海洋研究船委員会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成15年6月25日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 別館9階 特別会議室

3.議題

  1. 独立行政法人海洋研究開発機構法の概要
  2. 海洋研究船の現状について
  3. 今後の審議事項について
  4. その他

4.出席者

委員

 平(啓)委員長、鈴木委員長代理、大塚、奥脇、鈴木、平(朝)、田所、平井、山室、今脇、瀧澤、玉木、 花輪、松山   各委員

文部科学省

 吉田海洋地球課長

オブザーバー

農林水産省:本田水産庁企画課首席企画官 他

5.議事要旨

 議題を審議するに先立ち、平主査から主査代理として、鈴木委員が指名された。
 各議題の議事の概要は以下のとおり、

1.独立行政法人海洋研究開発機構法の概要

 事務局から、平成15年6月に成立した「独立行政法人海洋研究開発機構法」について概要の説明が行われた。主な質疑は以下のとおり。

  • 海洋研究開発機構の略号はできているのか。(平主査)
  • 現在、センター内において検討をしているところ。(事務局)
  • 船舶の運航その他の協力を行うということが書かれているが、法律上、移管される船以外の運航についても新機構が行うという解釈になるのか。(花輪、松山委員)
  • 機構が保有する船舶のみという解釈である。(事務局)
  • 大学共同利用の部分について、船舶の運航計画の立案、予算配分等の仕組みは決まっているのか。(奥脇委員)
  • 現在検討中であるが、東大海洋研の部分については、これまでの経緯を踏まえ、海洋研がその研究計画の策定においては中心的な役割を果たしていただくという形で考えたい。(事務局)
  • 基盤的研究開発の定義の中で、国の試験研究機関又は研究開発を行う独立行政法人という記述があるが、それに大学は含まれるのか。(平主査)
  • 前段で科学技術に関する研究開発であってという文言があり、学術研究を目的とする大学は基本的に含まれないと考えている。文章は、重複して設置することが適当ではない政策目的の施設等については、機構において研究開発を行うという意味である(事務局)

2.海洋研究船の現状について

海洋科学技術センターの海洋研究船の現状について

 瀧澤委員から海洋科学技術センターが保有する5隻、「なつしま」、「かいよう」、「かいれい」、「よこすか」、「みらい」の船舶について、運航状況、運航計画の策定、公募等の概要について、説明が行われた。主な質疑は以下のとおり。

  • 船の運航で公募以外の部分は何を実施しているのか。(平主査)
  • センターで必要な業務を行っており、必要な業務についてはセンター内で競争的に調整をしながら決めている。(瀧澤委員)
  • 船を運航する場所についてはどのように決めているのか。(平主査)
  • 公募分については公募で出てきた計画に基づいて決定している(瀧澤、玉木委員)。
  • 公募の日数とその他の業務の日数の割り振りは初めから決まっているのか。また、東大海洋研の船が新しい法人に移管した時は、その割り振りというのはどういうふうになるのか。(山室委員)
  • 現在は政策的な業務の部分でどの程度必要かという部分がまずあって、その他を公募ということで決まっていると思う。東大の船が移管した後の割り振りをどのようにするかということはまだ決まっていない。(瀧澤委員)
  • 東大移管後の運航計画の策定の方法については、現在検討している段階であるが、できる限り研究者の要望を踏まえられるような方法をとることが必要だと考えている。(事務局)
  • 公募航海というのはセンターの中と外の両方から応募できるのか。(松山委員)
  • センターと内と外で同じ立場で公募という形をとっている。例えば「しんかい6500」については全て公募になっており、センターの研究者であっても利用するためには公募に応募しないと利用できない。(玉木委員)
  • 深海調査機器を積んでいる船の多くは、深海機器を使う部分はほとんど公募で実施している。残りの単独で航海している期間については主にJAMSTECの政策的な研究に使われている。(事務局)
  • 公募における外部の採択率はどのようになっているか。(松山委員)
  • 統計をとならければ分からないが、大学、センター、その他の国立研究所で分けると、大学が一番多くほぼ同数でセンターがつづき、全体の3‐4割程度をそれぞれ占めていると思われる。(玉木委員)
  • 現在所有の船舶等について代船の計画はあるのか(平主査)
  • 具体的な計画については決まっていない。(瀧澤委員)
  • 将来的には代船問題というのは大切になってくると考えており、必要性に応じて検討していくことになる。(事務局)
  • 平成12年と13年で公募の採択数が大きく変わっているが、方針の変更があったのか(大塚委員)
  • 大型の研究を実施できるよう、1つの課題が使える潜水船の潜航回数を増やした、その結果、選択課題数が減っている。(玉木委員)
  • 公募者は費用を負担するのか(田所委員)
  • 全てセンター(国費)で負担する。(瀧澤委員)

地球深部探査船「ちきゅう」の概要について

 平(朝)委員から海洋科学技術センターにおいて建造中の地球深部探査船「ちきゅう」について、説明が行われた。主な質疑は以下のとおり。

  • 高知大学海洋コア総合研究センター、北大に作る科学計画を決めるためのセンターとIODPとの関係はどのようになっているのか。(平主査)
  • 高知大学の海洋コア総合研究センターは、JAMSTECと高知大とで共同運営を行い、日本だけではなく世界の共同利用研究所として、「ちきゅう」で採取したコア資料の保存・解析を行う。また、来年早々には、科学計画の推進を支援するため、IODPを統括する中央管理事務所の支局が北大の敷地の中にできる予定。(平(朝)委員)
  • 「ちきゅう」の運航は海洋研究開発機構で行うのか。(奥脇委員)
  • 運航は機構で行う。研究計画については国際研究計画に従って行う。(平(朝)委員)
  • 計画全体の統括を行う非営利団体(CMO)は、国際的な研究計画を策定する研究者組織(SAS)をサポートする機能を持っており、エストが業務委託を受けて、北大に事務所を開所する予定になっている。また、センターは船の実施機関として位置付けられている。(事務局)
  • どのくらいの期間でどの程度の深さの掘削ができるのか(花輪委員)
  • 掘削の深さ等によって変わってくる。500メートル程度であれば数日。マントルまで到達するような7000メートルぐらいのものになると1年半ぐらいを見込んでいる。(平(朝)委員)
  • 微生物に関して、バイオハザードに関する対策はどのようになっているのか。(山室委員)
  • 日本及び国際的な微生物に関するパネルから、いろいろアドバイスをいただいているところである。(平(朝)委員)
  • 船が大きい割には乗る研究等のスタッフが少ない。(今脇委員)
  • 研究者は30人、それをサポートする技術者が25人ぐらいである。経験上、一つのチームとして行動を管理できる最大限の人数だと考えている。(平(朝)委員)

東大海洋研究所の研究船運行の現状について

 玉木委員より、東京大学海洋研究所所有の2隻の海洋研究船「淡青丸」「白鳳丸」について、運航状況、運航計画の策定、公募等の概要について、説明が行われた。主な質疑は以下のとおり。

  • 海洋研究所とセンターで公募の違いは何か。また、機構に移行した場合には公募の方法はどのようになるのか。(奥脇委員)
  • センターの所有する「みらい」については、国の政策に従って動いている部分があるので、運航の計画は基本的に動かせない。一方、公募型として国内外の研究者の共同利用に供するという役目があり、可能な限り研究応募を受け付けるという形になっている。東大の白鳳丸は研究の提案から運航計画が作り上げられるという点で異なると考えている。(瀧澤委員)
  • 海洋開発研究機構法の目的のところに海洋に関する学術研究に関する協力というような文言を入れている。また業務のところでも、学術研究に関して船舶の運航その他の協力を行うこととしており、実質的には、東大海洋研が従来の共同利用研として果たしてきた役割をこれから先も実質的に担う形で考えている。(事務局)
  • 運営費交付金では削減が前提となっており、このような中で今後どのような運航計画を作成していくのかという検討が重要である。(平井委員)

3.今後の審議事項について

 今後の海洋研究船委員会における審議事項について事務局から説明が行われた。主な質疑は以下のとおり。

  • 独立行政法人の独立性は強いと聞いているが、学術研究への協力を行うことについての方針は国として確保できるのか。(平(啓)主査)
  • まず法律によって独立行政法人のなすべき仕事というのは決まっている。また、独立行政法人の中期計画の作成の手続き上、この方針については確保できる仕組みになっている。4月の新法人設立に向け、海洋研を初めとした大学の研究者の意向にも配慮した形で、中期計画を作成していただくようにしたいと考えている。(事務局)
  • 船舶の利用のされ方について、これまでの問題点をまず洗い直さないといけない。(平(朝)委員)
  • 今後議論すべき海洋研究船の対象範囲はどのように考えているのか。(松山委員)
  • 今、議論しているのは、海洋研究船というのは文部科学省所管の海洋科学技術センターと東京海洋研究所の船舶であるが、将来的にはその他の官庁船等も含めて議論しても良いと考える。(平主査)
  • 研究船委員会において、移管された東大の船舶の運航計画策定の方法等についても決定するつもりなのか。(花輪委員)
  • 船舶の移管に関する細かい条件の部分は、文部科学省と海洋センターと海洋研との間で研究船の移管に関する協議会という場を設けており、実務レベルで協議しているところ。
     海洋研究船委員会では、今回の移管に必要なこととは別に、全体を見渡してみて、これから先将来の海洋研究を進めるために、どういう形で研究計画を立てていったらいいのかということについて議論を進めていただきたい。(事務局)
  • 審議事項の「海洋研究船の活用方針」、「今後の海洋研究船の充実のあり方」についてはセンター及び海洋研の船を対象にしており、「海洋研究船以外の船舶の活用」についてはそれ以外の船という理解でよいか。また提言についてはどのようにまとめるのか(平井委員)
  • そのような理解で結構。最終的には、結論がまとまれば提言という形になる。分科会で報告しそこで認められれば、科学技術・学術審議会の総会でも紹介することとなる。(事務局)
  • 審議の日程は、どのように考えているか。(山室委員)
  • 概ね1年程度の期間をかけて審議し、一定のまとめを行いたいと考えている。(事務局)

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研究開発局海洋地球課