「地震・火山噴火予知研究計画(仮称)」実施内容骨子(案)の考え方

【次期地震予知研究計画・火山噴火予知研究計画策定の基本的考え方(平成19年8月9日)】

○ 現状への基本的認識

「地震及び火山噴火予知研究計画に関する外部評価報告書」(平成19年6月28日)にあるとおり、「我が国は、世界有数の地震・火山大国であり、有史以来、数多くの地震災害や火山噴火災害に見舞われてきた。これらの災害から国民の生命・財産を守り、安全で安心な社会を実現し、「世界一安全な国、日本」を復活させることは、国の基本的な責務である。そのような中で、地震や火山噴火を理解し、適切な防災・減災対策につなげていくための研究に対する社会的な要請は極めて高い。(計画の必要性)

(地震予知研究の成果)

昭和40年から地震予知計画の下で推進され、「地震予知のための新たな観測研究計画(第1次)」までの間、地震の発生場所や繰り返し時間間隔に関する知見の習得など、数多くの成果を上げてきた。

(火山噴火予知研究の成果)

昭和49年から火山噴火予知計画の下で推進され、第6次までの間に観測体制は順次整備され、特定の火山では微細な前兆現象をほぼ確実に検出可能となるなど、多大な成果を上げてきた。

(連携方策)

今後は、(中略)現行の計画を途切れさせることのないよう着実に引き継ぐため、次期の地震予知のための新たな観測研究計画及び火山噴火予知計画を策定していく必要がある。なお、その際には、地震活動と火山活動は密接に関連した現象であることから、両計画に基づく研究について一層の連携を図る(後略)」

◎ 次期計画の基本方針

  1. 地震予究と火山噴火予知研究のこれまでの成果に基づいて、新たに両計画が連携して実施できるように、二つの研究計画を統合した「地震・火山噴火予知研究計画」を策定する。
  2. 地震予知研究計画の成果に基づき、「地震発生に至る地殻活動の理解に基づいて地震発生を予測する」方法を更に進める。プレート境界地震については、データ同化研究を進め、予測実験を試行する。内陸とスラブ内地震については、数値シミュレーションができるような物理的モデルの構築を目指す。
  3. 火山噴火予知研究の成果に基づき、これまでの経験的な噴火予測に加え、噴火現象の物理・化学過程の理解を目指した観測研究を進める。噴火過程と噴火様式の多様性の科学的解明を進め、深部マグマ供給系から噴火に至るまでのマグマ蓄積過程、噴火過程・様式について、一貫した火山噴火現象の理解を目指す。
  4. 地震予知研究・火山噴火予知研究の成果を、適切な防災・減災対策につなげていくため方策を検討する。

◎ 次期計画の具体的な内容策定方針

以下の4つの柱で、次期地震・火山噴火予知研究計画を策定する。

  1. 地震および火山噴火の予知は、地殻活動(地震活動、地殻変動、火山活動)のモニタリング(監視)に基づく地殻活動の現状把握を基本としつつ、地震発生・火山噴火に至る諸過程に関する知見(総合モデル)を用いて将来の地殻活動を予測して、最終的な地震発生や火山噴火を予測することによって実現する。そのために、地殻活動のモニタリングと予測、および、データベースの構築を計る計画を策定する。
  2. 同時に、地殻活動の予測のためには、地震・火山噴火に至る地殻・マントルの諸過程の理解が不可欠であるので、これを理解するための基礎研究を進める。地震および火山噴火に至る地殻・マントル内の活動には、両者に共通の現象と、地震・火山噴火の準備過程や最終段階で発現する破壊や流動・爆発等の異なる現象がある。これらを理解するために、地震予知研究と火山噴火予知研究が適切に連携して研究を進めるとともに、個別の現象については、それぞれがより深く理解することに努める。
  3. 地震および火山噴火に至る地殻活動の理解には、既知の手法や技術だけでは不十分であり、極限環境での観測手法の開発などを積極的に進める必要がある。地震予知研究と火山噴火予知研究が連携して新たな技術を開発する。
  4. 以上の研究を進めるための体制を整備する。地震の調査研究を国として一元的に取り組む体制である地震調査研究推進本部との連携の強化、業務的に地震・火山の監視を行う業務官庁と国立大学法人等の研究機関との連携の強化、研究・調査の担い手である人材の育成・確保などを計る方策を検討する。さらに、予知研究の成果を防災・減災対策につなげていくため方策を策定する。