3.研究面における大学等の機関評価

 大学等においては、研究活動と教育活動が一体的に行われている。また、近年は、研究や教育活動を通じて大学等が様々な社会貢献を積極的に進めていくことが求められている。したがって、機関としての大学等の評価は、本来、これら大学等の諸活動全体を捉えて評価すべきものであるが、ここでは学術研究における評価の対象の一つとして、研究面における大学等の機関評価を取り上げることとする。したがって、以下に述べる研究機関としての大学等の評価は、大学等が有する様々な機能のうち、あくまで学術研究という一つの機能に着目した評価であることに留意しなければならない。
 研究面における大学等の機関評価については、まず各大学等が自らの目標に照らして研究活動の状況及び組織運営の状況についての自己点検・評価を行い、その結果を各大学等における組織運営の改善に役立てるとともに、国民に対する説明責任を果たす観点からこれを公表することが重要である。大学設置基準においては、大学は自己点検・評価を行い、その結果を公表することとされている。既に各大学においては自己点検・評価の取組みが進められているが、評価の公正さを高める観点から、外部の研究者や有識者を評価者に加えるなど、その充実を図ることが必要である。
 大学共同利用機関については、外部の研究者や有識者によって組織される評議員会や、同一分野の研究者の参画を得て組織される運営協議員会において、機関の運営及び研究活動の両面での評価が行われている。今後とも、これら外部に開かれた運営体制における評価機能の活用に努めることが必要である。
 さらに、大学等の自己点検・評価の限界を補い、より客観性の高い評価を行うためには、外部の第三者による評価(第三者評価)が重要である。このような第三者評価のための機関として、平成12年に大学評価・学位授与機構(以下「評価機構」という。)が創設され、同機構による大学評価が平成12年度から対象分野や対象機関数を絞って段階的に実施されている。一方、現在、国立大学等の法人化が検討されており、国立大学法人(仮称)の評価については、評価機構が教育研究に関する事項について専門的な観点から評価を行い、その結果を尊重しつつ文部科学省に置かれる国立大学評価委員会(仮称)が評価を行う方向で検討が進められている。今後、評価機構においては段階実施の経験や法人化の動向を踏まえて、評価内容や評価手法等に改善を加えた上で、平成15年度から本格的に評価活動が実施される予定であり、評価機構による評価が積極的に推進されることを期待する。
 なお、法人化後の国立大学法人(仮称)に対する具体的な評価の在り方については、法人像の全体とも密接に関係するものであり、今後の検討経過を踏まえる必要があるが、研究面に関しては、基本的には、各大学等の各研究・教育組織の研究活動の質的水準に関する評価を中心に行うべきであり、分野によっては研究活動・内容の社会的貢献の側面についても考慮する必要がある。各大学等における研究体制の整備・運営の状況についても評価を行い、各大学等の研究体制の整備・運営等の見直し、改善に資することが必要である。

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