地震火山部会 次期研究計画検討委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成25年6月25日(火曜日)16時30分~19時15分

2.場所

文部科学省旧庁舎2階 文化庁第2会議室

3.議題

  1. 次期研究計画の検討について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)平田、藤井
(臨時委員)井口、今給黎、小泉、末廣、関口、仲西、橋田
(専門委員)加藤、田村、西村、保立、宮澤

文部科学省

鬼澤審議官,寺田地震・防災研究課長、吉田地震調査管理官、澄川地震・防災研究課長補佐、重野地震火山専門官、森田科学官、吉本学術調査官、その他関係官

オブザーバー

松本

5.議事録

[委員の出欠状況など]

  • 委員の出欠について:仙石委員,市原委員,仙石委員が欠席。仙石臨時委員に代わり,松本オブザーバが出席。
  • 配付資料について

[議事1.次期研究計画の検討について]

【末廣主査】  それでは,ただいまより議事に入りたいと思います。
 次期研究計画の検討についてですが,初めに前回からの経過などについて事務局から説明をお願いします。
【重野地震火山専門官】  前回の第6回,6月13日からあまり日がたっておりませんので,ごく簡単に説明します。
 6月13日の第6回委員会では,参考資料5に当たります現状認識と今後の方針,それから本計画策定の方針について検討しました。この中で主に議題になったのは,ロードマップと,計画を推進するための体制に関してになります。それから,本計画のタイトルに関しても意見交換が行われております。
 前回の委員会を踏まえまして,論点整理をして,メーリングリスト等で議論していただいて,6月22日に委員の有志の方にお集まりいただきまして,作成いただいたものが資料1となっております。
 前回の資料から大きく変更があったところに関しては,資料1の方にアンダーライン,あるいは見出しのところにマーキングを付けております。
 それから,メーリングリストで資料の暫定版を出しておりますが,本日の変更点といたしましては,10ページの348行目から355行目,それから12ページの393行目400行目,それから30ページの訂正も入っておりますが,29ページの1001行目から1026行目までが,日曜日に配付しましたメーリングリスト版と変更されているところでございます。
 事務局からは以上になります。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 今の確認で,何か質問ある方いらっしゃいますか。
 それでは,本日7時までということで,効率よく,かつ皆様の御協力をもって,是非うまいこと,これを収束の方向に持っていければと思うのですが,もちろん重要な発言は全く遠慮なさらずしていただきたいと思います。
 進め方なんですけれども,幾つか説明をして,それから議論をしてというふうに進んでいきたいんですけれども,最初に大きな1と2,具体的には前回議論になった観測研究計画の長期的な方向,ロードマップ,災害誘因研究について改定したところを説明してもらい,議論していただく。その次に,研究推進体制の整備については1から3まで全部現れてきますので,そこをまとめて次の議論としたいと思います。最後に,実施内容,皆さん,ほとんど新しく読まれたものだと思いますけれども,ローマ数字の3,実施内容について議論をしていただきたいと思います。
 というわけで,まず基本的考え方ですが,メーリングリストでの議論がありました。御承知だと思いますが,橋田臨時委員及び保立専門委員から提案がありまして,それを踏まえて土曜日に議論して,直しております。それから,ロードマップも,ロードマップとは何ぞやというところから始まって,いろいろ議論がありました。それも大分議論いたしまして,今日の中身は大幅に書き替わった内容になっております。
 それから,ローマ数字2,本計画策定の方針の2.本計画の概要は,アンケート等を参考にして記述が大幅に変更になっています。同様に,後で議論しますが,体制に関するところも変わっております。また,歴史学に関する記載も変更してあります。
 そういうわけで,幾つか大幅な変更場所がありますので,ちょっとでも,何を議論しているのかよく分からないということがあれば,私に議事進行をうまくやるように促してください。
 それでは,最初の最初ですが,基本的な考え方のところです。4ページの123行目,基本的考え方の最初の丸と次の丸ですね。これが大分いろいろ検討して,こういう文章に変わっております。ここをよくお目通しいただき,重要なポイントだと思いますので,この書き方,内容で納得できるか,よく見ていただきたいと思います。
 特に,2番目の丸では,「予知」「予測」という言葉について,この計画書ではどのような趣旨を持って使うかということをはっきり記述しています。
 それから,最初の丸については,災害科学の一部として推進したいということで,括弧書きで「国土ならびに国民の生命,身体及び財産を災害から保護するための」というのは,防災基本計画の法律からとってきているフレーズであるそうであります。
 ここは非常に重要なところですので,もうお目通しいただいているとは思いますけれども,ちょっとその先のロードマップの説明に行きたいと思います。
【加藤主査代理】  それでは,ロードマップのところについて説明します。5ページの178行目からです。
 前回のロードマップは,地震と火山別々で,しかも内容は地震発生,火山噴火の予測についてのロードマップが主の書き方でしたが,ここでは地震発生と火山噴火の予測に限定せずに,地震現象,火山現象の予測によって,災害軽減にどういうふうに貢献できるかということを考えたロードマップにしました。
 最初に,地震・火山の災害を予測するためには,長期的な予測をすることによって防災・減災対策の基礎とするということ。それから,地震や火山噴火,それに伴う現象等を予測することによって,避難のための情報を出すということ,これがこの計画の目的であるということを書きました。
 その後は,地震と火山で研究の仕方が違うということから別々に書いて,最初に地震に関することを書きました。四つの予測に分けて,地震の長期予測,事前の地震動・津波の予測,3番目として地震動・津波の即時予測,それから地震発生の短期予測,これまで地震予知といったものです。それぞれについての考え方と,どういうふうに目標を達成していこうと考えているかを書いています。
 次のページは火山噴火ですけれども,これも四つの段階に分けて,これまでも段階三つに分けていましたが,それは段階2,3,4にほぼ対応します。それに加えて,段階1として長期的な活動度を理解して,それで長期的に火山噴火の災害に備えるということを書きました。やはりそれぞれの段階についての説明を書いています。
 以上です。
【末廣主査】  どうもありがとうございました。
 大丈夫ですか。皆さん,フォローできていらっしゃいますでしょうか。
 それでは,次は,ローマ数字2の本計画策定の方針の中の,2.本計画の概要について,主に変更,改定したところを,まず加藤主査代理にお願いします。
【加藤主査代理】  大きな項目四つありますが,とりあえず1と2について,従来の地震・火山研究に対応するところについて説明しますけれども,ここについては,この後の3の実施内容で書くことの概要的なことが書いてあります。そうすると,3の内容とかなり重なる部分が,重複する部分が出てきてしまうので,ここは研究の,それぞれの項目の目的であるとか,どういったことを期待するか。それから,ほかの項目とどういう関係があるか。そういったことに重点を置いて,内容については簡潔に書くように修正しました。
 以上です。
【末廣主査】  よろしいでしょうか。
 それでは,今,ローマ数字2の本計画の概要の中の1と2について,イントロみたいなところの書き直しの説明がありましたが,災害誘因としての地震・火山噴火の研究については田村専門委員にお願いしたいと思いますけれども,よろしいですか。
【田村専門委員】  基本的には,分かりやすく書きましょうということを基本にして,意味は全体的に変わっていません。今,お話ししているのは,13ページ,429行目あたりからのお話ということになります。
 今回の計画は,皆さんで合意しましたとおり,社会事象への影響ということを考えながらの地震・火山研究を打ち出していこうというふうになっております。
 それと,もう一つのポイントは,いろいろな分野の複合領域の皆さんとやっていこうというようなことが前段に明示してあるというところは変わっておりません。言葉を若干,精査してあるのみです。
 それから,私の方から御説明できるのは,458行目の(4)災害発生機構というところで,そこに先ほど申し述べました,社会側からの災害への影響がどう外力としてあるのかというようなところについて,関係分野と研究していこうというところを書かせていただいております。これについても,いろいろ御意見を賜りながら,書きぶりを分かりやすくしているというところでございます。
 それから,(5)のところなんですけれども,災害情報の高度化ということで,社会に波及効果を生むためには,まず情報として発信していくのが重要でしょうということで,ここは項を別に設けております。
 この中で特徴的なのは,これまでは予警報ということが一番の念頭にあったかというふうに思うところなんですけれども,平時から地震や火山について知っていただく啓発でありますとか,発災直後の二次災害への影響ですとか,あとは復旧・復興期のいわゆる災害関連情報,その後どう社会を立て直していくかということについても,外力の状況というようなことをお知らせしましょうというところで四つを書いております。ただ,予警報についてはもう既に取り組まれているところも多うございますので,災害情報の新しいものを始めるのではなくて,高度化というような言葉になっております。
 以上です。
【末廣主査】  ありがとうございました。
 というところで,議論に入りたいと思います。つまり,ローマ数字1の1ページ目の一番最初からローマ数字3に入る前,16ページまでの内容で,今,重立って変えたところを皆様にごく簡単に説明をしたわけですが,体制についてはこの後やりますので,議論の後にやりますので体制以外のところ,ですから16ページまでの記述の中で,体制を除いた部分で議論をお願いしたいんですけれども,一応まず大きく変えたところを順番にやりまして,そのほかに皆様の方から新たな提案,その他意見があれば,また議論の種にさせていただきたいと思います。
 最初ですが,したがって4ページ目の基本的考え方の123行目から138行目,まず124から131行目に関しては,正に基本的な姿勢を示していると思いますが,まずそれから御意見を賜りたいと思います。いかがでしょう。
 土曜日に集まった人たちは,けんけんがくがくやったので,その方たちももちろん結構なんですけれども,その場に加われなかった人の意見を是非,この場で特に拝聴したいと思います。
 はい,どうぞ。
【仲西臨時委員】  土曜日はお疲れさまでした。
 基本的考え方の,今日,配られているこの文章に至るまでの経緯も,一応,今日までにフォローしたつもりなんですけれども,ここで予知と予測について明確に,このような説明をしていることは非常によいと思いました。非常に分かりやすいと思いました。
 ここの文章はタイトルにも関わってくることだったので,この後,タイトルの議論はされるんだと思うんですけれども,私は予知という言葉を残す方に賛成ですので,この文章でもいいんですけれども,その前に保立専門委員,宮澤専門委員が仰っていた予知・予測を並列するという選択肢もありかなというふうに思っています。ここにこのように書かれていれば,読む人は読みますし,個人的には地震の専門家が予知・予測の違いにこだわることも実施していく上では重要かもしれませんが,むしろこういう細かいところまで読まない方たち,一般の方たちが分かるようなというか,我々が一般の方たちが見ている方も見ているということを示すためにも,そういったタイトル,ここの説明に合うようなタイトルにしていくのが良いと思います。基本的に賛成です。
 以上です。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。
【今給黎臨時委員】  私も,直前にメーリンググループに投げましたけれども,この基本的な考え方の124行目からの丸と132行目からの丸のところで書かれている,ここが正に今回の新しくなる計画の姿勢を示す非常に重要なポイントだと思うんです。今までの計画,それから一つ前の計画,つまりこの5年間,10年間のところでは,やはり予知というタイトルが付いた計画であるけれども,中では予測システムの確立というか,そういうようなことを目指してきていて,それを一生懸命やってきた人たちは説明してきていたんだけれども,結局,その中身についての理解はされなかったんですね。それは,どちらかというと理学者の立場からの言葉の定義と,それを説明するというスタンスがどうしても抜けていなかった。今回は,正に社会の方がどう理解しているか。どうしてもらうかではなくて,しているかに基づいて,それに寄り添う形でこの計画がどういうようなことを目指しているかということを書いているということで,この書き方は非常に画期的だと私は思います。予知という言葉は私も残した方が良いと思いますし,予知・予測両方を並べるのも有りだという点では,私も同じ意見です。
 以上です。
【橋田臨時委員】  言葉の問題はいろいろ言いたいところはあるんですが,それは置いておいて,124行目からのパラグラフが今,議論の対象になっていると思いますので,幾つかお話をしたいと思います。
 まず,最初の124行目については,括弧書きで書いていただいている部分があって,このまま使うか,どちらかを採用した方が良いという背景があるようにも思うんですけれども,どちらでもいいけれども,私としては,括弧書きはなくてもいいかなというぐらいの印象は持っていますというのが,まず一つでございます。
 それから,131行目のところに「そのような転換点にあると認識する」という,この転換点の主語は本計画なんでしょうかという書いた人への確認です。計画が転換点でもいいかなという気もするんですが,何か,時なのかどうか。そこはすごくロジックにこだわった質問なので,確認の意味でお話をしていただくのが2点目。
 3点目は,もう少し漠としておりまして,今回,例えば地震に関して言えば,地震の発生を予測するという従来の,何ていうんでしょうか,非常に厳密な意味といいますか,先鋭的な意味での予測にこだわっていたものを,もう少し広い意味での災害予測をしなければならないということをこのパラグラフでは言っているんですけれども,129行目では「このために」と書いていて,「災害発生の場所,規模」と書いておるのですけれども,私みたいにぼーっと読んでいると,今回,対象が広がっていたことを,もう一歩工夫をして明確にした方が良いのではないか。何となく,やはり従来の思いで読んでいると,地震発生の予測みたいなものをそのまま引きずって,場所,規模,時間と読んでしまいそうになる。厳密に読むと,いや,そう書いてないといえばそのとおりなんですけれども,「災害を起こす原因に遡った理解に基づく方策を探る必要がある」ところまではよくて,「災害を想定して備えることが予防措置の基本になる」ということもいい,基本か基礎なのかもいいとして,このための文章をもう一文詳しく,ちょっと提案ができないんですが,現象の把握,予測から始まって,それぞれの災害が発生に至る,あるいは発展に至るそれぞれにおいて,必要な予測をしていくというような趣旨をもう少し盛り込んでいただくと,ああ,そういうことなのかということが分かるのではないかという印象を,このパラグラフについては持ちました。
 以上,3点です。
【末廣主査】  ただいま橋田臨時委員から3点の指摘を頂きました。最初の括弧書きのところは,これはどういう趣旨でしたか。
【森田科学官】  文章をまとめたのが私なので,ちょっと説明させていただきます。
 土曜日のときの議論,これはいずれかという話でした。いずれかといったときに,なるべく分かりやすいように「国民の命と暮らしを守るため」ぐらいにしようという意見と,防災基本法を知っているよということを示すために,「国土ならびに国民の説明,身体及び財産を災害から保護するための」と,これ,いずれが良いだろうかということをその場で議論しましたが,決着を付けるのは委員会だろうということで,ここに持ち越しております。
【末廣主査】  橋田臨時委員,そういうことでございます。
それで,橋田臨時委員としては,必ずしも防災基本法の字句を使わずとも,「国民の生命と暮らしを守るための」でよろしいのではないかという御意見ですね。
【橋田臨時委員】  あるいは,これでシンプル過ぎるというのなら,もう少しハイブリッド的に「生命,身体」とか入れるぐらいで,こんなに厳密に書く必要はないのではなかろうかという印象は持っております。前でもいいです。
【末廣主査】  この点に関して,何か積極的な意見お持ちの方いらっしゃいますか。
【小泉臨時委員】  「国土」というところに,この計画で国土を守れるかと言われると,ひっ掛かるというところがあったので,括弧内は取って良いのではないかと私も思います。つまり,前半の方で,非常に分かりやすくていいと思います。
【平田委員】  よく使うフレーズは,「命」と「財産」なんですね。財産まで書くと,じゃあ国土はということになったんですね。
【田村専門委員】  ありがとうございます。それが言いたかったんです。
【平田委員】  それで,柔らかく「暮らし」としたら,暮らしの中には財産も入っているのかなと。だから,私も柔らかい方でいいのではないかと思いますけれども,割と厳密に,災害科学と言ったときには国土を守るまで含めるんだという意見がもしあればですけれども,どうもあまりなかったような印象を私も持っています。
【田村専門委員】  あえてなんですけれども,国民は多分,国土を守ってもらう人は皆様方だという認識はある。国土を守るということをどういう意味で捉えるかということだと思うんですけれども,国土に一番近いのは皆様方だと思っているという認識は,やはり外してはいけないのではないかと思って発言させていただきました。ただ,分かりやすいという意味では,国民の生命と暮らしということでよいかと思います。
【末廣主査】  ほかに御意見ある方。国土がなければ暮らしもできないしね。
【田村専門委員】  そうなんです。国土を守ってほしい。
【末廣主査】  それでは,ここのところは,どちらかにするかということに関して,この委員会で議論するということだったようですけれども,今,伺ったところでは,やわらかい「国民の生命と暮らしを守るための」で良いという方が全員で,かつ反対意見がございませんので,そちらを採用することとしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【末廣主査】  ありがとうございました。
 それでは,2番目のポイントですが,ここのところは実は私がエイヤーと書いたところを森田科学官が持ってきたんだと思います。ですから,これまで綿々とやってきた計画が,現時点でそういう転換点にあるという意味で私は書きましたけれども,橋田臨時委員,いかがでしょう。日本語がおかしいですか。
【橋田臨時委員】  私は,本計画が転換点であると思うならば,それはそれで日本語だと思うので,いいのかなと思うんですけれども,書かれた方がそれ以外の意図を,転換点をタイミングだとかいろいろな趣旨で書いているのか,そこをちょっと読み切れなかったんですけれども,今の転換点を計画だけにかぶせても,それは私は,ここはここでいいのではないかとも思いますが。
【末廣主査】  全然深く考えないでいろいろ,そんな難しく読めるのかと,今,感心しているんですが,私ごときでは分かりませんので,ちょっと意見をください。別の言い方で,いろいろ考え込まないようにするためには,何か提案がありませんでしょうか。あるいは,転換点というのはもっと前に来ていて,もうかじは切り始めていたんだという考え方の人もいるのではないかという気もしますけれども,今,ここで偉そうに転換点と言うのはいかがかなものかという意見も,あってもおかしくないですね。
【小泉臨時委員】  すみません。この文章,私も大変気に入ったんですが,橋田臨時委員に言われて,そうかと。作っている我々は,イメージとしては,本計画はそのような転換点にあると認識して作られているというイメージだったと私は思います。それをそういう書き方にするかだけの問題です。我々の全体の意識として,そういう転換点に今,我々はいて,それでこの計画を作っていると,そういう意識の下に生まれた文章だと私は理解しました。それを表現するのに,より良い表現がなかなか私は思い付きません。あったら,それを提案していただければいいかなというふうに思います。これは,ある意味,我々の決意を示している文章かなと。
【末廣主査】  ただいまの意見に,皆さん,賛成でしょうか。もし変えた方が良いとなれば,今,この場でできることならやってしまった方が良いんですが。ただ,ここは長期的な方向のところで言っているので。
【小泉臨時委員】  だから,正確に言うと,主語は我々なんですよね。実は,認識しているのは我々なんです。ですから,それを明確に書くかどうかだと思います。
【保立専門委員】  この文章は,主査の書かれた文章をこちらに持ってきたわけですけれども,主査の書かれた文章は2ページの42行目にあります。  「以上を踏まえ,かつ以下に記述する経緯と成果に鑑みて」というところを取って「そこに依拠する」という文章に換えたものですから,橋田臨時委員が仰ったように,語法的にちょっと正確でないところが残ったのかと思います。長さに問題がありませんでしたら,主査の文章をそのまま生かして「以上を踏まえ,かつ以下に記述する経緯と成果に鑑みて,本計画は」という形にすれば,問題はないのではないかと思います。少し長くなりますが。
【末廣主査】  ですから,42,43行目にも同じ,重なる部分が残っているんですよね。
【田村専門委員】  消さないと駄目ですね。
【末廣主査】  42,43行目に入れた理由は,現状認識を人から言われたことばかり書いているのではなくて,自分たちがどう思うかというところが欠けているという指摘があって入れたんです。ですから,もう一つは,基本的考え方,4ページの方で再度言う必要があるかということもあろうかと思います。
【保立専門委員】  どうも失礼しました。私が主査の文章をこちらに持ってきてしまったんですけれども,前の方をむしろ削った方が良いように思います。第1番目の丸は,本計画は災害科学の一部あると見なすべきであるという学術的な立場からの宣言があり,最後に現在の研究計画はどういう転換点にあるかということを認識するという形で,対応する結論を,二つ宣言をしているということになると思いますので,ここでまとめた方が良いかというふうに思いますけれども,いかがでしょう。
【末廣主査】  そうしますと,ただいまの御提案は,42,43行目を削除して,130,131行目のところに置き換えると。日本語を合わせないといけないので,「以上を踏まえ」でいいわけですね。
 科学官,いかが。
【森田科学官】  それでもいいですけれども,42,43行目の後に「以上のような指摘を踏まえ,これまでの成果を鑑みて次の研究を作る」とか,それぐらいの文章は入れた方が良いと思います。
【末廣主査】  分かりました。1の趣旨を貫徹するためにということで,今の提案は,42行目の前半の趣旨をさらっと書いて,決意表明は130,131行目に移すということでよろしいでしょうか。
【小泉臨時委員】  ちょっと反するようですけれど,この文章は非常にいいので,二度繰り返してもいいかなと僕は個人的に思います。というのは,気に入っているものですから,42,43行目もやはりきちんと残した上で,最小限の修正で直すとすれば,131行目のところは「そのような転換点にあると認識して作成された」とすれば,日本語としては問題なくなると私は理解します。「本計画は作成された」と受けるわけです。その心は,41,42,43行目に書いてありますと言えばいいかなというのが私のアイデアですが。
【今給黎臨時委員】  実は,私も今,ここを自分でどう直すんだろうと思っていて,小泉臨時委員とほとんど同じことを考えていたので,やはり考えるとそうなるのかなと。私は「作成された」より,役人ですから「策定された」という言葉を思っていたんですが。それだけです。
【末廣主査】  では,まず130,131行目の方は「そのような転換点にあると認識して策定された」ということでよろしいですか。
【平田委員】  「された」ではなくて「する」が良いんじゃないですか。「本計画は……と認識して策定する」。
【末廣主査】  ただいまの小泉臨時委員の意見は,42,43行目にも残しておいていいのではないかという意見ですが,こうなると難しいですね。
【保立専門委員】  それは,文章を書かれた主査が決められればいいのではないでしょうか。みんな,この文章をいいというふうに言っているわけですから。
【末廣主査】  分かりました。それでは,科学官と相談して決めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 もう一つ,橋田臨時委員の3番目の論点は,同じ124行目から131行目のところで,「このために,災害発生の場所,規模,時期,推移を予測することが重要である」と言うと,今までとどこが変わったのかということでしょうか。
【橋田臨時委員】  そういうことです。災害発生と言った瞬間に幅が広がったことは分かるんですけれども,何となく,十分伝わり切らないかなと。このパラグラフだけで,生まれ変わったんだということが分かるようにしなければならないのではないかと思います。
【末廣主査】  的確な御指摘だと思います。
【田村専門委員】  先ほど橋田臨時委員が少し言葉を足して説明されたので,少し作文をしてみました。「社会の要請を受けて,災害発生の場所,規模,時期などの現象の予測に始まり,災害の発展段階に応じて重要な事象の推移を予測することが重要である」。
【平田委員】  「重要」が2度ある。
【田村専門委員】  じゃ,それはちょっと直してください。「必要である」か。
【末廣主査】  橋田臨時委員,いかがですか。
【橋田臨時委員】  皆さんがよければいいです。
【末廣主査】  皆さん,いかがですか。
 それでは,それを採用することにしましょう。
【宮澤専門委員】  最初の「社会の要請を受けて」というのを付けた理由が少し分からなかったんです。つまり,地震とか火山噴火というのは人が住んでいないところで起きることもあって,必ずしも人に対して災いにならないような現象もありますよね。実際にはそういったものも起きるんですが,そういったものも実は対象にする研究になっていますよね。
【田村専門委員】  まず,認識が違うんですけれども,人がいないところで起きたものは社会科学では災害とは呼ばないので大丈夫なんですけれども,「社会の要請を受けて」は省いていただいても結構です。
【宮澤専門委員】  うまく言葉を自分の中で捉えていなかったかもしれないんですけれども,つまり災害にならなくても,実際に地震発生とか火山噴火現象については研究するので,災害に特化してしまうような言い方なのかなと思ったんですが,そうではないということでしょうか。
【平田委員】  それは転換点で,我々は今まではそうだったんです。人の住んでいないところの地震も,人の住んでいないところの火山噴火も同じように研究していたけれども,もちろん研究はするんですけれども,それは結局,人の住んでいるところの地震の災害軽減に役立たせるために,人の住んでいないところの地震や火山も研究するんだと,そういうスタンスに転換するんだという意思表示だから,今,言われたような修文で私はいいかなと思うんですが。
【宮澤専門委員】  意味が分かりました。
【末廣主査】  では,大体ここのところはよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 次は,ロードマップのところで議論を頂きたいと思います。大分変わりましたので,いろいろ御意見がおありかと思いますけれども,まず最初に災害科学としてのロードマップ,地震,津波,火山,共通する部分を抜き出して書いたというのがあります。
【橋田臨時委員】  先に一つ,構造についていいですか。178行目から書いていただいているんですけれども,その後,括弧の見出しが残るかどうか分からないんですが,ずっと地震,津波,火山噴火によるやつを持っていって,8ページの255行目からまた共通のことを書き始めるんですけれども,共通なら共通でまとめる方が良いのかなという気はしますけれど,もし,まとめないのであれば,この間に何か入れないと,ぱっと分かりたい私などにとっては,255行目から265行目を前の185行目以降につなげるような工夫をしていただくとありがたいかなと。それも,災害科学としてのロードマップの一部になり得るのではないかと思うし,そのように書くのが良いのではないかと思います。
 同時に,183行目ですか。185行目の後につなげるにしろ,183行目のところで,非常に客観的に「違いはない」とか「しかしながら」「異なる」というように書いていただいているんですが,ロードマップの観点から言うと,もう少しポジティブに書いていただくのが良いかなというように思っております。例えば,182行目から「地震と火山噴火ともに……違いはない」と始まりますけれども,二つの予測の成果は確かに災害対策の基礎となる重要な事項であり,時空間スケールや先行何とかの違いなどが多いとか,あるいは,それぞれの災害を軽減する方策は違うけれども,違うことから具体的に予測に向けて,それぞれについて具体的に取組を進めていく必要があるとか,そういう意思を示す形で入れていただいた方がロードマップっぽいかなという印象があります。
 以上です。
【加藤主査代理】  簡単なことの方からですけれども,255行目からですが,多分,ロードマップと違うものが残ってしまっていますね。
【平田委員】  削除し忘れています。
【加藤主査代理】  これは,多分,連携の部分のものが残っているんだと思います。ですので,ロードマップは254行目で終わりです。すみませんでした。
【平田委員】  その次も。255行目から265行目まで全部です。丸二つ分。
【末廣主査】  橋田臨時委員。
【橋田臨時委員】  図らずも,消し忘れたということなのかもしれませんが,私にとっては,この事項は極めて重要な事項なのではないかというように思っています。それは,関係するところと連携しながら進んでいくというのは,途中の目標に向けてやるべき行動を示しているわけですので,255行目から書いてある文章をそのまま使えとは言いませんけれども,こういう学際的な方法を取りながらやっていくということは書くべきであるし,そのための体制の在り方についても言及することは,何らロードマップの趣旨から外れるものではないと,私自身は思います。
【加藤主査代理】  すみません。ロードマップに書くべきかどうかはあれなんですけれども,その後の体制の整備のところで,例えば255行目からのところに対応するのが298行目のところというように,内容は残っています。
【平田委員】  すみません。255行目から265行目については,今,御指摘があった9ページのところに持っていって短くして,元の文を削除するはずたったものが残ってしまっていますので,全くこれは,テクニカルにまず削除してください。それで,内容をロードマップの中に復活する必要があるというのであれば,またちょっと文章の書き方を変えて,255行目から265行目そのものが298行目からにはなっていませんので,これと不足のところがあればもうちょっと考えて,内容はここに移しますが,そもそも長期的なロードマップという中に固有名詞がいっぱい出てきて少し変なので,これは修正します。
【末廣主査】  それでは,まず255行目から265行目は消してください。その趣旨は,体制のところに盛り込まれている。例えば,298行目から302行目です。
 一方,災害科学としてのロードマップにとって,(1)(2)とありますが,いわば(3)として,ここの趣旨を上手に書き込んだ方がよろしいのではないかという御指摘ですが,その点はいかがでしょう。皆さんが賛成ということであれば,書き込むべきだという思いますが。みんな,うなずいていますか。
 加藤主査代理,いかがですか。
【加藤主査代理】  ロードマップには,例えば203行目に「歴史学,地質学の成果を活用し」であるとか,217行目に予測情報のことが書いてあるとか,連携のことは部分的に入っていますが,まとめては入ってないです。この辺をもっと充実させて書くようにという御意見があれば,考えたいと思います。
【仲西臨時委員】  すみません。ちょっと関連するか,ちょっとずれるか分からないんですけれども,ロードマップとは何ぞやというところに戻ってしまうかもしれないんですけれども,この計画は地震とか火山が一緒になったということに重要な意義があるということですので,私が読み落としているのであれば申し訳ないんですが,地震と火山の研究が,一緒に何かやるような記載が見つけられなくて,今のお話とちょっと関係するかもしれないんですけれども,体制の話と絡めて,地震と火山がどのように連携して,どういうふうに進めていくかというのを,きっと実施内容の方にはあるはずなので,ここに書いた方が良いのではないかというふうに思いました。
 以上です。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 今,ここで連携を,ロードマップに(3)としてもし入れるとしたら,学際的な連携が一つあろうかと思いますが,あった方が格好いいことは間違いないんですけれども,積極的に災害科学としてのロードマップに(3)として,短くてよろしいんだと思いますけれども,数行,連携について書くということに関して,皆さん静かなのは消極的なんでしょうか。
【平田委員】  ちょっと意見です。連携もさることながら,7ページの217,218行目に不確実な情報の利用方法について云々(うんぬん)という文章があって,これは地震と火山,両方に入ると私は思います。火山の人は反対かもしれませんが。
【藤井委員】  火山は反対じゃないです。
【平田委員】  なので,これは5ページの178行目からの丸のところに,むしろ3として書いていくのが良いのではないか。それで,分野間の連携というのは,当たり前ではないけれども,良いのではないかと私もちょっと思いました。それぞれ書いてありますね。地震については203行目から,火山についてもどこかに書いてあったので。
 すみません,元の提案についてはあまり意見を言っていなくて,別なことを提案しました。
【末廣主査】  では,まず連携については,それぞれのところに書いてあるということで,橋田臨時委員は,255行目からの文章があるんだったら,当然これは両方に関わるんだから,前にやるべきだという御指摘だったと思いますけれども,これが消えた今,かつ連携についてはそれぞれのロードマップに書き込まれているという場合でも,なおかつ入れた方が良いですか。
【橋田臨時委員】  私は,やはり入れた方が良いのではないかという印象を持っています。
【寺田地震・防災研究課長】  よろしいですか。ロードマップのところにそれぞれ書いてあるのは,他の学問の成果を活用すると書いてあるだけで,一緒にやるというところの記述がないので,橋田臨時委員が仰られたみたいに一緒にやるというところをうまく書き加えないと,ばらばらにやっている感がそのまま残ってしまうのではないかという気がします。
【末廣主査】  私も課長に賛成でございますが,ほかの委員の方。
【平田委員】  では,私,撤回して賛成します。
【末廣主査】  では,(3)の文書をちょっと考えてもらうということで,かつ217,218行目ですね。災害軽減にいかに不確実性を含む情報を活用するかということも含めて,数行で書いていただきたいんですが,科学官,お願いします。
【森田科学官】  では,私が書くという話ですね。
【末廣主査】  そうです。
【森田科学官】  はい,分かりました。多分,今の話,一番最初に災害を軽減するにはというふうに入っていますので,3番目に情報発信の話を書いて,4番目に非常にサイクルが長い地震・火山現象を知るにはいろいろな分野の連携が必要でなるというようなまとめ,3,4とすればいいのではないかと,私は,,思っています。
【平田委員】  逆の方が良いんじゃないですか。
【森田科学官】  逆の方がいいと委員が仰るのでそのとおりに。
【末廣主査】  それから,もう一つ橋田臨時委員の,(2)の最後のところ,もっとポジティブな感じで受け止める日本語にしてほしいというのは,確かにそのとおりで,加藤主査代理,それぞれ取り組むみたいな日本語にちょっと換えて,お願いします。
【末廣主査】  私から質問でございますが,182行目の「地震・火山噴火とともに,この二つの予測が災害対策の基本であることに違いはない」というのはかなりすごいステートメントだと思うんですが,そうなんでしょうか。
【田村専門委員】  そうです。
【末廣主査】  「この二つの予測が災害対策の基本であることに違いはない」というのは,中央防災会議から何からみんな同じことを言っているんでしょうか。
【橋田臨時委員】  言っているとは思えないね。
【末廣主査】  井口臨時委員。
【井口臨時委員】  よろしいですか。そこの(2)のところですけれども,それとそのまま関係することだと思うんですけれども,「それに伴う地震動や津波,火砕流や降灰,溶岩流などを直前に予測することにより」と書いてありますけれども,これ自身は現象予測ですよね。現象予測から,要するに災害予測をやらないといけないはずなので,災害予測をやって初めて災害予測が災害対策の基本となることは間違いないと,違いないということになるのではないでしょうか。ですから,ここのロードマップのところで,災害予測という言葉が抜けているような気がするんです。現象予測にしかなってないというふうに読めます。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 (2)の文章をもう少し練る必要があるということだと思いますが,確かに現象予測に留まっていますね。そういう御指摘を頂いたということで,これはまた……。
【井口臨時委員】  科学官の仕事……。
【末廣主査】  誰か考えて。井口臨時委員,考えていただけますか。
【井口臨時委員】  科学官です。
【末廣主査】  いや,科学官は今,一つ宿題を出してしまったので,ちょっとお願いします。
 ほかにいかがでしょう。では,また私から質問。236行目の「火山観測網は……観測項目や観測点数」が「今なお必ずしも十分ではない」というのは,何を言いたいんでしょうか。
【藤井委員】  うん,確かに文章が変だね。
【西村主査代理】  では,一応説明を。「今なお必ずしも十分ではない」というのは,幾つかの火山では多数の観測点がありますけれども,1点しかない,あるいは数点しかないというような観測点があるのが現状ですので,それをもって,そういうものであると,なかなか火山に伴う地震現象とか地殻変動がきちんと捉えられないという意味があって,「今なお必ずしも十分ではない」という表現にしました。
【末廣主査】  例えば,どこかよその人にそういう評価を受けたとか,あるんでしょうか。
【井口臨時委員】  よろしいですか。これは,観測点数や項目,常時観測されている火山というのは,多分,気象庁で47火山しかないはずなので,一方で,その47火山以上でも既に異常が出ているということは,この間の予知連でも報告されておりますので,それは十分ではないと。今,観測している火山であっても項目と観測点数が十分ではない。さらに,観測すらされてない火山もたくさんあるということだと思います。
【末廣主査】  そうすると,「今なお十分ではない」ではいけないんですか。
【藤井委員】  「必ずしも」が要らないんじゃないか。
【井口臨時委員】  それは要らないですよね。ええ。そのとおりです。
【末廣主査】  「必ずしも」を取るということでよろしいですか。
【西村主査代理】  はい,了解です。
【末廣主査】  あと,252行目で,いいとは思うんですけれども,「長期的な予測へのロードマップの中で,今期の計画では」と今期の計画に言及しているんですけれども,これは皆さん抵抗感ないですか。
【西村主査代理】  では,一つ説明だけ。ロードマップの中には,長期的なものと,それから今期で何をやるかということを書いた方が良いという意見もありましたので,火山について入れるとしたら,書いてある,事象分岐の判定方法を加えた新たな噴火事象系統樹のプロトタイプを作るのが重要だと思いましたので,入れました。
【末廣主査】  はい,了解しました。ありがとうございます。
【平田委員】  だけど,これは文章の構成としては,長期的な方向をここに書いて,その次の2のところで本計画の基本的考え方だから,フォーマリズムからいったら書かない方が私は良いと思うんですが。つまり,252行目,事象分岐だけをやるわけではないわけですよね。だから,非常に重要だからここに書いたというのであれば書けるけれども,ここはさらっと,むしろ一つ前の「災害の軽減を目指す」で終わった方が読みやすいと思いますけれども,いががでしょうか。
【井口臨時委員】  非常に重要かどうかということでいうと,これは多分,非常に重要だと思います。事象分岐というのは,予知そのものの判断のことを言っているはずなので,重要であるかどうかというと非常に重要であるという認識だと思います。
【平田委員】  そうしたら,提案は,「今期の計画では」というのはむしろ取ってしまって,「長期的な予測へのロードマップの中で,とくに,事象分岐の……は重要」というふうに書かれたらいかがでしょうか。
【井口臨時委員】  ええ,そう思います。
【末廣主査】  では,今のを採用します。
【保立専門委員】  前に戻るようで申し訳ありませんが,災害科学としてのロードマップのところですが,発言をしてよろしいでしょうか。土曜日にも議論をしたと思うんですけれども,先ほど課長の言われたことにも関係しますが,要するに災害科学という科学領域なり,学術の在り方はまだできていないわけで,それをある形では作らなければいけない。それをロードマップに入れた方が良いのではないかというように考えますが,いかがでしょうか。例えば,3として,「これらを踏まえて,理学だけでなく,工学,社会科学,歴史学,考古学などの諸学術との連携の上に,災害科学の中核としての地震学,火山学の在り方を確定する」というような文章を入れておいたらいかがかというように思います。
 前回の議論を伺っていましても,ロードマップをどういう形で明朗に打ち出しているかというのは,相当大きな議論になるのではないかと思います。ロードマップの上で,諸学術との連携の上に災害科学の中核としての地震学,火山学の在り方を作り出すということは,確実にロードマップの一つとして提示できるというように考えます。今の文章は185行目の後になりますけれども,例えばこういう文章を入れておけば,ロードマップとしての説得性と申しますか,ロードマップとしての奥行きのようなものが示せるかもしれないというふうに考えました。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 森田科学官,今のはあなたの文章に入っているんですか。
【森田科学官】  例えば,それを3のところで,連携が必要であるというところを少し強調して書くというのはいかがでしょうか。1,2,3,4と並べた後に,更にもう一度書くのではなくて,3の中で連携が必要であるというような趣旨のところで,今,保立専門委員が言われたようなことを,災害科学として確立することが重要であると。
【保立専門委員】  3のところと申しますと。
【森田科学官】  今,ここで1,2と出ていて,3,4を作れという宿題が出ています。
【保立専門委員】  ああ,そうですね。はいはい。場所はそうだろうと思います。要するに,連携をするということでなく,一緒に作れというふうに先ほど課長は言いましたけれども,その趣旨を言い換えただけです。
【末廣主査】  では,その方向で提案をお願いします。
 ほかにございましょうか。ロードマップのところ全部です。皆さんから頂いたコメントで対応し忘れたところはあるかな。
 小泉臨時委員。
【小泉臨時委員】  これはちょっと加藤主査代理らと議論したところですけれども,187行目から195行目にかけての予測1,2,3,4の並びです。実は,3というのはあえて時系列を逆にしてあるんですね。私は,ざっと読んで時系列どおりにした方が良いと思ったんですけれども,議論した結果,加藤主査代理も最初は時系列どおりにしていたけれども,あえてこうしたというふうに仰っているので,この順番,私もだんだん迷ってきましたけれども,どちらがいい,分かりやすいかということで,ここで決めていただけたらいいかなというふうに思います。
【末廣主査】  御指摘ありがとうございます。確かにそのとおりで,皆さん,この委員会で積極的に,この1,2,3,4でいいのかどうか確認をお願いします。
【橋田臨時委員】  私は,この地震の方の書きぶり,順番はいいなと,このままでいいと思っておりました。一方で,火山の方を読み出すと,これまた違う,段階1,2,3,4と書いてあるから,何だ,地震と火山,全然違う切り口でロードマップを書くのねと,そういうように読めてしまうことの方がむしろ何か気になってしまいました。この人たち,やはり違う人たちなんですねということがよく分かると,そういうことなんだと思うんですね。なので,ここでそろえろというのも何なので,何とも言えないんですけれども,地震はよくこの順番で頭を転換して書いていただいていいなと,火山もこのように書いてもらう方が良いかなとも思うんですけれども,やはり火山の立場に立つと,火山のような切り口で地震を書いていただく方が良いのか。それとも,このままでいいのか。そこはちょっと悩ましいところです。いずれにしても,私は,地震と火山は別々でいいというのだったら,地震はこのままでいいのではないかというように思います。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 今の点は,土曜日にもいろいろ議論いたしまして,結局,ここに落ち着いたわけでございます。まあ,リンゴとオレンジだと。
 ほかにありましょうか。
 それでは,ロードマップの次は,災害誘因研究の概要のところで御意見があればお願いします。ですから,13ページということになります。
【橋田臨時委員】  度々すみません。災害誘因に入るところで,「誘因」という言葉が何度出てくるか,どの順番に出てくるか,そういうことをやらせていただきましたら,最初に出てくるのが,元に戻って申し訳ないんですが,実は188行目のロードマップのところに初めて災害誘因と出てくるんです。いきなり出てくるのねといって,後ろの方になるといろいろな説明が出てくるんですけれども,私は分からなくはないですけれども,あえて後ろで書くのであれば,もう少し誘因に関する事項を,何か前に書く工夫をしておいていただくといいなというように思っております。
 可能性があるのだったら,実用科学の151行目の辺りに災害を起こす現象の予測とかあるので,その辺りに入れていただいて,少し説明するのが良いか,あるいは災害科学としてのロードマップの周辺に入れていただくようなことを少しやった上で,それぞれ地震と津波や火山のロードマップに,災害誘因発生のロードマップのところにつなげていただく必要があるのでないかというように思っております。そういうことを踏まえつつ,13ページ,もう既に10ページで書いているような内容が一部行くのが良いかもしれません。
 すみません,ちょっと戻ってしまいましたけれども,コメントです。
【末廣主査】  今の点は,多分,読みやすさが重要ですから,ちょっと検討した方が良いと思います。本日のまとめに入れるかどうかは,まだちょっと,この先の議論次第ということにさせていただきたいと思います。基本的には,前の方での説明を考慮するということにしたいと思います。
 そういうことで,13ページの429行目から,(1)(2)(3)(4)(5)は橋田臨時委員と田村専門委員とのメールでの議論を踏まえた改定です。それで,後で議論しますけれども,ローマ数字の3で,ここに書いてあることを本当のところどうやるのということも書いてありますので,まあまあ,頑張っていただいたのかなと思うんですが,いかがでしょう。
【小泉臨時委員】  ちょっとよろしいですか。これ,土曜日にやったときは,ここのところの書き方は,この429行目から438行目の書き方と,それから橋田臨時委員の案とがあって,どちらにするかという話があったときに,素因と誘因の説明がちゃんとあった方が良いということになって,429行目から438行目の書き方になったというふうに私は理解していますけれども,橋田臨時委員仰るとおり,そういえばその前で全然説明していなかったので,それを早めに説明するとすれば,先ほど言われた152行目から153行目のところに,初めて出てくる言葉ですから,素因と誘因の説明をある程度入れて,429行目から438行目のところは簡単にするという選択肢もあるのかなと思いましたという話です。
【田村専門委員】  私は,逆に前の,先ほどのロードマップのところはもう取ってしまったらどうかなというふうに思うんですが。地震・津波による災害発生の予測へのロードマップと,火山の方もなんですけれども,そういうふうする。
【小泉臨時委員】  誘因を取ってしまうわけですね。
【田村専門委員】  そうですね。多分,いきなり出てくると,すごくフューチャーしていただけるのは私の分野としてはありがたいことなんですけれども,いきなり出てくるとびっくりするかなというふうに思います。
【加藤主査代理】  括弧書きは,ほとんどの部分は後で取ってしまうというふうに,今のところ理解しやすいように付いているので,後で取るものだと理解していますが。ロードマップぐらいは残してもいいのかもしれないですけれども,これまでの建議の書き方を見ると,あまりこういうものを書いてないので,今は議論するときにやりやすいようにと思って付けているんだと思っていました。
【平田委員】  取ったら何が何やら分からなくなりますが。
【加藤主査代理】  付けたままの方が良いんですか。
【末廣主査】  だから,分かりやすくしましょうよ。それで,今の点は,発生を横棒で消していますけれども,そちらを生かして誘因を消すという提案ですが。
【加藤主査代理】  はい。
【橋田臨時委員】  それもいいかなと思ったんですが,私,今日,先ほど言ったように「誘因」を検索しましたら,1にまだ,例えば9ページに誘因が結構あるんですよね。これも全部消していただく工夫ができるならいいという,条件付きで了解したいと思います。作文,頑張ってください。
【末廣主査】  はい,分かりました。確かに,292行目もありますね。では,検索して,きちんと説明するところまでこらえると。
【橋田臨時委員】  いっぱいありますからね。前にあった方が良いような気がしますけどね。
【末廣主査】  唐突感を与えるところは,確かに直した方が良いと思いますので,その方針でいきたいと思います。
 この中身のところはいかがですか。
【平田委員】  収束していますけれども,やはり転換点であるとか,大きく方針を変えたというのは,正にこのハザードの予測という,災害誘因の予測というのを入れたところなので,なるべく早い段階でそのステートメントはあった方が良いので,実用科学か,あるいはロードマップでもいいですけれども,どちらかそこで,基本的考え方として長期的な方向のところで転換点,方向を変えたという文脈で災害素因,誘因の話を,だから後ろの方にあるやつをうまく前に持ってくればいいのではないかと思います。そういうふうに変えた方が良いかなと思います。
【田村専門委員】  例えばなんですけれども,124行目から131行目のところに少し,2行目ぐらいで。こう言ったら作文してくださいと言われそうな気がするんですけれども,ここぐらいはどうでしょうか。やはり。やりましょうか。
【末廣主査】  ありがとうございました。では,そこで入れていただいて,そうするとほかを生かすことはできるでしょうね。
【井口臨時委員】  こんなことを言うと,今さらそんなことを蒸し返すなと言われそうなんですけれども,10ページで,(1)(2)(3)(4)なんですけれども,現象の解明のための研究,それから予測のための研究,そして災害誘因予測のための研究,私は,これはやはり(1)(2)(3)を逆にした方が良いのではないかというふうに思っています。
 その理由は,やはりローマ数字1で書かれている基本的考え方というところで,災害誘因というのが全面的に押し出されているんですね。これが非常に重要だというふうに書かれているにも関わらず,実際に入っていくときは何で現象の解明のための研究が1番に来るのかというのは非常に違和感があります。それは,前のところで,1番でこれだけ立派なことを言いながら,実際に計画を策定してみたら,やはり現象の解明のための研究かというふうに読めてしまうんです。ローマ数字1に書いている趣旨に,この順番はどうもなじまないんですね。入った段階で,何で現象の解明のための研究が1番に来てしまうのかということで,ここで止まってしまうような気がするんですが,いかがでしょうか。
【末廣主査】  メーリングというか,メールでも御意見頂いて,土曜日にもいろいろ議論した点でございます。いかがでしょう。土曜日の段階では,いろいろ議論した結果,このままの順番でということになったんですけれども,今,こうやって全員そろったところで,いや,やはり井口臨時委員の言うことがもっともであるということであれば,当然,再考すべきかと思いますが。
【今給黎臨時委員】  土曜日の議論にちょっと参加できなかったので,今,井口臨時委員の仰るような意見があるにも関わらず,この順番が採用されている最も強い理由は何だったのかをちょっと御説明いただければ議論しやすいんですが。
【保立専門委員】  正確に思い出せるわけではないんですけれども,今までの議論の経過からいきますと,先ほど全員がほぼ賛同をした主査の文章と,それから平田委員が災害科学ということを定義したのが前回だったと思います。その頃から,災害科学を中心にしてという形の議論が非常にはっきりしてきたということだと思うんです。これは,その経過を反映した形での文章,編別構成になっておりますので,私は今のところ,今の編別構成を,今の順序を残した方が良いのではないか。飽くまでも中心は地震学,火山学の研究計画でありまして,その中で議論をしてきた経過がこういう形で出ているというのは,尊重するべきだと私は感じるんです。
 つまり,本格的に災害科学の在り方に沿って編別構成を組み直して立てるということが今の段階で本当に適当かどうかというのは,そうあるべきだという井口臨時委員の意見は分かるんですけれども,現実にこの議論を作ってきた経過と意思の一致の仕方というのは大事だと思いますので,私はそういうふうに感じました。
【井口臨時委員】  いや,それはそのとおりだと思うんですけれども,やはり議論の途中から災害予測というか,そちらの方にどんどんシフトしていっているというのは事実で,私は,そうであるならば,逆にした方が良いのではないかという意見なんです。要するに,本音と建前が違うというのはやはりちょっとまずいと思っていて,じゃあ国民はそんなにばかなのかということなんですよ。建前であっても,ローマ数字1のようなことを書くんであれば,やはり実態がそれに伴っていかないとまずいなのではないかというふうに思っています。
【末廣主査】  私は,ちょっと関わってこなかったので何ともあれなんですけれども,保立専門委員と同じ感触を持っていまして,今,井口臨時委員の言われたことは正論だと思いますけれども,この5年で(3)(2)(1)を引っ繰り返せるようなところまで持っていけるかが,ある種この計画の試金石なのではないかと,思っています。誘因といったって,えっと絶句する人がほとんどではないかと思うんですが,そういうときにワンクッション,この5年間でどこまでいくかというのが一つあっていいのではないかと,私は思ったんですけれども,いかがでしょうか。
【井口臨時委員】  いいですか。この5年間でどこまでいけるかということで言えば,僕は今の(3)災害誘因のところが一番確実にいけるところだと思うんですよ。(1)なんて,こんないい加減と言ったらあれなんですけれども,要するにどこまでいけるか得体の知れないのが実は1であって,一番確実に点数が稼げるのが(3)であるはずなんですよ。だから,(3)が来ているんですね。それを(1)に持ってきた方が良い。一番確実にいけるのが(3)だと思います。
【橋田臨時委員】  井口臨時委員の仰ることも大変よく分かるんですけれども,やはり現実的に引っ繰り返すところまでいけないだろうというのも,それはそれで分かります。ただ,物事の進展があるという意味では,確かに災害誘因のところについては具体的に何か,5年で結果が出やすいということも事実だろうとは思います。
 一方で,私が言うのもなんですけれども,科学の一つの進め方という観点から言うと,あるいは物事を解明して,どういう仕組みで現象がいくかということで,まず現象の予測をして災害誘因につなげていくという意味では,今の(1)から(3)の流れは必ずしも不自然ではない,むしろ,その方が自然なのではないかという印象もあるので,この順番で,私は今の(1)(2)(3)の順番でいってもよろしいのではないかというように思います。
 一方で,井口臨時委員が懸念されているように,建前と本音でみたいなことがもし本当に,それぞれの研究を行う方がそのように考え,災害誘因と書いているけれども,我々は予測のことさえやればいいんだとか,専門分野ですから,予測のことが専門の方は専門でやっていただけばいいんですけれども,単に生き延びる,この計画が,自分たちが生き延びるためにあるとか,そういう発想があるならそれをむしろ変えていただくような工夫を,別途することが必要なのではないかというように思います。
 そのための一つの方法として,あまり良いアイデアではないんですけれども,もう既に322行目あたりに(1)(2)(3)で並べることの論拠を少し書いているような気がするので,もう少しそういう流れのことを,新たな気持ちで災害科学を推進するという立場に立って,どういう順番でやらなくてはならないかというと,こういう順番でやるのが良いんですというような趣旨のことを書いていただけると,生まれ変わって,かつ,どういうプロセスで進めるのが良いかというと今の(1)(2)(3)なんだと,そういうように伝える必要があるのではないかと私自身は考えます。
 ちなみに,この336行目の(3)は,今回,新たにタイトルを付け直した429行目と違っていますね。ここ,修正をお願いしたいと思います。
【末廣主査】  井口臨時委員の意見は,とても重要な御指摘で,本音と建前をまた繰り返すのかというふうに思われたら,もう終わりであります。ですから,そういうことではないということをどう担保するかというのは,やはりこの計画にきちんと書き込まれていなければいけないと思います。それは,この後,体制の整備ですね。要するに,アウトプットをどういうふうに持っていくのかということに非常に関係すると思うので,井口臨時委員,よかったらそこの議論へ進めて,その後,戻ってまた,それを含めてやはり変えた方が良いよねとなれば。
【井口臨時委員】  よろしいですか。橋田臨時委員の言われるように,(1)(2)(3)の順番というのは正にそのとおりなんです。僕は,この順番でいくということは全く反対しません。このとおりだと思います。これは正に王道であって,これこそがロードマップなんですよ。これがロードマップなんだけれども,本計画では発生予測そのものができないのに,突っ込むのが次の計画なんですよ。予測もできないのに,僕らはそれに突っ込もうとしているんだから,(3)が先に来るべきだろう。正に(1)(2)(3)というのは,本当に王道なんですよ。このとおりだと思います。全く反対しません。これこそがロードマップです。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 それでは,よろしければ研究推進体制の整備の方を1,2,3と貫徹して,いろいろ土曜日にも議論ありましたけれども,平田委員に説明をお願いしたいと思います。
【平田委員】  そうすると,ローマ数字1とローマ数字2とローマ数字3はセットになりますので,まずローマ数字1に関係したところはどこかというと8ページです。
 8ページ,先ほど削除した部分の下の266行目からあります。ここで,計画推進のための体制の整備ということで,まず基本的な考え方を述べました。この中で,これも同じフレーズを何度も繰り返していますけれども,もう一度「国民の命を守る実用科学として」と,ここは平仄(ひょうそく)を合わせる必要があれば「国民の命と暮らしを守る」とする必要があるかもしれませんが,「国民の命と暮らしを守る実用科学として,地震・火山噴火災害に関する科学」を,ここでは災害科学と呼ぼうと。つまり,自然災害の科学のうちの地震と火山の噴火に限定しているわけです。国民の命と暮らしを守る実用科学として,地震・火山噴火災害に関する科学が活用され,防災・減災に効果的に役立つためには,地震発生・火山噴火の仕組みを理解する基礎研究,それらを予測する応用研究,更に防災・減災に役立つ方策を示す開発研究を組織的に進める必要がある。
 ここで,基礎研究,応用研究,開発研究という言葉を出したのは,実は次の丸に書いてある,昨年の科学技術・学術審議会の建議の文章を受けた形で書きました。
 次の丸は,東日本大震災を踏まえた科学技術・学術政策の在り方の検討の中で,基盤研究,応用研究,開発研究のいずれの段階でも,研究の内在的動機に基づく学術研究,政府が設定する目標等に基づく戦略研究,政府の要請に基づく要請研究の三つの方法によって進められるべきであることが指摘された。また,学術研究においても,課題解決と自ら研究課題を探索し発見することが求められている。
 これは,そっくりそのままではないですけれども,ほぼ建議の文章をとってきております。
 さらに,地震・火山噴火研究においては,特に人文・社会科学も含めた研究体制の構築,海外の地震多発国との連携強化,防災や減災に十分貢献できるような研究体制の見直しなどが指摘されている。
 指摘されているのは,建議で指摘されていることです。
 そういう考えに基づいて,実施体制の整備。このかぎ括弧も後で取ってしまうつもりですけれども,分かりやすくするために今は書いてあります。後では分かりにくくなりますが。
 本計画を推進し,成果を社会の防災・減災に効果的に役立たせるためには,政府の地震・火山噴火防災施策で設定する要請や目標を十分考慮し,さらに,研究者が創意工夫に基づいて設定する本計画の成果が,防災・減災に貢献できるような体制を構築する必要がある。
 具体的にどうするかというのは,2とか3で書きます。
 大規模な地震・火山噴火は人間の生活時間に比べて発生間隔が長く,近代的な観測データが十分に得られていないことから,その発生の仕組みには未解明なことが多い。このため,長期的視点に立ち,学術的な基礎研究を主体として実施する観測研究体制が必要である。
 ここは,あえて学術的な基礎研究というのを強調しています。
 同時に,長期にわたる継続的な観測・調査と観測データ・資料の統合的な解析を地震・火山噴火防災研究全体として実現する体制が実用である。
 ここでは,いわゆる業務的な観測のことを念頭にして書いています。2の方では,もっと具体的に書きます。
 観測データ・資料及び研究成果のデータベースの構築等の研究基盤の開発・整備に努める一方,現在の技術てみ困難に見える観測や解析の新展開を図るため,新たな技術開発を行う。
 地震及び火山噴火等の自然現象である災害誘因だけでなく,地形・地盤等の環境や人間社会が作り出す災害に対する脆弱(ぜいじゃく)さによる災害素因により,災害の大きさが決まる。本計画を災害科学の一部として捉えた場合,これまで実施してきた災害誘因としての地震及び火山噴火研究に加えて,災害素因の理解が必要となる。このため,理学だけでなく,防災計画や工学,人文・社会科学の関連研究分野との連携を図りつつ,災害誘因予測の研究を推進する。
 地震や火山噴火現象の推移を理解し,予測するには,近代的な観測の実施期間が短すぎることから,歴史災害研究を行うことが不可欠である。
 ここは,先ほど削除したところをもう少し取り込む必要があるので,例えば歴史災害研究というのは歴史学,考古学などと連携してというようなことを後で少し加えます。
 ただ過去の地震と噴火の史料・考古データを収集して,歴史災害研究を行う組織が存在せず,後継者養成も行われていない状況は,従来から大きな問題となってきた。歴史災害に関する学際研究は,これを解決する長期的な見直しをもってる必要がある。
 長期的な展望の下に,防災力の高い社会に変えていくための研究と業務に携わる人材の養成を行う必要がある。
 研究成果を社会に還元するために,研究成果が適切に理解され実際の防災・減災に活用されるため,その内容を分かりやすく社会に伝えるための組織的な活動が需要である。さらに,そのための人材の確保と人材の交流を図る必要がある。
 最後に国際です。
 低頻度の災害とその誘因の研究をするためには,日本だけでなく海外の他の地域の事例を研究するために,国際的な共同研究をを行う必要がある。同時に,災害の軽減という観点から,本計画の成果を外国特にアジアの諸国の地震・津波,火山災害の軽減に役立たせることは,災害科学の先進国である我が国の責務である。
 こういう一般論というか,長期的な展望を述べた上で,14ページ,ローマ数字2の4.にそれぞれについて具体的に書きました。
 4.の前書きのところは,ほぼ同じことが繰り返されております。
 485行目,(1)推進体制の整備というところで,先ほど書いたことを少し具体的に書きました。
 特に,「このために,社会の中の科学としての観点から,地震・火山防災行政,自然災害研究の中で本計画がどのように貢献するべきかを十分に踏まえた上で実施計画を立案し,推進する。特に,地震調査研究推進本部との一層の連携を図る。さらに,計画の進捗状況を把握し,計画の達成度を評価し,計画実施に関する問題点と今後の課題の整理を行い,次の実施計画に反映させる体制を整備する。このために,各機関の実行計画に関する情報交換及び協力・連携体制の検討を行い,成果が効果的に利活用される仕組みを構築する」と書いて,29ページの実施計画の中で,989行目から具体的なことを少し書きました。
 研究を推進するための体制の整備の(1)推進体制の整備というところは,まだ議論がちゃんとできていませんので,ここに書いてあることは,たたき台として少し提案させていただいていることなので,これはまだコンセンサスはとれておりません。
 この中で重要なのは,研究を推進するための体制として,前書きのところはほとんど同じことをちょっと違う言い方に変えてあるだけで,重要なことは,(1)999行目から下,1000行目からの文章です。1000行目からの文章はまだできていませんが,例えばこういうことが重要であるということを書いてあります。
 まず,1001行目は当たり前のことですが,地震火山部会は,各年次の計画立案,進捗の把握,取りまとめを行う。これは,従来,観測研究推進委員会が行っていたことを,ここでやるということを書きました。ただし,これは当たり前過ぎるので,ここに書くことが適切かどうかはちょっと考えた方が良いので,最終的にはなくていいと思います。基本的コンセンサスとしてこれが必要です。
 それから,社会の中の科学としての観点から,地震・火山防災行政,自然災害研究全体の中に本計画を位置づけて実施計画を立案する。ここでは,先ほどのとちょっと違います。「本計画を位置づけて」と書いていますが,これは適切でないという意見もありました。それまでの書き方は,「本計画がどのように貢献すべきかを十分に踏まえた上で何とかする」と書いてあったんですけれども,これはやや強いです。ですから,ここは少し修正する必要があると思います。
 重要なことは,地震調査研究推進本部の策定する「総合的かつ基本的な施策」――これも正確な名前を書いた方が良いんですが――との整合性にも留意すると書いてありますが,「も」は要らないかもしれません。
 あと,書くべきことは,これまでやってきたことですけれども,いわゆる自己点検,レビューですね。5年に一遍のレビューのことと,外部評価,国際評価のことについても,ここで書く必要があるか,ないかを検討していただきたいと思います。
 地震火山部会は,年次報告をまとめて公表する。これまでもやっていたわけですけれども,実施部隊は今までは観測研究推進委員会でした。これからは,地震火山部会がこれをやることになると思います。
 それから,1007行目,地震火山部会は,計画進捗,成果について,地震本部に報告して,地震調査研究計画全体との整合性を確認し,年次計画に反映させる。これも書き過ぎかもしれませんが,こういうことが必要です。
 次に,イ.関連組織との関係の明確化というところで,これは幾つか文章を作りました。科学技術・学術審議会の建議でも,地震の体制について抜本的な検討をしろという御意見を頂いておりますので,ここで幾つかのことが具体的に提案されています。
 まず,地震火山部会の機能を補い計画を推進するために,関係の組織が参加する地震火山噴火予知研究連絡協議会(仮称)(以下,連絡協議会)の整備を図る。連絡協議会には,大学の地震火山噴火予知研究協議会,自然災害研究協議会,地震予知連絡会等が中核的組織として参加する。
 「等」というのは,この三つだけではないかもしれないというのが残っています。ですが,私の頭としては,この三つは必須の組織かなと思います。これも御議論いただきたいと思います。
 地震予知連絡会は,上記連絡協議会と連携・協力しつつ,時間活動・地殻変動等に関するモニタリング結果や予知・予測のための研究成果等に関する情報交換を行い,モニタリング手法の高度化,観測・研究の現状を社会に伝える役割を担う。
 ここで予知連絡会のことを規定しています。
 火山噴火予知連絡会は,全国の火山活動について,定期に総合評価(診断)を実施するとともに,火山活動が活発化した場合には,臨時に総合評価を行い,噴火警報,火山情報への反映等を通じて火山防災活動に資する。また,大学,関係機関が実施する臨時観測について,総合的な調整を行う。
 火山噴火予知連絡会は,大学・関係機関の研究成果・観測結果についてWeb等への迅速な掲載等の情報共有体制の強化・高度化を図るとともに,大学・関係機関の有する火山観測データの流通・共有の促進等,観測・研究のための施策に関する技術的検討等を進め,火山噴火予知研究の推進に寄与する。
 火山噴火予知連絡会は,本計画による噴火予知に関する火山学的成果を,社会に分かりやすく発信するとともに,噴火警報,火山情報の質の向上に向けた,技術的検討を行う。
 地震予知連絡会と火山噴火予知連絡会については,私が今,説明するというよりは,,今給黎委員,橋田委員から御提案のあったものを事務局がまとめて入れたものです。
 そのほかは,もちろんいろいろな重要なことがありますが,多分,ここが議論していただきたいことなので,ここで一度切ります。
【末廣主査】  そうですか。本当は,その後,ウ.と(2)があるんですね。
ただ,(2)は……。
【平田委員】  (2)(3)(4)といっぱいあるんですけどね。
【末廣主査】  いっぱいあるんですけれども,それはサイエンスの方に近いので,では一旦ここで切ります。
【平田委員】  ちょっとすみません。じゃあ,ウ.はやりますか。
【末廣主査】  ウ.をやってください。
【平田委員】  ウ.は,研究成果の利活用というところで,最初の丸,1028行目は,毎年年度末に,成果報告会を開催して,地震予知研究,火山噴火予知研究の成果を地球科学の専門家の研究に資する情報を提供する。
 これは,主語がないんですけれども,主語は後で考えなくてはいけないんですが,実態は,これまで毎年,アドホックに実行委員会を作って報告会をやっていたものです。だから,これも書ければ書いた方が良い。
 地震調査研究推進本部が実施する成果の普及活動に貢献する。
 これも当たり前のことですけれども,これはちょっと味もそっけもない文章ですけれども,もうちょっと膨らませて書く必要があるか,あるいは,こんなものは要らないかということです。
 大学云々(うんぬん)というのは,大学から具体的に提案があったもの。
 気象庁云々(うんぬん)というのも,気象庁から御提案があったもの。
 地震予知連絡会はというのも,地震予知連絡会から御提案があったものをここに書いてあります。
 以上です。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 皆さんをせかすつもりはないんですけれども,若干こちらの予定よりは遅れぎみで進んでいますので,できるだけ肝の部分の議論を優先させたいんですけれども,今はとにかく体制に関して,恐らく肝のところが幾つかあると思うので,どうしましょう,大きな1,大きな2,大きな3で,一番肝心なのは,結局,3だから,3をやるのが良いですか。それとも……。
【平田委員】  でも,1から。原則論を固めた方が。
【末廣主査】  では,原則論。
【平田委員】  1は,異論がない程度に丸く書いたつもりです。つまり,これは政府の方針とか常識を書いただけなので,ここで異論があるとそもそもだめですけれども,ここで御批判を頂いた方が良いと思います。
【末廣主査】  いかがでしょう。1は,よろしいですか。
【平田委員】  だけど,これは異論があってしかるべきことがいっぱい書いてありますので,注意深く読んで文句を言っていただいた方が良い。私は,何というか,一応ここに書いてあることは,建議とか,そういうものに基づいて書いたつもりですけれども,かなり思い切ったことが書いてあります。
【末廣主査】  ただ,私の趣旨は,3をやると,おのずと1を変えなければいけなくなるようなことが出てくるかなと思ったんです。
【平田委員】  まあ,それはあります。
【末廣主査】  1は皆さん,あまり特に,今の段階では。では,1,2,3全部連動していますので,1を認めて,この枠だぞということでは必ずしもないということにいたしまして,2,策定の方針としての4.です。14ページ,15ページ,16ページはいかがでしょうか。ここもまだ無難に押さえているの?
【平田委員】  いや,ここはそれなりに。
【宮澤専門委員】  肝でないところを触ってしまうかもしれないんですけれども,一番最初にたしか加藤主査代理の方から,ローマ数字2の書き方について,研究の目的や期待することとか,ほかの項目との関連というふうに言われたんですけれども,やはり読んでみると3とほとんど同じことですので,私,第4回のこの委員会の中で,書き方について少し議論があったときに,そもそもローマ数字2で書いてあるところについては必要ないのではないか,ほかのところとくっ付けた方が良いのではないかという趣旨のことを言った記憶があります。その後,議論がどうなったかというのはちょっと記憶に定かではありません。
 それで,2と3の文章を作るときも,とりあえず時間がないからということで今までどおり,というのは現建議のとおりに,2には中項目までの内容を書いて,ローマ数字3のところには小項目まで書き出していたと思います。結局,今の議論でも,ローマ数字1も2も3も同じことをどんどん,繰り返し書いていて,ちょっとずつ細かくなっているだけであって,極論を申しますと,私,ローマ数字2の346行目から後ろを全部削ってしまって,その内容を3にくっ付けてしまった方が良いのではないかと思っています。
 ちょっと肝から外れた発言になってしまっているかもしれませんが,できれば御議論いただきたいと思います。
【末廣主査】  肝というより,今の議論の対象とちょっと違うんですが,3を決して読まない人からすると2があった方が良いんですが。
【宮澤専門委員】  実は別の,メーリングリストではないところで,科学官と,たしか主査代理が入っていたメールだと思いますけれども,その中で少し議論したときには,事務局側の考えというものがあるように聞いたと思いますが。
【森田科学官】  では,そのときの議論をちょっと繰り返しますと,事務局側としては,基本的考え1を受けて,具体的研究のこの4本柱をどう位置付けるかということを2で書かなければいけない。そうでなければ,1の精神が研究の4本柱にどう反映されているか分からない。だから,2は書くべきであるというふうに答えたつもりですが。
【末廣主査】  今の話は,その後でしょう。概要は要らないのではないかということですよね。
【宮澤専門委員】  ええ,そうです。2の345行目まではそれで,今,森田科学官が言われたことで十分受けられるので,そこから先が要らないのではないかと思ったんです。ただ,今,これから議論する内容と少し離れてきてしまいますので,とりあえずここではそういう発言だけしておきまして,体制の方の議論に移っていただければと思います。
【末廣主査】  アメリカもそうですけれども,後ろのページほど人は読まないので,最初の方できちんと,君,分かってくれるだろうねと,しつこく何度も念を押すことが重要で,常道だと思うんですよね。だから,今,言われたように,今の御意見は議事録に残して,必要なら皆さん,宮澤専門委員の意見に賛成の人がいたら,後で表明していただきたいと思います。
 それで,2の14ページ,15ページ,16ページのところで体制に関して,研究を推進するための体制の整備について,項目立て,内容について,何か今ここで,ここはこうした方が良いのではないかという御意見の方がいらしたら,御発言ください。
 考えてもらっているところで,私から,16ページの534行目,国際共同研究・国際協力の国際的な防災・研究機関の国際的なというのは,どういうところを言っているんですか。UNとか?
【平田委員】  ああ,そうですね。国連の。
【末廣主査】  分かりました。
【平田委員】  でも,実際には書いてないから,入ってないんですね。
【末廣主査】  UNISDR?
【平田委員】  だから,実施計画のところで書き切れなかったらば,これは実際,書けなくなりますね。
【末廣主査】  分かりました。
【平田委員】  みんなしんとしているので,この提案の肝は,つまり観測研究推進委員会がなくなったことを受けて,どうするかということが一番重要です。それで,形式的には観測研究推進委員会がやっていたことを地震火山部会がやるんです。それはもう決まっているんですが,ただ審議会の部会が実行部隊にはなれないので,どうしてもそれぞれにやっていただくということになって,年に数回の委員会で報告するとかなんとか,そういうことにしかなりません。
 これまで観測研究推進委員会は,四,五回やって,実は年度末の報告会というのもアドホックに実行委員会を作ってはやっていましたけれども,実態は観測研究推進委員会の委員の方が実行委員になっていただいて,やるということをしていました。そもそも審議会がそういうことをやるのも変だといえば変なんですけれども,ちゃんと連携して本当にやるということの実態はどこにあるか。先ほども議論になりましたけれども,災害科学としてやると言ったときに,本当に災害科学の研究とどう連携するかというのは,やはり審議会の委員会だけではできないので,ここでコンソーシアムを作るという提案です。
 コンソーシアムの実態は,機関参加として,今の大学の地震火山噴火予知研究協議会と,自然災害研究協議会は必須のメンバーだと私は思います。それと,もちろん個人参加もあり得るけれども,この建議を作るときに,実行するのに参画している機関には是非入っていただきたいので,当然,研究開発法人にも入っていただきたいし,気象庁,地理院,海保等にも入っていただく。いわゆるコンソーシアムで,そこははっきり言って地震火山部会の下請というか,実行部隊で,今,言ったものに入ってない人文・社会系の歴史学とか,そういう方にも是非参加していただく。
 新たに組織を作るというのは,組織論として新たに作るわけですけれども,実態としては,これまで大学の地震火山噴火予知研究協議会がやっていたことを拡大する形で,私はできると思っております。今までも独法の方と,研究業務機関,防災業務機関,気象庁,地理院などには,大学の協議会にアドバイザリー委員という形で参加していただいていますけれども,これを正規の委員として拡大するという方法です。ただし,今ある地震火山噴火予知研究協議会はあくまで大学の組織ですから,それを拡大する形で新しいコンソーシアムを作る。それが次期計画を実際に動かす。その組織の中に,明確に人文・社会科学や歴史学等の研究者にも参加していただくというようなことを提案したい。
 ややこしいのは,地震本部をどう位置付けるかとか,火山噴火予知連絡会をどう位置付けるかというのは,この場で少し議論をしていただく。今の提案は,それは入ってないです。飽くまでこの建議を計画する実行部隊が入っているコンソーシアムと,そういう位置付けになっています。
【末廣主査】  お分かりいただけたでしょうか。
 ということは,1010行目のことですか。
【平田委員】  そうです。
【末廣主査】  地震火山噴火予知研究連絡協議会(仮称)(以下,連絡協議会),これをコンソーシアムと,今,仰ったんですね。
【平田委員】  そうです。
【寺田地震・防災研究課長】  計画を推進するためにこの協議会を設けるということなんですけれども,具体的に何が役割なのかというところが分からないんですが。計画を推進するためにこの協議会は何をするのかとか,役割が全く分からない。補うためと言われても,何が足りなくて,何を補うのかよく分からない。
【平田委員】  地震火山部会は,5か年の計画は今,作りますけれども,毎年の年次計画を作って,その計画に従って計画がどういうふうに進捗しているかを把握して,年度の終わりに成果をまとめて,報告して,点検して,次の年度に反映させる。そのときに,基本的にはお金を配分してしまいますから,それぞれのグループが各自にやるんですけれども,これが計画全体としてちゃんと進んでいるかということが進捗の把握で,しかもこれは他分野との連携をするとか,政府の施策とちゃんと調和的になっているかというようなことも点検しないといけない。つまり,地震火山部会がやることを実行的にやるわけです。今も,実際には年次報告書をまとめる作業もやっています。それから,年度の始まりには,今年,何をやりますよというようなことをまとめる。今もというか,観測研究推進委員会がやっていたわけですけれども,それを実際にやる組織です。
【今給黎臨時委員】  課長からの質問と,ちょっと別の角度からですけれども,やはり似たようなことを私が思っていたのは,逆に何をやるんですかというのではなくて,これを作るということは,こういうことをやるのかなと思ったところを言わせていただくと,要するにコンソーシアムというふうに平田委員が仰ったのは,私が思っていたものと実はちょっと違ったんですね。この機能を補い,計画を推進するという仕事を本当に,いわゆるボランタリーとか,パートタイムで人が集まってきて,大学の先生が委員で呼ばれてきてやるというような部分の話だけではなくて,本当に事務局をちゃんと,フルタイムでこの仕事をする人を置くということも考えた上で,これを作るというふうに私は最初,読んだので,これは非常に思い切っているけれども,やはりこれぐらいのことをしないと,この新しい計画はちゃんと機能しないのではないかと思ったので,そういうことを提案されたんだと,私は思ったんですよね。
 要するに,これは事務局がちゃんと機能して,業務的にそういうような情報を取りまとめて,あと今,お話を伺って,一つの事例ですけれども,結局,年度末の成果報告会というのは学術報告会なわけですよね。だけど,今までの話から私が思っていたのは,社会に対してのアウトリーチの報告会のようなものを組織するべきであるということも考えていた。だから,今,お話を伺うと,わりと今までの延長線上の話だったのかということで,私としては正直言って拍子抜けなんですが。
【平田委員】  だから,まずできることから提案していますので,ここで強力にするという意見があれば,もちろんそう読むこともできるぐらいに。これは非常に漠然と書きましたが。少なくとも今,できることとしては,この程度はやらなければいけない。もっとちゃんとした組織にする必要があるということであれば,それはそれでまたちょっと考えなければいけません。例えば,今期の測地学分科会とか地震火山部会は,もう組織を変えることはできませんから,できるとしたら,もしできるとしてもその次ですよね。だから,来年度の4月から始まる組織としてはそう簡単には,しかも,ここでは事務局は整備を図るとしているから,これもある程度実績を積んだ段階できっちりとした組織を作るというぐらいしか,実行的には無理かなとは思いました。やることは,私はかなりはっきりしていると思いますが。
【末廣主査】  これは,いろいろな議論を経てこういうことになったんでしょうか。
【平田委員】  いや,違います。これは初めて提案したものです。
【末廣主査】  今日,何か結論を出すのは厳しい,何ていうか,直感的にこれは大事だよねと思ったとしても,議論を尽くさないとなかなか難しいところだと思うんですけれども,といってあまり時間がないので。
【今給黎臨時委員】  ちょっと一つだけ言わせてください。地震予知連絡会を運営している地理院の経験から申し上げると,地震予知連絡会は年4回やって,それをいわゆるオーガナイズして,例えば重点検討課題というテーマを決めて,それで発表いただいたり,それをまとめて会報を作ったり,ホームページを作って毎回のことをアウトリーチやろうとしたり,そういうことをやっている,かなりターゲットの狭いところで頑張ってやっているだけであっても,やはり国土地理院の職員でフルタイムでそのことを一生懸命やる人が何人かいて,あとフルタイムでなくて支えている事務局が何人かいてということを考えてみると,全体の計画を本当にこういうふうに目を配ってやるということを見てみると,これはかなりしっかりとした事務局がないと機能しないというか,やはりこれだけの高い志を持って,いろいろな関連分野の英知を結集して,更に成果を出して,それを社会に伝えていくということを心掛けるとするのだったらば,これはもう完全に妄想で,直感にしかならないんですけれども,事務官を含めて事務局は10人ぐらい要るのではないかという印象を持ちました。
 ですから,大変だからもうできないと思うのではなくて,それぐらいのことをやるという覚悟があるんだったら,それはもう本当に組織を含めて,地震・防災研究課に付けるかどうか分かりませんけれども,振興会に出向者をたくさん集めて作るか,とにかくそういうようなことまで考えてやっていかないと,これは絵に描いた餅になってしまうかもしれない。餅の絵を描くことは大切ですけれども,とにかくそういうようなことで,かなり真剣に考えるべき話だと思います。
【宮澤専門委員】  京大防災研究所として申し上げます。今,議論になっている1010行目のところですけれども,ここに出てくる自然災害研究協議会というのは,京都大学防災研究所の中にある自然災害研究協議会です。防災研究所としては,実は34ページの1160行目から書いてある関連分野との連携の強化の中で,本研究所がどのように本計画と関わってくるかということについて提案しております。その中では,自然災害に関する総合防災学の共同利用・共同研究拠点とありますが,この防災研究所の拠点と地震研究所の地震・火山科学の共同利用・共同研究拠点と連携して研究を推進するというふうに,我々は考えているところです。ただ,まだ具体的な構想は特にありません。その一方で,先ほどの30ページ,仮称となっておりますが,協議会の整備を図るというのはかなり具体的な内容でして,まだ少しギャップがあるなというふうに感じております。我々の大学,研究所としても,どこまでこの整備に関わられるかということについては,かなり未知の部分があるということを今のところ申し上げておきます。
【橋田臨時委員】  良い提案がなくて困っているんですけれども,先ほど今給黎臨時委員がお話をしたので,火山の方も少しお話をしなければと思ったんですが,今給黎臨時委員仰るように,事務局をきちんとやろうと思ったら,10人なのか,5人なのか分かりませんが,それなりの体制を築く必要はあるだろうとは思っております。元々地震予知計画,噴火予知計画を作ったときに,地震については地震予知連絡会,火山については火山噴火予知連絡会を,それぞれどこかに引き受けてくださいということで,地震は国土地理院が,噴火は気象庁が予知連絡会というものの事務局となって,それなりに関係機関の協力を得ながら,計画の中で,できる範囲のことを引き受けてやってきた歴史があるんだろうと思います。
 地震と噴火予知は,若干カバーしている領域が違っておりまして,と私は認識しているんですけれども,今日,たまたま差し替えの30ページの説明をしていただいたときに,まずいなと思ったんですが,とにかく噴火予知連について次期計画の期間で行うべきことを出してくださいというぐらいのイメージしか,私は捉えていなかったので材料を提供しましたが,関連組織との関係の明確化の中にこんなにたくさん火山噴火予知連のことを書いてはまずいよねと思ったんです。それはそれで別途良い表現としていくとして,噴火予知連絡会の機能としては,従来であれば予知計画で立てたことをフォローアップしながら,どういうことができるかということを,チェックしながら進める機能は,ある意味かなりの部分,持っていたのかなという印象も持っています。もちろん,計画自体は測地学分科会,地震火山部会といったようなところが調査,審議し,大きな方向性は出すんだけれども,年度ごとの,あるいは四半期,1年3回しかないので,それぞれの,その都度その都度で研究計画の進捗状況を見ながら,どうすればいいかということを議論することができる場として設計されていたということは確かなんだろうというように思います。
 ここに藤井会長がいらっしゃるので,もしそうでないというのならフォローしていただければと思うんですけれども,地震については,私の理解だと,これは今給黎臨時委員に補足していただけばいいと思うんですが,意見交換とかいうことはあるんですが,もう少し広い,機能,何ていうんですか,地震予知連の方は計画で定めたことをチェックすると言いますか,そういう機能を持っていたわけではないとは思うんですけれども,何らかのそういう機能があることを踏まえて,委員の立場としては,使えるものは使っていった方が良いのではないか思います。ただし,気象庁の立場としては,ちょっと考えさせてくださいというか,慎重によく相談させていただきたいとは思うんですけれども,そういうイメージは持っておりました。
 答えにならなくて申し訳ない,経緯を説明させていただきました。
【末廣主査】  このコンソーシアムの提案がここに書かれた趣旨は,皆さんに伝わったかと思うんですが,やはり一つは,こういうものを目指すのはそもそも間違っておるというのか,これは是非前向きに検討を継続すべきだというのか,その辺は是非確認したいんですけれども,いかがですか。
 課長,どうぞ。
【寺田地震・防災研究課長】  先ほど何をするのかというところをお聞きしたところと重なるんですけれども,結局,研究計画の推進委員会を設けられて,審議会のシンプル化ということの要請の中で,計画の推進委員会を廃止して,計画推進委員会でやられていた仕事を地震火山部会の仕事と1回したわけです。そういう中で,もう1回,下に下ろしますとかいうのがロジカルに説明しやすいかというと,しにくいなという感じがするんです。もし,これを審議会の下に作るとすれば,別なロジックが必要になってくるかもしれないという気はいたします。
 ただ,審議会の下にこれを作ったとしても,さすがに事務方がどれだけ追い付くかという問題もありますから,そこはちょっと考えていかないと,逆に何をやっていくかというところのプログラムを書いていって,人を集めていくということまで考えていかないと,なかなか物が進まんのかなという感じは受けております。これ,この場でいいとか,悪いとかと言えるような簡単な問題ではないので,それだけをお話ししておきます。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 趣旨を考えると,私が聞いている範囲では,恐らく地震火山部会の下請というよりは,むしろインディペンデントに全体を俯瞰(ふかん)して,本当にこの計画に沿って物事が進んでいるかどうかチェックできる組織を標榜(ひょうぼう)しているのではないかと思うんですが,あるいは,そういう機能をこの計画に持たせないと,先ほどの井口臨時委員の言われたような,建前と本音とどうなっているのということになってしまうこともある。私にはそのように思えるんですが,といって,今すぐここで,はい,これ書き換えましょうねということはさすがに難しいので,この検討委員会が適当なのかというと,すぐ平田委員はそうだと言うかもしれないんですが。
【平田委員】  いやいや,そうではないです。
【末廣主査】  いやいや,これを検討するワーキンググループかなんか作って,要するにもうちょっと文章で,これは一体どういう規模の,どういう専門の人が,どういう議論を,どういう事務局を必要としてやるのかという何かイメージがないと,やはり難しいですよね。
【平田委員】  だから,ここには,仮称・連絡協議会の整備を図ると書いてあるんですね。あるいは,整備を検討するでもいいですよ。是非そういう,だから,これ以上組織を作ってもしようがないという意見があれば,これ自体,意味がないですけれども,実際にはそういう場がどこにもないわけです。だから,そういうものを,どういうものが最適かを,少なくとも走りながら考えるということで,次の計画の中でしっかりとした組織を考えるということを,そこぐらいだったらコンセンサスを得られるのではないかと思います。
【保立専門委員】  よろしいでしょうか。今の御提案も含めて,次期計画全体として,歴史学を含む人文・社会系に問題が投げ掛けられた,ボールが投げられたというように感じております。どういうふうに,今後,人文・社会系が対応するのかということが大変大きいことになると思います。11月16日に,学術会議のフォーラムを「地殻災害の軽減と学術・教育」という形で開いて,人文・社会系のメンバーもたくさん集まって議論をしようということにはなっておりますが,全体としてその中でどういう,災害科学に対応するようなコンソーシアムなり,議論の仕方が可能になるかということは,まだ分からないということであります。
 その中で,この次期計画の中で歴史災害研究を行う組織の問題についても触れられておりまして,歴史学としてはこれは大変ありがたいことだというふうに考えますけれども,災害科学を創生する体制の中で,どういう形で歴史学の,歴史災害研究を行う組織というものを位置付けるかという問題についても,その中で議論をせざるを得ないというように感じました。
 以上です。
【末廣主査】  というわけで,今回,この計画はかなり,これまで含まれて,何ていうか,一緒に連携していなかったところも含んでやろうということで,じゃあ関連組織との関係の明確化はどうやるのというのは必ず聞かれるところでもありましょうから,何も検討しないということは,多分,そういうオプションはないのではないかと,私には思えます。ほかに何か御意見お持ちの方,いらっしゃいますか。なければ,ここのところは平田委員と科学官あたりに,私も交えて,もう少し文章を工夫してメーリングリストに流すということで。最終的にペンディングになるかもしれませんが。
 私は,実はその前の,計画の立案,進捗の把握,取りまとめを含めて,ア.は今までどおりに私には見えるので,それでは立ち行かないのではないかというふうに感じていたところ,こういうコンソーシアムの発想があれば,やはり開かれた,透明なシステムで,この計画推進ができる枠組みになるのではないかと思ったんですが,それは私の個人的なあれなので主張する気はないんですが。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  すみません。課長が先ほどコメントした最初の方,補うというのは何を補うか分からないというコメントがあったのと,先ほどの平田委員の話の中でも,こういう場がないという発言がふっと出たりするんですけれども,何が足りなくて,何を補わなければいけないのか,あるいは平田委員の場がないという,その場というのはどういう場がないのか,実は聞いていて若干,それぞれの予知研究会とか,いろいろな場でどういうことをされているのか,従前に私が把握していないから付いていけていないという可能性もあるんですけれども,全体的に何を補わなければいけないのか,何が足りないのかというところが,これだけ見ていると,私も文字だけ追って,今,十分に腑に落ちていないところがあります。
 そういう議論を深めていくのであれば,何をしなければいけないのかというかなりプラクティカルな話になるかもしれないんですけれども,それをするのが,例えばここでいろいろな報告とか,情報共有するのでは足りないとか,そういうところの判断ができるような議論につながっていくのかなということを思ったので,何が必要なのかとか,何があればいいのかというところは,若干見えてない中で議論すると,そもそもの人を張り付けることができないとか,体制の話の方に頭がどうしても先に行ってしまうので,ちょっと要件といいますか,何か作らなければいけないとしたときに,なぜそれが必要なのかというところがもう少し明確になってくると,これをすべきか,必要がないのかというところがまた見えてくるのかなという印象を持ちました。
【末廣主査】  ありがとうございます。
 何か新たに仲よしクラブを作るという趣旨ではきっとなくて,厳しいピアレビューが担保されるようなことを保障するシステムを作ろうとしているのではないかと,私には聞こえました。
【澄川地震・防災研究課長補佐】  それがここの場ではいけないのかというところが,多分,見えないのが今の……。
【末廣主査】  ここでインディペンデントというのはあり得ませんから,無理ですね。
【平田委員】  地震火山部会ということですよね。だから,公式には測地学分科会と地震火山部会がこの5か年計画の実施の責任を。
【藤井委員】  自己点検を含めてね。
【平田委員】  うん,持つわけですけれども……。つまり,事務局もなければ,まあ,事務局はありますけれども,研究の実施組織ではないわけですよね。それで,今までは割と構造が簡単だったので,地震予知研究とか,火山噴火予知研究だけだったから,実施機関の半分は大学ですので,大学の予算を配分するところから査定して,成果を評価して,次年度の予算配分にするところまで文部科学省のルートで全部一本化できたわけですよね。ですけれども,そもそも地震と火山はほとんど近いから一緒にできるけれども,そこに歴史学であるとか,災害科学を入れたときに,はっきり言ってこのままでいったらば,できましたよといって予算を概算要求して,お金を配分して,年度の終わりに成果をまとめるということしかできないわけです。全体として成果が上がっているかを評価して,どの分野が足りないとか,どの分野を延ばさなければいけないかということは,5か年の最後というか,途中の3年目に評価がありますから,そのときにはある程度はできるかもしれないけれども,学術の進歩とか,全体の計画と調和した形でやるとか,建前はここに書きましたけれども,それを実施できる体制は極めて乏しいですね。予定調和的にというか,ボランタリーに研究者が寄ってきて,研究集会やなんかやったりすることはできますけれども,組織的に進めるということにはなってないと私は思いますけどね。
【末廣主査】  もうほとんど7時になりまして,重要なポイントの議論になっているんですけれども,新しい視点で何か御発言のある方,いらっしゃいますか。
【今給黎臨時委員】  ここに直結していますが,今日,このことはちょっと言わないといけないと思って来ているので,今,ここで言うのが良いかどうか分かりませんが,時間がないので。
 1014行目の地震予知連絡会はというところで,今回,この資料を作るところで,事務局の方から,地震予知連絡会の役割を明確化するという意味でここに何か書いてくださいという御依頼があって,こちら,予知連の会長,副会長を含めてちょっと検討させていただいて,この文章を入れました。地震予知連については,現建議でも一応モニタリングの高度化という役割が与えられていて,それをやってきているわけですけれども,今回の提案としては,予知・予測のための研究成果に関する情報交換というところと,観測研究の現状を社会に伝える役割を担うという,このアウトリーチの部分を新たに入れるということを今回提案して,実は実施項目のアンケートがあった際に,国土地理院に対してのアンケートがあったんですけれども,地震予知連絡会というのは実施機関ではないので,地震予知連から答えが返るということは元々想定されていなかったようなんですけれども,地震予知連絡会の実施項目として予知・予測のための研究についていろいろ検討するということ,それからアウトリーチをするということを実施項目として,予知連の名前で提案させていただきました。
 ですから,今後,建議と申しますか,計画ができたときに最後に実施機関という一覧表が載るんですけれども,その一覧表の中に地震予知連絡会というものも,機関ではないんですけれども,組織ですけれども,それを入れていただく方向でご検討いただきたいということでございます。これについては,地震予知連絡会の方の関係者には一応検討いただいて,こういう提案はオーケーということでやっています。
【末廣主査】  それは,この文章がこういうふうに入っていればよろしいんですか。
【今給黎臨時委員】  はい。これは入っていていいと思います。もう一つは,最後の実施機関のリストというものが載るところは,今回,そこまで話は行っていませんけれども,そこのところでどういうふうに書かれるかというのもちょっと,後のところで検討いただければと思っています。
【末廣主査】  この委員会としては難しい,よく分からないです。
【寺田地震・防災研究課長】  多分,機関をどう入れるかというのは,法律的な世界で整理しないといけないだろうと思いますので,組織の性質だとか何とかと合わせて,統一的に整理されると思います。我々で書いたからって,そのまま残るものではないので。
【末廣主査】  ただ,趣旨は理解しました。
 私の不手際で,今の皆さんの顔色を何となく伺って,方向性としては望ましいと考えられるけれども,その具体的中身がはっきりしないと,なかなか手を挙げようにも挙げられないというふうに受け止めましたが,1とか2を議論しているときに,今,我々は待った無しの土俵際にいるんだというような認識は共有できたのではないかと思うんですけれども,じゃあ,どうするのということなんだと思いますね。いかに失われた信頼を回復するのか,何をするのかということが今までと同じだと,結局,竜頭蛇尾なのねと言われてしまう恐れもあろうかと思います。私はしがらみがないものだから,こんな調子いいことを言っているんですが,ここはどうしましょう。具体的に前に進もうというふうにはならなかったと思うので,とはいえ,何か芽を残しておいた方が良いのではないかと。
【平田委員】  例えば,地震予知連絡会であるとか,火山噴火予知連絡会は,昔はまさにこの機能を,こういう機能を持っていたわけです。つまり,予知計画全体の進捗を理解して,どういうふうに進めるか。地震本部ができたことよって少し機能が変わりましたけれども,変わって,割と限定的になってしまったわけです。それで,この計画は最初のところに,建前論みたいなところでわざわざ開発研究と書いたぐらいで,学術研究の要素も非常に強いんです。それはなぜかというと,この分野は防災というような実用科学ではあるけれども,基礎研究を進めないと本当に役に立つようにならなくて,そのために地震予知の研究というのは,地震予知計画が40年前にできたときから学術研究としての側面もずっとあったわけです。我々は,そのために,いわゆる学術研究でそれぞれ勝手に好きにやるというのではなく,課題解決型の研究をするということで,大学の中で組織を作って研究を進めてきました。ですから,これは建議の計画ができたからといって,自然にお金を配分すればできるわけではなくて,この中で地震予知研究協議会,今は地震と火山と一緒になって地震火山噴火予知研究協議会というものを組織して,一種の学術の研究ではあるけれどもヘッドクオーターを作って,それを実施するような部会を幾つか組織して,研究組織を作ってきたわけです。これは,不十分ながら10年ぐらい,阪神・淡路大震災の後の新計画ができた後に作って,5年ぐらいたったところで観測研究推進委員会というものが正規にできて,それのある種の実行部隊として大学の予知研究協議会が組織されてきました。
 ですから,私としては,今給黎臨時委員が言われたように強力な組織を作るというのは,理想的にはそうであるけれども,現時点では,大学が作っていた予知協議会の機能を拡大するということでまず進めることができると思います。重要なことは,これは審議会の役所の組織というよりは,研究者の自発的な組織で,研究者がいろいろなことをやらなければいけないところで研究組織を作って,研究会を組織して進めていくということで,ここの中には計画推進部会というものが複数あるんですけれども,こういったものを運営していくということがやはり学術の研究としては非常に需要です。ただし,単なる科研費の総括班ではなくて,国の基盤的な観測であるとか,業務的な防災の観測とちゃんと連携していくというところで,この建議に基づく,全体的なアンブレラの中で学術研究をうまく動かしていく,ステアリングしていくという組織がやはり必要です。
 ですから,司令塔は測地学分科会,地震火山部会でいいと思いますけれども,日常的に研究を進めていくという組織はやはり必要で,少なくとも私の感覚では,新しい組織を作って予算要求するというのは大変すばらしいことだと思うけれども,簡単にはいかないと思っていますから,まず既存の組織をうまく衣替えした形で,ただし,今の地震火山噴火研究協議会には人文・社会や工学の人は全然入っていませんから,しかも,それぞれの組織は,防災研の自然災害研究協議会というものが独立にありますから,その機能を潰すつもりはないので,それを含んだ形の,もっと大きなアンブレラを作って,それをコンソーシアムという形で,連絡協議会というふうにまずするというのが現実的かなと思って,こういう提案をさせていただきました。
 それがうまくいけば,今給黎臨時委員が仰ったように強力な事務局を持った一つの組織になるというのは,一般社団法人でもNPOでもいいんですけれども,あるいは役所の一つが引き受けてくださるということでもいいのかもしれませんけれども,必要かなと思っているので,決して架空なことを思っているわけではなくて,実行可能なところで,まず来年の4月から動かせるような範囲で,ここには割とさらっと書いています。それでも強過ぎたので「整備を図る」としているので,整備を図るぐらいは合意できるかなと。
 それで,宮澤専門委員が心配されたように,別に自然災害研究協議会に丸ごとここに吸収されるわけではなくて,自然災害研究協議会の機能の一つとして,こういう連絡協議会に参加していただくということを提案したいと思っていて,その中には,当然,災害研究が多くコミットされていると思っています。そのほかに,もちろん個人の研究者やなんかも参加できるような仕組みにしたいと,するべきだと思います。ですから,末廣主査が言われたように,この4行では何のことか分からないでしょうから,これをちゃんと検討していくということは,少なくとも来年の4月までの中では別途検討していくことで,それを検討するための材料をここで提案したというようなことです。
 以上です。
【末廣主査】  そういうことであれば,皆さんが納得いただければ,要するに来年4月だか,来年度発足するかどうかは,正に実施される皆様方が本気になってそういうものを作るかどうかに掛かってくると,こういうことですね。そういう趣旨のことが起きてもいいというような書きぶりに,それはいいに決まっているんですけれども,この次期研究計画案の中でもそれをサポートするような文面にすると,してほしいということだと思いますが,その点はいかがですか。もう7時10分を過ぎてしまったので,今すぐ明快な回答をすることはできないという方もいらっしゃいましょうから,ここはちょっと申し訳ないけれどもペンディングにさせてもらって,ただ趣旨は,今,この部屋にいる人たちは理解されたということで,何らかの結論をこの委員会として出すということにしたいと思います。
 平田委員が一人で考えているわけではないでしょう?
【平田委員】  これは提案だから一人です。はっきり言って,地震火山噴火予知研究協議会とも相談していませんので,地震火山噴火予知研究協議会が嫌よと言ったら,この話は潰れます。
【末廣主査】  では,そのプロセスは内々にやってもらえばいい。
【平田委員】  うまく図ると言ってくださったので,こういう方向で乗ってくるところをこれから検討する。あるいは,もっとこれを緩く,そういう方向で何とかするというふうにしてもいいかもしれません。だから,私の言いたいことは,何らかのこういう組織がないと,この新しい研究計画はうまく進んでいかないだろうということです。
【末廣主査】  私もそう思うんですが,これを読むと,誰かが何かやってくれて,入ればいいんだねとも読めるので,そうではなくて,皆さんが本当に努力しなければできないんだという感じが文章になっているといいかと思うので,そこをちょっと工夫してください。
【橋田臨時委員】  先ほど事務局側からもお話ありましたけれども,もう少し組織といいますか,機能,どういうファンクションを持たさなければならないのかをクリアにして,議論していただかないと駄目だと思いますね。明らかに地震火山部会という頭の機能があって,その中の一部にPDCAサイクルを回すような機能も持っていて,先ほど主査がピアレビューの話をされてちょっとよく分からなくなったんですけれども,新たにどういう機能を持たさないと駄目なのかということをまずしっかり示していただかないと,これは真面目にやろうと思いますと相当重い話になります。
 真面目にやろうとしているのであれば,私,今度は委員ではなくて気象庁の立場でお話をしますと,これは非常に重要な話で,概算要求とかにも関わってくる,どう関わっていくかという話になりますので,きちんと機能について,この機能は地震火山部会できちんとやります,これとこれについてはこういう機能を活用しますということを皆さんに示す形で,単に作文をすればいいということではなくて,関係者によく,メーリングリストが良いか何かはよく分かりませんけれども,議論を進めながらやっていただかないと,作文は最後書き上げて,とりあえず乗り切ったけれども,何も動かないということにならないようにしていただきたいと思っております。
 以上です。
【末廣主査】  それは,私が先ほど申し上げたこととほぼ同じだと思うんですが,皆さんも同じ考えだと思います。
 そういうことを確認した上で,時間が,もうここを閉めないといけないんですね。では,すみません,3まで行きませんでしたけれども,私が3を読んだ限りでは,そんな大それた問題が,今の体制のところは大それた問題が含まれているとも読めますけれども,ほかのところはまあまあいいのかなという感じもありますので,是非メーリングリストで話を,議論をお願いいたします。すみません,これが宿題で残ってしまいました。
 では,この後の進め方で,ちょっと事務局からお願いします。
【重野地震火山専門官】  今日の議論を踏まえて,直せるところに関して,今日,明日中に取りまとめて,地震火山部会と測地学分科会の委員の方に一旦読んでいただいて,それを回収したものを次の委員会で最終的に検討するというか,それを踏まえた上で最終案として出していただくことを考えています。次は,7月8日を今のところ予定しておりますので,よろしくお願いします。
【末廣主査】  最後,慌ただしかったですけれども,本当に申し訳ございません。意見を出し損なった方は,落ち着いてメーリングリストでお願いいたします。それでは,本日の審議は,申し訳ありません,会場の都合でこれで終了いたします。

―― 了 ――

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