地震火山部会 観測研究計画推進委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成23年10月6日(木曜日)10時~13時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

(委員)平田、藤井
(臨時委員)清水、松澤、森田、今給黎
(専門委員)市原、小泉、齋藤、鷺谷、棚田、飛田、西澤、三浦、宮澤

文部科学省

寺田地震・防災研究課長、南山防災科学技術推進室長、北川地震調査管理官、安藤地震火山専門官、山岡科学官、飯高学術調査官

オブザーバー

高橋、高木

4.議事録

[委員の出欠、追加、事務局の交替について]

  • 宮澤理稔京都大学防災研究所准教授が新しく専門委員として委嘱された。
  • 金田専門委員が欠席、地震火山部会の今給黎臨時委員が出席。
  • 事務局に人事異動があった。

以上について、事務局より説明した。

[議題1.「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の実施状況等のレビューについて]

 「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の実施状況等に関するレビュー草案(3章、4章、5章)について、各委員が執筆担当部分の説明を行った後、内容の検討を行った。

その結果、本計画では不十分だった項目があったことが明らかになった。このため、「レビュー作業において明らかになった本計画で不十分だった項目」を取りまとめた。部分的に主査一任となったが、基本的には了承された。

本計画に関する論文リストが提示され、レビュー参考資料として掲載する論文は、ここから200篇を目安に選抜することが了承された。

 

【清水主査】「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の実施状況等に関するレビューについて、各委員に草案を作成していただきました。ありがとうございました。本日はこの検討を行います。事務局から説明をお願いします。

【安藤地震火山専門官】(資料1-1、1-2、参考資料1-1、1-2を用いて経緯と資料について説明)

  • レビューの作成方針と進め方と執筆担当者について確認(参考資料1-1)。
  • 8月4日に事務局から執筆を依頼し、9月26日に第一次締め切り。9月27日に各委員に意見照会を行った。
  • 資料1-1はレビュー草案に対する修正意見・コメントを見え消しで反映したもの。ただし、初稿に追記しただけのため著者の承諾を得ているわけではない。
  • 資料1-2は全般的な意見とレビュー草案の第3章の修正意見・コメントをまとめたもの。
  • 建議や過去のレビュー、個別課題(参考資料1-2)を参考に検討をお願いする。

【清水主査】まず執筆担当者から簡単に概略の説明をいただき、その後、検討いただきます。資料1-1は、各執筆者の初稿に意見ほかを追記したものです。必ずしもそれを採択したというわけではございませんので、該当箇所が妥当かどうかも含めてご意見をお願いします。

 

【松澤主査代理】

(第3章について説明)

【清水主査】まず、全体的な項目の分け方や書きぶりについて、特に「6.マグニチュード9の地震規模に達した理由」について、ご意見をお願いします。

【小泉専門委員】全体に非常によくまとめていただいており、内容を大きくいじることは多分するべきでないでしょう。 「6.マグニチュード9の地震規模に達した理由」については松澤委員の大きな思い入れがあって、項立てされていると思いますので、それをもう少しご説明願います。

【森田臨時委員】6の項立て、および中身についてこの書きぶりであれば、マグニチュード9に達した理由が分かってしまったと読めますが、このような認識でよいのでしょうか。

【松澤主査代理】起こった理由については、わかっていません。ただ、5と6で項立てしたのは、5については、プレート境界の強度が予想よりも小さかったということ指摘し、それでもマグニチュード9が起きたのはなぜかについて記述しています。そこで、前半では、起こり得る可能性があった、それを認識すべきであったという反省のような形で書いています。

 剪断応力を全部開放するようなことがあれば9になり得るというのが前半の理屈ですが、後半の部分に関しては、剪断応力を全部開放するようなイベントがなぜ起こったのか、それについて幾つかモデルがあるが、まだ決着がついた訳ではないと思っています。ましてや、そのような現象として、なぜ今回の地震が起こったのかも実際はまだわかってないとの認識です。

【清水主査】これは基本的には今後の課題につながる部分だと思います。つまり、これからの戦略につながる部分なので、それが見えるような形に少し手直しをするということにしたらいかがかと思います。その他についてご意見ありますか。

【平田委員】全体の構成として、3章だけ「今後にむけて」があるわけですね。3章は特別な章だから、ほかの章とは違ってもいいと思いますが、このレビュー全体において、「今後にむけて」ということを書いてある場所があるとすれば、それと整合する必要があると思います。他の章ではないのに、この章にだけあるということから、少し書き方を注意したほうがいいと思いますがいかがでしょうか。

【清水主査】他の章の中項目では「今後の展望」という形で書いてあり、従来の書き方に従っています。「今後の展望」は、3章の「今後にむけて」と同じことですから、表現を一緒にする、項目名をそろえることはできると思います。

 今回はまだ書いていませんが、さらに総括的な評価が最後の章にあり、私と松澤委員が執筆担当になっています。そこでは、それぞれの中項目で挙がっている今後の展望をまとめて、さらに全体的に総括するつもりで、そこで、第3章のことはかなり大きく取り上げざるを得ないと思います。

 松澤委員、「展望」というのは、希望的でよくないでしょうか。

【松澤主査代理】「今後の展望」というのが、個人的な思いで、ネガティブな言い方だと、展望がほんとうに見えているかということを自分自身問われてしまうと、なかなか難しいです。とりあえず何をすればいいかということは書けるけれども、それで得られたデータ等を見てみないと、何が出てくるかわからないところもありますけれども、「今後の展望」で構わないと思います。

【清水主査】私も今、そうだろうと思って聞いたわけですが、展望というと、今まで非常にうまくいっていて、その延長上でやればいいというニュアンスがある訳ですが、必ずしもそうではないということも含めて、多分「むけて」と書かれているのだと思います。実際、これは「今後の課題」なのですね。

だから、そういう意味では、無理やりほかのところとそろえなくても、ここでは、例えば「今後にむけて」なり「今後の課題」で、個人的には、その方がむしろいいのかなという気がしますが、平田委員いかがでしょうか。

【平田委員】そういうことであれば、むしろ変えたほうがいいと思います。これが現行計画に基づく予知研究の中で、どう位置づけられていたかということが重要ですので、最後は「今後にむけて」、つまり、これまで不足していた研究が何だったかというニュアンスをもう少し含めた方がいいと思います。

【清水主査】ありがとうございます。今回の松澤委員の原稿を受けて、今後やるべきこと、今まで足らなかったことを整理した資料も用意しましたので、そこでご意見いただければと思います。

 そのほか、内容の少し細かい部分で、事務局がまとめた草案において、松澤委員ご自身、納得できない部分があれば、ご指摘をお願いします。

【松澤主査代理】大部分はご指摘のとおり修正したいと思います。

 ただ、「3.前駆的活動」についてですが、確かに現行計画に従えば先行現象なのかもしれませんが、個人的には先行した活動ぐらいにとどめたい気持ちがあります。「先行現象」という、「現象」という言葉の定義が非常に広くなっていて、現行計画の中では広く取り扱うということでそのようにしたと思いますが、ここでは明らかに「先行した活動」だと思いますので、修正させていただければと思います。

 あと、アスペリティに関して幾つかご意見をいただきました。これに関しては、ここで議論すべきことか、全体で議論すべきことかわかりませんが、私の考え方としては、アスペリティモデルというものが100%否定された訳ではないと思っています。アスペリティモデルで説明できる地震というのは明らかに存在しているわけです。最初はそれで100%すべてを説明できるとは思わなかったけれども、やってみたら説明できる地震がどんどん増えていってしまって、結果的に100%説明できるかのように「誤解」してしまったというのが我々の大きな反省です。反省する必要ありますが、アスペリティモデルは完全に否定された訳ではないと思っています。

 もちろん、アスペリティモデルを包括するような高い次元でのモデルをつくることが我々の究極の目標だと思っていますので、そのような書き方で統一できたらと個人的には思っています。

 それから最後に、測地測量に関してご意見がございました。飛田委員にいろいろと調べていただきまして、10ppmを超えるものに関しては、信じて大丈夫だろうという結果をいただいています。

 ただ、それについても、どこまで強く書くかということです予測できなかった理由には、測地測量でそのように見えていたと書いても、モデルでは、ここ100年はずっと静かだったということはあまり強調しない書き方にする、その辺が皆様の合意が得られる範囲かなと感じています。

【山岡科学官】2点気がついたのですが、1つは、例えば5項と6項を逆にしたほうが素直かなという気がします。マグニチュード9に達した事実と、なぜこうなったか、どういうことがわかったかということを淡々と書いて、その後に、なぜ予測できなかったか、そして、「今後の展望」に続けたほうがいいのかなという気がしました。

 それからもう1つは、別の章も同じですが、「今後の展望」は、この後の外部評価などで最初に目が行くところだと思います。ですから、ここは散文的というより、むしろ箇条書きにして、段落を明確に意識して書くほうがいいと思います。

 本文では詳細に書いても、最終的には、今後の展望とか課題を見ると思うので、そこを明確に書いておくと、次につながるという気がしますが、いかがですか。

【清水主査】箇条書きにするというご意見は、非常にいいかもしれませんね。

 それ以外のところでは、今、松澤委員からいただいたご意見のうち「先行現象」についてですが、現行計画に「先行現象」という項目がある訳ですが、必ずしもここでは適切ではなく、せいぜい「先行した活動」の方がよいというご意見でした。

【三浦専門委員】これについては、予知協議会の企画部の中で議論した結果、「前駆的」というところにひっかかりがあったということなので、「先行現象」はちょっと言い過ぎだったかもしれません。「先行した活動」でよろしいかと思います。

【森田臨時委員】ちょっと細かい点ですが、これは皆さんの意見が一致すれば良いのですが、先行した活動の中の最後の段で、電磁気的現象としてVHF電波のエコーとTECの2つの話が出てくるわけです。が、どちらがより先行した現象だったのかということを考えると、順番が逆でもいいのかなと思います。

【清水主査】松澤委員からは、ここでそもそもこの電磁気の現象を取り上げること自体について、まだ迷いも若干あるというようなことでしたが、それについてはどうですか。森田委員からは、ここに書くことは良いというご意見でしたが。

【小泉専門委員】この先行現象というのをプレサイスミックの意味だけに使っているのか、それともその後発生する地震と明らかに物理的な関係があると見ているのかどちらでしょうか。現行計画をつくるとき、結局、それはあいまいであったと私は思っています。前兆という言葉を使うのは嫌だということになって先行現象を使ったのだと思いますが、外から見れば同じだと思います。また英語にした場合「precursor」となり、同じになるという話を山岡科学官ともしたことがありますが、その点を確認した上で取り扱いを決めていただきたいと思います。プレサイスミックという意味であったならば、そういう意味にしたいと思いますが、その場合には入れるのは構わないと思います。

 それから、電磁気の現象についてですが、信頼性という点に関しては、僕は森田委員と同じで、日置先生のTECの結果は入れるべきだと個人的には思います。

 多分、ここで扱っている先行というのは「時間的に地震の前」、つまり、プレサイスミックの意味ということに限定したいということであれば、そうなると思います。そこのところも、確認した上で扱いを決めたほうがいいと思います。

【清水主査】小泉委員自身はどうでしょうか。

【小泉専門委員】結局、ここに地震予知を入れた以上は、先行現象と言っていますけれども、それは一般の人から見れば前兆と一緒だと思います。そういう意味では、検証可能ということが必要だと思いますので、日置先生の結果、それは可能だと思いますから良いと思います。

 それから、もう一方の結果に関しては、これは従来言われてきたことと僕は違うと思います。つまり、非常にローカルな事例に関しては合うという話で、論文も出ていますが、M9の事例に当てはまるという話は、申し訳ないが、かなり思いつきに近いと僕は思っているのと、従来言われてきたモデルとも違いますし、VHF電波のエコーの話は入れるべきではないと思います。

 単にプレサイスミック、時間的にということであれば、ほかにもあります。先行現象というのは、つまり、ある程度、メカニズムとまでいかなくても、物理的な可能性が考えられるもの、検証可能なものであるということを前提において考えるべきだと思います。

【清水主査】わかりました。来週、地震学会もありますので、まだ今ここで完全にフィックスする必要はない。若干の時間的猶予はありますので、それも踏まえながら、最終的にいろいろ意見をいただきながら調整したいと思います。

【平田委員】この文章の最後のところに、「同様な異常は3月初めから再開し、8月末の時点で継続中である」と書いてありますが、これは先行現象だけではないということをわざわざ打ち消しているわけでしょうか。もしそうなら、全部削除したほうがいいのではないでしょうか。

【松澤主査代理】これは、実は12月ぐらいに次に大きな地震が起こるかもしれないということを主張したい文章でした。

【平田委員】そういうことですか。それはここに書くにはあまり適切じゃない。

【松澤主査代理】元々全体がかなり長いので、削るセンスだと思っていたところに色々とご意見いただき加筆していますので、ここを削るということに関しては、構わないと思っています。

【清水主査】あと、山岡科学官からいただいた5項と6項を入れかえるご意見ですが、6項を分ける必要があるかということも含めて整理をし、場合によっては統合し、書き順としては、山岡科学官が言われたように少し整理をするということで松澤委員、よろしいでしょうか。

【松澤主査代理】わかりました。それで結構です。

 この辺、私自身の思い入れがありますが、「マグニチュード9の地震が予測できなかった理由」という項目は、多分一番国民の皆さんが知りたいところだろうと思いますので、そこがわかるような形で残したくて、結果的に2つ分かれたという背景があります。

【清水主査】アスペリティモデルについても、宮澤委員と山岡科学官からご意見をいただいて、それに対して松澤委員からも意見がありましたが、これについてはどうでしょうか。非常に重要な問題でありますが。

【宮澤専門委員】先ほど松澤委員からご説明いただいたとおりで、私は大体納得していますが、ただ、資料1-2にある全般的な意見にも書かせていただきましたが、レビュー全体を通して見ると、ややアスペリティに関しては、アスペリティの定義自体が問題であるとか、いろいろそういった書き方があったので、先ほど例えば松澤委員が言われたようなスタンスで、アスペリティの記述について統一させたほうがいいのではないかと思います。

【山岡科学官】この段落が何を言っているかあまりよくわからなかったので、アスペリティモデルをどう考えるかということは、もうちょっと明確に書いたほうがいいかなという意味合いで、コメントを入れました。もう少し主張を明確に。例えばアスペリティモデルは、大きな修正は必要ないけれども、こういう点が問題であったと、明確に書いた方が良いと。

【清水主査】わかりました。「今後にむけて」というのは、これからレビュー、総括的なところを書く上でも非常に重要なのです。4ページの「7.今後にむけて」の真ん中辺りですが、特に地震は、発生直後の今は変化率が非常に大きいので、なるべく早い段階で測量とか地殻変動の観測、その他いろいろな観測を行うことが非常に重要だということを松澤委員に書いていただいている訳です。ここに関して、今日、オブザーバーで今給黎委員をお呼びしていますので、ご意見をお願いします。

【今給黎臨時委員】今回、コメントを入れる以前の段階で、松澤委員に内々にご相談申し上げて、余効変動等の推移を見る、もしくはコサイスミックな変動そのものを空間的にちゃんと全部調べておく必要があるという意味から、なるべく直後の観測が必要だということを書いてくださいとお伝えしました。

 実際、国土地理院でも、いろいろと紆余曲折はありましたが、東北地方の仙台より北側のところの一等水準路線は全部観測できることになりましたので、ここに書いていただいたものは、こちらとしてもある程度対応できると考えております。今後も測定すべきところは色々あると思いますので、ここで重要性を言っておいていただいた方が、こちらも今後、観測等をやる際の応援になりますので、この書き方は非常に良いと思います。

 具体的な観測について書くのではなく、重要であるということ、今なぜ必要かということを書いていただいたので、書きぶりはこれでよろしいかと思います。

【小泉専門委員】多分、ここだけ読む人がたくさん出てくるので、7項に関しては、全体を終えた後に、もう一度見るということにしてはいかがでしょうか。

【平田委員】余効変動のところで、「ひずみ速度が一番大きいと期待される」は「ひずみ速度が一番大きいと予測される」としてはいかがでしょうか。

【清水主査】わかりました。ほかによろしいでしょうか。

【藤井委員】今、ここの議論がほとんど地震予知計画に関わるコミュニティーの反省事項なので、来週の地震学会で、地震学プロパーをやっている人たちは、また別の意見を持っている可能性がある。そのあたりのことをきちんと反映する必要があると思います。時間的余裕はまだあるとさっき清水主査はおっしゃいましたから、地震予知のシンポジウムや何かを受けて、できるだけきちんとしたレビューになるようにしていただければと思います。

【清水主査】ご意見ありがとうございます。

 先ほど私からも申し上げたアスペリティのことも含めて、多分、地震学会でまたいろいろ意見が出ると思いますので、それらを踏まえながら、中身についてはまた松澤委員を中心に、検討させていただきたいと思います。

 

【三浦専門委員】

(4章地震の部分について説明)

【清水主査】ここは、あまりたくさんのご意見はいただいていませんが、いただいた修正意見については、三浦委員はどうお考えでしょうか。

【三浦専門委員】特に異論はありません。

【森田臨時委員】山岡科学官の「これは不要ではないか」という意見に対して。私も一部執筆担当しておりまして、この大きな地震について、何を我々は学ぶべきかという視点で書くべきだと思っています。

 そうした場合、能登半島地震というのは、基本的に陸の活断層だけをこれまで考えていたけど、陸とつながる海底の活断層も考えなきゃいけないということが我々研究者に突きつけられた問題だと思い、最後の山岡科学官が不要と言われた部分を書き加えた次第ですが、私は非常に重要な箇所だと思いますので、皆さんのご意見を伺ってから判断したいと思います。

【山岡科学官】陸上の断層と海底の断層が同時に滑る可能性があるは当たり前だと思っていて、森田委員の意図を反映するならば、海底の活断層もきちっと調査する必要があると書くべきですね。

【清水主査】これは地震本部の活断層の話とも関わってきますが、山岡科学官には、「不要」だけではなく、「代案」考えていただくよう提案します。

【山岡科学官】わかりました。今意図がわかりましたので、少し考えます。

【齋藤専門委員】ちょっと細かい話ですが、「(5)2009年駿河湾の地震」部分で、「さらに、本震の滑り量を仮定して」の一文がありますが、気象庁で東海の監視をしていて、顕著な地震活動はなかったという話をしてきました。判定会で評価していただいた結果と書きぶりが異なるので少し気になります。

【清水主査】判定会の公式見解と少し違うということですが、どうしましょうか。

【三浦専門委員】修正意見をいただければ、検討させていただきます。

【清水主査】それでは、齋藤委員の方で考えていただけないでしょうか。

【小泉専門委員】主な地震で、外国の地震は中国の地震だけ入っているのは、どういう理由でしょうか。変な言い方ですが、日本に被害という意味であれば、2010年のチリを入れるべきではないかという気がしたので、チリを入れずに四川を入れる理由があれば、それを教えてください。

【清水主査】主な地震についてどれを取り上げるか皆さんから意見を出していただき、外国の例ということで四川が挙がったと思います。

【平田委員】四川地震は振興調整費があったからではないでしょうか。

【小泉専門委員】四川はあったけど、チリはなかったということですか。

【平田委員】だから、そのときの判断として重要だということです。

【小泉専門委員】後づけでもいいので、何かあった方がいいなと今思っただけです。これがなければ、全部国内ということで説明しやすいのですが、個人的には、チリはM9クラスでしたし、いろいろな意味で大きな事象だったと思います。チリを入れろということではなく、説明ができたらいいかなというだけです。

【平田委員】外国の地震の研究をきちんとやっていることは、きちんと書いた方が良いと思います。それから、これは内陸の地震の最大級の地震で、M8かM7.9、だから、M8の内陸の地震がほんとうに起きるかというのは疑問に思っている人もいるけれども、現にあったという例としては重要です。プレート境界型のM9は日本で起きているから、あえてそれを入れなくてもよいということです。結局、チリの場合は津波でしょう。

【山岡科学官】考え方としては、日本の研究者によって、比較的集中的な観測研究が行われて、現行計画の成果として、何か得るものがあったというものを書くというのがポイントだと思います。そうすると、四川の地震ぐらいしかない。あとは、ハイチの地震で、合成開口レーダーで見たというのもあるかもしれないけれども、相対的にはこれが一番という意味で、これを書いてよろしいのではないでしょうか。

 

【森田臨時委員】

(4章火山の部分について説明)

  • 齋藤委員の指摘については、そのように修正させていただきます。

【清水主査】霧島については、まだ現在進行形なので、このレビューを出すころには、また状況が変わっているかもしれませんが、その場合には、また後で多少の手直しが必要になるかもしれません。もし意見がありましたら、またメール等でお願いします。

 

【三浦専門委員】

(第5章(1)モニタリング部分について説明)

【清水主査】「今後の展望」の書き方について、様式について、山岡科学官から意見をいただいています。現状はそれぞれの内容ごとに段落を変えて書いていますが、段落を変えるだけじゃなくて箇条書きのようにしたほうがわかりやすいのではないかということですね。もし様式をそろえるとなると、ほかのところも全部になりますね。

【山岡科学官】表現上は少し検討してもらえばいいと思います。後から読んだときに、ある程度、何が課題かということがわかるように、箇条書き的にわかるように書いてもらうことが大事であると思います。そうすると、次の計画のときにも、それを見ながら何が課題だったのかが明確になるし、外部評価でも、そういうところをきちんと見て評価してもらえると思うので、ここはかなりわかりやすく、読みやすく書くことが大事かなと思います。

 それ以外の成果や中身に関しては、やや専門的なのでなかなかわかりにくいけれども、今後どうするかというところは、きちっと書くことが大事であろうと思います。○をつけるなど、書き方については、今までに例がないので、事務局で検討して頂きたいが、できるだけ箇条書き的に明確に書いておくことが大事だと思います。

【清水主査】箇条書きにした方が簡潔になるので、具体的には非常にわかりやすいと思います。けれども、同じ箇条書きの中にも、重要度には結構いろいろ違いがあるので、すべて箇条書きにしてしまうこともよくなく、一長一短があると思います。これは非常に重要なことで、統一するのは結構難しいとは思います。これについては全体の議論をした上で考えさせてください。

【飛田専門委員】12ページ、13ページの成果のところの書きぶりですが、機関名を主語にするのか、それともしないのかという問題があります。資料1-2の下から6行目にもありますが、前回のレビューでは、実施状況は機関名を主語にしていて、成果のところは機関名が主語とならないように書かれているということです。

 実際に、今回も、例えば16ページとか19ページの成果のところを見ると、それは機関が主語になっていないということなので、読みやすさの点で統一するならば、成果に限っては機関が主語でなくてもいいという感じがしました。

【清水主査】どうもありがとうございます。これは、飛田委員からも事前にご意見いただいており、実施状況は、それぞれ機関がやったことが見えるように書き、成果については、機関を主語にしないという方針に統一します。

 

【鷺谷専門委員】

(第5章(2-1)の地震予測システムについて説明)

  • 「O(N)」とか、「NlogN」の書き方など、全体的にこなれていない部分もあるので、修正したいと思います。

 

【市原専門委員】

(第5章(2-2)の火山地震予測システムについて説明)

【清水主査】地震の予測システムはすごく細かく具体的に書かれていると思いますが、専門外の方にはわかりにくいように思います。専門用語については、用語解説するのでしょうか。例えばアジョイント法、マルコフ連鎖、粒子フィルターやジャミング転移点など。こういう用語を使わないと説明が不可能であれば、用語解説するしかない訳ですがいかがでしょうか。

【飯高学術調査官】用語解説については、こちらでやりますが、この場合、1度別ページを読まないといけないので、読み手はわかりづらくなります。なるべく、「この手法はこういうことをやる」や「何とかの手法でやる」と書いていただけるとわかりやすいと思います。

【清水主査】手法の用語の前に修飾語をおくということでしょうか。

【飯高学術調査官】要するに、第三者がすんなり読めるスタイルにするのが良いと思っていて、1度別ページをひっくり返すと、読み手は必ず頭を切りかえるので思考が止まってしまいます。どうしてもだめならば、ご指導を仰ぎながら幾らでも用語解説を作成しますので、よろしくお願いいたします。

【清水主査】例えば同じページの欄外に書いてあるだけでも、若干は違うと思います。ただ、文章の中で説明すると、長文になってしまい、やはりわかりにくくなると思います。これは難しい問題ですが、ちょっと考えてください。

【鷺谷専門委員】わかりました。

【清水主査】その他内容についても、修正意見をいただければと思います。

【森田臨時委員】今、現行計画との対応を確認しましたが、鷺谷委員ご自身が非常にまじめに予測研究をされており、現象解明のためのシミュレーションも結構この中に入っております。そこのところを少し書いていただく方が、全体として現行計画との整合性が良いかなと思いました。

 それと、今回、噴火シナリオに基づく予測ですが、今後の展望で、最後、マニュアルをつくるということを書かれていて、これについて私はもっともだと思いますが、この研究項目の中で一番欠けているのは、研究者の参加が少ないということではないでしょうか。もっとみんなで支え合って、これをやっていかなきゃいけないということを少し今後の展望のところで書いていただきたいと思います。

【市原専門委員】マニュアルについては、どこかの研究計画の今後の展望らしいところに書いてあって、そのまま引用したのですが、私自身は、このマニュアルについては疑問を持っています。やはり入れたほうがよろしいでしょうか。

【森田臨時委員】多分、マニュアルができてしまえば、気象庁が業務上、シナリオをつくられるだろうと思います。マニュアルができないから、我々が今この予知研究でやっていると理解しています。マニュアルまで高めるという言い方が本当ですが、マニュアルという言葉が適切かどうか、どういう表現にするのかというのは、前後関係もあり、すぐには思いつきません。

【清水主査】多分、これは意見がいろいろあって、私は森田委員の意見には反対ではありますが、色々と皆さんにご意見をいただきたいと思います。マニュアル、できればいいですけれども、そんなに簡単にはできないですよ。

 ただ、今、森田委員が言われた研究者の参加が少ないというのは非常に危機的な状況だと思っております。予測システムというのは、現行計画の「目玉」の1つです。地震と火山がくっついたということと、予測システムというのを志向した研究になっているので、重要なところであるのにもかかわらず、この火山のことについては、かなり内容的に乏しいのは事実ですね。やっぱりやっている人が少ない。後で、論文リストのところも出てくるかもしれませんが、ここは論文も非常に少ないですね。ということで、ここについては色々な問題があると思いますので、書きぶりも含めて検討したいと思います。

【小泉専門委員】確認ですが、参加者が少ないというのは、火山の話ですか。

【清水主査】火山です。地震もそんなにシミュレーションをテーマにしている研究者はいないかもしれませんが、地震の方はすごく活発に議論されているので、そういう気はしないし、実際、成果も出ていると思います。ただ鷺谷委員の書き方は、すごくまじめに書かれていて、今後の展望の18ページの2段落目の後ろの下から二、三行目のところには、「本課題の現状および将来は、はなはだ心許ない」と書いてある。ここの文章の書き方は変えた方がいいと思います。是非、この部分こそは将来の展望で、希望が持てるように書いていただきたいと思います。

 

【森田臨時委員】

(第5章(3)地震・火山現象に関するデータベースの構築について説明)

【清水主査】データベースについても、なかなかこれをやった当事者が評価されないというか、論文にもつながりにくいことなのですね。ものすごく時間と労力がかかるわりにはということもあって、なかなか皆さんが積極的にやれない環境にあるのではないかとも思います。なので、その辺のことも含めて書ければと思いますが。これも今のところ、ご意見いただいてないのですが、この場でも結構ですけれども、何かあれば。

【小泉専門委員】結局、データベースは統合のためじゃなくて、アウトリーチの一環でみんなやっているのですよね。それならば、つまり、少なくとも組織から評価されます。私もデータベースをつくっていますが、統合化のためというより、アウトリーチのために使っていて、そちらで評価されていると思います。

森田委員の問題意識はそのとおりで、このままやっていくと、個々のデータベースはたくさんできてきて、ポータルサイトはできるかもしれないけど、そこでおしまいということになると思います。これは先回しで、現行計画でどういう書き方をするかということになるのかなと思います。

【清水主査】ぜひ小泉委員、ここのところも少し意見をいただいて、現行計画につながるようにお願いします。

【森田臨時委員】特に、私も書きにくかった「今後の展望」のところで貴重なご意見をいただければ、大変助かりますので、よろしくお願いいたします。

【清水主査】それでは、次は「2.長期広域」ですが、一応原稿は提出いただいていますが、まだ完全ではないと執筆者の松澤委員が言われていますので、もう少し松澤委員の方で練った上で、また皆さんにメールで検討いただきたいと思います。松澤委員補足あればお願いします。

 

【松澤主査代理】

(成果報告の冊子の83ページを用いて補足説明)

【清水主査】松澤委員には、東北地方の地震の章だけでも大変なのですが、引き続きご努力いただきますので、ぜひ活発な意見をよろしくお願いしたいと思います。

 

【三浦専門委員】

(第5章(2-1)地震準備過程について説明)

【清水主査】あまり個別の意見はいただいていないようですが、宮澤委員、アスペリティについての意見いかがでしょうか。

【宮澤専門委員】先ほど、松澤委員に東北地方太平洋沖地震でご説明いただいたので、前のところと整合性させて、アスペリティやアスペリティモデルについて書かなければいけないと思い、指摘させていただきました。第3章の東北地方太平洋沖地震のところで議論しているところで、特に松澤委員の発言に対して何もコメントがなかったので、むしろ前に合わせて書くべきと思います。

【小泉専門委員】私も同じ意見で、ひっかかったのは26ページで「アスペリティモデルを根本的に見直す」という書き方について、僕は違うと思っていて、5ページのような書き方に合わせるべきだと思います。

【清水主査】そうですね。地震の準備過程の今後の展望のところは、東北地方太平洋沖地震の第3章と記述的にも重なっている部分が多いので、ここは少し

松澤委員と調整します。

【松澤主査代理】多分、皆様の考え方とそんなに大きくは違わないと思います。私も一部楽観的に書いている部分と、そうでないところがあるので、その辺はもう一回全体を見直して調整させていただければと思います。

【森田臨時委員】アスペリティモデルを否定する、否定しないという言い方よりは、アスペリティモデルは、今まで概念だけしかなかったがアスペリティをつくる本質を今後解明していく、物理過程なり、科学過程なりを理解していくという方向に、この研究は進めるべきだというようなスタンスを前に出したほうが良いのではないかという気がするのですが、これは小泉委員の考え方とちょっと違います。

【小泉専門委員】私が言うべきことではないのですが、アスペリティモデルというのは、最初は非常に単純だったけれども、摩擦構成則をくっつけて「物理」になったように思います。ですから、既にどんどん変化してきている訳で、これは以前、山岡科学官がおっしゃいましたが、アスペリティモデルというのはそういうところが良いのだと。最初は単純だけれども、どんどんいろいろな意味を加えて複雑にしていけるところが非常にいいという話でした。一方でモデルはモデルなので、つまりアスペリティモデル以外でも説明できることがあるのではないかという意識は持っていなくてはいけないだろうとは思うのです。

 ですから、今の森田委員の意見だと、アスペリティモデルだけに特化してしまうので、それ以外の選択肢も考えるということをどこかに入れるか、におわす必要はあるかなと思いました。個人的には、僕は森田委員の意見に賛成で、アスペリティモデル以外に何かあるのと言われても、私は全然選択肢を思いつかない。ただ、モデルに依存しちゃだめというのが、多分一番の今回の反省だと思います。

【松澤主査代理】もともと我々がアスペリティモデルを金森先生のモデルから進展させたときに、摩擦構成則を頭に入れて作っていて、そのときにあくまでも地震性滑りが卓越している部分と、非地震性滑りが卓越しているという言い方をしていて、非地震性滑りが起こっているところでも、ときには地震性滑りが起こるという事が、摩擦構成則の中にあるので、それを頭の中に入れてやっていたけれども、どんどんモデルを単純化していく中で、その部分が抜け落ちてしまい、いつの間にか自分たちも一番単純なモデルでもって解釈するようになってしまったということだと思います。おそらくそれが今回の一番反省すべき点であって、もう一回、根源の摩擦構成則に戻って解釈していくことは多分可能だろうと思っています。

 ただし、摩擦構成則そのものも、本当に正しいのかと言えば、まだまだ改良の余地があるはずで、そのようなことを考えながら書いていかなければいけないけれども、ちょっと複雑になっていくので、視点によって書きぶりが大分変わってきてしまっているということだと思います。

【森田臨時委員】今、摩擦構成則と言われましたけれども、摩擦構成則の背後にある、物理過程なり、科学過程という研究が不足していたというのが、今回、反省点ではないのかと、そういう気がしますが、どうですか。

【山岡科学官】摩擦構成則は数学の世界で記述をしようということです。ただ、それはあくまでモデルであって、バックグラウンドにある物性とか、レオロジーは、あまり考慮していない可能性があって、それは両面ちゃんとやるべきだということです。片方だけではだめで、やはり森田委員がおっしゃるように、どうしてそのような振る舞いをするかというところも突き詰めないと、結局は何か分からないけれどモデルだけがひとり歩きするということはあり得ると思います。

【高木オブザーバー】少し確認したいのですが、現行計画はアスペリティモデルに立脚し、それを高度化させるというかたちで進めてきました。

 ところが、M9の超巨大地震が発生して、それをこれまでのアスペリティモデルですべて説明できるかどうかということが、まだ明らかにはなっていません。このレビューの第5章のところは、現行計画の項目が着実に進められているかどうかの確認です。それに対して第3章というのは、超巨大地震が発生して、それを踏まえて総括しようというところなので、3章と5章は書き方が違っていても良いのかもしれません。そこについてご意見をお願いします。

【清水主査】要約すると、第5章の部分というのは現行計画をどれだけきちんと進捗しているかということを自己評価するところであり、第3章の東北地方太平洋沖地震のところとは書き方が若干違っていてもいいのではないかというご意見ですね。ただ、アスペリティの定義というか、捉え方については、ある程度整合性をとっておく必要はあると思いますが。

【高木オブザーバー】さらに言うと、このレビューをもって外部評価をして、次期計画の策定につなげる訳なので、現行計画ではアスペリティモデルに関する成果としてここまで進捗してきたと報告することとは別に、次の議事にあるとおり、不足していた部分を第3章で明らかにするのであるわけで、少しそこを整理した方が良いという気がしました。

【清水主査】確かに少し整理する必要があるとは思いますが、ただ、従来の項目のところの第5章でも、やはり東北地方太平洋沖地震を受けて、今後に向けての課題があってしかるべきですよね。全く関係なく書く訳にはいかないと思います。ここについては後で整理するようにいたします。

 

【森田臨時委員】

(第5章(2-2)火山噴火準備過程について説明)

【清水主査】今後の展望のところで少し整理をしていただいています。

 具体的には、多様性について触れて、今まで一言で準備過程と言っていたのが、実際は多くの火山においては、準備がそのまま噴火につながらないで終わるという現象が多いわけです。岩手山もそうでした。

 そういったグループと今回の新燃岳の場合と何が違うのか、その辺のところをきちんと整理をして、今後議論、研究していく必要があるということを具体的に分けていただいたので、これは非常にいいと思います。

 あと、物質科学についてです。現予知計画から、火山の方では物質科学、地質関係、鉱物学、岩石学関係の方に積極的に入っていただいてやっている訳ですが、その成果が早くも桜島の噴火様式の変化の発展のところで出てきているということで、その辺をまとめて書いていただいています。

 

【森田臨時委員】

(第5章(3-1)地震発生先行過程について説明)

【清水主査】森田委員からかなり大胆な提案をしているというご意見ですが、その割に意見は少なく、どうしましょうか。

【山岡科学官】統計的な検証はすごく大事で、先行現象が議論の遡上に乗らないのは、統計的検証があまりできていないからだと思います。例えば統計的検証のスタンダードをもう少し明示すべきであるとか、もうちょっと明確に書いてもいいと思いますが、いかがでしょうか。非常に重要なことだと思います。

【森田臨時委員】そこを強調して書けということでしたら、書かせていただきます。

【清水主査】ただ、統計的にちゃんとやろうと思ったら、事例というか、やはり数が必要ですよね。

【山岡科学官】そういうものが必要であることを、現行計画のこの部分ではかなり明確に言っておいて、研究者にちゃんとリマインドするとか、標準的な指標もちゃんとあるということは、始終言っておかないと、なかなか皆さん、仕組みの研究ばかりやって、「私はあると信じている」と言って、それで話が終わる可能性がある。それだと進まないから、明確にしてくださいということです。手法も含めて、かなり明確に打ち出してもいいと思います。

 

【森田臨時委員】

(第5章(3-2)地震の破壊過程と強震動について、第5章(3-3)火山噴火過程について説明)

【清水主査】今、森田委員から「(3-2)地震破壊過程と強震動」と「(3-3)火山噴火過程」について紹介いただきました。ここについては、あまり個別に意見をいただいていないので、ぜひ皆様にもう一度読んでいただきご意見を提出してください。噴火機構については文章が長くないでしょうか。特に、「今後の展望」はかなり長いので、もう少しコンパクトにわかりやすく、これは山岡科学官から最初の方で意見がありましたが、箇条書きにするかどうかは別にして、もう少し精査が必要と思いますので、よろしくお願いします。

【小泉専門委員】これはつまり位置づけとしては、物事が起こる前の強震動と津波の予測をしましょうということで入れているということですね。

何を言いたいかというと、現行計画には緊急地震速報は入っていないからです。

【平田委員】現行計画の中に入っていないというのは・・・・・・。

【小泉専門委員】それはつまり、ここに強震動予測を入れるときから、色々あったと思いますが、考え方としては、実際に地震が起こる前に予測するから予知研究計画の中に入れるという切り分けですよね。そういう理解ですよねという確認です。

【平田委員】2つあって、1つは震源過程そのものの研究ですよね。

【小泉専門委員】地震が起こってから事前に強震動の予測するのではなく、地震が起こる前に津波の規模であるとか、ある場所の強震動を予測するために必要であるから、予知研究計画の中に入っているという位置づけでよろしい訳ですね。

 何を言いたいかというと、今度、緊急地震速報に関しても随分成果が出ましたが、次期計画でも、位置づけを変えないということを確認したいだけです。【平田委員】ここは基本的に現象解明のところなので、何で強い揺れが出るのかというのを震源過程から見つけてやるというところまでだと思います。

【小泉専門委員】地震予知研究計画の中に入れているかということになると、事前にそういうことを把握できるからという切り分けでしてあると思えばいいですねという確認だけです。

【清水主査】平田委員が言われたように、現象解明だからというのが理由だと思います。予知計画に緊急地震速報を入れてはいけないという訳ではなくて、それをもし入れる場合は、現象解明ではなくて、予想のところに入れるべきで、それは今後、津波予測についても同様の考え方です。当然、社会はその問題について求めていることなので、それをどう扱うかということです。ただ、ここはあくまでも現象解明だからここでは触れないということです。

【平田委員】ここでは触れなくていいから、もし緊急地震速報を予知計画のアウトプットというか、予知計画の成果として取り込むのであれば、今の仕組みを変えないとだめだと思います。

【小泉専門委員】いや、現象解明だったら地震学ですよねという確認です。

【平田委員】そうです。だから、今は、あくまでも強震動は現象解明として、震源過程の不均質性を解明するということです。

【小泉専門委員】解明することで、それが予測につながると、そういうことですね。現行計画は「地震予知、火山噴火予知のための」と書いてあるのだから。

【平田委員】だから、それが最終的に予測シミュレーションにインプットされるので良いということです。

【齋藤専門委員】さきほどの強震動、津波の生成過程、もしくはその上の地震破壊過程と強震動のところについて、現行計画の「(3-2)地震破壊過程と強震動」には、津波の予測手法の開発を目指すということが書いてありますが、その下の「イ.強震動、津波の生成過程」では、まさに平田委員がおっしゃったような現象の解明ということだけが書かれています。今後の展望については、津波について今後も研究を進めると書くのはいいかもしれませんが、レビューとしてどこまで書けばよいのか整理が必要だと思います。実際に、既にいくつか書かれていると思いますので、そこについては整理が必要だろうと思います。

【森田臨時委員】課題として、既にそういうものが上がっているということですね。津波の予測については、逐次予測手法という今まで全くないものを研究課題として進めて、ある程度そういったものの実用化の目処がついたという段階で、さらに、それを研究して高度化するということです。それを導入するという話ではなくて、ここはやはり研究計画ですから、さらに高度化するためにはどういう研究が必要かということを書くべきではないかと思い、そのような書き方になりました。

【齋藤専門委員】地震が起きた後の、津波の伝搬予測みたいな話も入っていると思いますので、それをやってはいけないという話は、当然ないのですが、予知計画の中でどう取り扱っていくかというところは、皆さんの合意が必要だろうと考えているということです。

【清水主査】それについても後で議論しますが、現行計画では確かに入っていないので、それを今後やることが、やはり社会に対する責任だということになれば、次の計画には入れていくという方向になると思いますが、確かにご指摘のとおり、このレビューに関して言えば、現行計画に対しての進捗状況を自己評価するわけですから、そこでは確かに書き方はちょっと気をつける必要はあると思います。

【平田委員】だから展望のところにそれが明示的に書いてあるのですね。

【清水主査】展望だからある程度許されるのではないでしょうか。ここでは次の計画をにらんでいるわけですよね。

【齋藤専門委員】例えば小泉委員が言われた緊急地震速報の話も展望のところに書くべきではないかという話になってくるかもわからない。

【小泉専門委員】いや、わからないです。そうやってどんどん膨らむと、また色々なところから叱られるかなと思って、どこかで線引きをしておく必要があると思って先ほどから発言しています。

【森田臨時委員】緊急地震速報は、もう気象庁が業務として取り込まれているという認識です。業務として取り込まれる種をつくるのがこの予知研究の最大の使命と思います。ですから、緊急地震速報に対して、今後の展望を気象庁が自分の庁の施策として書かれるというのは非常にわかりやすいのですが、予知研究に書くのは、気象庁に対して越権行為かなと思い、書いていません。

【小泉専門委員】いえ、現行計画には入っていないですよね。

【森田臨時委員】ええ。そもそも現行計画に入っていない。

【小泉専門委員】現行計画には入っていない。だから、展望でどんなふうに書くか、触れないかということだろうと思います。

【平田委員】だけど、予知研究そのもので、この計画で緊急地震速報に対して貢献したような成果が、この研究としてやっているものでは、実際出ていない訳です。緊急地震速報の成果はいろいろ出たと思うけれども、課題もなければ、成果の報告もないのだから、書く必要はないと思います。

【小泉専門委員】いやいや、展望でどうするかの話です。

【森田臨時委員】これは、はっきり言って、次の計画をつくるときにどういうスタンスかという話なので、ちょっと時間をかけて検討しましょう。

【清水主査】そうですね。特に実際に実施している気象庁の意見も聞いた上で。

【齋藤専門委員】私は津波も同じかなと考えています。当然業務化しておりますが、現行計画の中では書かれていないということを言いたかったのです。

【森田臨時委員】ただ、やはり現行計画の成果で出ている逐次比較という概念は、今までなかったと思います。これは、やはり成果として上がっているということと、やはり今後高度化というところの1つの方策ではないかと思うので、やはりそこは成果なり、今後の展望で挙げても、私は気象庁の業務を邪魔することは決してないだろうと思います。

【齋藤専門委員】この計画に沿ってというより、この計画に基づいてやってきたという位置づけでよろしいですねという確認です。もともと入っていたと読めるところも、例えば「(3-2)地震破壊過程と強震動」のところに書いてあるので、「イ.強震動・津波の生成過程」では、生成過程だけしか書いていないですよねという確認です。

【清水主査】だから、もちろん展望であれば、まだこれからのことなので、しかもこれから気象庁で津波のシステムを作られるのでしょうが、津波のシステムについては、まだ研究すべきところがあるのであれば、それは当然予知計画の中に書けると思います

【齋藤専門委員】すみません。成果を書いていただいて構わないと思います。気象庁として、どうかということではなくて、現行計画にないことを書くかどうかということです。

【清水主査】特に展望は書けるとは思います。

 

【市原専門委員】

(第5章(4)地震発生・火山噴火素過程について説明)

【清水主査】ここは、かなりコンパクトに書かれていると思います。今、市原ら委員から説明がありましたが、地震の素過程については、いわゆるアスペリティの実態のところに対して、非常に重要で、今後もその研究を進めるべきであるということで、このレビューも書かれているということです。

 例えば、もし皆さんから軌道修正なり、方向性の修正すべきようなところで意見があれば、そういう意見をいただきたいのですが、今現在ここに用意されている草稿では、地震の素過程に関してはわりとこのままという形ですよね。「さらに」という形で書いてあり、特に変更すべきだみたいなことはあまり書いていませんね。

【市原専門委員】書いていません。

【清水主査】むしろもっと一生懸命やれということですね。

 それから、火山については今回初めて入ってきたわけですが、市原委員の意見は、実際にやってみたところ、地震の素過程と火山の素過程では、かなり違うところが多くて、むしろ火山の素過程は噴火過程とか、噴火準備過程と非常に近く重なる部分もかなりあるので、そちらとの連携が重要であるということ。今、既に幾つか連携の研究が行われているということで、さらにそれを推進させるということですが、もし次の計画を出すのであれば、この辺を少し考慮して、部分的な組みかえ等が必要かもしれないというご意見だったと思います。

 もし大きく軌道修正すべきだという意見があればお願いします。そうでなければ、もう一度細かい点までよく見ていただいて、また意見をいただくことにさせていただきたいと思います。

【小泉専門委員】ここの分野も研究者が少ないと思います。それをもし書くのであれば、「今後の展望」のところに書くべきかと思います。実験をする機関と研究者が少ないというのが、個人的には非常に気になっています。

 摩擦構成則、今、僕らが考えているモデルを裏づけるデータは、実は必ずしも十分ではないですよね。うまくシミュレーションで説明できるかどうか、本当かどうかということに関しては、まだ不十分なところはあると思います。

【平田委員】それで、火山は素過程と準備過程との連携が重要だと書いたけれども、地震でも重要なことなので、そこは同じトーンにして、「discipline」として素過程というのはあるけれども、それは単独である訳ではなくて、ここでも書いてあることは、フィールドで観測されることと、それを説明するという、より連携を強化するというのは、もうちょっと地震のことについても含めるような表現で書いたほうがいいと思います。

【清水主査】そうですね。今、市原委員の説明では、むしろ地震の方もそういうことをおっしゃっていましたね。だから、文章としては、火山はそれを強調して、地震はわりとこのままでいいような書き方にはなっていますね。

【平田委員】地震もまだ不十分だと思います。それと、そもそもこの分野が少ないから、もっと増やしたほうがいいというのは、確かに両方で重要ですね。

【松澤主査代理】素過程に関しては、予知研究外から多くの人に入っていただいて、それで地震研が代表になってやっているというスタンスですよね。なので、さらに輪を広げれば、多分もっと人はいると思います。

【清水主査】そういう目で見ればまだ人はいるということですね。

【松澤主査代理】います。探せばいるはずです。ただ、その人たちが参加してくれるかどうかは別問題ですけれども。

【清水主査】火山もそうですね。今まで予知計画に入っていなかった方たちが中心になってやっていてということですね。

 

【三浦専門委員】

(第5章3.新たな観測技術の開発について説明)

  • 「え.今後の展望」については項目別に書いてしまったので修正する。

【清水主査】ここは比較的それぞれの個々の技術があるので、むしろ箇条書きしやすいかと思います。

 新たな技術開発というのは非常に重要ですが、実際はウエートはイコールではなくて、海底のところはかなり重要性が高いと思いますので、そういうのを意識して、メリハリをつけて書ければいいと思います。書き方についてよろしいでしょうか。

【平田委員】現行計画の中には明示的に入っていませんが、海底の観測というより海底の調査ですね。例えば、海底地形の調査とか、深部の海底の断層の調査とか、堆積物の調査というのが、今のスコープの中には入っていなくて、多分それは、技術開発が伴うので、どこかで少し議論していただく。そういう研究開発をどこかで始めるというのは必要だと思うので、それは特に津波堆積物の調査を陸上でやるだけではなく、海底でもやる必要があるという意見もありますから、それはどこかに入れる必要があるかなと思います。

 ただし、現行計画の枠組みの中にはないので、これもちょっと一度議論をした上でやるべきことだと思います。

【清水主査】「今後の展望」のところで今まで足らなかったところという認識で入れていくと。今後取り組むべきことになるのだろうと思います。

 

【森田臨時委員】

(第5章4.計画推進のための体制の強化)

  • 文章上おかしい点は、提案通り修正する。
  • 山岡科学官から指摘のあった「フィリピン地震火山監視能力強化と防災情報の利活用推進」については、国際協力のところで追記する。
  • 47ページの山岡科学官の指摘について、個々の大学を入れたほうがよいか検討した。

【山岡科学官】個々の大学名を入れるかどうかは、難しいですね。流れの中でどっちかを判断すればいいかなとは思いますが、この流れだと大学名を入れないのはちょっと違和感があったというのが意見です。

【松澤主査代理】上では東大地震研究所と京大防災研究所の名前が出ているので、この流れだと、確かに名古屋大学は書いたほうがいいかもしれないですね。

【森田臨時委員】わかりました。山岡科学官の各大学において書くというご指摘については、追加する方向で検討させていただきます。

【清水主査】森田委員の思いが強く出た原稿になっていると思いますが、時間もちょっと超過していますが、いかがでしょうか。

 現行計画の項目にないことで、東北地方太平洋沖地震について1つ小項目を立てて、最初に書かれております。今後の展望のところですね。50ページですが、これはどうですか。確かにこれだけの地震ですから、何かやっぱり書かれたほうがいいとは思いますが、ここを読むと、実際、この文章の最後の一文だけ、最後の3行の「そのためには」以降は、確かに、こういう機械、装置を配置しろということで、体制にも関係するのでしょうが、それより上の文章は全部体制というよりは、こういう研究をしろとかということなので、これは、もしこのままで、こういう書き方をするのであれば、ここに置かなくても、例えばこの後の章に総括的に全体のところの評価をする訳なので、そちらに書いた方が良いという気がします。

【森田臨時委員】それを先取りしているだけです。

【清水主査】そうですか。だから、東北地方太平洋沖地震を受けて、それを研究するための、例えば特別な組織をつくらなきゃいけないというのであれば、多分、この体制に書かなければいけないのですね。

【森田臨時委員】今回は総括的評価の章まで、出てこないだろうと思いまして、先取りして書かせてもらいました。

【平田委員】地震本部との関係のところの総合基本施策の中に、「趣旨に合致した内容で明確に規定されている」と書いてあるが、まさにそのとおりなのだけれども、具体的に書いたほうがいい。つまり、総合基本施策の中に書いてある、少なくとも、そこに地震予知計画の研究基盤になっているということを。

【森田臨時委員】それは46ページの実施状況のところで、詳しく書きました。

【平田委員】わかりました。それだったら結構です。

【清水主査】体制も大変重要なことではあるし、皆さん、色々お考えがあると思います。アンケートにしたがって書いたということですが、皆さんの意見は、一致している訳ではなくて、色々な意見があったはずです。どう取捨選択したか、ちょっと気になるところではありますが、これは執筆委員に任せていますので、あとは皆さん、ぜひご意見をください。引き続き、意見をお寄せいただくということで、個別の原稿についての議論は一度締めさせていただきたいと思います。

 あと、今日いただいた意見、それから、この後いろいろいただく意見については、私と事務局、それから何より執筆担当者と、それ以外の関係する方を交えまして取りまとめて、改訂版を次回までに用意いたします。ですが、その前に、実は地震火山部会があり、そこで今日までのところの進捗状況を報告するということになっておりますので、そこまでにも、直すところがあれば直して、途中経過という形で地震火山部会に上げさせていただきたいと思います。ご了承いただきたいと思います。

 さらに細かい修正については、また次回までにとにかく用意いたしますので、それについてご意見いただければと思います。よろしいでしょうか。

【小泉専門委員】すいません。火山と地震をくっつけた成果は何ですかと聞かれると思います

ので,そこはちゃんと意識しておく必要があると思います。

【清水主査】現時点では、まだ総括的評価という形では書いていないですけれども、幾つか芽は出ていると思いますので、その辺は、私のほうで整理をさせていただいて、そういう質問が出たときには、現時点で答えられるようにしておきたいと思います。よろしいでしょうか。

次に資料1-3について事務局、説明をお願いします。

 

【安藤地震火山専門官】

(資料1-3読み上げ)

【清水主査】地震が起きた後、状況としては、一刻も早く観測を始めることが必要でありますので、その後ろ楯となる現行計画を見直す必要があるのではないかというのが、この裏にある言いたいことです。この資料1-3について、ご意見をお願いします。

【小泉専門委員】後半は全然異論はありません。前半の基礎研究が十分でなかった記述について、内陸地震の発生予測は排除していたのかという点がひとつ。それから、「予測」という言葉を使っていてよいのかということがもうひとつ。

【平田委員】内陸というのは、マグニチュード7もということですか。

【小泉専門委員】そうです。内陸のマグニチュード7クラスの地震の予測ということを入れないのかということです。

【松澤主査代理】この文章では8以下、あるいは最大8ということですね。

【小泉専門委員】内陸地震を研究されている人もいると思うのです。

【平田委員】それであれば、7から8という表現にしますか。

【小泉専門委員】あるいは、本計画のプレート境界の地震ではということを入れるか。

【清水主査】プレート境界地震に関してはということですよね。

【小泉専門委員】そういう言葉を入れたら多分よろしいのかと思います。あとは「予知」と「予測」ですね。

【清水主査】確かに計画名では「予知」なんですが、ここでは「予測」。

【小泉専門委員】いや、実際にやっているのは終始一貫していて、我々は予測をやってきたという認識です。

【清水主査】ですが、題目のところは「予知」となっているのですね。

【平田委員】でも、大項目は「予測」になっていましたね。

この現行計画の項目、4つの柱は、予測のための研究、解明のための研究、開発と体制となっていて、ここでは予測となっています。

【清水主査】一番上のタイトルだけですよね。だから、中身は「予測」でいいのではないかと思います。

【小泉専門委員】はい、わかりました。

【清水主査】それで、内陸地震についてはどうしましょうか。プレート境界地震に関してはというふうに入れるか。

【小泉専門委員】入れるのが一番いいでしょう。伊豆の群発地震活動もありますからね。海溝型地震、プレート境界地震、どちらでもそれを入れていただけたら、あとは結構です。

【山岡科学官】表現としては、これは超巨大地震と書いてあってわかりやすいと思いますが、ほんとうのところは、今回で言うと、マグニチュード9の地震と、従来言われていたマグニチュード8クラスとか7.5クラスの地震との関係も含めるべきである。それは広く読めば(1)に含まれていると思うけれども、地震火山部会等の上の会議で説明するときには、やはり今回はおそらくプレート境界の最大規模に近い地震であったけれども、それよりも小さい地震との関係を解明するというのが、多分、サイエンスのバックグラウンドになります。なので、そこを意識して説明していただくと、よいと思います。

【鷺谷専門委員】最初の3行の文章を読むと、すごく違和感があります。この文章が外に出ていったときに、この表現では、どういうふうにとられるのだろうというところが非常に心配です。想定がそもそもなかったということを、ここに書いていることになると思いますが、このようにあっさりとした表現でいいのかなという気がします。この紙がどのように使われるのか、必ずしも十分理解できていませんが。

 あと、マグニチュード8級というのは、現行計画の中で明確に書かれていますか。

【清水主査】マグニチュード8とは言っていないかもしれませんね。

【松澤主査代理】これは多分、因果関係があるかのように書かれているので違和感があるので、そもそもマグニチュード9なんて、最初から考えていなかったというのが正直なところですよね。マグニチュード8までしか考えていなくて研究を進めていたけれども、「このため」というところが、因果関係があるように見えるので、違和感があるのかもしれません。

【鷺谷専門委員】もう一つは、マグニチュード8を主眼に置いていたということが、マグニチュード9の予測に対する基礎研究が十分じゃなかったという、そこが理屈として成り立つのかもサイエンティフィックには疑問です。

【松澤主査代理】正直に言うと、最大でもマグニチュード8クラスだと思っていたということですね。

【鷺谷専門委員】はい。だから、そのことを明確に書くべきだと思います。

【清水主査】そうですね。確かに、ここはマグニチュード9を考えていなかったということが言いたいのではなくて、現行計画で足らない、新たに項目を立てて取り組んでいかなきゃいけないことが見えてきたということが言いたいことですね。

【平田委員】現行計画の28ページの下から6行目から7行目について、震源の不均一性の話で、マグニチュード8クラスの海溝型地震からマグニチュード6クラスの内陸地震までを予測する手法と書かれています。つまりマグニチュード9は考えていなかったということです。

【松澤主査代理】これは強震動ですね。

【平田委員】この因果関係が不正確だというのであれば、「このため」というところを取ればいいのではないでしょうか。やっていなかったのは事実ですから。

【清水主査】「主眼を置いていた」までを取りましょう。

【清水主査】「本計画では」から、いきなり「今回発生した」以下ですね。

【宮澤専門委員】別の件ですけれども、(1)は、おそらくアスペリティモデルを今後改良していく、あるいは見直すという意味で書かれてあると思いますが、アスペリティモデルだけをやるのでしょうか。

普通に「アスペリティ」を外してモデルの再検討ではいかがでしょうか。

【松澤主査代理】私も同じ意見を持っていました。そのほうがいいと思います。

【棚田専門委員】前半には火山というのは書いてありますが、結局、後半の(1)から(4)には、火山のことは含まれていませんね。内陸地震等に含まれるのかなと思っていました。

【清水主査】そう、地殻活動に入っています。

【棚田専門委員】やっぱり「火山」という言葉があったほうが良いと思います。

【清水主査】わかりました。では「内陸地震等」を「内陸地震や火山噴火などの地殻活動の解明」にします。

【平田委員】(2)は、内容としてはこれでいいですが、超巨大地震の発生サイクルを解明するために余効変動の研究は重要だという認識だから、力点をおくのを発生サイクルにしたほうがいいかなという気がします。

【齋藤専門委員】(3)「巨大津波の予測の解明」というのは、「予測」なのか「発生機構の解明」なのかどちらなのでしょうか。例えばシミュレーション技術みたいな、先ほど森田委員が言われたような逐次予測みたいなものも入れるのであれば、「予測」のほうが良いと思います。

【松澤主査代理】どちらかというと「解明」ではないでしょうか。

【小泉専門委員】「解明」して「予測」する訳だから、「予測」でいいのではないかと思います。

【森田臨時委員】発生過程の解明と予測の高度化。

【清水主査】では、3番は予測で切ります。

【平田委員】もう一つ、最後のところに「世界の他の地域や西日本においても」云々と書いてあって、世界は一応書いてあるのですが、超巨大地震の解明をするためには、やっぱり世界、グローバルな視点でやるということを、もう少し強調したほうがいいと思います。

【清水主査】ということは、(5)をつくるということですか。

【平田委員】今の原文では、ほかの地域で発生する可能性がある地震を研究するということだけど、むしろ逆で、研究するためにはほかの地域の地震を研究しなければいけないという点があると思います。

【小泉専門委員】項目を別立てはしないほうがいいと思います。すべて1から4の中に入っていると思います。

【高木オブザーバー】要するに、今、2年半終わった現行計画の途中で、部分的にでも至急再検討したほうがいいという話になったわけなので、世界の巨大地震については、今、ここに5本目として入れなくてもいいのではないかというのが私の考えです。

【清水主査】今現在の計画の途中で見直すわけですから、すぐに取り組まなきゃいけないことなので、そういう意味では1から4まででよろしいですね。

 ただ、1から4も、今意見をいただいていて、(1)は「超巨大地震の発生を説明するためのモデルの再検討」。(2)は「超巨大地震の発生サイクルの解明」。(3)は「超巨大地震から発生する巨大津波の予測」。(4)は「超巨大地震に誘発された内陸地震や火山活動等の解明」と修正させていただきます。

【松澤主査代理】火山活動というのは火山性地震のことと考えてよいのでしょうか。

【平田委員】いやいや、噴火も含みます。

【松澤主査代理】要するに、今は起こってないけど、起こるかもしれないから、研究をやりますというスタンスですね。

【森田臨時委員】今後噴火すれば、噴火はもちろん含みます。

【清水主査】そうです。もっと言えば、地震、地殻変動だけでなく、そういうのも全部含めてということです。

【松澤主査代理】それが火山活動という意味ですね。わかりました。

【鷺谷専門委員】現行計画の長期・広域の最後の項目で、「地震発生サイクルと長期地殻ひずみ」という項目があって、その中で、連動型巨大地震についての知見を得るということも書かれています。言葉の問題がひとつと、現行計画で必ずしも含まれていなかったわけではないという点の整理が必要ではないでしょうか。

【清水主査】そのとおりです。ただ、それを言うと、基本的に全部同じなのです。例えば(4)は、誘発された活動という意味で、地震と火山の相互作用に含まれ、今の現行計画であるわけですね。

そういう意味で言うと含まれているけれども、やはり今回、「超」が重要であり、やはり今までの考え方では対応できないということです。

【平田委員】現行計画は、「連動型巨大地震」。今回は「超巨大地震の発生サイクル」なわけです。

【松澤主査代理】超巨大地震は、ここの委員会では認められたのですよね。

【平田委員】マグニチュード9以上を超巨大と定義しました。

【松澤主査代理】多分、用語集に書く必要がありますね。

【齋藤専門委員】確認ですが、最後の行、「震災国の日本の重要な責務」とありますが、これは、要するに、よく言われる地震大国、地震がたくさん発生する日本という意味ではなくて、今回の地震を経験した日本という趣旨で書かれているということですね。それであれば、「震災国」という言葉が、ちょっとしっくりきません。

【松澤主査代理】確かにそうですね。

【齋藤専門委員】「今回の地震を経験した」、そう書けばいいのでしょうか。

【清水主査】そのように直すようにいたします。

【今給黎臨時委員】資料1-3に検討したと書いてありますが、それはレビューの中身を指すのか、それとも、レビューしたことによって、予知計画の中間変更を意図しているのかというのが、これを読んだだけだとわかりません。

【清水主査】現行計画の見直しはこの委員会の権限ではありません。この委員会では、今行っているレビューの中間報告で、既に足らないところが見えてきて、しかも、早く対応しなくてはいけないということで、現行計画の見直しを早急に検討してくださいと地震火山部会に報告するということです。

【今給黎臨時委員】わかりました。

【清水主査】それでは、今のことについては、私のほうから次の地震火山部会で上げさせていただきたいと思います。文書についてのご意見は引き続きお願いします。

 

【安藤地震火山専門官】

(参考資料1-3、資料1-4をもとに、説明)

  • 掲載論文の総数としては、大体200篇を目安。
  • 各項目からの選択は、単純に各項目から10篇ずつとかではなく、何らかの選抜方法(例えば比率)を事務局で検討中。

【清水主査】この参考資料1-3の論文リストについては、会議資料としてホームページ上では全部公開しますが、印刷されるレビューでは、200篇くらいに絞りたいということが1つです。

 絞る基準については、計画の項目によって論文の数にでこぼこがあるので、一律に10分の1ずつなどというわけではなく、多少の調整をしつつ、それぞれの項目の執筆担当者が選択をしていただくということです。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【清水主査】それでは、そういう方針でよろしくお願いします。

 

 

[議題2.その他]

【安藤地震火山専門官】

  • 資料2-2 前回の議事録(案)について
  • 資料2-3 今後の予定について
  • 地震防災分野に関する平成24年度の予算要求資料について

以上について、簡単に説明。

 

【清水主査】ありがとうございます。それでは、本日はこれで終了します。時間超過して、申しわけございませんでした。どうもありがとうございました。

 

(以 上)

 

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)