていただいていいと思うんですけれども,やはり当面,活発に活動していて,いろんな研究を推進,進展できるという観点からいえば,桜島を書いておく方が,私は5年の計画としては現実的なのではないかと思います。桜島の火山噴火等と,固有名詞のように読まれないようにした方が良いと思いますけれども。活動が活発であるとか,研究の進展が期待できるとか,いろんな観点からいうと,桜島は明示しておくのが良いのではないかと思います。
【井口臨時委員】  今のハザードのやつで言えば,やっぱり桜島でどれだけ人が死ぬんだという話になるんだと思うんですけど,そんなことを言い出したら,それはカルデラ噴火を持ってくればいいだけの話であって,そんなもの,いつでも持ってきますよ。ただ,それは今さっきも申し上げましたけど,そこのところを研究することによって,これは富士山と東京の問題というのを解決できるということなんです。だから,そこのところの問題を本来は解決すればいいというだけの問題じゃないんですよね。要するに,ほかのところで,これが実用化できるめどがあるとか,できる可能性があるというのを研究する。そこのところの技術開発をここでやると言えばいいだけの話です。私はそう思っています。
【仙石臨時委員】  353行目で,「発生した場合の社会への影響の甚大さを考慮して」ということだけ書いてあるんで,桜島を入れるということは,私,全然異存はないんですけれども,その後に,例えば,研究の発展の可能性とか,災害科学への貢献とか,そういったことを加えて,より説明を足すことによって,分かりやすくした方が良いんじゃないかと思いました。
【末廣主査】  ありがとうございます。では,そのように修文するということで,皆さん,よろしいでしょうか。
【平田委員】  井口委員が言われた,もっと強調した方が良いという御意見なんです。原文では,「1,2,3,4の計画を独立に推進するだけでなく」となっているんですね。だから,先ほど井口委員が言われたのは,独立は全然駄目で,必ず総合的にやらなければいけない,そう仰ったように聞こえたけど。
【井口臨時委員】  いやいや,そうではなくて,やっぱり独立に推進するというのを先に言うのではなくて,連携して進めていくべきだということを言った方が良いんじゃないかという意味なんですけれども。
 つまり,これを先に言ってしまうと,独立に本来は進めるべきものなんですよと。だけど,一部には,こういう縦糸,横糸でやるべきものもあるんですよという言い方なんですけど,本来は,やっぱり,これ縦糸,横糸で進めるべきものであるんではないんですか。どうなんでしょうか。
【末廣主査】  いや,皆さん,多分そういう納得したんだと思います。
 ありがとうございました。
 それでは,会議の初めに言ったテンポから少し遅れているんですが,ここで休みを入れて,その間,仕事のある人がいますが,その時間があるから15分休みにしましょうか。だから,今,あの時計で15時10分から再開したいと思います。再開するときは,プリントするのが間に合えば,それをやりたいと思います。
【橋田臨時委員】  すいません。ちょっと違うことなのですが。
 冒頭,森田科学官から修正があったお話の件で,少しコメントさせていただきたいんですけれども。
 例えば,107とか108で,国土地理院の畑中委員等の提案も踏まえて書き直したというのをやったんですけど,これはこれでいいとというか,書き直した趣旨は理解しておりまして,例えば,地理院さんの成果を踏まえると,正にそのとおりだと思いますし,107,それから175のところなどもそうだとは思うんですけれども,従来,実用化を目指しているとか,研究がまだ進展している記述だったものも何か一つになって,あたかももう手法が全て開発されたかのように一くくりにされているのは,ちょっと何か気になるなという印象があります。そこをもう少し正確に書いていただくということで,例えば,新しい107のところですと,「津波浸水域を高精度に推定する手法が開発された」と,こう明確に書いてあるんですけれども,従来は「浸水域を高精度に」というのはなくて,例えば,「津波の波高を推定して,即時に予測する手法の開発が進められている」というようにあったのが,急速に,1週間のうちに開発が済んでいる状態になっております。確かに地震の規模の推定とか断層を推定する能力については格段に開発されて,あるいは地理院の畑中委員が仰るように,「手法が開発された」と書いていいのかもしれませんけれども,津波の浸水域を高精度に推定する手法が開発されたという認識は私は全然持っておりません。もし,そうであれば大変ハッピーで,どのように堤防が壊れるか,水門が開いているか分からないのに,どうやって予測するんだろうかとか,非常に難しい問題をこういうように書かれると大変気になるところなので,手法が開発されて,もう使えるものなのか,まだ途上のものなのかについては書き分けていただくような努力をお願いしたいと思います。
【末廣主査】  よろしいですか。それじゃ,休憩,もう一回仕切り直しで,3時15分までということにいたします。
( 休憩 )
【末廣主査】  それでは,大体部屋に皆さんいらっしゃるようですので,後半の議論の時間に入りたいと思います。
 皆さんの熱心な議論があって,それはとてもよろしいんですけれども,場合によっては5時に終わらないかもしれないので,多少の延長があり得ることをお含みおきください。
 それでは,この後ですけれども,本当は3時ごろから体制の整備の議論をしたかったんですけれども,ロードマップの議論を踏まえて,その展開を見るために,今,皆さんのお手元にロードマップの案3というのが配られていると思いますので,まずそれを賛同いただけるかどうかお諮りして,その後,田村委員からの提案があった,災害誘因予測のところを話して,その後に体制の整備に入りたいと思います。
 それでは,まずロードマップの案3ですけれども,この説明は先ほど平田委員からありましたので,これを今,目の前にして,最初の丸の段階1,2,3,4というものが,これを皆さん納得,今まで議論された案の中ではこれがいいんだということになるかどうかなんですけれども,いかがでしょう。
 読みますかね。森田科学官,読んでください。最初の丸だけでいいです。
【森田科学官】  一言断ってよろしいでしょうか。
 実は,この案,事務局で幾つか考えていた案の一つなのですけど,測地学分科会の火山,及び主査,主査代理から,こういう書き方ではなかなか火山の段階がよく読めないということで,余り好評ではございませんでした。ですから,これを採用するといったときに,今日,火山分野の主査代理が出席されておられないので,ここで決めたら,私としてはちょっと心苦しいところがございます。
 読ませていただきます。
 地震・火山噴火による災害を軽減するためには,災害の原因となる地震・火山噴火を抑止できないことから,次に示す4段階の予測を行い,防災・減殺対策を講じることが基本となる。
 段階1:災害科学の視点から,地震や火山噴火が引き起こす災害がどのようなものになるかを予め(あらかじめ)理解して,定性的に予測する。
 段階2:地震や火山噴火が,どこで,どのくらいの規模,頻度で発生するかを定量的に予測する。
 段階3:自然現象としての地震発生や火山噴火を実時間で把握して,それに伴う地震動や津波,火砕流や降灰,溶岩流などの地震・火山噴火災害誘因の推移を予測する。
 段階4:地震・火山噴火災害の源である自然現象としての地震発生・火山噴火を予測する。
 これらの段階は,必ずしも段階1から段階4へ順次進むわけではないが,概ねこの順序で予測の実現が期待できる。それぞれの段階に応じて,社会の対応策は異なる。さらに,全ての段階の予測は不確実性を含む情報であり,それを有効に利用して防災・減殺に活用する方策も必要である。そのため,全ての段階の予測で,科学技術を進展させることにより精度や確度を向上させる努力を続けることが重要である。本計画は,段階1から段階4の予測全体を,地震・火山噴火災害予知と呼ぶ。
【末廣主査】  どうもありがとうございました。
 それで,この段階4というのが時間依存の予測という意味なんですね。段階4の文章をこれだけ読むと,時間依存なのか,そうでないのかと。
【平田委員】  段階3はリアルタイムハザード予測ですけれども,段階4は本当に未来のことを予測するということです。
【末廣主査】  というようなことは,後ろを読んでいくと分かる仕掛けになっていますが,今,平田委員が,これだとちょっと長過ぎるのではないかという懸念があるのと,それから,本日西村主査代理が欠席であって,いささか火山とは合わないような御意見があったように聞いております。
 ですが,この後,西村主査代理も当然議論に参加してもらうとして,ロードマップを,今は資料1に元々あるもの,それから,資料2-1ですね。それで,この案の3を配るに至った経緯は,皆さんの議論の展開の帰結であって,そういう面は御理解いただいていると思いますが,そういった意味で,ここに書いてある,先ほど平田委員が口で説明したことは,そのとおりだという声がありましたけれども,いざ文章にしてみて,いかがでしょう。
【小泉臨時委員】  今,主査も仰いましたけど,段階1が定性的,段階2が定量的という書き方で,段階3で実時間ということは入っていますけど,時間の概念が1と2で,私は2にもう時間依存が入るかなというふうに理解したんですが,そこら辺のところをもう少し説明して欲しいです。先ほどの説明では,1は時間依存しないもの,2で時間依存するものというような言い方がしてあったように思うので,その時間の概念がが明らかになった方が良いかなと思いました。説明を読んでも,何となく両方入っているように見えないこともないので。
【平田委員】  でも,1は定性的だから,そもそも時間なんか分からないですね。
【小泉臨時委員】  定性的でも時間依存するかもしれないですね。
【平田委員】  いや,でも,それはもっと基礎的なというか,地震とは何か,火山噴火とは何かという問いだから,ここは1も2も時間は依存していない。3と4が時間依存していて,3は現状把握をして,ごく近い未来を――でも,基本的には現状を把握して,次に起こることを予測する。4は本当将来のことを予測するという。
 だから,そういうつもりで書いたんだけど,そういうふうになっていないのは,自分でも分かるので,これはもっとたたいて,はっきりさせる必要はあると思うんですけれども。
【小泉臨時委員】  いや,つまり,3だと,本当に発生したときというふうに読めますよね。
【平田委員】  そうです。
【小泉臨時委員】  でも,我々が観測しているのは,もう圧倒的に地震が発生していないときの観測ですよね。それは例えば2じゃないんですか。それも3なんですか。という感じがしちゃうので,やっぱり時間に関する概念は入れていただいた方が良いかなと思って。
【平田委員】  一応,ちょっと長いですけれども,1は,例えば,災害科学として,複合領域の分野であるということを言って,なぜ地震の発生時,火山が噴火するか,どのような災害が発生するかを定性的に予測するというようなことを言っていて,2は,いわゆる長期評価,地震の場合は,地震発生の長期評価,地震による揺れの予測とか,普通の意味の火山のハザードマップみたいなものが,その成果として表れるような,そういう研究。3は,地震で言えば,緊急地震速報,津波予測みたいなもの。火山については,今までの書き方と少し違うんですけれども,火山噴火については,観測体制が取られているような火山では,地震,地殻変動何とかかんとかの活動によって火山の異常が検知できて,地下のマグマの蓄積や何とかかんとかでと,そういうふうにしたんですね。それで,段階4は,地震・火山噴火災害の源である自然現象としての地震発生・火山噴火を予測する,その災害誘因は将来どういうふうになるかというのを事前に予測するというふうにしているので,これを作っている,議論しているときの心としては,1と2は時間に依存しないハザードで,1は定性的で,段階2は定量的,段階3と4は両方とも時間依存のハザードですけれども,3は,より現状把握にほとんど重きを置いたような手法で,段階4というのは,本当に将来のことを予測するから。
 評判が悪かったのは,火山の段階1,2,3というのが,実は3と4のところをもっと細かく書いてあったのを,ここに大ざっぱにくくってしまって,ここに使っている文章は,今までの地震とか火山が使っている文章をそっくり持ってきただけなので,これをもう少しこなれた短い文章にする必要が。
 一番気になるのは,段階3に,火山のいわゆる異常を発見して予測するというのを入れてしまっていますけれども,ここは火山の方がこれでは大変困るというのであれば,3ではなくて,4にしないといけないかなとは思っています。
【井口臨時委員】  よろしいですか。今の平田委員の言われた62行からあとのところですけれども,西村主査代理が前に書かれたところは,やっぱり段階4のところで進めるところのステップのことを書かれているので,この62から67というのは,段階4に来ないといけないと思います。
 段階3のところは,ここに書いてあるように,例えば,地震とか噴火が発生した後に,実時間でどういうふうに予測するかという話なので,それで言うと,62から67は噴火する前の話なので,これは違うんだろうと思います。ですから,段階4のところで,火山のところでは,西村主査代理が書かれている1,2,3,4の順番に進めてきているというふうに書いていただきたいと思います。
【平田委員】  分かりました。それは私も気になっていたので,もしやっぱりそういうご判断があるんだったら,この62から67は段階4の方に持っていく。そうすると,段階4ばっかりになっちゃうので,それで,結局,多分,火山の方は,これ,もう分解能がなくなっちゃった書き方なので,駄目だと仰ったと思うんですけれども。
【井口臨時委員】  いや,その段階4ばっかりになってしまうというか,段階4が本質的な問題なんですよ,やっぱり。そこのところで,段階4のところをどういうふうに進めていくかということだと思うんですね。
 地震の方でも,段階4が要らないとか,それは不要なものだとは誰も多分思っていなくて,多分,段階4のところを丁寧に進めていかないと,これはやっぱり駄目なんじゃないかなと。今までの地震と火山の予知計画の歴史を考えれば,やっぱり段階4を丁寧に書いていくべきだろうと私は思います。
【末廣主査】  ありがとうございます。歩み寄りの余地があるように聞こえましたが。
【市原専門委員】  私は,井口委員の今のお話と少し違うんですけれど,段階3のところに,避難とかに役立てるということを一切入れなくて,全て段階4に行ってから避難に役立てるという書き方は,必ずしも実用科学という点では遠くなるのではないかと思います。
 今まで噴火予知に成功した例と言われているものでも,物理法則,物理化学過程を解明した上での予測ではなくて,飽くまでも現状把握,現在の状態を把握して,これまでの経験に基づいて噴火が予測できて,避難に成功したと私は捉えているんですが,そういう役の立て方を段階3に入れておくというのはどうでしょうか。
【井口臨時委員】  いやいや,それは,市原委員が言うのは正しいんですが,それは段階4の中の4-1,4-2,4-3のうちのステップの中でやっているということで,要するに,段階3の段階では,飽くまでも地震とか噴火が発生した後に,どういうふうにやっていこうかというストーリーでまとめられているはずなんですね。そうすると,その前の段階でというと,それじゃ,それを地震の方が合わせられるのかという話になってしまうんですよ,結局。
 いや,地震の方が合わせられるというんだったら,私は別に構わないですけれども。ただ,段階3は,地震と噴火が発生した後に,緊急的に一体どういうふうにするかということでまとめられていると思うので,62からあとというのは,段階4に持っていくべきだと思います。
【末廣主査】  ごめんなさい,ちょっとフォローできていないんですけど,市原委員の意見がよく分からなかった。避難というのが?
【市原専門委員】  まず,火山の場合は,マグマが動き出してから爆発が始まるなり,噴火が実際に始まってから災害を起こすような噴火に至るまで時間がありますので,その推移をよく把握することで,避難につなげることができるわけですよね。
 そのときに,これからどんどん大きくなるとか,マグマが上がってくる,その物理化学過程が全て分かっているわけではなくて,状況をよく把握していることと,これまでの噴火の履歴とか系統樹とか,そういうのも役に立てながら経験に基づいて判断をするということも,それなりに役割を果たしていると思うんですね。
 今回の段階1,2,3,4と,今までのいろいろ多少やりとりがあるので,誤解しているところもあるかもしれないんですけれども,私の理解では,段階4というのは,物理化学過程が解明されて,それを予測に役立てるという究極の段階だと理解していまして,ただ,そこに達する前に,どんどん結果を使って,避難に役立てればいいと思いますので,段階3においての避難というのも入れてもいいと思いますし,あと,段階3で,地震の方が言われているものと,火山が考えているものが違うというのはありますけれど,やっぱり津波が発生してから到達する前に予測をして避難に役立てるということと,マグマが動き始めてからメーンの爆発になる前に予測をして避難に役立てるということは,必ずしも大きな差はないと。むしろ火山の方がハードルは高くはなるんですけれど,そこまで問題になるような違いはないとも捉えられるのではないかと。
【末廣主査】  理解した気がします。
 したがって,段階3についても,火山の記述を,今この62から67の書き方でないにしても,推移というのは,多分,火山の人はとても大事に思っていて,例えば,避難したはいいけど,いつ帰るのかというような問題もあろうかと思うので,そういったことは段階3とも言えるのではないかと私には思えますが。
 だから,説明のしぶりは,ちょっと井口委員の点を入れて,62から67は基本的に段階4であろうと。ただ,段階3としても,火山としての基準はでき得るのであろうかと私は聞きましたが。
 そういったことを踏まえて,この段階1,2,3,4という書き方でロードマップを提示するということに関して,もう少し意見をください。
【今給黎臨時委員】  井口委員が仰った62から67が段階4に移るのは,それはそれでいいと思うんですが,今市原委員の方からご提案あったのは,正にこの段階3のところで,リアルタイムで噴火が始まった後の警戒と言いますか,これは正に気象庁の方で,これは橋田委員の方で多分フォローしていただけると思いますが,噴石とか,降灰とか,噴煙とかの予報・警報についてのご検討がされていて,それに伴っての対策といいますか,そういうような防災上の行動というものが当然それにあり得ると思いますので,そういうようなことを,正に緊急地震速報とか津波警報とか,そういうようなものと横並びで,火山についても,そういうようなものがここに書けるのかなというふうに,私は今市原委員からお話があったのを受けてそう思ったんですが。
【井口臨時委員】  いやいや,それは市原委員と今給黎委員の認識が違うところで,今給黎委員が言われることは,私が思っていることと同じです。つまり,噴火発生後に火山灰がどう拡散していって,どういう被害が出るか,あるいは,噴石が出たら,それを緊急的にどうやって礫が落ちてくるとかということに対して警報を出すかということ。それは3でいいんですよ。ただ,市原委員が言われるのは,マグマが動き始めた段階の部分を3のところに入れましょうというところで,それは噴火発生の前だから,私は違うのではないかというふうに話したんですよ。
【末廣主査】  あれ? そう言ったんですか,市原委員は。
【市原専門委員】  そうですね。井口委員の分け方は,噴火発生前と後で段階3,段階4を分けましょうという認識でしたので,私はもしかしてそこの部分を取り違えている可能性があるんですけれど,私はむしろ物理化学法則の理解に基づいた予測と,現状を把握して,あと今までの履歴とかに基づいた予測で,段階3,段階4が分けられると思っていたのは,多分,火山の昔の段階1,2,3の考え方に引きずられている可能性があります。
【加藤主査代理】  地震と火山の対応で誤解があるかもしれないので,ちょっと話をしておきますけれども。この平田委員の案の段階1,2,3,4というのは,資料2-1の地震の方の段階1,2,3,4とほとんど同じなので,多分,理解は同じだと思うので言っておきますけれども,地震の方の段階4については,必ずしも物理化学過程を理解して地震発生の予測をするとは限定していないんだと思います。物理化学過程が分からなくても,何らかの先行過程が見つかって,それで地震の予知,予測ができてしまえば,それももう段階4に入ってしまうんだというふうに理解しています。
 あと,井口委員と市原委員の違いなんですけれども,破壊とか,爆発とか,非常に非線形性が強くて予測が難しいものは,やっぱり段階4に入れた方が素直ではないかという気が私はします。
【末廣主査】  井口委員に助けてほしいんですけど,資料2-1の方で段階1,2,3,4と分けてあるのが,さっき配られた案の3の段階1,2,3,4とは,どういうふうに着目されるんですか。
【井口臨時委員】  私は,この段階1,2,3,4というのが多分よくなくて,地震の方では,はじめ予測1,2,3,4となっていましたよね。むしろ予測1,2,3,4としておいて,つまり,これ,段階1,2,3で,ここのところで順次進むわけではないがと書いてあるんですけれども,そのとおりで,これはそれぞれ別の種類の予測だと。で,予測1,2,3,4にしておいて,予測4の中の段階1,2,3,4が火山の中ではあるんだよという認識なんですけれども,私は。
【末廣主査】  なるほどね。ただ,そうすると,平田委員の説明とちょっとずれてきちゃう。
【井口臨時委員】  いや,僕は全然ずれないと思いますけれども。
【末廣主査】  だから,時間依存しない部分が,例えば,火山噴火の段階1はあるわけですよね。火山噴火災害予知の段階1というのは,時間に依存しない。正に定性予測ですよね。
【井口臨時委員】  平田委員が書かれているのは間違いではないんですよ。これはこのとおりであって,ただ,西村委員が書かれた予測,1は別にしておいて,段階2,3,4というのは,ここのところでいう4番目のところのステップであって,火山の中の段階2,3,4というのは,それぞれのところで時間依存している話なんですよ。
【末廣主査】  分かりました。そういうことであれば,やっぱり火山の方が理解が恐らく進んでいて,ややこしいんだけど,案3の段階4の中身が,火山については段階2,3,4というのがちゃんと記述できるんだということかと私は今聞きましたが,そういった観点でいいんですか。
【平田委員】  はい,いいです。
【末廣主査】  ということで,今のところ,皆さんの方から,いや,このロードマップじゃない,また違う,2-1の方が良いんだという声は聞こえてこないのですが。
【宮澤専門委員】  反対意見ではなくて,案3のロードマップに足りないものとして,次期の計画の5か年で何をするかというのが,ぱっと見たところ書かれていないように思えました。
 それで,資料2-1の方には,例えば,地震に関しては,47行目から53行目に,5か年で何をするか,あと,火山に関しては,89行目からの一番最後の白丸ですけれども,そこに5か年のうち何をするかということが書かれていて,私はこの内容を案3の中にマージすればよいのではないかなと思いました。
【末廣主査】  建設的な提案,ありがとうございます。皆さんうなずいていらっしゃるようですので,じゃ,その方針でいきたいと思います。
 ということで,じゃ,またちょっと作文が宿題になりますけれども,ここのところはこれでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
【橋田臨時委員】  一つだけ,すいません。余り建設的ではないかもしれませんけど。
 先ほど市原委員のお話の中で,火山の記述をごっそりどこかに持っていく持っていかないという議論の中で出てきたように,一遍に持っていかれちゃうと,3の段階でも避難等に十分役に立つでしょうというところが見えなくなってしまうというのは,私もそのとおりだなと思っておりまして,いろいろ考えてみると,段階2,3,4のところで,科学的な意味での段階を書きつつ,防災・減災効果みたいなものを一気に一緒に書こうとするところが,ちょっと誤解を招くというか,混乱を生ずる可能性があるので,ある意味,防災・減災のところは限定的に書きながら,なるべくうまく誤解のない,説得性のあるような書きぶりにするといいのではないかなという印象を持ちました。
【末廣主査】  ありがとうございます。多分,皆さん納得ではないかと思うんですが,よろしいでしょうか。
【井口臨時委員】  いや,今言われた意味がよく分からなくて。段階3のところに62からあとを残すということですか。
【平田委員】  違う,違う。私の理解は,62から67は,今までの火山の段階2なんですよね。火山の段階2だから,これは,ここの新しい段階4に持っていきます。ただし,この段階3というのは,例えば,火山の噴火したのをいち早く察知して,それで,今,火山警戒レベルを出すというのは,この段階3ですよね。ここで言っている。
【藤井委員】  気象庁は前に出す。噴火の前に。
【平田委員】  でも,噴いても出すわけでしょう。
【藤井委員】  噴いても。
【井口臨時委員】  だから,降灰警報ですよ,段階3は。
【平田委員】  それは,ここで,噴火の発生とそれに伴う火砕流や降灰,溶岩流などをするというのは段階3なわけですよね。だから,それに限定するような書き方を62から67はしますので,例えば,観測体制が取られている火山では,何とかかんとかの多項目観測により,今は火山の異常は検知してと書いてありますけれども,噴火を早期に検知するとかなんか,そういうふうにして,これこれこういうふうにしなさいと。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,災害誘因のところについて,田村委員からまとまった御意見を頂きましたので,部会の委員からも分かりにくいという意見もあったわけですけれども,これは,森田科学官,説明可能ですか。
【森田科学官】  修文していた私自身が,災害誘因,災害素因という,その概念そのものがよく理解できなかったというのが最大の問題ではないかと思います。要するに,地震そのものが災害誘因であると,火山噴火が災害誘因そのものであるというような書きぶりが,何か所かありました。それに対して,今朝のメールで丁寧に田村委員から説明があり,必要な箇所については修正されるのが良いのではないかというところが提案されました。一通り読んでみまして,私自身は非常によく納得できましたということです。
 ここに書かれていますように,どこかに災害誘因,災害素因の意味をちゃんと丁寧に説明した方が良いのではないかということなのです。この前の委員会でも同じような意見が出まして,それについては,実は田村委員から,138行目から142行目までの文章を頂いて,これで誘因と素因ということを説明しようと意図しました。これだけでは足りないので,できれば,145行目の前に一つ丸を作って,災害誘因,災害素因という言葉を明確に定義した方が良いかというふうに理解しました。
 以上です。
【末廣主査】  そうすると,138から144を書き直すということですか。じゃなくて,それは残して。
【森田科学官】  ええ。これは残しておいてもいいかとは思うのですが,ここの書きぶりもちょっと工夫はします。田村委員からの指摘は,きっちりどこかで災害誘因と素因というものを説明した方が良いというものでしたので,そうすると,この145行目の前だろうというふうに私は理解しました。
【末廣主査】  それで,田村委員は,災害誘因,素因については,文献を引用するのが適切であろうということで,「自然災害と防災の事典」,京都大学防災研究所のものですが,それを使ったらどうかという提案ですが,今の森田科学官の話は,それをこの145の前に一つの丸として上手に書き込むという提案ですか。
【森田科学官】  はい,そうです。
【末廣主査】  実際,これ,我々も何度も何度も頭の中で誘因,素因を咀嚼(そしゃく)しつつ,段々理解してきた経緯がありますので,なるべく説明をした方が良いことは間違いないと思います。
 今,こういうふうに書きますと見せられませんが,田村委員のメールには,誘因と素因は何で,外力の理解はどうで,防災力の向上とは何ぞやというのを送ってこられているので,今日までに皆さん読めたかどうか分からないんですけれども,それをもし読んでいらっしゃらない方は,近日中に読んでいただいて,これも宿題として,ここのところを説明を丁寧にしたものと読み比べて,それでいいかどうかという判断を仰ぎたいと思います。
 あと,誘因,素因の使い方が,田村委員の御意見で,誘因の安売りか,という言葉は決して使っていませんが,もっときれいに,上手に分けた方がよろしいのではないかという提案で,私は,なるほど,その方が良いかなと思って読みましたが,その点,皆さん,もし時間があって,田村委員の御意見を読めた方は,何か御意見があればお願いします。
【保立専門委員】  一応修文をしてみたんですけれども,136行目ですが,「つまり,自然現象である地震や火山噴火現象を理解することが災害科学の基礎となる」ということが必要だろうと思います。「災害科学の底辺を支える」というふうにありましたけれども,「理解することが災害科学の基礎となる」というように言い切ってしまっていいのではないかと思います。
 そのあとですが,「そして,地震や火山噴火の発生が阻止できない以上,被害の軽減や予防措置においては,社会が災害を予知して備えることが基本となる」というようにすればいいんだろうと思います。つまり,田村委員が付けてくれた実際の文章ですと,「誘因」の理解と「素因」の理解は両方とも必要であるという書き方になっておりますので,片方は底辺を支えるで,片方は基本となるというよりも,ほぼ同等な形で書いておいた方が良いと思います。
 問題はそのあとでして,「更に」とありますが,そこを「その際,地震や火山噴火が引き起こす強震動,津波,火砕流などの諸現象は,災害発生の「誘因」であり,人が暮らす自然・社会環境の脆弱(ぜいじゃく)性こそが災害の「素因」であるという防災学の基本が踏まえられなければならない」というような文章になるのではないかと思います。
 それから,あと必要なのは,142行目ですけれども,そこに「地震・火山噴火の発展段階に応じて災害の推移を予測」とありますが,「予測し,その連鎖を絶つ準備をすることも重要である」というのが,田村委員の提案を受けた修正になるかと思います。
 すいません,ここは田村委員が修文をすれば済む部分かもしれないと思いましたけれども,やはりこれは素因と誘因の理解は正確に,つまり,社会の脆弱(ぜいじゃく)性,vulnerabilityという言葉を入れておいた方が良いと私は思います。
【末廣主査】  正に田村委員の意見を反映させた提案ですが,田村委員にもう一度目を通してもらわなければいけないですけれども,今のような趣旨でここを書き換えると。多分,今のは最小限の修正ですけれども,それにもう少し誤解を生まないように説明するということもあり得るのかと思いますが,そういうふうに変更するということについては,皆さん,よろしいでしょうか。
 では,そのように,田村委員を含めて,進めたいと思います。
 あと,誘因の使いぶりについて,彼女の意見を含めて,皆さんにお諮りしますけれども,田村委員の「新潟大学の田村圭子です。」というホチキスどめの1ページめくってもらって,「田村意見」というのがあります。ここのところをちょっとお読みいただいて,田村委員の意見はもっともだと皆さんが思われるかどうか,ちょっとお諮りしたいと思います。
【森田科学官】  3本目の柱のタイトルも変えたのですよね。それに対しては,もう一度戻せというような意見は,田村先生からは頂いておりません。1回前までは,参考資料5にあるように,災害誘因としての地震・火山現象というものだったのですけれども,更にその1回前に戻して,地震・火山災害誘因の予測のための研究に直しました。これについては,田村委員からは,特に戻せというよりは,そちらを支持するような書きぶりになっております。
【末廣主査】  ということですね。
 田村委員はもう専門の方ですので,そういったところの言葉遣いが変に独り歩きするかしないかというところの感覚はやはりお持ちの方だと思いますので,私としては,彼女の提案というのは反映させるのがよろしいかと思われますけれども。
 だから,具体的にどこをどう改めるかまで含めて,やはり誘因という言葉を本計画から導入して,一体何をどうしようとしているのかということに関して,等身大といいますか,できる範囲のところで意思表明しようということかと私は読みましたが,いかがでしょう。
 【小泉臨時委員】  私も同意見で,田村委員,非常によく読んでいただいて,全体の構成から,この建議を通すためにどういうふうに表現したらいいのかということまで考えていただいて,入れていただいたものだと思います。したがって,田村委員の意見について,私は全面的に賛成しますし,そのとおりにすべきだと思います。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,よろしければ,1時間遅れになりましたけれども,体制の議論に入っていきたいと……。
【井口臨時委員】  もう一回だけ蒸し返させてもらっていいですか。1,2,3の順番なんですけど,私は,平田委員が提案された災害予知へのロードマップというのは,これでいいとは思うんですけれども,このロードマップを読むと,やはりこのロードマップでいくんであれば,これ,段階1,2,3,4でいくんであれば,なぜ1,2,3の順番になってしまうのかというのが,やっぱりもう一回蒸し返されてしまうんですよね。このロードマップはこれでいいと思うんですけれども。
【末廣主査】  どういう理由で蒸し返されるんでしょうか。
【井口臨時委員】  つまり,今の研究計画の1,2というのは,ここでいうところの段階4ですよね。
【平田委員】  いやいや。だから,段階1は,やっぱり理解して定性的に予測するから,理解することが必要なんですよね。それから,段階2でも,地震・火山噴火がどこで,どのくらいの規模,頻度で発生するかを定量的に予測する。だから,これは長期予測ですけれども,これは今の計画の2に対応しています。
【井口臨時委員】  2ですね。
【平田委員】  段階3として,災害誘因の推移を予測する。
【井口臨時委員】  で,4なんですけど。
【平田委員】  だから,4は一番難しくて,最後なんです,やっぱり。
【井口臨時委員】  いや,段階4は4でいいんですけれども。
【平田委員】  だから,やっぱり基本は,理解する。理解して,自然現象としての地震・火山を予測する。それによって,どういう災害が出るかを定量的に予測するという。だから,一応私の頭では,段階1から4と今の1,2,3というのがある程度整合的になるように書いた。完全にパラレルでは,ここではないと思うんだけれども。
 これはどの順番が良いかというのは,いろんな考え方があると思いますけれども,今の考え方は何でそうしたかというと,今までは,ここで言っている四つの柱のうちの1と2しかやっていなかったんだけど,新しく3を加えるという,そういう考えなので,次の5か年になったときには,いよいよ3が本格的にできるようになったから,3を一番その目指すところへ持っていくというのがあるかもしれないけど,やっぱり1と2が我々の身の丈に合ったところで,新しいものとして3を加えましたという,そういう説明で私は説明したいと思っているんですけれども。
 だから,井口委員が言われるように,この目標は,災害予測,ハザードの予測というのがやっぱり重要だということが全体に浸透してきて,参加している人もみんなそういう気分になれば,やはりその順番は変わるかもしれないけど,今のところは,やはりこれが現状に近いのではないかなと思いますが。
【井口臨時委員】  分かりました。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 それでは,今のはしっかり議事録へ残るようにしていただいて,体制の部分について,まず森田科学官から説明をお願いします。
【森田科学官】  体制の部分につきましては,いろいろ意見をいただきましたが,主にローマ数字の3の実施計画について,大きく変わっております。1001行のところからです。
 まず,橋田委員から丁寧な表を作っていただいて,書き足りないと指摘されました。そのため,それぞれ(1),(2),(3),(4)の説明というものを加えました。これで一応形式上は――(6)までですか――全ての項目で,この括弧の下まで,何をするか概要が書かれているという格好に整えました。
 大きく変えたのは,(1)の1022行目からの丸,この部分,それから,1031行目から1038行目までの二つの丸,大きくはそういうもので,あと,表現としまして,大学の研究者にはちょっと使い方が難しいと思いますが,体制を整える,「整備する」というのと,「強化する」,「推し進める」という,その微妙な表現が,行政機関の方には厳密な定義があるようで,なるべくそこは注意したつもりです。まだ十分直っていないところがあるかもしれませんけれど,その点につきましては,ご指摘いただければと思います。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 ここに御尽力いただいた平田委員から,何かそういったものでありますでしょうか。
【平田委員】  大項目1,2,3,4を横断したような研究をすると,最初に書いたわけですけれども,それを実施する体制がやはり必要だと思います。
【森田科学官】  ごめんなさい。それ,実は丸を消したのです。なぜかというと,それは,先ほどのところで書いたから,体制を作るというところを,ここで体制といっても,普通,ここで体制を作るといったら,何とか委員会をつくるとか,何とか検討会を作るというような話になるので,これは実質上,連携を強めて行うということで,今までの研究を進めるのと同じような仕組みで進めるということで,わざわざここで挙げなくてもいいだろうということで,ここから削除しましたが,更にもう一度提案して,入れるべきであるという議論になれば,そういう修正もあるかと思います。
【平田委員】  そうはいっても,1022から1026のところに,一応「研究関連組織との連携も強化する」。組織する推進体制を一層強化するとしか書いていないから,そうか。1から4までを横断するような体制をするというようなことが,そこでもう書いたから十分であるということですね。すいません。では,いいです。
【森田科学官】  議論すべきものは,まず(1)の二つ目の丸,これは前の委員会の案から相当変わっております。
 それから,1031行目,噴火予知連絡会,これまで三つか四つ丸があったものを,1にまとめていただきました。
 それから,1035行目のところは,表現の仕方を変えたと。
 (1)に関しては,以上です。
【末廣主査】  (2)以降は。
【森田科学官】  (2)以降は,大きな変更はないです。
【末廣主査】  分かりました。じゃ,(1)の,特に2番目の,30ページの頭の丸ですね。この文案というか,内容について,いかがでしょうか。
【仲西臨時委員】  メーリングリストでも意見を言ったんですけど,分かりにくいと言われたので,もう一度発言させていただきますが。
 今,平田委員から,1から4を横断している体制を作るというのがこの中に含まれているというようなお話とも関連するんですけれども,ここに「学術的な地震・火山噴火災害研究関連組織」と書いてあるのですが,これでもいいんですけど,先ほどの平田委員のお話もあったんですけれども,もう少し具体的なことをここに書かなくても,実際にこの研究の中で連携はできるのかという不安というか,そういうものを感じていまして。
 実際にメールで私が書いたことは,いろんなこういった関連組織に兼務されている――最近,災害関連の組織が各大学にもできていますけど,そういったところに兼務されている理学部ですとかの方もいらして,そういう方がこの計画の研究実施者にも多数いらっしゃると思います。そういう方ですとか,あとは,うまくここに書き込めないのかもしれないんですけど,いろんな受託ですとか,減災プロジェクトみたいなものにも関わっている研究者がたくさんいらっしゃると思います。既にそういう防災研究の中で連携しているような形というのはあるので,この研究の中で何となく主導的にというか,旗振り役をやって何かするというようなことではなくて,もう既にある,そういったプロジェクトなり,そういった関連組織なりに重複して所属している人が,もっと主体的に関わっていただいて,課題の共有とか成果の共有とかをして,両者の風通しをよくするような動きをするようなことをここに何とか書き込んでいただけないかなということを言いたかったんですけれども,そういうことは難しいんでしょうか。
【末廣主査】  いかがでしょうか。現実に兼務の人がおられるという話で。
【森田科学官】  実際の運営として参加していただくことには何ら支障はなく,ただ,ここで書くべき内容は,研究に参加するというよりは,研究を作り出すために,どういうような組織改革が要るかというようなことなので,こういうような文脈になったのではないかと思います。
【平田委員】  今仲西委員が言われたことは,29ページの1019行目からの文章で一応読めると思うんですね。「地震・火山防災行政,防災研究全体の中で本計画がどのように貢献すべきかを十分に踏まえた上で実施計画を立案する」。これ,主語がないんですけれども,主語は,実は,実施計画と言っているのは,さっきから言っている,この建議をする研究内容を具体的にどう実施するかというのを,実施主体が提案して,基本的には地震火山部会と測地学分科会が決めるわけですね,毎年度。だから,そこが,例えば,地震本部のいろいろな施策の中で行われている受託研究でやっているものとの整合性を調整する,整合性を留意するということがあるかなと思います。
 それと,さっきちょっと見落としたんですけれども,実は,原文のままで1027行目の「地震火山部会は」というところで始まる地震火山部会の任務が,各年次の計画立案,進捗の把握,取りまとめということになっているわけで,ここのパラグラフの中に項目間を横断したような,「実施計画の立案に留意する」とか,そういうことを少し書けるかなと思うんですけれども。特に反対がなければ,ここを,さっき1,2,3を横断したような課題も推進するというのに対応した体制のところを書けるかなと思いますが,いかがでしょうか。
【末廣主査】  今の平田委員の発言は,仲西委員のお話については,1019から1021で対応できているだろうということと,その前に平田委員が言われた,消えちゃった丸はどうなるのということについては,1027から1030のところに1行入れればいいのではないかという二つの話だと思いましたが。森田科学官,その辺の感触はいかがですか。項目間を横断した連携に留意するというのは。
【森田科学官】  これを地震火山部会で方針としてそういうふうな考えを持つということは,別に何ら問題ないというか,それは推奨すべきことだろうと思います。
 組織を新に作ることは,大変なことらしいので,そこは非常に注意しなければいけないということを教えていただきました。
【末廣主査】  それでは,やっぱり1022から1026で何を言わんとしているか,もう少し時間を取りたいと思いますが,ここの書きぶりに関して,何か意見のある方,いらっしゃいますか。
【仲西臨時委員】  すいません,もう一回いいですか。
【末廣主査】  今のところですか。1022から。
【仲西臨時委員】  1022のところ。私はそもそも1022のところからについて言ったんですけど,1019までに受託研究のことが書いてあるのは分かるんですけれども,その受託研究を実際に実施しているところが,この1022から書いてある研究関連組織ではないかと思うんです。ですので,ここには,連携も強化すると言って,この計画でそういった体制を推進したり,強化すると言っているように読めたんですけれども,もう既にその受託研究で連携しているような体制を利用するというか,そういうことも書いていただけるといいのかなと思いました。
【末廣主査】  どうして1022から1026があるのかということがポイントだと思うんですが,これを説明できる人はいます?
【森田科学官】  これは,基本的に,これまでずっと議論してきましたように,災害科学の一部としてこの研究計画を実施するといった場合は,今までこの研究計画で参加してきた以外の研究分野の方々を計画の中に参加していただかなければいけない,そういう仕組みを作らなければいけないということを書いてあるわけです。その最初のスタート点というか,それを作るのは,今現在大学にある地震・火山噴火予知研究協議会というものが多分母体になるんでしょうけれども,そこのメンバーでないような方々,研究の分野の方々にも入っていただかなければいけないと。こういったものをどういうふうに改革するかについては,今具体的な案が出ているわけではないので,検討するというような書き方になっております。
【末廣主査】  ということだそうでありまして,ですから,これがなかなか書くのは書けても,実現は難しいのかもしれない,一つのチャレンジ目標でもあると思うんですが。ですから,そういう趣旨で書かれているので,仲西委員のとはちょっと趣旨が違うと思うんですね。
 戻って,1022から26の今の森田科学官の説明について,皆さん,そうだ,そうだ,大体そういう流れで来てはいるんですけれども,そこをこういうふうに書くということで,皆さん,御納得でしょうか。
【橋田臨時委員】  ちょっとよろしいですか,もう一度確認させていただきたいんですけれども。
 先ほどの森田科学官のお話をもう一度確認して,この1022の最初の文章の「地震・火山噴火災害研究関連組織」というのは,具体的にはどういうものを想定されているのかということを確認させていただいて,どうもそうであるならば――すいません,まだ答えを聞いていないのになんですけど,何か唐突,多分,第2センテンスの方に持ってくる方が流れるんじゃないかという気も私自身はしてはおります。
【森田科学官】  この実態は,「学術的な」と書いてあるように,防災学,工学,人文・社会科学の研究者の集団という意味で書いてあるわけです。ですから,第2センテンスに持っていった方が良いというのは,その方が誤解がなければ,そうするのもいいかと思います。
【末廣主査】  確かに,私なんかが読むと,何を言っているんだろうと,何を指しているんだろうと思っちゃいますよね。そこをもう少し分かるように直せるものなら,私も直していただきたいと思います。
【平田委員】  科学官は,立場上,そこまでしか言えないと思いますが,私は一委員として申し上げるなら,まず,この計画は学術の研究計画という側面が一つあります。同時に,普通の学術と違うのは,社会の要請に応えるとか,政策目標をどういうふうに取り入れるかということを意識して計画をしなければいけないというのは,最初の方にわざわざ書いたことです。ということは,学術だけではないということなんですが。
 学術としてのこの関連組織が今あるのは,この下の方にどこかに書いてありますけれども,地震・火山の共同利用・共同研究拠点である地震研究所と,それから,防災科学の共同利用・共同研究拠点である防災研が,まず二つの大きなプレーヤーです。それから,今後,歴史学であるとか,その他の人文・社会系の学術の団体,あるいは,それを組織しようとしているグループがありまして,順番が逆になっちゃいましたけれども,防災関連の工学の組織,それは防災研の中にもそういう研究者がいますから,そういうところが中心になる。
 もう一つ重要なのは,そこに関連している業務官庁,具体的に言うと,気象庁,国土地理院,海上保安庁等,もうちょっとあるかもしれませんけど,そういった方のうちの研究をしている部分との連携を作っていく。それの実態的な組織は,今はないです。ないので,これを,その抜本的な改革を目指した設計を本計画の期間中に検討するというのは,かなり持って回った言い方ですけれども,少なくとも4月からは無理だけれども,4月から走りながら,そういった関連の人たちと研究連絡組織を作っていくと。できれば,そこに行政の関連の人たちも入ったようなものができることが,私は個人的には望ましいと思いますけれども,それは検討した結果としてどういうものができるかというのがあると思います。
 ですから,これは地震火山部会そのものの組織では,それの下請機関とか傘下の機関ではなくて,飽くまでこの計画を支える学術の組織の関連組織を作る検討をしなさいよというのが,ここの文章だと読みました。科学官,いかがでしょうか。
【森田科学官】  はい,そのとおりで。
【末廣主査】  ですから,来年の4月1日に何かが始まるというわけには,準備がまだできていないと。しかしながら,抜本的改革を目指した設計を検討するという意思表示が,この文案として提示されているということであります。そこの内容を,今,平田委員から説明がありました。
 それを含めて,この体制について意見を改めてお伺いします。
【関口臨時委員】  瑣末(さまつ)的なことなんですが,「設計を,本計画の期間中に検討する」と。この下に省は書かなくても大丈夫なんですか。誰がやるかというのは自明なんですか。
【平田委員】  関係者が。
【小泉臨時委員】  そうしたら,書かない方が良いんじゃないですか。
【関口臨時委員】  書かない。
【小泉臨時委員】  関係者,誰ですかと言われたとき。
【末廣主査】  目標をシェアする人たちがオールジャパン的に議論できるようにしましょうという,大上段で言うと,そういうような。ただ,それを実現するのは,いろいろあって,そういったことを一つ一つ解決しながら進まなければいけないということでしょうかね。
【今給黎臨時委員】  ちょっといいですか。今の1019行からのところと,22行からのところをずっと議論していたんですけど,27行からのところ,コメントというか,意見を言ってよろしいですか。これはかねてから言っていて,ちょっと勇み足もあって,森田科学官にちょっとたしなめられたところもありますが,要するに,地震本部との関係性というのは結構重要で,今回割と意識してちゃんと書いたということを思って,1027行からのところは,地震火山部会が,いわゆる次期計画のところでコントロールをして,それで計画進捗,成果について地震本部と情報交換する。で,地震調査研究計画全体と整合性を確認するという。このことを明示的に書いたというのは,私は非常に大きな進歩ではないかと思います。
 更に言うと,この手前の1019行目のところに,地震本部の策定する「総合的かつ基本的な施策」との整合性にも留意するということを,一番最初のこの丸のところに書いたというのも,非常に重要なことだと思うので,やはりこれを今度はちゃんと実効性があるものとして担保するために,27行目からのものが書かれたということで,これは是非やるべきだと。
 ただし,これはこちら側の立場としてこう言って,言いっ放しにならないように,次は相手方の方の受けとめていただけるように,今度は関係者,両方に関わっている方もいるので,それは努力していくべきだろうなというのが私の意見でございます。
【平田委員】  そこまで言っていただいたんで,やっぱり事務局はこれで本当にいいかというのを確認したいんですけれども。いろいろ文章は修文していただいたので,ここまでだったら大丈夫だという線だと私は理解したんですけど。だから,これは単なる作文ではなくて,これを実際に実施できる,体制というと困るな,実行上のことが今後あると思うんですけれども。だから,事務局は同じなわけですよね。地震本部と測地学分科会は。ですけれども,ここに書いたということは,今,今給黎委員が言われたように,例えば,確認をするとか,そういうことがちゃんと行われるということを意識して,事務局はこの文章を作られたと思うんですけれども,いかがでしょうか。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  すみません,まず1点確認,つまらないところなんですけれど。
 1029行目に,成果について地震本部と情報交換し,地震調査研究計画全体との整合性確認と書いてあるんですけれども,地震調査研究計画って,どれを――こういう固有名詞のものはなかなかないと思うんですけれども,これは,1021だと,「総合的かつ基本的な施策」とのという言い方をしていて,要するに,今でいうところの新総合基本施策を意識するということで書いてあると思うんですけれども,それのことだと思えばいいですか。
【平田委員】  そうです。これは変えた方が良いですね。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  なるほど。
 具体的に,情報交換ぐらいであれば,多分,お互いの例えば主査なり,相互に政策委員会とか,こちらの部会とかに出ていただいて,それぞれの検討の趣旨とか,目的とか,どういうふうに取り組むべきというような御意見を頂いて,意思を疎通した上で,それぞれの検討を進めるというのは一つ考えられるかなと思うんですけれども,それ以上のところで何か具体的にイメージ,私自身は今取り切れていないところはあるんですけれども,そういったようなものを今想定されているんですか。
 あとは,一つ上の推進体制の抜本改革というのも,先ほどの主語の関係者って誰かというところで,実は,言ってしまうと,私,協議会中核として,それを拡充するような何かを考えておられるのかなという感じも持っていたんですけれど,そのあたり,もしイメージに齟齬(そご)があると,今後絵に描いた餅みたいな話になりかねないかなというのは,若干気になるところであります。
【平田委員】  その1022行目で,さっきちょっとぼかしましたけど,実際には,地震・火山噴火予知研究協議会が,自らの努力によって,自分の体制をある程度改革するべきだと私は思います。私は予知協の代表として言っているわけではないですけれども,関係者として働きかけたいと思います。
 ただ,大学の地震・火山噴火予知研究協議会というのは,基本的には大学の中の組織ですから,それには限界があるので,ある段階で,それを含んだような大きな組織を作る必要はあると思います。それは,前の議論のところではちょっと別な言い方で書かれているものもありましたけれども,そこまで具体的には今は書けませんけれども,基本的には予知協の機能を拡充する方向で進んでいけたらと思います。これが私の具体的なイメージです。
 それから,1027行目の地震火山部会と地震本部との関係については,ここでわざと書いたのは,例えば,今,地震本部との連携というのは,総合部会で大学の概算要求についての報告はありますけれども,今議論しているような内容についての御意見を頂くときに,例えば,総合部会でもいいし,調査観測計画部会でもいいですが,そういうところに対する意見照会をやはり公式にして,そこからの意見を頂くというようなことを,少なくとも作っているときでもやる必要があるし,それから,毎年の成果の報告についても,地震部会のしかるべきところで地震火山部会から報告をさせていただいて,それについての御意見を頂くと。そういうプロセスがやっぱり公式に必要かなと思います。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  大体イメージは分かりました。
 新総合基本施策に,今手元にないので,正確なものは分からないですけれども,特に予知の部分なんかは,こういった場の御議論というのは尊重するというようなことにもなっているので,今言ったように,情報交換とか,それぞれの検討の前提として,お互いにやりとりを持って,風通しをよくするというのは分かりましたので,ありがとうございます。
【平田委員】  それで,補足ですけど,その中で,多分,仲西委員が言われているように,社会との連携とかいうことについては,当然,地震本部の施策の中で強調されていますから,そういった成果を還元するようなこともできると思いますし,それから,研究計画そのものについても,地震本部でやられているいろいろな研究と,ここで計画されているものとの役割分担とか整合性なんかということも議論になってきます。
 今までは委員が,両方に属している人がたくさんいますから,実態的にはそれほど乖離(かいり)はしていないと思いますけど,組織として,そういう連携は図られていませんでしたけれども,そこは,ここにこういうふうに書いた以上は,実際にやっていくべきだと思います。
 今給黎委員,そういうことでよろしいでしょうか。
【今給黎臨時委員】  実際に情報が流通していたというのは今までもあったんですけれども,正に今平田委員から話があったように,手順としてそういうものがあるかどうかというのが結構重要なんですね。ですから,コメントを,こういうような,こちら側の研究計画の方で,こういうような手順で進んで,ここまでやっていますというようなことについて,地震本部の方での委員会や,部会や,そういうところでまた見た――正に意見照会って,具体的にそういうような言葉も今ありましたけれども,そういうようなものがあって,それがちゃんと記録に残って反映されるという,そういうようなプロセスというのがもしもちゃんと実現するようになれば,それは非常に意味があることだと私は思います。
【末廣主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,3の計画の実施内容,今,体制の中で,特に変えたところを議論いただきましたけれども,それ以外のところを,この体制のことでも,それ以降のところ,順番に行きますか。まず29ページからの,研究を推進するための体制の整備の(1)を,変更の大きいところを議論いただきましたが,その後に,余り変わっていないという(2),(3),(4),(5),(6)に関してはいかがでしょう。
【橋田臨時委員】  ちょっとよろしいですか。すいません,いつも遅くなってしまうんですけれども。
 先ほど議論しました1022から1026のパラグラフなんですけれども,平田部会長や,いろんな立場からいって,この最後のセンテンスをこういうように回りくどい形で書かれるというのは,気持ちとして大変よく分かるのではありますけれども,感想のようなことですけれど,これは弱いですねということです。
 一方で,明確に書けとも私も言えないのですけれども,これだったら,やるのかやらないのか分からない。やらなくてもいいのかという,そういうように印象を受けますね。その程度のものなんでしょうかということで。強い決意はすごく感じるので,「本計画の期間中に何々の抜本的改革を目指す。」ぐらいで終わらないと,意思が伝わらない。本計画に対して,いろんなステークホルダーといいますか,いろんな方がいらっしゃると思うんですけど,本当にやる気あるのと思われないためには,ある程度そういう書きぶりにしないと弱いんじゃないかなという印象は受けますね。
 できないので書けないというんだったら書かない方が良いし,やる意思があるんだったら,「を目指す。」ぐらいにした方が,私は改革の趣旨は伝わるのではないかというように思います。
【末廣主査】  現行案では弱いということで,ちょっとニュアンスは私にはよく分かりませんが,もう少しストレートに表現したらどうかという提案ですが,ここは一重に皆さんが目を輝かすかどうかなんですが。研究推進体制の抜本的改革を本計画の期間中に設計する?
【加藤主査代理】  大学に関しては約束できますけれども,大学以外の機関に関しては,本当にここにいる皆様の意思によるんだと思いますけれども。
【末廣主査】  じゃ,もうちょっと意見を伺いましょうか。もう橋田委員は生ぬるいという。
【橋田臨時委員】  すいません。結局,玉虫色の書きぶりをしているというか,具体的にどういうイメージかという,この制度設計を今しないで,次の計画というか,2014年度からの中に先送りしているんですけれども。なので,設計ができていないので,どうしようもないんですけれども,とにかく設計を検討すればいいわけですから,今の書きぶりは。次の5年間で設計を検討すればいいという,これは悠長ですねと。
 私自身も,こちらに書いてくれ,ヘビーなものもあるかもしれないと思うと,とっても怖いので,なのに,こんな発言をするのも変ですけれども。もう少しこの設計の骨格のようなものを共有していただけるならば,今度は立場としては,組織を代表しているような立場でもあるんですけれども,そこがどうも見えないので,何と反応すればいいか悩んでいるところではあるんですけれども。ただ,何となく協議体のようなお話なので,余り組織というほどでもないんじゃないかなと,私なんか勝手に捉えているんですね。
 先ほど澄川補佐が,イメージを合わせたいという話を,正にこの件についてもある程度イメージを合わせておかないと,書けないんじゃないかなという気もしております。この程度なら,やる気があるのか……。同じですね。すいません,以上です。
【末廣主査】  いかがですかね。平田委員。
【平田委員】  これは私の個人の意見ですので,違う意見はあると思いますが,これまでこの現行の観測研究計画及びその前の計画,1995年の阪神・淡路大震災の後の,いわゆる地震の新計画の中で,大学の実施体制は大幅に組織強化をしてきました。それで,地震研究所が共同利用・共同研究拠点になって,その大きな使命の一つとして,この建議に基づく研究計画を実施するということに大きな力を注ぎまして,その実体は,当時は地震予知研究協議会,今は地震・火山噴火予知研究協議会という組織を作りました。これは大学のコンソーシアムというか,大学のいろいろな機関の方が,地震研究所の中の委員会に参加していただいているというだけではなくて,地震研究所の一つのセンターが,この協議会の実質的な事務局を構成するような教員を配置して,実施してきました。阪神・淡路の後の第1次の新計画の中では,大学がその予知協議会の体制を作って,第2次の新計画の中では,いわゆる観測研究推進委員会というのが地震火山部会の下にできたわけですけれども,それの実質的な事務局も行ってきました。
 そういう準備をした段階で,現在では観測研究推進委員会はなくなってしまいましたので,地震火山部会がこのヘッドクォーターの役をするもの,実行部隊としては地震・火山研究協議会というのがあるところです。ただし,これは地震と火山の研究が主体でございますので,これまでは歴史学や人文・社会科学は入っていなかったので,まずすぐできることは,防災研究の拠点である京大防災研の自然災害研究協議会との組織的な連携ということは割とすぐにできます。現在でも,行政機関の方には,予知協議会のアドバイザリー委員という形で,気象庁,地理院,あと研究開発法人の方にも参加していただいていますけれども,そこをもう少しきちんとした形で組織化するということが非常に重要なことだと私は思います。
 ですので,これは単なるボランタリーの協議会ではなくて,共同利用・共同研究拠点の機能として組織的に推進しているところですから,やはりここの建議の中にこれだけのことを書くのは,橋田委員が仰っているとおり,「期間中に検討する」というのは弱いと私は思いますので,少なくとも「抜本的な改革を目指した制度設計をする」とか,「制度設計を目指す」とかぐらい,もうちょっと言い切った形にして,関係機関と協議を開始したいと思います。
 ただし,これは私の個人的な意見ですので,ここには予知協議会の関連の委員もいますので,もし意見が違えば,やはりここで一定の情報交換をして,意見の共有が図られる方が良いと思いますので,御発言願います。
【末廣主査】  この「抜本的」というのは,何か特段の意味があるんですか。
【平田委員】  はい。だから,一番の抜本は,今は大学の協議会なんですね。ですけれども,これは,大学の,しかも理系の協議会ですけれども,そこに工学,社会科学,歴史学等も入れるということと,それから,組織として,まず研究開発法人との連携をどうするかということと,それから,防災業務官庁との関係をどうするかということが,やはり抜本的なこと。そうすると,もう大学の中の組織というのでは,多分,うまく組織論としていかなくなるので,いずれはそれらを連携した,一度御提案しましたけれども,大学の外の機構であるとか連絡協議会的なものを検討しなければいけないんだろうと思います。ただ,それはまだコンセンサスはできていませんから,正に4月からは走りながら考えていって,次の段階で,少なくとも次の5か年の中ではそういった組織ができていくということが目指しているところです。
【末廣主査】  ありがとうございます。分かりました。
 そうしますと,まず橋田委員の御意見は,これじゃ,やるのかやらないのかはっきりしないということで,どっちかにはっきりしなさいということかと思いました。それで,平田委員は,是非ともこれを積極的に書き込む,今ここにある表現よりも,もうちょっと明快にしてほしいということだと思いますが,今のところ,そうすると,平田委員に積極的に賛成の意見はまだもらっていないことになりますが,いかがでしょう。
【宮澤専門委員】  かなり抽象的な表現のままで,私は最初いいのかなと思って,今,平田委員の説明をいろいろ聞いていたんですけれども。実は1035行目から,先ほどから議論になっている,大学の拠点間連携の話が出ております。最初にある地震・火山科学の共同利用・共同研究拠点は,当然,東京大学地震研究所のことで,そのあとの,ちょっとこれは間違っていますけれども,自然災害に関する総合防災学の共同利用・共同研究拠点が京都大学防災研究所のことです。実際に我々の京大防災研究所と地震研究所の方では,拠点間連携を図って,共同研究を推進しようという話は出ております。それと,今の1022行目から出ていました,地震・火山噴火予知研究協議会の組織改革といったものの関連性というのは,私の中で全く違うものだと思っていたんですが,今のお話ですと,そういったものもひょっとして含まれているのではないのかなと聞こえたんですが,少し確認したいんですが。
【平田委員】  そうです。ただ,順番というか,この位置をもう少し近づけた方が良いと思って。
【宮澤専門委員】  でも,そうすると,1035行目の方が,もうかなり明確にここでは書かれているわけですよね。
【平田委員】  それは二人だけの話だから,合意がかなりできているので,割と具体的に書けると。
【宮澤専門委員】  京大防災研究所の者として申し上げますけれども,東京大学地震研究所と,つまり,地震・火山の拠点と我々の総合防災学の共同利用・共同研究拠点との間の拠点間連携というものに関しては,恐らく合意はできるんだろうと思いますけれども,それ以外にコミュニティを広げていったときに,先ほど平田委員が,これからコンセンサスをとっていくような話がありましたが,果たしてコミュニティ全体の合意が得られていくのかとなると,やはり1022行目のところは,検討するのが精いっぱいなのではないのかなと思います。これは防災研の者として言うのと,委員個人としての両方なんですけれども。すいません,感想のようなものです。
【末廣主査】  分かりました。
 というわけで,平田委員の味方はまだ現われていない。
【小泉臨時委員】  よろしいですか。
 すいません,今の宮澤委員の意見,分からなかったんですけど。京大防災研としても,協力することは約束しかねるという話ですか,今の話は。大学なら大丈夫だという話が加藤委員の話でしたけれども,宮澤委員は,京大防災研としても,地震研と一緒にやるということに関して,必ずしも一致できない部分があり得るという話ですか,今の話は。
【宮澤専門委員】  いや,そうではなくて,実際に一緒に,例えば,1035行目から38行目に書いてあるようなことに関してはやると言っていますけれども,我々も拠点ですので,共同利用・共同研究拠点委員会というものがありまして,そこできちんと,いわゆるコミュニティの代表者が出ていまして,それは外部の人ですけれども,実はそういった方々の合意が得られていない限り,拠点間連携というのは,拠点に関する大きな運営を決めるところですので,それが実際できていない状態なんです,今現在。なので,それにも関わらず,かなりここでは思い切ったことを私は書いていると思いますけれども。実際に組織の話ですけれども,大学の中の拠点研究の重要事項を決定する委員会,外部委員が入っている中できちんと合意を得られないと,本当は書けないという裏があります。
【末廣主査】  何事もステップはあるので,それはそういうことだと思うんですが。
 もう一回,1025,6行目の文章をもっと明確にするべきだと思うかどうか。もうこれは,私のような立場の者から見ると,どういう外部評価をされたのか,世間がどう見たのか,社会がこの計画をどう見ているのか,ここでこういうことをやらないでいるということがあり得るのかという見方もあろうかと思うんですが,それでもやっぱりいろいろあるので,「検討する」が精いっぱいだということなんでしょうか。
【小泉臨時委員】  私は強く書くべきだと思います。つまり,これだけ外部から言われているわけですから,制度設計をするぐらいは,書かないといけないでしょう。つまり,体制の抜本的改革をしろと書かれているわけですよね。ですから,それは「する」と書くべきだと私は思いますし,平田委員に賛成します。
【藤井委員】  ここの文章,体制の抜本的改革というのは,測地学分科会の上部機構である科学技術・学術審議会の,震災以降の科学技術の進め方の中ではっきり書かれているんですね。地震の調査研究に関しては,研究手法も,研究体制も抜本的改革を図るべきである。これまでのような小さなムラというところがどこかで書かれていたと思いますが,ムラ社会の中でだけやるのではなくて,もっと広い部分でやれるように体制を変えるべきであるというふうに書かれていて,それに応えるための文章です。本来ならば,もっと強く書くべきですけれども,そういう地盤が整っていないので,多分こういう形になっていると思いますが,可能ならばもう少し強く書かないと,これを総会に持っていったときに,果たしてこれで抜本的改革を図ったことになるのかといって責められる可能性は残されていると思います。
【末廣主査】  ありがとうございました。非常に穏やかに言っていただきましたが。
【今給黎臨時委員】  書き方はどうであれ,でき上がったものがどうなるかということで考えてみると,前回,この予知研究連絡協議会というような仮称で,確かこのあたりで一回その作文が出てきて,それで議論したときに,私は最初に見たときに,ものすごく強力なものを作ろうとしているのかと思って,ある意味びっくりして,ある意味すごい覚悟だと思ったのが,前回お話を聞いて,その程度のものから始めるのかという,何か拍子抜けだという発言をした記憶があるんですが。
 今の御説明でも,要するに,関連分野は広げていく――関連分野は,組織的にいわゆる大学だけではなくて,行政から研究独法等を正式なメンバーとして加えるというところはあるにしても,まずはこの立ち上がるものについては,推進体制としては,正に連絡協議会というものであるならば,私は,そういうものを立ち上げることは少なくとも可能なのではないかなという気はするんですね。ですから,あとはそれがどれだけ機能するかということについては,まさにこの5年間の中で足場がどれぐらい固められるか,それから,影響力をどれだけ広げられるかというところが勝負なのではないかと思いますので,少なくとも書くところについては,少なくとも設計をするというようなくらいの書き方はしても可能なのではないかと,そういう印象を持ちました。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,今,私が皆様からの御発言を聞いて思うのは,先ほども言いましたけれども,中核とする研究推進体制の抜本的改革を目指した設計をすると。ちょっと変な日本語かもしれない。とにかく設計をするんだという言い方に変えることを提案しますが,いかがでしょう。
【平田委員】  賛成。
【末廣主査】  それは分かっている。頑張ってください。
 ほかにいかがでしょう。今の(1)を離れて。
 森田科学官,(2)以降は,前回皆さんがお目通ししたのと変わっていない?
【森田科学官】  (2)に関しては,また橋田委員に怒られるかもしれませんけど,ちょっと短縮したというところがあります。まだちょっと短縮しきれないところがあるかと思うのですけれど,少し整理した方が良いのかなという気はしておりますが,ということです。
 それから,あと,先ほどほとんど変更がないと言いましたが,前回の委員会で,確か今の5番目と4番目ですか,教育と社会との関連というのを分けた方が良いということで,これを二つに分けて書くようにしました。
【井口臨時委員】  細かいところで申し訳ないんですけど,34ページの1194行目のところで,大学はどうのこうのと書いてあって,94,「火山現象の科学的知見や」,これはいいんですけど,「監視体制,予測情報の現状を分かりやすく伝えるため」という,これ,監視体制,予測情報の現状を分かりやすく伝えるのは気象庁の役目なんで,何で大学のところへ入っているのかというのがちょっと分からなくて。
【末廣主査】  これは,確かに。
【森田科学官】  「大学及び気象庁は」でいいですか。
【橋田臨時委員】  それ,誘ってくれているんですか。
【森田科学官】  ごめんなさい,書き落としたかもしれないって,余り自信がないのです。
【橋田臨時委員】  気象庁は出した覚えがないので,きっと大学が出されたんだと思うんですけれども。乗っかることはやぶさかではないんですが。
 ちょっと同じようなことで嫌だなと思ったのは,次のパラグラフで,「噴火予知連は,分かりやすく発信するとともに……向けた技術的検討を行う」。このとおりのことをやるんですけれども,タイトルとして,「社会との共通理解の醸成と災害教育」というのが立っちゃったもので,この「噴火警報,火山情報の質の向上に向けた,技術的検討を行う」というのが全然合わなくなっちゃったので,何とか後で,今すぐ思い付かないので,ここを消すかなんかにすることとしたいと思います。
火山学の成果とか,社会に分かりやすく発信するなどというのは,大学,気象庁に限定せず,関係する機関がいろいろやっていただければいいので,1193については,「大学は」とか「気象庁は」と個別に書かなくても,それぞれ関係するところはやれるように書けばよろしいのではないかと。やっと最初の質問に対して答えたんですけど,そう思います。
【末廣主査】  ありがとうございました。
【森田科学官】  ごめんなさい,ちょっと言い訳です。
 どういうふうに変更したか思い出しました。前の参考資料5で,一番最初の(1),ア,イ,ウと分けてありましたよね。ア,計画の立案,進捗,取りまとめ,イ,関連組織の関係の明確化,ウ,研究成果の利活用,このウを実はこの(5)に持ってきたというのが実態で,そこの吟味が少し甘かったというのが実態だと思いますので,修正いただければ,そのとおり修正したいと思います。
【末廣主査】  お願いします。
【今給黎臨時委員】  今,火山噴火予知連の話が出たんですけど,地震予知連のほうの話なんですが,実は前のバージョンでは,地震予知連は,推進体制の整備のところと,それから,これは(5)に当たるところのアウトリーチのところに入れていただいていて,それは確か(4)のところのいわゆる中項目,小項目のところの関係があって,両方に関連するからということで入れてあって。今回整理されて,前の方が消えて,アウトリーチの方だけ残していただいているんですよね。
 これはちょっと確認なんですが,要するに,地震予知連絡会というのは,地震予知連のプロパーの人がいて,それで何かやっているのではなくて,検討内容とか,そういうことに関しては,実際はいわゆるコミュニティの皆さんが連携していろいろと検討して,情報を持ち寄って交換してというようなところから始まって,そこで得られた共通認識とか,現在の予知・予測に関するいわゆる等身大の知見をお伝えするというところへつながってくるんで,ここでこういうふうに整理されたのは構わないんですけど,いわゆる個票の段階では,関連の項目というところで,そちらのいわゆる連携の方とか体制の整備の方に入れておいても,それは構わないんですよね。それだけ確認です。
【森田科学官】  私は,この前の前回の委員会の参考資料5の,確かにイのところで,「地震予知連絡会は」という記述はありました。これは今でもここの(1)のところに残っていますよね。
【今給黎臨時委員】  (1)の?
【森田科学官】  なくなっていますね。ごめんなさい。これ,残したつもりが,火山噴火予知連の前に,「地震予知連絡会は」というのを残すつもりでございました。
【今給黎臨時委員】  じゃ,それは,アの方が一応元々の意図だったわけですね。それなら,それで結構でございます。いや,消えたので,それは,同じことしか書いていなかったので,実は,どっちかにまとめろという意味でそうされたのかなと思ったんですが。
【森田科学官】  ごめんなさい。前の資料の1014から16は,実は1030のあとに3行入れて,前の資料の1038行から1041行を,今の(5)のところに入れたつもりでございました。どうもすいません。
【今給黎臨時委員】  じゃ,それでお願いします。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 3全体でいかがでしょう。どうぞ。
【仲西臨時委員】  すいません,これもメーリングリストでちょっとだけコメントしたんですけど,(4)のタイトルで,研究者・技術者・防災専門家教育というのの「防災」という言葉がいつから付いたかちょっと忘れちゃったんですけれども,これは皆さんで,この方がいいということになったんでしたっけ。というか,私はちょっと,これ,言い過ぎかなと思ったので,気になりました。
 あと,(5)の,これは言い過ぎというほどでもないのかもしれないんですけど,この災害教育という「災害」というのがいつからか。ただの「教育」だったと思っていたんですけど,いつからか「災害」という言葉が入っていたような気がして,ちょっと気になったんですけど,これは別にそのままでよろしいんでしょうか。
【末廣主査】  最初の方の防災専門家というのが言い過ぎというのは,どういう意味なんでしょうか。
【仲西臨時委員】  言い過ぎというのは,防災専門家を教育できるというか,するんでしょうかということです。この計画の中で。
【末廣主査】  防災専門家に防災を教育するわけではないんだろうと思いますが。これ,何か入れるべきだという意見はありましたよね。具体的に防災専門家に接触してこういうことをやるということがあるから,ここに書かれたんだと思いますが。
【平田委員】  1177の丸がこの実体で,「地震・火山の専門教育を受けたものが防災行政に携わるために,複数の教育・業務機関が連携し,観測研究を生かした教育活動を継続して,若手研究者・技術者を育成する」,これが結果的に防災専門家になる,そういうような防災専門家が地震・火山の専門教育を受ける必要があるという,そういう必要があったので,このタイトルも防災専門家になったわけですね。
 ただ,ちょっと平仄(ひょうそく)が合っていないという気はするから,ここの1177にもうちょっと「防災専門家を育成する」とかいうような文章を入れる必要があるかもしれません。
【末廣主査】  ここのところは,橋田委員も何か意見があったような気がしますが。
【橋田臨時委員】  じゃ,御指名なので。
 この(4)の前文といいますか,1168から1172までの文章と,今,平田委員等が仰っていた○やこのタイトルは,どうも合っていないんです。元々私,田村委員ともお話をして,例えば,人材育成を行う必要があるという中に,1170には,「さらに,地震・火山の専門教育を受けたものが防災・科学技術にかかる行政・企業・教育機関に携わる必要がある」――「必要がある」と書いたかどうかは覚えていないですけれども,それぐらい広がりがある人の育成がいいんじゃないかというようなことも含めて書かせていただいたので,そういう観点から言うと,何か急に狭くなっちゃったようなタイトルの印象もあって,いいのか悪いのか,今振られたので話し出しましたけど,結果として何を言っているかよく分からなくなっちゃいましたけど。
 もう少し広がりのある,学生も含めて,育成をしていく重要性があるのではないか。それを防災専門家と言っていいのかどうか。狭過ぎませんかね。学校の先生だっていいじゃないですかという,そういうことも含めて,読み取れるかなという気がしました。すいません。
【末廣主査】  分かりました。
 確かに,これだと狭いですよね。限定的。
【平田委員】  そうしたら,この(4)は,例えば,防災に関わる研究者・技術者の育成とか教育とかというような,そういう防災というのを枕詞というか,形容詞に持っていくのはいかがでしょうか。
【末廣主査】  名案がぱっと出てこないとすると,今御指摘の点は理解したつもりですので,持ち帰って検討したいと思います。
 次の(5)の災害教育の「災害」という言葉遣いですが,これはいかがでしょう。
【橋田臨時委員】  この「災害」という言葉遣いについては,実は私,田村委員と相当議論しておりまして,私と田村委員の間では共通の意識に近づきつつあるんですけれども。例えば,今日の田村委員から出てきた災害の事典のような話とか,「災害」と「誘因」と「素因」みたいな話とか,いろいろ議論はあると思うんですけれども,これが必ずしも一般的なイメージとして,うまく「災害」という言葉が使われていないのではないか,あるいは,「災害情報」もそうなんですけれども。
 例えば,今日,念のために災害対策基本法,法律上使っている定義,災害とは,暴風,豪雨,豪雪,洪水,高潮,津波,噴火その他云々(うんぬん),異常な自然現象により生ずる被害をいうと,「被害をいう」という定義に災害はなっているんですけれども。したがいまして,私のような仕事柄,災害情報とか災害教育とかいうと,非常に被害のことをイメージしてしまうという問題があります。
 それは,だから,ここで災害教育といったときに,何となく分かるんですけれども,どうもやはり固定的なイメージで災害教育,災害情報を捉えてしまうおそれがあるという,そういうこともよく配慮し,考慮した上で,この計画全体で「災害」という言葉を使っていく必要があるのではないかというように私自身は思っておりまして,今の書きぶりを全体的に変える必要はないとは思うんですけれども,そこはよく考慮していただくとありがたいなと。
 これが,すいません,仲西委員の言われた災害教育とリンクしているかどうか分かりませんけど,私,ついでに言わせてもらいました。
【保立専門委員】  私も記憶が少し戻ってまいりまして,「災害科学」という言葉に関係して,やはり災害科学の研究と教育ということになるかと思います。ですから,災害科学ということを考えていく場合には,それに対応する「災害教育」というのを考える必要があるのではないかというように思います。
 ここを防災教育という形に限りますと,やはり狭くなるように考えますので,「災害教育」という言葉を,今橋田委員が言われたような形で,意味付けを慎重に考えながら使うというのは賛成であります。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 橋田委員と田村委員の議論の中で,「災害情報」に関しては,共通理解があるんでしょうか。
【橋田臨時委員】  それは,前回の会議の前に,22日に関係者がお集まりいただいて,関係者が御納得いただいた文案については,私は配慮しているということなので,その際に,「災害情報」は,事前,直前,直後,災害復旧全部含めて災害情報だというように皆さんがこの委員会で納得されているということであれば,それは誤解のない形で,括弧書き等で,事前の情報というのはこういう情報ですよと使っていただくならいいんだろうというように,私自身はそれはそれで納得はしようと思いました。
 一方で,災害予報,警報という――すいません,ここの機会で言わせていただくのは変ですけど,実は,今回対象としている地震・火山等において,そういう自然現象の予報,警報ということを言った場合に,気象庁が行っている予報や警報とすぐ,私なんかは直ちにそれを直結して考えてしまうので,例えば,そういうときに警報を行うことには制限があるとか,予報を行うには,予報を業務として,なりわいとしてやっていただくためには許可を受けていただくという法体系がございますので,そういったことにも十分配慮しながら,例えば,予報,警報はなるだけ使わない方が,この計画としては,分科会の立案としてはいいのではないかとか,そういった幾つかのことを田村委員との間では共通認識を持てたようには思っておりますので,そこらあたりは,是非ここの計画に関わる方にもよく理解をいただいて。先ほど災対法の災害の定義も言いましたけれども,厳密に災対法の定義に捕らわれて,災害情報というなら,正に被害の情報そのものになってしまいますから,そういうことで誤解がされないような形で,まずは委員の皆さん方も共通理解,事務局の方にも共通理解を持っていただく必要があるのではないかと思っております。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,いかがでしょう。
【宮澤専門委員】  3全体でよろしいんですよね。
【末廣主査】  3全体でいいです。
【宮澤専門委員】  目次を見ていただくか,あるいは,19ページを見ていただくか,どちらでもいいんですけれども,1の(2)のイのタイトルについて,私は前からずっと言っていることなんですが,「東北地方太平洋沖地震・南海トラフ巨大地震等のプレート境界巨大地震」となっております。
 元々このタイトルは,東北沖地震と南海トラフだけで,私がいろいろ主張して,最後にプレート境界の巨大地震と付けていただいたと思うんですけれども,今日の前半の議論にあったように,南海トラフの地震等に関しては,計画全体にわたって横断的に書かれるというにも関わらず,ここの1の(2)のイだけ,タイトルの中に南海トラフ巨大地震というものが出てきてしまっています。
 これはやはり今までの議論の中でも,3を読まない人がいて,2までしか読まなくて,あとは目次しか見ないという人にとっては非常に特異に見えまして,そうすると,南海トラフの巨大地震の研究は,1の(2)のイだけでやるようにも読めてしまうと思います。もし横断的にやるのであれば,あと,今日の前半の議論を受けて,それと私も今まで主張してきたこともあるんですけれども,やはりこのイのタイトルというのは,プレート境界巨大地震だけにとどめて,それは当然,東北沖の地震や南海トラフの地震も含み,さらに,ほかの可能性のあるプレート境界の巨大地震についても全て引っくるめた研究ができるという精神で,このタイトルを「プレート境界巨大地震」に変えてはいかがでしょうか。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 今のは,ですから,3の計画シナリオの1の(2)のイですね。確かに,目次を見ると際立つのかもしれないですね。
 目次を見ると,長いというのはまずあります。計画の実施内容の目次で,ここだけが確かに具体的な地理的な場所が書いてあるわけですが,いかがでしょう。
 これを「プレート境界巨大地震」というか。
【宮澤専門委員】  追加でよろしいでしょうか。
 元々最初の委員会の骨子案のたたき台(案)ぐらいの最初の状態では,この東北沖地震とか南海トラフの巨大地震という文字は入ってきていませんでした。そして,委員会の途中から,この東北沖地震,南海トラフの巨大地震という言葉が出てきました。それで,その出てきたいきさつというのは,実はこの委員会内では明らかになっておりません。もしこの二つのタームを入れなければならないという理由を御存知の方がいらっしゃいましたら,是非教えていただきたいと思います。
【末廣主査】  それは私も教えてほしいですね。どんな理由があるんでしたっけ。
【小泉臨時委員】  私が答えるべきことかどうか分かりませんけれども。
 つまり,東北地方太平洋沖地震と南海トラフの巨大地震に関して,やっぱり世間の(東北地方太平洋沖地震は研究者の)要請が大きいと思います。東北については,正にイベントが起こったばかりで,その余震や余効変動が起こっている最中だから,特にそれに力を入れてやるべきだという意見と,それから,逆に,もう東北地方太平洋沖地震は研究が終わったのかというような誤解を解くべきという意見もあるので,これは出すべきだという意見があったように私は聞いています。
 それから,南海トラフは,さっきあった首都圏とかが入ってきたのと同じ理由ですね。というふうに私は理解しています。
 つまり,世間を向くのであれば,世間の要請に対して応えるべきである。そういう場合に,東北地方太平洋沖地震はもちろん外せないし,南海トラフ巨大地震も外せない。その中で首都圏直下地震という名前も出てきたと思います。
【末廣主査】  ここで言っている南海トラフ巨大地震というのは,どういう地震のことを言っているんですか。全部が連動するようなやつのことを言っているんですか。
【小泉臨時委員】  中央防災会議で指定されている,つまり,M9クラス,連動するような――連動と言ってはいけないですよね,今はもう。非常に多様なパターンで発生する地震の中で,M9クラスにも達するようなやつを特に指しているんだろうと思います。
【末廣主査】  普通の南海トラフ地震ではないということで。
【小泉臨時委員】  それを普通と言っていいかどうか,今議論があるところですけれども,連動するようなタイプを指しているのだろうと。超巨大と書いてある以上は,そういうことだと思います。
 すいません,ついでに言うと,宮澤委員が仰るのは分かるんですが,その主張をすると,さっき10ページのところで,「例えば」以下,南海トラフと首都直下を入れて,ここに東北地方太平洋沖を入れないのは,ほかのところに出ているからだという意見だったと思います。もし取るんだったら,ここに東北地方太平洋沖地震を入れるべきだと私は思います。10ページの下のところですけどね。352行目です。
【仲西臨時委員】  今のに関連するんですけど,私も宮澤委員と同じ意見をずっと持っていて,私の記憶だと,ここ,一番最初,低頻度大規模地震・火山現象の解明のイとして,東北地方太平洋沖地震というのは最初の骨子にもあったような気がします。
 そのとき,東北地方太平洋沖地震は低頻度大規模地震現象だから,既に起こったことなので,ここに項目出ししてあるのだろうと納得していたんですが,南海トラフの方はまだ起きていないですし,次の地震が低頻度大規模地震かどうかは分からないので,ここにはやはり書くべきではないと思います。なので,今宮澤委員が言っているように,プレート境界巨大地震にするか,残すとしても,東北地方だけというのが良いというのが意見です。
 以上です。
【末廣主査】  南海トラフって起きていないですか,過去に。
【仲西臨時委員】  いや,起きてますけど,それだけじゃないので,ここに南海トラフ巨大地震とだけ書かれるのに違和感がありました。
【末廣主査】  これは多分社会の受けとめ方との差異があるのかなという感じがしますけれども,いかがでしょうか。
 確かに,論理整合性というか,きれいな仕分けでいこうとすると,低頻度プレート境界巨大地震でどこが悪いという論理も成り立つと思うんですが。
 これ,何となくじわじわと入ってきたわけではなくて,意見があって入ってきたんですよね。
【森田科学官】  これは多分時間がなくて,地震研の中でやった議論の中で御意見が出てきて,入ったのだと思います。
【平田委員】  これはやっぱり外部評価等の意見を受けて,外部評価ではロードマップを書けということもあるし,優先順位を付けてやれと,それから,藤谷委員からは,資源が限られているんだから,やる場所の地域についてももっと明確に優先順位を付けた方が良いと,そういう意見があった中で,やはり次の5か年で何をすべきかということを明確にするためには,見直し建議で超巨大地震というのは,実体として東北地方太平洋沖地震の予効的地殻変動,地震活動などをやるというのを取り上げたわけですけれども,その観点から言うと,やはりこの見出しにこういう東北地方太平洋沖地震が入っている方が良いだろうという,そういう判断があったと思います。それから,南海トラフの巨大地震についても,やはり取り上げるべきであろうと。
 そうこうしているうちに,今日の前半の議論で,項目を横断したような形で特定の事象についての研究をやるべきであるという枠組みができましたので,必ずしもこの目次にはなくてもいいかなという気には私はなりました。
 そうすると,妥協案としては,つまり,毎年の実施計画のところに表が出ていって,そこに南海トラフであるとか,東北地方太平洋沖地震であるとか,桜島であるとか,そういうものが出てくればいいんだけれども,できることならば,建議の計画の中の付録の中に,初年度の主要な実行計画みたいなものの表が,全部でなくてもいいからあって,その中にちゃんと東北地方太平洋沖地震とか,南海トラフ地震とか,首都直下地震とか,桜島とか,富士山があるかどうか知りませんけれども,そういったものが別表として出ていれば,私はここに東北地方太平洋沖地震,南海トラフ巨大地震がなくてもいいかなと思います。作業がまた増えるだけで,自分の首を絞めるようですが,折衷案,提案です。
【末廣主査】  ただ,ここの19ページに書いてあるのは,もう正に日本海溝と南海トラフばっかりなんですよね。
 ということが一つと,それから,もしここから東北,南海を消すんだったら,さっき小泉委員が提案された,10ページので言うべきだということを採用しないといけないのかなと思いますが。
【平田委員】  それは賛成します。
【末廣主査】  やっぱりサイエンティストは美学を重んじる癖があるので。いかがでしょう。
【市原専門委員】  むしろ10ページにこの三つの重要な項目を挙げて,ほかに優先して横断的にやると書かれていて,その実施計画の中で,南海トラフと桜島に関しては,至るところに記載があるんですけれど,首都直下地震に関してはちょっと見当たらなくて,実際にここで優先して行うといったものがどこに反映されているのかというのは見えなくてもいいんでしょうか。
【末廣主査】  分かりました。一つずつ片づけていきたいと思いますが。
 じゃ,まず19ページのイは,プレート境界巨大地震,これは低頻度と付けなくていいですかね。大題についているから。プレート境界巨大地震にするということでよろしいですか。
 それで,10ページの方に東北沖を入れる,「例えば」以下のところに入れる。
 首都直下地震に関して,今指摘があったように,首都直下地震と言っているけど,どこにほかに書いてあるのかという点はいかがでしょうか。
【平田委員】  少なくとも3には書いてあるはずなんですが,3以外にあるかどうかは,ちょっと記憶にない。
【加藤主査代理】  実施内容では,首都圏に関しては,資料のところと,3の地震・火山災害事例の研究だとか,災害発生機構とか,そのあたりにあると思います。
【末廣主査】  何かパソコンでぱっと検索できるといいけど。
 首都直下型を1から4の全てを含む総合的な計画とするということを書いているわけですが,それはやっぱり何かの,1,2,3,4,それぞれこんなことができるということがあって書いているんだと思うのですが,それが今すぐぱっと見つかるのか,見つからないのか。
【宮澤専門委員】  すいません,ちょっとパソコンで調べたんですけれども。1の(2)のアでは,これ,行が多分違うので言えないんですけれども,一つ目の丸で,首都直下地震の発生が懸念されている環境・地域などを対象として,データベース化した資料,考古学等がありまして,それともう一つが,3の(4)にも,少し記述があります。そのほかは今出てこないんですが。
【平田委員】  977行ですね。
【宮澤専門委員】  少なくとも1か所だけではないというのは。
【平田委員】  現行計画ではスラブ内地震というところが入っていて,でも,今見たら,海洋プレート内部の地震のところには具体的な提案は今のところはないですが,あるべきでしょう。
【末廣主査】  分かりました。
 そうしますと,今皆さんの御意見は,まだ十分頂いたとは言えないかもしれませんが,現行計画でプレート内部の地震で入っているのが,今の案では入っていないと。あらわには入っていないということなので,ここにあらわに書くことによって,10ページの言い方を生かすということでよろしいでしょうか。それとも,首都直下を消す方が良いとお考えでしょうか。消す方が良いという人はいらっしゃらないんじゃないかと思いますが。
 それでは,20ページの海洋プレート内部の地震のところで,首都圏があらわに読めるように修文を――実際にやるんだということを踏まえての話ですが。ここのイの681から685に書いてあることは,正にそういうことを含んでいるように思うが。
【平田委員】  自分自身で言うのははばかられるんですが,議事進行のため言いますと,あと,予測のところの統計的地震の手法というところがあるんですけれども,その中でも,実は日本列島全体と関東とは別々に分けて,CSEPの枠組みの中で予測をするという研究は実際にはやりますので,十分全てをカバーしたような研究はできると。関係者がいると思いますので,できると思いますので,具体的に少し提案させていただきます。
【末廣主査】  分かりました。
 それでは,そこのところ,よろしいですか。
 もうどんどん時間がたってしまって申し訳ないんですが,何しろこれを過ぎると,来週に部会があるんですね。したがって,今たくさん宿題を作りながら進行しているんですが。
 ですから,この検討委員会の今日までの議論,それから,今いろいろ宿題を頂いた分による修文をもう一度メーリングで皆さんに読んでもらった上で,部会に検討委員会の現段階の案として出すことになるわけですが,それを踏まえて,是非これは今言っておきたいというのは,全体を通してあれば,今まで出ていなかった意見であればお願いしたいんですが。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  1点,確認だけよろしいですか。確認したいことがあるんですけど。
 30ページの1022行で,一つ前の3の議論の中で,研究推進体制の抜本改革を本計画中に設計するということで,一応もうこれで覚悟を持ってということだと思うんですけど,一応こういう書き方をすると,すなわち建議ないしその事務局,測地学分科会とか地震火山部会の事務局をしている我々としては,多分,これを言ってしまうと,議論の行き先は地震火山部会とかで設計するということになってしまうかなと思っていて,1点,改めて確認をとっておきたいんですけれども,基本的にかなり地震火山を研究している研究者のものだったこの計画というところに他分野,独法とか行政,実際の業務官庁のやっていることも含めて,他者を取り込んででもやっていかなければいけないんだという強い決意のもと,これをやるということだと思うんですけれども。具体的に,その推進体制というのは,議論するのは実際地震火山部会だとしても,なかなか事務局が鉛筆をなめてできるような,実現する話ではなくて,実際は地震・火山に関わる研究者の方の相当な覚悟の上で,これは臨むという話で,具体的に言ってしまうと,例えば,その中核たる協議会が呼び掛けをするとか,多分,防災研なんかも,さっきの話だと,他分野の方はまだちょっとということもあったわけですけれども,そういうのを含めて多分呼びかけていかなくてはならないということの覚悟を持った上で,こういうことをしていくんだということだと思うので,そうじゃないと,事務局は空っぽで何も走れなくなってしまうので,そこは念のために,改めて最後確認だけはしておきたいなと。
 もしちょっと難しいかもということであると,例えば,設計すると言われてしまうと,事務局も受け切れなくなってしまうので,すべきであるとか言いたいとかになってしまうので,そこは念のため,一度確認だけさせていただきたいと思っています。
【末廣主査】  ということですが,いかがでしょう。
 私は,先ほどの議論は,正に今補佐が言われたとおりにやろうという覚悟を示したんだと聞きましたけど。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  基本的には確認だけで,すいません,地震・火山を研究している皆様が,こういうことでやっていくべきだということであれば,当然,我々事務局としても御協力しますし,その中でも地震火山部会の事務局として,そういった議論を進めていきたいと思っていますので。ただ,いざ議論になったときに,誰もがヘジテートしていると,こちらも議論できなくなってしまうのはちょっと心配なもので,念のために発言させていただきました。
【宮澤専門委員】  今,少し防災研究所の方は躊躇されているという件がありましたけれども,ある程度合意ができているところもありまして,地震研究所と拠点間連携をするということに関しては,我々は自然災害研究協議会というのを持っていまして,そちらの方ではある程度合意ができています。
 ただ,手順の問題で,きちんとまだ全て合意ができていないというところで,少し言葉を濁したんですけれども,特に1035行目から38行目に関しては,防災研究所が共同利用・共同研究拠点として,本研究にどう関わってくるかということに関して,非常に強い意志というか,方針をここで書いて示したということです。
 一方,1022行目から1026行目に関しては,むしろ東京大学地震研究所が共同利用・共同研究拠点としてどう関わってくるかというのの意思表示だとも言えます。もちろん,東大地震研究所は,今申し上げました拠点間連携に関わってくるんですけれども,むしろ地震研究所の共同利用・共同研究拠点がどのように強く計画に関わってくるかというところに関しての文章だと私は思っております。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 6時まであと15分になってしまったんですが,これで一通り1から3にわたって,これまで前回からの大きく変えたところを中心に議論いただいたと思います。意見が幾つか出た場合もありましたけれども,最終的には収束を見たのではないかと思います。したがいまして,この後,主査代理と事務局とあわせて,本日の意見を反映させて,もう一度書き直したものを皆さんにお見せして,その先,来週の部会に持っていくということで,具体的には,こういうふうに皆さんが集まる機会は来週まではないので,私に預けていただくということでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それで,やり残していることがタイトルなんですが,この計画のタイトル。前回多少議論しましたよね。
【森田科学官】  しました。予知という言葉を残すか残さないかとか,災害を入れるか入れないかという。観測計画という,観測を入れる入れないというような意見分布をとりました。
 具体的な名前については,余りそのときには提案はなかったです。
【末廣主査】  ちょっと事務局にお伺いしたいんですが,来週の部会に持っていくときには,次期計画でいいんですか。それとも,タイトル案を提示する?
【重野地震火山専門官】  この委員会のミッションとしては,計画の原案を作成するというところですので,タイトルに関しては,委員会として,このような議論がありましたというところで持っていけばいいのではないかと思います。
【末廣主査】  いずれにしても,いずれはタイトルがつかないといけないわけで,今日,途中で意見があったのは,災害予知という熟語を使うのはいかがでしょうかというのがありましたけれど,それは,この……。これ,タイトルの議論をし出すと延々となるので。ただ,観測を入れる,研究を入れる,予知を入れる,災害予知という熟語を検討するというような意見がこれまであったんだと思いますが。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  今,重野の方から議論があればということだったんですけれども,当然,部会へ上げたときに,部会の方も,ゼロからこういう議論しただけではなかなか踏み切れないと思うので,少なくとも幾つかの案,あるいは,できれば,ここの検討会の場としては,こういうのが良いと思うというぐらいのものはお示しをする必要があろうかとは思っております。こういう議論をしましたで,観点だけ示しても,部会とかで急にかちっとした名前が出るとは思えないので,その点だけよろしくお願いできればと思っております。
【末廣主査】  じゃ,あと5分かそこら。今は地震及び火山噴火予知のための観測研究計画。地震と火山噴火は入れて,予知を入れて,観測を入れてと言っていくと,相当決まってきちゃうんですけれども。
【井口臨時委員】  よろしいですか。
 平田委員が配られたロードマップ案3というのの17行目のところに,「地震・火山噴火災害予知と呼ぶ」というふうに書いていますので,これを多分入れざるを得ないだろうと。そうすると,今のこれまでの現建議計画とあわせて考えると,地震・火山噴火災害予知のための観測研究計画となると思いますが。
【末廣主査】  すみません,何行目でしたっけ。
【平田委員】  16行,17行目。
【末廣主査】  確かに,そういうことになりますわな。呼ぶと呼んでいるんですからね。じゃ……というか。
【平田委員】  だけど,ちょっと。それは,私,自分で書いたから,それは賛成するけれども,少なくとも予知というのを広い意味でとるというところは,少なくともこの委員会でコンセンサスは得られたんですけれども,これを呼ぶというのは,これを一応ここでやっぱり確認した方が良くて,ここが言い過ぎだという御意見があれば,やっぱり戻った方が良いと思いますけれども。
【末廣主査】  確かにそうなんですが。
 先ほどのロードマップの議論を頂いたときに,この最初の丸が大事だと申し上げて議論いただいて,後ろの方は幾つか書き忘れたところ,それから,順番,段階の入り方がおかしいところなど指摘いただきました。それは修文するわけですが,この1から17行に関して,特段の反対はなかったと思うんですが。段階という言い方を予測と変えようというのはあったと思いますが。
【小泉臨時委員】  10ページの319から322に事務局が書かれたのが,この計画をまとめていると思います。やっぱりこれが伝わるタイトルを考えるべきだというのが,私の考えです。
 それで,いろいろ,いろんな地震学会の事情も申し上げましたけど,タイトルの問題で,地震学のコミュニティがこの大きなプレーヤーであることは間違いないので,内容と関係ないところで議論をするということは,私は個人的には避けたいと思っています。でも,そんなのはローカルな問題だと言われたら,どうしようもないんですけれども。
 やっぱりそうなるような名前を,ここでとりあえず決めるかどうかは別としても,あと1週間以内に幾つか考えるというのは残しておくべきかなと思います。例えば,観測を入れるかどうかという話は,入れたらいいという話だったと思いますし,災害という言葉を入れるかどうかということについても,それは入れるという方針で決まったと思います。
 あと,予知を入れるかどうかということに関しては,この前のここで手を挙げた感じでいくと,予知を入れるという人数がずっと多かったんですけれども,そっちの話,地震学会の理事会で同じように手を挙げたら,丸っきりその逆のパターンになるというのが実情です。単に事実を申し上げているだけです。それがいい悪いというわけではなくて。
 火山は予知ということに関して,きちんとした覚悟と引き受ける火山研究者は多いと私は思いますけれども,地震の研究者は必ずしもそうではない。それが多数とは言いませんけれども,そうではないという実情は申し上げておきたいと思います。それだけです。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 ですから,一案は,地震・火山噴火災害予知を目指す観測研究計画,もう一つは,予知・予測と並べるの?
【小泉臨時委員】  並べるのは一つの案ですよね。1990年代後半ぐらいからずっとありますけれども,地震予知に関する議論を地震学のコミュニティの中で延々とやってきて,それで,言葉にこだわる方が非常にいらっしゃって,予知と付くだけでも,それでステレオタイプな議論をされる方が結構いらっしゃるわけですね。それをまた繰り返すのは,個人的には非常によろしくないだろうと思っていて,やっぱり内容を議論してもらうためにどう工夫するかということが大事かなと思っております。
 そういう意味で,地震予知という言葉は,私自身は非常にこだわりがあって,自分のモチベーションを高めるわけですけれど,それでモチベーションが下がるという研究者もいらっしゃるということは事実であるということだけです。
【末廣主査】  だから,中身ではなるべくそういうことが起きないように,予知とは何を言っているのかと説明しているわけですね。それでも,タイトルに予知だけが出てくるのはいかがなものかということですか。
【小泉臨時委員】  非常に悲しい話ですけれども,頭の中で結論を出してしまって,内容を十分吟味しないで,自分の結論に都合の良い所だけ取ってくるような議論が続く可能性があります。それは情けないと言われたら,全くそのとおりです。
 すいません,それは私の個人的意見であって,いや,そういうことを乗り越えて,もう一遍,こういうふうにきちんと定義し直したんだから,これでいくべきだという意見も当然あるとは思います。
【末廣主査】  じゃ,今ここで決着がつくかどうか分からないので,一つは,ですから,さっき言った災害予知計画で,一つは,じゃ,災害を取った予測計画?
【小泉臨時委員】  私が書いたのは,災害を付けていただくのはよろしいと思います。で,火山と地震で分けちゃう。火山は予知という言葉を使って,地震は予測という言葉を使う。それを笑われる方も当然いると思います。でも,同時に,予知・予測という言葉を使って笑う人もいます。それは玉虫色だとやっぱりとるわけですよね。
【末廣主査】  分かりました。じゃ,もう1点は,地震に関しては予測にして,火山噴火に関しては予知とすると。コンビネーションとしてはそのぐらいですかね。
 じゃ,これも後でまたメールで部会に上げる三つぐらいの提案をお示しして,議論のタネにしてもらおうと。
 地震学会がもし何らかの反応を示しているとしたら,それはこの委員会として説明申し上げる機会が設けられてもいいのかなという気はしますけれども。それがどういう機会にやるのが良いのか,よく分かりませんけれども。地震学会と敵対する意味は全くないですからね。
 ということでまとめてよろしいでしょうか。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  すみません,質問させていただいてもいいですか。
 今回,災害予知という言葉,これは多分新しく今回できた言葉なのではないかと思うんですけれども,これは,予知そのものは,今回,決定論的予知と必ずしも狭義に捉えるわけではなくて,前もって認知して対応できるようにするというものを予知だということで定義をしているんですけれども,そのときに災害予知という言葉というのは,単なる地震予知とか火山噴火予知みたいなものとはまた別の言葉としてこれは捉えるべきなんでしょうか。
【末廣主査】  私の理解では,さっき災害情報というのがありましたけれども,その災害情報を予め(あらかじめ)知るということなんじゃないかと思いますけど。その中には,これまで皆さんが地震予知と言えば思い浮かべる,いつ,どこで,どういう地震が起きるかというのも直前に分かるということも含むので。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  そうすると,そのフィードバックなんですけれども,ページ5の145からのワンパラで,予知という言葉をここではこう捉えるんだよという話があろうかと思うんですけど,前もって認知して対応できるようにするというのは,災害予知ということではないですか。ここでは予知という言葉の説明をしているんですけれど。後者の意味で予知という語を用いるというところは,何となく知識から言うと,災害予知というみたいなふうにちょっと聞こえたもので。予知という言葉と災害予知って,多分,地震なら,地震そのものが発生することを予測する話と,それによって引き起こされる災害,被害みたいなものを予測・予知みたいなものをするという話と,二つの関係性が分からなくなってきたので。
【末廣主査】  含むんだと思いますけど。地震そのものが純粋に自然現象として発生することを予知することも含む。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  含め,災害予知という。
【平田委員】  そうそう。
【末廣主査】  そういうことになりますね。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  そうすると,ページ5の方は,災害予知ではなくて,予知という言葉を飽くまでも説明するんですか。何となく災害予知という言葉をここで生んで,それを使って,案3の中でも災害予知と呼ぶと言っているのかなというふうにもとれたので。片方では災害予知という言葉を使って,片方では予知の説明をしているというところに,ちょっと齟齬(そご)が,どう捉えようかなというので,ちょっと疑問を持ってしまったので。
【末廣主査】  災害科学の観点から予知という語を用いると言っているんだから,災害科学の観点から重要なのは,災害情報であって,その災害情報を,先ほど橋田委員が四つ挙げましたけど,それを予め(あらかじめ)知るということを指しているという整理かと思いますが。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  そうすると,そこは予知という語を用いるという言葉にやっぱりなるんですね。災害予知という言葉を用いるというふうにここで定義をした上で,そのあとの文章の流れの中で,ロードマップなんかで,これを地震・火山噴火災害予知と呼ぶというふうに言われるのであれば,それはそれで分かるんですけれど,ここではそういう災害科学の観点,災害も含めて予知と呼ぶというふうに言葉を定義していると,後ろでロードマップの中で,地震・火山噴火災害予知と呼ぶではなくて,これも地震・火山噴火災予知と呼ぶというふうに,災害という言葉を殊更に入れなくてもいいというふうにも聞こえるので,どちらかに合わせた方が良い。
 その二つが,片方は予知だけの言葉で災害も含めて言っている,後ろでは,今かかる災害予知という言葉をわざわざ使っているになってしまうと,二つに別々な意味があって,それぞれ使い分けているのであれば,それはそれですし,逆に,もし今回,この報告書でいうところの予知というのは,災害みたいなところまで含めて予知と呼ぶんだというふうに定義付けするのであれば,多分,災害予知という言葉は使わずに,予知とだけ言えばいいということになってしまうのかなと。
 ちょっと細かいところかもしれません。もしかしたら,結構大きな概念みたいな話になるかなと思ったので,ちょっと質問させていただきました。
【今給黎臨時委員】  よろしいですか。
 今補佐の仰っているのは結構重要なポイントで,要するに,ここでは予知という言葉をこういうような方針で使うようにしたんだけれども,それをもう明確化するために,この計画を説明する中では,ここでは,それを更にエクスプリシットに分かってもらうために,災害予知という言葉を使って,これから先は全部説明しますというような,いわゆる2段階でもいいですが,とにかく災害予知という言葉を使うんだという宣言を早目にしておいて,それで,このロードマップの方の災害予知も,そこでもう一回繰り返し説明するというような,そんなような方が良いのではないかと私も思いました。
 要するに,ここで,後者の意味で予知という言葉を用いるべきであるが,この計画では,もっと明確化するために,災害予知という言葉を使って,この計画の中ではそれを言っていく。タイトルでもそれ使ったというようなことを言う方が,よりエクスプリシットではないかと私も思いました。
【末廣主査】  ただ,タイトルをどうするかは,まだみんな一致していないんですよね。ただ,一方では,この本文については,この書きぶりでおおむね皆様合意されたと思うんですが。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  もう少し補足だけ。すいません,この立場でどこまで言っていいのかというのはあるんですけれども。
 要するに,今回,予知という言葉をこういうふうに用いますよと,この報告書における予知という言葉を定義しているんですけれども,どうしても,先ほど小泉委員言われたように,昔から議論されている予知というものと,こっちでいう予知というのが,言葉が同じだと,多分また同じ議論に引き戻されたりもするのかなと思って。例えば,この報告書では,災害予知という言葉を使いますよと,最初に,例えば5ページで宣言してしまって,それに基づいて,あとでもう災害予知という言葉を使っていれば,今までの予知論争というか,そういった議論とはまた一つ違う観点で今回言葉を使っているんだというような言い方もできるのかなとちょっと思ったもので,それも含めて発言させていただきました。
【末廣主査】  ですから,今日の委員会の意見としては,災害予知と言う言葉。でも,それもだめなのですか。
【小泉臨時委員】  いや,予想できません,私には。むしろ私よりも冷静な加藤委員とか,どうですか。
【加藤主査代理】  私自身は,今の145行目からの話は,やっぱりむき出しの予知ではなくて,災害予知――最初のところはいいですけれども,最後のところは災害予知で使った方が良いというのは,私も同意見です。
 予知という言葉を使っただけで,一部の人から反発されるという予想は,そのとおりだとは思いますが,そのために,そういう意見のためにタイトルを変えるのもややためらわれるというのが私の考えです。
 実際は予知という言葉を使わない方が,いろいろと滑らかに進むだろうというのは私も同意見です。
【森田科学官】  ちょっといいですか。
 やっぱり145から150というのは,これは予知という言葉,予測という言葉で,次から災害予知というと,全く平仄(ひょうそく)が合わなくなります。だから,それだったらもう,この145から150を取ってしまわないと,全然全体として意味が合わなくなるのではないかと。
 それから,案3の17行目で,地震・火山噴火災害予知って,これは一つの熟語みたいですけど,災害の予知と呼ぶというのでは駄目なのですか。だから,災害予知という熟語ではなくて,災害の予知と。
【平田委員】  いいですけど,ちょっと待って。地震・火山噴火は入れるのね。だから,災害は,風水害もあるから,だから,地震・火山噴火災害というのは……。
【小泉臨時委員】  の予知ですよ。
【森田科学官】  いや,これは私は発言権がないから。ただ,文章から言うと,145から150というのは,予知・予測という言葉を定義したのであって,災害予知という言葉を作るんだったら,別の論理をここに書かなければいけないだろうと思います。
【末廣主査】  でも,ここでは飽くまで災害科学の立場で言っているんですよ。
【森田科学官】  そうです。だから,災害科学で予知という言葉はこういうこと。
【末廣主査】  ちょっと時間が必要だと思うので,これも預かりにさせていただきたいと思います。予知アレルギーがあるのは重々分かりました。
【平田委員】  ロードマップ案3のところでは,段階1,段階2,3,4で,そこには全部「予測する」となっていますよね。それ全体を引っくるめて,「災害の予知」となっているんだけど,それはいいんですか,それで。私の感覚ではそうなっちゃったんだけれども。
【小泉臨時委員】  私個人は丸っきり賛成しますけど。そういうところをちゃんと読んでほしいなというのに尽きるんですよね。すいません,それ以上言うと,またあれになりますけれども。
【末廣主査】  ただ,地震学会は,予知と予測を限定的にもう定義しちゃっているんですよね。我々がそれを採用しないわけですから,そこはいいわけですね。
【小泉臨時委員】  いいというのは,この中ではね。
【森田科学官】  いや,確度の高い予測を予知というのだけれども……そうか。定義が変わっているということなので。
【小泉臨時委員】  定義は違いますね。
【末廣主査】  だから,ディターミニスティックなのをいうというわけでしょう。ディターミニスティックなんて,できるわけないじゃない。だから,そういうみんなが心に思っていることを,もうしっかりとこの新しい計画では明確に表明して,役に立つ予知とはどういうことなのかというのをきちんと記述しようということで,ここまで議論してきたんだと思いますが。
 いずれにしても時間がちょっと必要だと思いますので,私と主査代理と科学官,あと何人か御意見をお持ちになりそうな人は,積極的に接触してほしいですけれども,少し案を練って,また明日,あさってぐらいには,この修文を含めてお諮りするということになろうかと思います。それでよろしいですか。
 ちなみに,ディターミニスティックな地震予知と言っている人たちも,実は本当にディターミニスティックと言っているわけではないんですね。だから,全ては実は確率的なので,そこの点はみんな実は認めているんですけど,ディターミニスティックと言った瞬間に,数学とか物理の人たちは誤解するわけですよね。
 では,もう6時過ぎちゃってごめんなさい。その他ということで,今後の予定があると思いますが,事務局,よろしくお願いします。

[議事2.その他]

【重野地震火山専門官】  今まで長時間の御議論,いろいろありがとうございました。
 本日,とりあえず主査にお預かりいただいたという認識で事務局はおりますので,この先いろいろ意見を伺うこともあるかと思いますが,まずは今後主査と相談して,部会へ意見を上げていきたいと思います。
 委員会の今後に関しては,現段階では何とも言えないところがありますので,後日,別途連絡いたしたいと思います。
【末廣主査】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 ちょっと宿題を残してしまいましたが,今後もよろしく御協力をお願いいたします。また,これまで,今日で8回目ですが,8回にわたる御議論,誠にありがとうございました。
それでは,これで本日の議事を終了いたします。本日はお忙しい中,また暑い中,長時間の御議論いただき,ありがとうございました。

―― 了 ――

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