大学図書館の整備について(審議のまとめ) おわりに

 大学全体の財政や人員が削減される中で、大学図書館も同様の厳しい状況への対応を余儀なくされている。一方で、大学図書館にあっては、大学における学習支援や教育活動への直接の関与などに関する要請が高まり、また、学術情報資源の電子化の進展とそれへの適切なナビゲーションが求められる中にあって、大学における不可欠な学術情報基盤として、その役割・機能を一層強化していくことが急務となっている。

 本「審議のまとめ」においては、大学が直面している状況が大きく変化する中で、大学図書館の果たすべき機能・役割も変化してきている状況を踏まえ、求められている大学図書館像について取りまとめを行った。国が、高等教育政策、学術政策を進める際には、ここで求められている大学図書館像を踏まえて、その機能が発揮できるような安定的運営基盤を確保できるよう配慮することが必要である。

 今後、この「審議のまとめ」を踏まえて、大学図書館関係者は、各大学の事情に応じて、大学図書館機能の一層の高度化に努めることはもとより、大学の管理運営関係者には、その実現のために大学図書館の安定的な運営の確保に配慮していくことが求められる。

 他方、文部科学省においては、各大学図書館の主体的な取組みに委ねるだけではなく、その取組みをさらに促進するために支援していく必要がある。具体的には、効率化と高機能化を一体的に推進し、安定的な運営基盤を構築している先進的な取組みを推奨する観点からも、大学図書館関連団体等とも連携を図りつつ、こうした取組みについて情報収集し、事例集として取りまとめて公表するなど、先進的な取組みの普及促進を図ることについて検討していくことが望まれる。また、各大学図書館においては、各大学の理念や目標を踏まえて、先進的な取組みを参考としつつアクションプランを策定することなどにより、こうした取組みを一層推進・拡大していくことが期待される。

 なお、作業部会においては、今後も引き続き、学術情報流通の充実等について、平成18年3月報告以降のフォローアップを含めて検討を行うこととしており、追って、文部科学省や各大学図書館等における対応やその効果等について点検し、さらなる改善に向けた検証を行っていくことも考えられる。

 本「審議のまとめ」が、大学図書館はもとより、大学及び文部科学省をはじめとする関係者の大学図書館整備に向けた取組みを促進するものとなることを期待する。

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研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)