オープンアクセスに関する声明

~  新しい学術情報流通を目指して  ~

平成21年3月16日
国立大学図書館協会

 学術研究成果への自由なアクセスは、学術研究推進の不可欠の要素であると共に、今後の科学や社会の発展の基盤である。そして、大学図書館は、紙媒体とデジタル媒体の学術情報の収集・整理・提供を行うことで、学術の発展と社会の進歩に寄与することを、その重要な使命と認識している。そのため、国立大学図書館協会は、オープンアクセスへの支持と促進を強く訴えるものである。
 1990年代から、情報のデジタル化とインターネットが急速に普及することにより、学術情報流通を生産者である研究者の主導のもとに取り戻し、人類の共通資産とするオープンアクセス運動が起こった。オープンアクセスとは、2002年のブダペスト宣言でも確認されているように、「インターネット上で論文全文を公開し、無料で自由にアクセスできる」ことである。オープンアクセス実現のため、これまでに関係者が様々な運動を行ってきた。一方、大学図書館でも、オープンアクセスに対応するため、学術機関リポジトリの整備等に努めている。しかし、オープンアクセスは、多くの関係者の協同で成り立つものである。
 このような状況に鑑み、国立大学図書館協会は、新しい学術情報流通を支えるため、オープンアクセスの実現に向けて、すべての関係者に以下の呼びかけを行うものである。  

■政府及び公的助成機関へ

  1. 公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの促進に必要な政策を進める。
  2. 文化遺産のデジタルデータと研究データのオープンアクセスを促進する。

■研究者へ

  1. 自らの研究成果を広く国民に公開するためオープンアクセスへの支持と協力を行う。
  2. 学術機関リポジトリへのセルフアーカイビングに努める。
  3. 自らの研究成果の著者としての権利、つまり、自らの論文を教育・研究目的又は非営利目的で使用する権利を留保するように努める。

■大学・研究機関へ

  1. 所属する研究者の研究成果のオープンアクセスの促進を支援する。
  2. 所属する研究者の研究成果の発信機能(学術機関リポジトリ)の整備に努める。

■学協会へ

  1.  所属する研究者の研究成果を広く国民に公開するためオープンアクセスへの支持と協力を行う。
  2. 自らが出版した雑誌に関して,論文の公開制限(エンバーゴ)期間の短縮と学協会版の論文の学術機関リポジトリへの提供等を通してオープンアクセスを推進する。

■出版社へ

  1. オープンアクセスへの理解とその実現への協力を促進する。
  2. 著者の権利を尊重し、出版に必要な権利のみを著者に求め、研究成果の活用を促進すること。
  3. 論文の公開制限(エンバーゴ)期間の短縮と出版社版の論文の学術機関リポジトリへの提供等を通してオープンアクセスを推進する。

■大学図書館へ

  1. 図書館利用者やその他の関係者に対し、オープンアクセスへの支持と協力を呼びかけると共に、教員や研究者と協力してオープンアクセスを推進する。
  2. オープンアクセス及び大学からの研究成果の発信源として、学術機関リポジトリの整備に努める。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)