課題番号:1502

実施機関名:東京大学大学院理学系研究科
課題名:地殻流体のフラックス測定に基づいた化学的地震先行現象発現機構の解明

1 修正項目

(6)本課題の5か年の到達目標
(7)本課題の5か年計画の概要

2 原本

(6)本課題の5か年の到達目標
 本計画では、地震発生の化学的素過程の理解および先行現象が発現する機構の解明を試みる。特に、断層内で発生する流体および上部マントル起源流体のフラックスの観測に重点を置き、断層に沿って発生する地震との関連づけを試みることで、内陸断層の地震発生確率評価の高度化に貢献したい。

(7)本課題の5か年計画の概要
 平成21 年度は、これまでに開発した四重極質量分析計を用いた地下水溶存ガスの連続観測装置を改良し、断層内発生流体(4‐ヘリウム・ラドン・水素・メタン)の地下水溶存濃度を安定して観測することを実現する。
 平成22 年度以降は、跡津川観測点周囲の断層に沿う地震活動と、地下水溶存ガスのデータとの対比を行いつつ、地下水溶存ガス濃度の時系列データの解析方法を高度化する。これと平行し、高分解能四重極質量分析計および自動前処理装置を製作し、3‐ヘリウムの地下水溶存濃度の自動定量を目指す。これらの時系列データの解析方法を高度化し、地殻起源流体やマントル起源流体のフラックス変化を評価することで、それらの変化と断層活動との関連を見出したい。

3 修正

(6)本課題の5か年の到達目標
 本研究では、化学的な地震先行現象が発現する機構の解明を試みることを目標とする。マントルから供給される流体および断層内や帯水層内で放出される揮発性物質は、地震発生過程にかかわる地殻の物理状態を反映すると期待される。これらの化学物質が生成される素過程を実験により検証していくとともに、それらの反応が地震発生過程に関連する機構を観測事実に基づいて解明する。想定している揮発性物質は、水素、ヘリウム、メタン、ラドンであり、分析化学的な手法を応用した測定を連続的に行う。観測井がある跡津川観測点は、跡津川断層直上にある。そこで、断層から放出される揮発性物質の濃度変化と活断層の地震活動とを関連づけるようなモデルを構築し、断層の活動度の予測を試みる。

(7)本課題の5か年計画の概要
 平成21年度は、プロトタイプとして開発してきた地下水溶存ガス観測装置を改良し、精度よく溶存ガス組成を分析できるようにする。また、観測点の改修整備を行う。
 平成22年度は、改良された観測装置を運用し、地下水に溶け込んでいる断層破砕帯から放出されたガスの組成変化を連続観測するとともに、周囲の地震活動との対比を行う。
 平成23年度は、帯水層の物理パラメタとの並行観測を実施することで、地下水溶存ガスの濃度変化と地殻・断層の状態変化との関係性を見出す。
 平成24年度は、観測事実に基づいた化学的地震先行現象発現のモデルを構築し、これによって活動予測を試みる。
 平成25年度は、観測例を増やしつつ、成果を取りまとめる。

4 修正理由

 初年度の研究実施に伴って、対象とする観測項目を具体的に設定し、また観測方法の検討を加えることで、より実現可能な計画に調整するため。

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)