海洋開発分科会(第67回) 議事録

1.日時

令和4年8月30日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 今後の海洋科学技術の在り方について
  2. 今後の海洋科学技術の在り方について
  3. 今後の海洋科学技術の在り方について
  4. 海洋研究開発機構における業務の実績に関する評価結果について
  5. その他

4.出席者

委員

藤藤井輝夫分科会長、小原分科会長代理、榎本委員、河野委員、川辺委員、河村委員、窪川委員、後藤委員、阪口委員、田中委員、谷委員、中川委員、廣川委員、藤井徹生委員、前川委員、見延委員

文部科学省

真先研究開発局長、原大臣官房審議官、山之内海洋地球課長、戸谷深海地球探査企画官、伊藤海洋地球課課長補佐、川﨑海洋地球課課長補佐 ほか

5.議事録

【藤井分科会長】  それでは、ただいまより科学技術・学術審議会、第67回の海洋開発分科会を始めたいと思います。
 御多忙中にもかかわらず、委員の皆様には御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず会議に先立ちまして、8月に事務局に人事異動がございまして、大土井課長から山之内課長に代わっております。山之内課長から一言いただければと思います。
【山之内海洋地球課長】  山之内でございます。
 すみません、私は海洋地球課に8月1日から大土井さんの後任として着任いたしました山之内と申します。よろしくお願いいたします。
 海洋科学技術は長い役人人生の中で初めてでございますので、いろいろ御指導いただければと思います。
 それで今日はいろいろ議題がありますが、まず、最初の議題1の「今後の海洋科学技術の在り方について」でございます。これは来年から始まる海洋基本計画の提言にもなります。また、議題2では、「今後の海洋科学掘削の在り方について」とありますけど、今後IODPも終了いたしますので、今後の海洋科学掘削を日本としてどうしていくべきかという議論になります。そういった意味で非常に重要な議論がございますので、皆様の御知見、忌憚のない御意見をいただければと思いますので、今日はよろしくお願いいたします。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、会議のほうを始めたいと思います。
 まずは事務局から参加者の出欠と定足数の確認、それから配付資料の確認を併せてお願いいたします。
【事務局】  承知いたしました。事務局の川﨑でございます。
 まず、本日、川合委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 また、河野真理子委員は本日16時からの御参加となる旨、御連絡をいただいております。
 そのため、現在17名の委員の先生のうち15名の委員の先生方に御参加いただいておりまして、科学技術・学術審議会令第8条に定める定足数の過半数を満たしますことを御報告いたします。
 また、事務局としましては、今、御挨拶させていただきました課長の山之内及び深海地球探査企画官の戸谷ほか、海洋地球課の関係者が出席しておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 オンライン会議ですので、画面に投影させていただきます。
 本日の議事次第ですが、議題が五つございまして、配付資料は、資料1-1、1-2から議題に併せて資料5-4までございます。
 また、参考資料として、1、2-1、2-2、及び3として本日御用意させていただいています。
 既に会議資料としてウェブページにもアップしておりますので、この後、チャットのほうにそのウェブページのURLも付させていただきます。
 また、先週には先生方に送らせていただいている資料と同じものになりますので、もし可能でしたら、そちらを見ていただければと思います。
 会議資料の不備、不明点等ございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 以上となります。
【藤井分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 お手元の議事次第のとおり、大きくは5件の議事がございます。議題1から3までは、審議案件となっています。それから4と5は、事務局からの御報告ということになります。
 議題1及び議題2は本分科会の下に設置した委員会に関する検討経過等の御報告をいただいた上で、審議を行いたいと思います。
 それから、議題3につきましては、研究開発課題等の評価等について審議を行います。
 それでは、まず議題1ですが、今後の海洋科学技術の在り方について、こちらは海洋科学技術委員会主査の河村委員からまず御説明をいただきたいと思います。
 河村委員、よろしくお願いいたします。
【河村委員】  藤井先生、ありがとうございます。東大大気海洋研の河村です。海洋科学技術委員会主査を仰せつかっております。
 委員会で取りまとめた報告書につきまして、私から概要を取りまとめた資料1-2を使って全体的な説明をさせていただきます。その後、事務局から報告書本文に関する補足をしてもらいます。
 今、投影していただいた資料は1-2ですか。
 まず、冒頭に本報告書の位置づけが記載されております。
 本報告書は先ほど課長からもありましたけれども、来年度に更新される海洋基本計画の策定作業が始まっております中で、海洋科学分野及び海洋技術が果たす役割について、国連海洋科学の10年、それから、「第6期科学技術・イノベーション基本計画」等を含めて、幅広い視野での検討を行った上で、取りまとめを行ったものです。
 文部科学省から内閣府に対して、次期海洋基本計画に盛り込むべき政策を示す資料であるとともに、基本計画への記載の有無に関わらず、文部科学省が施策事業として進めていくべき内容をまとめたものです。
 それでは、項目ごとに簡単に説明していきます。
 まず、1.ですけれども、少し大きくしてもらったほうがいいですかね。
 海洋調査データの取得及び他のデータとの連携による高付加価値化に関する内容をまとめております。
 (1)は海洋調査データの取得に関する内容になっております。
 一つ目の四角は、AUVをはじめとして、これからの海洋調査観測を支える技術の研究開発を加速すること。また、その際には、センシングやロボティクス、AIなどの他の分野で進展する技術を積極的に取り入れていく必要があること。
 二つ目、広大な海洋の観測は、日本だけでできるものではないので、国際的な連携を取って観測を行っていく必要があること。また、その際に、国際貢献だけではなくて、国内における観測目的の共通認識を深めて、戦略的に国際的な枠組みづくりに提案を行っていく必要があること。
 三つ目、北極域をはじめとする観測の空白域におけるデータ収集を強化すること。そのためには北極域研究船の建造を進めること。超深海などアクセスが難しいエリアにおいては、AUVなどを駆使して調査観測を強化する必要があることなどを盛り込んでおります。
 次に、(2)はデータ連携とデータ通信に関する内容になっています。
 一つ目は、文部科学省で行っているDIAS等のデータ連携基盤に各種の海洋調査データを提供する体制を構築して、データの高付加価値化を進めていくこと。また、海洋調査データを提供するだけでは付加価値が生まれないために、IT等の専門家とともにプロダクトの生成を進めていく必要があること。
 二つ目として、海洋データの共有化を促進するため、データの公開・共有の範囲について統一的な整理が必要であること。これは文部科学省で行うべき取組というよりは、内閣府にお願いする内容になると考えております。海洋データの中には、海底地形情報など我が国の安全保障上に重要なデータが含まれている場合もありますので、なかなか共有化が進まないという現状を解決するために重要な事項となっています。
 三つ目、近年の情報通信技術の進展を踏まえて、海洋調査観測システムにも先端的な情報通信技術を積極的に取り入れること、それによって、海洋分野のDX化を加速していく必要があること等を盛り込んでおります。
 続いて、その下の2.ですが、この2.から4.までは、社会的な課題を意識した項目として整理しております。
 2.には、気候変動問題の解決に資する海洋科学技術をまとめております。
 一つ目、気候変動問題への関心、必要性は国や研究機関だけではなくて、産業界でも高まっている現状を踏まえまして、これからは産学官の連携を強化して、我が国周辺の継続的な観測を進めていく必要があること。
 二つ目、我が国の周辺に加えて、北極域や南極域の観測も促進する必要があること。
 三つ目、気候変動の緩和策や対応策等の実効性の評価のためのモデリングやシミュレーション研究を推進すること。
 そして、四つ目ですが、カーボンニュートラルの達成に向けて、CO2を出さないゼロエミッション技術に加えて、CO2を減らすネガティブエミッション技術の開発を強化することなどを盛り込んでおります。
 その下3.では、安全・安心な社会の構築に資する海洋科学技術をまとめております。
 一つ目として、地震と津波の予測精度の向上に資する取組。
 二つ目は、気象災害の予測・予防に資する取組。
 三つ目としまして、災害の予測・予防に対する取組だけではなくて、災害の即時・応急対策や復興・復旧にも貢献する取組。
 四つ目として、防災・減災だけではなくて、経済安全保障等に貢献する海底のレアメタル、レアアースの確保に向けた取組等を記載しております。
 続いて、4.ですが、持続可能な海洋利用に向けた海洋生態系の理解に資する海洋科学技術の在り方をまとめております。
 一つ目には、海洋の生物多様性や海洋生態系の理解の深化に向けた各種の取組。
 二つ目としましては、海洋生態系を理解した上で、持続可能な海洋の利用に必要な各種の取組を記載しております。
 以上、2.から4.までのポイントを簡単に御説明しました。
 最後に、5.には国連海洋科学の10年、あるいは第6期科学技術・イノベーション基本計画等を踏まえた海洋分野での新たな取組としまして、総合知と市民参加に取り組む必要性を整理しております。
 一つ目としまして、自然科学と人文・社会科学のあらゆる分野における海洋に関わる研究者と海に関わる多様な人々が協働して、総合知を創出していく必要があること。
 二つ目としましては、市民が研究に参加する取組の手法を体系的にしていく必要があること。具体的には、海洋分野の総合知には、地域によって特徴が様々に異なると考えられるため、総合知を創出するための市民参加の過程を体系化して、いろんな地域で持続的かつ自立的な取組が実施できるようにしていく必要があるということを盛り込んでおります。
 なお、総合知の創出に向けた5.の取組については、2.から4.に挙げられている社会問題、社会課題への対応に関する取組とも連動して進めていくと整理しております。
 以上、私から全体の概要を述べさせていただきました。
 この後、事務局の川﨑さんから報告書の本体について、補足的な説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【事務局】  河村主査、ありがとうございました。
 報告書本体について、作り方などの形式的な点を補足させていただきます。
 まずは提言です。「はじめに」で、今回、なぜ検討に至ったかという経緯などを整理させていただいています。
 先ほど1.から5.までの各項目の全体外観を主査から御説明させていただきましたが、項目ごとの報告書のまとめ方としましては、まず、項目ごとにリード文を記載しています。そのリード文には背景や現状の問題、課題などを整理しています。その上で「以下の取組を実施することが重要である」とリード文を結ばせていただいて、そこから先は箇条書で、これからやっていくこと、やっていくべきことをTO DOとして丸で整理しています。そして、「なお書き」で、進めていく際の留意事項を整理している形で資料は作っています。
 それぞれの項目は全て同じで、リード文、TO DOで、なお書きです。内容によっては背景、課題のリード文とTO DOのみの項目もありますけど、1.から5.の全てにおいて、まとめ方としては、同じように整理をしています。
 細かい内容は時間の都合により省きますが、最後に今回まとめてきた経緯を参考資料でまとめていますが、昨年11月30日から委員会を開催しまして、もともとは昨年5月19日にこの分科会で委員会を設置していただいて、そこから全7回にわたる議論を委員会で議論してきました。
 この分科会の先生方の過半数以上に参加していただいて御議論いただいておりますし、また、小原先生や榎本先生はじめ分科会の先生からも情報提供をいただきながら、まとめてきたところでございます。このような形で、長期にわたる議論を経て、本報告書をまとめておりますので、そのことも併せて御報告させていただきたいと思います。
 全体的な形式、報告書の形式を含めて補足説明は以上とさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
【藤井分科会長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関して、御質問等ございましたら、お願いしたいと思います。
 どなたからでも結構ですので、手を挙げていただければと思います。いかがでしょうか。
 では、谷委員からお願いいたします。
【谷委員】  ありがとうございます。谷です。
 今回の御報告というか、私も参加していまして、報告書でいいなと思いましたのは、どれぐらい細かく測るかということをきちんと整理しておかないといけないという記述が入ったことでございます。これはなかなか今まで表立って書かれたことはないです。この報告でも具体的に、これはこんなリピートサイクルでとか、こんなスペースインターバルでということを書いてないわけではないですが、そこをきちんと検討して、ゴールに向かうということをきちんと書かれたことは非常にすばらしいことだと思います。ありがとうございます。
 以上です。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 それは具体的には、最初の1.(1)のところだという理解でよろしいでしょうか。
【谷委員】  谷です。
 いろんなところで出てきています。ちょっと今、どことどこと特定できませんけど、1か所ではなくて、このような記載がございます。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 では、ほかにございますでしょうか。
 では、榎本委員お願いします。
【榎本委員】  資料1-2を出していただけますでしょうか。ありがとうございます。
 これですけども、今、谷委員がおっしゃられたように、大変たくさんの内容をきちんといい深さで解析されて、この1枚の中にそれが集約されていると思うので、これは大変重要なものだと思います。
 それで、内容については、これでいいと思いますけれども、表記のところで、小さなところですが、気になったのが、上のブルーで書いてある2行のところ「幅広い視野で今後の海洋科学技術の在り方をとりまとめ」で終わっています。これは「とりまとめた」あるいは「とりまとめる」のどちらかだと思いますので、ちょっとここだけ気になりました。
 もう一つ、私は南極についてお話しさせていただいたので、南極のところが少し気になりました。下のほうの「近年の」というところは本文のほうにはしっかり書かれています。近年どういったことが問題になっているか、そしてさらにどういったことを促進すべきかについてしっかり書かれていますけれども、ここでは少し圧縮されて書かれたようで、「近年の」というのが浮いているような気がしましたので、これは取ってしまってもいいか、「近年」で切ってしまってもいいかのどちらかだと思いました。ちょっと小さなところですけれども、検討いただければと思いまして、お話ししました。
 以上です。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 最初の「とりまとめ」について、体言止めのところと、今の「近年の」は「近年」でよさそうですね。ありがとうございます。
 それでは、中川委員お願いいたします。
【中川委員】  日立製作所の中川です。
 私は情報系の専門なので、この表で言うと1.の(2)です。「DIAS等のデータ連携基盤の活用による」という記述がございます。
 DIAS自身は実際にはデータ連携基盤というよりは、DIASのAはAnalysisのAです。つまり、解析の基盤も備えているということですので、大まかな記述としてはこれでいいですけれども、基本的にはデータ連携だけではないよと、解析基盤というところも、HPCI等の――HPCIはDIASだけではなくて、もっとほかの「富岳」をはじめとした、いわゆる計算資源を文科省のほうでも用意されているところも全部総動員して、この海洋データというものの共有・連携・整理を行うということを本文のほうには少し書いてありますけれども、データ連携基盤は、データ連携だけではないよというところをコメントさせてください。
 あとは、エネルギーについて、経済安全保障のところに記述がございますけれども、やはり昨今ウクライナへのロシア侵攻等でこの辺りはすごく関心が高まっておりまして、この海洋を利用という点で、何か新たなエネルギー源といったものが、広いEEZを抱える我が国としては、すごく重要な項目なので、その辺りは文科省だけの問題ではもちろんないですけれども、省庁連携で、ぜひこの海洋の有効利用、それから科学技術への貢献について、収集したデータをシミュレーションといったところを通じて貢献できるようになるといいのかなと考えてございます。
 以上、コメントですけれども、よろしくお願いいたします。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 今の点は、まとめのところにエネルギー分野についても少しお願いしたく。
【中川委員】  エネルギーは別のところに書いてあったと思います。
【藤井分科会長】  多分3.の経済安全保障のところだと思います。そこに海底資源だけではなくて、エネルギーについてもお願いしたく。
【中川委員】  そうですね。
【藤井分科会長】  エネルギー資源というのは本文にありますので、そのキーワードをまとめのほうにも入れておくというイメージでしょうか。
【中川委員】  字数で入ればということかなと思います。
【藤井分科会長】  分かりました。
 あとは先ほどのデータ連携、データ解析についても。
【中川委員】  連携だけではなくて、解析もついていますので、これはDIAS自身がそういう「Integration & Analysis」ですので。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 これも字数が少し難しいので、工夫が必要です。
【中川委員】  ちょっとぎりぎりになって厳しいかもしれないですけど。本文のほうでは分かるように書いてあるかなと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、前川委員お願いいたします。
【前川委員】  笹川平和財団の前川でございます。この度は大変広範な議論に参加する機会をいただきまして、ありがとうございました。
 私のほうから表記に関して1点ございます。
 2.の気候変動問題の箇所の3番目の箇条書ですけれども、「気候変動緩和策・対応策」とございますけれども、本文のほうでは、「緩和策・適応策」となっておりますので、表記の整合性を取っていただけたらということと、あとは対応、すなわちレスポンスというのは、IPCCでも、レスポンスとアダプテーションをかなり厳密に使い分けておりますので、対応策として「緩和策・適応策」となるようにお願いできればと思います。
 以上です。
【藤井分科会長】  つまりこれは、対応策にすればいいということでしょうか。
【前川委員】  「対応策」と書いて、「(緩和策、適応策)」とするか「緩和策・適応策」とするかのいずれかだと思います。
【藤井分科会長】  分かりました。では、そこはいずれかで対応させていただきたいと思います。
 それでは、窪川委員、お願いいたします。
【窪川委員】  帝京大学の窪川です。ありがとうございます。
 特に修正点についての意見はないですけれども、広範な海洋科学技術の在り方について、これだけ集約されて、まとめられたことはすごく意義があることだと思います。
 先ほど海洋調査データ等々の取扱いに関して、内閣府に向けてとありましたけれども、文科省だけでなく、他の省庁の取組もぜひ今後活用していただいて、実現に向けて走っていただけるように強く望みたいと思います。
 特に研究者は公開、それから共有というのを強く望むことですけれども、データの安全、セキュリティーも重要ですので、本文には書かれておりますけれども、配慮もぜひ今後大事にしていっていただきたいと思います。
 あとはもう1点ですけれども、私は5.の「海洋分野における総合知の創出及び市民参加型の取組」という、これから10年、20年先の目標という形になると思いますが、この中の海洋分野という言葉が突然広く出てきたところに若干の違和感を持っています。ヒアリングのときに既に海洋分野におけるということで、牧野先生と川辺先生が御説明なさっておりまして、海洋科学分野という狭いことでもなく、海洋分野という広い分野の中の海洋科学技術が果たす役割として、こういったまとめになっていると思うようになりました。
 以上です。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 つまり、海洋科学ということではなくて、海洋分野として非常に広く捉えているということですね。
【窪川委員】  はい、そうです。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。そのほかございますでしょうか。
(「なし」の声あり)
【藤井分科会長】  よろしければ、今日、幾つか御指摘いただきましたので、主に文言修正の少し細かいところで、工夫をすれば何とかなりそうな気がいたします。微修正については、一旦お預かりさせていただいて、河村主査、事務局とも相談の上、修正をさせていただくということで進めさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤井分科会長】  ではその修正につきましては、こちらに御一任いただいたということにさせていただければと思います。
 では、一旦この本案をもって当分科会の決定という形にさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 では、議題1は以上でございます。
 まずは、分科会等と委員会と両方御参加いただいた委員の皆様には、この半年にわたって御議論いただいたことに感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に参りたいと思います。
 議題2ですが、こちらは今後の海洋科学掘削の在り方についてであります。
 本日はこの海洋科学掘削委員会の主査でもあります川幡教授に御参加をいただいております。川幡先生に委員会での中間報告を行っていただきたいと思います。
 川幡先生いらっしゃいますでしょうか。
【川幡主査】  川幡と申します。
【藤井分科会長】  それでは、川幡主査より現在の審議状況について御説明をお願いできればと思います。
【川幡主査】  その前に事務局のほうから御説明していただいて、その後に私が引き継ぐ形にしたいと思います。
【藤井分科会長】  分かりました。
 事務局からお願いいたします。
【戸谷深海地球探査企画官】  
 川幡主査から御説明いただく前に、事務局のほうから簡単に概要を御説明させていただきたいと思います。
 第65回海洋開発分科会において設置されました本委員会は、分科会で決定されました「海洋科学掘削委員会での議論における主な調査検討項目」を踏まえまして、早稲田大学理工学学術院、川幡穂高客員教授を主査としまして、海洋開発分科会の3名の委員を含む8名の委員で調査検討いただいてまいりました。委員名簿を資料2の別紙2としてつけております。御確認ください。
 そして、海洋科学掘削委員会(第1回)を本年4月に開催いたしまして、先月まで5回開催し、「ちきゅう」の建造当初の目標及びこれまでの活動実績、経費、取組について確認したほか、地球惑星科学のうち、古環境・古気候研究、極限環境生命圏の研究、火山・火成活動研究、海底観測研究、地震研究、マントルダイナミクス研究の6分野について、研究開発の動向を聴取いたしました。検討経緯や発表いただいた方々については資料2の別紙1としております。
 資料2、本体につきましては表紙にございますとおり、7月26日に開催されました第5回海洋科学掘削委員会の配付資料に、第5回委員会における委員の発言及び委員会後に提示された文案を点線囲みで追記したものでございます。
 報告書骨子案そのものは、委員会開催時のもので、第5回委員会の議論はまだ反映できておりませんので、その点は御了承ください。
 こちらについて、川幡主査より御説明いただきます。川幡主査、よろしくお願いいたします。
【川幡主査】  海洋科学掘削委員会の現状を御報告したいと思います。
 川幡と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、委員会を始めるに当たり、調査検討の在り方について次のように合意しました。
 委員は組織の代表ではなく、一専門家として御発言いただく。この委員会のターゲットは数年から10年、実現可能な計画(フィジーブルプラン)を検討すること。委員は厳しい雰囲気で反省より始まりました。その後、「ちきゅう」の成果や外部からの期待や要請が浸透して、内容が理解されるにつれて、第3回目以降は雰囲気がポジティブに大きく変化したと思っています。
 既得権益とはしない、長期ビジョンを考慮するという公的投資という観点に立脚して、何が実現可能かという前提で議論が進みました。
 項目に沿って御説明したいと思います。
 我が国における海洋科学掘削の現状についてということで、特に掘削船「ちきゅう」を用いた海洋掘削の現状について、科学、社会、技術、人材、そして問題点の概要は以下のとおりとなりました。
 科学的視点の要点は、「ちきゅう」は、現行のIODPの四つの科学目標の一つに変動する地球、生命圏フロンティアを中心に成果を上げてきたということです。
 「ちきゅう」はライザー掘削機能を備えた世界唯一の科学掘削船で、就航以来、優れた科学成果が得られました。
 南海トラフでは、孔内観測装置を設置し、ゆっくりすべり発生の見地に成功しました。生命圏では、下北沖の掘削で、海底下生命圏に大量のアーキアという微生物が生息していることを世界で初めて明らかにしました。
 次に、マントルですけれども、この掘削に関しては、当初からマントルを掘り抜く船という人類未踏領域への挑戦という目標が先行していましたが、本来は運用しながら、技術開発をする計画で、実情を周知する取組が不足していると考えています。
 科学コミュニティーにおいてさえ、科学的意義が十分に議論されず、いまだ具体的なサイエンス・プロポーザル、具体的なものの策定には至っていません。
 ライザーの小径化など、技術的見地の余地はあるものの、世界的な情勢、予算状況など総合的に勘案し、現実的に再検討することが必要で、一言で言えば難しいというのが、海洋科学掘削委員会のお考えということになります。
 次に、社会的視点に関しましては、掘削孔に設置した長期孔内観測装置をDONETに接続し、リアルタイムの監視・観測を通じて、現状評価や地震発生リスク評価の精度向上に大きく貢献しました。この解析には科学的見地を土台にすることが肝要であると海洋科学掘削委員会は指摘しています。
 戦略的イノベーション創造プログラムを通じ、経済安全保障的ニーズが高まってきているレアアース泥の回収に向けた技術の早期確立に貢献しました。
 今後は海底CO2貯留・固定化技術の基礎調査研究など幅広い分野への貢献も期待されています。
 技術的視点に関しては、「ちきゅう」の建造・就航は、建造技術をはじめ、掘削、操船技術などの関連技術の確立に寄与して、その人材の育成にも貢献しました。産業界への応用の技術も向上したと考えています。
 人材については、日本人研究者が科学提案の提出から乗船研究、また、科学成果発表まで、多彩な活躍をして、研究者育成が促進されたのは確実と考えます。国内での掘削、操船技術者の人材育成にも貢献しました。
 最後に問題点といたしましては、2019年以降、十分な航海が実施されないなど、IODPの枠組みで、国際承認を受けた中心的な科学計画に関するプロジェクトでも実現に至っていないこともあり、世界のコミュニティーへの信頼を失った部分があったと海洋科学掘削委員会は指摘しています。
 全体として多額の政府予算を投入しましたが、建造技術をはじめ、掘削技術や操船技術などの関連技術が確立し、また、国内での操船者、掘削技術者の人材育成にも大きく貢献したと海洋科学掘削委員会は認識しています。
 委員会ではマネジメントの改善への指摘が大きかったとの印象を受けています。通常の大きさのプロジェクトでは良好な運営が営まれ、大きな科学成果が得られましたと委員会では再認識しています。
 一方、大規模な掘削、南海トラフに関係したものでありますが、マネジメント体制として、意思決定プロセスが不明瞭であるとともに、決定に関する責任の所在が曖昧であった。具体的には、運用以外の部署、立場からのレビュー審査体制が不整備であるとともに、情報開示が不十分で、内部決定に重点が置かれていたと海洋科学掘削委員会は改善点を指摘しています。
 「かいめい」を用いた、IODP航海、日本海溝の研究では、ヨーロッパとの共同で実施されましたが、最大水深8,000メートル以上からコアを連続的に採取して、近い将来的に、巨大地震の履歴を高い解像度で確認する大きな成果が期待されます。
 また、既存コアを用いた研究開発については、高知コアセンターが世界三大拠点の一つとしての役割を担ってきました。
 過去50年にわたって国際プロジェクトで採取された146キロメートルのコアが保管されています。年間100件以上のサンプルリクエストがあって、国内外の論文に大きな貢献をしていると考えています。
 データの基となるオリジナルな資料を残すというオープンサイエンスの先駆的な活動を行ってきたと言えます。
 海洋科学掘削に関わる周辺動向についても広く議論しました。
 地球惑星科学について、全て掘削ありきではなく、一旦、広い視野から地球惑星科学全体を俯瞰して、ほかにどのような研究手法があるのかということも確認しました。具体的には資料を見ていただければと思います。それを含めて、改めて海洋掘削が有用な研究は何かというのを検討したのを後で述べます。
 IODPの動向といたしましては、2024年以降、不透明であります。一方、これまでIODPの枠組みの中で、日本の研究者も国際委員のメンバーとして、交流してきた信頼というのをベースに、今後も発展していけたらと考え、ECORD、ヨーロッパのコミュニティーと日本のコミュニティーは共同プログラムを軸に、他国との緩やかな連携構想も併せて現在検討しています。
 これから述べる科学的意義と社会的要請を踏まえた今後の海洋掘削の在り方については、第5回の委員会で、現時点では、委員の意見を列記してありまして、優先度など最終確認は取れていませんが、中間報告として表明させていただきたいと考えます。
 まず、クエスチョン1として、「ちきゅう」の掘削性能を用いることで成果が見込まれる分野・課題は何か。社会ニーズも踏まえつつ、国家として「ちきゅう」で行うべき、「ちきゅう」でしか行えないものは何かということになりますが、海洋科学掘削委員会で検討した結果、科学的視点では、地震・津波、海底火山、気候変動、海底下生命、技術開発、また、社会的視点では、防災・減災、資源、レアアース泥、メタンハイドレート、CO2の貯留、技術的視点では、掘削技術と掘削人材の育成ということで、これからの「ちきゅう」を用いた研究の特徴としては、掘削そのもので終了するよりも、単一手法ではなく、理論、モデリング、モニタリングなど複数の手法を適切に組み合わせて、総合的に研究することが期待されます。その実施には体制の大きな改善が必要とほぼ全員の海洋科学掘削委員会の委員が認識しています。
 クエスチョン2、そのうち今後5年から10年のタイムスパンで、実現可能性の高いものは何かということになりますが、技術的現状及び現時点での運用見通し、サイエンスの詰めの不十分ということで、マントル掘削は極めて困難。また、南海トラフの地震発生帯深部掘削は、技術的難易度、資金規模、プロジェクトマネジメント体制などを含めた精緻なフィージビリティーの検討が必要。一方、防災・減災に資する長期孔内観測計測の装置は、これまでも実績があって、実現性も高く、社会の要請も高くなっているということを認識しています。
 また、資源掘削に向けた活用など、社会的要請を踏まえたパイロット研究の掘削も実現性が高いと考えます。
 クエスチョン3番、掘削・研究開発の実施に当たり、特にマネジメントの視点で留意すべき事項は何かということになりますが、先ほど申しましたが、通常規模のプロジェクトなどでは、非常にうまくいったと海洋科学掘削委員会は高く評価しています。ただし、大型のプロジェクトでは意思決定や情報開示の点で、マネジメントに課題があることが指摘されました。今後、再挑戦、または大規模な掘削に取り組むのであれば、マネジメントをきちんと改定し、それを実行することが求められます。キーワードで述べると、オープンな情報開示、決定責任の明示が必要です。
 クエスチョン4、「かいめい」や高知コアセンター、先ほど言いましたが、これらについては両者とも高く評価されており、維持継続が国際貢献にもつながり重要と委員会は結論しています。
 クエスチョン5、IODP終了後、我が国の国際協力を通じた研究開発の在り方として、どのような形があり得るか、また、今後それを具体的に検討する上で考慮すべきことはどんなことかということになりますが、関係各国の状況が不透明なため、今後も状況の把握に努めるとともに、多くの可能性を検討していくことが必要です。
 特に、これまで培ってきた協力関係をベースに、ヨーロッパとも国際共同などを検討している現状ではありますが、一方で今後も提供できるもの、やれるものをきちんと考えることが必要だと指摘されています。
 クエスチョン6、将来的な米国掘削船の運用休止や「ちきゅう」の退役後は、これまで主に海洋掘削により進んできた科学をどのように進めることができると考えられるかということになりますが、外部資金も含めた乗船枠の購入、また、IODPなどで採取された既存コアの活用、「かいめい」などほかの船舶を用いた堆積物のコア採取などが大切になります。
 全体をまとめますと、まず土台として、海洋立国、技術立国、災害大国克服という概念を掘削科学で実現するという観点が土台となります。
 地球深部探査船「ちきゅう」の現状及び将来の全体像として、二つのレイヤーから構成されると考えます。大枠の土台は、文科省以外の予算も含めて、上記の事項を達成する目標に際し、「ちきゅう」への運用期待は大きい。これは高度な技術開発と運用や、もちろん国家的な戦略上の事項が含まれます。
 次に、プロジェクトベースとしては、現場との密な意思疎通も含めて、情報の開示、決定プロセスの責任の所在の明示が不可欠であると委員会は考えています。
 総括すると、掘削とほかの分野の実用的な協力体制、さらに税金を使用するパブリックを重視した運用ができれば、上記の目標達成が十分可能と委員会は考えました。
 以上です。
【藤井分科会長】  御説明ありがとうございます。
 それでは、ただいまの件につきまして、委員の先生方から御質問ございましたらお願いいたします。
 この骨子は、今、審議状況を御報告いただいていますので、議論の骨子案あるいはこの委員会でさらに検討すべき論点などもございましたら併せて御意見いただければと思います。
 いかがでしょうか。
 それでは、見延先生、お願いいたします。
【見延委員】  北海道大学の見延です。
 川幡先生、それから委員の皆様、この非常に重要かつ難しい報告書を中間まとめいただきまして、誠にありがとうございます。
 最終報告に向けて私のほうから二つお願いしたい点がございます。
 やはり「ちきゅう」のプロジェクトというのは、この地球惑星科学の中で、他に例を見ないほどの巨額なプロジェクトであったと認識しております。今回の報告は今後のというところに力点があるので、この当初計画に対して実際どうであったのかというのが少し分かりづらくなっていると感じました。一つは当初の予算計画に対して、実際の投入額はどうであったのか、もう一つは、当初の目的に対してどこまでできたのか。川幡先生はよく御存じだと思いますが、この「ちきゅう」のプロジェクトは、平成10年の航空電子等審議会の報告書で計画が述べられております。そこでは、2010年までに4,000メートル級ライザーへの移行、また、2014年頃にマントルへの到達が明記されております。これは非常に難しい、当初から難しいと考えられていたのかもしれませんが、やはりそういった夢があったので、これだけの巨額なプロジェクトが走ったと思います。
 この報告書を読むとその4,000メートル級ライザーは難しく、マントルへも到達し難いということは分かりますけれども、それが当初の計画にあったということがあまりきちんと書かれてないという印象を受けました。多分委員の方々もそれをよく御存じなので明記されなかったのではないかと思いますけど、これは後に残る報告となりますので、やはり「ちきゅう」の総括は必要だろうと、そういったところを入れていただけないかとお願いする次第でございます。
【川幡主査】  まず、お答えとして、お金の面と技術的な面と分けてお答えしたいと思いますので、事務局から最初にお答えいただいて、それに補足する形で、私がちょっとコメントしたいと考えます。
 事務局、お願いします。
【事務局】  では、事務局のほうからまずお答えいたします。
 「ちきゅう」に関して投じられた費用ということですが、今回の参考資料2-2に、海洋科学掘削委員会でJAMSTECから発表された資料をつけております。これの1のdに平成11年度から令和4年度まで、24年間で総額2,748億円、そのうち594億円が「ちきゅう」の建造に使われた数字になっております。大変重要な数字という御指摘を受けましたので、最終報告書にはこういう金額が投じられたと記載するようにしたいと考えております。
 そして、この巨額の投入に見合った成果が得られているのかという点につきましては、大変この投入に見合った成果、どれだけの価値があったのかというのを明らかにすることは大変難しゅうございますし、投入予算を明らかにした上で、何ができたのか何ができなかったのかということを今の骨子案で明らかにする形で骨子案の方向性としておりますが、この形でまとめさせていただけたらと考えております。
 マントルにつきましては、2010年、2014年という目標が予定どおり達成されていないというのはそのとおりでございまして、そこは適切に報告に盛り込むようにしたいと考えております。
【見延委員】  ありがとうございました。もちろん当初予定していなかったことも含めて、多数の成果が出ていることは承知しておりますので、全体的なまとめ方としては、結構ですけど、やはり当初の目的も記載することが必要であろうと考える次第です。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【川幡主査】  今御指摘のあった件については、きちんと書いて、それでなぜできなかったかも含めて記載を残しておこうと考えます。
 とはいえ、全体として、例えば下北沖や、一番画期的だったと思うのは下北と特に日本海溝の東日本大震災の後に、摩擦熱を――教科書にも摩擦熱というのは書いてありますけど、今まで人類は誰も観測した人がいなかったんです。それが1年間で掘削するというのは普通あり得ないですけど、それをJAMSTECの技術陣とサイエンティストが協力して、きちんと確かに摩擦で熱くなっていたことを確かめたというのは、すばらしいことだと思いますので、その点はポジティブですけど、ポジティブのほかの側面、逆にうまくいかなかったところも、きちんと書いて、後世に残る書類としてまとめたいと思います。
 どうも御指摘ありがとうございます。
 また、最後にその部分について書いた記載は先生にも見ていただいて、チェックしていただこうと思います。よろしくお願いいたします。
【藤井分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 谷委員、お願いいたします。
【谷委員】  ありがとうございます。谷です。
 まず一つ目でございますけれども、高知コアセンターに関する記述が入っております。これは大変いいことだと思います。私は傍聴していたのですが、その役割について、正倉院と同じぐらい値打ちがあるものだという御発言がございまして、まさにそういった人類にとっての宝だという意識をもっと強く書かれてもいいと思います。試料の長期間にわたる価値というのは、例えばレアアース泥が2014年以降、随分話題を呼びましたけれども、データを取られたのは、その何十年も前のデータなので、そういった長期の保存というものの価値ということは、もっと認識されていいと思います。
 それから、往々にして時間がたつと、予算が減ってきて、保管が怪しくなるということがあり得ると思いますから、ここは強く認識されるようにしていただきたいと思います。特に高知コアセンターは津波が来たらおだぶつな場所にありますので、それに対応するとなるとかなりお金がかかると思いますけれども、それだけの価値があるものです。
 もう1点、コメントを申し上げたいのは、2の社会的視点というところで、ここの下から二つ目のポツで、戦略的何とかを通じて、「レアアースの回収に向けた技術の早期確立に貢献」とありますけど、これはどうなのでしょう。本当にそうなのかというのが私は疑問です。「ちきゅう」であれば、できるのは分かっていて、レアアースの回収技術に貢献したわけではない。レアアースは回収されましたから、レアアースの回収ができたのは確かですけれども、「ちきゅう」を使わない技術を確立するということに関しては、全然役に立ってないのではないかと思うので、これはここにないほうがいいのではないかと思います。
 そもそもこれは「ちきゅう」のその他利用の一部であって、「ちきゅう」の延命を議論するときにはここはあっていいのかもしれませんけれども、海洋の科学掘削には関係ないので、これはあまりメンションしないほうがいいのではないかと思います。
 ありがとうございます。以上です。
【川幡主査】  今のSIPのほうにつきましては、発表された外部の先生から貢献があったというのもありましたので、今、書いてありますが、またそれは検討します。
 ただパイロットスタディ的に回収できたというのは、高く評価してもいいかなと掲げましたので、一応ここに今入れてあります。でも、検討します。
【藤井分科会長】  ほかはいかがでしょうか。
 川辺委員、お願いいたします。
【川辺委員】  ありがとうございます。東京海洋大学の川辺でございます。
 いまのお話のなかで、マネジメントがうまくいかなかったからこれから改善すると伺ったかと思います。例えばスライドの17番や18番などにオペレーションマネジメント体制ときちんと書かれておられますけれども、これではうまくいかなかったからこれをどういうふうに変えるか、ということでしょうか。よく分からなかったので、教えていただければと思いました。
【川幡主査】  先ほど申しましたが、普通のプロジェクト、1航海で終わるくらいのプロジェクトについては、海洋の普通のプロジェクトと比べても、すごく大きいですけど、それでも例えば下北沖の最深部で生命を発見するとか、先ほどの摩擦熱を発見、検知するとか、非常に大きな成果があったというのは、委員の方みんな認めるところで高く評価されています。
 一方、南海トラフについては、普通、地層は水平ですよね。それがほとんど90度に、垂直に立っているらしいです。そこを掘っていくので、壁面が崩れたりしました。それで、そのときに、どこまでやって、どこまでやるか。また、どこまででやめるかという判断をどうするかというところが、少し不十分なところがあったというのが委員の方全員の意見でして、すごく大きいプロジェクトのときに、きちんと外部評価を入れて、戻る失敗、ある程度の失敗も認めて、引き返すとか、そういうところをきちんと決めてくださいと。それで、それに際しては、もっと情報を開示して、また、決定プロセスを公にするところを改善点としてやったらうまくいくのではないかというのが現時点の委員会の委員のほとんど今総意だと思いますけど、そんな感じになっていると思います。
【川辺委員】  ありがとうございます。
 何か想定外の事態が起きたときの対応の仕方ということまでカバーするということでしょうか。
【川幡主査】  そうです。
【川辺委員】  ありがとうございます。
【川幡主査】  ですから、一つの航海ぐらいの規模であれば、うまくいったらそれでおしまい、失敗したらこれでやめますというのができますけど、もっと大きいときにどうしますかというのをきちんと考えましょうねという感じですね。
【川辺委員】  ありがとうございました。
【藤井分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 廣川委員、お願いします。
【廣川委員】  ありがとうございます。
 当初、この委員会の設置のときにも申し上げたのですけども、やはりマントル掘削という人類の夢を達成できていないという総括をやっていただかないと意味がないというお話をさせていただきました。私も委員会にも参加して傍聴させていただきましたけど、結構突っ込んだ御意見がかなり出ていましたが、先ほど見延委員からもお話がありましたように、当初の目的がなぜ達成できなかったかというところ、あるいはそういった総括をこの報告書にきちんと書き込んでいただくというのが大事だと思います。
 それから、先ほどSIPのお話がございましたが、確かにレアアース泥の回収に関しまして、SIP自体は進んでおりますけど、今年揚泥を実施するとしても、せいぜい水深3,000メートルで、実際のレアアース泥は水深5,000、6,000メートルのさらにもう一段、技術開発が必要であり、パイロットレベルまでもちょっといってないような気もしますので、今の時点で貢献したというのは、やや書き過ぎの印象はあります。
 それからもう1点ですけど、今後の「ちきゅう」の活用につきましては、非常にスペックが高い船でございますし、世界唯一と言ってもいいぐらいの船でございます。これをどう活用するかについて、非常に幅広く活用分野が書かれていますけど、その中でもやはり優先順位というのがあると思います。私は防災の優先順位が高いと思いますが、その辺は今後委員会の中でも十分御議論いただければありがたいと思います。
 私からは以上です。
【川幡主査】  承知しました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。そのほかございますでしょうか。
(「なし」の声あり)
【藤井分科会長】  よろしいですか。
 私も1点だけ。これを拝見したときに少し申し上げたのですが、やはり技術的にマントル掘削が難しいのは分かりますが、長期孔内でゆっくりすべりが測れたDONETと接続しているのもすばらしい成果だと思います。この長期孔内計測は、物理的な計測もそうですけども、どこまで長期かは別にして、生物系あるいは化学的なものについてこれまでは技術的にもなかなか難しいところがあり、できていませんでした。それを一旦やってみようという話になり、孔内で色々な機器を入れて測ることを試みてきた。それが今後ほかの場面も含めて、どれくらいトランスファー可能な形で確立したのかについて、もしもできていることがあれば、しっかり書いていただいていいのかなと思いました。その辺り、少し確立したということについて、例えば定点DPSを確立しましたということが書かれているわけですが、どれぐらいのクオリティーでできるようになったのかということがもう少し言えるといいのかなと思いました。今後はそのような形での御検討もお願いできればと思います。
【川幡主査】  この中で、例えば南海トラフにつきましても、先ほど深掘りのときに地層が立っていて難しかったというお話をしましたけど、一方で、浅掘りでもいいから何点か面的な方向に孔内装置を入れることによって、例えば大きな地震が起こる前や起こったそのときに、より正確にどんな感じの巨大地震になって、どちらの方向に対処すればいいかという情報を得られるというのもありますので、その辺も今先生が言われたことをきちんともう少し詰めて、それで優先順位をある程度書いた上で結論にしたいと考えます。
 どうもありがとうございます。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 阪口委員、お願いします。
【阪口委員】  この場で弁護してもあまり意味がないことはよく分かっているのですが、見延委員と廣川委員から御指摘された点につきまして、実は私もこの委員会のメンバーであったため当初より、まさに見延委員がおっしゃられた2011年までに4,000メートルで、14年までにマントルということを明確に書いて、しっかりとそれができなかったということを書くべきだということを私も非常に強く述べたのですが、その後、なぜその計画がはちゃめちゃになってしまったのかということをきちんと掘り下げて、そして、その結果はプロジェクトマネージがしっかりできてなかったと書くべきです。それから、南海に関してはオペレーションマネージです。先ほど川幡主査が述べられましたオペレーションにおけるマネージで、押し引きのポイントがきちんと定まってなかったという、そこがなぜできなかったのかという究極の原因であったというところについては、しっかりと議論され、ちょっと伝わりにくい表現だったのかも分からないですが、一応、要点はこの中にはしっかり書かれておりまして、計画ができなかった、遅れた、失敗したという事実だけを羅列するよりは、やはり原因をしっかり書くということです。それから、今、藤井先生がまさにおっしゃられた、でもできたこともしっかり書いておくべきだという議論を何回も重ねた結果が今の表記になっています。いただいた意見については、しっかりと見直していくべきだとは思いますが、非常に重要なことができたということをしっかり記載しておくと。それから、できなかったことについては、その原因をきっちり究明して記載しておくという観点で書かれていたということについては、よろしく御理解いただければと思いますが、足りなかったということも確かだと思います。
 ありがとうございました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 見延委員。
【見延委員】  北大の見延です。
 今、阪口先生がおっしゃったような感じで書かれたのだろうなとは思いましたけれど、これは後世に残って、分野外の人も見るわけですから、そのときに、きちんと何が当初の目的であったかということを書いていただくと、より適切な文章になると考える次第です。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 おおむねこのようなところでよろしいでしょうか。
 ここまでに出ました意見も踏まえていただいて、こちらは引き続きまだ御議論いただくことになっております。川幡先生、引き続きの御検討をぜひよろしくお願いいたします。
【川幡主査】  コメントどうもありがとうございました。より詰めたいと思います。
 よろしくお願いします。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 この件については、またこの場でも拝見したいと思います。
 では、この議題2につきましては、以上でおしまいにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤井分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次の議題に参りたいと思います。
 議題3でありますけども、令和4年度の海洋開発分科会における評価の実施についてということで、こちらは事務局から御説明お願いいたします。
【事務局】  事務局の伊藤でございます。
 それでは、資料3を御説明させていただければと思います。
 分科会では、毎年、研究開発課題の評価を行っていただいておりますけれども、今年度の実施方針についてまとめた資料がこちらです。
 これまでも同様の資料でこの分科会にお諮りしているものでして、基本的に内容はほぼ変わっていませんので、簡単に御説明させていただきます。
 まず、1.評価の区分でございます。
 評価は、事前評価、中間評価、事後評価の三つです。このうち(1)事前評価、(2)中間評価、(3)事後評価につきましては、こちらに記載してある課題を対象とするということにしています。
 それから、2.評価の対象課題でございます。
 まず、(1)事前評価ですけれども、こちらは今年度につきましては、該当がございません。(2)中間評価につきましては、北極域研究加速プロジェクト(ArCSローマ数字2 )というものがございます。こちらにつきましては、今年度の中間評価の対象として今後議論いただくことになっています。(3)の事後評価ですけれども、こちらは今年度につきましては、該当するものはない見込みです。
 次のページですけれども、3.評価方法です。
 こちらの記載の観点から評価をいただくこととしておりまして、後ろに別添といたしまして、事前・中間・事後評価の様式がございます。いつもの様式でございます。
 こちらに詳細な観点のほうも記載しておりますので、こちらの観点から評価を実施していただければというふうにしてございます。
 最後に、4.留意事項でございます。
 こちらの利益相反等々に当たる場合については、「評価に加わらないものとする」と書いております。
 いつもどおりですので、非常に簡単ではございますが、評価の実施方法について御説明させていただきました。
 今年度対象の中間評価につきましては、今準備してございますので、今後の分科会において御審議いただければと考えております。
 事務局からは以上となります。
【藤井分科会長】  御説明ありがとうございました。
 この場でお決めいただきたいのは、この評価の実施はいつものやり方でよろしいかということ。具体的には、今回はこのArCSローマ数字2 が中間評価で対象になっています。委員の先生方から何かございますでしょうか。
 谷委員、お願いいたします。
【谷委員】  ありがとうございます。
 これはタイミングとしては、どの時期に始まって、いつまでに答えを出すという作業になるのでしょうか。
【事務局】  基本的には、今年度中に評価を実施するということで考えております。
【谷委員】  私どもは、いつ働けばよろしいのでしょうか。
【事務局】  今日はこういうことで評価をしますというキックオフみたいな形になっておりまして、次回以降の今年度内の分科会に資料をかけさせていただくという形で考えております。
【谷委員】  承知しました。ありがとうございます。
【藤井分科会長】  よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤井分科会長】  よろしいでしょうか。
 評価の方法としては、このような形で進めさせていただければと思います。
 これで今日お認めいただければ具体的な評価作業に入ることになろうかと思います。
 よろしくお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
【藤井分科会長】  それでは、次の議題に参りたいと思います。
 以降、報告案件になります。
 議題4、海洋研究開発機構における業務の実績に関する評価結果についてということで、こちらも事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
 それでは、事務局の川﨑から説明させていただきます。
 資料は投影させていただいている資料4-1及び4-2を使わせていただく予定でございます。
 海洋研究開発機構の年度評価の結果につきましては、毎年分科会にも御報告させていただいております。前回は3月で、まさに前回の分科会でも御報告させていただいておりますけれども、今年度は理事長が交代したことに伴い、正式には前理事長の任期満了に伴って、第4期中長期目標中間期間、いわゆる令和元年から令和3年までの3年間の中間評価も実施しています。
 今まさに投影している資料4-1が令和3年度における業務の実績の評価で、資料4-2が第4期中長期目標中間期間というその3年間の評価結果になっております。
 実は今日8枚ほどお配りしているのですけども、本体全体は大分分厚いものでございまして、時間の関係もありますので、総論の総合評定のところだけを抜粋して本日は使用させていただければと思います。
 また、こちらは例年どおりでございますけれども、評価のやり方としましては、独立行政法人通則法に基づきまして、国立研究開発法人審議会というのがございます。それから、その下に設置されております海洋研究開発機構部会、この分科会の委員の小原先生にも参加していただいていますけれども、海洋研究開発機構部会のほうで審議いただきまして、御意見、御助言などをいただき、評価結果を最終的に取りまとめたものでございます。
 ちょうど先週金曜日に評価書の決裁が終わりましたので、出来たてではございますが、先ずもって、本日、委員の皆様方に、御紹介させていただければと考えています。
 まず、総合評価全体についてですけれども、令和3年度の評価はA評価にさせていただいております。また、中間評価についてもA評価にさせていただいております。
 個別の評価に関して、少し総評を映させていただきます。こちらが個別の評価になっております。中間評価の項目と令和3年度評価、それぞれ載っておりますので、この表で説明させていただきます。まず、ローマ数字のローマ数字1 の一つ目、海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進でございますけれども、こちらは令和3年度の評価及び中間評価ともにA評価になっております。
 この中で、特に(5)マル1 挑戦的・独創的な研究開発の推進に関しましては、令和3年度はA評価になりますけれども、中間評価については、令和元年、令和2年度の蓄積もございましたので、それを踏まえて3年間の中間評価はS評価にしています。
 続いて、海洋科学技術における中核的機関の形成に関しましては、令和3年度及び中間評価ともにA評価にしています。
 最後のローマ数字のローマ数字2 ポツ、ローマ数字3 ポツ、ローマ数字4 ポツは、どちらかというとマネジメントや経理面の部分に関しては、全て令和3年度の評価も中間評価についても全てB評価にしています。
 昨年度C評価になっているマネジメント体制と、その他業務運営に関する部分ですけれども、3月にも御報告させていただいておりましたとおり、昨年度JAMSTECでは、契約行為における不適切な事案と情報セキュリティーインシデントとして、法人全体の信用を失墜させる事象が2点ございました。
 昨年度評価では、この2点を勘案しまして、個別項目をC評価、全体評価をB評価とさせていただいていたのですけれども、今年度は改善に向けた取組が進められていると部会で評価されましたので、B評価に戻っています。
 全体の評価点数、個別の評価項目については以上となります。主な評価の内容について簡単にですけれども、ざっと説明をさせていただければと思います。
 まず、中間評価についてです。
 ここにいろいろありますが、まず海洋研究開発機構は、海洋研究全般に関する中核機関として、研究を支える基盤研究を着実に進めているということ。また、多数の基礎研究の成果も創出されているところなどが評価されております。
 また、研究だけではなくてIPCC、政府間パネルという、まさに各国の政策決定者の政策検討につながる検討パネルにもエビデンスを提供したり、あとこれは3年間の成果ですので、ちょっと懐かしい話かもしれませんけど、アーキアの株の培養成功など革新的な研究成果を上げたり、また、2年前になりますけれども「Shell Ocean Discovery XPRIZE」において、まさに工学的な成果もしっかり上げているとともに、産学官連携のモデルケースとしても評価されていたり、また、国際的なプレゼンス向上にも評価をされているところがございます。
 あと、人材育成であったり、コロナ禍におけるアウトリーチであったり、様々な活動が取り組まれているところを評価されて中間評価はA評価という形で整理しています。
 主な課題、改善事項も来年度以降、まさに第4期中長期目標期間は7年間ございますけれども、残り4年間で取り組んでほしいというところで、AI、ビッグデータ解析を使った分野融合による研究分野の拡大や産業利用の一層の促進、さらに女性登用、外国人登用などの人材育成面での工夫といったところを今後の課題として、明記させていただいています。
 年度評価についても中間評価と重なるところはありますけれども、幾つか評価項目がございます。まず、研究にいろんな分野の広がりが出てきておりまして、日本学士院エジンバラ公賞受賞などにも昨年度の成果として出ているというお話であったり、工学的にはバッテリーの小型化に資するセラミック耐圧容器、これは浮力材の軽減などになるような技術でもあります。また、水中での光通信といったところも含めて、海洋研究、さらには海洋研究以外の分野にも適用可能な技術が評価されていたりします。
 また、IPCCは先ほどの話にありましたけれども、「ディクラテリア」の関係については、まさに基礎研究的なところから機能などを発見して、プレス発表、きちんとアウトリーチを行って、産業利用の実用化につなげるという一連の流れをしっかり取られている点なども評価されております。
 また、海洋プラスチック、軽石漂流シミュレーション、まさに時勢に合った国や自治体の政策検討に資する研究成果を出したり、先進的な光ファイバーケーブルを使ったDAS技術で長期連続観測を実施したことなども評価として認められています。
 最後に、イベント的なところになりますけれども、JAMSTEC50周年記念事業として、現在もJAMSTECで取組がいろいろ進められています。今年度ノーベル賞を眞鍋フェローが受賞されましたけども、そういったものを踏まえた企画など、連動した取組などもいろいろ行われている点も評価に値するというところで、令和3年の評価はまとめています。
 繰り返しになりますが、これらを全部まとめまして、令和3年度の評価はA評価、中間評価についてもA評価という形で今年度は整理させていただいております。
 先ほどお話しさせていただいたように、先週の金曜日に決裁が終わりましたので、全体がホームページに掲載されるのはもう少し後になりますけれども、まずは速報として本日は御報告させていただければと思います。
 事務局からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
 藤井委員、お願いします。
【藤井委員】  御指名ありがとうございます。水産研究・教育機構の藤井でございます。
 評価に関する御説明ありがとうございました。
 お聞きしていて、やはりおっと思ったのは、挑戦的・独創的な研究開発の推進で1年目、2年目にS評価を取ったというところは、研究開発法人として胸を張って誇れる一番名誉なことだと思います。どういう点で、このS評価を取れたかをもう少し詳しく説明いただければと思いますけれども、どういう成果が評価されたかについてお願いします。
【事務局】  ありがとうございます。
 事務局から説明させていただきます。
 これは3年間の評価の令和元年度の評価のほうにも少し載っています。
 令和3年度のS評価に関しては、「しんかい6500」で採取した深海堆積物から培養することに初めて成功した、アーキアの株を初めて成功したというところで、革新的な研究成果と評価されています。これはネイチャーの表紙を飾った成果ですので、記憶に新しいかもしれません。
 また、令和2年度もこのアーキアほどではないかもしれないですけど、様々な革新的な成果が上がっています。ちょっと個別具体には、私もすぐ出てこないですけども、そういったところが令和元年、2年にS評価としていました。後は、中間評価として、この3年間をどういう総括して、評価するかは、結構評価部会でも議論になりました。
 一番重要なのはこういった独創的な研究を進める仕組み、まさに若い研究者が手を挙げて、こういうのを進めていきたいみたいという提案を促す仕組みづくり、体制づくりです。部門長、理事を含めて盛り上げていく体制をとっているところイノベーションを起こしやすいというか、研究成果を生み出しやすい環境をつくっているところを踏まえて、中間評価はSとして今回まとめさせていただきました。
【藤井委員】  なるほど。ありがとうございました。
 私も今おっしゃられた、私の立場は今まさに部門長なので、これはぼうっとしている場合ではなくて、私の責任だということがよく分かりました。我々も負けずにSを取れるように頑張らせていただきます。どうもありがとうございました。
【事務局】  事務局がそんなに偉そうに言う話ではないので、あくまで評価部会の状況を紹介しています。よろしくお願いします。
【藤井分科会長】  そのほかにございますでしょうか。
 阪口委員、お願いいたします。
【阪口委員】  今の藤井委員からの質問に対する答えの一つには、宇宙から持って帰ってきた砂の分析技術は、実はJAXAだけではなく、JAMSTECが積極的に開発した単に分析ではなくて、サンプルの輸送技術というものも使われたということが一つです。それからその技術そのものが民生利用されたということで、20社以上がその技術を応用したという民間利用があったということも付け加えておきます。
 それから、実はこの今の第4期の体制をつくったの私ですけども、今、日本全体が全部プロジェクト・オリエンティッドないしは出口志向という形で研究機関、または大学もそういう思想に汚染されているというと文部科学省の方に怒られますけども、やはり、全体の5分の1から6分の1ぐらいのポーションで、挑戦的な研究をきちんと大義名分を持って、中長期計画もきちんと書いて、できる体制をつくるということと、そこに幾ばくかの予算を配分することが非常に重要だと私は文部科学省の方と物すごい長期間ディスカッションをして、最終的にこういう部門をつくることを許してもらったということで、そのときの苦労も中間評価にきちんとS評価という形に表れたというのは、国を挙げてプロジェクト・オリエンティッドばかりではよくないということを証明してくれました。一番、JAMSTECはそういうことが出来なさそうな研究機関ですが、それを実現させていただいたということについては、この場で、藤井先生もそれを目指していただきたいと思いますし、ぜひ、日本全体にそれを広げていただきたいというのが私のコメントのまず一つです。
 それから、もう一つ質問です。この時点でもう決まった結果に対してどうのこうの言っても仕方がないですけども、5-2の海洋調査プラットフォームに関わるところについて、「ちきゅう」は予算が取れなくて、かつ、自分たちで民間の石油掘削を取るということを言っておきながら全くできなかったということと、それから、そのコンサルティングに5,000万円も投じたのに、全くその結果がゼロで、約3年間、清水港に停泊しているだけで、今や見学船「ちきゅう」みたいになってしまっているということに対しては、何のコメントもなかったのかというか、JAMSTEC全体の3分の1の予算を「ちきゅう」に使っているのに、「ちきゅう」が全く動かなくて、メンテナンスと係留しているだけという状況にもかかわらず、この5-2の中間評価がAになっているというのは物すごく私にとっては奇異な感じがします。それをも凌駕する別の成果を大きく認めたからこうなったのか、JAMSTEC全体の3分の1の予算を使っているものに対しては目をつぶったのか、どっちだったのかということをちょっとここで説明していただきたいなと思います。
【藤井分科会長】  事務局の方、いかがでしょうか。
【事務局】  川﨑です。難しいところが非公開審議の内容ですので、審議内容をこの場で全部お話しできることではないとは思います。まずそこを前提の上でご説明になります。
 どういうところが評価されたのか、このプラットフォームの部分のどういうところが評価されているのかというのは、まさにここに書いている、バッテリーの小型化に向けた部分や、水中光通信の技術などを従来予定していたところよりもプラスで取り組んでいることを評価させていただいて、今回のA評価にはつながっています。
【阪口委員】  それは理解できるのですが、私の質問は年間80億から85億ほど投じているプロジェクトが3年間何も進まなかったということは、この小さな結果がたくさんあったということを全く凌駕する――要するにここに載っていることは、年間80億掛ける3年分に値するほどの成果だったと委員の方は理解したのかということです。
【事務局】  単純にそういう比較をした議論はしていないですけども、結論としては成果を総合的に見て、A評価として今回はまとめています。
【阪口委員】  非常に奇異に感じます。Bぐらいだったら、片方がCかDで、片方がAで、間を取ってBになっているというのだったらまだ理解できるとは思いますけれども、今後そういう部分もしっかり見ていただきたいなと思います。
【事務局】  ありがとうございます。
 すいません、1点だけ御報告を忘れていました。
 私はバッテリー等の1か所だけを今、ご紹介したのですけど、そのほかにも感染症対策の中でも船を運航したなど、いろんなところを踏まえて評価しています。
 ただ、阪口先生の御指摘は分かりますので、ちょっとそれを踏まえて、また、海洋研究開発機構部会のほうにも、こういう意見があったということをフィードバックしながら、次年度以降の評価の検討にもつなげていきたいと考えました。
 御指摘ありがとうございます。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 そのほかよろしいでしょうか。
 
【藤井分科会長】  窪川委員、お願いいたします。
【窪川委員】  藤井先生が先に手を挙げていらっしゃいましたけど、よろしいでしょうか。
【藤井分科会長】  藤井委員。
【藤井委員】  ごめんなさい、藤井です。
 阪口先生のお言葉にお返事しようと思ったら、間に話が入ってしまったので、タイミングを逸したのですけど、私の目から見たら、やはりJAMSTECは非常に挑戦的・独創的なことをやりやすい、これまでもやってきた研究開発法人だと見ておりました。こうやって結果を出されていることはすばらしいと素直に思っております。
 我々も産業への貢献ということで、最近縛りがきつくなって、目の前のBを越えたAを取るためにきゅうきゅうとしているところが正直ありましたので、将来見据えた仕込みをして、胸張ってSが取れるように頑張りたい。JAMSTECに向かって「どうや」と言ってみたいと改めて思いました。
 それから、評価に関しては、我々の評価もプラスの面、マイナスの面があって悩ましいところはありますけど、研究者のモチベーションを上げるためにも、なるべく減点法ではなくて、加点法で評価してあげたいと考えたところです。
 以上です。余計なことで申し訳ございませんでした。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、窪川委員、お願いします。
【窪川委員】  私の質問は、3ページ目の「海洋分野の研究者比率の現状も踏まえながら、外国人研究者及び女性研究者の実現可能な採用目標値を設定すること」ですけれども、現状自体を見ることは、研究者比率という意味では大変難しいですが、ここでは好意的に「採用目標値を設定すること」と書いてあります。現実的な御意見をいただいていると思います。
 この設定するというのは、来年度より設定することができるという、そういう柔軟なことが可能になるということなのでしょうか。
【藤井分科会長】  はい、どうぞ。
【事務局】  事務局からお答えよろしいですか。
 これは中間評価の指摘ですので、必ずしも来年度すぐではないと考えております。
 ここに「採用目標値を設定すること」と書いてあるように、既にJAMSTECのほうでも、ある程度の目標値みたいなものは持っていますけれども、もう少し現実的な目標値を設定しましょうという意見があったので、こういうふうに書いております。
 なので、今ある目標値から改良になると思いますが、その改良は来年すぐにできるのか、もう少し調べた上でなるのかというのは、ちょっとまだ分からないところです。まさに先週金曜日評価書が完成して、それをJAMSTEC側に通知したすぐの段階なので、これからいつまでというのは調整させていただこうと考えています。
【窪川委員】  分かりました。ありがとうございます。
【藤井分科会長】  阪口委員。
【阪口委員】  今の窪川先生の御指摘はこの第4期が始まる前に、外国人研究者40%、女性研究者50%という目標を設定して、着実にもともと両方がスタート時点では4.5%ぐらいだったものが3年間で十数%までいったので、このままどんどん上げるぞという話を私が在籍中はしていました。それに対して非現実的だということを述べられる委員がおられまして、恐らく私がいなくなった後、もっと現実的な数字にしろと言ったのだと想像できますけども、現実的な目標はやはり少しおかしいと私は思います。きちんと50%になるまで努力をし続けると、それから外国人研究者が40%になるまでいろいろな努力し続けるということが研究組織にとって私はすごく大事だと思っていますので、ここで下方修正しろという意見が恐らく出たと思うんですけども、ちょっとこれも現実に合わせてということは、何だか私も少し奇異な感じがいたします。
【藤井分科会長】  いかがでしょうか。
【事務局】  事務局から補足させていただきます。
 結果としては、目標値の見直しという指摘になっておりますので、現時点では、御意見があったことを評価委員の先生方にもお伝えするとしか、この場ではお答えできないですので、ご理解いただけますと幸いです。御指摘ありがとうございます。
【藤井分科会長】  よろしいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【藤井分科会長】  それでは、この件もおおむね御報告いただいたということで、いろいろ御指摘いただきましたが、またこれは次のラウンドのときに生かしていただくということでお願いできればと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議題5です。これはその他議題になります。
 事務局から報告事項等をお願いできればと思います。
【事務局】  ありがとうございます。事務局の伊藤でございます。
 私のほうから資料5-1、5-2、5-3、川﨑のほうから5-4について、これから御報告させていただければと思います。
 まず、投影されております資料5-1でございますけれども、今年の6月に三つの政策文書が閣議決定されましたので、この中で海洋技術についてどのように触れているのかを簡単に御紹介させていただければと思います。
 まず、資料5-1でございますけれども、統合イノベーション戦略2022でございます。こちらの中では、まず知の基盤と人材育成の強化に、海洋は分野として掲げられておりまして、データ駆動型の研究開発とその基盤の整備と、分野を超えた研究基盤の構築に取り組むということが掲げられております。
 また、先端科学技術の戦略的な推進のところでも戦略的に取り組むべき応用分野として海洋が掲げられております。
 また、海洋基本計画に基づいて以下の取組を強力に推進するとされておりまして、特に二つ目のポツでございますけれども、北極政策に係る取組といたしまして、2026年度の就航に向けた北極域研究船を着実に建造するとともに、観測データの空白域となっている北極域の観測・研究を進めるということが掲げられております。
 また、その下のポツでございますけれども、MDAの能力強化の一環といたしまして、我が国の海洋観測技術の高度化・効率化に向けてAUVといった無人海洋観測システムの構築に取り組むことが掲げられております。
 次のページになりますけれども、第2章のところでも例えばレジリエントで安全・安心の社会の構築のところや、新たな研究システムの構築のところにも海洋が掲げられておりますし、特に、4.官民連携による分野別戦略の推進では、(7)海洋と大きく取り上げられておりまして、海洋分野における市民参加を進め、知の融合により人間や社会の総合的理解と課題解決に貢献する「総合知」の創出を推進するということや、その下のポツにも海底地殻変動をリアルタイムに観測するために南海トラフに観測装置の展開を推進するですとか、その下になりますけれども、7,000メートル以深にAUV・ROVの研究開発を進めるとともに、次世代の観測体制システムを構築するということ。その二つ下のポツになりますけれども、気候・気象予測のさらなる高度化や海洋生態系の保全・活用等の社会課題の解決に貢献するということが掲げられています。
 続きまして、資料5-2でございます。経済財政運営と改革の基本方針ということで、いわゆる骨太の方針でも海洋が掲げられております。
 まず、最初に科学技術・イノベーションへの投資について、最後の行になりますけれども「北極を含む海洋分野の取組の強化を図る」と明示されています。また、その下の外交・安全保障の強化にも、「海洋観測・調査、海洋状況把握を含む海洋の安全保障等の取組を強力に推進する」と書かれておりますし、エネルギー安全保障の強化にも、海洋資源の確保について掲げられています。
 また、経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進にも、「第6期科学技術・イノベーション基本計画」及び分野別戦略を着実に実行しましょうという中に、海洋がきちんと掲げられています。
 最後に三つ目といたしまして、資料5-3になります。
 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画につきましても、経済安全保障の強化で、下から2行目になりますが、「海洋等の先端的な重要技術の実用に向けたプロジェクトを強化」ということを掲げられておりますし、また、3ポツ目に海洋といたしまして、海洋が重点的には取り上げられています。
 また、「海のデータの上での共有・活用を図るとともに、2026年度の就航に向けた北極域研究船の建造を着実に進める」とありますし、また、最後のところには先ほどもございましたが、「無人海洋観測システムの開発を進める」と書かれております。
 また、最後にフォローアップといたしましても、これまでの取組と新たな取組というところに、一つ目のポツの上から3行目あたりですけれども、「無人海洋観測システムを2031年までに開発する」ということや、「北極域研究船の建造を着実に進める」とともに、「国際研究の活動基盤となる」と掲げられております。
 簡単ですが、私からの説明は以上とさせていただければと思います。
【事務局】  川﨑です。続いて、資料5-4について御紹介をさせていただこうと思います。
 こちらは前回3月の分科会でも藤井分科会長から御紹介いただきましたが、5月13日に日本工学アカデミー主催による海洋テロワールシンポジウムが開催されました。その取りまとめ報告書、提言をまさにこの日本工学アカデミー(EAJ)が新たに作成されましたので、本日、資料として配付させていただきました。
 5月13日のシンポジウムについては、文部科学省も傍聴させていただきましたが、研究者等のアカデミア側が目指す取組に加えて、金融機関からの期待など、まさに幅広い議論がなされました。本日配付している資料を委員の皆さんもぜひ御一読いただければと思います。
 こちらの資料の御紹介は以上となりますが、ぜひ分科会長のほうからも、取りまとめたこの資料を補足いただければと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 少しだけ補足させていただきます。この海洋テロワールシンポジウムは、前回御紹介いたしましたが、資料5-4の最後のページに具体的にどんなプログラムかの記載がございます。
 この大会はテロワールというのをプロジェクトとしてずっと議論してまいりました。海洋テロワールという考え方自体は、環境を破壊しながらどんどん海の恵みを吸い取ってしまうような、海からの収奪という考え方ではなくて、むしろ人々のその場での暮らしや、地域の文化、あるいは海域そのものの生産力を持続可能な形でしっかりと把握しながら、利活用していく。それによって持続的に海からの恵みを得ることができ、そこから高付加価値のものが得られていくという考え方で、この海洋テロワールという提言を出しています。それについて具体的にどういう取組があり得るかをここで議論して、できることならばパイロットプロジェクトのようなものを立ち上げられるといいという議論を行いました。そのことについての提言を取りまとめたのがこの資料5-4です。
 あまりたくさんお話する時間はありませんが、こういう海を実現します、こういう技術を実現します、海からこういう生産をしますということを議論するというよりは、今お話ししたような形で、持続可能な形で海を利活用し、持続的に海の恵みを育んでいくことを実現するには、海そのものというより、それを可能とする社会そのものと併せて、我々はつくっていかなければいけない、ということが最も大事な考え方です。海や技術というものだけではなくて、社会そのものを考えていかなければいけないだろうということ。これが市民参加型の取組につながっていきます。
 それから、もう一つのキーワードとしては、総合知の活用です。それを促すためにも、例えばデジタル技術を活用して、市民参加型で海の観測を行っていく、それによって市民それぞれが自分ごと化して海のことを考えていく、そして地域の課題をその地域の皆さんが見い出していって、その課題に取り組んでいくというサイクルを構築していく。
 できることならば、そこに資金循環として資金が導入されるといった形で、その社会そのものが、先ほどお話ししたような海からの持続的な恵みの生産を支えるような形で形成されていく。そんなことを今後考えていく――これは実はSDGsの考え方であるとか、海洋科学の10年の考え方にも通じるところでありますので、ぜひこういう形でパイロットプロジェクト的なものを立ち上げてみたらどうかというのがこの提言でございます。
 初めの一歩としてそんなことが今後なされるようになることに非常に期待したいところであります。こちらは事務局のほうでもぜひいろいろお考えをいただければと思いますし、先ほどの河村先生にまとめていただいております海洋科学技術委員会のほうでも市民参加の議論もございましたので、その辺りとも併せて、今後こういう取組をこの場でも検討していってもいいのではないかと思っております。
 ということで、よろしくお願いいたします。
【山之内海洋地球課長】  すみません、海洋地球課の山之内です。
 
 しっかり我々事務局としても検討したいと思いますので、ありがとうございます。
【藤井分科会長】  はい、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。私どもで用意した議題は以上でございます。
 谷委員から一言ございますか。
【谷委員】  一つは質問で、一つはコメントです。
 質問のほう申し上げます。5-1の2ポツ(1)マル1 の本文の最初に「ゲノム解析を含むバイオ・ライフサイエンス」とあり、それから「地球環境、海洋・防災、数理科学、人文・社会科学等」と書いています。「海洋・防災」と中ポツでつながれている理由を知りたいです。
 バイオサイエンス、ライフサイエンスとか、人文科学、社会科学というのはそういうものをサイエンス、科学という単語を括弧でくくったと思えるのですけど、海洋と防災を中ポツでくくるのは、海洋に対してどういう縛りをかけているのか、何でこれは、読点ではなくて中ポツなのかというのがなかなか謎だなと思っています。いかがなものでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。事務局の伊藤でございます。
 ここの海洋と防災をなぜ中ポツにしたのかは、海洋の文脈の中で、海洋科学技術も重要ですし、それが防災の観点にも役立つということも意識されて海洋と防災が並んでいるのかと思いますが、海洋に何か縛りをかけたいという思いがあったかどうかまでは今すぐにこの場で御説明することがなかなか難しいというのが実情でございます。
【谷委員】  地球環境・海洋でもつながる中で、防災とつないだので、例えば高潮、津波、地震など、何かそういった災害の観点から見た海洋ということを言いたいのではないのかな、あるいはそうではないのか、と、その辺が分からなくて、このメッセージはきちんと読まないと怖いなと思ったものですから、質問いたしました。
 分からないということで、結構でございます。
 それから5-4のテロワールについて、コメントを少し申し上げたいと思います。
 これはすごく大事な話だと思います。いろんなメリットがあるのでしょうけども、今世界が直面している人口増に対する食糧問題に対して、これは人類の生き死にがかかった非常に重要な話であると思います。
 それから、日本にとって見たら、海洋、沿岸の大部分のところでは人口がどんどん減少しているので、そこの集落を支えるという観点、離島は特にそうですけれども、沿岸の人口減少に歯止めをかけるという観点からも、こういった海洋テロワールという動きは大事だと思っています。
 よく考えますと日本の漁村というか、小さな集落は、資源の保全も考えつつ、魚を捕ってきたので、そういう意味では世界に先駆けて海洋テロワールを実現していたのではないかと思います。
 ところが、沿岸部の人口が減っているということは、どうも海洋テロワールがうまくいってないのかもしれない。藤井分科会長がおっしゃいましたように、これは社会問題とセットでないと解けないのかなと思います。そういうコメントがありましたので、まさにそうだと思うということを申し上げたいと思います。
 それと、海洋テロワールで沿岸部の情報はすごく大事だと思います。その中で例えば沿岸部のマップを作って、どこで何があって、どんな活動をしていてということをしていこうと思うときに、沿岸部の地形データはすごく大事だと思います。それも相当レゾリューションの高い地形データが必要だと思います。先ほどの最初の議題のときに申し上げましたように、レゾリューションというのは、かなり大事な議論で、例えば地形や資源などの空間的なレゾリューションがどうかということをきちんと整理しないといけないと思いますけれども、翻ってこういう市民参加で例えば地形情報を集めるときに、それをみんながシェアしないといけないですけれども、高分解能の地形データのシェアというのは、非常に安全保障上の観点から言うと問題があるので、海洋科学技術委員会の報告の中にもございましたけれども、そこは政府として情報の質と公開していいかどうかという整理を政府レベルで考えないといけないということがございます。これは物すごく難しい問題ですので、海洋テロワールを考えるときに情報のシェアはどうできるかについては、かなり問題があると思う、というコメントをしておきます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【藤井分科会長】  いろいろ御指摘ありがとうございます。
 最初の指摘はもしかすると設備の共用の関係でそのくくりになっているかもしれないので、これはまた深遠な理由を御確認いただければと思います。
 それから、テロワールについておっしゃっていただいたところは、1ポツに書いています。技術開発や事業提案はもちろんですけども、将来にわたって持続可能な海の利活用を図っていくことを可能とするような社会そのものをつくっていこうとすることが大事だと申し上げています。
 それから今の地形データですが、これはまさにオープンとクローズド・ポリシーの問題も含めてですけども、海洋観測、海の民主化ということを言っているので、オープンの範囲で誰もが測ったり使ったり、それをシェアしたりできるような世界、その辺りのプラットフォームづくりも大事になってくるかと思います。詳細な地形データということと、今度は少し線引きが必要になってくるのかもしれませんが。それをどういうふうにうまくやっていくかはまさに先ほど議論にありましたが、海本部での議論などとも関係してくるのかもしれません。
 そのほか、よろしいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【藤井分科会長】  いずれにしましても、このような形で、国のいろんな文書には海関係のことを取り上げられているということであります。このテロワールの件も含めまして、今ちょうど予算の時期でございますので、海関係の予算をぜひしっかりと御対応をお願いしたいということを申し上げたいと思います。
 私どもで用意した議事は以上でありますが、先生方からよろしいでしょうか。
 それでは、事務局から何か連絡事項はございますでしょうか。
【事務局】  本日は長時間にわたる御議論、誠にありがとうございました。
 事務的な御案内をさせていただきますけれども、本日の議事録については、この後に案を事務局のほうで作成させていただいた上で、先生方にメールで御確認を取らせていただき、その後、公開という形にさせていただければと思いますので、御協力よろしくお願いいたします。
 次回の日程ですけども、今のところは11月、12月ぐらいを予定しております。この後、皆様方の日程の確認を取らせていただいて、正式に決定したいと思いますが、また、その頃は、師走の忙しい時期になりますけれども、御協力をお願いできればと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上となります。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、これをもちまして、第67回の海洋開発分科会を終了したいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課