海洋開発分科会(第56回) 議事録

1.日時

平成30年1月24日(水曜日) 15時00分~16時45分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 文部科学省における主な海洋関連予算案(平成30年度)
  2. 海洋研究開発機構の平成28年度における業務の実績に関する評価結果
  3. 南極地域観測第Ⅷ期6か年計画事後評価結果
  4. 北極域研究推進プロジェクトの中間評価
  5. 第3期海洋基本計画の策定に向けた議論(非公開)
  6. その他

4.出席者

委員

浦辺分科会長、長澤分科会長代理、石田委員、宇都委員、浦委員、榎本委員、窪川委員、瀧澤委員、谷委員、辻本委員、津田委員、中川委員、中田委員、花輪委員、平田委員、藤井輝夫委員

文部科学省

佐伯研究開発局長、大山大臣官房審議官、阿蘇海洋地球課長、小酒井極域科学企画官 ほか

5.議事録

【浦辺分科会長】  定刻となりました。今日は寒い中、お集まりいただきましてありがとうございます。まだお見えになっていない方もおられますけれども、ただ今より第56回科学技術・学術審議会海洋開発分科会を開催したいと思います。
 本日は、御多用にもかかわらず御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 初めに、佐伯研究開発局長より一言お願いいたします。
【佐伯研究開発局長】  初めまして。1月1日付で研究開発局長に着任いたしました佐伯でございます。委員の皆様方におかれましては、常日頃からお忙しい中、この分科会での御審議に御参加賜り、誠にありがとうございます。また、本日は寒く、足元も悪い中、御参加いただきましてありがとうございます。
 私が申すまでもないことではございますが、海洋に関する科学技術はこの第5期科学技術基本計画におきましても国家戦略上重要な科学技術として位置づけられており、海洋開発分科会でも海洋科学技術に関する研究開発計画を取りまとめていただいたと承っております。
 本年は次期海洋基本計画が策定される極めて重要なタイミングでございます。現在、総合海洋政策本部において精力的に議論がなされているところでございます。
 また、海洋の重要性は我が国のみならず、国際的にも共通認識になっておりますし、特に北極海域につきましては、環境変化とその影響、それと併せまして北極海航路の利用や資源開発の可能性など、人類の新たなフロンティアとして世界的な関心も高まっているところでございます。
 また、我が国では、特に海洋状況把握、MDAにつきまして重要な政策課題として認知されるようになっておりまして、衛星データの活用を含めて広範な取組が進められているところでございます。
 このような状況の下、こうした国内外の動向も踏まえつつ、海洋国家たる我が国が取るべき施策、こちらにつきまして本分科会において活発に御議論いただき、これからの我が国の海洋開発の姿について御示唆をいただければ私どもとしては大変ありがたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の4ポツ目、資料という欄を御覧いただきながら、併せて御確認いただければと思います。
 まず、資料1につきましては、横型の文部科学省における海洋関連予算案、平成30年度の予算案についての資料でございます。
 資料2につきましては、JAMSTECにおける平成28年度の法人評価の評価結果でございます。続きまして、資料3、縦型の資料でございますけれども、南極地域観測第Ⅷ期6か年計画の外部評価書でございます。
 続きまして、資料4-1と4-2、二つ資料がございます。北極域研究推進プロジェクト、ArCSプロジェクトの中間評価結果の案と、その概要でございます。
 続きまして、資料5-1でございますけれども、次期海洋基本計画策定に向けた検討状況についてという資料でございます。資料5-1から続く資料5-2-2までの資料につきましては、机上配付資料という形で机上のみの配付となってございます。そのほか参考資料といたしまして、前回の議事録及び海洋開発分科会における評価の実施について、こういった資料を机の上に配付させていただいております。
 また、机上ファイル、紙のファイルがお手元にあるかと思いますが、そちらの中に2-2といたしまして、現行の海洋基本計画などの参考資料を配付しております。
 配付資料の説明としては以上でございます。もし不足や乱丁などございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 本日は、お手元の議事次第の議題にありますように五つの議題を予定しております。順々にやっていきたいと思います。それでは、議題の1、文部科学省における主な海洋関連予算案(平成30年度)について、事務局から説明をお願いします。
【事務局】  それでは、資料1、横型の資料でございます。こちらを御覧いただければと思います。
 現在、国会に提出されております平成30年度の海洋関連の政府予算案の内容につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
 まず右上の所、平成30年度予算案の総額といたしましては、約373億円でございます。平成29年度予算と比較すると約2.8億円の減額になっておりますけれども、その枠の下の方に平成29年度補正予算額、これを併せて補正予算として国会に提出しておりますけれども、そちらが9億9,000万円ほど別途計上しておりますので、30年度予算額及び29年度補正予算額を合わせますと、29年度予算額に比べれば約7億円の増という形となっております。
 以下、予算の主な内容につきまして、枠として四つ挙げてございます。
 まず一つ目の国土強靭化に向けた海底広域変動観測でございます。予算額につきましては、120億100万円という金額となっております。内容につきましてはそちらにも書いてございますけれども、「ちきゅう」といった船や新しく建造いたしました「かいめい」という船を活用いたしまして、海底地殻変動をリアルタイムに観測するシステムを開発・整備するといったような内容でございます。
 1点補足させていただきますと、そこに書いております平成29年度補正予算額、こちらは3.6億円と記載しておりますけれども、こちらの内容につきましては傾斜計の開発に向けた予算を計上しておるものでございます。
 続きまして、右側の統合的海洋観測網の構築。こちらにつきましては、約26億円という予算額になっております。内容につきましては、漂流フロートや係留ブイ、船舶を用いた海洋の統合的な観測網を構築すると、こういった観測を組み合わせた統合的海洋観測網を構築するといった予算、こういったものを主に計上しておるものでございます。
 29年度の補正予算額につきましては、約6.3億円程度計上してございます。こちらにつきましては、漂流フロートや氷層観測グライダーといったものの開発に係る予算を計上しておるというものでございます。
 続きまして、左下の北極域圏域の戦略的推進、こちらにつきましては11億円ということで計上してございます。内容につきましては、後ほど説明もございます北極域研究推進プロジェクト、ArCSプロジェクトの予算、また、海氷下、海氷の下を観測するAUVの開発に係る予算、このほか北極域研究船の推進に係る経費、こういったものを計上しておるものでございます。
 続きまして、右下、南極地域観測事業でございます。こちらにつきましては、約51億円の予算を計上してございます。こちらの内容につきましては、南極における研究観測に係る費用、また、南極観測船「しらせ」の運用や保守管理に係る経費といったものを主に計上しておるというものでございます。
 それ以外に3点ほど補足をさせていただきたいと思います。
 まず一つ目なんですけれども、前回の分科会におきまして事前評価をいただきました課題の状況、こちらについて三つございましたので、これについて簡単に御説明させていただきます。
 一つ目は、北極域研究船の建造でございます。概算要求におきましては、3.1億円の基本設計に係る費用、建造費の一部を要求しておったものでございます。その後、財務省との調整の結果、最終的には8,500万円の予算が認められたものでございます。
 内容につきましては、直接の建造ではなくて、今年度JAMSTECにおきまして調査・検討を行っておりますので、そういった結果も踏まえながら、具体的には、例えば、船体の模型を造りまして、氷海水槽、実際に氷を浮かべた水槽の中で具体的に氷を割って進むに当たってどのような影響があるのかといったことを調べる氷海水槽実験、こういったものや、通常海域において想定する北極域研究船の船体が燃費などの関係も含めてどのような影響を受けるかというものを模型にセンサーをつけて観測するといった曳航水槽実験、こういった実験を行う費用として8,500万円の予算が認められたというものでございます。
 この費用につきましては、今の資料の左下の北極域研究の戦略的推進という、こちらの中に計上されているものでございます。
 二つ目として、海洋情報把握技術開発という内局の事業についても、前回の分科会におきまして事前評価をいただきました。この事業につきましては海洋の酸性化や生物の多様性、海洋ごみといった今後解決すべき課題について効率的かつ高精度に把握するような革新的な技術開発を目的とした事業でございます。こちらにつきましてもいろいろと関係部署との調整の結果、最終的には9,900万円の予算が認められているという状況でございます。
 もう一つ事前評価をいただきました海洋オープンイノベーションの共創(海洋ロボティクス)といったものにつきましては、ちょっと本分科会におきましても内容がわかりにくいといった御指摘がございまして、内部でいろいろ検討いたしました。内容につきましては、海洋機構が培ってきた技術とかノウハウを外部が有する技術と共同させて新しい価値を創造すると、具体的にはAUVなどのロボティクスといったところで汎用化とか、あとは協調制御のプロトコル整備とか、こういったところを念頭に改良を進めるということを検討しておった事業でございます。
 こちらにつきましては、財務省とのいろいろ調整の結果、最終的には残念ながらゼロ査定という形になってしまったというところでございます。この内容につきましては、また次年度以降に改めて検討していきたいと考えておるところでございます。
 資料1の説明につきましては以上でございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 ここで検討した3件について、大変評判がよかった内局の新規の競争的資金に関しては9,900万円がついたけれども、JAMSTECさんのAUVの複数運用とロボティクスのオープンイノベーションといっていたものは残念ながらゼロ査定と、それから北極船も少し減額になって少し実験設備というふうなことになったというのが報告でございました。感慨深いものがありますけれども、ただいまの説明について御意見、御質問ある方はお願いします。
 まず、議事録を作成する都合上、お名前をおっしゃってから御発言いただければありがたいと思います。どなたかいらっしゃいますでしょうか。
 谷委員。
【谷委員】  谷でございます。
 冒頭、予算額が補正を含めて29年度の予算額よりは若干増えているという好ましいお話をいただきました。ここで書かれている29年度の予算額というのは補正後なんですか、それとも当初なんですか。
【事務局】  こちらについては、補正は計上していないものです。
【谷委員】  そうしますと、28年度の補正を足した29年度、実質29年度分というのと、それから今おっしゃった補正を足した30年度分というのは比較するとどうなるんでしょうか。
【事務局】  ちょっとすぐに、手元にデータがございませんので、ちょっと確認させていただきます。
【浦辺分科会長】  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の議題の2に移りたいと思います。
 ここで議題の2、3、4というのは全て評価という言葉が入っていますが、2と3に関しては評価の結果で、4については中間評価案ということで、4についてはここで審議をするわけですが、2と3は報告を受けるということになります。議題の2、海洋研究開発機構、JAMSTECの平成28年度における業務の実績に関する評価結果ですけれども、これは独立行政法人通則法に基づいて行われました主務大臣による海洋研究開発機構の業務の実績に対する評価結果をまとめたものですので、それについて分科会として報告を受けるということになります。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料2に基づきまして簡単に御説明させていただきます。
 こちらが、平成29年8月に主務大臣として評価結果をまとめまして、これを総務省と海洋機構にお伝えした報告書の総論部分のみ、全体は200ページぐらいの大部にわたりますので、総論部分のみ抜粋しまして資料2とさせていただいたものです。
 こちら、めくっていただきまして、まず1ページ目にございますが、今回のこの評価は、海洋機構が平成26年度から30年度までが第3期中期目標期間ということになっておりまして、そのちょうど中間点となる平成28年度の年度評価でございます。
 2ページ目でございます。こちらに評価の結果を簡単にまとめてございます。26年度、27年度はB、Bと推移しておりますが、このBというのが年度計画のとおりに実施できたというところでございます。平成28年度はAということで、全体として中期計画、年度計画に定められた以上の業務の進捗が認められるということにしてございます。
 そのAの理由ですが、2.の法人全体に対する評価という箇所を御覧になっていただきますと、まず一つ目の丸のところで、JAMSTECにおきましては、中期目標、中期計画で研究課題としまして七つの研究領域を定めてございます。その項目につきましては、5ページ目に一覧の表がございまして、この一覧表の5ページ目の左側、ローマ数字1の研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項の1.に書いてございます。これが七つの研究課題ということになってございます。
 戻りまして2ページ目ですが、この研究開発課題の部分につきまして、以下に示すように主なものを三つほどピックアップして、顕著な成果が出ているということを示してございます。
 まずマル1ですが、こちらは海底資源に関する研究でございまして、こちらにつきましては、従来の探索技術によらないリモートセンシングによる海底下の硫化鉱体の探索技術を開発して、これを民間に同時並行的に移転するというような計画になっておりますが、この計画を早めて、前倒しして実施したということのみならず、この課題では生態系への影響解析、影響評価というものもやるということになってございまして、こちらにつきましても大幅にそういう解析を迅速化するようなそういった手法を提案して、こちらも民間調査会社への技術移転を平成28年度に開始した、さらに、この手法につきましてはISAのガイドラインであるとかISOでの規格化を見据えたような、そういった進展も見られたということで、計画を上回る進捗が見られたと考えられるのではないかというものでございます。
 その次のマル2ですが、こちらは海洋地球環境変動研究の部分でございますけれども、こちらで東アジア、中国を中心とする、そういった東アジアの化石燃料起源のCO2排出量について2000年代の報告値に重大な瑕疵があったと、誤差があったというような、そういった可能性を提示しまして、この結果につきましては、2019年に予定されていますIPCCが取りまとめるガイドラインの改訂にも貢献するものであろうということで、現在準備しておりますガイドブックに掲載が決まったというような形で、行政ニーズへの貢献といったところまで認められるのではないかというようなこと。
 あるいはマル3ですが、地震に関する研究につきましては、南海トラフの地震発生帯におけるリアルタイム孔内観測システムを用いて、三重県沖で平成28年4月1日にございました地震の後のゆっくり滑りに伴う水圧変化というものを捕捉して、この結果というものは地震発生メカニズムに関する重要な知見ということもあり、これを地震調査研究推進本部等、行政の場への知見の提供も迅速に行ってきたというようなこともございますので、例えばこういったような形で一定以上の進捗が認められたということが書いてございます。
 その次、一つ丸を飛ばしまして3番目の丸についてですが、法人の機関評価ということで、研究部門だけではなくて、開発部門であったり、あるいは経営管理部門の業務がどうであったかということも評価の対象でございますが、こちらにつきましてもこの分科会の場でも御報告させていただきましたとおり、XPRIZEへの挑戦でありますとか、あるいはSNSとかクラウドファンディングを活用した、そういった戦略的な広報といったこれまでにない新たな取組に挑戦したことでありますとか、あるいはその客観的な指標を用いて評価をするというようなことにも取り組み始めまして、そういった形で自己評価のプロセスを改善してきたという点は評価できるのではないかというようなことでございます。
 その次の4番目の丸ですが、こちらがちょっと課題というか、問題点の部分でございます。平成28年度におきましては、それまでの過去何年間かにわたって論文数の集計の方法に誤りがあったと、新聞報道で昨年10月ぐらいに報道されたので御存じの先生方もいらっしゃるかと思いますけれども、そういったことが判明したということがございます。こちらは過去数年間にわたって研究機関にとって重要な評価指標の一つである論文発表数というものに集計ミスがあって、何年間も誤った情報を発信し続けたということは研究機関にとっては大きな課題、問題であろうということで、海洋機構自らもC評価と、B評価が通常の評価とするとCはそれを下回る評価という、そういう評価をつけてまいりまして、私ども主務大臣の評価としましても、この部分は非常に大きな問題だと受け止め、C評価としております。そして、今後この点については、これまで集計方法を年度年度でばらばらに担当者ごとに集計のやり方がなっていて統一化が図られていなかったこと等に起因したミスが続いてございましたので、こういったところについて論文集計方法の統一化であるとかマニュアル化を図るなど、徹底した再発防止策を講じるというようなことを課題として掲げてございます。
 これらをトータルとして考えました場合に、論文集計上のミスということで一つCという項目がございましたが、全体的には研究開発課題について予定を上回る進捗が認められるでありますとか、経営管理部門や開発部門につきましても自己評価のプロセスも改善してきた等々ございますので、総合的には計画以上の業務の進捗が認められるということでA評価というふうにしてございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。
【浦辺分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明について何か御質問、御討論ございますか。
 では、津田委員。
【津田委員】  S、A、B、C、Dという評価基準なんですが、これは例えばSは全体の何%かと、そういう大まかな指標はあるのか、例えば我々が受けている拠点評価だとBというのは相当まずいという評価になるわけですが、このAの持つ意味、Bの持つ意味というのを少し教えていただければ幸いです。
【事務局】  資料2の6ページ目を御覧になっていただきますと、すみません、字が小さくて、細かくて恐縮なんでございますが、ここにそれぞれのS、A、B、C、Dの意味が書いてございます。Bといいますのが、この法人評価におきましては、中期計画とか年度計画でいついつまでに何々をするとか、何々年度ではこういった計画で業務を行うと書いているところを着実に進めるとBでございます。Bが標準で、普通どおりに通常どおりしっかりやっていればBということで、これが基本でございます。
 それに対しましてAでございますが、こちらは例えば研究開発に関する業務ですと、研究開発成果の最大化に向けて顕著な成果の創出とかが認められたというのがAでして、さらにSになりますと、特に顕著な成果というような形になってございます。
 一般的に研究開発法人の例を申し上げますと、各法人で個々に絶対評価をしているというか、全法人のうち何割がSで何割がAでというようなことはございませんで、Bを標準にして多数の研究成果でよい成果が出ていたというような場合にAをつけるというようなことになってございます。
 ちなみにC評価を付すことは余り無くて、総合評価としてCをつける法人というのは基本的にはほとんどございませ。例えば、海洋機構では、個別の評価項目の中に今回過去3年間で初めてC評価を付した項目がございますが、これについては、非常に大きな問題だというふうに考えて、過去のそういう誤った情報を発信し続けたというようなことや今後の改善をしっかりやっていかなきゃいけないということを含めて、通常どおり一般的な業務の運営ができましたというBではなくて、Cという評価が適当であろうということで、成果の発表という項目について厳格に判断してC評価を付けております。
【浦辺分科会長】  長澤委員。
【長澤委員】  「みらい」と「ちきゅう」でJAMSTECと話す機会が多いので、非常に一生懸命いろんなことをやっておられるという感じがしているんですが、この評価の場合、評価者の方に第三者的な目というのは入っているんでしょうか。つまり、これだけ見ると、要するに文科省の皆さんが評価されていて、JAMSTECさんが自己評価したものを、それを見ると、こういうふうにしか見えないんですけれども、何となくそれだと全く外の目が入っていないので本当に正しい評価になるのかなという危惧がするわけですが、その点はどうでしょうか。
【事務局】  すみません、先ほど説明を端折ってしまっていて恐縮なんですが、1ページ目の3番目、評価の実施に関する事項の箇所にも書いてございますが、独立行政法人通則法で研究開発法人の評価につきましては、主務大臣の評価に当たりましては、これは国立研究開発法人審議会というような審議会の場で有識者の先生方からの意見や助言をいただいて、それを踏まえて評価を実施するということになってございます。この項目にも書いてございますとおり、この審議会の下に各法人ごとに部会が設けられております。海洋開発機構につきましても海洋研究開発機構部会というのを設けてございまして、こちらで4回ほど部会を開催しまして、法人からヒアリング等も行った上で、有識者の先生方にその評価に関するコメントをいただいて、それを我々の方でまとめて主務大臣の評価書を作るというようなプロセスでございます。
【中川委員】  同じく評価の方法に関してのプロセスが理解できていないので質問したいんですけれども、今の御説明ですと、海洋研究機構が立てた自分の計画に対して進んでいるのか、計画どおりなのか、あるいは遅れているのかという評価ですということだったんですね。ということは、その計画立案というのが非常に重要であると。ですので、今と同じような質問になりますが、計画立案時にもやはり文科省、あるいはこの機構以外の第三者の目というのがきちんと入って、例えばワールドワイドの研究機関の基準に照らし合わせて、余りにも容易に達成できるような計画ではまずいと思うんですけれども、その辺というのはちゃんと第三者の目で評価されていて、立案されているのかというところを質問させてください。
【事務局】  そちらにつきましても、独立行政法人通則法において、独立行政法人につきましては中長期目標というのを定めると、これを定めるのは主務大臣となっておりまして、それが研究開発法人だと5年ないし7年の期間の中長期目標をまず主務大臣側が定めると。それを定めるに当たりましても、先ほど申し上げました審議会で有識者の先生方に御意見等をいただきまして定めるということになってございます。
 その中長期目標を踏まえて、海洋機構側が今度、中長期計画というのを定めて、こちらについても主務大臣が認可をするということになってございます。その認可に当たりまして、こちらも同じようにその中長期目標で定めているところに沿って中期計画が適正な計画になっているかというようなことを審議会の先生方の御意見もいただきながら、それをチェックして認可するということになってございますので、そういうプロセスを踏んで目標なり計画を作るということになっており、そこで第三者的な目というものが入るような形になってございます。
【浦辺分科会長】  中川委員、よろしいでしょうか。
【中川委員】  はい。
【浦辺分科会長】  それでは、窪川委員。
【窪川委員】  ありがとうございます、窪川です。
 毎年年度ごとに評価をされているということでよろしいんでしょうか。
【事務局】  はい。
【窪川委員】  今回は中期目標の中間ということなんですが、それに対しては何か特別なことはあるんでしょうか。
【事務局】  中間なので中間評価があるかというと、独立行政法人の評価の制度上、特になくて、毎年、年度評価をやるというのが一つで、それに加えまして、期間が終わりましたときにその期間を通しての評価というのをやることになってございます。4年目に当たります平成29年度の年度評価を行うに当たりまして、まずそれまでの期間でどのような達成状況になっているのかという期間評価に関する見込み評価というのを一回やりまして、それを踏まえて最後には期間が終わった段階で期間全体の評価ということをやるという、そういった仕組みになってございます。
【浦辺分科会長】  よろしいでしょうか。
 では、瀧澤委員。
【瀧澤委員】  すみません、瀧澤です。ありがとうございます。
 実は、私は海洋機構の方のある領域、分野の、具体的に言うと環境分野などの研究の評価に携わらせていただいていまして、この28年度のものも昨年の4月にやらせていただきました。その時点ではこの論文の集計のミスというような問題は明らかになっていませんでしたので、こういったことが起きたということは非常に残念だなと思います。
 海洋機構さんの方の自己評価として、その部分はCとされたというふうなことを先ほどおっしゃいましたけれども、まず一つお聞きしたいのは、海洋機構さんの自己評価で全体評価はどんな評価にされたのかということと、文科省側の外部委員の先生も加えた審議会ではどのような意見があって総合的にAとなったか、その経緯についてお伺いできればと思います。
【事務局】  海洋機構の法人の自己評価の結果につきまして、海洋機構のホームページに自己評価書というので既にオープンに公表されておりますが、基本的には海洋機構も総合はAということになってございます。
 5ページ目、6ページ目に個々の評価項目がございますが、こちらの項目の中で、例えば研究開発領域の1.の(4)海洋生命理工学研究開発という所を御覧いただくと、こちらは大臣評価ではBとしてございますが、海洋機構の自己評価はこちらもAということで出てきたわけでございますけれども、これにつきましては、審議会の場で、確かにその基礎的なというか、科学的な研究の成果としては優れたものが出てはいるんですけれども、この部分の中期目標の目指しているところが、海洋微生物、海洋生物、深海生物の機能を解明して、その機能を有効に活用してイノベーションを創出するというようなことをアウトカム目標としているため、そのアウトカムとの関係を見ると、イノベーション創出に向けた取組というのはまだまだちょっと具体的なところまでは行ってないだろうというような議論がなされました。このような審議会の先生方のコメントを踏まえて、さすがにこの状態でAをというのはちょっとどうなのかということで、こちらはBに下げたりというようなことをやってございます。
 ただ、そこの部分がBになったとしても、そのほかの、瀧澤先生が自己評価で加わっていただいた部分の研究も含めて、他の研究領域について顕著な成果も出ているし、あるいは開発部門や経営管理部門についても新しい広報戦略の取組とか、XPRIZEへの挑戦とか、さまざまな新しい取組も行っているので、トータルとしてAでいいんではないかと。
 ただ、論文数の発表に間違いがあったというところについては、長年にわたって問題に気付かなかったということと、ただ、自らそれをそういうミスが、間違いがあったということを踏まえて、今後その改善策というのを自分たちなりに検討して、それを審議会の評価の場にも出してきて、こういう形で平成29年度以降改善していくというような改善の方向性も示されておりましたので、そういうことをトータルに考えますと、課題は幾つか提示した上で今回は総合A評価とさせていただいたところでございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 思いもかけないことで大変議論がございましたけれども、続きまして議題の3に移りたいと思います。
 南極地域観測第Ⅷ期6か年計画の事後評価結果でございます。こちらも南極地域観測統合推進本部の下で行った事後評価結果について報告を受けるというものでございます。
 では、本事業の外部評価委員会で主査代理を務められました中田委員より御報告を、御説明をお願いいたします。
【中田委員】  本日、主査であった白山委員が御欠席のために、かわりに報告させていただきます。
 まず、外部評価書についてですけれども、第Ⅷ期6か年計画、これは平成22年から27年度の期間ですけれども、その実施期間終了に伴って事後評価を行いました。昨年5月から11月に委員会で評価書案の議論を行い、11月7日に南極地域観測統合推進本部総会で決定されたものです。
 全体の構成ですけれども、表紙をめくって目次のところを御覧ください。
 まず、1ページから3ページまで外部評価の目的や評価の方針、これをつけております。そして、その後、5ページから総論と外部評価結果を取りまとめております。それから、17ページ以降は、評価の基となった30項目について、各機関が行った自己点検及び委員会の評価結果を個票の形式として掲載いたしました。
 評価結果ですが、評価項目30のうち、S評価が1件、A評価が13件、B評価が15件、C評価が1件となっており、全体としては研究観測や設営が着実に実施されたと評価しました。
 評価結果の概要を要点を絞って説明します。
 まず、6ページから7ページ、重点研究観測についてです。これは、第Ⅷ期計画のメーンテーマである南極域から探る地球温暖化、この課題の下に三つのサブテーマを設定して実施されました。それぞれ良好な実績、成果が得られたと評価しております。
 特に6ページにありますサブテーマ1、南極域中層・超高層大気を通して探る地球環境変動、これについては、各国から待望された大型大気レーダー、これを多数の困難を克服して完成し、我が国主導の下、当初計画を上回る規模で大型大気レーダー国際共同観測やネットワーク観測を実施して多くの成果を発表するとともに、国際協力、それから人材育成が推進されたというふうに評価し、当初の計画をはるかに上回った実績・成果を上げたとしてS評価としました。
 続いて、8ページから9ページの一般研究観測です。
 これについては、宙空圏、気水圏、地圏及び生物圏の領域で34件の研究観測が実施され、全体として課題に即し良好な成果を上げたと評価しました。特に8ページにある気水圏の研究観測では、ケープダンレー沖ポリニヤが未知の南極底層水生成域であることを発見したことにより、このテーマが現在の第Ⅸ期の重点研究観測のサブテーマへと発展しております。
 また、生物圏の研究観測では、世界で初めてアデリーペンギンの大規模移動やこれまで余り知られていなかった摂餌生態を明らかにするなど、新たな知見も得られたという点が注目されました。
 続きまして、萌芽研究観測です。9ページです。
 萌芽研究観測については、気水圏、地圏、生物圏の領域で5件の研究観測が実施され、全体としては十分成果が上がったと認められますが、地圏の野外GPSデータ、無線通信、遠隔回収実験及び長期間観測試験という課題については、当初計画を大きく下回る観測期間にとどまり、十分なデータ取得と成果の発信が行えなかったということからC評価にしました。
 10ページから12ページ、定常観測です。
 これについては、電離層観測、気象観測など六つのテーマで実施し、学術研究所、あるいは実用上貴重な基礎的観測データを取得しました。国内外の研究機関等へ提供することを通じて国際的観測網の一翼を担う責任と役割を十分果たしたというふうに評価しました。
 12ページから13ページ、モニタリング観測です。
 これは5テーマに分類して実施され、全体として課題に即した良好な成果、実績を上げたと評価しました。
 12ページの気水圏変動モニタリングでは、昭和基地における二酸化炭素濃度が観測以来初めて400ppmを突破したことを発表したほか、13ページ、生態系モニタリングでは、東南極におけるアデリーペンギンの個体数増加と海氷変動との関係を明らかにしたこと、そうした成果が得られたことなどが注目されます。
 13ページ、公開利用研究です。
 これについては、このⅧ期より導入された制度であり、37件の課題が実施されました。研究成果の粒度にばらつきはあるものの、多くの研究者に南極で研究する機会を提供するものでした。それで、研究の利活用を検証しつつ、継続して実施することが望まれるというふうに結論づけております。
 13ページから14ページ、設営計画の概要についてです。
 これについては、53次及び54次の2年続けて「しらせ」が接岸不能という事態に見舞われた中で、一部実施できなかったものはありますが、自然エネルギー棟の完成や20kWの風力発電機2基の設置をはじめ、総合的には計画どおりの実績を上げていると評価しました。
 なお、南極地域がとりわけ厳しい自然環境下にあることや、輸送手段が限られていることの影響を受けることを踏まえ、設営に関する評価は計画の達成度とともに計画どおりに進まなかった場合の対応状況等も加味して評価することを検討すべきというふうに付言しました。
 14ページ、観測支援体制の充実について。
 これについては、先ほども言いましたように「しらせ」の2年連続の接岸不能となった事態に対して、的確に対応できた点を高く評価しました。また、15ページから16ページ、情報基盤及びデータベースの整備・充実と情報発信、それから国際的な共同観測の推進、さらに国民の理解増進、共同研究の充実、これらについてもそれぞれ当初計画を上回る取組がなされた、あるいはさまざまな国際共同観測におけるリーダーシップの発揮や研究者交流が図られた、それから着実な成果を上げたというふうに評価しております。
 評価結果は以上ですが、本評価結果が今後の研究観測、設営並びに次期6か年計画に生かされることを期待しております。
 以上でございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 これについて、何か御質問等ございますでしょうか。
 谷委員。
【谷委員】  谷でございます。
 基本観測、定常観測の11ページを見ておりますけれども、5)の海底地形調査ですが、マルチナロービームが壊れたままという状態が随分長く続いていると思います。南極の海底地形情報というのは非常に不足しておりまして、これは評価の際には評価の対象外ということになったような気がするんですけれども、このマルチビーム測深器を修理しないまま放ったらかしているというのはいかがなものかと、そういう意味で、その評価の対象外という意味でしょうか。
【中田委員】  このことについては、評価委員会の中でも議論になりました。そして、委員会としては、是非これが使えるような形になってほしいという意見を出しております。
【谷委員】  ありがとうございます。
 それは、結局どうなんですか、予算に反映されているんでしょうか。
【事務局】  実は、30年度の概算要求で、マルチナロービームは要求したんですけれども、残念ながら30年度は措置できないという現状なので、引き続きいろんな工夫をしながら、その辺は「しらせ」自身が防衛省さんの所管ということもありますので、防衛省と調整を図りながら、また次年度に向けて引き続き要求は行っていきたいというふうに思っております。
【浦辺分科会長】  ほかにございますか。
 細かな点なんですけれども、この評価を見ていますと自己評価とその評価意見というのはほとんど九十何点と同じで、一つだけ、55ページでは自己評価よりも高くなっている。これは多分何か事故があったけれどもそれをよく何かが多分にカバーしているというふうな意味かなと。要するに、それで精神的によくやったというので多分、自分たちでは悪い評価のがそれよりよくなっているような感じがするんですが、これも結果からすると何かが発生したんだけれども、よくやったからBというような感じなんでしょうか。
【中田委員】  この評価意見のところにちょっとございますけれども、今おっしゃったとおり、例えばバッテリー破損事故やデータ混信などの不測の事象はありましたけれども、それらも適切に対処して再発防止策など、今後必要な検討を行えたということを評価しております。そういうことを南極という特殊条件下では考えていかなければいないのではないかというふうなことを私ども考えて評価させていただきました。
【浦辺分科会長】  ありがとうございました。ほかによろしいですか。
 それでは、どうも御説明、先生ありがとうございました。
 続きまして、議題の4、北極域推進プロジェクトの中間評価に係る評価案についての審議に入りたいと思います。
 まず、本プロジェクト実施に当たって研究計画や評価の助言等を行う、別に作られている有識者会議があるんです。それが、「北極域研究推進プロジェクト」推進委員会ということですけれども、これの座長をされておられます木島先生から中間評価を御説明いただいて、その後、これについてここで審議を行いたいと思います。
 なお、榎本委員、津田委員、花輪委員、それから本日欠席されている白山委員の合わせて4人の委員は、本人又は所属機関が本プロジェクトに参画されていますので、参考資料2の平成29年度海洋開発分科会の評価の実施についての4、留意事項の1、利益相反事由に該当するため、評価には加わらないということになります。もちろんここにいていただいて結構なんですが、評価には加わらないということになります。
 事務局の方ではそれ以外の委員の皆様に関しては、利害関係を有する方はおられないんではないかというふうに思っていますが、おられますでしょうか。
 では、白山委員を含めて4名の委員の方は参画しない、それ以外の委員の方は参画するということで、木島先生、説明をよろしくお願いします。
【木島座長】  早速ですが、説明に入らせていただきます。
 大体10分ほど時間を頂戴して説明しようと思います。
 まず、我々の委員会の方では、今回は中間報告、中間評価であるというスタンスを重視いたしまして、全体の仕事がうまくいっているか、その事業が予定どおり推進しているか、あるいは最後にその結果が出せるかどうかというところをポイントに評価いたしました。
 さらに、その委員会の中では、加えて次の2年間、29年度は終わってしまいましたので、30、31年度のところでどういうことをやったらいいか、どういうことを期待するかというのを指摘事項ということで評価書をまとめさせていただきました。
 まず、このArCSプロジェクトと呼んでいるんですが、北極域研究推進プロジェクトの概要でございます。これは、資料4-2に、皆さんのお手元に配付されていると思います。これは、先ほどの文科省の説明にもございましたように、北極域研究の戦略的推進になるという、そんなものの一つであるというところでございますが、まず、その北極域というのが環境変化が非常に大きく顕著に表れてきている場所である。ただ、その割には体系的な科学的研究がそれほど多くないという問題点がございました。また、解氷が進む中でその船の運航等が活発化しており、国際社会での北極への関心が非常に高いということが指摘されているところでございます。
 そこで、その2番目のところで、日本としてナショナルフラッグシッププロジェクトというふうに書かれておりますが、日本国として北極研究のリーダーシップを取り、日本の発言権、立ち位置をしっかりしたものにしようということと同時に、北極域における環境変動と地球全体へ及ぼす影響、包括的な把握や精緻な予測というものを行っていくこと、それから社会的、経済的影響というものはどうなっていくか、そして、それらに対応して適切な判断や課題解決のための情報を明らかにして内外のステークホルダーに伝えていくという、そういう大きな目標を持ってございます。
 そのプロジェクトのリーダーが深澤さんであり、代表機関、国立極地研究所、副代表機関として海洋研究開発機構、北海道大学、参画機関として、ここに書いてあります20機関が参画しているという大きなプロジェクトでございます。
 このプロジェクト自身は、まず大きく国際共同研究の推進を行っていこう、国際的ガバナンスを高めるためにも日本の研究開発は何をするのか、それから、日本での拠点整備と人材育成というところを今目標としているところであります。
 まず、3ページ目に国際共同研究の推進ということでテーマは八つございます。これは御覧になっていただければわかるんですが、この中で特徴的なところはテーマ7、北極の人間と社会、つまり理系的な目で分かるのではなくて、文系的な目を持って研究をし、それをこのチーム全体で共有していこうという、そういう研究テーマの設定になってございます。
 5ページを御覧になっていただきたいと思います。
 実際にやっていることは国際連携拠点の整備、もちろん研究の場の整備、それから若手研究者による人材育成と国際連携、それからAC、これはArctic Councilですね、北極評議会等、北極関連の会合というのがたくさんございますが、その総合会議への専門家派遣というところがこの事業の方針です。
 これだけ大きなテーマと多額の費用を使っているというプロジェクトであることから、実施体制が重要であるということで、実施体制についてもその検討評価を出しております。
 ここにございますように、PDのほかに各機関にSPDを置いて、そして研究テーマを配置していくと、そういう形になっております。ただ、今までと違うところは、これらの研究がそれぞれ単に研究を行うのではなくて相互に関係し、関連し、テーマ間のその意識を、あるいは成果を共有していくというポイントがこのプロジェクトにはございます。
 以上のような概要ですけれども、それに対して資料4-1を御覧いただければと思いますが、一番目は先ほど示しました概要でございます。それに金額が入っているところでございます。
 中間評価案のところですが、これはまず指標としてアウトカムとアウトプット、それはどうなっているかというところをまず最初に全体を見ようというところでされてございます。
 これを全部御紹介すると大変なので、特に成果が著しいものとしまして、最初のアウトカム指標では、これはみんな成果としては特出するべきだと思います。その中でもそのアウトカム指標の第2番目の、1番目の丸の第1番目、独自に開発した高精度連続ブラックカーボン測定装置、COSMOSと名づけておりますけれども、それを使ってブラックカーボン濃度の長期的な高精度測定が行えるようになって、今までのが過大評価だということを解明できた。これはどちらかというと世界標準にブラックカーボン観測技術の標準として認められたと、これは大きな成果ではないかと我々は考えているところでございます。
 また、その下から2番目の矢印でございますけれども、これはArctic Council、評議会の北極圏の監視評価プログラム作業部会が公開したSWIPA、あるいはAACAなど、その環境評価報告書の作成に関して、本課題に参加する研究者が大きな貢献を果たしたということが記されておりました。
 また、世界気象機関、WMOですけれども、それによる極域予測プロジェクトというのがございますけれども、その運営グループのメンバーや国際研究グループである北極海中央部における海洋生態系ワーキンググループ、それの共同議長をここから出すことができた、また、太平洋側北極海グループの議長も出すことができたということで、本課題の一つの大きな評価に値するんではないだろうかというふうに考えています。これがアウトカムです。
 では、どんなことをやったかというところで、アウトプットというとどれだけ学術等会議に出たかということもございますが、その中でも上から5番目の矢印のところで、独自に開発した北極海における海氷分布の季節予報システム、これが平成28年度国際海氷予報比較プロジェクトで世界のトップのスコアを記録したと。実はこれは、そこでも議論になったんですけれども、海氷がどういうふうに出るか、それを予測することが現実とどういうふうに合うかというところで、日本のものがこのプロジェクトのものに非常によく合っていたというところで評価されたというふうにされておりました。
 また、この得られた成果というのが下から5番目の矢印になるんですけれども、これはアーカイブデータベースシステムなんですけれども、ADSというものをこのプロジェクトでは作っております。そのアクセス数は約220万回あって、その中身を見ますと90%が米国、それからオランダ、英国等の海外よりのアクセスで、これはいわゆる国際的なそのプレゼンスを上げるのに役立っているのではないかということで評価をいたしました。
 4ページ目になります。
 次に、各観点からの評価ということで、これらの評価、皆様も御存じのとおり、必要性、有効性、それから効率性という部分でございます。これに対して科学的、社会的、経済的、これは先ほども申しましたように、ブラックカーボンのこととか世界で初の発見があり、観測装置を造ったり、人文社会科学的とそうして、その人社と理系の観測との関係を始めたというところでございますけれども、そういうところで評価をしてもいいのではないかというふうに考えたところでございます。
 次に、有効性の観点で、新しい知識への貢献、人材の養成というところでございます。これに関しては先ほど申しました共同研究、人材育成を推進するんだというところが計画どおり進められています。例えば、ノルウェーのニーオルスンでは、その研究計画というのは、日本の主導の下、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、イタリア、米国の参加を得て、今、エアロゾル・雲・降水の集中観測を実施しているなど、国際的インパクトがある研究をなしているというところでございます。
 また、「ただし」という部分で下から3行目のところですけれども、最終的目標のアプローチとしてどの政策の知見が、政策にどの知見が必要なのか、どの国際機関、枠組みでプレゼンスを高めることが必要なのか、そのために誰とコミュニケーションを取ることが必要であるのかといった戦略はまだ不明であるという指摘がございました。
 効率性に関しましては、当初5分野14テーマを設定したんですけれども、それが中での実施体制の変更もあり、8テーマに大くくり化すると同時に、分野代表者というものを廃止して、責任者をPIに一元化するということを行って、相互の連携システムがうまくいき出したということで、効率性もいい方向に向かっているというのを評価いたしました。
 今後の方向性、これが一番我々のところでは重要だと思うんですけれども、本課題を見ますと着実に計画どおり成果を得ているとみなせるのではないかと。我が国の北極政策に基づき、我が国の強みである科学技術の基盤として北極に関する研究開発を引き続き展開してもらいたい。ただし、以下の点を留意して推進していくことが重要であるということで、このところがたくさんございますけれども、例えば、自然科学系と人文・社会科学系の連携については、今後単なる情報の交換や共有にとどまらない有機的な協働・連携によって、新しい知的産物を生み出すことまで視野に入れて、これも言葉は野心的という言葉を使いましたけれども、野心的な成果の創出に向けて頑張ってほしいということをお話しいたしました。
 それから、2番目にはステークホルダーとの連携というところで、本研究課題が連携すべき産業の世界における位置づけとか、その特徴はまだまだお互い理解していない、産業界がその後、理解していないという部分がございますので、それを理解して、研究のデザインの段階から連携して共創、つまりともに創り出していくことが重要ではないかというような指摘をさせていただきました。
 その他、これを全て読みたいところでございますが、いろいろとそういう評価をするけれども問題はまだまだあり、それをしっかりやっていただくことによってこのプロジェクトがうまくいくのではないかということを実際にお伝えしていきたいというふうに考えております。
 結論として、繰り返しになりますけれども、現状においてプロジェクトは着実に実施されている。今後、本プロジェクトにより先進的な成果がさらに創出されるとともに、北極に関する研究開発が一層発達し、我が国の国際的プレゼンスが高まっていくことを期待するということで結びたいと思っております。
 以上、限られた時間の説明で恐縮ですが、終わりたいと思います。
【浦辺分科会長】  すみません、どうもありがとうございました。
 今の説明に対しまして、榎本委員と津田委員が参画機関の方ですが、何か追加で説明しなくてはいけないことはございますか。よろしいですか。
 それでは、今の説明について御質問等お願いします。この中間評価の4-1というのは、これまでも御覧になったことがあると思いますが、決まったフォーマットで書かれておりますので、そういう中に書かれていることが適切かどうかということで御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 窪川委員。
【窪川委員】  質問を含めてなんですけれども、二つあるんですけれども、一つは国際連携拠点と国際共同研究と2本立てで、共同研究の課題数は今のところ8で、拠点数は5カ国、10拠点というのは、これは目標値になるんですか、それとも現状の、目標値はもっと高くて、それに対する評価になるのですか。
【木島座長】  目標値は更に増やしていくということで今、進めているところです。
【窪川委員】  拠点なんですけれども、この拠点の連携の母体というのはどういう形、要するにArCSというそのプロジェクトとの連携拠点、どういう形になるんですか。
【木島座長】  ArCSプロジェクトでその拠点を形成して、その拠点にわたって研究者を送るという形になっております。
【榎本委員】  5カ国の中にはノルウェーや米国、ロシア、カナダとかあるんですけれども、そこで若手がそこに行って研究活動の指導を受けたり、共同研究やるというものと、あと八つあります研究プロジェクトの中で、研究テーマがそれぞれそこの場所で8個であったりという、両方ともの機能を担うようになっています。
 それで、今、北極は、国内でもいろいろ動きがありますが国際的にもいろいろありまして、ロシアが新しいステーションをオープンし、カナダもこれからオープンする、そういったところにいち早く入っていって、日本の多数拠点を作る必要があります。ロシアの方はつい最近使えるようになったというところで、あと、カナダはこれからオープンするところにもう予約して観測の予定を入れている、そういった背景があります。
【窪川委員】  わかりました。その5カ国の中にそれぞれが作ってあるところで連携していくという形、わかりました。
 あともう一つ、若手の育成というのを大きな、今もお話がありましたけれども、そうなるとやはりどのぐらいの方々が人数とか、ポスドクなのか学生なのかとか、そういった具体的な状況がわかるといいかなというふうに思いました。
【木島座長】  今、正確な、ちょっと手元にないので。
【浦辺分科会長】  ほかにございますか。
 では、中川委員、それから藤井委員の順でお願いします。
【中川委員】  ちょっと背景的なところを質問させてください。中川です。
 もともとのこのプロジェクトの概要のところを見ますと、北極域における環境変動と地球に及ぼす影響というのをまず計測して、そのデータを基に予測をすると。それから政策につなげるというところが大きな目標になっているという御説明がございました。ちょっと企業的な立場から見ると、非常に貴重なデータが取れたんだなと、ブラックカーボンの動態予測ですとか、あるいはその氷、どこまで南下するかとか、そういう予測が結構高精度にできるようになったと。それが先ほどの御説明ですとアーカイブというところのデータベースに蓄積され、それが各国から恐らく無料で参照できるようになっているのかなと思うわけですね。
 実際にこれは非常に重要で、例えば不凍港、あるいは北海航路というのは今やはり地勢的な問題もあって南回りの航路が非常に厳しいというところもあって北回りって非常に着目されていると思うんですね、航路という意味で。非常に貴重なデータだと思うんですが、いつも私は思うんですけれども、いっぱい計算して、データを入れて、自由に参照できるといって、それが産業利用も規制されていないとすると、完全にデータを出しているだけで、実際どう利用されているかというのも分からず、こう言っては何なんですけれども、日本の国税というのをそういう海外貢献はいいんですけれども、日本の産業競争力強化に直接つながっていないんではないかなという、研究開発はすばらしいと思うんですけれども、そもそもこういうデータに対して利用料を取らず続けられるのかしらとやっぱり思うわけです。こういうデータベースの例えばシステムとか運用とかがですね。そういうところというのはどういうふうに設計されているんでしょうか。
【木島座長】  申し訳ございません、僕自身はそれに対する自分の意見は持っていても、この場では、これに関係してこうだと言うことはできないんですけれども、これは今まで何もなかった科学的な成果になりますので、それを今後どういうふうに使うかは今後の問題としてやっていただければいいのかなと思っていますが、ここはお金を出している文科省のやっぱり方針になるんじゃないか、あるいは国の方針になるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。恐らく、その成果の公開ということで、一つの目的として国際的なプレゼンスを高めていくということから先ほどの御説明がありましたように、アクセス数から見て評価するという考えと、それからもう一つ、中川先生から今御指摘いただいたように、税金で研究開発をするという観点で、やはり国益に資するという観点というのが非常にあると考えております。先ほど先生から御指摘いただきましたように北極海航路の件、これはまだまだ商用にはなっていないんですけれども、こういったArCSで取り組むような海氷予測というような研究データというものが新たな航路の開発に非常に役立つというふうに考えてございます。
 そういったものを認識しながら、こちらでこのArCSの一つの項目として、民間企業とも連携しながらこの航路開発というところも着手をするということで取り組んでいるところですけれども、先生御指摘のとおり、全て情報が公開という中で、やはり情報の性格、質によって本当にこの研究に役立てるもの、あるいは情報を直ちに公開しているもの、あるいは2年間というそのモラトリアムを設けて公開していくものという形で、その峻別をしながらこのプロジェクトを進めたいというふうに考えてございます。
【中川委員】  今の段階は研究開発というのが中心的な目的であると。
【事務局】  今、こちらのADSというところにつきましては、これは国際協力でございまして、これは日本だけのものでもございませんで、先ほどニーオルスン基地という形で国際的に協力をしながら得たデータということで、こちらにつきましては無料で公開しているという性格のデータでございます。
【中川委員】  はい、了解しました、ありがとうございました。
【浦辺分科会長】  それでは、藤井委員。
【藤井委員】  私もちょっと教えていただきたい。2点ありまして、一つはこの国際共同研究、あるいは国際連携研究拠点というのをやっているということなんですけれども、先ほど5カ国10カ所というご説明がありましたが、やはり各国がそれぞれの国の視点から進めている事業計画がある中で、それとの関係がどのようになっているかを考える必要があると思います。最終的には北極域のガバナンスとか国際的なプレゼンスという話になってくると、やはり共同でやっています、という中にある種のストラテジーがあった方がいいと思うんですけれども、その辺について教えていただきたいというのが1点です。まずは、それからお願いします。
【木島座長】  これにつきまして、具体的にはいろいろと先生もよく御存じだとは思いますけれども、例えば日本とかオブザーバーの国は実際に北極に面していないというのがあります。そこでの面しているところの拠点を持っていることによって、日本も参加して研究がその共同研究拠点になるという、そういうふう考えています。日本が全額を出して取組をやっているわけではないということです。
【藤井委員】  要するに、それぞれの国、例えば先ほどの米国とかロシアとかノルウェーなど、ある種の考え方を持ってそれぞれやられているところに、日本が連携して入っていくことによって何ができるのか、という視点が必要ではないかという、つまりあれもこれも全部できないんではないかなというふうに予想されるのでお聞きする次第です。
【木島座長】  私どもが聞いて、そのヒアリングでも聞いたところですけれども、一番大きいのは観測拠点になるところなんですけれども、各国がやっている観測拠点に日本の技術を入れて、日本の共同研究をその中に入れることによって、お互いに観測を共同でやることによってそのプレゼンスを上げるというようなところが一つ。それから、その各国に目標とかその研究所にある目標を持っていると思うんですけれども、それに合ったテーマをやっぱり持ち込んでいくところ、あるいは日本側がその研究テーマを持ち込むとか、そういうこともやられているというふうに私は感じました。
 榎本先生、じゃ。
【榎本委員】  5カ国、10カ所、それぞれ特徴がありまして、それぞれの国にその土地を一つか、うまくというものがあります。そういったところでは、例えばロシアの海岸線に新しくオープンしたところは船が通る、そういったルート上に新しく拠点ができたんですけれども、そこでの環境汚染と正確な気象予測、海氷予測、そういったものは彼らも期待しています。そこにブラックカーボンなどの新しく日本のすぐれた測定装置が入ることによって、そこからデータが出てくるというふうなことができる。あと、観測自体は現地の国と共同でやるんですけれども、データは日本のデータ同化システム、JAMSTECと、そういったところに入ってきまして、解析結果をまた返すというところで国際との連携という、そういったものができています。現地にセンサーを置くか、日本で解析するか、どちらにしろ日本の科学と技術というところと組み合わさって、現地からも期待されながら入っていっていると。特にロシアの場合は北極圏の環境モニタリングという点に選ばれていながらも、まだ空白区域だったんです。そこにいて、日本が入っていくということは現地からも期待されているというところです。
【藤井委員】  ありがとうございます。 もう一つは、同じような観点なんですが、人文社会学系のテーマを入れるというのは非常にいいことだと思うんですけれども、これについても何か具体的なバックグラウンドがあって、例えばどこどこの国と連携をして、共同で行うというようなことがあるんでしょうか。
【木島座長】  実は、人社系のプロジェクトの入り方のところにつきましては、まだまだその目標、戦略的なところもできていないと。そこで最後のところにも少し指摘事項も加えたんですけれども、まず、今まで人社系と理系の話し合いが全然なかった状況にあります。それを一歩進めたというところを評価する。ただし、今のままではいけませんという、そういう評価にさせていただきました。
 残念ながら、まだ戦略的にこれこれこれでやるんだというところはまだまだ見えていない、それは厳しい状況であります。
【浦辺分科会長】  それでは、宇都委員の後、瀧澤委員にお願いします。
【宇都委員】  海上技術安全研究所の宇都でございます。ちょっとジェネラルな質問なんですけれども、この中間評価の結果というのはどういうふうに使われるのか、つまり、結局、研究の現場に対して最後に今後の方向性ということで書かれていますけれども、これが確実に伝わってフィードバックがあって、来年度以降の研究の方向性を変えるなり、変えないかという、そういうところに着実に使われていくのかどうかというところがちょっとよくわからなかったものですから。
【木島委員】  よろしいでしょうか。もちろん我々も評価する立場であって、ただ意見を言うだけでは済まないと自分では思っておりますし、また、これは着実に、確実に文部科学省からこのプロジェクトに対して知らされて、それで変更してくれと、この意見を聞いて次の2年間きちんとやってほしい、最終評価に反映させてほしいということになります。これは我々もお願いしたいと思っています。
【浦辺分科会長】  それでは、瀧澤委員、お願いします。
【瀧澤委員】  瀧澤です。
 この評価結果について何かということではないんですけれども、5ページ目の(2)有効性の中間より少し下に、最終目的からのアプローチとして、どの政策にどの知見が必要なのか、どの国際機関がどのようにプレゼンスを高めることが必要なのか云々というところがありますけれども、少し皆さん、評価された先生方のフラストレーションがたまっているのかなというのを少し感じまして。というのは、先ほどからの御質問もありますけれども、この問題、北極、この部会ではもちろん研究開発という科学から見た視点というのが主体にはなるわけですけれども、国際的な環境から見るとやはり外交問題であったり安全保障、あるいは経済というところでのさまざまな流動的な衝突が今起きている、そういった理解がまず大前提にあって、その中で科学技術がどういった役割を果たすのかというのをよくよく見きわめなければいけない。今現在わかっているところとしては研究協力ができる、国際協力ができる、科学というものが重要な役割を果たすということと、将来的な政策の合理的な政策決定に向けて、手探りではありますけれども、科学は一定の役割を果たしていくだろうということで今から地道に研究開発を進めていくと、こういうことが必要なんだろうと思いますね。
 そういう外交ですとか経済、安全の問題というのはなかなか把握するのは難しいですけれども、例えば皆さんに御紹介なんですが、来月の2月8日、9日に日本財団さんの方で北極のガバナンスに関するシンポジウムなんか、国際的にさまざまな政策担当の方なんかもお呼びして政策についての会議があって、その中での科学の位置づけというのも何かあったりしますし、あと、今年10月25、26日に、2日目には北極科学大臣会合というのがベルリンで開かれて、日本から閣僚が出るのは唯一の機会ということで、そこに向けて何か発信するかというようなことも今から考えていくのもいいんではないかなと、少し周りの環境との理解がないとなかなか難しい問題ではないかなというふうに感じます。
【木島座長】  よろしいでしょうか。
 今のお話の中で、私は随分端折ってしまって申しわけございませんでした。実は、このフラストレーションがたまっているというわけでもないわけではないんですけれども、その評価委員の中にはそういう政治経済の専門家も加わっておりまして、その方が戦略をちゃんと持ちなさいと。ただし、それを理系の人間には、その国際会議のどこで何があるかわからないから、それに対しては官、いわゆる文科省だけではなくて外務省と、そういうところから情報を得てください、あるいは得られるようなシステムを作ってください。その上で自分も行くし、また、ここにはきちっと書いてあると思うんですけれども、その政府関係者、あるいはその方々も一緒にその会議に出られるように、そういう派遣できるようにしたらどうだろうかという意見は出ておりましたし、以降それはヒアリングのときにそういうことで聞きたいと言ってございます。
 なお、そういう方々は非常に時間が限られている。だから、ここで一番初めに計画していた1週間とか10日とか、一緒に向こうに行って調査をするとか、そういうことはできないので、そういう規定というのではないですけれども、運用の中でそういう変更もしていきたいということは言っておりました。
 なお、北極関連会議の場として、AC(北極協議会)は御存じのとおり、社会的な環境、そういう共通課題を政治的なことも含めて協議をする場でございますので、そこに派遣するということは当然、瀧澤委員がおっしゃっているそういうことを意識してやっていくというということになっております。よろしいでしょうか。大変貴重な御意見ありがとうございます。
【浦辺分科会長】  では、谷委員。
【谷委員】  ありがとうございます、谷です。
 木島先生の非常によくまとめられた御報告、ありがとうございました。
 私、見ていまして、ArCSは非常によい成果を上げておられると思います。ただ、ただと言いますのは、ずっと既に指摘されてきましたように研究としてすばらしいんですけれども、それで北極環境がどうなるか、あるいは北極の周辺の人たちの生活がどうなるかというところに対しては随分いい成果を上げておられると思うんですけれども、今まで御指摘あった、今、瀧澤委員がおっしゃった、その政策に対して何が必要かという観点というのは頭に入れてサイエンスをやっていただく必要があるのかなという気がいたしますので、この報告書の5ページの今御指摘あった部分ですけれども、有効性の1パラの下よりのところです。これは非常に大事な御指摘だというふうに思いました。
 それからもう一つ、これも先ほど御指摘ございましたけれども、人社の連携というのは、取りあえずテーマ7で田畑先生が書いて、こちらの紙に書いてございますけれども、入り口はこうなるんですけれども、人社の課題とサイエンスの課題を融合させる仕掛けが必要なのかなと。今は場所を共有するぐらい、情報を共有するとか、顔見たことあるねみたいなところでとまっているように思うんですが、お互いが持ち寄ったら全然違うサイエンスが始まるのかなという気がいたしますので、そこは優しく書いてありますけれども、もうちょっとシビアに書いた方がいいかなという気がいたしました。ありがとうございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 ほかにも意見あるかもしれませんけれども、私の大変不適切な司会で、ちょっと終了時間が過ぎてしまいました。それで、この細かな点はもう少しあると思いますけれども、全体としてはこういう4-1の評価でよろしいでしょうか。それに委員の方から御指摘のあったその目的意識であるとか、そういうようなところを少し修正をして、この評価結果を修正していくということで、修正につきましては事務局と分科会長に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。異議がないということで、それではこのプロジェクト推進委員会の座長であります木島先生と相談しつつ、ちょっと修正をしたいと思います。
 それで、最後の5番目の議題でございますけれども、ここからについては、現在、総合海洋政策本部で検討されている段階でございますので、海洋開発分科会会議規則の第3条第3号及び第4号に基づいて以降の議事及び議事録は非公開ということになります。よろしいでしょうか。
 それでは、取材・傍聴の方におかれましては御退席をお願いいたします。

(取材・傍聴者退席、議題5は非公開)

【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 大変不手際で、説明を短くお願いしてしまうことになりましたけれども、皆さんの御意見は反映されているということでございました。
 それで、ちょっと皆さんから質問を受ける時間がなくなってしまいましたけれども、先ほどの説明にもありますように、この意見書が3月、4月上旬をめどに決定されていくということだそうでございます。それで、事務局におかれましては、この海洋基本計画の中に海洋科学技術分野の重要な政策が盛り込まれますよう、しっかり調整をしていただければというふうに思います。
 ちょっと時間が延長してしまいましたけれども、これで今日の議題を終わりたいと思います。
【事務局】  すみません、1点、先ほどちょっと御説明が不十分だったところにつきまして補足して御説明させていただきます。
【事務局】  先ほど議題1におきまして、谷委員から御質問があった件について、そこを回答させていただきたいと思います。
 平成29年度予算額、376億円ですけれども、こちらについては補正当時同じ時期に検討されていた平成28年度補正予算は計上されておりませんで、平成28年度補正予算は45.5億円ございました。29年度予算プラス28年度補正予算と、平成30年度予算に29年度補正予算を加えたものを単純に比較すると、約38.4億円、30年度の方が低い状況になってございます。老朽化対策に使われた費用になっておりまして、研究開発の部分に限って言えば28年度補正予算は3.9億円という形になりますので、その部分だけで比較をすると平成30年度の方が約3.2億円プラスになっているという状況でございます。
 以上でございます。
【浦辺分科会長】  よろしいでしょうか。
 それでは、これで終わりたいと思います。



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