海洋生物委員会(第13回) 議事要旨

1.日時

令和元年10月11日(金曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省16階会議室2

3.出席者

委員

中田主査、藤倉主査代理、川辺委員、河村委員、木村委員、窪川委員、後藤委員、山下委員

文部科学省

海洋地球課 鈴木課長補佐、西部技術参与、日比野地球科学技術係長

オブザーバー

小池勲夫 東京大学名誉教授、髙橋素光 水産研究・教育機構西海区水産研究所浮魚資源グループ長、濵﨑恒二 東京大学大気海洋研究所微生物分野教授

4.議事要旨

(1)海洋生物関連事業ヒアリング
○CREST「海洋生物多様性」研究領域について、資料1-1に基づき小池氏よりヒアリングを行った。今後の海洋生物研究についての主な意見は次のとおり。
・海洋における温度上昇、酸性化などのマルチストレッサーに対する海洋生態系の応答をより確実に把握し、予測するための技術・手法の開発が重要。(小池氏)
・革新的なモデル研究のためには、まず観測によりデータを充実させて一次生産の将来予測の確実性を高めることが重要。(小池氏、木村委員)
・広域でのモニタリング手法を自動化して観測データを収集することがモデリングにとって重要。(小池氏、窪川委員)
・一般的に、沿岸の生物は環境変化に強く、沖合の生物は弱い。空間的な多様性を理解することが重要。(河村委員)
・単純化されたモデルに何が必要か、多様なデータを観察するフィールドの研究者とモデラーの協力が重要。(後藤委員)
・このCRESTで作ったゲノム・音響などの基盤技術をモニタリングやデータベース化などに活かしていくことが重要。(中田主査)

○海洋生物資源確保技術高度化「我が国の魚類生産を支える黒潮生態系の変動機構の解明」について、資料1-2に基づき髙橋氏よりヒアリングを行った。今後の海洋生物研究についての主な意見は次のとおり。
・黒潮生態系と同じ高い時空間解像度で、親潮・沿岸・沖合の生態系の構造と機能を分析し、各域を組み合わせるモデルを作ることが重要。(髙橋氏、河村委員)
・エコシステムベースの漁業管理のためには、アメリカなどでの成功例を参考にして、利用対象資源種を選び、その種を取り巻く生態系を理解する方法が良いかもしれない。(高橋氏、窪川委員)

○海洋情報把握技術開発「生物多様性に関わる情報取得のための技術開発」について、資料1-3に基づき濵﨑氏よりヒアリングを行った。今後の海洋生物研究についての主な意見は次のとおり。
・世界で唯一の魚種識別用データベースは、日本がイニシアチブをとれるものなので、充実させていく価値がある。(濵﨑氏)
・リアルタイムにゲノム情報を取得できる機器は、スマート水産業やモニタリングでの活躍が見込まれる。(濵﨑氏)
・分析しても特定できない遺伝子が多く、データを追加しながら、不明な遺伝子の正体を明らかにしていくことは新しい発見につながるだろう。(濵﨑氏、小池氏)

○海洋研究開発機構における生物関連事業及び東北マリンサイエンス拠点形成事業について、資料1-4に基づき藤倉主査代理より説明を行った。

(2)海洋生物に関する研究開発のあり方について
委員の主な意見は次のとおり。
・日本は里海・沿岸と外洋・深海のそれぞれで研究が進んできた。それらの間を埋め、海域間・生態系間の相互関係を理解することが重要。(窪川委員、木村委員)
・「国連海洋科学の10年」が提起するアウトカムを意識して海洋研究を行うことが重要。(窪川委員)
・科学的な根拠に基づいて、国内・国際のルールメイキングに寄与することが重要。(木村委員)

(3)その他
次回の海洋生物委員会を11月11日(月曜日)に開催することを確認した。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課