地震部会 観測研究計画推進委員会(第10回) 議事要旨

1.日時

平成18年8月29日(火曜日) 13時30分~21時

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.出席者

委員

臨時委員
 堀
専門委員
 平田、金沢、松澤、山岡、小泉、干場、渡辺

文部科学省

 本蔵科学官、加藤学術調査官、他関係官

オブザーバー

 村上(国土地理院地理地殻活動研究センター)

4.議事要旨

(1)「地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)」平成17年度年次報告(項目別)について

 前回(第9回)の本委員会において、継続審議となっていた「地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)」平成17年度年次報告(項目別)(案)について、資料(2)及び資料(3)に基づき審議を行った。主な意見は下記の通り。

本報告書全般に対する意見

委員
 論文リストに「submitted」のものが含まれているが、これらは除外した方が良いのではないか。こういった不確定なものを掲載するのではなく、既に印刷されているものや受理されているもののみを掲載した方が良い。

委員
 本報告書をどのような位置付けにするのかということにもよるが、これらについては当該年度の成果をまとめるに当たって掲載した方が良いという判断から掲載している。確かに、不受理となる可能性もあるが、論文の掲載には時間がかかるため当該年度の成果をタイムリーにまとめるには、「submitted」のものも含めた方が良いと思う。ただし、そういったものについては、本委員会の求めに応じ当該論文を提出できるようなもののみを掲載する。それができないようなものについては、記載しない。また、「submitted」や「in press」のものについては、本日、8月29日現在の状況を調査し、正式に受理されたであるとかページ数が確定したといったことがあれば事務局まで連絡をし、最新の状況に更新した上で取りまとめる。

委員
 図と図の説明が分かりにくいという意見があったが、こちらについては前回の委員会以降、起草者である松澤委員と山岡委員に、説明書きを付すなど可能な限り対応して頂いた。ご意見等があれば、審議を進める中で適宜ご指摘頂きたい。

委員
 参考文献について、各文献の発行年が一番後ろに来るように事務局で整理して頂きたい。

委員
 図の全般についてお願いだが、もう少し体裁を整理して欲しい。

1.(1)「日本列島及び周辺域の長期広域地殻活動」

委員
 17ページの4行目「IGS(国際GNSS事業)」という言葉が分かりにくい。「GNSS」というのは正式名称なのか。

オブザーバー
 詳細については、担当者に確認しなければ分からない。速やかに確認し連絡する。

委員
 18ページの参考文献について、アルファベット順に並べ替える。また、参考文献の三つめについては「M.Matsubara」ではなく、正しくは「Matsubara.M」である。

委員
 20ページの図8のITRFという部分に括弧で説明を加えた方が良い。

1.(2)「地震発生に至る準備・直前過程における地殻活動」

委員
 30ページの12行目に「断層ガウジ」という言葉が出てくるが、括弧書きで分かりやすく説明を付した方が良いのではないか。

委員
 基本的には初出の部分(7ページ目)だけ説明を付せば良いと思うが、分かり易さということから考えると、再度ここで説明書きを付しても良いのではないか。

委員
 31ページの下から4行目「通常の地震の発生前での間隙水圧」という部分は表現がおかしいので、「通常の地震発生前の間隙水圧」と修正する。

委員
 33ページ(サイクルを超えたサイクル)の3行目「その結果、1973年の地震についてはモーメントマグニチュードで7.8と推定された。」という部分については、この部分だけモーメントマグニチュードとする必要があるのか、また、記載されている事柄の順序等も再度検討した方が良い。

委員
 また、同じ項目で「大分県佐伯市米水津」という部分以降について、個別具体的な事柄がいくつも出てくるので可能であればコンパクトにまとめてもらいたい。

委員
 28ページの(2004年新潟県中越地震)という項目と31ページの(2005年福岡県西方沖の地震)という項目を隣合わせにするという議論が、前回の委員会でされたと思うがどうなったのか。

委員
 内容的なものを考慮し変更しなかった。

1.(3)「地震破壊過程と強震動」

委員
 50ページの下から6行目「強震動を放射するアスペリティ領域」という部分の「アスペリティ」は必要ない。

委員
 51ページの8~10行目「計算コードの改良や地下構造モデルの改良等により、短周期地震波を含む、より現実的な強震動シミュレーションが可能になって、2005年宮城県沖の地震の長周期地震動のシミュレーション等が行われた。」という部分の修正をお願いしたい。

1.(4)「地震発生の素過程」

委員
 55ページの下から5行目「可能性を示唆する。」という表現はもっとすっきりとした表現にできないものか。「可能性がある。」という表現の方が良いのではないか。

委員
 56ページの3~5行目「固着滑り実験と実験後の滑り面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、速度弱化を引き起こすごく微少領域の溶融開始から、高摩擦抵抗の部分溶融の段階を経て、再び低摩擦の全溶融に至る過程を調べた。部分溶融時には、滑りが一時停止する場合があることを明らかにした」という部分が分かりづらい。修文して頂けるとありがたい。

委員
 同じく56ページの下から3行目「透過振幅の対数的減少」の対数的減少は無くても良いのではないか。「対数的」を加えるとかえって分かりづらいと思う。「対数的」を削除してはどうか。

委員
 58ページの(野外調査研究)の項目の3行目の「圧砕岩(シュードタキライト)」は、間違いではないか。2行前に「摩擦溶融岩」という記述があり、括弧書きで「シュードタキライト」と説明が付されている。

委員
 圧砕岩ではなく、摩擦溶融岩の間違いである。

委員
 58~59ページの1.(4)「地震発生の素過程」研究計画の参考文献を見ると、小項目ごとに論文が分けられている。他の研究計画では、小項目ごとに論文を分けてはいないので、この部分についても他との並びを合わせ一つにまとめる。この作業は、事務局にお願いしたい。

2.(1)「地殻活動予測シミュレーションモデルの構築」

委員
 62ページの(CMTデータ逆解析手法の開発)の1行目「ある仮定に基づいて」という言葉は必要ない。

委員
 64ページの17行目「(FEM-β法)」については、この言葉がここにしか出てこないことと、特段この言葉を使う必要性が無いことから削除しても問題ないと思う。

委員
 64ページ最終行から65ページ2行目にかけての「プレート境界での滑り履歴が分かれば、プレート境界及び周辺域の地殻応力状態の変化をシミュレーションにより予測することができる(Hashimoto and Matsu`ura,2006)」という一文は課題と展望というよりは、むしろ小項目「ア.日本列島域」の冒頭へ持って来る方が適切である。

委員
 68ページの図37の説明に「CMTカタログ」という言葉が出てくるが、厳密に言うとCMTではない。単に「カタログ」としておく。

委員
 69ページの図38は、「A-B」、「L」についても説明が必要であろう。また、図38と図39について、それぞれ二つの図から構成されているので、図中に(a)、(b)と付す。

2.(2)「地殻活動モニタリングシステムの高度化」

委員
 73ページの(地殻活動モニタリング高度化に資する諸観測の実施)の1行目について、「適切なモデルとパラメータにより」は必要ない。これだけでは、何の情報も与えていない。

委員
 74ページの19行目「余効変動」という言葉の具体的な内容は何か。「余効滑り」のことで良いか。

委員
 確認して、後日連絡する。

委員
 また、74ページの12行目「2000年後半に始まった浜名湖付近の長期的ゆっくり滑り」とあり、これについては色々な考え方があるが、2000年後半に始まったという記述で良いか。

委員
 「2000年後半頃」ということで良いのではないか。

委員
 75ページの最終行「紀伊半島(串本地区)で79キロメートル、室戸地方で96キロメートル」という部分については、本報告書はあくまで関係各機関の成果をコンパクトにまとめたものであるので、ここまで詳細に書く必要はないだろう。「紀伊半島先端部、室戸岬周辺で」と簡単に書いた方が分かりやすいのではないか。

委員
 76ページ下から2行目から77ページの1行目までの部分についてだが、表現をもう少し工夫できないか。

委員
 「1978年と1981年のアスペリティは、折れ曲がり部分を挟んでそれぞれ太平洋プレートの沈み込み角度が大きい部分にあり、アスペリティの分布は沈み込む海洋プレートの形状と関係する可能性がある」とすれば良いのではないか。

委員
 77ページの13行目の「微小地震活は少ない」という部分は「動」が抜けている。「微小地震活動は小さい」と修正して欲しい。

委員
 同じく77ページの下から5行目「(マグニチュード6.0:東京都区部で震度5強を記録)」については、他の部分との兼ね合いからここだけ詳細に書く必要もないであろう。「東京都区部で震度5強を記録」という言葉を削除する。また、次の行の「また、関東平野北部において」という一文も、項目別報告書には、特段記載する必要はないと思う。

委員
 78ページの6~8行目について、課題番号6023を踏まえつつ2005年十勝沖地震後の北海道東部の地殻変動の推移についての一文を再検討する。また、この課題から論文も引用した方が良い。

オブザーバー
 機関に持ち帰り検討を行い、事務局を通じて連絡する。

委員
 79ページから86ページに記載されている、2.(2)「地殻活動モニタリングシステムの高度化」研究計画の参考文献についてだが、個別課題の全ての論文が記載されているのではないか。他の研究計画の記載方法と同様に主要な論文に限って記載し、本文中で参照されていないものについては削除した方が良い。

委員
 関係各機関において、どの論文が本文中のどの部分に対応するかを確認し事務局まで連絡することにしてはどうか。各機関からの意見を集約し、本文中で参照されなかったものについては事務局で削除してもらいたい。また、他の研究計画については、昨年度と同様に本文と参考文献リストの整合性を事務局において確認し、本文中で参照されていないものについては削除する。

委員
 92ページ~93ページにかけて、図47のa~dという四つの図が出てくるが、他の図との並びを考えて、重要な図のみを掲載するようにした方が良いのではないか。

委員
 重要性を鑑み、bとdのみを残しaとcは削除する。また、図49についても同様にa~cという三つの図があるので、bを削除しaとcを残す。

委員
 94ページ図48の「レシーバー関数解析」は、「変換波の波形解析に基づく速度不連続面の推定」とする。

委員
 98ページの図53に「SSA法」という言葉があるが、「走査型震源決定法」とする。

2.3「地殻活動情報総合データベースの構築」

委員
 99ページの「イ.地殻活動データ解析システムの開発」の2行目「ユーザーインターフェイスの改善をについて」は間違いであるので、「ユーザーインターフェイスを改善した」とする。

委員
 本研究計画については参考文献が一つもないが、どういうことか。

委員
 起草段階で漏れてしまったのかもしれない。関係各機関において確認し、参考文献として掲載すべきものがあれば、後日事務局まで連絡するということにすれば良いのではないか。

3.「新たな観測・実験技術の開発」

委員
 101ページの4行目「次に四つの細目に」というのは、「次の四つの細目に」の間違いではないか。

委員
 また、6~9行目に記載されている項目名と建議の項目名が違っているので、事務局において、建議の項目名に合わせて修正願いたい。

委員
 101ページの10~12行目の部分については、表現が複雑で分かりづらい。「なお、実験技術開発研究は、他の研究分野と共同で実施されることが多く、それぞれの項目で報告されているものもある。」と簡潔に表現した方が分かりやすい。

委員
 同じく101ページの20~21行目「宮城県沖のGJT4サイト(北緯38度24.4分、統計142度50.0分)では」という部分について、ここまで詳細に記載する必要はない。本文は「宮城県沖では」と簡潔に記載し、詳細な位置については図54に記載する。

委員
 101ページの(海底ケーブル利用システムの開発)については、海洋研究開発機構と東京大学地震研究所との記載内容を整理し、もう一度修文した方が良い。

委員
 103ページの(光干渉計測技術等先端技術のボアホール利用計測手法への導入)については、「ボアホール利用計測手法への」を削除する。また、その部分の4行目に「STS地震計」という言葉が突然出てくるが、一般の人には分からないと思う。

委員
 「現時点で最も高性能な広帯域地震計」としてはどうか。

委員
 「ノイズ」、「雑音」という言葉についても、どちらかに統一して頂きたい。

委員
 103ページの下から7行目「地殻内に微少な」という部分は、正しくは「地殻内に微小な」である。

委員
 105ページの3行目は、「誤差とみなすことができる最大振幅は」と修正されているが、「変動の誤差は最大でも」とする。

委員
 同じく105ページの課題と展望の9行目「オーバーコア法」は、「オーバーコアリング法」と略さずに記載する。

委員
 108ページの図54の「N-S」、「E-W」は、一般向けには分かりづらい。「南北」、「東西」としてはどうか。

委員
 111ページの「eNS」、「eEW」は、「eNS」、「eEW」が正しい。

平成17年度の成果の概要

オブザーバー
 事前の意見照会で、2ページ目の「1)アスペリティモデルの発展」の箇所に、2003年十勝沖地震とその後の余効滑りのことを記載して頂きたい旨の意見を出したが、これについてはどうなったか。

委員
 これらについては、平成16年度年次報告(項目別)において既に取り上げているので、今年度については掲載しないという判断をした。

委員
 3ページ「2)トモグラフィによる歪・応力集中帯深部構造の解明」と「3)深部低周波微動に同期した滑りが明確になったこと」は内容的に順番を入れ替えた方が良い。また、他との並びを考えて「3)深部低周波微動に同期したゆっくり滑り」、「4)断層固着状態の計測可能性」とした方が良いのではないか。

委員
 3)については、最後に「短期的ゆっくり滑りがリアルタイムで検出できるようになった」というような内容の一文を追加する。

委員
 4)については、内容が分かりにくいため修文して欲しい。

委員
 4ページの「2-2.大きな地震の緊急的研究とその成果」に三つ目の項目を設け、2005年10月に発生したパキスタンの地震に関する国土地理院の成果について記載してはどうか。また、このパキスタンの地震については、104ページの(SARによる地殻変動観測手法の高度化研究)の部分にも盛り込んではどうか。

オブザーバー
 成果をまとめた資料を早急に作成し、事務局を通じて起草者である山岡委員へ提出したい。

委員
 9ページの6行目は「地殻活動のシミュレーションと定量的比較が可能な地殻変動データを」と修正する。

委員
 15行目に「絶対重力」と記載があるが、単に「重力」で良い。また、「検潮も観測されている」という部分については、「検潮」という言葉自体が潮位を観測することなので、表現が適切でない。「潮位」と修正する。

委員
 同じく9ページの「イ.東海地域」については、長期的ゆっくり滑りと短期的ゆっくり滑りについて、それぞれ分けて記載した方が分かりやすい。

委員
 「ウ.東南海・南海地域」の2~3行目の「間欠的ゆっくり滑り」という言葉は、「短期的ゆっくり滑り」とする。

委員
 10ページの9行目「また、高感度地震観測や基盤強震動観測データ公開のシステムの改善が進められている」という部分についてだが、基盤強震動観測データ公開のシステムは、昨年度に特段改善が進められたとは言えない。高感度地震観測の部分だけを残し、基盤強震動観測の部分は削除する。

委員
 11ページの課題と展望の4行目「重要であるとされている。」は「重要である。」で良いのではないか。

委員
 また、同じく課題と展望の11~12行目「平成17年度には、相似地震によるゆっくり滑りのモニタリングが急速に進歩したほか、宮城県沖の地震の発生様式がアスペリティモデルにより統一的に理解できることが示される等、急速に進歩している。」という部分は、モニタリングと宮城県沖の地震の部分で「進歩」という言葉が重なっているので、最後の部分を「理解できることが示された。」とすれば良い。

委員
 13行目の「地震の発生様式を再現できる」という部分は、正しくは「地震の発生様式の特徴を再現できる」である。

委員
 14行目「アスペリティの摩擦強度を直接観測できる観測量が明らかになってきた。」は、「断層面の固着状態を直接観測できる手法が提案された。」とする。

委員
 同じく11ページの下から3~2行目の「固有地震という考え方がどこまで成り立っているのかさえも十分に明らかになっていない。」という部分は、表現が強いような気がする。「固有地震という考え方がどこまで成り立っているのかも明らかにする必要がある。」と前向きな表現にする。

委員
 この部分は、本計画における平成17年度の全体の課題と展望の内容が記載されるはずであるが、「2.2地殻活動情報総合データベースの構築」研究計画について記載がない。データベースの構築についても記載して頂きたい。

委員
 13ページの図1について、引用してきた課題番号が記載されていないので記載して頂きたい。

 以上の議論を踏まえて、指摘があった箇所について修正を行うこととなった。また、本日の議論を踏まえ、関係機関において確認することとなった参考文献およびその他修正が必要な箇所等については9月5日までに、事務局まで連絡し、主査一任として取りまとめることとなった。

以上

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)