海洋開発分科会(第59回) 議事録

1.日時

平成31年1月22日(火曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎2階 文化庁特別会議室

3.出席者

委員

浦辺分科会長、石田委員、宇都委員、浦委員、窪川委員、阪口委員、田中委員、谷委員、津田委員、中川委員、中田委員、西村委員、平田委員、藤井輝夫委員

文部科学省

佐伯研究開発局長、岡村大臣官房審議官、福井海洋地球課長、渡辺深海地球探査企画官、小酒井極域科学企画官 ほか

4.議事録

【浦辺分科会長】  定刻になりましたので、ただいまより第59回科学技術・学術審議会海洋開発分科会を開催したいと思います。
 本日は御多用中にもかかわらず、多数御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 今回がこのメンバーで行う今期最後の分科会となります。最後には少し時間をとってあって、委員の先生方一人ひとりから自由にお話し頂けるようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 では、議事に入る前に、委員の交代、それから事務局の人事異動等について、事務局のほうからお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
 まず、委員の交代についてですが、長澤分科会長代理が辞任され、田中康夫様に臨時委員として御就任いただきました。よろしくお願いいたします。
 前回、昨年7月9日に開催された海洋開発分科会の後、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。まず、昨年10月16日、大臣官房審議官に就任いたしました、岡村直子でございます。
【岡村大臣官房審議官】  どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  次に、本日付で海洋地球課長に就任いたしました、福井でございます。
【福井海洋地球課長】  福井です。よろしくお願いいたします。
【事務局】  私、昨年10月4日に補佐に着任いたしました、近藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。
 田中委員、一言ございますか。
【田中委員】  自己紹介させていただきます。
 皆さん、こんにちは。日本郵船の田中と申します。
 日本郵船の技術アドバイザーをしておりますけれども、同時に、郵船の子会社のMTIという会社の社長をやっております。MTIというのはMonohakobi Technology Instituteの略です。ヨーロッパにも時々いますけれども、欧州でもモノはこびで通しております。
 私どもの会社は、郵船の中の船系の技術開発をやるというお役目なのですが、最近は色々なデータを集め、それらのデータに基づき、大きな機械である船の運行改善、そういったことをやらせていただいています。
 今後ともよろしくお願いいたします。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  お手元の議事次第をご覧ください。議事次第の4に資料一覧をつけさせていただいておりますとおり、資料1で予算関係、資料2-1、2-2で評価の関係、資料3でカラーの「ちきゅう」の研究航海の状況、資料4で研究課題の事後評価結果、資料5-1、5-2で研究開発計画の改訂案の見え消しと溶け込み版、そして参考資料として、当分科会の名簿、前回の議事録、評価の実施のほか、海洋基本計画の関係の資料を配付してございます。不足、乱丁などある場合には、事務局までお願いいたします。
【浦辺分科会長】  ありがとうございました。
 本日はお手元の議事次第にありますように、5つの議題がございます。1番の文科省における関連予算、それから2番の海洋研究開発機構における業務実績に関する評価、それから3番目の「ちきゅう」の現在の実施状況、これは報告事項でございます。それから4番目、海洋資源利用促進技術開発プログラムの事後評価、これと、その後の5番の海洋科学に係る研究開発計画の改訂について、これが審議事項になっております。よろしくお願いします。
 それから、先ほど申しましたように、最後に30分ぐらいの時間をとりまして、時間の許す限り自由討論というふうな形にしたいと思います。今回、最後ですので、この期を振り返ると同時に、また次の、次期に向けた期待など、短い時間になりますけれども、一人ひとり述べていただければありがたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、議題の1、文部科学省における主な海洋・極域分野の関連予算案(平成31年度)について、事務局より御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料1に基づいて御説明させていただきます。
 昨年5月に閣議決定いたしました第3期海洋基本計画におきましても、海洋科学技術は気候変動等の地球規模課題への対応、あるいは地震、災害への対策等の国民の安全・安心の確保に貢献するものと掲げられておりまして、関係省庁や研究機関、産業界等と連携しながら、海洋・極域分野の研究開発を推進することが重要とされております。
 右上に総額を書かせていただいておりますとおり、2019年度予算案におきましては、前年度と比較して微増ではありますけれども、1.2%増となる総額378億円を計上しております。
 下に書かれてあるような4つの枠にあるように、地球環境の状況把握、変動予測のための研究開発として31億円、海域で発生する地震、火山に関する研究開発として26億円、北極域研究の戦略的推進として12億円、そして南極地域観測事業として48億円を計上させていただいております。
 1ページめくっていただいて、それぞれ少しずつ詳しく説明させていただきたいと思います。
 地球環境の状況把握につきましては、事業概要にありますとおり、アルゴフロートなどを用いた、統合的海洋観測網の構築によって10億円余りを計上させていただいております。新規事項として、2つ目の四角に書かせていただいておりますけれども、海洋観測ビッグデータを利用した新たな価値創造として4,000万円を新規で計上しております。3つ目の四角にありますとおり、海洋プラスチックごみ。マイクロプラスチックごみの研究、生態系への影響評価等のための研究開発予算として、新たに1億円を計上しているところでございます。
 3ページ目、めくっていただきまして、海域で発生する地震、火山活動に関する研究開発として26億円を計上させていただいております。ここは前年度予算額より減っているように見えますけれども、一番下の※印にあるとおり、「ちきゅう」の定期検査のタイミングになりますので、「ちきゅう」の定期検査に係る費用として、このほかに42億円を計上しているところでございます。具体的な事業概要につきましては、連続リアルタイム海底地殻変動観測技術の開発として8億円、海底震源断層の高精度広域調査として7億円、プレート膠着状態の推移予測手法の開発・評価として4,000万円、そして新規で最後、海域火山活動把握のための観測技術の開発として3,000万円を計上しているところでございます。
 4ページ目、めくっていただきまして、北極域研究の戦略的推進としては12億円を計上させていただいております。主な事業としては、事業概要の1つ目にあるとおり、ArCS、北極域研究推進プロジェクトとして7.6億円を計上しているところでございます。その他、JAMSTECの運営費交付金の中におきましても、北極域観測技術の開発等に3.9億円を計上しております。
 この中で、北極域研究船の推進といたしまして、建造等に向けた検討を進めるための経費として2.5億円を実施するとして計上しているところでございます。
 駆け足になって恐縮ですけれども、5ページ目、南極地域観測事業といたしましては、47.6億円を計上しているところでございます。地球環境の観測・監視等のための経費として4.3億円、「しらせ」等の着実な運用等に43.2億円ということになってございます。「しらせ」につきましても、定期検査等を確実に実施するための経費をこの実数に計上しているという状況になっております。
 私のほうからは以上になります。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 今の報告に対しまして、何か御質問、コメント等ございますでしょうか。
 議事録の作成上、御発言される方はお名前をおっしゃってから発言していただければ幸いです。谷委員。
【谷委員】  谷でございます。
 御説明いただきました中で、北極域の一番最後のところに「建造等に向けた検討」という、研究船のお話、書いてございます。
 これは去年も似たような表現であったと思うのですが、どういう進展があったか御説明をいただけますでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。
 北極域研究船の推進につきましては、平成29年度予算において、北極域研究船の概念検討ということで1,000万円、御案内のように30年度、本年度予算におきましては、予備設計として8,500万円というところを計上させていただいているところでございます。さらなる安全性の確保という観点から、31年度は基本設計のうち、搭載機器に係る設計を行うための経費として2億5,000万円を計上しているところでございます。具体的には、氷海水槽における試験などを今年度行いまして、来年度は海洋識別データの開発や、全体構造を統計するシステムの開発などを進めていくというような予定になってございます。
【谷委員】  ありがとうございました。
【浦辺分科会長】  ほかに。浦委員。
【浦委員】  浦でございます。
 海域で発生する地震及び火山活動に関する研究のところで御質問したいと思いますが、一番最後のところに「海域火山活動観測システムを開発し、試験観測を実施」ということが書かれています。
 実は、今年の初め、原子力規制庁が姶良カルデラを観測するということが報道されていて、私はこれを聞いて非常に奇異に感じたのですが、海洋観測とか海底火山観測調査というのは非常に長い時間がかかるので、急に原子力規制庁が出てきて、どこまでしっかりとした観測ができるのだろうか。それに対して、今ここに同じようなテーマが書かれていて、もともと火山の調査というのは文科省、ただ、あれは大学が担当しているものでございますが、どういう関係になっているのかを教えていただきたいと思います。
【事務局】  ありがとうございます。
 原子力規制庁の調査については、私自身がその関係を説明できず大変申し訳ございませんが、この海域火山活動の把握のための技術の開発のところにおきましては、鬼界カルデラのような長期的なリスクのある海域において、この海域火山活動の観測システムを開発するというようなことで、この3,300万円を新規で計上したということになっております。
 一方、研究開発局の地震課におきましても、その火山の検討は行っているということになろうかと思います。回答になっていなければ、もう一度御質問いただければと思います。
【谷委員】  私、総合海洋政策本部の参事を長くしていたので、今の御回答は非常に国の政治として、施策として、不満であると思います。
 つまり、火山観測というのは非常に総合的であり、長期的なものであるのにもかかわらず、それが今のようなお答えしかできないというのは、日本の海底火山の観測というのはどういう仕組みで行われているのか。非常に場当たり的に行うものであるべきではないし、津波、それから、この間インドネシアで起こった火山活動による津波、そういったものを総合的に考えるのに、文科省がもっときちんとしたイニシアチブをとってやらなくてはいけないと思うのですが、今のお答えは非常に残念です。議事録にぜひ書いておいてください。
【佐伯研究開発局長】  局長の佐伯でございますが、文科省としての火山研究、政府全体としての火山研究につきましては、基本的には内閣府が舵をとって方針を決めているわけでございますが、その中で、防災科研としても火山研究を行っており、また、海洋機構で行う火山研究につきましては、基本的には装置の開発、手法の開発に重きを置いたものでございます。
 例えば、DONETの開発自体は海洋機構で行い、その後の運用は地震のほうの全体を見ている立場から防災科研のほうでやっておりますので、そういう意味では、長期的な観測とは申し上げましたけども、海洋機構自体が業務としての長期的な観測を行うわけではなく、あくまで書いてございますのはあるのはまず、今ここでやろうとしているのはその機器の開発を行うという趣旨でございます。
【谷委員】  なるほど、機器開発。
【佐伯研究開発局長】  はい。それを今後展開していくということは、また別に、まさに国の方針の中で、どういうふうにやっていくべきかということで、また考えていく必要があると思っております。
 ただ、原子力規制庁につきましては私も十分な情報を持っておらず、御説明は難しいのですが、おそらくは原子力規制に必要な範囲でのことを考えているのかと思います。詳細につきましては私からは十分な説明ができませんので、差し控えたいと思います。
【浦辺分科会長】  よろしいでしょうか。
【谷委員】  はい。
【浦辺分科会長】  それでは、何かほかにありますか。
 平田委員、お願いします。
【平田委員】  別のことを発言したかったのですが、今のやりとりを聞いて少々思ったことがあるので発言します。局長から言われたみたいな、地震については地震調査研究推進本部というのがあって、一元的に検討しておりますけれども、火山については内閣府が検討はされていますけれども、地震のように、オールジャパンで施策を考えているというところは、私の理解ではありません。
 唯一、科学技術・学術審議会の測地学分科会の地震火山部会で、国の火山観測研究について検討をしているというところがございます。その中では、海底の火山についても検討はされているというふうに理解しておりますが、今、浦委員がおっしゃられたような形で、国全体として統一的に議論する場は少し少ないかなというのが私の感想でございます。
 私の本当の質問はそれではなく、少々実利的な質問で大変恐縮でございますが、同じく3ページの海域で発生する地震の研究についてです。ここは10億円減になっているものの、どこが減かと見ておりますと、結局「ちきゅう」が長期孔内観測装置を設置するのを先送りにしたところが減になっているように、この文面からは見えます。これはつまり、設置すべき穴がまだできていないから先送りになったので、来年度は減になっているけれども、将来的にはそういうところにも投資が行われるというふうに、そういうふうに理解しましたけれども、それでよろしいのでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。「ちきゅう」による掘削予算のうち、来年度については掘削するための費用を長期孔内観測装置の設置のための掘削は先送りして、再来年度以降に先送りしたということで、その分の予算がここの研究開発の予算の減になっているということでございます。
【浦辺分科会長】  よろしいでしょうか。
 宇都委員、どうぞ。
【宇都委員】  海上技術安全研究所の宇都でございます。
 この南極地域観測事業について、細かい点なのですが、「「しらせ」等の着実な運用等」ということで予算化をされてございますけれども、「しらせ」に搭載されているソナーは何年か前に故障して、それがなかなか補修の予算がつかないということをお聞きしております。この中でソナーの補修費用が含まれているのかどうかということをお聞きしたいと思います。
【小酒井極域科学企画官】  この予算の中には含まれてはいないのですが、実は、防衛省のほうで、今年度の予算に若干の残量がありますので、それを活用してソナーは購入して、来年度、定期検査の費用の中でその取り付けを行うということで、来年度の第61次隊については、いわゆる、そのソナー、マルチビームについてはつけて出航できる見込みでございます。
【宇都委員】  ありがとうございます。
 何年も非常に貴重な観測機会を失っていたので、何とか早くつけてほしいと願っておりましたので、今お聞きして、大変うれしく思います。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 非常に有意義な議論ができたと思います。
 それでは、続きまして、議題の2、海洋研究開発機構における業務の実績に関する評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
【事務局】  資料2-1と2-2に基づきまして、国立研究開発法人海洋研究開発機構の評価の結果について御説明いたします。
 資料2-1は毎年度、独立行政法人通則法に基づいて実施してございます、各年度の業務実績評価の結果でございます。主務大臣が評価するに当たりまして、国立研究開発法人審議会下に設置されております海洋研究開発機構部会にて御意見、御助言いただいて、評価をまとめてございます。
 一方、資料2-2は本年度、平成30年度が第3期中期目標期間の最終年度であるため、先程と同じく独立行政法人通則法に基づき、それまでの4年間の業務実績を見まして、それを踏まえて中期目標終了時に見込まれる業務実績評価、いわゆる見込み評価と申し上げておりますけれども、そういうものをやっているという、この2種類の評価を今年度の夏、8月に行いましたので、その結果を簡単に御報告させていただきます。
 まず、平成29年度の年度評価として、資料2-1の2ページ目を御覧ください。
こちらで、法人全体の評価といたしまして、平成29年度は総合評価Aとしてございます。こちらはS、A、B、C、Dと5段階の評価がございます。4ページ目をめくっていただきますと、小さく米印で書いてございますところですけれども、独立行政法人の評価に当たりましては、Bが標準、中期目標、中期計画に定められた事項を着実に、しっかりと運営できたらそれが標準でBということになってございます。それを踏まえまして、そういったものから比べて、より顕著な成果の創出等があったらA評価、S評価となり、着実な進捗に対しまして改善すべき点があるというようなことになりましたらC評価、D評価になるという、そういったことになってございます。
 JAMSTECは、今年度実施した平成29年度の業務実績評価につきましては、総合はA評価でございます。その理由が2ページ目の、戻りまして2ポツのところに書いてございます。一番上の丸のところの下線部にございますとおり、平成29年度には各研究開発につきましては、国際的にも評価の高い成果が多数得られたこと、そして、これらの成果の中には、得られたデータや科学的知見が政策決定のプロセスにエビデンスとして提供されているものであったり、あるいは地方自治体の防災・減災対策へ貢献するもの、民間企業による実海域調査等々に活用され始めているものなどが含まれており、目標、計画を上回る顕著な進展があったというふうに評価できると判断してございます。
 具体例としまして、1、2、3、4、5と例を掲げてございますが、一例としまして、例えば2のところでございますが、地震につきましては、南海トラフの地震発生帯浅部でゆっくり滑りが繰り返し発生していることを解明して、その知見を地震調査研究推進本部等に提供したというようなことでございますとか、そういった成果が得られているということを記載してございます。
 その次の丸のところにございますが、これらの研究開発の成果に加えまして、それ以外の開発・運用部門等の成果といたしましては、「しんかい6500」等を使って撮影いたしました深海の海ごみの状況がどうなっているか等々につきまして、そういった画像などを集めた深海デブリデータベースというものを構築しておりまして、それを公開したでありますとか、Team KUROSHIOの活動で、クラウドファンディング等を活用して、そういう国際コンペティションに、各大学であったり、企業等と連携してチャレンジしているというような、そういう取組を実施してありまして、それらについて、すぐれた実績を上げているだろうというようなことで評価してございます。
 「一方」のところでございますが、こちらは少々課題があるという点でございます。JAMSTECは、平成28年度におきましては、論文の論文数をカウントするに当たってダブルカウント等をやっていて、その点に少々問題があったということがございましたが、それを契機に、ほかの業務でも類似の事案がないかというのを横展開して検討しておりましたところ、特許数等の知的財産の成果のカウントについても誤集計の事案があったり、あるいは個人情報を含む情報をメールで誤送信、所内のメーリングリストではございますけれども、そういうところに誤送信したというような事案がございましたり、あるいは他機関から提供いただいていたデータを公開したり、利用するに当たりまして、事前に了解をとらなければいけないというような取り決めがあったにもかかわらず、一部、手続漏れの事案があったというような、マネジメント上の、管理上の少し問題点がございました。
 こちらにつきましては、非常にJAMSTEC部会のほうでも重く受けとめるべきだというような御意見がございましたので、こちらの組織運営にかかわる事項についてということで、ページをめくっていただきまして5ページ目でございますが、今言ったような問題点があった項目につきまして、5ページ目の右の上のほうございます、C評価ということで、一層の改善が必要であるという評価をしております。
 この問題点はございましたが、トータルして考えますと、海洋機構はみずから、内部でこれに対応するための原因分析等を行うべく、内部統制委員会等にワーキンググループを設置して検討を進めているというような改善の方向性も見えてございましたので、全体トータルして考えますと、研究開発成果であったり、開発のほうにおけるTeam KUROSHIO等の活躍等々がございますので、総合A評価でいいのではないかという結果になってございます。こちらが平成29年度評価の結果でございます。
 続きまして、資料2-2でございます。こちらは平成26年度からの中期目標期間を通して、中期目標期間終了時に見込まれる評価ということでございます。
 こちらも2ページ目でございますが、全体としてはA評価ということにさせていただいてございます。先ほどと若干繰り返しになりますので、具体的な成果、例のところは割愛させていただきますが、研究開発の各領域ですぐれた成果が出ているということ、それ以外のTeam KUROSHIO等の活躍等もあったということ、そういったことで研究開発部門の成果は極めてすぐれていたということでございますけれども、やはり期間を通して平成28年度の論文の問題、平成29年度のその他のさまざまな問題、組織マネジメント上の幾つかの問題点がございましたので、そこの部分の評価はCということにさせていただいてございます。ただ、全体トータルといたしましては、見込み評価もAという結果になっております。
 以上、簡単ではございますが、これで法人評価結果、説明させていただきました。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御報告に対して、何か御意見ございますでしょうか。
 谷委員、どうぞ。
【谷委員】  谷でございます。御報告ありがとうございます。
 御報告ありがとうございました。私もA評価というのはそうだろうなという気がしておりますが、ただ、御報告の中で何度もShell Ocean Discovery XPRIZEでTeam KUROSHIOが頑張ったよというのがありますけれども、あれはそもそも法人の業務なのでしょうか。ここに入れて、いかにもそれがAの理由と御説明いただくと、少し違和感があるのですが。必ずしもJAMSTECが実施したという扱いではないという具合に理解していたのですが、いかがでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。
 まず、研究開発成果で顕著な成果があったということがまず第一でございます。そのほかの活動といたしまして、JAMSTECは様々な機関と連携して、XPRIZEのような国際コンペティションにチャレンジする、あるいはクラウドファンディングのようなものを活用して外部の資金を集めるという経験、今回初めてそういった取組をやりまして、そういう新たな取組を行ったという点で、研究開発成果だけではない部分でも評価するところがあったという趣旨でございます。谷委員の仰るとおり、メインの部分は研究開発成果で顕著な成果が出ていたというところでございます。
【谷委員】  ありがとうございます。
 私は決してXPRIZEの参加について、ネガティブじゃなくて、よくやられたと思いますし、なかなか厳しい条件の中で、今仰ったとおり、外とのリンクをとられ、その中でもしっかりとリーダーシップを発揮されてやっておられるので、こういう国立研究開発法人としてなかなか見られない活動をされたという評価はしております。どうもありがとうございます。
【浦辺分科会長】  では、津田委員、お願いします。
【津田委員】  津田です。
 評定については、特にコメントはないのですが、私、水産研究所のほうの評価に若干参加しており、そのとき私はA評価をつけたいのですが、何が何でもA評価をつけさせてもらえない。Bに押し込められるというような、個人的な感想ですが、独立行政法人の中で個々の評価がどのようにフェアにやられているかということについてはどのように考えたらよいのでしょうか。
【事務局】  私ども文部科学省の法人評価の例で申し上げますと、国立研究開発法人審議会の総会のほうでどういった観点から評価をするのかというようなことを、まず、あらかじめ各年度の初めに、そういう御説明、各部会担当のほうにございます。
 そちらのほうは横並びで、極端に緩い、甘い評価をつけていたり、極端に厳し過ぎる評価をつけるようなことがないように、文部科学省内ではそういったバランスをとるというようなことをしてございます。
 一方、私どもの海洋機構部会におきましては、しっかりと部会の委員の先生方にご参加頂いてございまして、そちらの先生方に、独立行政法人評価に当たっての評価指針をお示しし、そちらを踏まえて評価していただくようお話をさせていただいてございます。
【佐伯研究開発局長】政府全体としましては、さらにその上で、総務省で全体を見渡し、各省の横並びなどを見ながら評価をする、評価の評価といいますか、評価のチェックをする仕組みもございます。
【浦辺分科会長】  よろしいでしょうか。窪川委員、お願いします。
【窪川委員】  窪川です。
 細かい御質問になるのかもしれないのですが、この資料は概要ですので、元々のものは大変分厚いきちんとしたものだと思うのですが、今御説明いただいて、その国立研究開発法人審議会の主な意見ですとか、あるいは改善事項等とかあるのですが、それがこの総括表の中のS評価になっているのはどこであるとか、際立ったことに関しても、対象がちょっとつかないところがあるので、それはよりよくわかると読んだほうも評価にどうつながったかと、もちろん、これは一部の意見ですけれども、わかりやすいかなと思いました。
 例えば、海底地震や極限環境下での海洋生物の研究が際立っているというふうに、多分このSがそうだったとか、そういうふうに判断しなければ読めないといけないので、そういうときに、例えば人材の多様性強化も必要であることはあるのだけれども、なかなか難しいというところがある。そこが、もしかして評価はBだったのではないかとか、そういったところが気になりました。少し工夫があるといいなと思いました。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。
 私も非常に細かなことなのですが、資料2-2の法人全体に対する評価と、3ページ目。理由が書いてあるところで、書いてあることと、実際のSとかAとかついているものが必ずしもきちっと一致していないというのがあるかなと思います。
 もっと細かいことを言うと、その中で、3と書いてある海底資源研究開発というのがあるのですが、2ポツの3です。そこで「コバルトリッチクラスト成因モデルを構築し」というのは、本当に重要なことだと思います。「同モデルに基づく大規模鉱床の発見に至った」というのがあるのですが、これは、少し役割分担的なことでいえば、本当に大規模鉱床なのかというと、実物はそうだとは思うのですけれども、やはりちょっと鉱床の品位とかなんとかというところはわからないので、新規の発見に至ったというように、よりニュートラルな表現がよいかなというふうに思います。
 大規模というとやはり、何トンなのかと聞かれてしまうので、それはもちろん、海洋研究開発機構さんとしては任務にはないので、少しここの書きぶりもXPRIZEの話も対応のところではもう少し、文章と本体とが一致するようになされるといいかなというふうに思いました。
 ほかにございますか。よろしいですか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて、議題の3、地球深部探査船「ちきゅう」による国際深海科学掘削計画(IODP)第358次研究航海の実施概況について、御説明をお願いします。
【倉本センター長】  海洋機構地球深部探査センターのセンター長をしております、倉本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうはお時間をいただきまして、現在やっている「ちきゅう」IODP358次航海のほう、状況の概況ということで、進捗状況を御説明させていただきたいと思います。
 資料3、1枚をめくっていただきます。もう言わずもがなですけれども、南海トラフ地震発生帯掘削計画というのは、「ちきゅう」が完成した2005年からシェークダウンを行いまして、2007年より、このプロジェクトを開始しております。ですから、ことしで12年目になるわけです。
 場所は紀伊半島の沖合の部分で、おおよそ直線で100キロ前後のところを、南海トラフ軸に挟んで海側、陸側、それぞれ直線上に横断するように、掘削地点が設計されております。
 次のページに、IODP南海掘削の実績というふうに書いてあります。きょう現在やっている航海を含めると、13航海になりますけれども、12航海を終了しております。掘削地点数でいいますと15地点、掘削孔の数でいいますと68孔、掘削総延長になりますと34キロを超える掘削をこれまでに実施してまいりました。その中で、コアリングを行った区間を足し合わせますと、6.7キロぐらいになります。
 このIODPはもちろん、25カ国ぐらいでやっておりますけれども、延べ参加研究者数としては228名の、15カ国から参加してやってまいりました。
 この3Dの断面図がありますけれども、おおよそ概念的に掘削地点を描きますと、このように赤い縦の棒で示されているところで、これまで掘削してまいりました。
 次、めくっていただきますと、これまでの歴史を絵巻物のように書いてありますけれども、ちょっと小さい字ですので、その中で幾つかピックアップした、これまでの成果を簡単に御紹介いたします。
 次のページです。強震動堆積物の発見というところですけれども、この断面図の一部はどこかと申しますと、分岐断層が海底まで突き抜けたところになります。その堆積物を非常に浅いところの掘削の成果ですけれども、示したものが右側にある3本の試料の図です。向かって一番左側が肉眼で見た、いわゆる写真です。非常にグレーのシルトからなる堆積物にしか見えませんけれども、真ん中の図はそのX線CTスキャナーで撮った2次元断面であります。
 この中には、目では見えませんけれども、密度の異なるさまざまな地質の塊が散りばめられておりまして、これが基本的には左下のほうに漫画で描いてありますけれども、この断層が活動したときに海底付近の堆積物を吹き飛ばして、再堆積させたというような証拠になっております。
 それをCarbon-14の年代決定手法を使いまして調べますと、一番最後のイベントというのが1950年プラスマイナス20年、つまり、1944年の東南海地震のときにこの分岐断層が活動したんだという証拠をつかんだというふうに思っております。
 分岐断層は海底まで抜けておりますから、当然津波を起こしておりまして、この付近での津波のシミュレーションからも、このモデルがサポートされております。
 次、もう一枚めくっていただきますと、さらに海溝軸付近のところにも高速に滑ったと思われる地震断層を発見しました。
 ビトリナイトの反射率を使いまして、過去の比熱、熱履歴、過去にこうむった温度を調べてみましたが、それによりますと、ここの断層は摩擦熱としては300度を超える程度まで発熱した。つまり、かなり高速に海溝軸まで断層が滑るんだということを世界で初めて示しました。
 と同時に、この発表の直後に3.11の東北の地震が起こりまして、詳しい説明までは省きますけれども、東北でも同じようなことが起こったということで、海溝軸付近まで地震、あるいは津波を起こすポテンシャルを持つ断層運動があるということを実証いたしました。
 この成果は、国の中央防災会議にも報告いたしまして、現在は南海トラフ軸まで含めた活動が想定されるということで、想定最大マグニチュードは9を超えるというような結果として、国から報告されるようになりました。
 次のページ、これは現在、DONETが敷設されておりますけれども、我々で「ちきゅう」で掘った3孔は既に孔内に観測装置が設置され、DONETに接続され、リアルタイムモニタリングが行われております。その中の観測の一例ですけれども、2016年4月1日に三重県沖地震と、マグニチュード6の地震ですけれども、が起こりました。この地震は我々の観測しているほぼ真下のところで起こりまして、プレート境界で起こった、断層によって起こった地震であるということを証明し、かつ、それに伴った圧力の変化というのを時系列的に観測することに成功いたしました。
 さらに、この地震に関連して、ゆっくり地震が多発していること、あるいはその後に起こった熊本の地震、あるいは過去に起こった3.11の地震など、遠地の大きな地震によってこの南海トラフ域が誘発された、ゆっくり地震がたくさん起こるというようなこともわかってまいりました。
 ゆっくり地震と、大地震との関係というのが今、議論されている最中でありますが、このような非常に微小な地殻変動を海底で観測できる、それがリアルタイムにモニタリングできるということで、将来の地殻変動観測に大きな一歩を記したというふうに考えております。
 次、めくっていただきまして、C0002と書いてある大きな絵がございます。これが現在掘削作業を行っているところですけれども、これまで行ってきました集大成といたしまして、C0002番という孔を現在掘削をしています。
 この孔は水深約2,000メートルのところから、既に3航海を使いまして3,000メートルまで掘りました。ですから、船から数えると約5,000メートルのところであります。
 この孔をさらに堀り増しをして、約2,000メーター強を掘って、この絵でいいますと赤いプレートの境界の断層のところまで到達するというのが、この集大成である航海です。航海番号でいいますと358という航海です。
 この部分は、右下のほうに漫画が描いてありますけれども、南海トラフのプレート境界で付加体が形成されるところであります。これはサイスミック断面の解釈図でありますけれども、水平に堆積した地層が、海溝軸を挟んで陸側にどんどんどんどん褶曲、あるいは断層を伴いながら張りつけられていく、これは付加体と申しますけれども、このような地層から成り立っていますから、実際我々が掘っているCの2番というところは、地層がほぼ垂直に立っているというようなことが掘削をして、初めてわかりました。非常にもろい地層であり、かつ複雑に変形しているということで、なかなか掘進できず、これまで3回の航海を使ってやってまいりました。
 それから、どういうふうにやるのかということで、次のページですけれども、本海洋開発分科会の提言ということで、平成26年8月にこのような御提言をいただきました。
 1、早期に巨大分岐断層/プレート境界断層接合部を掘り抜くことを目指す。
 2、そのために、超深度掘削は、連続する2会計年度内での完遂を目指す。さまざまな理由により、それ以上かかると見込まれる場合は一旦休止することを含め、技術進歩や社会情勢などを鑑みて決定する。
 3、掘削方法の選択に当たっては、計画案のそれぞれのリスクを徹底的に検証し、上記第2項の方針を考慮しながら、できるだけ成功確率の高い手段が選択されるよう、技術合理性に基づいた判断を行うというような御提言をいただきました。
 非常に難しい場所でありますので、これらはよく準備をして考えてやりなさいということであります。
 我々はもう一度この場所を見直しました。次のページです。
 非常にカラフルな絵になっておりますけれども、既存の3次元反射法地震波探査データを再解釈いたしまして、この場所をさらにイメージングをよくするということと、それからこの地層はどのぐらいのかたさを持っているのかということを推定いたしました。
 この断面図に色をかぶせたもので、ちょっと見にくくなっておりますけれども、Cの2番の、これから掘ろうとしているところの白く抜けている部分は、やや赤く着色しておりますけれども、ここにはやや伝搬速度の速い地層がここに存在するということがわかりました。
 つまり、平たく言うと、やや硬い地層が存在しているということで、プレート境界の上の部分にそういう地層があるということが、ここに恐らくプレート境界の沈み込んでいく、このあたりですと年間4から5センチメートルぐらいで沈み込んでいきますけれども、その分のひずみのエネルギーをこの硬い石でためているのではないだろうかという仮定に基づいて、この石を採取する、あるいはその下の断層帯まで行くという科学目的を再度確認したところです。
 次のページ、お願いいたします。掘削計画をつくり直しまして、そして、左下のところに赤い枠で囲ってありますけれども、これまでの経験したさまざまな困難さを克服するために、3つの新しい技術を導入することにいたしました。
 1つは、リアルタイムモニタリング。これは24時間、1週間に7日、ずっと船上及び陸上でリアルタイムに孔内の状況をモニタリングするということをしております。そして、陸上からも助言を船に与えられるように、国際チームを編成しています。
 2、適切な泥水の使用と比重のコントロールということで、泥水比重で基本的には孔内を安定化させますけれども、泥水も割れ目に細かく物質が入り込みふさぐような特殊な泥水を使いまして、崩壊を防ぐということを行っております。
 3、それから、拡張型ケーシングパイプの採用ということですけれども、これはエクスパンダブルケーシングというふうに英語で呼んでおりますけれども、細身のケーシング、鉄のパイプを入れて、設置をしてから径を膨らますと、鉄のパイプですけれども、膨らますことができます。本邦初の技術導入となりましたけれども、このような技術を導入して、なるべく崩れないようにする、崩れても早く保護するというやり方で、掘削計画を立て直し、実施いたしました。
 次のページ、見ていただきますと、もう一つ、懸念は自然状況ですけれども、海況は幸いにして非常に安定しております。黒潮は大蛇行中でありまして、現在も蛇行しております。平均流速ですと、おおよそ1ノット弱ということであります。
 それから、もう一つ懸念されていた台風ですけれども、10月から開始しておりますけれども、昨年中は約30個の台風が来ておりますけれども、そのうち10月以降の台風の軌跡をプロットすると、このようになっておりまして、我々の場所は全て回避されたというような結果になっております。
 次のページ、こういう複雑な地質構造に打ち勝つために、これまで掘った途中からケーシングにウィンドウをあけまして、そこから掘り始めています。結論としては、これまでに3孔掘りました。2番目に掘ったところで3,262.5メートル、海底下ですけれども、というのが科学掘削等記録としては一番深い孔に、今のところなっておりますけれども、この3孔は途中で、やはり非常にもろい、崩れやすい地層であったために、ずっとケーシングを入れるまでにキープできずに、崩れてしまったということで、もう一度、このウィンドウよりもさらに100メートル浅いところから掘り直しております。
 ちなみに、左側に円盤、お煎餅みたいな、たくさん並んでいるような絵がありますけれども、これは地層の状況をこれまでにとったデータで表しているのですが、水平ではなくて、ところによってはほぼ垂直に立ったような地層、あるいはそれが断層で切られているようなことを示しているわけですけれども、このような地層の状況であるところであります。
 次のページをめくっていただきますと、非常に高トルクでパイプを回すと、ひしゃげてしまったりだとか、人工ダイヤモンドのビットを使っていますけれども歯が欠けてしまったりとか、非常に硬かったり、脆かったり、崩れやすかったり、というところで、非常に困難をきわめております。
 次のページ、1月16日現在の状況ということですけれども、一番下で3孔掘りましたけれども、だめになったということで、またさらに100メーター上からRという番号がついている孔を掘り出しまして、1番目、2番目という孔を掘りました。1番目も崩れてしまい、Rの2番目のところまで掘って、やはりこの、今現在アタックしている周辺が非常に難しいということで、エクスパンダブルケーシングを入れることにいたしまして、R孔のところの入り口の部分、約60メートルをエクスパンダブルケーシングを設置いたしまして、それは完了しております。
 現在、このRの2を掘りますということで、若干まだ難儀しているところではございますが、この孔をさらに掘り進めていくという予定でおります。
 サイエンスの方については、岩石を削って、それが船上まで循環、泥水とともに上がって来る破片をカッティングスと呼んでおりますけれども、一個一個、丹念に調べておりまして、そこから現在の固さ、あるいは間隙率というのを測定しているところです。
 一番深く孔を掘ったところは、これまでよりもさらに200メートル深く掘っておりますので、そのデータだけを見ておりますと、間隙率は深さとともに、どんどん減っていく。つまり、次第に固くなっており、地震のエネルギーをためられるような石にどんどん変わっていくという傾向は見てとれるところであります。
 最後のページですけれども、今後の予定としては非常に難しい地層で、思ったようにはなかなか掘れていないというところが正直なところでございますけれども、時間のある限り、下のさらに深いところまで掘り増していくということで、今現在まさに戦っているところであります。同時に、カッティングスが上がってくれば、順次記載・分析を行い、ガスモニタリングも含め連続的に行っているところです。以上でございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。
 非常に大変な掘削で、サイドトラックの嵐みたいな、大変な掘削だと思いますけれども、特にコメントとして頑張ってくださいという以外のコメントは難しいかもしれませんけれども、何かございますか。
【藤井輝夫委員】  質問を1つだけいいですか。
【浦辺分科会長】  藤井輝夫委員。
【藤井輝夫委員】  今この一番深い部分の温度はどれぐらいになっているか、わかっていますか。
【倉本センター長】  5,200メーターくらいのところが、予想ですけれども150度です。今のところは、まだ100度未満です。
【藤井輝夫委員】  実際にはデータはとれてはいないですか。
【倉本センター長】  部分的にLWDをつけていますから、LWDでレジスティビティなどのデータをとっております。あとは、カッティングスのデータと、連続的には、あとはガスモニタリングをしております。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。谷委員。
【谷委員】  谷でございます。
 3,000から始めて5,200を狙うということで、今は3,200まで行った孔を諦めて、3,000ちょっと過ぎから掘り直す。まだ2,900幾らということですね、R2は。あと何日あるのですか。
【倉本センター長】  一応オペレーションは、最初に御報告したのは3月21日に帰ってくる予定で計画しております。
【谷委員】  10月に始められてもう3カ月たっていて、あと一月半ですよね。なので、急激に難しくなって、あれこれ試しておられる、苦闘されているようですけれども、多分5,200行かないですよね。このようなことを言っては何ですが、何となくそのような気がするのですが、まだ200ぐらいがいいところで、あと2,000残っていますから、これはどうされるのですか。その後、これは知らなかったんですけれども、26年ごろに難しいときはちょっと休んで考えると書いていますけれども、これに該当するということですか。
【倉本センター長】  いいえ。それは克服できると思って、今やることを許可いただいたわけですけれども、最初の計画よりももちろん遅れてはいますが、きょう現在のところではケーシングの枚数の見直し、それから、掘進率が前回は約1日で150メーターぐらいなのですけれども、同じ地層を掘ったとは考えているんですけれども、掘進率が上がれば5,200をマストでいけるかどうかというのは、今なかなかお答えにくいところですが、より深くはいけるだろうというふうに思っています。ですので、今のところ、そういう大きな計画変更をするという判断はしていません。
【谷委員】  拡張型のケーシングを設置されて、これで何か新しい展開があるというふうな望みはあるのでしょうか。
【倉本センター長】  この最初の本孔のところからすっぽり入れていくところが非常に崩れやすい地層であるということで、非常に短い、最初は700メーターぐらい掘ってから入れようと思っていたんですけれども、それを変更いたしまして、今は拡張型ケーシングパイプを設置いたしました。
 そこまでは終わっているのですが、そこからまだちょっと先に進んでいないというのが現状です。
【谷委員】  とにかく目いっぱい頑張っていただきたいと思いますが、先程の2番のところがケーシングされるわけじゃなくて、行くところまで行くという。
【倉本センター長】  はい。そこは研究者とも相談しておりまして、より深ければより深いだけ新しい事実がわかるはずだと。と言いますも、伝搬速度の図をお見せいたしましたけれども、どこかで急に変わるわけではなくて、恐らく徐々に変わってくる。それが既に誰も到達したことない深さまで掘っていますので、常にどんどん新しいデータが更新されてくるはずだと。
 ですから、時間と、もちろん予算もありますけれども、許す限り、深くまで行って、LWDのデータ、そして試料を取り出すということをしてほしいという希望は受けております。
【谷委員】  はい。承りました。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 少し時間も迫っておりますもので、次の議題に移りたいと思います。
 この次の4と5は、先ほど申しましたように、審議事項でございます。
 議題4、「海洋資源利用促進技術開発プログラム 海洋鉱物資源広域探査システム開発」の事後評価という議題に移ります。
 この事後評価の中で、かかわっておられます阪口委員、それから浦委員、それから藤井輝夫委員の3名の委員の方は、所属機関がこのプロジェクトに参画しておられるということで、参考資料7、平成30年度海洋開発分科会における評価の実施についての4の留意事項1、利益相反事由に該当するため、評価には関わらないということでお願いしたいと思います。利益相反に該当する方はほかには多分いらっしゃらないと思いますが、念のため、いらっしゃればお知らせ下さい。
 そうしましたら、その3名の委員におかれましては、恐れ入りますけれども、本評価には参画しないということにさせていただき、資料に関して、事務局より説明をお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
 資料4に基づきまして、御説明させていただきます。
 1ページめくっていただいて、本課題の実施期間および評価の実施時期につきましては、平成25年から29年度、課題の実施期間となっておりまして、事前評価を平成24年9月、中間評価を平成28年6月、本日、事後評価を行っていただくものになっております。
 2ポツ、課題の概要・目的ですけれども、我が国の周辺海域には、海底熱水鉱床やコバルトリッチクラスト等の多様な海洋鉱物資源が存在するものの、これらの商業的採鉱を実現するためには、広域にわたる資源の正確な分布及び量の把握が必要であり、このため、海底熱水鉱床等の海洋鉱物資源が存在する可能性を有する水深3,000メートルまでの海域を対象に、有効な既存技術も組み合わせて、新たな海洋鉱物資源を探査する技術及びその資源量・分布・品位を評価する技術の開発を行い、広域の探査、資源量の評価を行うシステムを開発・実用化するという目的で事業を実施しております。
 2ページ目、予算の変遷を御覧ください。
 総額25.3億円を予算として計上して執行しております。5ポツの課題実施機関・体制にございますように、東大生産研の浅田先生を研究代表者として、中核機関、東京大学、それから分担機関が、掲げられているような分担機関で課題を実施いたしました。
 テーマ構成につきましては、下の絵にあるように、総括を東大が行い、フロア計測を東大、京大、九工大、JAMSTEC、サブボトム計測を東大、京大、九工大、早大、防災科研、地科研、ウオーターカラム計測を東大、海洋大、高知大が実施いたしました。
 そういう背景で、事後評価といたしましては、3ページ目からにございます。課題名、研究開発計画との関係については、御覧いただいて、4ページ目の評価結果を御説明させていただきます。課題の達成状況につきまして、必要性、有効性、効率性の観点から、フォーマットに基づき、評価をさせていただいております。
 まず、国費を用いた研究開発としての意義といたしましては、資源の乏しい我が国において、その海洋資源の状況を把握することが重要であるということと、海洋基本計画においても経済安全保障に貢献するということが書かれております。
 一方で、海洋資源の効率的な開発・確保のために必要な探査システムは確立されておらず、また、海中における探査技術開発には多大なコストがかかり、直ちに民間企業の参入が見込めないため、これを目指す本事業を国費を用いた研究開発として迅速に実施したことは意義が大きいものと評価できるとさせていただいております。
 科学的・技術的意義といたしましても、先端的なセンサー等を対象といたしまして、大学等が有する革新的な技術を用いて先導的なシステムが構築されており、将来的にも汎用的な技術へと発展性が期待できる。社会的・経済的意義につきましても、必要な技術を開発したことに加えて、得られた成果を民間企業等へ技術移転を行っており、今後重要性が増す海洋資源開発を行う民間企業との産業競争力強化に貢献することが期待できるという評価をさせていただいております。
 有効性の観点におきましても、実用化・事業化への貢献といたしまして、JOGMECや内閣府のSIPの事業に活用されるとともに、成果の一部が市販化も実現されております。これにつきましては、参考資料のほうで、一番最後に具体的な例を挙げさせていただいております。
 本日は、お休みの廣川委員からコメントをいただいておりますけれども、申し訳ございません、2のJOGMECの正規名称が間違っております。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の事業におきまして、下の2つは実際今まだ活用実績はないということで、こちらは参考資料ですけれども、訂正させていただければと思います。
 4ページ目、戻っていただきまして、見込まれる効果や波及効果等におきましても、取得したデータ、科学的知見等を経済産業省に提供することにより、国を挙げての効率的な海洋資源開発が加速し、ひいては我が国における鉱物資源の安定供給体制の構築等に貢献することが期待できるとさせていただいております。
 5ページ目にいっておりますけれども、人材の養成につきましても、中核機関、分担機関である各大学におきまして、多数の大学生及び大学院生が本研究課題にかかわり、修士号・博士号を取得しており、今後の海洋科学技術人材になることが期待できるという評価をさせていただいております。
 効率性の項目に移ります。本事業の具体的取り組みを検討するに当たっては、本海洋開発分科会のもとに海洋鉱物委員会を設置し、十分な議論を行い、公募による研究課題の採択に当たりましては、外部有識者から構成される外部評価委員会において妥当性を審査し、その後も事業が適切に運営され、所要の目的が達せられたかについて評価を行っていただいております。
 また、本事業の推進に当たりましては、中核機関である東京大学において、浅田先生のもと、研究開発課題の円滑な推進、運営管理に必要な連絡調整を行うために、研究者、外部有識者、プログラムディレクターで構成される委員会を開催し、妥当性等を議論しながら事業を進めていただいております。
 以上のような観点からの評価を踏まえ、総合評価といたしましては、本事業ではフロア計測、サブボトム観測、ウオーターカラム観測の3テーマを構成し、各テーマにおいて海洋鉱物資源の探査に必要な研究開発を行い、各技術を組み合わせた探査手法の開発を図った。資源の量・分布・品位を評価するための集中的、効率的な広域探査を実施した結果、研究開発したセンサー及び観測技術の実用性、有効性が示された。また、取得したデータの複合的、統合的な解析を行い、その結果を資源の探査技術、評価技術にフィードバックすることで、探査エリアの選択を可能とする実用的、効率的な広域探査システムを構築したという総合評価をさせていただいております。
 民間企業等への技術移転につきましても、SIP等における本事業の成果の活用に向けた連携協力、技術移転セミナー及び研究成果発表シンポジウムの開催等に積極的に取り組んだという評価をさせていただいております。
 評価概要につきましても、結論といたしましては6ページにありますように、事業全体として所期の計画以上の取り組みが行われ、十分な成果と技術移転の取り組みが認められるという評価にさせていただいています。
 最後に、今後の展望ですけれども、既にJOGMECの探査事業や内閣府SIP等における活用は進んでおりますけれども、これが一層加速化することを期待する。また、鉱物資源のみならず、海洋エネルギー資源や河川土木、活断層・地盤調査、地球物理探査など他分野においても活用されることも期待できる。本事業には、前身の基盤ツールから考えると、10年間にわたりまして日本全国の大学等が結集して取り組まれてきております。本事業を通じて長年積み上げられた知見や構築されてきたコミュニティーが、今後も有効に活用されることが望まれる、という評価とさせていただいております。
 以上です。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対して、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。石田委員。
【石田委員】  石田でございます。
 我々も海洋技術調査協会を通じまして、SIPで成果を委員会の移転ということでいただきまして、大変ありがたく思っております。非常に、外洋を調査というのはなかなか市場性がなかったもので、技術の開発ができなかったのですけれども、広く広がったということで感謝しております。
 1つ、これを見ていて疑問に思ったのですけれども、4ページと6ページ、6ページのほうでいいのですが、「成果の一部の市販化を実現した」というのは、どういうことなのでしょうか。こういう研究開発で行ったものを販売するというのは問題にならないのかなというふうに感じたのですけれども、お願いします。
【事務局】  ありがとうございます。
 具体的な事例といたしましては、先ほどの参考資料の下にあるように、分担研究者である高知大学の岡村先生が大学発ベンチャーを起業いたしまして、そこのペーハーセンサーなどをカタログ商品化して販売しているというのが事実関係でございます。
 国の研究開発予算を用いて得たものを市販化することが問題かということにつきましては、恐らく公募要領等に基づいて、その事業の趣旨に照らして、問題ないということで、このような市販化がされているものと考えております。
【中川委員】  日立、中川ですけれども、こういう国家プロジェクトの成果を民間企業でも商品化する場合がございますが、それに関しましては、日本版バイドール法というのがございましたので、基本的にはそのルールを守ればもとより問題がない。特に書いてはございませんが、恐らくそこら辺はチェックされているかと思います。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 実際には、この研究開発課題の目標という中に、出口戦略というのを達成しなさいという、この課題独特の目標が掲げられているので、むしろこの市販化というのは推進されているというか、そういうことを目指しなさいというふうに書かれている。単なる基礎研究の場合にはそこまで書かないと思いますけれども、ここの場合は書かれていたという理解だと思います。
【事務局】  公募要領を確認しましたところ、確かに研究開発成果の取り扱いのところで、その帰属は日本版バイドール法に基づく一定の要件のもとで、中核機関に帰属させることができるということと、高知大学が分担機関なのですが、分担機関がある場合には、その各分担機関とあらかじめ取り決めておいてくださいといったことが最初に決められて、それに基づいてなされているものとなっております。
【浦辺分科会長】  ほかにいかがでしょうか。谷委員。
【谷委員】  拝見して適切にまとめられているというふうに感じました。これは評価に関係はございませんが、私、様々な個別の調査を見てきて、今回はすごくうまくやっておられたなというふうに思っております。
 それから、岡村先生の事業ですが、儲かっているのかどうかは知りませんけれども、すごく良いチャレンジをされているなというふうに思いました。
 これは個人的な感想でございますが、以上です。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。
 ほかに。よろしいですね。
 この資料4の中に、例えば評価はAであるとか、Bであるとかということを書かれていないのですが、これはどういう理由からでしょうか。何か数字でそういうのはあらわさなくていいのでしょうか。
【事務局】  参考資料3に評価のやり方について記載してございまして、今回、事後評価でございます。その事後評価の評価フォーマットはこの分科会でも7月のときに御議論いただきましたけれども、他の文科省の分科会等、ほかの委員会でも同様のやり方になってございますが、この事後評価に当たりましては、S、A、B、Cとかそういう評定をつけるものではなく、このフォーマットに従いまして、必要性、有効性、効率性の観点から評価して、総合評価を加えるという方法をとるということになってございますので、それに従ってやってございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、今のところ修正意見というのは特に出ておりませんが、この資料4の形で、事後評価というのをまとめてよろしいでしょうか。これは、実際には評価委員会をつくって、この中にも何人かの委員の方が参画されて、私もその一人なのですけれども、そこでその原案をつくり、ここで了承をするという形になるわけです。それで、特に変更がなければ、この本案をもって当分科会としての決定としたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
【田中委員】  異議ございません。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。それでは、そういう決定としたいと思います。それでは、2つ目の審議事項に移ります。議題の5、海洋科学技術に係る研究開発計画の改訂について、事務局より御説明をお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
 資料5-1と5-2に基づいて、御説明させていただきます。
 実際に、この改訂案、見え消し版となっているものにつきましては、昨年5月の本分科会において御議論いただいたものになっております。2点だけ追加で御説明させていただきます。
 赤字の部分は何も変わっておりませんけれども、22ページにおきまして、基本的には昨年5月に閣議決定されました第3期海洋基本計画に基づき、必要な修正をしておりましたが、先ほど浦先生からも御指摘いただきましたが、JAMSTECでは海域火山について取り組んでいくことにしておりますので、その記載をさせていただいております。これらの知見につきましては、先ほどの浦先生の御意見も踏まえて、しっかりと政策的な議論に反映させる仕組みを考えていきたいというふうに考えております。見え消し版につきましては、修正点はこの点、1点になります。
 資料5-2の溶け込み版におきまして、最後の別添を御覧いただければと思います。
 前回、5月の海洋開発分科会におきましても、この研究開発計画のフォローアップについて御議論いただきました。背景に書かれておりますように、この研究開発計画は本海洋開発分科会におきまして、科学技術基本計画を踏まえて策定いただきました。その後、海洋基本法の10年の総括ということで、第3期海洋基本計画が策定されまして、改訂をさせていただいているところでございます。
 昨年5月からの状況変化といたしましては、海洋基本計画におきまして、そのフォローアップの仕組みを検討している中で、1ポツ、背景の一番最後のところに書かせていただいておりますけれども、工程表というものが作成・公表されておりまして、その各施策の進捗状況等を踏まえた評価を行っていくことが決定いたしました。
 この決定を踏まえまして、2ポツ、方針にありますように、この研究開発計画の工程管理につきましては、第3期海洋基本計画の工程管理の一部として行われるこの工程表に基づき実施することとさせていただければというふうに提案させていただきたいと考えております。
 具体的には、参考資料6に、昨年10月に作成・公表されております第3期海洋基本計画に基づく工程表というものを配付させていただいております。後ろの22ページより後ろのところに、また新たに1ページ、2ページとなっておりますけれども、指標のリストがついております。ここから抜粋させていただいているものが、研究開発計画の別添のところの最終ページに書かせていただいておりますけれども、この研究開発計画で進捗管理をするための指標として設定させていただいていたものと、海洋基本計画の工程表において設定されている指標が重複していることもございまして、先ほどのような方針でトランプをさせていただければというふうに考えております。私からは以上になります。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。仕組みがちょっと複雑ですので、わかりにくかったとは思いますけれども、この海洋科学技術に係る研究開発計画というのは、計画の内容や評価を行うためのアウトカム目標・アウトプット目標も含めこの分科会にて議論し、了承したわけです。
 その後、第3期海洋基本計画が発表されて、その第3期基本計画に附属して、参考資料6にあるような工程表が作られ、非常に細かく指標というのが書かれているわけです。
 例えば、参考資料6の後ろのほうの2ページみたいなところにあるものの一番上を、1ページ、2ページを見ますと、一番上を見ると、指標に、これは文科省ではないかもしれませんけれども、例えばその指標に「艦艇及び航空機の着実な整備」というのが書かれていますけれども、これに類するものが文科省の中にあるわけですね。
【事務局】  指標のリストにおきましては、8ページというところに、施策群30、施策群31というのがございまして、例えば、海洋調査の実施件数や査読つき論文数などを指標として具体的にフォローアップの対象になっているということが見てとれるかと思います。
【浦辺分科会長】  そうですね。この9ページですね。
 一番右の端に指標が並んでおり、細かなことが詳しく書いてありますので、海洋科学技術に係る研究開発計画の目標をチェックするということは重要なのですが、実際には、この第3期海洋基本計画のこの指標がチェックされるので、それをもって、ここでつくった海洋科学技術に係る研究開発計画の達成のかわりにしよう。評価を2回リダンダンシーで繰り返さずに、第3期海洋基本計画の工程表に書いてある指標のほうを評価の基準にしてはどうかという、そういうことになります。
 それが別添に書かれていたことで、別添の1、背景の一番最後に「内閣府総合海洋政策本部参与会議において別途「工程表」が作成・公表されており、各施策の進捗状況等を踏まえた自己評価や概算要求内容、取組の見直し等が反映され、必要に応じて毎年度改訂されること」になったので、それを進捗状況の自己評価に使う。私の考えた理解ではそういうことになっているわけですが、それでよろしいかという審議事項になっています。
 中川委員、お願いします。
【中川委員】  質問なのですけれども、今の御説明で、施策群30と31が海洋基本計画の指標でした。もともと、この別添の裏にあります、研究開発計画の各種アウトプット指標というのがございましたけれども、こちらの5-2のほうの一番後ろの紙です。
 これを見ますと、先ほどの参考資料6の8ページの施策群30、31に書いてある内容と、この別添の裏にあるアウトプット指標で、ちょっとかぶっている部分は。例えば論文発表数とか、調査件数というのは一緒ですけれども、データ数とか、質の向上というのは、全然こっちの施策群30とか31には書かれていないように見えるので、これに変えますというのは、つまり、施策群30、31に変えるんですということで、何かある指標が落ちているような気がするんですけれども、これに関しては扱いがどうなるのでしょうか。
【事務局】  データのところにつきましては、30の海洋調査結果等のこの情報共有システムへの掲載等というところで拾うことができると考えておるんですけれども、拾えないものがほかにあれば、それは別途する必要がある。
【中川委員】  提供といったものまで入っていたと思うので、DIASに入れましたというだけではなくて、それを提供しましたというところは完全に抜け落ちているかなと思うんですが。
 書いてありますか、それは、こっちには。書いてあるんですか。
【浦辺分科会長】  資料5-2のほうの1の真ん中にある「国内外の関係機関への提供実績」と、それがあるかということですね。
【事務局】  まず、基本は工程表で拾えるものは最大限拾うということと、あと中核的な機関であるJAMSTECの機関評価も行っておりますけれども、そういった中で補足的に必要なものは評価するということにさせていただければと思うのですが、具体的に、この「DIASに格納されたデータ・情報の数」というところがフォローできるかという問題につきましては、どこかの指標の評価の中では見ていくということにしたいというふうに考えております。
【浦辺分科会長】  藤井輝夫委員。
【藤井輝夫委員】  今の話は、このAというアウトプット指標と、工程表の施策群の話で、この情報共有システムへの掲載ということが、ある種データの提供みたいなことに対応しているという、そういう理解なのでしょうか。つまり、施策群のほうは一応、「海洋状況表示システム等情報共有システムへの掲載等」というのがあるので、その「等」の中には、例えばDIASとか、そういうものも含まれているという、そういう理解でよろしいのかどうかですね。
【事務局】  ありがとうございます。
 今、例示したものがあえてわかりづらいものを例示してしまったかもしれないのですが、左側にあるものと右側にあるものは、基本的には同じものを拾えるだろうと思ったものを例示として挙げさせていただいています。
 ですので、「等」の例示に、海洋のこの情報共有システムしか書いていないのですが、DIASへの提供状況等も把握するということで、させていただきたいと思います。
【浦辺分科会長】  中川委員、よろしいですか。
【中川委員】  余りよくわからないのですが、先ほどの、その指標30、31の上に、MDAの話が書いてあって、そこの中には国際協力機関という、国際的観測情報の共有の枠組み等々が指標として示されておりますので、例えばDIASなどの情報に関しては、こういうところでカウントされるのでしょうか。先ほどの御説明でいうと、ほかのところでカバーというのは、ほかの指標でカバーということだったのかと、勝手に理解をしておりましたが、正しいですか。
【事務局】  結果的にフォローしないということがないようにさせていただきたいと思っています。この「等」の中で、まずは読めると思って、今ここを例示させていただいているというのがこの施策群30を提示したということなのですが、ほかのところで読めるものがあれば、そちらでやりたいというふうに思います。
【浦辺分科会長】  窪川委員。
【窪川委員】  窪川です。
 ここの工程表のところの、実施等にかかわる主な予算措置等としてある、文科省の予算として計上してあるもの、まだ概算ですけれども、に関して、今の例示というか、これが対応するという意味でいいのでしょうか。要するに、評価するときに予算等をいただいているというのがちょっと。全然言っていることが間違っているかもしれない。理解が芳しくないのですけれども。
【事務局】  ありがとうございます。
 正確に御趣旨を把握できないかもしれませんけれども、施策のところの予算が書かれているものは、主要な施策のものを列挙させていただいておりまして、結果的な、その評価をするときは、この施策にかかわらず、ここに載っているもの以外でも評価の対象にはなります。
【浦辺分科会長】  ほかにございますか。
 今、各委員から出てきている御意見としては、100%、本当に一致していない場合に、これによって抜けが発生しないかということだと思います。
 実際には、事務局のほうで相当詳しい対比表というのをつくっておられると思うので、それについて、そこをもう一度見直していただいて、抜けがないように、結果的に評価が抜けてしまうことがないように気をつけていただく。もう一度その対比を確認していただくということにしたいと思いますが、それ以外に何かこの方針に関して御意見がございますでしょうか。 中田委員。
【中田委員】  中田です。
 よく理解できていないので意味がないかもしれないので、確認ですけれども、結局、ここで今しっかりと整理をしたものに関して、毎年、工程管理をすれば、とにかく海洋基本計画も、それから、あと研究開発計画のほうもフォローできるという仕組みにするということですよね。
【事務局】  おっしゃるとおりです。
【中田委員】  ありがとうございます。
【浦辺分科会長】  恐らくこの第3期海洋基本計画で、こういった指標をつくって、それをしっかりと各省にこの報告を出させるというのは、第3期になって初めてなので、恐らく相当、実際の中では混乱が発生する可能性もあるかなというふうに思いますし、また、そういうものを出されたときに、総合海洋政策本部の参与会議のもとで、それを一々チェックできるのかなとか、そこら辺の体制も今後の課題だと思いますので、まだ先行き100%固まっているわけではないような感じが個人的にはします。ただ、こういう作業を二重に、ダブルでやるのは余りにも大変なので、そこは柔軟に、第3期の海洋基本計画に合うようにフォーマットしてつくっていって、それをうまく海洋科学技術に係る研究開発計画の自己評価にも生かしていくというような形でやっていただければいいのかなというふうに思っていますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
【谷委員】  結構だと思います。
【浦辺分科会長】  それでは、これも先ほどの、あの注意書きは少しあるとして、本案をもって当分科会の決定ということにしたいのですが、御異議ございませんか。では、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、最後にまだ今20分ちょっとぐらい時間がありますので、最後に委員の皆様から一言ずつ言っていただくということで。
【石田委員】  石田です。余り活躍できなかったのですけれども、皆さん、どうもありがとうございました。私から一言ということで、一番思っているのが、例えばこの今回の改訂版、資料5-2の10ページのところで、大目標で、その最後にある中目標の中に「開発・利用と保全を基本とする我が国の考え方を適切に反映させつつ、海洋環境保全に積極的に貢献していく」という海洋基本計画にあって、海洋保全のための研究というのがやられているのかな。開発のための研究というのはすごく積極的にやってられているのですが、保全のための研究というのが、もっとやったほうが良いのではないか。
 私は環境アセスの会社でずっとアセスメントをやっていたのですが、アセスメントのときも事前調査して、そこが開発されたときの影響を予測して、影響が出ないように保全を講じて建設するというのはみなさんよくするのですが、そのモニタリングも1年か2年ぐらいで、その保全策がしっかりと機能したのかどうかというのは、長いこと見ていない場合が多くて、私がやっていて思ったのは、予測評価して、だから大丈夫というよりも、ずっとモニタリングして、それが自然破壊が起きていないか。起きた場合にはしっかりと保全するということのほうが大切なような気がして、ここの一文で保全策を検討していくということの研究とか、そのためにモニタリングを継続していく、何か自然にアタックしたとき、その後の変化がどうなっていくか、予想どおりになったか、ならないのか。ならなかった場合には、こうしようというところの研究をしたほうが良いのではないかと常々思っておりまして、そのようなところを今後やっていくというものが、特にSDGsでいろいろ考えている中で、これは本当にやろうと思ったら大変なことで、そういうようなことをやっていかなければできないのではないかと思っております。以上です。
【宇都委員】  海上技術安全研究所の宇都です。
 今回初めて参加させていただいて、どれだけ貢献できたかなというのが非常に心配なところでございますけれども、やはり研究開発成果の社会実装というのが、私どもの研究所でもかなり強く求められておりまして、文部科学省様の色々な技術開発の中でどういうふうに社会実装を目指してやられているのかというところに一番興味がございました。
 本日のベンチャーで市販するお話とか、そういう形でかなりサイエンスの世界でもそういう社会実装をかなり意識してやられているということを感じましたし、今後もやはりそういうところを強調して考えていただければいいかなというふうに考えてございます。以上です。
【浦委員】  浦でございます。
 先ほどコメントはできなかったこの海洋資源利用促進プログラムですが、このプログラムがスタートしたとき、この海洋の基本的な技術というのは、実はJAMSTECが中心になって行われていて、日本の大学における、特に工学分野における機器開発が極めてプアーであり、きちんとカバーしないことには、次の、大抵全ての計測機器は買い物ですよということにしかならないから、これを何とかカバーしようということで、10年前にスタートしたものですが、それは極めて成功した、先ほど聞いていてうれしいなと思いました。
 しかしながら、問題は10年前に持った認識、つまり、機器開発に参加する大学が少ないということについて、これでやめてしまったらもう終わってしまう、大学における新たな機器開発はもうないということになってしまうのですが、このプログラムの継続がうまくなされていないということは非常に残念ですし、私もこの委員の一人として、それができなかったことは非常に残念だと思います。
 それが今年度からですか、細々とやられているという言い方をしたら失礼かもしれませんが、実はJAMSTECを中心にしてやられていて、最初申し上げましたように、大学のその工学系のポテンシャルを上げようという努力という方針のもとでないということは全く残念なこと。ぜひ来年度から、新しいプログラムを立ち上げてほしいというふうに思います。
【窪川委員】  窪川です。
 私は専門が海洋生物学と海洋教育ということで、海洋開発分科会でどう貢献できているかというのはよくわからなかったのですが、大変勉強させていただきまして、今、浦先生の力強い発言で何を言おうとしていたか、こっちのほうが何か聞きほれてしまって、そうだ、そうだと思っていたのですが、きょうは「ちきゅう」の成果のお話がありましたが、基本的に海底、地層を見るというところから始まって、全ての技術がそこに投入されている、JAMSTECの世界先端技術をたくさん「ちきゅう」に搭載していますけれども、その見るというところからそこが始まっていて、開発するという、その流れが何か全体的に海洋科学のところに途切れそうな感覚を今持っているところがあるので、やっぱりその科学、サイエンスのところをしっかりと押さえていく、押さえているのですが、そうなのだというところを声を大にしていくことが大事なのかなというのは最近思っています。
 以上です。
【阪口委員】  JAMSTECの阪口です。
 去年の4月から参画させていただきまして、いつも針のむしろになるのではないかと、冷や冷やしながら、ずっと座っておりました。
 JAMSTEC、ちょっとよれよれの部分も確かにありまして、余り偉そうな顔をできる状況にない部分もたくさんあります。と申しますのも、何度も何度もこの中でも指摘されましたように、やはりちょっとファシリティーにかける予算が大き過ぎて、人件費が全く足りずに、人をどんどん減らしていかなければいけないという悪循環に陥っているというのが現状です。
 ただし、批判的なことばかり考えていても何もプラスになりません。そこで、やっぱり国立研究開発法人の大きなミッションの一つとしては、先ほど浦先生がその大学における機器開発をもっと重点にされるべきだと、私も全くそのとおりだと思います。
 というのは、大学で若い学生さんから即戦力になる世代を育てていただいて、それを国立研究開発法人でしばらく預かって、さらなる実戦力を身につけて、こういう集まりの中で多種多様な業種の方が集まっておられますので、JAMSTECで人生を終えるのではなく、実戦力を身につけた人がまた大学に帰ったり、民間に行ったり、行政に行ったり、色々なところで活躍できる人材を育てるというのも、国立研究開発法人の一つのミッションでありますので、今後とも皆さんと議論していただく中で、そういう人を、海洋科学技術に関する人材をいかに育てるかということをオールジャパンで取り組んでいきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【谷委員】  谷でございます。
 2点申し上げます。1つ目は、私はGEBCOというところで海底地形図をつくることをしておりますが、最近、先ほど御紹介ありましたShell Ocean Discovery XPRIZEというので、海底地形を詳細にはかるというところがフォーカスされていて、ありがたいなと思っています。
 それから、日本財団の御尽力で、Seabed2030というプロジェクトが始まって、まだ世界の海はほとんど実は測られていないので、これが少しでもわかることで、色々な科学とか産業に資するといいなと思ってきているのですが、余り海底地形の話が出なかったので、残念でした。それが1点目。
 それから、2点目を申し上げます。海洋政策推進本部があって、海洋開発分科会があって、ちょっとその役割分担というのが、海洋開発分科会が文科大臣の外に出られないので、かゆいところがあるわけですけれども、ここでいろいろ議論させていただいている中身というのが、そこでとどまらずに、後につながるかなというのはいつも意識しながら見ておりました。先ほど人材の話ございましたけれども、これで若い層が厚くなるかなとか、あるいはこれで産業が勃興する可能性があるかなということを見ておきたいなと思うのですが、そうじゃないところで議論がとまっちゃうと、つまらないかなというふうに思いました。以上です。
【津田委員】  大気海洋研究所の津田です。
 4年間本当にいい勉強をさせていただきました。ありがとうございます。
 2つ申し上げたいと思います。1つは、やっぱり海洋というものが今すごく大きな変換点に来ているというふうに感じています。それは地球環境という意味が1点。それから、もう一つはやはり中国の進出や国際海洋法がいろいろできているということで、先進国としての、または太平洋、または多くの海に囲まれた日本のグローバルな役割というのは非常に大きい。その中で、やっぱり我々は過去の慣性力にとらわれることなく、新しいチャレンジをし続けなければいけない。それは日本全体でもそうですし、この分科会もそうなのではないかなというふうに感じます。それが1点。
 それから、もう1点、これも注文になってしまうのですが、やはりここから出ていく予算というのが技術開発というところにすごく縛られているということを感じます。
 きょうも予算の話ありましたけれども、やはり全て開発、開発、技術開発ということになっているんですが、例えばその成果というものを見てみると、これも例を出して申しわけないのですが、JAMSTECの評価というのがあって、その成果のところはほとんど科学的知見とか、データとかということになっているんですね。
 やはりそこに大きなギャップがあって、もっと科学的知見ということを真っ正面から取り組んでいただいてもいいのではないかということを考えます。決してこれは技術開発を否定するものではないのですが、そうすると、多くのアカデミズムの勢力を取り込んで、より大きな勢力になるのではないかというふうに4年間感じておりました。以上です。
【浦辺分科会長】  浦辺でございます。
 この海洋開発分科会に関わって、私はもうこれで卒業ということでございますけれども、本当に皆様の御議論を非常に楽しむことができました。また、その海洋科学技術に関わる研究開発計画をつくったり、それから第3期の海洋基本計画の議論をしたり、今期は非常に議論をたくさんして、色々なことをやる機会に恵まれて、非常に私自身も勉強させていただいて、非常に各界から出てきているすぐれた委員の皆様方の御意見を聞けて、本当にうれしかったと思います。また、将来のことですけれども、ぜひこういうふうな議論がきちっとされて、それが行政に反映されていくということを祈りたいと思います。どうも本当にありがとうございました。
【中川委員】  日立の中川です。
 私は情報系しかやってこなかったので、こういう海洋工学とか海洋環境の研究というのが非常に幅広い分野で、生物・地質・エネルギーですとか、あるいは運輸系だとか、非常に幅広い分野においてデータが蓄積されつつある状況だということを理解いたしました。
 弊社も北海道大学と共同でラボを設置いたしまして、極域の研究ですとか、あるいは漁業IoTみたいなところに取り組んでおりますが、まだまだ売り上げとかに貢献するようなレベルには至っておらず、そういう意味でも産業系、先ほども御意見ありましたけれども、ここで開発されている技術というものも産業競争力に生かしていけるように、弊社の中でも少しずつ啓蒙活動を進めていきたいと考えております。今までいろいろ勉強させていただいて、ありがとうございました。
【中田委員】  水産研究・教育機構の中田でございます。
 水産という応用の部分で出てきておりましたので、ここで議論されて、色々な技術開発の種の話を聞いて、自分たちの分野でどう生かしていけるのか、そういうところで常に頭を動かしながら、わくわくしながら聞いていました。
 特に、この期の初めのときに、今後どういう研究を皆で力を入れていくのだろうかという議論をした覚えがあって、そのときに私も含めて専門ではない先生方からゲノムの話というのがこれからすごく重要になるよという議論をした覚えがあります。
 それが結構ずっと文科省関係の色々な事業、あるいはCREST、色々なものでつながってきていて、これからさらに、今までは種類だったけれども、量につながるようなデータが得られるようにとか、そういう技術開発がつながっていくといいなと、個人的には期待しています。
 それと、水産ってどちらかというとクラシックな部分からすると、新しいものに加えて、続けていくということが非常に重要になってきます。新しい技術開発を行うということは非常に重要なわけですけれども、まだまだ船を使いながらそれを続けていくという部分があるので、その部分が維持されるということを望んでいます。
 以上です。
【西村委員】  東京大学の西村です。
 私は専門が国際法でございまして、中でも海洋法を勉強しています。科学的な知見に関しては門外漢で貢献できず申し訳ありませんでしたが、国際的な場では、先ほどどなたかからもありましたけれども、生態系や生物多様性などに関するルールづくりがこれからも続いていくことが予想されます。
 そのときに、もちろん効果的に環境を保全するルールをつくっていく必要があるわけですが、それが余りに行き過ぎて、海洋における諸活動が著しく阻害されないよう、不合理的なルールにならないように、科学界から客観的な議論のベースを提供していただく必要性を感じております。ルールづくりの場を見ておりますと、具体的な海洋活動の実態とは離れて、交渉の流れで結論が左右されてしまうこともあるため、客観的なデータや知見のインプットの側面において科学界との協働の必要性を感じます。どうもありがとうございました。
【平田委員】  東京大学地震研究所の平田でございます。
 私は、実は測地学分科会とここの海洋開発分科会と両方に委員として参加させていただいておりまして、海洋由来の自然災害への防災・減災というところで意見を述べさせていただきました。南海トラフの大地震に対しての対応というところで議論を深められて、この計画の中にもきちんと書き込んでいただきまして、大変ありがたいと思います。
 来年度の予算についても、南海トラフの海底ケーブルについて、格段の御配慮をいただいているというふうに聞いておりますので、ここでの議論は非常に実りの多いものだったと思います。
 きょう最後にびっくりしたのですが、海底火山についてもわざわざ特記していただいたというところは、やはり自然災害は海の中で発生することが多いからだと思いました。日本では地震や火山が多いというところも重要でございますので、ここの点についても大変感謝しています。ありがとうございました。
【藤井輝夫委員】  私は2年強ぐらい関わらせていただき、この間ずっと申し上げてきたことですが、きょうのお話、例えば開発計画でも、Society 5.0とか将来のイノベーション創出に向けたような、ある種のキーワードが出てきているわけなのですが、この海洋分野としてそういうものに対する具体的なイメージがまだ湧いていない部分があるように感じます。ですが、それは嘆く必要はなくて、何名かの先生がおっしゃいましたけれども、海洋の分野というのは非常に多岐にわたる技術なり知見が役に立つ分野であり、特に日本の場合は、大学のみならず、企業も含めて非常に高いレベルの技術があるわけでありまして、これをどういうふうに引っ張り出して海の分野に使っていくかというのが、一番大事なポイントだというふうに考えております。
 そういう意味でのシーズを引き出す一つの試みが、先ほどの期末評価の話が出てきたプロジェクトだったと思うのですが、これが10年間続いてきて、ある意味ポテンシャルのある技術が出てきたというところだと思うのですけれども、まさに今後はもっともっと引き出していって、そのSociety 5.0、あるいはそのイノベーションというもののイメージをきちっとつくっていって、そのことがある種、一つはサイエンスの中での新しいブレークスルーにもつながることは期待できるでしょうし、それから、いわゆる海洋開発という意味にも貢献するということでつながるのではないかなと思っております。そういう意味で、ここまで非常に実りのある議論をさせていただきましたし、今後もそういう形でぜひ検討が続くことを祈っております。以上でございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 本当に皆さんの御意見の中に、将来のその課題というものがすごくよく明確に語られたと思います。また最後は藤井委員にまとめていただきまして、もうつけ加えることはないと思います。
 これをもちまして、本日の議題は全て終了ということで、続きまして、事務局を代表して、海洋地球課長の福井課長から御挨拶をお願いしたいと思います。
【福井海洋地球課長】  ありがとうございます。座らせていただきます。
 御紹介ありましたように、本日の午前中に辞令いただきました、福井でございます。よろしくお願いします。
 きょうは初日でございますけれども、第9期の科学技術・学術審議会海洋開発分科会の閉会に当たっての挨拶ということで、御挨拶させていただきます。
 内容についても聞いておりまして、この海洋開発分科会では本日を含めて、これまで8回開催させていただきました。今期の前半におきましては、第3期海洋基本計画の策定に向けて、大所高所から御活発な御議論をいただき、次期海洋基本計画に盛り込むべき海洋科学技術分野の重点施策について、御意見を賜ることができました。
 あとは、昨年5月に閣議決定されました第3期海洋基本計画では、海洋に関する科学的知見の充実が引き続き主要施策の一つの柱と位置づけられるとともに、海洋状況把握の能力強化などによる総合的な海洋の安全保障の実現、さらには海洋の産業利用、北極政策などにより一層取り組んでいくことが明記されてきたということでございます。こういったことにこの分科会の意見が反映されたということで、大変皆さまありがとうございました。
 特に、私にとりましては最後、先生方一人一人から今期を振り返ってのお話、大変勉強になりました。第9期海洋開発分科会は本日で閉会でありますけれども、私はこれから委員の先生方個人個人と様々なお話をさせていただき、勉強させていただきたいなと思います。
 本日までの御参加、本当にありがとうございました。事務局から感謝を申し上げます。
【浦辺分科会長】  どうも大変ありがとうございました。それでは、これをもちまして本日および第9期の海洋開発分科会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

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