科学技術・学術審議会測地学分科会地震部会（第19回）/火山部会（第22回）合同会議配付資料［資料4］

（全体）

■　火山学会で火山噴火予知計画に携わっている割合は1割行かないが、物質科学は7割もいる。地震学会で地震予知研究に携わっている割合は2～3割である。火山噴火予知研究では物質科学をうまく取り入れていない。物質が何であるか分からなければ解析ができない。物質科学と火山噴火予知、地震予知の連携は重要であり、内陸地震の理解には地震と火山の連携が非常に重要。次期計画に物質科学を入れて大きな柱を組み立てるというより、長期的な噴火予測、シミュレーション等、物質科学的解釈が効果的なものについて取り入れることが望ましい。（中田）
■　火山噴火予知研究を推進するのに、地球物理だけでなく化学や岩石学の分野も取り入れてきたことで研究の進展が得られた。今後資源が限られる中では、他分野も意識すべき。（石原）

（素過程）

■　シンポジウムの結論としては、次期火山噴火予知研究計画は第7次の延長では無理だということ。研究資源的にも財政的にも抜本的な見直しが必要。今までの火山噴火予知研究は経験則の成り立つ範囲のみであり、定量的なモデルに基づかなければ今後の発展は難しい。素過程も含めて基礎研究を重点的にやる。今まで噴火予知研究に参入していなかった物質科学分野の研究者の協力が必要。（清水）
■　第6次の計画では、経験的な噴火予知から物理的モデルに基づく火山噴火予知への移行を高らかに謳っていたが、難しいということで第7次計画ではトーンが変わっている。火山は素過程が分かっていないので、その研究が重要。現状では40火山で観測が行われているが、資源が限られているので選択と集中が必要。（濱田）

（重点研究）

■　今までの予知計画はある程度見通しを広く持ち、それぞれの機関の自主性に任せていた印象。噴火の可能性が最低限でもある火山については、重点的に研究面で展開するなど、核になるものが必要。（渡辺）
■　重点的に展開する場合、基礎研究推進の位置づけはどうなるのか、また、どこに人的資源を配置するのか、系統的に考えなければ自由な基礎研究となり国民負担に対する説明がつかない。物質科学について、どういう役割を果たすべきか計画の中で明確に位置づけるべき。（巽）
■　富士山の集中構造探査や火山の集中総合観測と火山体構造探査等、マンパワーに応じて集中的に調査研究を行った火山では理解が進んでおり、今後の一つのスタイルである。（石原）

（実施体制、観測体制）

■　推本のような組織ができればいいが、当面は今ある資源を再分配することが必要。火山をいくつか絞って重点的に観測研究することが必要。（清水）
■　シンポジウムで言われた連携とは、例えば地震調査研究推進本部との連携などが考えられており、高精度高感度の観測点を火山周辺まで整備してもらいたいというもの。（藤井）
■　現状の最低限の観測も今のままでは厳しい。問題点をはっきりさせて今後5～10年間の問題を書くことも必要だが、観測を安定的に継続できる方策がないと困難。（清水）
■　ある部分に資源を集中するということは、納税者にはサービスの低下となる。どこまで基盤部分でサービスを提供できるかを担保した上で資源を集中し、研究を進めていくことが必要。気象庁や国土地理院等基盤を担っている機関のサービスを見極めた上で、大学等研究機関の目指すべきところを決めることが重要。（鍵山）
■　地震は推本が基盤的観測網の整備を進めており、火山は火山噴火予知計画の中に監視観測が位置づけられている。基盤観測網ができれば、緊急性の高い火山に対応でき、データが流通し周辺の研究者や若手研究者も参入しやすくなる。基盤をしっかりすることが必要。（清水）
■　我々が経験したこともない大噴火などの発生や多様な火山現象の理解には、基盤観測網を整備し、きちんとデータを取ることによって、新しい知見を得ることができる。何を目的として観測研究をするのかを明確にすることが必要。（西村）

（経費）

■　物質科学は計画に既に入っているが、予知計画の経費としては措置されていない。物質科学を集中的にやるのであれば、それなりの投資が必要であり、計画を作るときにはどのくらいのリソースがあってどう投資し何を達成するのかまで検討すべき。（藤井）
■　限られたリソースの中で、今の制度では新しい設備が付き難いという問題もある。次の建議に向けて、どのように観測を考えるべきか。（石原）
■　外部評価において、国家的体制作りと経費の使い方について指摘されている。建議の中で共同させた形でできるのか。（中田）
■　今までそうやってきたが、結局上手くいっていない。次期計画では、ここまでリソースがあればここまでできる、なければここまでしかできないという内容まで、研究者が書くべきかもしれない。（藤井）

（社会との関わり）

■　シンポジウムではマスメディアの方から、地方の火山の麓で住民が安全・安心に暮らすためには、そこにホームドクターが必要との発言があった。選択と集中という意見もあるが、火山から人がいなくなれば、住民は不安を覚える。（藤井）
■　気象庁も現地を縮小する傾向であり、困るという地元の意見を聞く。資源の面からみれば、集中も必要。（石原）
■　シンポジウムを聞き、防災部分と火山噴火予知研究が混然としている印象。地震分野は地震予知研究そのものが研究に集中しており、それを実際に社会に生かすのは強震動予測や地震動予測地図等で行う意識が高い。一方、火山分野は、火山噴火予知のための研究をどう進めるべきかという議論と防災の議論について整理が必要ではないか。（山岡）

（地震活動との連携）

■　気象庁では地震分野と火山分野の連携を既に行っている。有珠山や三宅島の噴火の際には、観測データの9割を地震分野で処理している。（濱田）
■　地震と火山の連携は当然であり、国土地理院の観測網は地震と火山を分けず、全国に等密度で設置。建議が部門間の連携を促進することが必要。（村上）
■　今までのやり方では基本的には体制的予算的措置ができないため、考え方を変えることが必要。地震予知との連携を全面に出し、経費的な連携も念頭に置いたものを作るという方法がある。（中田）
■　10年前の第7次地震予知計画のときの議論と現在の火山噴火予知計画の議論が類似。地震予知研究計画は「地震予知のための新たな観測研究計画」と名称が変更になり、一方では新たに推本が設置され、基盤観測網が構築された。この基盤観測網の整備により、地殻活動の現状把握、評価能力の向上が進んだ。火山噴火予知計画では、基礎研究の推進と現状把握能力の保持の両方を担っているために整理が必要。地震の場合は大きな地震が発生したため、それまでの地震予知研究計画を評価した上で、「新たな観測研究計画」に移行した。火山の場合は状況が違っており、どうしたら解決できるのかを考えたとき、地震研究者と火山研究者が一緒にやることも必要ではないか。（長谷川）

（以上）

火山部会（平成19年7月3日）における次期計画に関する主な意見

（全体）

（素過程）

（重点研究）

（実施体制、観測体制）

（経費）

（社会との関わり）

（地震活動との連携）