深海探査システム委員会(第3回)議事録

1.日時

令和6年2月5日(月曜日)14時30分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 深海探査システムに求められる能力について(ヒアリング)
  2. 深海探査システムを実現するための研究開発について(ヒアリング)
  3. 深海探査システムに関する人材育成やアウトリーチ活動について(ヒアリング)
  4. 将来的に備えるべき深海探査システムについて(ヒアリング)
  5. その他

4.出席者

委員

松本主査、岩崎委員、奥村委員、河野委員、小島委員、谷委員、日野委員、廣川委員、巻委員、湯浅委員

文部科学省

山之内海洋地球課長、伊藤海洋地球課長補佐 ほか

5.議事録

【松本主査】 ただいまより、第12期科学技術・学術審議会海洋開発分科会深海探査システム委員会の第3回会合を開催いたします。
 本日は御多忙にもかかわらず、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、事務局より参加者定足数の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。本日は10名全員の委員に御出席いただいており、本委員会の運営規則第2条に定めます定足数の過半数を満たしておりますことを御報告いたします。
 なお、本日は、情報・話題提供のため、名古屋大学大学院環境学研究科教授、道林克禎先生に御参加いただいておりますので、御紹介させていただきます。
 配付資料は議事次第に記載のとおり、資料1から7と参考資料1と2を事前に送付させていただいております。
 御不明な点や不備等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
 事務局からは以上となります。
【松本主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。事務局から説明をお願いします。
【事務局】  本日は、資料1のとおり、議題1から4において、各分野の専門家の皆様からヒアリングを行います。
 資料1に黄色マーカーをつけているところが今回の第3回においてヒアリングを行う方々でございます。初めに議題1、地震・防災学や海底地質学及び海外の取組ということで、地震・防災学分野について日野委員から御説明いただきたいと思います。
【松本主査】  それでは、議題1について、「我が国の深海探査システムに求められること」と題して、東北大学の日野亮太先生、どうぞお願いいたします。
【日野委員】  東北大学の日野でございます。このようなタイトル、「海域地震・津波研究の視点から」ということでお話をさせていただきます。
 私は他の委員の皆さんあるいは話題提供の皆さんと違って、ROVや潜航艇のオペレーションに直接携わったことはありません。数回、船の上で見たことがあるという程度ですので、そういう意味では、技術的なことはよく分かってないですが、一方で、深海観測を行っている人間からして、これがあるといいなという話をさせていただきます。
 表紙に、東北地方太平洋沖地震の時に海底で何があったか、我々あるいはJAMSTECの皆さんと進めてきた海洋観測で分かってきたことをまとめています。大規模な変動があったということが漫画で描いており、大規模な海底変動が巨大津波の原因になったというところでございます。この漫画が描けたのは、実は我々が実施した海底で地殻変動の観測、あるいは、地震の前後でJAMSTECが行った丹念な地形調査の成果です。例えば、左の図のように、陸の上でも地殻変動の観測は実施しています。GNSSの観測もありますが、そのデータだけを使って断層面の滑りの分布を推定したものが左になりますが、非常にぼやっとしていて、特に日本海溝に近いところで大きい滑りがあったというのは、陸からの観測では分からなかったことが、深海で観測をすることによって、そこが像を結んで、日本海溝の側で非常に大きい変動があったことが捉えられています。全く独立に地形探査をやることによって、地震前後で地形が大きく変わった。その地形の変わり方によって、大きな断層滑りが海溝の近くであったということを証明することができました。
 次の図は、地震動が発生してから約1~2年の間に我々の観測による結果として整理されたもので、実際にその場に行って、大変動があったということを目撃するには至っていませんでした。それが達成できたのは、何と地震が起こってから12年が経過した後で、昨年の年末に記者発表等もありましたので、この論文の成果はいろいろなところで皆さん御覧になっていると思いますが、この論文の資料Dのところ、非常に大ざっぱな絵までは我々の遠隔監視で分かっていたのですが、断層運動が海底面に突き抜けるところで何があったのかということに関しては、この観察によって初めて詳しく知ることができました。
 このように地震で一体どういう変動現象が起こっているのかということは、非常に広いスケールの調査というのが重要になります。例えば、今年の1月1日に起こった能登半島地震では、我々が行っているような地殻変動の観測などでは、GNSSの衛星測地の基準点がどのように動いたのかであるとか、衛星測量によってどれほど地面が動いたのかというような観測データを基にして、どの断層がどれくらい動いたのかというのを知ることができます。実際にもっと小さいスケールでどういう現象があったのかというのは、現地に行って例えば測量することによって、漁港の岸壁が3~4m近く隆起していることであるとか、あるいは、航空写真を撮ることによって、それがかなり広域で起こっているということが分かります。全貌を捉えるためには、どれかのスケールだけではなくてマルチスケールで測る必要がありますが、残念ながら、深海底で起こった現象に関しては、決して十分ではありませんが、計器観測があるのみで、それに比べて小さいスケールのディテールな測量ないし観察はできないというのが現状だと思います。
 私たちとしてはやはりフルデプスに行きたい。それはなぜかというと、東北地方太平洋沖地震は日本海溝で水深8,000mを超えるようなところでの現象でしたが、例えば、内閣府において、次に日本海溝・千島海溝沿いで巨大な地震があるとすると、千島海溝でこういうタイプのマグニチュード9.3を超えるような地震があるだろうと想定しているわけですが、その海底もやはり非常に深い水深を持っています。あるいは、1890年の明治三陸地震であるとか、1677年の延宝房総沖地震、1771年の八重山津波地震、これらは全て計器観測が十分でない時代、あるいは全くなかった時代に起こった地震ですが、揺れが大して大きくはないのに大きい津波を伴ったという非常に特異な現象です。こういうものは全て、実は海溝軸に近い大水深のところで起こっており、それらの実態把握が防災上重要であるものの、学術的には謎だらけということで、我々のフィールドだろうと考えています。
 一方で、巨大地震に向かって歪みをだんだん溜めているというプロセスは、我々が普段行っている海底探査を使わない計器観測でも分かっています。例えば、太平洋プレートの沈み込みに伴い、北海道側の大きな地殻変動が今も進んでいるというようなことが捉えられていますが、こうした観測が非常に粗い観測でしかないというのが実は問題です。
 一つは、観測精度があまり高くありません。実際には非常に粗いベンチマークの動きをただ追いかけているだけですが、その中で、実は断層は少しずつ滑っているというような変化があるかもしれず、これを観測するには観測精度を十分に高めた地殻変動観測が必要です。南海トラフではそういうことが既に実現され、光ファイバーを使った歪み計の観測を行っていて、小さな滑り現象が起こっていることが把握されています。あるいは、これを海底掘削孔に入れてモニタリングがされています。
 このような掘削孔を使った観測は、日本海溝でも行われています。東北地方太平洋沖地震が起こった直後に行われたJFASTという「ちきゅう」を使った掘削では、掘削孔の中に温度計を入れました。その観測によって、孔内の温度の時間変化から、地震時に断層がどういう摩擦発熱をしたのかということを調べることができる画期的な成果に至りました。これに類することを、実は今年にまた掘削孔を使った調査をやりますが、当時あった探査機が今はないので、こうした孔内計測はもはやすることができないという非常に残念な状況になっています。(事務局注:なお、JTRACKでは長期孔内温度計測システムの回収を「かいこう」の代わりに「ちきゅう」で行う予定。)
 能登半島地震の例ですが、海上保安庁が海底で地滑りがあったということを地形の繰り返し観測から調べています。このように陸上であれば、比較的低高度で航空測量を行うことによって、非常に高分解能の変動現象のマッピングをすることが可能になります。海でもこのようなことができるはずで、富山湾内に関しては、これは浅海なので分解能が上がるわけですが、深海で分解能を上げようと思うと船ではなく、AUV等を使った、いわゆる航空測量に該当することを海中で行うことが重要と考えています。
 観測という観点で見れば、深海探査機を使うことによって、例えば、深海に精密な機能を持つ観測装置をROVで持っていくことができます。また、AUVを使えば低高度の航空観測に類することができると思います。実際の観察もそうですし、全く新しい観測装置の開発、あるいはその検証は、実際人間が現場に行って見る必要があり、全ての探査機のフリートというものが、我々が考えている地震地殻変動、津波の研究の上でも非常に有効だと考えています。
 具体的にどういうものが欲しいかというと、実際に南海トラフでの海底観測網の整備に使用した「ハイパードルフィン」というROVは非常に有効でした。器用で、腕力もあり、精密な観測機器の展開に非常に有効です。メンテナンスでも役に立っています。
 一方で、観測網をつくる上では、全部をファイバーでつなぐというのはあまり経済的ではないため、自立型の観測装置を作るというのも大事だろうと思います。データの収集、あるいは、電源の供給という点で、ROVがそのようなサービスができるようになるといいなと考えています。
そ れから、海底の測量はごくごく限られた地点数でしかできません。ただ、ベンチマークをたくさん置くということは技術的には比較的フィージブルであり、そこをAUV等の探査機で複数回繰り返し測量することによって、海底地殻変動の観測ができると思います。あるいは、低高度の航空測量ができれば、変動の全貌を捉えるのに非常に有効と考えています。航空測量の場合は、実は航空機やビークルそのものの位置情報が非常に重要で、深海探査機であればその部分は慣性航法に頼らざるを得ない部分があり、高精度化が必要です。あるいは、マルチパーパスで作ると思いますが、センサーを精密にマウントできるようなペイロードを求めたいと考えています。
 以上です。
【松本主査】  日野委員、ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 奥村委員、どうぞ。
【奥村委員】  高知大学の奥村です。ありがとうございました。
 HOV、AUV、ROVを複合的に使うという提案の後で、最後のスライドでは、HOVに関する記載は特に強調されていなかったと思います。例えば、ROVが高性能化または作業性がアップすると、この分野ではHOVの果たす役割がどう大きくなるか、御意見伺いと思います。よろしくお願いします。
【日野委員】  ありがとうございます。
 観測のような実際にデータを取ってくるという観点でいうと、HOVである必要性があるかというと決してそうではないかもしれません。一方で、人間が行かないで観測をできるという装置をずっと作ってきた人間からすると、どうしてもそういう発想になりますが、現場に行ってその装置がちゃんと動いているのかということを常に観察する必要がありますので、そういう意味では、間接的ではあるけれども、HOVは我々の分野でも必ず必要ということになります。
 その場合は、近くまで寄ってかなり小さいものまできちんと見えるということが大事なので、そのような能力はどちらかというと物質化学系のサンプルを取ったりする皆さんが要求される性能だと思いますが、我々にとっても十分というような考えでおります。
【奥村委員】  ありがとうございました。
【松本主査】  他はいかがでしょうか。谷委員、どうぞ。
【谷委員】  どうもありがとうございます。
 海底に設置している地震計等の観測機器、自立型のほうですけれども、位置精度が良ければ良いというお話でしたが、例えば海底地震計でも、理想的には1m以下、あるいは、1mオーダーの測位で位置が分かると新しいサイエンスができるのでしょうか。
【日野委員】  測位性能という意味では、やはり地殻変動ですね。地殻変動に関しては、実際にベンチマークをどこに置くかについてはさほど精度は要りませんが、ROVで何度も同じベンチマークに行った時に、以前と場所が変わったかどうかで地殻変動を捉えることができます。ただ、地殻変動の動きというのは、年間に数cmくらいでしかないので、そういう意味でROVの位置出しが非常に重要ということになります。
 一方で、観測装置を置くという観点でいうと、ピンポイントで置く必要があります。例えば、断層のどこの場所に置きたいというようなことは必ずあります。陸上の観測の場合は、人間が行って、ここがいいと決めて置くわけですが、海底でそれを実現しようと思うと、例えば、ROVやHOVが機械を持っていき、場所をちゃんと確認して設置するという必要性が生じると思います。
【谷委員】  それは例えば、1mスケールの測位をしての設置をするためには、母船からの測位だけでは現状難しいということですかね。
【日野委員】  多分それは音響を使ったことになると思いますが、我々が実際にやっている地殻変動観測でも、絶対測位という意味で1mオーダーを一発で出すのは非常に難しいです。
 逆に言うと、我々が地殻変動用に使っているベンチマークを基準点として、そこからの相対測位で慣性航法の精度を上げることによって、広域の絶対測位が結果的に上がることが可能だと思っています。
【谷委員】  ありがとうございます。
【松本主査】  湯浅委員、どうぞお願いいたします。
【湯浅委員】  湯浅です。AUV、ROV、HOVがありますが、これを全てフルデプスでやるというのは非常にハードルが高いと思いますが、フルデプスにしなければならない1つとか選ぶのであれば、どういうふうな作業でどれをフルデプスにするというのはありますか。
【日野委員】  もしどれかを選べということになると、難しいですが、私の立場で言うとAUVかなと思います。ケーブル無しで自由に動き回れるというメリットがあるので、我々がやっている少数観測点のデータを周辺に向かって展開していくという意味では、AUVで航空測量を行うのは効率が一番高いかなと思います。ただ、実際に観測装置を設置してくるというような作業も必要で、そのためにはROVがないとうまくできませんので、その2つどっちかを選べと言われると困りますが、そのような優先順位かと思います。
【湯浅委員】  資料に腕力と器用さと書かれていますが、例えば腕力、ROVだったら腕力は使えると思いますが、どれほどの作業が必要になってくるのでしょうか。
【日野委員】  定量的には申し上げられないですが、観測装置を実際に持って歩くというよりは、上から落とすなり、あるいは浮力体をつけるなりして調整ができると思いますが、設置する時にセッティングで穴を掘るとか、あるいは埋設するなどの作業が伴いますので、その辺のパワーは必要だと思います。
【湯浅委員】  ということは、ある程度のパワーは要るということになるわけですね。
【日野委員】  はい。
【湯浅委員】  ありがとうございました。
【松本主査】  ありがとうございます。
 最後にまとめの時間を取りたいと思いますので、日野委員に御質問がある場合は、全体質疑のところでお願いします。
 日野委員、どうもありがとうございました。
次のヒアリングに移ります。
 海底地質学及び海外での取組について、名古屋大学大学院環境学研究科の道林教授から御説明いただきたいと思います。
 道林教授、どうぞよろしくお願いいたします。
【道林教授】  どうもよろしくお願いいたします。名古屋大学大学院環境学研究科岩石鉱物学研究室の道林克禎です。
 私は実際に探査機を使っている一研究者の立場からの経験をお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、私自身ですが、専門は陸上のマントル研究を行っている研究者です。オフィオライトと言われている、もともと海の底だったものが陸上に上がっている場所で研究をやっていまして、その研究をしているうちに、実際に海底で山をつくっている石はどのようなものかということに興味を持ち、海洋研究を始めました。
 なので、若い頃は山ばかり歩いていた研究者です。これまでの海洋底調査実績については、最初は掘削船から入って、「しんかい6500」にこれまで10回、アメリカの民間潜水船の「Limiting Factor」に2022年の夏に1回潜航させていただきまして、その経験を含めてこの場で紹介することが私の役目かなと思っております。私自身は、先ほど言いましたようにもともと陸上研究していたので、海洋底で調査を始めたのは40代になってからです。20代から海に行く研究者が多い中で、私は陸上研究をやっていて、20代の頃は本当に露ほども海に行きたいと思ったことがありませんでした。何しろ私は非常に船に弱くて、海洋研究をやる人は海に強い人でないとできないと思っていたので、フェリーも含めて海の研究はとてもできないと思っていました。
 おまけに、地球上に7割くらい海があっても地質図で描くと同じような構造をしていて、あまり地質学者がやるところではないと思っていました。そのような中で、だんだんとそうでもないかもしれないと思い、意を決して「しんかい6500」の海溝研究の航海に参加しました。
 「しんかい6500」は、私が10~20代の頃から動き始めていて、実績を繋ぎ、いろいろな方が行って、学会で発表されている。また、そこに乗せていただけるような環境やボトムアップがあったからこそ、私のような研究者が海洋研究に参加できたと思っています。同世代の海上保安庁の方を頼ったところ、親切に空いているベッドに私を乗せていただきました。もちろん船に酔って大変でしたが、その一方で、「しんかい6500」とともに深海に行った時の感動といいますか、それは今、学生さんを初めて乗せたときのわくわく感を、彼はもう20代そこそこですけれども、40歳を過ぎた私ですら目をきらきらと、おお、すごいなと、船酔いしながら思ったことを今でも覚えております。
 何が良いかというと、地質学者にとって「しんかい6500」は、海洋底を調査するための手と足とハンマーです。間違いありません。実際の陸上で岩石を学生が2~3人がかりで作業している写真を示しましたが、それと同じ役目を「しんかい6500」は全部担っています。当たり前ですが、我々は海の中に出るわけにいきませんので、窓を見ながらパイロットの方々と一緒に、あの石が取れるのではないかと話し合いながら作業することになります。そのため、「しんかい6500」がなかったらこのような研究はできませんでした。ただ、問題点は、「しんかい6500」は水深6,500mまでしか行けないということです。
 目指せマントルということで、陸上にあったマントル物質が海の底でどうなっているかという研究をやりたくて、今もやっています。本当は、最初のうちは1回か2回乗れれば良いかと思っていましたが、やっていくうちに分かってきました。私が学生によく言うのは、歌で「海は広いな大きいな」という歌がありますが、それを続けるとしたら、「深いな暗いな」です。大体分解能5mくらいの地形図を見て実際に潜ってみると、予想していたものと同じものが出てきたためしがなく、さらに、本当に現場に行って初めて、こんなところだったのかと思うことがしばしばあります。その点では、我々の海洋底研究というのは、惑星科学と同じくらいよく分からないところに行って、精いっぱい最大限の努力をしていると毎回感じているところです。
 この図は、マリアナ海溝の地形図で、白いところはマリアナ海溝、チャレンジャー海淵です。世界で一番深いところです。色がついているところまでが「しんかい6500」で潜れるところです。つまり、実はマリアナ海溝のほとんど大部分は深すぎて「しんかい6500」ではカバーできない。我々は海溝の深くなり始めた辺りを一生懸命調査しています。ただし、ここに行けないから残念ということを強調したいわけではなく、「しんかい6500」で潜れるぎりぎりのところを攻めて取ってきたサンプルによって、我々は海溝についての岩石学的、地質学的な知見を着実に増やしているということを強調させていただきます。なので、とにかくサンプルを取れるというのは非常に大きいことです。  
 6,500mまででも十分やれている。見方を変えれば、もっと深いところまでのサンプルが取ることができれば、もっともっとやれます。それは追加で強調しておきたいと思います。特にこの委員会では、そういうことを言う立場かなと思います。
 さて、昨年、「Limiting Factor」というフルデプス潜水船に乗る機会をいただきました。この船は一番深いところまで行ける船で、耐圧テストでは、1万4,000m相当の水圧に耐える実験をし、アメリカの危険率からフルデプス対応として認められているものです。2022年8月13日に約3時間かけて、9,780~9,800mのところに潜っていきました。まず、潜った場所は伊豆・小笠原海溝の父島に近い辺りです。
 これは「Limiting Factor」の第119次航海で、この時点で119回潜った実績がある。一方で、我々が調査していたところは、今回委員でいらっしゃる谷さんたちが潜航したデータも含まれていますが、「しんかい6500」の1505回目、第1505次航海です。我々は主にこの辺を一生懸命調査していますが、「Limiting Factor」を操縦するのは世界的な冒険家です。研究よりも、とにかく一番深いところに行くことを目的にしているので、本当は父島の一番東側の深いところに行ってくれたら嬉しかったのですが、伊豆・小笠原海溝で一番深いのはもう少し北側の辺りだったので、そこに行くことになりました。そうはいっても、我々は乗せてもらった立場だったので、文句は言えませんでした。「しんかい6500」での調査はいつも斜面で終わって、ぱっと見ると、さらに深い方向に、深淵に深くなるような斜面が見えたりします。何であそこに行けないのだろうなと思いながらいつも調査していましたが、「Limiting Factor」で行った時は、本当に平らなところで、その瞬間に、一番深い海溝に来たのだなという実感を持ちました。
 しかし、問題がありました。行っただけでは我々は研究できないのです。マリンスノーのような小さな泥があったり、レイヤーがあったりしたのですが、海底地滑りの斜面の様子というのも見えていて、これは貴重だと思っている一方で、岩石はありませんでした。一番深いところに行って、急峻だったら岩石でも出てくるかと思っていたのですが、あまりありませんでした。せいぜい見つかったのは、9,500mまで戻った時に、ごつごつしている岩のようなものです。少し黄色みがかっていて、もしかしたらウルトラではないかと話していましたが、我々は取ってないので分かりません。
 なぜかというと、マニピュレーターが海溝底で動きませんでした。少しだけ動いて止まってしまいました。魚等の生き物は、解像度のあるカメラで撮ればそれで世界ギネス記録も更新できますが、岩石はそういうわけはいきません。我々のような岩石・地質屋にとってサンプリングは本当に重要なのです。
 深海底研究を始めた時にいつか行ってみたいと思っていたことが、実際にジェームス・キャメロンからはじまって、もう夢ではなく、機会さえあれば深海に行ける時代であるというのは間違いありません。日本だと行けないですが、とにかく世界では行く船が2隻ある。中国とこの民間船です。ただし、問題もあります。
 その前に、「Limiting Factor」は民間主導の超深海研究、深海潜航のアイコンです。これはアメリカのスペースXといった民間企業が宇宙開発を行っているのと同じです。実際、船内活動は「しんかい6500」と基本的に同じでした。私は「しんかい6500」に潜航経験、当時9回ありましたけれども、それがあったので、9時間半の潜航を落ち着いて実施できました。乗ってみて思ったのですが、「しんかい6500」の存在は、実は使っている我々研究者の潜航スキルを高めていて、どの船に乗っても十分対応できるようにしています。我々日本人研究者は、このことを忘れてほしくないです。装置だけではなく、乗ることによってのスキルアップというのは実は計り知れないのです。
 一方で、マニピュレーターは9,000m以深では稼働しませんでした。これは、その後色々な場所で講演した時に技術者の方から、油圧パイプが水圧で締まってしまったせいだと聞きました。実際、6,000mに戻った時にはまた動いたのです。だから、壊れたわけではなく、多分その辺の設計がいまいちだったのだと思います。
 同時に、パイロット1名で、船の操作とアーム操作でサンプルを取るのは簡単ではないと思いました。先ほど日野委員から腕力と器用さが必要と説明がありましたが、実際にアーム操作には器用さが要ります。器用に動かしながら、さらに船を安定しなければならない。そういう意味で、「しんかい6500」が当初から3人乗りだったのはすごいなと改めて思いました。3人乗りで、正・副パイロットがいて、研究者がいて、研究者が頭を使って、どちらかのパイロットが船を制御しながら、もう一人がコントロールするのはすごいなと。今はワンマンで1人でも操作していますが、この3人というのは思った以上に重要な意味を持っていると思いました。「Limiting Factor」に乗った後に「しんかい6500」の素晴らしさを改めて実感したというのは間違いありません。それはここで強く強調させていただきます。
 これまでの海洋底調査から思うことは、私は、有人潜水船はフルデプスでなくてよいと思っております。その理由は、「Limiting Factor」の技術者が、9,000m以深の水圧で何が起こるか分からないと言ったことです。8,000m級までは良いのだけれども、9,000mを超えた水圧になると、本当にリスクが高いと言われました。なので、フルデプス対応の探査機を造っても、リスクの高い超深海潜航なんて怖いと思います。それであれば、現行の6,500mでも良い。実は、有人潜水船は6,500mくらいがちょうど良い深さなのだろうなと思います。実際、日本は1,000回に迫るくらい潜航しているわけですから。ただ、研究者としては、8,000m級まで行けると本当に素晴らしいと思います。ちなみに「Limiting Factor」は、日本の危険率からすると、8,700mまでしか行けないのです。だから、9,000m以深はリスクが高いというのはそのとおりかと思います。
 ここで強調したいことは、フルデプス開発に時間を費やして「しんかい6500」が廃船になる方がよっぽどマイナスであるということです。「しんかい6500」を無くして、そこにギャップをつくるのは最悪、最低です。それで我々は一気に、いろいろな意味で、最先端の海洋底研究から後塵になることは間違いないので、その辺りはきちんと現行を維持しつつアップグレードすると考えてほしいと思います。
 有人潜水船が3名乗りというのは大事だなと思います。小型化しようとして、乗員を2名とか1名にした瞬間に、結局、腕力も器用さもかなり減ると思っています。3名は結構理想的で、フルデプスは危険過ぎて有人で行くのは少し怖い。6,000m級だったら十分。なぜなら、深海は大体4,000~6,000m程度であるから。それ以上深いところを対象とする人というのはごくまれなので、そういう意味では、一番メジャーな辺りを狙うのが、安全で良いかと思います。
 一方で、先ほど日野委員もおっしゃったように、AUV、ROVといった、とにかくマリアナ海溝、チャレンジャー海淵に行けるようなフルデプス対応の探査機はもともとあったので、その後に技術開発を失ったなどあるかもしれませんが、行ったことがあるのに行けなくなったというのは駄目だと思います。そんな言い訳では一般の人たちが納得するとは思えない。何しろ我が国は超深海のEEZを持っており、日本の有利性は高いので、フルデプスにアクセスできる探査機を開発してほしいなと思います。以上です。
【松本主査】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 湯浅委員、お願いいたします。
【湯浅委員】  ありがとうございました。
 「Limiting Factor」の技術者から9,000m以深の水圧では何が起こるか分からないと言われたとのことでしたが、具体的にどんなことが起こるかの話はされましたか。
【道林教授】  実は具体的なことが起きてしまいまして。私が潜ったときは全てがうまくいったのですが、その後、私の翌日に行った人たちが、8,000mくらいでパキッとこれまで聞いたことない尋常な音がしたと言っていました。浮力材にひびが入るという恐ろしい事態がありました。本来なら問題ないということが起きてしまい、彼らも予測してなかったようです。
【湯浅委員】  経験則でそういうことがたまにあるということですか。
【道林教授】  そうですね。あとは、実際に9,000mより深いところでマニュピレータを動かしたことはほとんどないので動くかどうか分からない、ということは最初から言っていました。
【湯浅委員】  分かりました。耐圧殻は球形ですか。
【道林教授】  はい、球形です。8,000mくらいでキュッキュッと締まったような、「しんかい6500」では聞いたことない金属音がして。つまり、耐圧殻に嵌っていたものが縮むときしむのです。冒険家の人は「何でもないから」と軽く言っていましたが、何でもなくないだろうと思っていました。
【湯浅委員】  ありがとうございました。
【松本主査】  谷委員、どうぞ。
【谷委員】  道林さん、ありがとうございます。
 たしか道林さんが航海から戻った直後におっしゃっていたと思いますが、「しんかい6500」と「Limiting Factor」はそもそも設計の思想が全然違っていて、「Limiting Factor」は海底で静止して観測ができるような設計になっておらず、実際マニピュレーターが動いたとしても、物を取るのは結構難しかったとおっしゃっていたような記憶があります。潜水船の設計の思想というのは違うのですよね。
【道林教授】  マニピュレーター自体は操縦桿が離れていて、「しんかい6500」と同じように別パーツになっています。なので、完全に手を離してオートコントロールはできず、浮力に任せてパパッと動かすだけでした。そういう点では、実際マニュピレータが動いたとしても試料が取れたかどうかはわかりません。
【松本主査】  ありがとうございました。
 岩崎委員、どうぞ。
【岩崎委員】  岩崎です。道林先生、ありがとうございます。
 我々のクルーも一緒にお世話になりました。実際にポートホールから目視でも観測できたと思いますが、例えば、その照明とかポートホールの大きさとか、その辺は「しんかい6500」と比べて「Limiting Factor」はどうでしたか。
【道林教授】  ライト自体はLEDで全く問題ありませんでした。むしろ観察窓が小さかったのと、操縦席のようになっていたことです。そういう点では、前かがみで覗かないといけなかったため、観察窓で長時間耐えるのは非常に厳しいなと思いました。観察窓が足元にありましたが、座っているので上から覗く形になり、直接見るのは難しかったです。その点では、「しんかい6500」はマットレスになっていて、いろいろな姿勢で窓の外を見ることができるというのはすごく良いと思いました。椅子がない分、右に行ったり左に行ったりできるというのも、実はそれが自由度を上げている。船内でいろいろなポジションで右に行ったり左に行ったりできるというのはすごいことです。「Limiting Factor」は座っているので下りていくときは楽ですが、実際調査しようと思った時にやや不便だったという印象があります。意外とマットレスがいいなと思いました。
【岩崎委員】  分かりました。いつも「しんかい6500」だと腹ばいになって見るような感じなので、ひょっとして「Limiting Factor」のほうが楽なのかなと思ったのですが、実際はそれほどでもなかったと。
【道林教授】  そうですね。観察という点では、観察窓に寄るのは非常にきつくて、本当にかなり動きが制約されていたというのはありました。連携がないと効率よくやるというのは難しいかなという印象を持ちました。
【岩崎委員】  窓の大きさはどれくらいですか。
【道林教授】  窓は「しんかい6500」より60~70%くらいの大きさだったと思います。「しんかい6500」よりも小さかったです。
【岩崎委員】  ありがとうございます。
【松本主査】  道林教授、どうもありがとうございました。
【道林教授】  どうもありがとうございました。
【松本主査】  それでは、議題2に移ります。「深海探査システムを実現するための研究開発について」に入ります。
 本日は、工学アカデミアにおける技術開発動向、民間企業における技術開発動向についてヒアリングを行いたいと思います。
 まずは、工学アカデミアにおける技術開発動向について、巻委員から御説明いただきたいと思います。
 巻委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【巻委員】  東京大学生産技術研究所の巻と申します。よろしくお願いいたします。
 私はAUVをはじめとする自律型海中探査システムの研究に携わっておりますので、それ関連の動向、そして最後にプラスアルファということで提案をさせていただきます。
 まず、AUVについて、この委員会でもいろいろ紹介されていますが、テザーケーブルがなく全自動で動けるロボットという位置づけになります。テザーケーブルがないというのが大きなメリットになりまして、自由に安定した動きができる。それから、船から離れても動けますので、広い範囲を動ける。人がずっと見ている必要がないので、効率が良い。特に海底の地形探査や写真撮影という単調な仕事を広い範囲で行うようなミッションに向いています。それから、将来においては、船がなくても運用できる、港から発信して港に帰ってこさせる、海底にステーションを設置し、それと連携して長期運用するといった可能性も秘めています。
 一方で、欠点もあります。1つは、通信とエネルギーが限られるということです。今、海中では信頼のおける高速の長距離無線通信手法というのはありませんので、ROVのように取ったデータをリアルタイムに船の上で見ることはできません。基本的には、撮影したデータはAUVが船に戻ってきてから初めて分かるわけです。あとは、エネルギー源も、テザーケーブルがないということの裏返しなのですが、自分で持っていかないといけない。HOVと一緒ですね。なので、電力供給を船から行って24時間運用とか、そういうことはできません。あとは、予期せぬ事態への対応です。これも全自動で動かすことの裏返しでして、何があっても、ロボットが自分で判断して安全に帰ってくるような行動を取る必要があります。それから、喪失リスク。テザーケーブルがつながっていないわけですから、どう頑張ってもなくなる可能性はゼロにはできません。それを許容できるかということです。もちろん、そのリスクをゼロに近づけていくような研究や対策は色々とあります。
 AUVの種類は、クルーズ型、ホバリング型、グライダー型の3種類があります。クルーズ型というのは、魚雷型とも呼ばれます。細長い形状で、流線型のボディーになっていまして、テールにスラスター1台、それから、姿勢制御はフィンで行うというものが標準です。このタイプは水中で非常に効率がいいので、広い範囲を動けますし、スピードを出して走ることができます。今、AUVで一番使われているタイプです。
 2つ目はホバリング型。こちらは複数のスラスターを持っていて、ヘリコプターのような感じでその場停止ができるタイプです。こちらはクルーズ型に比べると少ないですが、最近、例えば洋上風車とか構造物周り、それから、サンゴ礁とか海底熱水域とかそういう複雑な環境での画像マッピングとか、そういうターゲットに接近しての調査に期待されています。
 3つ目はグライダーです。こちらは動力スラスターを持っていなくて、とにかく長距離・長時間運用できるように性能に振ったタイプです。浮力調整装置で勝手に上下しながら、あとは、翼を持っていますので、その力で前進する。空で言えば、グライダー、あるいは紙飛行機と言ってもいいかもしれません。非常に長距離、例えば、1,000kmのオーダーで走れますし、時間としては、何か月という単位でずっと海の中に置いておけます。ただ、上下移動を繰り返しながらの動きで、電力も限られますので、できる調査は限られます。
 最近の動向を何点か御紹介します。1つはマルチビークルです。こちらは複数のAUVを同時に運用する技術です。例えば、海外のOcean Infinityという企業が開発しており、日本でもTeam KUROSHIOがXPRIZEという国際コンペティションでこの戦略をとりました。複数のロボットを動かすと、単純に効率がロボットの数だけ倍になるというのが基本的な考えです。シップタイムは非常に貴重ですから、これを例えばロボット2台同時運用したら2倍に活用できるわけです。海外では、Force Multiplierという言い方をしていたりします。また、ASVとの連携によって、船から離れた場所でも運用できるというメリットがあります。いろいろな技術開発も進められている状況です。
 もう一つはレジデントです。これは海底にAUVを長期間滞在させようという技術です。具体的には海底ステーションとの連携ですね。普通であれば、電池がなくなったら船に回収して充電するわけですが、海の中でやってしまおうと。海底にステーションを置いて、AUVがそこにドッキングして、そこで充電して、取ったデータもそこで陸上に送ります。お掃除ロボットと一緒ですね。電池がなくなったら勝手にステーションに帰って充電して、そのようにして海底長期滞在ができると、ロボットを投入したり回収したりというのでわざわざ船で人間が行く必要がなくなるので非常に効率が上がると思われます。例えば、今まで1年に1回しか行けなかった場所にロボットを常駐させることができますので、経時的な変化を詳しく見たりとか、あるいは、噴火とか地震とか何かイベントが起きたときに、即座に調べたりという今まで考えられなかったような海中調査ができるようになります。いろいろな技術開発が進められています。
 あとは、低コスト路線です。水中ドローンという言葉がありますが、小型で、水深は大体浅いところが多いですが非常に安い。例えば、従来に比べて10分の1くらいの値段で、様々なROVやセンサー類も出てきています。こういったものを活用していくと、ロボット自身小型・低コスト化できるので、AUVの場合だったら、無くなってもリスクが減るということと、大量にばらまくことができるので、マルチビークルと非常に相性が良い。
 あとは、単体の機能強化。これも綿々とAUVはアカデミアで開発が進められていまして、より遠くへ、より賢く、より高精度に、より厳しい環境へということで、AIを導入して、ロボットが自分で興味を持つものを見つけて勝手に調べる、インターベンションさせる、長距離を動かすなど、様々な方向の開発があります。その例として、長距離運用システムの最近のニュースとしては、長さ11m、航続距離が2,200kmの大型AUVがあり、ポイントはshore-to-shore operations、つまり、港から出て観測して港に戻ってくる。もはや船がなくて、全自動で海中調査を行うというコンセプトです。非常に大型でコストがかかりますが、もはやこれはロボットというよりは無人潜水艦、無人観測艇のようなイメージかもしれません。
 私たちの研究室では、AUVをキーワードに様々な研究開発に取り組んでいまして、マルチビークル、低コストビークル、あとは、これはウミガメを追いかけるロボットといった生き物観測、それから南極の氷の下に行くロボットやレジデント、そういった開発を進めております。「MONACA」は我々が開発したAUVで、昨年、南極の昭和基地の沖合で初運用に成功しております。小型といっても2mくらいありますが、モジュール構造にしていて、用途に応じてセンサーや構成を変えやすいというのがポイントになっています。
 最後に提案ですが、8,000m級の探査能力を備える場合、少なくともROVは必須であると考えています。それはなぜかといいますと、もしAUVだけだとすると、サンプリング能力が現状不足です。将来的にはできるかもしれませんが、研究開発にかなり時間がかかると思います。ではHOVがあればいいかというと、HOVだけだと万一のレスキューができないわけです。もし海底で引っかかってしまった場合に、その深度に行けるROVがないと、これは非常に不安です。
そういう意味もあって、いずれの戦略を取るにしてもROVは必須だと考えています。
 しかし、ケーブルの問題があって、従来方式の開発は困難と言われています。そこで、最新の技術を組み合わせて全く新しいシステムが実現できないかというのが提案になります。具体的には、インターネットでつなぐ、これは色々なところでも言われている話ですが、様々な技術を組み合わせることで何か新しいことができないかというものです。ロボット本体はバッテリー駆動にします。大容量バッテリーによって重作業や長時間運用に対応できるものを確保します。
 最近のEV、電気自動車のバッテリーはかなり進化していまして、例えば、テスラの乗用車は82kWhを積んでいるということで、これは「しんかい6500」に匹敵します。日本でもトヨタとかが技術開発を進めていますが、そういったものを均圧構造にして持っていけないかというのは一考の余地があるかなと思います。そうすると、ケーブルは電力を送る必要がなく、細径ケーブルで十分ですので、それであれば作れるかもしれない。それから、細くなりますので、流れの影響も少なくなる。もし交換するにしても、電力伝送ケーブルに比べれば低コストで運用できるだろうと思います。
 あとは、サンプリング能力です。こちらは前回に御紹介があったサンプリングエレベーターというのは非常に良いなと思いまして、わざわざ深海からROVを上げてくるのは大変ですが、サンプルを取ったら、このエレベーターに置いて、自動で上がっていくわけです。将来的には、電池もサンプリングエレベーターで届けて、深海でも自分で電池を交換できれば、ROVを毎回上げなくても良いのではないかと思います。そうすると、24時間でも、1週間でも、長期間ロボットを海底に置いていけるようになるのではないかと思います。
 ただ、そうなると人が大変になるため、陸上とスターリンク等の高速無線通信でつなげる必要が出てきます。これは肝です。信頼できる高速無線通信につなげることができれば、オペレーターは陸上にいても問題ありません。船が要らないという話ではなく、船にももちろんオペレーターは要りますが、例えば、サブのオペレーターは陸上からでも良いのではないかということです。
 例えば、自律運航船でも、陸上から運用しているというコンセプトがあります。それと似たような形で、陸上からつないで運用する。熟練したROVオペレーターというのは非常に貴重な存在ですので、船の制限なく活躍していただくことができると思います。あとは、乗船人数の縛りもなくなるので、交代要員としてもできますので、3交代制で24時間運用とかいうこともできますし、働き方改革という点でも快適な環境になると思います。研究者にもメリットがあると思っています。もちろん、乗船する人もいれば、オンラインで繋いで観測に参加する人がいても良いのではないかと思います。そうすると、多忙な人でも参加できますし、航海全部には乗れなくても、この日の観測だけは参加できるといったこともあります。
 インターフェースも工夫が必要だと思います。今はROVのカメラは前しか見えませんが、例えば、全方位カメラを積んで、さらにVRゴーグルと組み合わせるなどすると、水中であたかも自分がそこにいるような世界を提示できるのではないでしょうか。この辺りは日本でも、例えば、ゲーム会社やメディア関係など、強い分野があるのでないかと思います。AI技術というのはどんどん進化していますので、操縦を手伝ってもらうことも有効でしょう。例えば、安全管理や姿勢制御を手伝ってもらうことで、衛星通信のタイムラグを解消したり、あまり熟練してないパイロットの場合でも、安心して運用できるようになるのではないかと思います。
 最後はおまけのスライドですが、これは私が子供の頃よく遊んでいたときのイメージ写真です(1980年代のテレビゲーム風景)。今の深海探査はこれに近いイメージかなと思っています。つまり、インターフェースを見ながらオペレーターが操縦しています。周りでサイエンティストがそれを見ていて、あそこへ行きましょうといった話をしている状況です。今の子供たちがどうしているかというと、テレビゲームをしているのは一緒なのですが、少し違います。インターネットで繋ぎ、友達とはスマホで通話をしながらオンラインゲームを楽しんでいます。このような感じになると、場所の制約がなく、様々な活動が可能になるということで、今の子供たちはこれが当たり前になっていますので、海洋観測も最新の技術を使ってどんどん便利にできるものはしていけばいいのではないかという考えです。以上です。
【松本主査】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 小島委員、お願いいたします。
【小島委員】  ありがとうございました。
 御提案いただいた、電池を持って行って、細いケーブルで、重いものはサンプルエレベーターで運ぶというのは非常に魅力的な御提案だと思いますが、例えば、岩のような重いものをサンプリングしてエレベーターに載せるというところは、電力的にいかがなのでしょうか。
【巻委員】  そこはロボットの電力で何とかするしかないです。
 例えば、「しんかい6500」と同程度のバッテリー容量は確保できると考えると、「しんかい6500」と同等のサンプリングはできると思います。あとは、サンプリングエレベーターがそばにあれば、運搬する距離は短いので、もう少し行けるかもしれません。ただ、まだ私も詳しく検討したわけではないので、何とも言えません。
【小島委員】  どうもありがとうございます。
【松本主査】  ほかに御質問等いかがでしょうか。
 日野委員、どうぞ。
【日野委員】  説明どうもありがとうございました。
 私はレジデントのところに大変興味を持ちました。私がさっき申し上げたような広域サーベイでも、繰り返しサーベイの拠点になるなと思いました。これを例えば深い海に持っていこうと思った時に、技術的にここが難しいかもしれないというような懸念があれば教えてください。
【巻委員】  深さによる懸念はありますが、まだ完全に信頼できる状態ではないので、例えば、ロボットがステーションに引っかかって出られなくなるとかそういう場合にはレスキューが必要です。レスキューが難しくなるというのは課題だと思いますので、そういうことの起きにくいデザイン。あとは、長時間の安定動作ですね。例えば、水中でものが堆積しても、それでLEDが見えなくなってしまったとか、そういう問題のないようなシステムにしていくというのが大事ではないかと思います。
【日野委員】  ありがとうございます。
【松本主査】  他いかがでしょうか。谷委員、どうぞ。
【谷委員】  御提案いただいた未来図について、衛星通信を使って、例えばROVオペレーターも陸上から一部加わることで長時間のオペレーションを可能にする、あるいは、研究者も自分が船に乗るわけではなくて、一部スポット的に陸上から参加する。これは、例えば子育て世代で乗船できないけれども船を使って研究したい人たちにとっては非常に魅力的な方法だと思います。そういうことを実現するための高速の衛星通信というのは、現状のスターリンクくらいの容量があるものであれば、今でも一部、例えば、このROVのオペレーションを陸上からすることが可能なのでしょうか。それとも、新しい衛星通信が出てくるのを待たなければないようなものなのでしょうか。
【巻委員】  スターリンクの通信は、私もあまりちゃんと見てないですが、例えば、私の家では光回線を引いていますが、そのくらいの速度は出ると聞いたことがあります。私は今、光回線を使ってZoom会議をしていますが、今くらいのコミュニケーションは全く問題なくできるわけです。例えば、4Kの画像をリアルタイムにとなると厳しいかもしれないですが、多少そこは画質を落としてでも、あれを取りたいとかそういう最低限のコミュニケーションができるレベルではできるのではないかと思います。
【谷委員】  ROVのオペレーション自体も、現状の衛星回線である程度リアルタイムであまり遅延なくできそうな感じなのでしょうか。
【巻委員】  そこは分からないですが、海外だと船を離れた場所からの遠隔操縦や、防衛や軍事面ではリモコン操作というのは今もう既に行われていますので、実績はある技術だと思います。
【谷委員】  ありがとうございます。
【松本主査】  他はいかがでしょうか。奥村委員、どうぞ。
【奥村委員】  ありがとうございます。AUVについてあまり詳しくなったので、今回、非常にいろいろな種類のものがあるということが非常に勉強になりました。
 AUVにサンプリング機能を付加することは結構時間がかかるとおっしゃっていたのですが、今のROVやHOVのような色々できる、しかも重量物の置けるマニピュレーターのようなものではなくて、もっと簡易的に動かせるセンサーを持っていくとか、軽いものを持てるマニピュレーターをつけるとか、そういったより軽微なサンプリング能力を持つということも、ゼロベースでつくり上げていくのに結構時間がかかるという理解でよろしいでしょうか。
【巻委員】  何をサンプリングするかにもよりますが、例えば、水のサンプリングだったら今でもやっています。
 それはロボットが海底に接触しなくてもできます。あとは、センサーを置いてくるというのは比較的難易度が低いかもしれません。ただ、軽いものでも、例えば、特定の生き物を捕まえてくるとなると、認識の問題が出てくるわけです。例えば貝を見つけるとしたら、どの貝なのだろうとか。
 あとは、写真を撮るだけなら、多少位置がずれていても撮ればいいのですが、サンプリングとなると、マニピュレーターをターゲットに正確に当てないといけません。それを潰さないようにどこを持つかとか、それは陸上でもそういうロボット開発をやっている人がいっぱいいますが、その手の点の難しさが出てきます。
 あとは、海の中だと怖いのは、それでもし間違ったときに、例えば、岩の間に手を突っ込んでしまって抜けなくなるリスクもあります。なので、なかなかいきなり実用化は難しいのではないかとは思っています。
【奥村委員】  ありがとうございます。
【松本主査】  廣川委員、どうぞ。
【廣川委員】  御説明ありがとうございます。
 先ほどのお話の中で、港から船を使わずに港まで戻ってくるAUV、非常に大きなAUVということで御紹介がありました。非常に興味深いですが、実際に頻繁に使われているのかということと、あと、これを運用する上での問題点は何か、お分かりであれば教えていただきたいと思います。
【巻委員】  実用化されているというよりは、デモンストレーションレベルだと思っています。
 おそらく、かなり大型なのでコストがかかり、どこ向けというのは書いてないですが、海軍関係かなという匂いはします。かなりコストがかかるというのは課題だと思いますし、あとは、これを実際運用しようとなると、完全の無人のロボットが港から出ていって良いか、他の船とぶつかるリスクはどうするかといった法律面の話が出てくるので、その辺も併せて考えていく必要があろうかと思います。
【廣川委員】  なるほど。コスト面では、船が必要ないことで、船のコストが要らないという意味では大型化のコストと相殺される可能性はあるのかなと思います。確かに、法律面だとか問題は多々ありそうな感じがいたします。ありがとうございます。
【松本主査】  巻委員、ありがとうございました。
【巻委員】  ありがとうございました。
【松本主査】  続いて、民間企業における技術開発動向について、湯浅委員から御説明いただきたいと思います。
 湯浅委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【湯浅委員】  川崎重工の湯浅です。「当社AUV『SPICE』の開発状況並びに各深海探査システム国産化に向けた考察」というタイトルにて、当社で開発中のAUV、「SPICE」という名前ですが、これの紹介と各深海探査用のビークルの国産化について、私見を交えてまとめてみました。
 まずAUVですけれども、既にJAMSTECや海技研が保有しています。6,000m級の深海用としても、外国では「Hugin」や「REMUS」といった調査用がカタログ品として市販されておりまして、また、JAMSTECでも、8,000m級を目指して「うらしま」を現在改造中です。
 海洋調査用AUVにつきましても、先ほどの巻委員の発表でもありましたように、複数台や氷海域の運用等やっていきますので、政府の後押しもありますし、今後、国産という意味でも伸びていくと思っています。今後、AI等の最新技術を取り入れて、研究開発を怠ることなく、国産化を進めていくべきであると私も考えております。
 当社が開発中の作業用AUV、「SPICE」を紹介させていただきます。当社AUVは観測用ということではなくて、海底油田設備での作業型AUVということで開発をスタートしております。石油・ガス業界では、深海の海底油田の検査、これをROVだとかダイバー、深海であればROVでやっていますが、やはりコストがかかってしまうということもありまして、これをAUV化したらどうかと我々は考えたわけです。AUV化すると、各海底油田のパイプの設備をAUVが自動で検査して、データを上げてくるということができ、コストダウンが可能だと思った次第です。
 「SPICE」という名前は「Subsea Precise Inspector with Close Eyes」というものの略になっており、AUV本体にロボットアームをつけ、その先端にITUという検査ツールをつけています。これを海底油田のパイプに沿わせて動かすことによって、いろいろな検査をしようというコンセプトを持ったAUVになっております。上のほうがステーションになっており、そのステーションにAUVが自動でドッキングすることにより、海中での発進・揚収が可能としております。そのため、ダイバーのオペレーションが要らないということもあって、HSEにも貢献するだろうと考えております。仕様は深度が3,000m、全長が4.5m、最高速度が4ノットというAUVになっております。2020年6月に兵庫県の淡路島沖で海底に模擬のパイプラインを設置しまして、その上をAUVがちゃんとトレースするかどうかという試験を行った模様を御紹介させていただきます。パイプラインを500mほど引き、AUVが配管に沿ってアームを下ろして、ITUがパイプを沿って行っている様子です。右から2つ目が、ちょうどAUVのITUがパイプに沿って走っているような状況になっております。一番右の写真が、陸上のオペレーターから見ました映像画面になっていまして、右がAUVからのテレビ画面、一番左側がソナー画面の状況になっています。これが順々に送られておりまして、パイプ交差部があったら、AUVがアームを上げてITUが引っかからないようにしているということの動作をずっと追った写真になります。ちょうど交差部でアームを上げてよけて、またそれを超えれば、アームを下ろしてもう一度追従しているところです。
 その「SPICE」の開発を進めていまして、イギリスのMODUS社という、石油開発の検査会社ですけれども、ここから2台受注しておりまして、今、イギリスで最終チェックをしております。全長が5.6m、重量が2.5t、最大深度が3,000mで、かなり大型のAUVになっております。
 そのAUV「SPICE」の開発が済みますと、このような海底油田で複数台のAUVを導入することにより、24時間365日の自動検査が可能になります。要するに、バッテリーが切れると、ステーションに行って自動で充電し、その際に取り込んだデータも船上に上げる。1台が充電しておりますと、その他の機体が引き続きチェックをしているということで、休みなくチェックができるということになります。それができると、洋上風力が今後日本の近海でも設置されるということですが、ケーブルのチェックだとかにはこういうAUVが使えるだろうと考えております。
 これがAUV「SPICE」の製造部品のコストを示したものです。輸入品が大体3分の2の66%、国産が34%ということになっており、輸入品はソナーやスラスター、耐水圧ケーブル等々、これは欧米でカタログ品として売っているものになります。国産品の詳細が右の円グラフになりまして、大きく占めているのが非接触充電やステーションとの光通信です。あとは、制御装置、ロボットアームというところが大きなところを占めていますが、これは当社の開発品にもなりますので、開発品とかを除くと、かなり国産品のシェアは減っていくということになります。今後、これを部品まで国産化するかというのは、AUVやROVの産業がどんどん興隆していかないと、なかなか国産のシェアは増えないのではないかと思っております。
 続きまして、ROVです。ROVは、欧米でかなり昔から海底油田等の産業が盛んでしたので、すでにかなりのカタログ品がありますので、今から国産化として追いつくのはかなり難しいと思っております。あと、国産化をするにしろ、ある程度搭載機器はAUVと共通になりますので、その部品がAUVで盛んになると、国産の部品も作られるということになるでしょうが、一番問題となるのはアンビリカルケーブルになると思います。今のところ、国産の大深度アンビリカルケーブルメーカーは撤退しておりますので、現状であれば、開発費を改めて投入するか輸入に頼らざるを得ないと思います。本項では、欧米のROVの実績と国内外のアンビリカルケーブルの状況を紹介します。これは各国の大深度ROVということで、もう既にこのようなメーカーがROVをカタログ化しています。大体3,000~6,000m級、一番右のArgusというノルウェーのメーカーであれば7,000m級のオプションがある状態ですから、かなりカタログ品として大深度用はあるということになります。また、大深度のアンビリカルケーブル、これはイギリスのFibron社というメーカーですが、ここは既にアンビリカルケーブルもカタログ化しており、代理店等の話によると、10km以上でも作ると言っていますので、それを信じればフルデプスまで可能になると思っています。
 では、国産はどうかといえば、OCC社というメーカーがありまして、ここを尋ねて現状を確認してきた次第がこのスライドになっております。OCC社というのがいろいろな海中のケーブルを作っておられるメーカーでございまして、実績としては、いろいろな海底ケーブルを作っている。アンビリカルケーブルについても、4,000m級のケーブルは製造の実績があると言われておりました。さらに深いところはどうかと確認したところ、6,000mまでであれば、設備投資はやはり要るが、製造はできると言われています。6,000mを超えてくると、やはり開発も要ると言われていましたが、電力ケーブルがなければこのアンビリカルケーブルも通信の光ファイバーだけになり細くなりますので、それであれば現状の設備で製造可能ではないかと言われておりました。
 先ほどの巻委員の発表でもありましたように、例えば、電池搭載したROVであれば、国産の通信用のアンビリカルケーブルをつければ、一応、国産の大深度ROVは製造可能かと思っております。この光ケーブルだけのアンビリカルケーブルであったとしても、数tonの展張の能力があるということを聞いておりますので、それであれば可能ではないかと思っております。国産のメリットとしては、納期だとかトラブル時の対応が迅速になりますし、初期のケーブルの延び等に対しても対応をしてくれるというところがありますので、国産化のメリットはあると考えております。
 最後に、有人潜水船です。これはオーダーメイドにならざるを得ないので、国産化は必須だろうと思っています。搭載機器は、AUVと同じような機器を使えるということになりますので、輸入品の採用も可能だと思っています。日本の水中の機器メーカーも作っていただけるということであれば、部品レベルから国産化ということもできるのでないかと思っています。ただし、耐圧殻は球殻の製造技術は現在ないと言わざるを得ないかなと思っています。
 これが我が国の有人潜水船の年表になっております。上が「しんかい6500」。これはJAMSTECの船になっております。下3つがDSRV、深海救難艇と言われる船になっておりまして、これは防衛省の船になっております。「しんかい6500」は三菱重工さんが製造されたということもありまして、あまり我々は細かいところまでは分かってないのですが、一応船歴といたしましては、「しんかい2000」が大体23年で、2004年にダウン。「しんかい6500」が今のところ35年ほど使っているということになります。
 DSRVは今、1号艇から3号艇まで製造しておりまして、1号艇は既に2018年、33年でリタイアしております。現在「ちはや」「ちよだ」が使用されておりまして、最近であれば2018年、新しい「ちよだ」のDSRVの3号艇は、今のところ船齢は6年ということで、新しくなっております。潜水艦を除きますと、今のところこういう船が、我が国の有人潜水船としてあるということになります。
 まず、DSRVは我々川崎重工が製造しており、これが側面図です。製造した一番のポイントとして、先ほども申し上げましたけれども、耐圧殻というのが重要なポイントになっておりまして、この赤いところに示すような3連球の耐圧殻を有しております。これは高張力鋼を使っておりまして、曲げだとか球殻の溶接、あと切削加工をしておりまして真円度を出しているということになります。ところが、3号艇は、こういう球殻を作るというのが非常に難しいということもありまして、潜水艦と同様に円筒形に変更しておりますので、3号艇は球殻にしていません。我々も球殻の耐圧殻を作るのは今のところ非常に困難にはなってきております。
 こちらは「しんかい6500」で、三菱重工さんと、チタン自体は神戸製鋼さんが作られたということを聞いております。材料としてはチタン合金になりまして、曲げだとか溶接、真円度の確認というところはポイントになってくる。我々が伝え聞くところによりましても、三菱重工さんにしろ、神戸製鋼さんにしろ、チタンの耐圧殻を作るというのは現状難しいと伺っております。ですから、結論としては、この耐圧殻というのは、できればこの「しんかい6500」をリニューアルする際にも、次の船に使ったほうが得策ではないかなというふうに考えております。
 その耐圧殻流用に向けて問題点を挙げています。まず、1つ目は、耐圧殻真球度に問題がないか。「しんかい6500」は長く使っておりますので、その圧力の応力変形などのひずみ等で真球度がちゃんと保たれているか、また、有害な傷がないかどうかというのはチェックしなければいけないということです。
 2つ目、耐圧殻の寸法や貫通部が新しい有人潜水船の仕様を満足しているか。寸法的に次の船がいろいろしたいことがもう成り立たないというような寸法であるとか、貫通部の数が足らないということであれば、もう使えないということになりますので、これは無理だということになります。
 最後に、耐圧殻の繰り返し荷重の規定を将来的に超えることはないかということで、次の船がダウンするまでに、この繰り返し荷重の規定の回数をオーバーすることがないか確認をするということが必要である。もしもオーバーするということであれば、この耐圧殻は次の船がダウンするまで使えないということになりますので、これも流用は不可だということになります。
 以上で私の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【松本主査】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いします。
 小島委員、どうぞ。
【小島委員】  どうもありがとうございました。
 「しんかい6500」の耐圧殻を流用するという新しいアイデアが出てきたのだと思いますけれども、一方で、有人潜水船が使えない期間というのができてしまうのかと思いまして、道林先生が絶対駄目と言っていらっしゃる話になってしまうと思うのですが、もしそれをやるとすると、どのくらいの期間「しんかい6500」が使えなくなるというふうに見ておられるのでしょうか。
【湯浅委員】  細かく見積もってはいないですけれども、耐圧殻以外のところを別途先に作っておいて、耐圧殻の内部だけを最終的に交換して新しい船に入れ込むということになりますと、最短で半年くらい。すいません。あんまりいい加減なことは言えませんけれども、半年くらいは少なくともかかるだろうというふうに思います。やはり試験等が要りますので、どうしてもそのくらいかかる。
【小島委員】  どうもありがとうございました。
【松本主査】 ほかいかがでしょうか。
 河野委員、お願いします。
【河野委員】  ありがとうございました。
 御紹介のあった長尺のアンビリカルケーブルの素材は分かりますか。
【湯浅委員】  国産のほうですか。
【河野委員】  いや、大深度の方です。国産ではない方です。
【湯浅委員】  カタログでどこかに書いていたか今覚えてないのですが。すみません。
【河野委員】  水中重量が1km当たり3.2tで、破断強度が大体68tくらいになるのではないかと思うのですが、そうすると、1万m出した時点で、安全係数が2くらいになってしまいます。ケーブルは作れるけれども、運用するときにその安全率で大丈夫なのかという問題はやはりあると思います。
【湯浅委員】  そうですね。これはカタログの一例を出したので、本当に10kmを作るときに同じこの仕様で行くのかどうかというのは、確認しておりませんので、10km作る場合はもう少し変わってくるのではないかなと思います。
【河野委員】  鋼材などで作ると6,000mくらいのところに限界があって、それを超えると安全係数的に長く下へ延ばせないという問題があって、テーパーや素材を繊維にするなどしないと大深度の運用は難しいという現実があります。このケーブルがそれを解決しているのかどうかよく分かりませんでした。
【湯浅委員】  欧米のメーカーですけれども、本当に実用化したのかというところはまだ分からないところはありますね。
【河野委員】  ありがとうございました。
【松本主査】  それではここで休憩を取ります。一旦失礼いたします。ありがとうございました。
  ( 休憩 )
【松本主査】  それでは、再開したいと思います。
 議題3です。「深海システムに関する人材育成やアウトリーチ活動について」に入ります。
 この議題につきましては、岩崎委員から御説明いただきたいと思います。
 岩崎委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【岩崎委員】  よろしくお願いいたします。NHKエンタープライズの岩崎と申します。
 まず、私はこれまで40年ほど、NHKで番組制作を担当してまいりました。特に自然番組や科学番組の制作をしてまいりまして、今、画面に出ているような番組をつくってまいりました。科学番組を作っている中で深海の番組を作るようになりまして、日本では、JAMSTECや科学博物館、それから研究者の皆様にお世話になりながら、世界でいろいろな潜水艇などを使いながら、撮影を進めてまいりました。今日はいかに深海を撮影するかということを中心に、アウトリーチの話などをさせていただければと思います。
 覚えている方もいらっしゃるかもしれませんけれども、2013年に、世界で初めてダイオウイカを深海で撮影し、番組も放送しまして、まずはその例からお話ししたいと思います。最初、動画をプレイバックさせていただきますけれども、このときは、透明球型潜水艇を使い、撮影しました。今、潜水艇の前に出ていたのは、ソデイカという1mくらいのイカですけれども、それをおとりといいますか、餌にしまして、深海630mでダイオウイカに遭遇しました。これが遭遇したところ、今、奥からダイオウイカが襲ってきた瞬間ですね。このときは特殊なライトで撮影をしているので少し見にくいのですが、ダイオウイカが来たというのを確認後、通常の撮影用のライトに切り替えて撮影を行いました。先ほど申し上げた透明型の潜水艇にしたことで、広い範囲が見えるわけです。340度を超える視界があり、どこからダイオウイカが現れても確認できたということと、特殊な機材とライトを開発したということが世界で初めて撮影に成功した要因だと思っています。
 ここで強調したいのは、やはり非常に警戒心の強い生き物に対して、いつ出てくるか分からない、カメラマンがうまくオペレートする必要があるケースではHOV、有人潜水艇でなければ撮影することは不可能だということです。 放送した時にいろいろな反響が寄せられました。特にNHKスペシャルで、視聴率で言いますと16.8%という、直近10年の日曜Nスぺとしては、第1位という非常に高い視聴率を上げられました。やはりここに出ているように、一緒に潜水艇で潜って見ているような気持ちになって、ワクワクドキドキしたとか、神秘的な世界の美しさや不思議に魅了されたとか、そうしたことに感動したという声が大きかったです。この番組は海外でも広い範囲で放送されまして、海外でも同様の感想が、各国から寄せられていたということが分かります。
 放送したとき、今日のように雪が降りまして、次の日、雪が積もったのですね。あちこちでダイオウイカの雪だるまみたいなものが出現したり、あまり褒められた話ではないのですが、画像をキャプチャーして吹き出しをつける人が現れたり、色々な反響がありました。
 ダイオウイカの放送の後、深海のシリーズを今も制作中ですが、「深海の超巨大イカ」、「謎の海底サメ王国」、「DEEP OCEAN」、去年は「DEEP OCEANⅡ」というシリーズで紅海の番組をやったりしまして、7本ほどの番組をつくってまいりました。この番組と連動して、国立科学博物館のほうで、特別展というのをこれまで3回開催しています。
 これは去年の特別展「海」を行ったときの数字ですが、来場者数(NHK調べ)はおよそ30万人の方が来場。その前に特別展深海(2013、2017年)をやったときはやはり60万人前後の非常に多い入場者の方が来場されました。その中で一番特筆すべきことが、とにかく若い世代の来場者が非常に多いということです。下の左側の円グラフを見ていただけると分かるのですが、この赤い線で囲っているところは30代よりも若い人たちで、30代の方々が6割、来場者数の6割に及ぶと。アンダー50にしても92.3%という、非常に若い層の方が多いと。しかもファミリー層だけではなくて、学生であるとか新社会人層が非常に多いということで、恐竜に続いて、この深海のコンテンツというのが若い人たちに刺さるコンテンツであるということが言えると思います。
 もっと深海の番組をつくればいいじゃないかという話もあるのですけれども、実は深海の番組をつくるのは、深海の研究をするのと同じと思うのですが、大変な苦労があります。
 深海三重苦と勝手に名づけているのですが、そもそも生きものに出会うということ自体が難しいです。なおかつ、深海は真っ暗ですから、その真っ暗な中でいかに撮影をするかというハードルがあります。ただ撮るだけでは駄目で、やはり魅力のある画像にするということが必要なので、そのために照明というまた大きな課題があるということで、大体、深海の番組をつくるというのは、私たちのセクションにも30人以上のスタッフいますが、こんな苦労をして番組を作ろうと言う人はほぼいません。
 まず一つは、先ほども道林先生もおっしゃっていましたけれども、船に乗ると言うと、船に弱いからやりたくないという人もいますし、研究者や我々のような取材者が乗れる人数は乗船定員の4分の1ほどで、船に乗るというチャンスが非常に限られます。
 さらに、その潜水艇に乗って深海に行くということになりますと、1~2人になりますので、そもそもその深海に撮影に行けるというチャンスが非常に少ない。さらに先ほど申しましたように特殊な機材が必要です。それを潜水艇につけて、またオペレートしなければいけないという課題があります。
 これはダイオウイカを撮影するときの例ですが、ダイオウイカは非常に大きな目を持っていまして、とにかく光が大嫌いということが、これまで撮影できなかった一つの大きな理由ですけれども、私たちがチャレンジしたときには下のグラフにある近赤外線という700nmよりも長い波長の光、これがダイオウイカには見えないということに着目して、その光を使って撮影をできないかということで特別なカメラ、そしてライトを開発しました。さらに、そのカメラやライトを1,000mの耐圧、水圧に耐えるようなハウジングに入れなくてはいけません。さらに、それをコントロールするためのまたケーブルとかコネクターとかいろんなものが必要になってきます。特別な機器をそれぞれ開発するということで、また、大きなハードルがあります。
 先ほど、照明の話をしましたが、この左と右に映っている画像は、いずれも500mくらいのところで撮影したものですが、このように潜水艇が映っているということは、実はもう1隻潜水艇がいまして、それが撮っているということです。右の画像では、上からライトが照らしているのが分かりますが、もう1隻の潜水艇が照明船として光を当てて、そして、こちらのカメラの乗っかった撮影船からやっていると。つまり2隻、ダブルダイブで潜航していることが非常に大きなメリットになります。
 1台しかないときはどうしているのかといいますと、これはJAMSTECの「ハイパードルフィン」の例ですが、照明を載せているアームの部分をブームと呼びますが、延長棒のようなブームを左右に展開しまして、撮影をする工夫もしています。これなぜかといいますと、カメラと照明をできるだけ離さないときれいな映像にならないからです。
これはその一つの例ですが、カメラと照明が近いと、マリンスノーがライトに反射しまして、見づらい映像になってしまいます。右下の映像だと、カメラと照明を離しているものですから、浮遊物が消えて非常に深海らしい景観となります。ただ、こういう設えをするためには、研究者の方のペイロードとバッティングする可能性が高くなります。そのため、撮影の日あるいは時間というのをつくっていただいて、照明のライティングの位置を変えたりしながら撮影を進めました。
 未来への挑戦ということで、こういう研究もしていますという例ですが、8Kという、これはハイビジョンの16倍の高精細な撮影技術なんですが、その8Kで深海が撮れないかということで、JAMSTECと共同研究をしました。
 「かいこう」にその8Kカメラ用水中耐圧容器をつけて沖縄、それから水曜海山というところで撮影をする共同研究を行いました。この8Kのメリットとしては、高精細であるだけではなく、暗いところ、普通、影で真っ黒に潰れてしまうところが、非常に豊かな階調表現することができるため、細かいところまで表現できるということです。HDR(ハイダイナミックレンジ)という色彩・色域の表現技術です。また遠隔のライトを3台開発していただきまして、それをタイマー操作で点灯しました。これは水曜海山で撮影をしたときの例ですが、離れたところに裏側からライトを置くと、例えば海底からどれくらいの勢いで熱水が吹き出しているのかとか、どれくらいの範囲でそれが広がっているのかとか、そういうことがこの逆方向からライトを当てることで浮き立たせることができます。
 「深海の大絶景」という番組で、8K放送をさせていただいたという例があります。こうしたことをまとめてロードマップといいますか、こういうことができたらいいなという妄想ですが、最初に紹介したダイオウイカを撮影した透明ドーム型の潜水艇というものを使って、もちろんこれに8Kとブーム付きのライトというのを搭載して、1,000mまでの中層あるいは浅い海底なんかをこうした透明ドーム型の潜水艇で観察、あるいは学生や子供たちの体験用とかそういうことでアウトリーチに活用できないかと。ただ、これからの課題として法律の改正が恐らく必要になるだろうと。日本で潜水船の運用というのが鋼鉄船しか認められてないと聞いていますので、法律の改正というのが実現するには必要になるだろうと思います。
 それから2つ目ですけれども、「しんかい6500」で私たちは何度も撮影をさせていただいておりますが、やはり絶対になくしてはいけない存在だと思います。先ほど道林先生もおっしゃっていましたけれども、ソフトの向上というのがやはり大事だと思います。その機材とか潜水艇があるというだけではなくて、それをどう運用するかと。私たちは何度も撮影をしていますが、やはりどこかで機材がうまく動かなかったとか、潜っている途中でこっちは動いたけどあれは駄目だったとか、そういう運用上の予想外のことが起きるというのは度々あります。そういう時にどのように対応したらいいかというのは、やはりこれまでの「しんかい6500」での知見というのが皆さん経験としてあって、やられているというのは私たちも同じです。ですので、新しい「しんかい6500」を建造していって、現行のものはあと10年くらい運用可能というお話が前回もありましたので、ダブルでダイブすることが可能になるわけです。この「しんかい6500」と新しい「しんかい6500」を使って、海底の探査をダブルで行えば、広範囲の深海照明も可能になります。
3つ目はライティングするのにAUVを使ったら非常に有効なのではないかと。離れたところからのライティングも可能なのではないかと。
 それから4つ目のROVですが、これはできればフルデプス級が望ましいのですが、最低でもやはり1万m級が必要なのではないか。といいますのは、日本のEEZの最深部9,800mのところまで行けるものがないと、まずいのではないかと。それとやはり「しんかい6500」、有人のものにもしも何かのことがあった場合のレスキューとしてもROVが必要だと思います。
 最後になりましたけれども、こうしたものを運用するために一番大事なのはやはり船だと思います。Aフレームというのは潜水船を上げ下ろしするための特別なフレームで、そうしたAフレーム、あるいはダイナミックポジションと言われる海上で制止する機能の持ったものというものを開発するのが必要なのではないかと思います。
 駆け足で説明させていただけましたけれども、私の説明は以上です。
【松本主査】  岩崎委員、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 谷委員、お願いします。
【谷委員】  どうもありがとうございました。科博の件も御紹介いただいてありがとうございます。
 同じようにアウトリーチの普及、広報に仕事をしているということで共感するところが多かったのですが、博物館の実際の深海の調査や現場で分かってきたことを紹介してきて、一般の方の興味があって、今、主に僕たちができてないところは、リアルタイムで深海の中継をするとか、臨場感というのがまだできてないかなと思っているのですけども、例えばNHKさんでもこれから深海からの中継とか、もしそういうことにできるとなったらどういう技術的な課題があるかというのを教えていただきたいです。
【岩崎委員】  ありがとうございます。
 まさにリアルタイムに中継をするということは関心が高いと思います。実際ハイパードルフィンを使って、相模湾から中継をしたというのが2000年代の初めだったと思いますが、行いました。そのときは科学未来館から小学生の方が操縦するようなこともして、実際に運用したことがあります。なので、技術的には恐らく中継する、船上から衛星もしくは地上にリンクすることさえできれば、技術的には難しくないかと思います。あと、ニコニコ動画の生放送で「しんかい6500」が世界一周航海を行ったときも、たしかカリブ海沖でインターネットの中継ということでやられたのだと思いますが、ネットで中継できる機会は恐らくたくさんあろうかと思います。
【谷委員】  ありがとうございます。
【松本主査】  ほか、いかがでしょうか。
 巻委員、どうぞ。
【巻委員】  御説明ありがとうございました。
 質問というよりはコメントですけど、ダブルダイブで照明を行う別のビークルがいるというのはとても興味深く拝見しました。それはAUVでもできるのかなと思いました。というのは、AUVは例えば相対的にほかのロボットとの位置を保つとか、そういうことは結構得意です。それから、HOVやROVがメインで行って、それにAUVが随伴して行って、例えばこれを取りたいから向こうから照らしてくれとか、そういったアシスタント的に使うというのはとても面白いと思いました。以上です。
【岩崎委員】  ありがとうございます。
 実は私もAUVを使った経験はないので、ぜひそういうことができればすばらしいといつも思っておりまして、そのAUVを操作するというのは、例えば潜っているHOVの中からでも可能なのでしょうか。もう少し右に行けとか左に行けとか。
【巻委員】  それは可能だと思います。最初はHOVに例えば積んでいって、海底に着いてからAUVを発信させて、遠隔操縦するというイメージですね。
【岩崎委員】  なるほど。私たちの世界では客観ショットと言うのですが、やはり潜水艇が潜っているなりROVが潜っているというのをちょっと外からどういう状況になっているかなというのを撮るというのが実は非常に大事で、やはり見ている視聴者の方々にとっては、それが一番一緒に潜っているような共感を得る、訴えるものがあると思います。場合によっては海底に小さいカメラ置いて、タイマー仕掛けで客観ショットを撮ったりもするので、ぜひAUVでカメラや照明が操作できるようになるとすばらしいなと常々思っております。ありがとうございました。
【松本主査】  ありがとうございます。
 それでは、少々時間が押していますので、次の話に入りたいと思います。岩崎委員、ありがとうございました。
 続きまして、議題4に入ります。「将来に備えるべき深海探査システムについて」に入ります。
 この議題では、JAMSTECでこれまで実施してきた探査機器等の海洋調査プラットフォームの運用の実績を踏まえ、河野委員から、将来に備えるべき深海探査システムについて、御意見を伺いたいと思います。
 河野委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【河野委員】  御紹介いただいた河野です。それでは、このタイトルで御説明をいたします。
 まず、これまでの委員会における先生方の御意見を私なりに要約しまして、大きく2つに分けられると思っています。
 1つ目は、大深度での現場観測・サンプリング機能を維持・発展すべきというものです。特に視認性・機動性などの点で優位な大深度有人潜水システムが重要という意見がありました。もう一つは、深海探査機の24時間観測、同時運用体制を構築していくことが必要だということだと思います。そのために何が必要か、どういう道筋でいくべきかについて、日本の現状を分析しつつ、私の考えを御説明いたします。
 まず、ポイントの1つ目、大深度での観測、サンプリング機能についてです。日本の現状は以下のとおりでございます。有人潜水システムは老朽化のため、このままでは今後長期にわたって使い続けることはできません。また、ROVについては、かつては1万mまでの探査が可能でしたが、今では4,500mまで後退してしまいました。国内メーカーでは製造ができず、また、大深度ケーブル開発については技術的ハードルが高いという現状です。
 AUVについては、8,000m級の大深度巡行型を開発中ですし、また、海外製を輸入して運用実績もあります。そのほか国の方針が策定され、開発が進んでいくと思われます。したがって、今後はAIなどを使った自律機能の強化みたいのようなカッティングエッジの技術要素開発を進めて、自律をしていくことが大事だと考えています。
 さて、技術的ハードルが高いと申し上げました大深度ケーブルについて、これまでのJAMSTECにおける開発の経緯を簡単に御説明します。まず、素材Aを用いたケーブルを1995年の「かいこう」就航以来、長く使用していました。しかし、ケーブルの強度を調べたところ、やや急速に低下する、強度が低下するということが判明しまして、強度低下が少ないと期待される新素材への転換が求められました。そして素材B、そのようなケーブルを試作して使ってみましたけれども、これはケーブルに力がかかることで、不正に変形する「うねり」が発生しまして、うまく使えないことが分かりました。さらなる新素材も候補としてありましたけれども、結局実績もなく、開発コストが必要な上、そもそもケーブルは高額な消耗品で運用コストが高いということもあって断念したというのがこれまでの経緯です。
 また、有人潜水システムのうち、「しんかい6500」の現状についても触れておきます。「しんかい6500」潜航時にコックピットとなる耐圧殻の寿命について、指針が建造時に定められています。これは等価潜水回数1,000回のものです。これは、5,500mから6,500mまでの潜行を1回、3,500mから5,500mまでを0.5回、それ以下を0.03回と数えて累積していきます。この図の青い点が累積潜行回数で、オレンジ色が等価潜行回数となります。このペースであれば、1,000回に達するのは恐らく2040年代となります。しかし、「しんかい6500」の構成部品にはオリジナル品が多く、その中には、生産中止やサポート停止品が含まれています。例えば、緊急離脱ボルト、これは2028年が交換期限ですが、生産中止品です。そのような部品については、代替品を開発して装備する必要があります。
 有人探査システムについては、このままでは限界が近いという現状において、どういう対処をするかという課題です。新たな有人潜水船を開発するというオプションはもちろんありますが、技術にも必要とされる開発期間、また資金的にも極めてハードルが高いと言わざるを得ません。そこで、現在所有しているしんかい/よこすかシステムを最大限活用し、その間に無人によるフルデプスの後継システムをつくるというコンセプトがよいのではないかと思っています。現在、私たちは、1万mの深度で利用可能なランダーシステムを開発しています。高速通信によって画像伝送も可能なものです。これは動きませんし、現時点ではサンプリングもできませんが、これを基盤としてマニュピュレーター機能を持たせる、あるいはAI技術を応用した小型AUVとの連携運用の開発を進めることで、ある程度のサンプリング機能を持つものにしたいと考えて開発を進めています。そして、さらにその先には、先ほど巻先生の御発表にあったのと大同小異で、コンセプトは全く同じですけども、VR技術なども組み合わせて、ある程度の広さの範囲でサンプルを採取し、それを海中エレベーターのようなもので海の上に運ぶことを、船の上、あるいは陸上で体感しながら行うことができるシステムに発展させていくというコンセプトです。
 もう一つが、複数の探査機の24時間同時運用です。現状では、JAMSTECの船では、深海探査機の運用にAフレームクレーンを用いていますが、この運用には多くの人手が必要です。スイマーが必要な場合もあります。夜間や、24時間シフトが組めない原因でもあります。このように、現在の母船、観測船は、複数多機種の深海探査機を同時運用することが想定されていない設計になっています。例えば、左の図があるように、「かいめい」で専用クレーンによってROVを運用する場合、作業に要する人員は6人ということで、Aフレームクレーンの場合の約半分になります。また、右の表は、実質的な作業時間の例です。今の運用法だと、1日当たり10時間以上の作業時間を確保しても、実際の調査時間は有人潜水船で3時間、AUVで5.5時間程度です。複数の機材を組み合わせて運用することが効率化の鍵であることは一目瞭然だと思います。
 海外の事例では、谷委員や巻委員も紹介されていましたが、様々な方法によって効率化を行っています。さらなる発展のためには、こうした事例を参考にしながら、船の設計思想、そしてオペレーション方法などを検討していく必要があります。そして、このようなコンセプトに基づいて、将来的には有人潜水システムに代われるように、フルデプス型の探査システムの装備を目指すことを目標とするのがよいのではないかと考えている次第です。繰り返しになりますが、例えばこのようなコンセプトです。「しんかい6500」の耐圧殻の限界が来る2040年代まで、深海探査システムの活用を図り、既存の「しんかい6500」と「よこすか」による探査システムの活用を図ります。また、この間は海外等の事例を参考にしつつ、複数台多機種の探査システムを24時間運用できるような設計思想に基づいた新母船をなるべく早く開発し、そして、2020年代後半までを目途に、現在1万m級で運用可能なランダーシステム、実態にはカメラシステムと採泥器くらいのものですが、これを基盤として、ここに示す要素技術を開発し、AIを活用した試料採取装置、あるいは、このランダーを基地として周囲を小型ビークルで連携しながら観測するシステムの構築し、これを「しんかい6500」とともに運用していくことを目指します。その後、2030年代の終わりまでに、この高度な可視化システムやAIシステム、サンプル回収装置などを開発して、有人潜水システムに取って代わるというようなイメージになります。そのためには、ここに挙げたような要素技術を今からきちんと開発していかないと間に合わないということになります。
まとめです。これまでに述べたことのほかに、「よこすか」については、現状では次の定期検査も乗り越えるのがなかなか難しいという状況ですので、若干の延命をすること、そして、再来年度に竣工を目指しています8,000m級のAUV「うらしま」の改造版と「しんかい6500」の同時観測を可能とするような改造を施しまして、将来の新母船による複数機同時運用のノウハウを蓄積することを目指すのが現実的と考えています。
 最後に、前回御質問のあった件についてです。ROVにスキットを履かせて運用していて非常に便利だったが、今は使われていないのかという質問だったと思いますが、実はコアリング装置を搭載するために開発したもので、技術としてはJOGMECで利用されているということです。JAMSTECでは、現在、このようなコバルトリッチクラストを掘っていくというような活動をしていないため、今は利用実績がないということでございます。
 以上です。
【松本主査】  河野委員、ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 湯浅委員、どうぞ。
【湯浅委員】  発表ありがとうございました。
 質問ではないのですが、情報といたしまして、先ほど私のほうから御説明した防衛省さん向けのDSRVの発進、着水揚収のやり方としては、ムーンプールという、船の真ん中に水中エレベーターを持っておりまして、そこからDSRVを海水中で発進・揚収して引き上げるというようなシステム持っております。それと、一部の緊急離脱ボルトが生産中止ということなのですが、また同じくDSRVにも緊急離脱ボルトを装備しておりますので、当然オーダーメイドではありますが、作ってくれないことはないかなという気はしております。以上です。
【河野委員】  ありがとうございました。
 ムーンプールをうまく使えているのであれば、なかなか着揚収システムとしてはよいものかなと思います。JAMSTECでも有人飽和潜水のときに、真ん中に穴を空け、室外に穴があるのでムーンプールと呼んでいませんでしたが、そこから物を降ろすことはやったことがあって、海峡が限界の範囲であれば非常に安定して安全にできるシステムだなと思います。
 それから、生産中止やサポート中止の部材品について、開発して代替品という言い方をしていますけれども、非常にハードルが高い開発だとは必ずしも考えていません。オーダーメイド、カスタムメイドなので、買ってくればできるというものではないという程度の意味でございます。
【湯浅委員】  分かりました。ムーンプールについては、かなり大がかりなシステムにはなりますけれども、かなり実績はありますので、悪いシステムではないと思います。
【松本主査】  ありがとうございました。
 岩﨑委員、よろしくお願いします。
【岩崎委員】  HOVに関してですが、例えば国産で耐圧殻を含めて難しいという話は、湯浅委員からも先ほど伺ったのですが、海外含めてそういうものを導入するという可能性はないのでしょうかということ。
 もう一つはフルデプスに関しまして、ROVだとケーブルが非常に難しいという問題がありますが、以前にマリアナ海溝のチャレンジャー海淵の取材させていただいたときに、JAMSTECと共同研究でUROV11Kという、光ファイバーで7,000m以深は行くというようなシステムを開発させていただいたことがあるのですが、そうしたことは視野には入らないでしょうか。
【河野委員】  まず、前者についてですが、「しんかい6500」に匹敵する作業性、観測性能を持った海外の新製品というのは、中国製しかございません。湯浅委員もおっしゃっていたとおり、基本カスタムメイドだと思いますので、外国から買ってくるということが、果たして現実的なのかというのは疑問です。中国に引き合いをかけたことはございませんので、確たることは申せません。
 それから、細いケーブルについてですが、私が発表した中のコンセプトは無策ですし、今開発しているのも無策ですが、巻委員の発表にあったとおり、基地となるような中心に据えるものが細径のケーブルであっても、それは成り立つかと思います。
 ただ、一般論ですが、ニコニコ生放送のお話をされていたかと思いますが、細いケーブルは切れやすいので、それだけに頼るというのはそれなりの設計思想が要りますし、そこを何とかカバーできるようにと思うと、決して拘束がない細いケーブルで済むのか、だんだん太くなっていくのではないかと思います。ただ、検討する価値は十分にあると思っています。
【岩崎委員】  ありがとうございます。
 先ほどの「Limiting Factor」の報告が道林先生からありましたが、あるフルデプスの潜水船も、たしかTriton社というアメリカの会社が作ったと思うのですけども、チタンの耐圧殻の部分はTriton社自らがつくったというよりは、それを作るまた別のところがあるという図式だと思います。なので、潜水船そのものは、もちろんカスタムメイドでやらないといけないと思いますが、例えば国内で、三菱重工が耐圧殻は作れないということであれば、例えばその部分は外注で、海外で作れるところがあればということはいかがでしょうか。
【河野委員】  完全に調べていませんけれども、耐圧殻を作るための会社はないので、信頼性、安全率、真球度を考えると、9,000m以深で何が起こるか分からないということが大きく、最近事故もありましたし、信用できるのかという問題もあります。
【岩崎委員】  6,500m級のHOVが困難というのは、例えば、もう少し浅ければ可能なのでしょうか。例えば3,000mとか。
【河野委員】  浅ければ可能ではないでしょうか。それから、先ほど岩崎委員から御発表があった全球ドーム型も買ってきて使うことは不可能ではないと思います。ただ、安全基準等があるので、ハードルが高くて御相談からスタートになりますし、海外製の1,000m用級を買ってきても、その深さまで潜れないのが日本の安全基準になっています。浅いところであれば、観光用などもございますので、買ってきて運用することは不可能ではないと思います。
【岩崎委員】  ありがとうございました。
【松本主査】 ほか、いかがですか。
 廣川委員、どうぞ。
【廣川委員】  ありがとうございます。
 これまでヒアリングやニーズを聞かせていただいた結果として、ROVが必要だというところは皆さん認識されているように思いますが、改めてケーブル問題でROVが持てないというところを、何とか解消する方向性が必要かと思います。HOVの代替というのは、これからもう少し時間をかけていけば良いと思いますが、ROVの問題は、もう少し突き詰めて考える必要があるのではないかと感じております。
 それから、最後に御紹介ありましたコバルトリッチクラストのサンプリング装置ですが、私もSIPの1期のとき少し関わっていたこともあります。JOGMECの調査に活用されているのは、日油技研で開発されたコアリングシステムのところだけでして、このROVシステムで運用しているわけではありません。実際、ROVにコアリングシステムをつけてしまうと、ROVがぐるぐる回ることになりますので、それなりの着地をして、反力を持たせた形にしないとコアリングできないことから、このシステムは駄目だと判断されたと思います。
 JOGMECでやっていますのは、着座型のBMSに、この日油技研のコアリングシステムを新たに開発して運用をやっているというのがファクトでありますので、このシステムをJOGMECが運用しているというわけではないということは御理解いただければと思います。
【河野委員】  こちらのスライドに書いてあることがほぼ正しく、コアリング装置はJOGMECで利用されており、また、ここにある「改良のための」は、改良が必要だったということを暗に意味しており、廣川委員のおっしゃるとおりのことが起こっていたのだと思います。ありがとうございました。
【松本主査】  ありがとうございます。
 ここからは、今日の会議の初めから河野委員までの全ての御説明に対しての質問等を受け付けたいと思います。
 私から河野委員にコメントをさせていただきたいのですが、先ほどのお示しいただいた資料の7ページ、将来像のお話について、大深度HOVに取って代わる後継システムの開発ということで、技術的ハードルは極めて高いというコメントがついているのですが、ここはどういった意図でコメントをされたのでしょうか。
【河野委員】  意図は、すぐにできるものではない。その間なるべく長く、既存のシステムは使い続けないと追いつかない、断絶が生まれてしまうという意味です。
【松本主査】  なるほど、ありがとうございます。
 どのくらい参考になるかというのは私も皆目分からないのですが、港湾工事の世界では、こういった水中で使うROV、優先式のROVを遠隔操作で、なおかつ母船や陸上からバーチャルのシステムの中で動かして、然るべきところで然るべき作業をするようなトライアルは既になされています。そういったものが、何かどこか参考になるようなことがあれば情報提供ができるかなと思いました。
【河野委員】  ありがとうございます。
 実は陸上のロボット技術は、今AUV、ROVでできていることに比べるとずっとレベルが高いですし、AIも同様だと思います。今までは、とにかく水中機器だということを意識し過ぎていましたが、水中機器から何かというのではなく、陸上でできることを海の中でやる、今できていることをどんどん深いほうへ応用していくといった、そういう少し違う視点で進めていかないと、なかなか進歩が遅いのかなと考えております。
 そういう意味では、港湾でできていることをもっと深いところでやれるよう、なるべく色々なことを参考にしながら開発を進めていきたいと思っています。
【松本主査】  おっしゃるとおりだと思います。
 我々の専門でやっているのは隣の席の技術者なのですが、彼らも陸上の方が明らかに進んでいるということで、陸上でできることを参考にして海の中に持ってくるというようなことをやっていますので、港湾でできることを深海に参考にしていただくというのは非常に良いことかなと思います。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 小島委員、どうぞ。
【小島委員】  河野委員にお聞きしたいのですが、ムーンプールという話もありましたけれども、Aフレームを使わずに多機種同時運用をする母船のアイデアは何かあるのでしょうか。
【河野委員】  例えば、Aフレームクレーンをつけないということではないと思いますが、今の「かいめい」はAクレームクレーンももちろんありますけど、そのほかにROV専用ウィンチもついています。
 あるいは、AUVでは、NGR6000は専用コンテナに投入装置も全部入っています。そういうものを組み合わせて、Aフレーム、専用ウィンチ、可搬型のコンテナを積み、2系列で使っていけば24時間運用も不可能ではないと考えています。
【小島委員】  ありがとうございました。
【松本主査】  ほかはいかがでしょうか。
 巻委員、どうぞ。
【巻委員】  質問というか、先ほどのAフレームクレーンを使わない着揚収ということですけど、私が以前乗ったMBARI(モントレー湾水族館研究所)の船だと、ROVの着水揚収は中折れ式のクレーンを使っていて、うまくROVにつけるような装置がついていました。そういうものを使うと、今の技術でも、もう少し人手を少なくできるのではないかという気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。また、先ほどのVRの例はとても良いと思いますが、これらは全く新しく作るというよりは、今あるシステムに、例えば「しんかい6500」にカメラを追加して、インターフェースを追加するとか、今あるシステムを少し変えていくみたいなことでも、ある程度試せるのかなと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。
【河野委員】  前者は確かにそのとおりで、色々な方法でAフレームに頼らずにできるように思いますし、湯浅委員御紹介の「SPICE」も、もしかするとAフレームを使っているのかもしれませんけど、水中で嵌合して、うまく収まるようにできていますので、応用範囲が広いのだと思います。実際、様々なところで恐らくAフレームによらない、しかも水中で嵌合させてから引き上げるという方法、あるいは海面直上で勘合させて持ってくるという方法を狙った開発というのはこれから進んでいくのだろうと思います。
 それから、VRの開発はおっしゃるとおりで、現実に例えばテレビの世界では、複数台のカメラから得た映像を合成して3Dをつくり上げることができていますので、そういったことを得意とするような会社と組んで、既存の画像からどの程度のことができるのかという検討から始めています。その意味では、既存のものから少しずつレベルを上げていくことができると思います。
【巻委員】  分かりました。ありがとうございます。
【松本主査】  ありがとうございました。
 谷委員、どうぞ。
【谷委員】  今の巻委員の御発言に関連して、VRのところですけど、「しんかい6500」が仮にこれから延命できたとして、やはり使い続けなければいけないのは耐圧殻だと思うのですが、「しんかい6500」の耐圧殻は、パイロット、研究者間で3つある窓からの視野が共有されてないというのが最大の問題だと思います。延命できたとしてもその問題は解決しないと思うので、延命したときに大事なのは視野の共有だと思います。
 そういう意味で、例えば「しんかい6500」にVRカメラを搭載して、船内で広範囲の映像を、乗っている人たち全員で共有できるような技術開発があるといいのではないかと思っています。質問というよりはコメントです。
【河野委員】  ありがとうございます。
 前におっしゃっていた、事前に海底地形の3Dの画像を得て、それを皆で共有してから潜るようなことも、なるべくトライしていきたいと思っています。
【松本主査】  ありがとうございます。
 時間も超過しておりますので、そろそろ締めたいと思います。
 以上をもちまして、本日の議事は終了いたしました。
 最後に、事務局から連絡事項等ありましたらお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。本日、長時間にわたりありがとうございました。
 議事録につきましては、事務局にて案を作成しまして、後日、委員の皆様にメールにて確認をさせていただきます。 次回の委員会は2月22日の開催を予定しております。よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【松本主査】  これをもちまして、本日の深海探査システム委員会を終了いたします。本日はお忙しいところありがとうございました。
―― 了 ――

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