海洋開発分科会(第52回) 議事録

1.日時

平成29年5月10日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 分科会長の選任及び分科会長代理の指名について【非公開】
  2. 海洋開発に関する動向について
  3. 海洋開発分科会(第9期)における主な審議予定について
  4. その他

4.出席者

委員

石田委員、宇都委員、浦委員、浦辺委員、榎本委員、窪川委員、白山委員、瀧澤委員、谷委員、辻本委員、津田委員、中川委員、中田委員、花輪委員、平田委員、藤井輝夫委員、藤井良広委員

文部科学省

田中研究開発局長、大山大臣官房審議官、林海洋地球課長、満田海洋地球課課長補佐 ほか

5.議事録

 今回の議事は、分科会長の決定その他人事に係る案件等があったため、科学技術・学術審議会海洋開発分科会運営規則(平成13年4月9日決定)第3条の規定に基づき、開会から議題1までは非公開。

(1)議題1 分科会長の選任及び分科会長代理の指名について
 科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定に基づき、委員の互選により、浦辺委員が分科会長に選任され、また同令第5条第5項の規定に基づき、長澤委員が分科会長代理に指名された。
 また、海洋開発分科会の議事運営等について資料1-3及び1-4を基に事務局より説明があり、委員から特段の意見等はなかった。
 以降、海洋開発分科会運営規則第4条第1項の規定に基づき議事録を公表。

(2)議題2 海洋開発に関する動向について
【浦辺分科会長】  それでは、これより会議を公開にしたいと思いますので、一般傍聴者の入場を許可いたします。
     (傍聴者入場)
 改めまして、おはようございます。ただいま分科会長に任命されました浦辺と申します。
 最近では、やはり日本を取り巻く海の状況も大分きな臭くなってきております。そういうふうな新たな海の状況というものの中で、様々なやることが、やらなければならないことが山積している状況でございます。今日は、様々な分野の御専門に長年関わってきておられる皆様の御意見を、そういう新たな方策に反映するために頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
 続いて、文部科学省の田中研究開発局長より一言お願いいたします。
【田中文部科学省研究開発局長】  おはようございます。文部科学省研究開発局長、田中でございます。
 本日は、第9期の科学技術・学術審議会海洋開発分科会の開催に当たりますので、一言御挨拶をさせていただきます。
 まず、委員の皆様方におかれましては、日ごろよりこの海洋開発分野の研究開発に御理解を賜り、また、本日もお忙しい中、お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。
 前期の海洋開発分科会におきましては、2年間で分科会を9回開催いたしまして、精力的に御議論をいただきました。海洋開発関連施策の事前評価や中間、事後評価に加えまして、特に後半には、第5期科学技術基本計画を踏まえ、海洋分野での当基本計画の具体化、実行及びフォローアップを図るために、「海洋科学技術に係る研究開発計画」を取りまとめていただいたところでございます。
 一方、世界に目を向けますと、平成27年9月開催の国連総会で採択されました持続可能な開発目標(SDGs)では、17の目標の一つとして海洋に関する目標が明記されました。また、海洋開発の重要性が、昨年のG7、伊勢志摩首脳宣言にも盛り込まれたことなど、海洋分野に関する関心はますます高まっているところでございます。
 今後、海洋の持続可能な利用や海洋のガバナンスの議論などが国際的にも進められていく中、海洋立国としては世界をリードするための研究開発を、引き続き着実に推進していく必要がございます。
 また、総合海洋政策本部では、現行の第2期海洋基本計画が、この29年度末で5年を経過するということでございますので、来春、次期海洋基本計画策定に向けて議論を本格化していく予定と聞いております。
 今期の私どもの海洋開発分科会におきましては、こうした海洋における国際的な関心の高まりや、次期海洋基本計画策定の議論を踏まえつつ、引き続き、より効果的、効率的な海洋分野の施策を実施すべく検討を重ねていく所存でございます。
 委員の皆様方におかれましては、これらを踏まえまして、今後とも本分科会において、我が国が取るべき海洋施策について活発に御議論をいただきまして、これからの我が国の海洋開発の姿について御示唆いただきますようによろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議題に移っていきたいと思います。
 議題2の海洋開発に関する動向についてということでございますけれども、今回は、第9期の初回ということで、まず、事務局から簡単に海洋開発に関する最近の動向を説明していただいて、その後、この期でどういうふうな審議の予定があるのか、審議の進め方等について御説明いただければと思います。
 それでは、事務局の方から御説明よろしくお願いいたします。
【事務局】  それでは、事務局から最近の政策的な状況について、資料2-1から2-5に基づきまして説明をしたいと思います。以前から委員を務められている方にとっては、ちょっと繰り返しになる部分もあるかと思いますけれども、本日は新しい方もいらっしゃるので、そういうことも含めて説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料2-1でございます。平成29年度の海洋関連予算、これは案ですけれども、要は、文部科学省、うちの課で持っている海洋科学関連予算ということになります。これは平成29年度の予算枠は全部で376億円と、昨年度は384億円ということで若干8億円ほど減っているのですけれども、実は、南極地域観測事業のところにちょっと書いてありますけれども、今まで造っていたヘリコプターを造り終わったことで、当然のごとく24億円減ったという部分がございますので、実質的にはほかの部分については増えて、充実した予算になったと思っています。この中で、海洋研究開発は、我々、国立研究開発法人としてJAMSTECという法人を持っておりますけれども、JAMSTECの運営費交付金も306億円から317億円と11億円の増額ということになってございます。
 中身については、大きく4本の柱で今年度は整理をさせてもらっていますけれども、1本目の柱が、国土の強靱化に向けた海底広域変動観測ということで、南海トラフを中心に海底地殻変動を連続かつリアルタイムで観測するシステムの開発整備とともに、新しく造った「かいめい」といった船を活用して海底震源断層の広域かつ高精度な調査を実施し、それを国土の強靭化につなげていくといったもののために121億円と、前年度に比べて7億円の増ということになってございます。
 その右側が、統合的海洋観測網の構築ということで、これは、後から研究開発計画のところにも出てきますけれども、G7等々の議論の中で、ガバナンスの確立、特に海洋はいろんな環境が変化している中で、生態系への影響をきちんと見ていかないといけないと、そういったような生態系への影響を図るセンサーの開発等も含めて、フロート、ブイ、船舶、そういったものの統合的な海洋観測網を構築し、これをデータセットとして構築、発信していくと、こういったようなもののために31億円、これは前年度と比べると2億円ぐらい増額をしていると、こういうことになってございます。
 左下になりますけれども、北極域の研究の戦略的推進ということで、最近、特に世界的にも大きな注目を浴びている北極について、研究面できちんとやっていくとともに、いろんな先端的な研究船の調査研究も含めて先端的な技術の開発をしていくと、こういうもののために10億円、これも約1億円の増ということで、北極域の研究開発に予算がついてございます。
 最後に、南極地域ということでございますけれども、これは南極地域観測計画に基づいて、毎年「しらせ」でもって昭和基地に行って、そこでいろんな活動をしていると、こういう活動のために45億円と、これが先ほど申しましたヘリコプターの減額があるので、実質的にはちゃんと必要な活動というだけの予算を獲得しているということでございまして、総額としては376億円ということになってございます。
 それらの詳細については、その次のページ以降に書いてございますが、時間が限られておりますので今回は省略をさせていただきたいと思います。
 これが、資料2-1の予算の概要でございます。
 次は、資料2-2で、海洋科学技術に係る研究開発計画ということで、これは前8期のときの海洋開発分科会、昨年度に何回か御議論をいただきまして策定をしたものでございます。
 趣旨としましては、第5期の科学技術基本計画というのができたのを踏まえて、それをその科学技術基本計画と、あと、海洋の分野には海洋基本計画というのがございますので、そういった基本計画を文部科学省として推進していくために、どういうことをやっていったらいいかというようなことをまとめたものが、この研究開発計画ということになってございます。
 それで、概要で簡単に説明させてもらいますが、最初に基本的な考え方ということがございます。参考資料1として冊子も用意させていただいていますけれども、最初に、はじめにというところで、人類と生命、経済活動等を支える海ということで、海といろんな関わりを述べた上で、その上で海が変化してきている、このはじめにの真ん中のマルのところにありますけれども、海洋の環境というものが、海水温の上昇でありますとか、海洋酸性化でありますとか、そのように急激に変化していて、海洋をこれからもきちんと開発・利用していくためには、こういった科学的な根拠に基づいたガバナンスというものが世界的な課題になっていると、こういうようなことでございます。
 その上で、そうは言っても、海洋というのは非常に大きくて、なかなか複雑な現象がありますので、よくわかっていないことも多いということで、海洋に関する科学的知見の充実、あるいはその状況、現象を理解・解明して、持続可能な開発・利用、あるいは安全・安心の確保に貢献していくと、こういう海洋科学技術の必要性というものをうたっております。
 そして、(2)で、我が国における海洋科学技術を取り巻く政策状況ということで、我が国は海が重要ということで、海洋基本法というものができ、それに基づいて海洋基本計画があると、さらに、科学技術という観点からは科学技術基本計画というものもあり、これが28年1月に策定をされて、特に海洋については国家戦略上重要な科学技術ということで、長期的視野に立って継続して強化していくというようなことも明記されているというようなことでございます。
 資料を次にめくっていただきますと、基本的な考え方ということで、国際的な状況というものが簡単に書いてあります。最近定められた持続可能な開発目標、いわゆるSDGsというものの中には、Goal14ということで、持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用すると、こういった合意が定められておりますし、昨年開かれたG7、日本で開かれたG7では、科学技術大臣会合の一つのトピックとして海を取り上げ、さらに、首脳宣言の中でも言及されていると、また、世界的に注目を浴びている北極に関しては、アメリカ主導の下、昨年度の9月に北極科学技術大臣会合というものも開かれている、こういった国際的な状況がありますし、主要国のいろいろな政策の動向というのも(4)に書いてありますけれども、海洋の開発・利用、これを経済発展の原動力としつつも、最近では特に海洋環境や生態系の保全・管理の重要性、こういったものが指摘されていると、そういうようなことを踏まえて、(5)に書いてありますけれども、ガバナンスの実現、あるいは産業競争力の強化、こういったものに向けて、海洋科学技術分野におけるイノベーションの創出、これらを目指すために研究開発計画を作って、第5期科学基本計画、あるいは海洋基本計画の具体化、実行、フォローアップを図っていきますと、こういった趣旨が書いてございます。
 次のページ以降は、重点的に推進すべき海洋科学技術分野ということで、具体的なものを記載しております。まず、本計画の構成ですけれども、科学技術基本計画、あるいは海洋基本計画に書いてあるものを大目標として、それを達成するために文部科学省がどういう中目標を立てて、どういう具体的な取組をするかと、こういう記述にしております。
 そして、ここ3ページ目に書いてあるのは、科学技術基本計画の中には、いろいろ海洋に関することがたくさん書いてあるのでございますけれども、特に全体的な話として、海洋科学技術は、さまざまな経済・社会的課題への対応等に加えて、我が国の存立基盤を確固たるものとするものというようなことで、国家戦略上重要な科学技術として位置づけられると、こういうような位置づけが科学技術基本計画の中でなされておりまして、これをどう具体化していくかということになるのですけれども、先ほども申しましたけれども、海はいろいろな形で課題活動に関わっているので、それをある程度幾つかの分野に分けて、下に書いてありますけれども、5分野に分けて、柱を立てて整理をしたというのが今回の研究開発計画でございます。
 4ページ以降は、その柱ごとに具体的に何をするかということが書かれてございます。全体を全部説明するのはちょっと時間もないので、最初の方で全体の構成を説明いたしますが、最初に1番目に書いてあるのは、先ほどもありましたが、国際的にもだんだん重要になってきているガバナンスの強化ということで、この中も二つに分かれています。一つは、特に最近重要になっている生態系の保護と、生態系がどう変わってきているか、そういった観点から生物多様性の損失防止、これは科学技術基本計画に書いてある目標に沿った形で生物多様性の損失防止というふうに書いてありまして、それを踏まえて文科省としての中目標ということで、海洋環境の変化の把握であるとか、生態系への影響解明、海洋資源の管理、保全及び持続的利用、国際的なルール作りへの貢献、こういうものを中目標とし、それぞれアウトカム指標、アウトプット指標というものを作り、それに対して研究開発の取組としてどうしていくかというのが、右側にマル1からマル5、例えば、データを取得する、計測技術を開発するというような話、そういったデータを基に生態系の機能等との解明に資する研究開発をしていくと、そういった研究開発をベースに、今度はそういうのを管理・利用する、そういったものの技術と、さらに、地震があって、津波とかで被害を負った場合、その回復過程を解明していくということと、最後、昨今のガバナンスの強化ということで、特に生態系の情報などが更に必要となったときに、そういったものをとっていくような革新的な技術開発、こういったようなものをしていくということを取組として整理をさせてもらっているところでございます。
 次に、1ポツの大きな柱の2番目としては、今度、地球規模の気候変動への対応ということで、これは科学技術基本計画等に書いてある目標に即して整理をしていって、大目標、中目標、研究開発の取組と、この研究開発の取組としては、海洋の総合的観測と気候変動への影響という海洋そのものと、最近特に着目されている極域というものに分けて取組を整理しているところでございます。
 次のページ、5ページにいきますと、柱の2番目、3番目ということで海洋資源の開発・利用、海洋資源では、エネルギー・鉱物資源と生物資源とに分けて記述をしていますけれども、文部科学省としては、そういうものに対して基盤的な基礎的なところに取り組んでいくということで、研究開発の取組を整理していると、また、海洋由来の自然災害への防災・減災ということでは、特に地震、津波に着目をして研究開発の取組を今後進めていくということで整理をさせていただいております。
 そして、次のページ、6ページになりますと、4番目、5番目の柱ということで、これはいろんな海洋の方もさまざまな課題を支える基盤的な技術、基礎的な研究ということになってきますけれども、4ポツで基盤的技術の開発と未来の産業創造、特に、海洋技術分野ではイノベーションの創出ということが非常に重要になっておりますので、海洋からもいろんな先端的な技術をイノベーションにつなげていくというようなことで4ポツでは書いてございます。特に、いろいろな最先端の調査・観測・利用技術、そういったものの開発・利用し、さらに、海洋ビッグデータ、こういったものを整備・活用して運用していくと、そういったものをベースに海洋科学技術イノベーションを創出していくというのを中目標に掲げ、それぞれ研究開発に取り組むというものを掲げているところでございます。
 5ポツが基礎的研究の推進ということで、科学的な知見、複雑で広大な海洋の科学的な知見が不足しているところもあるということで、そういったことをきちんとやっていきましょうというのが5ポツに書いてあるところでございます。
 そして、次の7ページにおきましては、人材育成やオープンイノベーションの推進、あるいは国家安全保障分野での活用、社会との関係強化、省庁の連携、国際協力、そういったものについて幾つか留意すべき事項を推進方策として研究開発計画に書いているところでございます。
 研究開発計画は以上でございますが、今後また後で議論になりますけれども、第9期のこの分科会においては、この研究開発計画をどうフォローアップしていくかと、こういうことが大きな柱になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、資料2-3にいきますけれども、今度は海洋政策の状況ということで、次期海洋基本計画の策定ということが今進められている状況を御説明したいと思います。
 これは、平成29年4月の総合海洋政策本部会合で出されている資料でございますけれども、その1ポツ概要趣旨のところに書いてありますように、海洋基本計画というのは5年ごとに定めるということで、現行の第2期海洋基本計画を平成25年4月に策定しておりますので、30年度から第3期に入るということで、今年度、平成29年度に第3期の海洋基本計画の策定に取り組んでいきますということでございます。どういうふうにして取り組んでいくかというのが2ポツに書いてございますけれども、まず、海洋政策本部の参与会議が、次期基本計画の策定に向けた論点整理等について意見書をまとめて、これが内閣総理大臣に提出されています。概要が裏の別添1というものに書かれていまして、全体は参考資料2として冊子をお配りしていますけれども、この参与会議の提唱としましては、次期の海洋基本計画の主要テーマとして4件、海洋の安全保障(海洋に関する広義の安全保障)、海洋の産業利用の促進、海洋環境の維持・保全、海洋人材の育成、そのほか、こういうものを支えている重要なテーマとして海洋観測、海洋科学技術、国際連携・国際協力、北極政策等が主要テーマの候補として挙げられ、そういったテーマについて、下に書いてあるような検討体制で、参与会議の下に基本計画委員会という全体をまとめる委員会を置き、それぞれのテーマで安全保障、産業、環境、人材、こういったPTを作り、そこで議論をして全体をまとめていくと、こういったような体制で検討していくのがいいのではないかというようなことが参与会議の意見書としてまとめられているところでございます。
 そして、1ページ目にございますけれども、2ポツのところで、この意見書につきましては、総合海洋政策本部としては、そういったテーマにつきまして、昨今の情勢等を鑑みれば時宜を得たものであると考えられるということで、これをベースにして議論をしていってくださいと、3番目のマルに書いてありますように、参与会議が今年の秋に予定している基本計画の基本的事項に関する提言を踏まえと書いてありますが、参与会議が基本的事項を秋までに取りまとめると、先ほどの体制によって取りまとめると、こういった提言を受けて、その後、関係省庁では計画案を作成すると、実際は、参与会議の方でまとめた提言を、ほとんど直すことなく行政として基本計画としていくだろうと思いますので、参与会議、その下に置かれたさまざまな委員会、PT、そういった議論で実質は決まっていくと、こういうことになっていくかと思います。
 そして、来春を目途に次期海洋基本計画を閣議決定することを目指すということで、本年度、29年度は、海洋政策本部で、こういった海洋基本計画の取りまとめというものが行われていくということでございますので、また、こういうものに対して 後ほど意見をいただきたいと思っております。
 次に、2-4と2-5にいかせていただきます。
 2-3は、海洋政策の動向でございましたけれども、2-4、2-5は、今度は科学技術政策、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの方の動向でございます。
 先ほども申し上げましたように、平成28年度、昨年度1月に第5期科学技術基本計画を閣議決定し、その後、そういうものをさらに具体化していくというようなことで、特に官民投資拡大をしていくということのために、昨年度に経済財政諮問会議と総合科学技術・イノベーション会議が合同で経済社会・科学技術イノベーション活性化委員会というものを設置して、昨年の12月に最終報告を取りまとめていると、この中で、三つのアクションが下の半分に書いてありますけれども、予算編成プロセス改革アクションと研究開発投資拡大に向けた制度改革アクションとエビデンスに基づく効果的な官民研究開発投資拡大アクションと、こういった三つのアクションで科学技術基本計画に書かれていることを具体化していくというようなことになってございます。
 特に、予算に関係するような予算編成プロセス改革アクションのところでは、今、SIPという施策がございますけれども、それに加えて推進費というものを導入していくというのが大きな柱となっていまして、そのために官民で民間投資誘発効果の高いターゲット領域を策定し、それに策定された領域については内閣府からも事業費を一部出し、官民の研究開発を活性化していくと、こういったようなことがこの最終報告書で取りまとめられているところでございます。これは、昨年度12月に取りまとめられたもので、CSTIでは、この報告書を踏まえて、1月から4月にかけて、この予算編成プロセス改革アクションで書かれているターゲット領域をどこにするかと、こういったような議論がなされてきました。その結果が2-5になるわけですけれども、2-5で総合科学技術・ノベーション会議で定められた官民研究開発投資拡大プログラムにかかる研究開発投資ターゲット領域というものを定めていただくと、これに対しては、各省庁からの意見、あるいは経済界も経団連とCOCNといった団体が、どういったものをターゲット領域にしていったらいいかというものをいろいろと提案をして、それを踏まえてターゲットを決めたと、文部科学省の中では、海洋開発というものも出してはいるのですけれども、そういったものを踏まえて議論した結果、平成30年度につきましては、AI、IoT、ビッグデータといったサイバー空間基盤技術や、フィジカル空間基盤技術、これには、物理空間のセンサー、アクチュエータ、ロボティクス、光といったものが含まれますが、あとは、分野としては、建設・インフラ維持管理技術、革新的防災・減災技術、こういったものがターゲット領域と定められて、来年度の予算については、こういったものを中心に官民拡大の活性化を図っていくということになっております。
 また、その下に平成31年度以降に設定することが望ましいターゲット領域ということが書かれておりますけれども、そこにもデータベース、ICTプラットフォーム、蓄エネルギー、自動車、ものづくり、食料うんぬんと書いてございます。このように定められていまして、ちょっと残念ながら海洋という言葉は出てはいないのですけれども、全く関係ないというわけでもないので、今後、こういったものを踏まえて、少し我々としても検討していかなければということでございます。
 1枚目以降をめくっていただくと参考で書かれておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、そこの2ページを見ていただきましたら、民間、経団連やCOCNからの提言なども踏まえ、あるいは各省庁間の政策の検討、そういったものも踏まえて、最終的にはこういうふうに決まりました。今、CSTI、科学技術政策として重点というのが、こういうような形で動いているということでございます。
 資料の説明は以上でございます。
【浦辺分科会長】  御説明いただきありがとうございます。何か質問等ございますでしょうか。
 今の御説明の中にもありましたとおり、第8期にやりました海洋科学技術に係る研究開発計画のフォローアップと、それから、次期海洋基本計画へどういうことを盛り込むかというのが議論の中心になりますので、それを次の3ポツで話し合おうと思いますが、ちょっとわからなかったとか、ここはどういうことでしょうかというのがありましたら、お願いしたいと思います。
【中川委員】  日立の中川です。
 本分科会、初めてなもので、ちょっと先ほどの海洋基本計画の策定のプロセス、御説明があったかと思うんですが、その参与会議の下に基本計画委員会なるものが作られるというようなことですけれども、それと、ここの海洋開発分科会、この関係というのはどういうふうになるのでしょうか。つまり、基本的にそこにインプットしていくというような形になるのか、それとも、この参与会議というところと同時並行的に分担をして、運用を決めていくということになるのか。どういうふうな形になるのでしょうか。
【事務局】  海洋基本計画は、海洋開発分科会とはまた別の組織体、内閣府にある総合海洋政策本部の事務局が作ることになりまして、その本部の下に参与会議やこういった基本計画委員会というものが設置をされていますので、基本的には文部科学省とは別体系で議論をするということにはなってきますけれども、今、海洋政策本部からは、例えば、基本計画委員会であるとか、この下に書いてある小委員会、PTなんかについては、関係省庁の方も出席して、メインテーブルに座って御指摘等もいただきたいと言われておりますので、その議論の中で出ているところについてはインプットしていくことになるかと思います。特に、テーマの中で海洋科学技術というのも挙げられていますし、今後、多分議論をしていく中で、文部科学省としての取組とか、考え方とか、ヒアリングされるような場も、もしかしたら出てくるのかなと思っておりますので、そういうときに、ここでの議論をベースにして、文部科学省としての意見を言っていくということなのかなと思っております。
【中川委員】  なるほど、つまり、基本的にはここで議論した内容をインプットしていくと、特に分野的には海洋科学技術であるとか、あるいは、ここの産業利用のための技術であるとか、そういったところになるという理解でよろしいでしょうか。
【事務局】  そういうことです。あとは、これはちょっと正式な話ではないのですけれども、浦先生は両方、参与も兼ねてられておりますので、ここの議論を適時言っていただけるということも期待はしています。
【中川委員】  ありがとうございました。
【浦辺分科会長】  ほかにございますでしょうか。谷委員。
【谷委員】  GEBCO指導委員会の谷でございます。
 私も新参者でございますので、ちょっとよくわからないことがございますので、自分の座っているこの立ち位置が何だかよくわからないのでお伺いしますが、海洋開発分科会がどういう位置にあるかということについて、緑色の資料にあったので申し上げます。文科省の設置法の中にあって、この中に、「文部科学大臣又は関係各大臣の諮問に応じて海洋の開発に関する総合的かつ基本的な事項を調査審議すること。」が7条1項3号に書かれてございます。
 今日御説明をいただいた冒頭、資料の2-1ですが、29年度の海洋関連予算ということで、総合的な、基本的な御説明をいただいたと思うんですけれども、これは文科省の予算だと承知しております。私どもは文科大臣から辞令をいただいているので、文科省の海洋に関する議論をするのか、あるいはもう少し広い視野、先ほど中川委員からお話ございましたけれども、総合海洋政策本部でやっているような、制度全体を見渡したレベルの議論をする場所なのかというところがよく見えないんです。私は、どちらでもいいのですけれども、これは座っている場所はどちらなんでしょうかというのが質問です。
【事務局】  経緯から申し上げますと、もともとは確かに海洋開発審議会がございまして、省庁再編になったときに文科省の分科会と視点を変えていたと、確かに、制度全体を見渡して海洋開発について審議するといった委員会でもございますけれども、省庁再編のときに、まず一つ科学技術の分野では全体を見渡すCSTIというものができましたと、もう一つ、その後に海の分野でも海洋本部といって海の関連から全体を見渡すものができたというような状況の中で、同じことをやっていても余りメリットもないので、最近は、どちらかというと、文部科学省の我々がやる研究開発やプログラムの策定、そういうものについて意見をいただく場として、我々は活用させていただいております。
 ただ、必要に応じて、もちろん文部科学省の所掌事務としては全体を見渡すという事務もありますし、例えば、南極事業なんかでは全体を見渡してやっているという事務もありますので、そういうものが必要あれば、こういうところで議論して我々の政策として受け入れる、そういうものはあると思います。ただ、今の中心は、CSTIの海洋本部との中の関係で、文部科学省としてどう対応していくのがいいかというのを中心に意見をいただいていると、そういうことでございます。
【谷委員】  ありがとうございました。大変よくわかりました。
【浦辺分科会長】  ほかによろしいでしょうか。
 では、実際に今、谷委員から御発言のありましたようなことも、次の3ポツのところでまた具体的に議論を進める中で検討していければというふうに思います。

(3)議題3 海洋開発分科会(第9期)における主な審議予定について
【浦辺分科会長】  それでは、議題の3、海洋開発分科会(第9期)における主な審議予定についてというところで、事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料3-1と3-2について御説明をいたします。
 まず、第9期、今期の審議予定に入る前に、参考までに第8期はどういうことをやったかというのが資料3-1にございますので、簡単に触れさせていただきます。
 第8期、2年間でございますけれども、期間中に9回開催しまして、報告書的なものにつきましては、海洋生物、北極、深海探査、こういったものを、小委員会を設置しまして報告書を作ったということでございます。特に、北極、深海探査、そういったものを含めて、29年1月には、先ほども説明しましたが、第5期基本計画を踏まえた、その計画の具体化、実行、フォローアップを図るために、10年程度を見通して、5年程度以内を対象期間とした研究開発計画と、こういうものを定めてもらったということでございます。
 そして、分科会の下には、そういった議論に応じて、委員会というものを置くことができまして、前回の期には、海洋生物委員会、北極研究戦略委員会、裏にいきまして次世代深海探査システム委員会と、そのほかにも深海掘削委員会、海洋鉱物委員会とありますけれども、こういった委員会を置いていろいろ議論をいただいたと、こういうことでございます。こういった第8期の活動実績なんかも踏まえながら、第9期に何をどうしていくのかというようなことを資料3-2で書かせていただいております。
 現時点で、今、小委員会を設置するということはまだ考えておりませんで、大体やることとして考えておりますのは、平成29年度、これは大体4回から5回開催を予定しておりますけれども、まず一つ目としては、これは毎年大体やっておりますが、新しいものを要求するときには、施策の評価というものをやりますので、8月に多分、新しいものを出せるような状況であると事前評価をしてもらうと、こういうものは出てくるだろうと、これは大体毎年やっていることでございます。
 その後が、第9期特有の話になってきますけれども、先ほども申し上げました海洋基本計画というものが策定時期に入っておりますので、そういうものに盛り込む海洋科学技術の施策についてどう考えていったらいいかというような点、基本的には、研究開発計画を作っていただいていますので、そういうものをベースに我々として対応していくと思いますけれども、海洋の分野は海洋の分野で、また違った面からのトピックスが設定をされてもいますので、そういうものについてトピックス化というものもあるかと思います。
 次のポツに書いてありますのが、研究開発計画、先ほど研究開発計画を御説明いたしましたけれども、そのフォローアップというものが入ってくると思っております。一つは、これはマル1に書いてあるように主要施策の進捗状況の把握ということで、これは政策の全体を体系化といった方が新しいかもしれないのですけれども、まず頭に科学技術基本計画と海洋基本計画があり、それを文科省としてどうするのかというのが研究開発計画になっているわけですけれども、それの研究開発計画に書いてあることに対して、我々は今、具体的にどういう施策、どういうプロジェクトをやっていって、それがどういうふうに進んでいるのか、指標なんかも設定していますので、そういう指標等とも照らし合わせて、どういうふうに進んでいるのかというようなものを、進捗状況を把握できるような施策体系を作っていくと、フォローアップ体系を作っていくというのが一つあります。我々はよくマッピングとか言っているのですけれども、政策に対してどういう施策があって、それがどう動いているか、そういう資料を次回以降、我々の方でちょっと用意して、議論をしていただこうというふうに思っております。これは、今までやっていなかった話でもありますので、どうやってやるんだという議論があった後に、実際施策がどう進んでいて、良いとか悪いとか、足りない部分があるとか、そういった議論というのは毎年定期的にどこかでやっていくというようなことになるのかと思っています。
 フォローアップの2番目としまして、実は、研究開発計画の中で、今後検討を具体化していくというふうに書いてあるような項目が二つありまして、それを今後、予算要求等に向けて少し具体化をさせてもらいたいということでございます。
 一つは確固書きの中に書いてありますように、海洋空間ガバナンス強化と有効利用に資する革新的な観測・計測技術ということで、海洋空間における海洋生態系、あるいは海洋環境の状況を的確に把握するためのそういった技術を検討し、具体化していくというような部分と、もう一つは、科学技術基本計画に書いてあるようなSociety 5.0の実現に向けた海洋産業の高度化に資するような研究開発ということで、これは我々文科省の基礎基盤の部分になるのですけれども、他省庁、あるいは産業界なんかとも連携を図りながら、先ほど官民投資拡大の話がありましたけれども、ああいうものの玉になるような、そういったプロジェクト、施策なんかを検討し、具体化を図っていく、こういったようなものが、この前作った研究開発計画の中の、ある意味宿題事項になっていますので、これらについて少し意見をいただきながら、我々としても検討、具体化していくと、こういったものが平成29年度にあるのかなと思っております。
 平成30年度は、29年度の状況に応じてまた変わってくると思いますけれども、特に今の時点でやらなければいけないと考えられているのは、先ほども言いましたように新規施策の事前評価ということと、もう一つ、今年度に終わる海洋鉱物資源広域探査システム開発というプロジェクトがありますので、その事後評価と、あとは研究開発計画のフォローアップ、年度が変わりますので、29年度はどこまで進んだと、こういったようなフォローアップがあるかというふうに考えております。
 裏面にいきますと、29年度のそういった検討事項を少しスケジュール的に落としていますが、今回やり始めて、6月、8月、10月、1月ぐらいで、先ほど言ったようなことを、事務局の方でも少し資料を用意して議論をしていただこうと思っております。特に、8月には、新規施策がある場合には、昨年度もやりましたけれども、事前評価をしていくということです。あと、秋に向けては、海洋基本計画が、どんどんその内容や議論の状況が進捗していきますので、そういった状況も踏まえながら、海洋基本計画に盛り込むような対応の話というのもあるだろうと思っております。資料3-2は以上でございます。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございました。
 ここで、大分、先ほど谷委員の御質問にありましたけれども、どういうことをすればいいかというのが非常に具体的に書かれているわけでございますが、例えば、資料3-2ですと、今年の平成29年度は四、五回開催予定で、一番初めに書いてある事前評価は、これは一般的に事務的にすることですけれども、あと二つ、次期海洋基本計画に盛り込むべき海洋科学技術の重点的施策についてというのは、これはある程度、日本全体で、ここではやはりさまざまな専門家がおられるので、海洋基本計画の中に入れることを、それぞれ総合的、また、専門的に考えていただく。その次のポツは、海洋科学技術に係る研究開発計画のフォローアップということで、これは文科省で決めたことです。それの、先ほども話がありましたように、どのように進んでいるか、進捗をどう把握するかということで、政策強化に関わるフォローアップをどうやっていくのかということと、大きく二つ検討してくださいというのが今回の任務だと思います。
 それで、前の方の海洋基本計画については全体ですけれども、後ろの方のフォローアップについては、もう一度資料2-2をちょっと見ていただきますと、例えば、4ページを見ますと、1番目に極域及び海洋の総合的な理解とガバナンスの強化というのがありますが、そこの青く書いてある四角の上の方に大目標というのがあります。これは生物多様性の損失防止ということで、こういうのは例えば第5期の科学技術基本計画の中に書いてある、国としてやるべき大きなテーマ、大目標になりまして、その下に中目標、これが文科省の中でやることの一つの目標になって、そして、そういうことをやる中で、指標としてはアウトカムの指標、アウトプットの指標、アウトプットの指標の方は、データ取得、論文発表とか、これは今までやれていた指標ですけれども、アウトカムの方は、例えば、この場合ですと、海洋環境変化が海洋生態系へ与える環境に関する知見の活用、政策的議論の反映、そういうふうな例えば国際的なルール作りへの貢献等で、どれだけの費用がかかるということを確かめるというか、それをフォローアップしてできているかどうかをやるというふうな形になります。その横の研究開発の取組マル1からマル5が書かれていて、これらは具体的にこういう研究計画でやっていきますよということですけれども、これらについて実際にアウトカムが出ているのかどうかというフォローアップをする。これはこの取組は文科省の取組ということなので、大きく大目標を見ながら、具体的にやっていくものがマル1からマル5に書かれて、こういうものもフォローアップしていく、そういうふうなことになると思います、これは個人的な感想ですが。
 それで、その二つのことを我々は今議論してくださいというふうに言われているということですが、大体これは個人的な理解ですけど、おわかりいただけましたでしょうか。
 それで、その下を見ていくと、その資料3-2の下、必ずしもこれに限定する必要はないとは思いますけれども、一応事務局の方で資料を作っていただいているのは、マル1で海洋科学技術分野の主要施策における進捗状況の把握、これは今説明がありました。それから、マル2が重点的に推進すべき研究開発課題に係る検討ということで、ここでは二つの例が書かれています。先ほどの資料2-2の中に入っていた件ですけれども、一つが海洋空間のガバナンス強化と有効利用に資する革新的な観測技術の検討具体化が一つ、それから二つ目が、これは柱の四つ目に書かれていたSociety 5.0の実現に向けた海洋産業の高度化に資する研究開発の検討具体化、この二つの例がここに書かれていて、これが今年やるべきことというふうになっているようです。
 まず、そこら辺のところからちょっとそれぞれの方に御発言いただければと思います。時間は十分にございますので、皆さんが、全ての方が、それぞれの御専門から発言していただけると非常にありがたいないうふうに思っています。
 それでは、前回から委員でおられる方から、あいうえお順で発言をお願いしたい。最初は、浦さんが、あいうえお順でいくと、前回からの委員なので、発言がしやすいと思うので、その後、新たに委員なられた方から伺いたいと思います。
【浦委員】  2年前も同じように、あいうえお順番で1番目に長々と言ったので、よかったかなと思って反省しているのですが、今日こういうことで1番になるとは思わなかったのですが、浦でございます。
 幾つか重要な今後の対応策において、海洋科学において、私は、ちょっとお話のありました総合海洋政策本部の参与をしていて、いろいろ議論申し上げているのですが、文部科学省として取り上げていくべき非常に重要なのは、やっぱり学術、あるいは基礎となる技術の開発ではないかというふうに思っております。それで、そのフロンティアとしては、深海とか、あるいは生物、北極、いろいろなものがあると思うんですけれども、技術的に最近格段に進歩しているというのは、先ほどちょっと浦辺さんも話をしていた、藤井輝夫先生も関係があるのですが、ゲノム解析による生物の調査、これは実は、これも文部科学省の下にあるCRESTで小池先生のやっている生物多様性の技術開発というところでプログラムをやっているのですけれども、ゲノムシーケンス解析が非常にスピードが上がって、生物の同定なりということが、あるいは分布の測定という技術が格段に、ここ数年の間に進歩しているんじゃないかというふうに私は思います。
 さらにもう一歩進めば、自分たちでもやっている海中探査ロボット技術、つまりプラットフォーム技術ですけれども、プラットフォーム技術も非常に、ここ10年、20年スピードが上がっています。
 それから、もう一つは、行きづらいところ、北極圏も挙がっているのですけれども、北極圏の氷の下の生物相なんてどうなっているでしょうかというのは誰も知らない、ほとんど知らないと言った方がいいんじゃないかと思いますし、深海生物とかもそうです。
 それから、先ほど申しましたCRESTの小池先生のプログラムでも、30メートル、ダイバーが潜るよりも深いところの200メートルぐらいのトワイライトゾーンの研究というのも非常に遅れていて、それはゲノム解析や何かで新しい生物的な観測指標ができていくのではないか、そういうことに関して、イニシアティブ、大きなテーマの中で新たな観測技術、計測技術、計測手法、あるいはそれを支えていくバックグラウンドになるデータベースの構築といったようなもののボトムアップ的なものの考え方をトップダウンで聞いていって、発展させるというようなプログラムが非常に重要じゃないかなというふうに思います。
 その一つの例としては、先ほどちょっと会長からお話があった、海の先進技術の一つ、基盤ツールというのを10年やっていて、それが2期目として終わっていて、来年どうしようかという議論がいろいろあると思うのですけれども、これはもともと基盤ツールという名前になっているので、いかに基盤が大切かということになります。この基盤ツールを10年やっていたことの主要なテーマは音響技術だったと思うので、これを始めるときに、日本における音響技術というのは世界的にもうどんどん遅れてきてしまっているという、ここ20年遅れてしまって、ほとんどの音響装置は海外物になっているので、それを支える音響研究者というのが大学にもほとんどいなくなってしまって、絶滅危惧されていると、しかし、これは海洋の科学の基本としての技術、私としては成功しているのかなと思います。
 そういうふうな、先ほど谷さんから御発言がありました文部科学省、つまり、科学、サイエンス、あるいは技術の基礎という観点を広げていくようなプログラムを推進していただきたいなと思います。
 以上です。
【浦辺分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに、もしなければ、またあいうえお順で、まず一巡ということになりますと、窪川委員ですが。
【窪川委員】  私は、今、浦委員の御発言に大変感動しました。私は海洋生物学も専門でして、浦先生からは真っ先にAUVのお話かと思いましたら、ゲノムというお話をお伺いしまして、実は、私もゲノム及び遺伝子に関しまして、大変便利な、遺伝子が便利なツールになりつつあるということで、それを水産資源、あるいは生命科学の分野で大いに利用しているところを、海にもっと特化したような形で何か使えないだろうかと。
 それは、一つには、そういう遺伝子、微生物も含めて、そういったものを入手する方法の開発も大変重要で、それは恐らく現場での入手という基礎的な技術になってくると思います。その開発は、海という特殊な環境で遅れているという現実なので、そういった基礎技術の開発があると思います。それと、今はゲノムだけではなくて、機能に重要な遺伝子もたくさんございますので、RNAなど生命科学、海洋生命科学のもっと高度なところを目指すような、ポストゲノムと言われるところまで目指す基盤、基礎科学と技術の開発があったら、日本は結構トップレベルに行けるのではないかと思っているところです。
 そのためには、データの利用は大変で、たくさんデータがたまってきているところですので、それをいかに利用できるかという開発がすごく重要だと思います。
 あと、もう一つ専門にしているのが人材育成で、それを考えられる人材、海洋科学の若い研究者あるいは小さいときから海に関心を持って研究者になろう、技術者になろうという人々の育成はすごく大事であると思っています。
 以上です。
【浦辺分科会長】  ありがとうございました。では、白山委員、お願いします。
【白山委員】  白山でございます。
 私の立場は、海洋地球課所管法人の一番のスペックのプラットフォームを保持している立場であることからいうと、やっぱりどうしても予算のことが頭から離れないわけですが、海の科学技術ということを考えたときに、船を使うか、ロボットを使うかというのが、あるいはセンサーを使うか、衛星を使うか。プラットフォームをどうやる、何を選び、それぞれのプラットフォームにメリット、デメリットがあり、コストパフォーマンスみたいなものも当然出てくるということを考えたときに、いかにして船、船が多分コスト的には一番かかるのですけれども、必要な船はきちんと維持をした上で、それを100%利活用するためのサイエンスをどう考えるかというのが重要で、ロボットにしても、そういう面から、つまり24時間フル対応で、今までの観測ではこれだけのことができたけれども、新しいロボットを造るともっとこれだけできますとか、そういうようなイメージを少し持ちたいなと思っております。
 特に、eDNAの技術開発とかも、船が行って水をとらない限りはeDNAの分析はできないわけですから、現状では、それが例えばAUVを展開して、広い海域から多数のサンプルをAUVがとってくるというようなものとか、あるいはもうちょっと、少し夢物語的ではありますが、現場でeDNAのデータがとれちゃうとか、そういうことになれば随分話が違うというか革新的なものになるんじゃないかと思いますので、そういう、同じコストでより大きな成果が出せる海洋科学の技術とは何だろうというようなことを考えたいというのが一つでございます。
 それから、もう一つは、やっぱり水の中だけでなくて、海底とさらにその下というのも海洋学としては非常に重要な対象であり、フロンティアでもあるということで、特に世界で1隻しかない「ちきゅう」という船を、どれだけサイエンスに活かすかということについても、是非しっかり考えていきたいというふうに考えているところです。
 以上でございます。
【浦辺分科会長】  それでは、科学ジャーナリストのお立場から、瀧澤委員、お願いします。
【瀧澤委員】  海洋に関する、海洋を隣で見ている者として、課題は大きく二つあるのかなというふうに最近感じていまして、一つは、やはり持続可能な開発とか、保全利用を考えたときには、海洋の中の生態系の知識がまだ不足しているということで、それについては、例えばJSTのCRESTなんかで、新たな挑戦的な研究で個々の先生方が、例えば遺伝子、三つの中から取り上げた遺伝子を活用するとか、いろんな挑戦をされているので、今後そういった成果、今年はそちらの方では具体的にサイトを決めて、総合的にいろいろな技術を投入して、ある一定の海域で適用可能かどうかということをやられるみたいですけれども、そういった成果もにらみながら、生態系のことをもっと進めていただきたいなと思います。
 一方で、もう一つ課題であるなというふうに感じていますのは、海洋政策と海洋科学との橋渡しの部分ではないかなと思うんです。特に日本というのは、古くから海を長く利用している主体がおりますので、今後もそういった利用者と連携しながらも、保全をしていくためには広く海の状況がどうなっているから、科学的な知見がこうであるから、こういう政策をしているんですよということを共有をして、国内外に発信をして、皆様の合意を含めながら政策を進めていくことがますます重要ではないかなと思います。
 言ってみれば、政策のトレーサビリティとか、見える化というふうにも言えるかと思いますが、先ほどの資料3-2で進捗状況を把握するというふうにおっしゃっていただいたので、そういうところもすごく目配りされているんだなというふうに感じましたけれども、一歩進めて科学的知見、その政策のマッピングの裏にどういった科学的知見があって、そこにまだ解明すべきところがということで、まだわかっていないのだけれども、予防政策としてこういう政策をしているとか、そういうことを一度整理するといいのではないかなと思いました。
 もう一つは、そういうことを考えるに至った理由ですけれども、実は、昨年の12月に生物多様性条約の会議に参加する機会がありまして、そこでカナダの発表を聞いたのですが、カナダでは水産海洋省という水産と海洋と合体させたような省があるのですけれども、その中に科学アドバイザリーというのを設置していまして、カナダの場合も、歴史的に非常に長い期間、個々の海域で漁業として海を利用してきている経緯がありますので、一律で世界標準のような規則でもって個々の海域を管理するというのはなかなか難しいことで、そのおのおのの実情に応じた形でやらなければならないから、そういったときの情報共有ツールとして科学アドバイザリーというものを設置してやっているんだなというふうに、私なりにそれは理解したのですけれども、そこでやられていることは、政策のところから立てられるようにしている、もちろん海洋の中のことの知識というのはまだ不足している部分もありますので、空白部分もあるのでしょうけれども、そういうところがわかりながら政策提言を進められるという機能がやられているように思いました。
 日本の場合には、先ほど谷さんの御発言にもありましたように、海洋政策、主体というのは幾つかあって、その科学アドバイザリーというのがどこに設置されるべきなのかというのは私にはちょっと判断はできかねますが、少なくともこの海洋開発分科会には、いろいろな分野の専門家の先生方がいらっしゃいますので、まず直近でできることとして提案ですけれども、ここから出す報告書の類いには、科学的な根拠みたいな、論文に出ているまでたどれるような情報が、もしできる限り記載できるといいのではないかなと思います。
 国際的に海洋ジャーナリストの仲間の間で、海洋政策、日本はどうなっているんだと言われることがありまして、なかなか日本がやっていることは理解されていないこともあり、歯がゆい思いもしておりますので、科学的にきちんと、こういうスタンスを持ってやっているという発信を、国内外にしていくことが非常に重要ではないかなというふうに感じております。すみません、少し長くなりましたが、よろしくお願いいたします。
【浦辺分科会長】  ありがとうございます。大変新しい視点も言っていただいて、トレーサビリティの点は、先ほどのフォローアップともすごく関わる点だと思います。
 それでは、次は、辻本委員。
【辻本委員】  私どもはJOGMECということで、ある意味、海洋の中では特定の狭い分野、海洋エネルギー鉱物資源というところで関わっております。ですから、その他の分野というのは素人的でなかなか皆さんの議論についていけないところが多いわけですけれども、ただ、ここの海洋資源のところについては、今、私どもも、私は金属部門を担当しておりますが、エネルギー部門では、メタンハイドレートの第2回の算出試験を今まさにやっておるわけで、先日もニュースになっておりましたし、私の担当しております鉱物資源分野では、今年の夏から秋にかけて、世界で初めて海底熱水鉱床を海上に上げるという、選鉱基礎試験を世界で始めて実施するということで、非常に大事な年になっております。
 ただ、それがある程度成功するという前提ではありますけれども、次期の海洋基本計画の中に必ず入ってくるわけですが、今のところ、この鉱物資源については大きな二つの柱にはなると、そのうちの一つは、やはり熱水鉱床を効率的に、確実に資源量というものを計算できる量に高めるということが非常に重要な要素になっております。ある程度の兆候は既につかんでおりますが、それをいかに効率的に定量的な把握を行うかということについては大きな課題でして、そういう意味で、今まさに重点課題の中にあります海洋資源に関わりますセンサーの開発による調査手法の開発、成因の解明とか、こういうところは非常に重要な要素になっています。ここは今、SIPのところで浦辺先生が、私も関係していますけれども、ここのところの成果は非常に大きな次期の中で意味があるというふうに考えております。
 この探査のところに関わって、もう一つは環境面でいろいろな多量のデータをこれまで把握していまして、今後も把握する中で、将来的にはこの環境的な面を配慮しながら、いかにして開発を進めるかという大事なところですので、環境面での多量のデータの、それをいかに高度化していくかというところは非常に重要だと、ですから、探査の面においても、環境の面においても、恐らく相当量のデータが次期、ますます積み上がっていくので、それらのデータをいかに統合して、うまく管理して役立てるか、あるいは、資源以外の分野でも、それらのデータというのは非常に活用されるので、それをいかに統合化して、そういう目的のためにも利用しやすい形にするかというのが一つの課題かなと思っております。
 以上です。
【浦辺分科会長】  それでは、津田委員。
【津田委員】  ゲノムのことは浦先生、窪川先生の方から言っていただき、船舶のことは白山先生の方から言っていただき、私、その二つを言おうかなと思ったのですけれども、多分その二つがかなり私の言いたいことの中心なんですが、少し観点を変えて、東アジアの中での我々の立場というのを少し考える必要があるかなと思っています。
 国際法の中では、BBNJ、Marine Biological Diversity of Areas Beyond National Jurisdiction という、要するに公海域の生物多様性に関する法律、法的拘束力のある文章を国連で採択するということが一昨年、決まっております。2年間かけてプレコム、準備会合が開かれて、次の総会(General Assembly)では何らかの文章が提案されることになっています。
 ABSのときの経験からいうと、要するに、我々の知らないうちにいろいろな法律が決まって、非常に海洋の観測が難しくなるのだけは何とか避けたいと、なかなか手の届かぬ世界ということもありますけれども、日本国としてはやっぱり法とエビデンスに基づく秩序というのを訴えているわけですから、どういう法律を作るかということに関しても何らかの関与をしたい、それから、エビデンスという意味では、ちゃんとそういう国際社会に訴えられる、根拠のある証拠を持ちたいと、多分、国連のタイムスケジュールからいうと、この法的拘束力のある文書というのは、5年から10年かけて決められるのではないかなと勝手に思っておりますが、その間に我々研究者又は省庁関係者がやるべきことは絶対にあるはずだと思っております。
 幾らいろんな有用な技術開発をしても、それが使えないような海になっては何の意味もないと思います。例えば、この公海域だけではなくて経済水域、排他的経済水域も基本的には法律上は、普通に通知すれば観測ができることになっているのですが、非常に今難しくなりつつあります。例えば、南シナ海なんていうのは、もう船を派遣して観測することはほとんど不可能です。台湾との中間領域も難しい。または最近は、公海域であっても鉱区という指定がありまして、鉱区の中でどういう海洋観測ができるのかということも曖昧であるということがあって、やはり少し国際法との関係で我々は何をすべきか、それから、どういう働きかけをするべきなのかというのは考えるべきでしょうと、最悪の場合、EEZだけしか我々は手が出せなくなるということも考えられるわけですが、ざっと計算すると、海洋面積の1.7%を日本は持っています。この1.7%の中に、例えば2,000種を超える魚が住んでいますよね。多分魚って1万から2万種、ちょっとうろ覚えですけれども、1.7%という数字からすると相当な種類数が住んでいる、要するに、非常に多様性の高い海域を日本は持っているわけで、正確な数字はわかりませんけれども、例えば、正確な数字を知っている鳥でいうと、8,000種が住んでいて、日本で記録されている鳥の数は650種あります。日本という東アジアの縁辺にあるということが生物多様性上は非常に重要であると、だから、最悪の場合、この1.7%をどうやって守るかということによって、世界の多様性のかなりの部分を保全できる可能性がある。非常に重要な海域を我々は任されているんだというふうに思いますので、北極も南極も重要なのはわかりますけれども、やはり足元の、我々の領海、それから、排他的経済水域をいかに知り、いかに守るか、保全するかということは、やはり日本に課せられた非常に重要なミッションだというふうに思っております。そのためには、ゲノム技術も必要でありますし、船舶も是非とも必要だということを申し上げたいと思います。
 以上です。
【浦辺分科会長】  ありがとうございます。それでは、中田委員。
【津田委員】  一つ、ごめんなさい。あと、海洋分野という意味では、やはり中国の圧倒的な侵出ということは意識する必要があるかと思います。南シナ海の問題もそうですし、あとは、アカデミズムの中でも青島海洋大学(現:中国海洋大学)というのは、10年前は一地方大学だったのですが、この10年で国家を代表するような総合大学、1年に1個ぐらい研究科が増えるような勢いで伸びております。その中で日本がどういうふうに学問的な発信をしていくかという視点も必要かと思います。あと、シンガポール国立大学とか、東南アジアのアカデミズムというのが非常に急速に伸びている中で、予算を抑えられて、さあ頑張れ頑張れと尻をたたかれても限界があるということはありますので、その東南アジアの中での存在感を維持するためには、ある程度のやはり政策的な決断というのは必要かと思います。すみません。
【中田委員】  津田委員の方から、多様性、それから、魚という言葉が出てきたのですけれども、私の方は水産という立場から申し上げると、持続可能であるということをきっちりと示していかないと、世界の中で水産物の利用がすごく限られる世の中になってきています。
 水産の世界では、伝統的にこれまで、個々の水産資源を切り取ってきて、例えば、それと資源とどう関係があるかとか、非常に限られた情報で評価してきたんです。けれども、それだけでは説明がつかない、生態系の中、生態系全体を捉えて、その中で一つの資源がどう動いているかというような見方に変えないと、今はなかなか見えづらくなってきています。
 例えば、浦先生にここのところ数年間、一緒に水産研究所の船に乗っていただいて、実際の魚がどういうふうに分布しているかというのを見ながら網を引くわけです。そうすると、今まで私たちは網でとれたものを基本にものを考えていたわけですけれども、それと桁違いの魚がいるといったようなことが普通にあって、評価する基本というのはかなり変わってきたなというふうに感じています。ですので、新たに海洋の世界で作られたさまざまな技術を取り入れていく、そして、生態系の中で個々の水産資源がどういう生き様をしているかというのを発信していくことの重要性を感じています。
 先ほどからゲノムという話も出てきております。私どもも、10年ほど前に初めて次世代シーケンサーというのを入れたときに、1台1億、1解析100万という世界でしたけれども、今は使い捨てのシーケンサーがあって、一回の解析が10万円という世界ですよね。それで解析された解析自体はクラウドコンピューティングの中でやられていたそのデータを、どうどこに蓄積して、そこで得られた結果をどう切り取って活用していくかという技術というのがすごく問われていて、そういう技術をきっちりと詰めていくことによって、先ほどから課題の中に出ていたビッグデータとか、それをアウトカムとか、アウトプットにどうつなげていくかというところにつなげていけるのかなと思っております。ですので、そういうところにつながるような技術がうまく開発されていくように、この中でも議論できていけばいいなと思っております。とりあえずそこまでで。
【浦辺分科会長】  それでは、花輪委員、お願いします。
【花輪委員】  花輪です。
 私は、二つ言いたいことがありまして、一つは、まさに海洋科学技術に係る研究開発計画のフォローアップ、これは極めて重要だということを強調したいと思います。特に、ある施策をやったときに、どういう具体的なアウトプットがあって、さらに、それが最終に目標としたアウトカムに結びついているのかというのを、進捗状況を把握するというのが言うまでもなく非常に大事でありまして、従来、余りここは力を入れてこなかったのではないかと、国の施策なんかにおいて、そう思うんです。それを徹底的にやるというのは極めて有効であるというふうに思います。
 それで、先ほどの資料の2-2で大目標、中目標、アウトカム指標、アウトプット指標等々、紹介がありましたけれども、実は、施策をやるときにはインプットが重要なんです。このインプットが実際には全く書かれていない。それはよく理由がわかりまして、予算が伴うんですよね、そこはなかなか書けないので、したがって、工程表も全く書いていないと。具体的にどういうインプットがこの施策にはなされて、どういう工程表を使って実現しようとしているのかというのは、日本の場合は往々にして走り出してからなんです。これはやむを得ない面もあるいはあるのかもしれません。このフォローアップを具体的に我々が今からやるときには、やっぱりそこが大事で、どういうインプットがあって、具体的なアウトプットがどうであって、それを総合するとどういうふうに、いわゆる大目標のアウトカムに向かって近づいているのかと、これを各分野で行うというのは本当に、繰り返しですけれども、極めて重要でありますので、是非この海洋開発分科会の方で海洋関係に対してはやったらいいのかなというふうに思います。そのくくり方も、この1月に作成されました研究開発計画の大きな項目ぐらいでいいと思うのです。そこに対して一つ一つレビューしていくということが大事だろうというふうに思います。是非お願いしたいと。
 二つ目ですけれども、私自身は、海洋物理学というところで海の状況を知って、変動の理屈を知って、そして、今後どうなっていくかと、そういったところに興味はあるのですけれども、ここでは全く個人的に非常に知りたいということを言わせていただきますと、やはり海のごみ問題、プラスチックごみの問題、あるいはマイクロビーズの問題というのは、もう数年前から非常に叫ばれていますけれども、本当に喫緊の課題ではないかなと、つい最近いろんな報道もありまして、思うようになっております。特に、本当に海の生態系の中で、そういうものが、マイクロビーズ、マイクロプラスチックが悪さを働いて、最終的には住民の生存まで脅かすような状態になるのかどうかというのは、まだまだ研究の余地もあろうかと思うんです。特に、アメリカ辺りでは、予防原則だと思いますけれども、もう既にマイクロビーズを使う製品は、今年中にだったと思いますけれども、造ってはいけない、来年からは販売してはいけないというような方向でどんどん進んでいるのですけれども、まだまだ日本は、そういう議論が、なかなか法律を作るところまでいっていないというのは気になります。
 もう一つ言わせていただければ、同じように海洋環境の変化で、サンゴ礁の、いわゆる白化現象については、死滅というところが、昨年度、石西礁湖で起こりました。また、去年、今年にかけてグレートバリアリーフでも起こっているということで、そういったところの喫緊の課題といいますか、そういうものを集中的にやるようなこともやられてもいいのではないかなと個人的には思っています。
 以上、二つのことを言わせていただきました。
【浦辺分科会長】  それでは、平田委員。
【平田委員】  平田でございます。
 私は、ちょっとこの分科会の中では、やや異色というか、違う分野から参入しておりますので、私の役目は、バックグラウンドは地震学でございまして、海洋における地震の研究と地震災害、防災に関する意見を求められているというふうに理解しております。
 先ほどの資料にございましたように、海洋科学技術に関する研究計画の中で重点的に取り上げるところで、海洋由来の自然災害への防災・減災というところがございます。実は、この海洋由来の自然災害で地震だけが出てくるというのはそもそも変ですけれども、いろいろ事情を聞くとこうなったというのは理解しております。気象災害は非常に海洋と関係しているので、本来ここにあってもいいと思うのですが、いろいろ事情がありまして、地震とか、津波ということになったわけです。
 それで、言うまでもなく、我が国の巨大な地震は海の下で起きますので、地震防災を考えたときには、海洋の科学、海洋の技術というのはもう不可欠でございます。とりわけ、2011年の東北地方太平洋沖地震、東日本大震災を起こした地震は、海の底で発生して、津波が発生して、それによって大勢の方が亡くなるということがありました。少なくとも今世紀中に、あるいは近い将来、南海トラフで似たようなことが起きることは地震学的には間違いないと思っておりますが、それに対する十分な備えはできていないというのが現状でございます。
 それで、この分科会では、いろいろなことが議論されている中で、あえて防災・減災ということが取り上げられていることについては大変敬意を表しますので、是非引き続き御検討いただきたいと思います。
 と思っていたのですけれども、この資料3-2の中には、フォローアップというか、検討するのは、浦辺分科会長は例というふうに3回ぐらい言っていたので、大丈夫だと思っていますけれども、例というのは重要でございまして、例にないものは議論されないことが多々ありますので、くれぐれもこの例は二つしか書いてございませんので、全部やっていただきたいと思っております。
 それで、繰り返しますが、実は、海の底で地震が起きるのはどうしてかということについては、科学的にもわからないことが多々ありまして、それはもう常に観測することが難しいということです。今は、海底ケーブルという、ある種の切り札で、防災科研が運用しているものができておりますけれども、これもまだ不十分です。日本列島全域に、日本列島を取り囲むように海底ケーブルのネットワークができていることが理想ですけれども、これはまだ日本列島全体を見たときには、東北地方と、それから、南海トラフの一部しかできていません。それでも世界的に見れば、海洋に取り囲まれている国の周辺に、これだけの観測網があるというのはもう画期的なことで、世界中からこのデータについては関心があるというふうに理解して、科学的な成果もたくさん出ております。防災という観点からは、やはりケーブルがもっと増えるということで非常に重要であります。
 それから、もう一つは、どうしてもケーブルだけでは不十分です。非常にお金がかかって、時間がかかるものですから、船舶と、船舶も大変お金がかかって、皆さんが強調されていることですけれども、やはりここは技術的な革新が一番必要で、浦先生が余り強調を今日はしていないのですけれども、自律型の無人機、船と、それから、海底の潜水艇がやっぱり決定的に重要で、そういった技術開発を進めるというのも、ここで議論していただこうかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【浦辺分科会長】  ありがとうございます。それでは、前回からの委員の最後、藤井良広委員。
【藤井良広委員】  大体もうポイントは全て出ているとは思いますけれども、この分科会の名前が海洋開発分科会ですね。「開発」という言葉をあえて入れているということで、これまでの御議論の中の基礎科学の分野と技術開発、そして、開発の視点から、環境への影響とか、いろんな課題を見ていくということだと思います。ただ、開発の視点でなくても海洋への影響というのは実は起きているわけです。人間の活動によって、地球温暖化問題が起き、まさにそれによって海洋の影響が出ている面もあります。それらを少し分けて議論していく必要があるかなというふうに思っております。開発自体は、我々人類が生きていく上で必ず必要ですので、それをスムーズに進めて、まさに持続可能に進めていくための議論ということを、ここで示していくということが大事だと思います。
 それから、もう一つ、この研究開発計画のSociety 5.0に関してです。この詳細の説明の中で、未来への投資という議論が出ています。まさにそのための開発なのですけれども、投資というのは当然リターンを前提にしますから、実務ビジネスに受け入れられていくには、技術的に可能であっても、リターンがなければ当然社会は投資してくれないわけです。もっと言えばキャッシュフローを生むかどうかです。お金がどれだけ入ってくるのというところも、よその世界の話ではなくて、海洋開発の議論であり、その延長線の議論ということです。それから、予算の制約の議論が出ました。現在は、どこの国も財政は厳しいので、その中での海洋への投資ということで考えると、最終的にビジネスでリターンが入るようになるということを想定した仕組みも検討する必要があります。要するに、国の予算だけに限らない枠組みの考え方とか、あるいは基礎科学とか、技術開発の分野では既にもう行われていると思うのですけれども、国を越えたいろんな共同のプロジェクトもあります。そういうものを、海洋開発の部分においても検討を進める必要があると思います。例えば、中国と一緒にやるとかということも当然視野に入ってきます。私は海を共有する隣国ですので、そうした共同作業はやっていくべきだと思うのです。資金についても、場合によれば、中国のお金で研究すればいいじゃないのか、成果については両国でシェアすればいいじゃないのかなどと考えます。いろいろ事情があって、そう簡単にはなかなかいかないですけれども、要するに、国際的な連携ということです。人材育成も同じ論点があります。日本の人材だけを育てるのではなく、これも議論してきましたが、多様な国際人材をこの分野においては特に育成することを進めていくという、そういう視点も要ると思います。
 ただ、最初の御議論で気になった点があります。次期海洋基本計画との関係、その辺りへの干渉はできないのですが、この次期海洋基本計画にここの議論をインプットすると同時に、計画が来年度からスタートするわけですから、その枠組みがこちらの議論にも影響してくると思います。ですから、その中で、ここの分科会でできる重点的な優先度みたいなものを少し整理して、それを海洋基本計画の方にも反映していただくようにして、さらに反映できるということを前提で、また今後の優先度に沿った議論の進め方をとるというようなことが必要だと思います。そういう連携を、少なくとも日本政府の中では当然やるべきでしょうし、できればこれは国際的にもやっていく必要があります。
 それから、トランプ政権との関係もあります。トランプ大統領はいろんなことを言っており、いろんなことを失敗もしているようですけれども、海洋の面においても大陸棚開発の大統領令を出しています。これは北極圏にもそのまま当てはまるかどうかはわかりませんけれども、そういう動きも一つの所与の条件になっていきます。その辺を考えても、ここでの審議の優先度を少し絞っていくというようにした方がいいかなという気がします。
 以上です。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。
 大分、時間も終了時間が決まっていますから、それでは、大変お待たせしました。新しい委員の方、またあいうえお順で石田委員の方から。
【石田委員】  環境総合テクノスの石田と申します。
 ちょっと私は異質だと思うんですけれども、浦辺先生の方から産業界というか、私、調査業界というところの立場で意見を言えということで、ここに推薦していただいたんじゃないかなというふうに思っております。ただ、文部科学省のこの今回の委員会なので、これを見ますと、研究開発というふうな形になって書いてあるところを見ると、ちょっと研究開発というと、研究機関とか、大学の研究開発になるので、ちょっと場違いかなと、今説明を聞いていて思ったりもしたのですけれども、ただ、人材育成という面では、大学等で人材育成された者が全員大学の研究者になれるわけではないし、JAMSTECさんのような研究機関に入れるわけではないので、ほとんど9割以上は民間の、海洋の勉強をして海洋調査会社に、海洋のことをやりたいと思ったら入ってくるので、やはりそういう部分も育てるということで文科省さんも必要ではないかなと思いまして、意見も言えるのではないかなというふうに理解しております。
 それから、資料3-2の中で、海洋産業の高度化に資する研究開発の検討というところが書かれておりますので、海洋産業をどうしていくかというところにやはり結びつけていかないと、研究開発が単なる研究に終わってしまうというふうになるのではないかなと思いますので、そういった観点から意見を述べていきたいと思います。
 これから、何か具体的なところで、調査業界としてはこんなふうに考えるということを言っていきたいと思いますけれども、総じて言いますと、いろんな研究開発がなされても、次の何か仕事がないと、そこで終わってしまって、残念ですが、技術もなくってしまうというところもある。次のそういう仕事を考えるのは、文科省さんではなくて、経産省さんなり、環境省さんなりなのかもしれませんけれども、先ほどちょっと意見もありました中で、総括的に文科省としては見ていくということもあったので、是非ここでの意見を全体に広めてほしい。それから、今度の海洋基本計画には、そういうようなこと、すなわち、研究開発の国内での展開というようなことを言ってほしいと思います。
 具体的に一例を上げますと、我々は1990年から、ひょんなことで経産省のプログラムで、海洋中の炭素循環メカニズム調査研究というのをやらせてもらい、その中でいろいろな技術を開発したのですけれども、その中の一つで栄養塩の標準物質というのを作りました。これは会社の中で施設を造って、大きい滅菌瓶を造ったりとか、それを小瓶に分けたりする、無菌状態で保存して何年間もつかとか、そういうことをやって安定した海水由来の栄養塩標準物質の供給が出来るようになりましたが、これ売れないと維持することができないんです。買ってくれるのは一部の研究者の方だけで少なかったのですけれども、開発を指導していただいた青山先生の御尽力で、今回、ユネスコの栄養塩分析マニュアルの中で標準物質を使うということが書き入れられるようになったので、これでたくさん売れるようになり、そうすると、ちゃんと施設も維持できるので供給も正確にできて、技術者も維持できるので、このように展開も考えながら技術開発を行っていただけたらなと思いまして、これからはそんな意見を言わせていただければと思います。どうもありがとうございます。
【浦辺分科会長】  それでは宇都委員、よろしくお願いします。
【宇都委員】  海上技術安全研究所の宇都でございます。
 私たちの研究所は、船舶、海洋工学の研究開発を主にやっております施設でございまして、工学系の観点から、この海洋をコメントするというのが私の一つの役目かなというふうに考えてございます。そういう意味では、重点的に推進すべき分野の中にある基盤的技術の開発というのが入っているのは非常に喜ばしいことかなというふうに思ってございます。
 あと、産業創造という意味では、これはいろいろな面がありますので、また機会がありましたらいろいろコメント差し上げたいのですが、特に、一つ人材育成、我々は海洋産業ではなくて海事産業というふうに言っています。造船海運を中心とした、そういう産業のやはり人材の育成というのが非常に大きな問題になっています。そこについてはいろいろな取組がされているのですが、こういう海洋工学の最先端の分野の基盤技術開発というところが、そういう海事産業でいろんな技術開発をする、特に若い方々のモチベーションにつながれば、我々の海事産業も海洋産業と一緒に発展できるのではないかと、人材を確保し、育成して発展していけるという、そういう意味で、どちらかが廃れてしまう、我々海事産業が廃れてしまうと海洋産業も多分お困りになると思いますし、両輪としてやっていくべきで、そういう観点からいろいろと考えていきたいなというふうに思ってございます。
 もう一つは、これはもう個人的な専門分野の観点からですが、私はずっと研究所に入りまして極域工学、氷工学をやっておりましたので、昨今の北極海航路、北極域の研究というのは非常にクローズアップされてございますけれども、この中でも今、調査船の検討をされているということで、今後いろいろ具体化していく中で、実際にどのようなことを日本としてやっていくべきかというようなことも含めて、いろいろと議論していければいいのではないかと思っています。
 その中でも、私は工学サイドの人間ですので当然サイエンスに使われるのですけれども、エンジニア的な、例えばセーフティー、安全です、北極航路を通るときには非常に大きいものですから、そういう観点からの側面も、そういうインフラがもしできたと、プラットフォームができた際には、利用の要素として一つ考えていっていただきたいというふうに思ってございます。
 以上です。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。それでは、続いて、榎本委員、お願いします。
【榎本委員】  私は、研究所では南極や北極関係での仕事をしてきましたので、北極に関する観測とデータのことからお話しさせていただきます。
 前回の海洋基本計画が2013年に出たときに、それまでほとんど全く入っていなかった北極研究が一気にそこでフォーカスされました。二十数カ所以上に記述が表れました。ちょうど同じ年の2013年に、日本は北極評議会のオブザーバーに入ったということで、その後、急激に、外務省を通じてなんですけれども、日本の科学的な技術、あるいは観測データを、北極の科学的理解とガバナンスのために提供する要請、あるいは会議への出席要請が増えました。
 その2013年にいろいろな新しいことが始まったのですけれども、そのときに関心が持たれた北極という言葉は、実は北極海の海岸線、そのすぐ北側ぐらいの北極航路に限っていました。そこを船が通ることができるのか、どんなことが将来起きるのかというところが関心だったのですけれども、その後この数年間、さらに北の80度以北、現在まだ氷で覆われているんですけれども、そこがにぎやかになってきています。まず、そこを水産資源として見よう、ここは公海部分なので利用したいという国が出てきたのですが、それがいけないということで、とりあえず科学的なデータが蓄積されるまではそこの産業利用は凍結して、まず科学的データ集めから始めるべきということになりまして、水産活動は凍結されています。
 この過去一、二年の間に急速にそこに関するルールが、水産庁関係でいろいろ会議に出ていただきまして、いろいろ決まって、ただし、科学的な技術を蓄積するまでといっても、どうやって蓄積するのか、氷の下を探査する技術というものは全然まだないので、船を入れるのか、水中を監査する技術、そういったものが求められているところです。それは国際的に求められていて、どこかで突破口を開いてもらいたい。そういった高緯度は、気候の将来予測ということで注目される、北極80度以北はそういったものというのが最近の動向になっています。
 一方で、南極の方は北極と違い、氷が増えていてという話が数年前までありました。2014年まで過去30年間、ひたすら氷は増えていました。海氷は増えていて、2014年には過去最大という記録を出したのですけれども、それからの2年間、2015年、2016年という2年の間に、過去最低に落ち込んでしまいました。去年の10月には、この30年間で最も氷が少ないということになって、何が起きたのかということが大変な話題になっています。昭和基地周辺も実はそうでして、この夏、氷がほとんど消えてブルーな水面が広がる状態になりました。
 そういったとき、これまで観測できなかった氷の割れている地域の観測が急激に可能になってきたということで、「しらせ」も2,000キロ以上、空いている時間を全部使って走り回って、海洋観測と海底地形観測を一生懸命やりました。海上保安庁から来ていた研究員もほとんどフルタイムで、とにかくデータを集めてきました。南極でも環境変化が起きつつあって、今までにない氷の状況の変化が起きているというのがあります。
 アウトカムのところにありましたけれども、例えばIPCC、今レポート作りが始まろうとしていますけれども、三つの特別レポートというものが計画、企画されていまして、そのうち二つが海関係です。海と雪氷圏というのが一つ、海水面上昇というのがもう一つ、そういったところにも海の方からデータを出していただいて、新しい技術で提供できるものがあるだろうというふうに思います。
 以上です。
【浦辺分科会長】  それでは、谷委員。
【谷委員】  谷でございます。
 私は、海上保安庁の海洋情報部とか、水路部というところで仕事をしておりまして、海底地形図を作るとか、海図を作るとか、あるいは海底計画とか、いろいろなことをしております。その中で大事だなと思ったのは、サイエンスにしても、オペレーショナルオーシャングラフティにしても、結局、現場で作業している人の力次第で実はデータの質が変わってしまう。現場で作業する人のノウハウの積上げがあって、最悪ビラまいたら人は集まってくる、その人を使ってすぐ調査してもできっこないです。やっぱり20年、30年、40年仕事した人の能力というのがないと、組織として自信の持てるデータがとれないということなんです。
 人材というのは、いろんなレベルの人材があるのですけれども、そこら辺のオペレーショナルの部分の人材というのをどう維持するかということは、総合的な海洋政策の中では大事なんだろうな、直ちに科学とか、技術とかということに効いてこないかもしれないです。実はすごくボデーフローに効いてくると思いますけれども、そういったレベルの人材をどうアトラクトして我々の世界にもおびき寄せるかということを考えなければいけないのかなと思います。決して、海が好きだとか、きれいごとじゃなくて、海に来る人は仕方なく来ている人がいるんですよ。偏差値見て、ここしか行けなくて、しょうがないから、そういう大学へ行って、しょうがないから海系の仕事をして、しょうがないから調査会社しかないからそこへ行く、そういうモチベーションで来ている人たちでも、やってくれているからいいですけれども、もっと高いモチベーションを持てるようにして差し上げたいなと思います。それは本庁でもそうですけれども。
 私、現在、GEBCOという組織にいます。これについて申し上げたいことが幾つかあるのですけれども、今、作成されている海底地形図には、海底1キロメッシュで音響測深した水深を入れているのですけれども、実際に水深を測っているグリッドというのは、その中の15%あればいい方で、その中の15%といっても、1キロの中に1点水深を書いているだけで、その他の水深は中間値のようなものを水深としている。もちろんマルチビーム音響測深という最新の方法で測っているところもあります。しかし、それでは、とてもじゃないけれども、今の海洋産業、海洋科学を支えられない、例えば津波が絡むと、それから、海底をマッピングしたくたってもととなる地形図がないとか、いろいろなことがある。
 そこで今、シェルがメインスポンサーとなって、Shell Ocean Discovery XPRIZE というのを企画していまして、何が提案されているかというと、もっと効率的に海底地形を測れるように仕掛けを考えるということ。無人で港から出発させた機器が自動で目的地へ行き、非常に細かい地形図を作成するデータをとれるように仕掛けを考えなさい、良いアイディアには賞金をあげますよというようなコンテストなのですが、それは実は、今日御説明いただいた話では全然ないのですけれども、世界が海底地形についてそう思っているということでございます。
 日本は何もしていないかといったら、実は全然できていないのですが、つい最近、GEBCOの方で新しいイニシアティブが提案されつつありまして、100メートルよりも大きいものは見逃さず全部海底地形図に書こうぜという提案が出ています。先ほど申し上げた、1キロメッシュの中にも15%しか得られていないデータが、様変わりして100メートルグリッドを作っていくということを考えています。そういう海底地形みたいな基盤的なデータを作ることで、海洋科学とか、海洋産業とかというのを支えたいなという思いがございます。そういう仕事をしています。
 申しわけないですが、国際的な意思決定とか、リーダーシップとかというのを日本がやっていくとか、私、チェアマンですけれども、それだって別に私がなりたいと言ったわけじゃなくて、私をチェアマンにしたらいいと思った人がチェアにしたみたいな気がするんですけれども、日本がリードをとって動いているプロジェクトは何があるかなと考えると、非常に何か寂しい気がします。分かりやすい例ですと、アルゴフロートがありますが、あれは思いついた人がいて、世界中が取り組んだという例です。日本はそういう点ができないのかなということを思うわけです。海底地形図の話は日本財団の提案なので、100メートル、これは一つの今いい言い出しっぺになるかなと思わないでもないのですけれども、そのような何か世界を動かすような仕掛け作りということも考えてみたらいいかなというふうに思っています。
 以上です。
【浦辺分科会長】  それでは、中川委員、お願いします。
【中川委員】  もう時間も余りないようなので、簡単に。
 私は、日立で情報通信系の研究をしております。本日お聞きしておりまして、情報系というのが、海洋のいろいろな検索しているデータが非常にたまりつつあるとのことなので、それを活用するのに役に立つのかなというふうに思いました。例えば、例を言いますと、IoT、Internet of Thingsと結構いろんなところで今、工場だとかで使われていますけれども、海上のプラント、例えば、日立でいえば洋上の風力発電の装置とかをモニタリングしたりしているのですけれども、それが実際のオペレーションにつなげるというところは、陸上でやっていることは海上で使える、それをまたもっと航路だとか、船だとか、そういうことに関する装置でも使えるのかなというふうに捉えています。
 だから、今、お話を聞いておりまして、やはり海上ならではの情報技術も必要なのかなと思いました。例えば、今もありましたけれども、各国関係で自律的に走行するような、いわゆるスマートマシン、これで情報技術というのは多分、海洋というのはフロンティアになり得るのかなというふうに思います。
 あと、もう一つ、やはり大量に集めたデータをどういうふうにクラウドに持っていくか、何か媒体で持っていかないと、海路ってやっぱり通信網が全部あるわけではないので、そういったところ、南極はあると聞いておりますけれども、そういうところの二つぐらい例えば今思いつくんですけれども、海洋ならではの情報技術って何だろうというのは、いろいろ皆さんのお話を聞きながら我々としても考えて発信していきたいなと思います。
 最後に、そういう今非常に集めているデータが、産業のタネになるという、それがまた海外に競争力、日本の産業競争力のもとになるという多分可能性があって、例えば、海外では海洋の海底地形のデータですけれども、絶対に国外に出しません。それは、やはりそれらは彼らの国の本の資源につながるからなんです。資源を探査するためのデータというのは、もう絶対に海外に出さないんです。なので、そういうふうなデータに、ここ海洋開発分科会で新たに策定した施策で集めたデータが、なり得ると非常にいいのかなというふうに思いました。
 以上です。
【浦辺分科会長】  ありがとうございます。それでは、最後に藤井輝夫委員。
【藤井輝夫委員】  すみません、ちょっと私もすぐ出なくてはいけませんので、手短に済ませたいと思いますが、ポイントは二つで、一つはインテグレーションです。それから、もう一つはオープンイノベーションですけれども、インテグレーションは、いろんな場所で申し上げており、基本的に先ほどいろいろな議論が出ましたけれども、例えば、ゲノムもいろいろな場所で空間的に測ったとしても、そこでの水のデータとか、あるいは物理的流れのデータとか、そういったものと統合されていないとなかなかものが言えないということがございますので、今、前の方がおっしゃいましたが、そうしたデータを統合するプラットフォームというのが非常に重要になってきます。
 それから、それぞれのセンサーとか、ビークルもそうですけれども、それらの開発に当たっても、きちんとやはりスペック自体をある程度そろえた形にしておかないと、データを統合するといっても、ばらつきが余り大きいとなかなか意味のあることが言えなくなってくる。あるいは、それをデータ、プラットフォーム側で吸収するということができるようなやり方もあるのかもしれません。
 いずれにしましても、そういったセンシングと、プラットフォームと、それからデータ統合という意味で、インテグレートした形で何かができますということを言っていかないと、今日のこの重点的に推進すべき研究開発課題というところに出ており、またSociety 5.0にしてもそうですけれども、基本的に海洋関係でデータを統合していって、それで、海洋産業の高度化に資するということですので、そうすると、例えば海洋も含めて、こういったデータを集めれば、こういう部分で経済的にプラスが出ますよというような、ある種のよいエグザンプルを洗い出していく必要はあるだろうなというふうに思いました。
 それを、今度は具体的に技術的に実現していくには、これはまたオープンイノベーションという話になるのですが、つまり個別的にばらばらにやっていても、なかなか実際に使えるような技術ができてこないので、これはある意味パイロットプロジェクト的なもの、パイロット、小池先生のCRESTでは、テストサイトを作って、みんなでそこに技術を持ち込みましょうということをやっていますけれども、そういったテストサイトなりを定めて、そこにある程度技術を持ち込んでプロトタイピングを行うと、使えそうなものが出てきたら、それを実際に使っていくといったようなことです。これまで小池先生のCRESTの場合はプラットフォーム技術とセンサーとモデルが入っているとは思いますけれども、データ統合あるいはデータプラットフォームの議論は余り入っていないと思います。むしろそのデータプラットフォームみたいなものも含めて、そういった1個のパイロットプロジェクト的なものを作っていくというのも、やり方、作戦の一つかなというふうに思います。
 以上です。
【浦辺分科会長】  どうも大変まとめていただいてありがとうございます。
 ちょっと不手際で時間が延びてしまいましたけれども、一応こういうふうに、今日は大変さまざまな御議論をいただいてありがたいと思います。今回いただいた意見を踏まえまして、次回の分科会では研究開発計画のフォローアップについて、資料を事務局の方で用意していただけるということなので、よろしくお願いしたいと思います。
 それで、事務局から何か連絡がございましたら。
【事務局】  すみません、最後に1点だけ、先ほどちょっと話題になりましたけれども、チラシを入れさせていただいています。JAMSTECより挑戦ということで、民間メーカーと若手の人たちが集まって挑戦をしているということで、今、そちらに書いてありますけれども、クラウドファンディングに向けての支援募集中ということで、支援を全然強制するわけではありません。いろいろ影響力がある先生方であろうかと思いますので、宣伝をしていただけると、これ要はファンを広げていくと、こういう海洋技術に関する現状を知ってもらって、ファンを広げていくという意味では非常に効果があると思いましたので、ちょっと配らせていただきました。そういうシステムです。
 以上です。
【浦辺分科会長】  どうもありがとうございます。
【浦委員】  せっかくこれをお配りいただいたのですが、文部科学省の海洋地球課として、これはどういうふうに取り組んでおられるのか、ファンドをされるのか、そこのところを国として何を配られていらっしゃるのですか。その立場を教えていただきたいと思います。
【事務局】  寄附を強制するものではないのですけれども、見ていただくとわかりますけれども、局長名で、個人的ですが寄附しています。もちろん組織としてということではしにくいので、だから、今、文科省のエレベーターに、こういうチラシ、宣伝のポスターを張ってあります。
【浦委員】  クラウドファンディングですか、XPRIZE。
【事務局】  これは予算をつけたりするのはできないということなので・・・
【浦委員】  ここが重要なので、次回ちょっといろいろ言わせていただきます。
【浦辺分科会長】  大変時間を過ぎて申しわけありませんでしたけれども、また今後、ずっと議論を続けさせていただきます。それで、時間等については事務局から連絡させていただきますのでよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。



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文部科学省研究開発局海洋開発分科会

(文部科学省研究開発局海洋開発分科会)