地震部会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成14年1月30日(水曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省 別館 第6会議室

3.出席者

委員

 平澤部会長、石田、石原の各委員
臨時委員
 入倉、尾池、大竹、長谷川、本蔵、松浦、山下、吉野(代理:市川)、堀内、加藤(代理:村上)、八島(代理:加藤)、内池、海津の各臨時委員
専門委員
 伊藤、梅田、笠原、金沢、清水、浜野、藤井の各専門委員

文部科学省

 須田地震調査研究課長、吉田学術調査官他関係官

4.議事要旨

(1)地震予知のための新たな観測研究計画の実施状況等レビューについて

 平澤部会長は、レビューの報告案について、前回の部会及び各委員から提出された意見を受けて原案がまとまり部会に諮ることになった旨述べ、現在の状況について事務局に説明を求めた。
 事務局から、前回の部会及び各委員から提出された意見を受けて、1月17日及び26日に起草委員会が開催され検討を行ったこと、本日は前回からの改訂点を説明した上で、再度部会委員のご意見を伺い、さらに起草委員会で修正を加えた上で、次回部会において報告書をまとめたいことを説明した。
 続いて、平澤部会長は、本蔵起草委員会主査にレビュー報告案の概要について前回からの変更点を中心に説明を求め、同主査は、資料(1)及び資料(2)に基づき説明を行った。
 引き続き、平澤部会長は、各章ごとに質疑を行った。主な意見は、次のとおり。(○:委員、□:起草委員、△:事務局)

(1.前書き)

委員
 第2パラグラフ全体を削除する方向で検討願いたい。地震予知を前提としない地震防災対策の一環として地震調査研究推進本部が発足することになった、とあるが、これが主な理由ではない。それは片山レポートの中で予知を位置づけられている経緯からもわかる。

事務局
 ここは地震予知推進本部の事実関係のみについて述べる形で修正する。

委員
 「国民の意識も」以降についても事実関係としてどういう根拠があるのかわからない。全面的に削除すべきである。

委員
 最後のパラグラフで「地震発生長期評価の高度化に必要」と書かれているが、地震動予測地図についても述べるべきではないのか。

起草委員
 建議の内容を受けて成果を書いている。長期評価については建議と関連することが理解できるが、その先の強震動予測までとなると難しいので触れていない。

委員
 建議では、地震動予測地図ということは言っていないが、被害の軽減に役立つといというのが目標だったので、その方向で予測地図が作られている。「地震予知観測研究計画の成果は広く社会に還元されなければならない。」と述べているので、強震動評価のことも長期評価の高度化だけが目的であるかのように読めてしまう。

委員
 下から2つ目のパラグラフ、「未だに長期予測の段階にあり」となっているが、地震発生予測の研究は、必ず長期予測から中期予測、短期予測、直前予知と進むと受け取られてしまうので表記について工夫した方が良い。

起草委員
 十分成功されていないという結果から「未だに」とした。文言は検討する。

(3.成果と今後の展望1.地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究 について)

委員
 相似地震など専門的な用語が出てきている。解説をどうするのか。

起草委員
 用語集を作る方向で考えている。

委員
 建議に使われていない用語でアスペリティーがある。5頁で初めて使われ、すべり量の大きいところと定義しているが、その後でいろいろな使い方をしているため混乱しているように見える。強震動では、すべりが大きいという意味ではなく応力降下が大きいという意味で使っている。結果としてすべり量が大きくなるのであって、すべり量が大きくなるのがアスペリティーではない。

起草委員
 カップリングの強い領域イコール大地震のすべり量の大きな領域と意味づけて使ってきた。アスペリティーのサイズは重要な問題である。プレート境界部のアスペリティーのサイズについては強震計の記録で求めているのが一般的であり、現在の我々の理解では大局的なアスペリティーの大きさしかわからない。

委員
 そういうことにクレームをつけているのではない。ここではアスペリティーとう言葉ではなく、建議で使われている固着域という用語を使った方がいいということである。

委員
 直前過程で大事なキーワードは前駆現象であるが、前兆現象と書かれているところもある。使い分けがされているのか。

起草委員
 この部分は、前回のレビューを受けた箇所である、建議では前兆という言葉を使わず前駆現象で統一した。建議に基づかないものについて言及する場合には、前兆という言葉を使わざるを得ない。

委員
 前駆現象は、地震発生と関係があるかどうかわからないが直前に起こったこと、前兆現象は地震発生と関係があることが直前に起こったことと言える。

委員
 15頁の強震動のパラグラフで、「強震動予測シミュレーターに必要な要素技術の開発はほぼ完了した」というのは言い過ぎ。前進はしたが完了はしていない。

(「2.地殻モニタリングシステム高度化のための観測研究の推進」について)

起草委員
 国土地理院のアンケートにあった成果として高度基準点測量を実施したとあったので16頁に記述した。山地にある一等三角点が基準点からずれてしまっている現状で、その両者を一緒に合わせて観測したという認識でよろしいか。

起草委員
 別紙の方でも13頁のところのくり返し測量のところが分かりづらいので「地域の地殻変動を掌握するため」と書いた。

委員
 国土地理院として、本文と別紙の部分を合わせて、内容が分かるような修文を考える。

委員
 22頁の今後の展望のところで研究者がリアルタイムで広域の地震波形データを利用できるようになったとあるが、その前段で様々なデータのことが書いてあるので、どのデータがリアルタイムで利用できるようになったのかわからない。

起草委員
 高感度地震データの意味で書いた。分かりやすいように書き直す。

委員
 Hi-netだけ観測網となって他はシステムと使っている。意味があるのか。

起草委員
 観測網で統一する。

委員
 15頁の2.1の5行目、「現在~考えられる。」は重複しているので削除を希望したが。

起草委員
 よく読むと意味があるのかと思って残した。検討したい。

(「4.計画推進のための体制の整備」について)

委員
 28頁(2)ここに書かれている国土地理院、気象庁の記述は省庁再編とは関係がない。また、27頁では各機関の連携が図られているという現在形で書かれているが、地震予知連絡会については「貢献した」と過去形で書かれている。「貢献している」として欲しい。

起草委員
 「省庁再編などによる組織改革の一環として」を削除する。

委員
 28頁(1)「データ公開・流通のシステムが整備されて」とあるがGPSは1年分、Hi-netは1週間分しか見られない。流通システムについては「整備されつつある」として、まだまだ出来ていないという論調にすべきである。

起草委員
 データの公開流通は一時期に比べて進んできた。高く評価すべきだと思う。

委員
 関係者の意識改革が進んだことが大きい。次の計画でも積極的に推進すべきである。

委員
 データを取っている機関がサービスに追われるようでは本末転倒である。過去の記録を見たい人のための体制作りが必要である。

委員
 29頁最後のパラグラフがよくわからない。

事務局
 消し忘れである。30頁の上から3行目までが削除である。

委員
 形式の話になるが、「3.成果と今後の展望」の部分でそれぞれ実施目標を記載してしているが、実施目標はなくてもいいのではないか。

起草委員
 目標があって成果があるという形にしたかった。具体的目標は建議にあるので削除したため、こういう形になった。

委員
 境界域の調査などが箇条書きで表現されているので目標らしく見えないのではないか。文章を数行入れればいい。

(「4.地震予知のための新たな観測研究計画に対する総括的評価」について)

委員
 33頁11行目及び2頁の16行目で、「地震発生サイクル」という用語を使用しているが、始まりと終わりどちらにも地震が含まれないことになる。用語集を作るとき、定義を定める必要がある。

委員
 35頁の今後の展望において、3行目に第一段階に達しつつあるとあり、36頁の第2パラグラフに第2段階に進むべきとなっている。建議では、段階について定義していないので、表現を工夫する必要がある。

起草委員
 最初の方は、観測研究主体で進んできたこと、後ろの方はその成果を取り込んで地震発生シミュレーションを構築する、それが第2段階であるとしている。

事務局
 建議では、第1段階、第2段階という定義はしていない。段階で進むというというのは誤解を与える。

委員
 建議では段階という言葉は使っていないが、地震予知推進の基本的考え方の最初のところに、地震発生を高精度に予測するためには(1)(2)(3)と書かれている。ここの第一段階は、(1)の半分くらいに対応するものである。

委員
 36頁最後の5行目「今後~」は重要なことなので積極的に将来展望を書く必要がある。

起草委員
 ここは総括的部分であり、14頁にも記述がある。具体的なことは次の建議に記述されるべきである。

委員
 32頁の下から2つめのパラグラフにおいて、「地震予知のターゲットが内陸におけるM7クラス」と書かれているが、これほど明確に書かれたことがあるのか。

委員
 31頁の最初のパラグラフで「やはり」が3つ続くのが気になる。

委員
 地震予知連絡会について言及していただいたことはありがたいが、一方で大学の地震予知研究協議会についての何行にもわたる記述とはバランスを欠いている。また、これから外部評価を受ける地震予知研究協議会の活動を「高く評価」というのは言い過ぎである。

起草委員
 地震予知連絡会では、将来計画を検討していところであるということであったので、詳しいことが書かれていない。

委員
 勉強会としての位置づけは決まっており、それに相応しい運営方法について検討をしていることろである。制度以外のところははっきりしている。

委員
 内部的見直しは進んでおり、2月18日の会合で報告される見通しである。その状況を踏まえ、地震予知連絡会事務局として意見を出させていただく。

事務局
 地震予知連絡会の部分は、国土地理院の意見を伺い起草委員会で検討したい。他の箇所には、関係機関との意見交換の場として重要であり、こうした役割を果たすべきだという記述もある。次期計画を策定する際に、計画そのものの位置づけとともに検討する課題である。

委員
 同感である。そういう意味で、37頁の最後3行は重要なので改行してもらいたい。また、地震予知連絡会については、「2.総括的評価」及び「3.今後の展望」にも記述願いたい。

 平澤部会長は、本日の意見交換を踏まえて、さらに、意見、修正案及び追加の意見があれば、資料(4)の「地震予知のための新たな観測研究計画の実施状況等のレビュー案への意見フォーマット」により、2月8日までに事務局宛に提出するよう求めた。

(2)今後の日程について

 事務局から、次回部会を3月ごろに予定している旨説明があった。

お問合せ先

研究開発局地震調査研究課