大学図書館の整備及び学術情報流通の在り方について(審議のまとめ) 用語解説

<A>

arXiv:
主に物理学、他に数学、計算機科学、数理生物学などの論文が登録されているプレプリント(学術雑誌に掲載される前の論文)を収集・公開するためのサーバー。平成3年(1991年)、「LANL preprint archive」という名称でロスアラモス国立研究所を運営主体としてスタートし、平成11年(1999年)に「arXiv.org」と改称。現在はコーネル大学図書館が運営主体となっている。

<J>

Journal@rchive(電子アーカイブ):
科学技術振興機構(JST)が実施している電子アーカイブ事業において、学術雑誌を電子化・公開しているアーカイブサイト。JSTが構築・運営しているJ‐STAGE(科学技術情報発信・流通システム)において、平成17年度(2005年度)から運用している。

J‐STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム):
科学技術振興機構(JST)が構築・運営している学協会の電子ジャーナル出版支援及び公開のシステム。平成11年度(1999年度)から学協会の情報発信機能を支援するため、電子ジャーナル出版に必要なシステムを JST 内に用意し、学協会はそのシステムを利用して、学協会誌、論文誌を電子化し、公開できる。

<N>

NIH:
National Institute of Health. 米国国立衛生研究所。世界有数の生物医学分野の研究機関であり、研究助成機関でもある。National Library of Medicine(NLM, 米国国立医学図書館)もその下部組織である。

NII‐ELS(NII電子図書館):
国立情報学研究所(NII)が構築・運営しているデータベース。平成9年度(1997年度)から国内の学協会が刊行する学術雑誌に掲載された論文について、ページをそのまま画像データ(PDF形式)として蓄積し、本文の参照を可能にしている。

<P>

PubMed Central:
米国国立医学図書館(NLM)の国立生物工学情報センター(NCBI)が平成12年(2000年)から運営する生物医学分野の学術雑誌の電子的なアーカイブ。無料で制約のない利用の促進を特徴としており、平成20年(2008年)4月よりNIHからの研究助成による成果論文について、刊行後12ヶ月以内にPubMed Centralに登録することが義務化されている。

<S>

SPARC Japan(国際学術情報流通基盤整備事業):
国立情報学研究所(NII)が実施する国内の英文学術雑誌を対象とした支援事業。国際的視点から学術情報流通の改善を目指しており、ARL(米国研究図書館協会)が実施しているSPARC事業と連携し、平成15年度(2003年度)から英文学術雑誌を電子化するとともに、これらを安定的に発信できるビジネスモデルを創出し、日本の学術雑誌の海外への認知度を向上させることを目指している。

<ア行>

アーカイブ:
本まとめでは、電子的な文書(印刷物の版面を電子的ファイルに保存したもの及び文書作成時点で電子的なもの)を恒久的に保存する機能をもつ計算機システム、またはそこに収められている電子的ファイルのこと。

エンバーゴ:
本まとめでは、学術雑誌が刊行されてから掲載論文の全文(フルテキスト)が無料でアクセス可能となるまでの一定の期間をいう。学術雑誌には、エンバーゴを経てオープンアクセスとするものがある。

オープンアクセス:
学術情報をインターネットから無料で入手でき、誰でも制約なくアクセスできるようにすること。1990年代、学術雑誌が高騰し、研究成果の生産者である研究者にとって、学術情報の入手が困難になった状況への対処とインターネットや電子化資料の普及を受けて生まれたとされる発想で、オープンアクセスを実現する手段は多様であるが、オープンアクセス雑誌やエンバーゴ後の無料公開など、学術雑誌の刊行主体が行うものと、機関リポジトリ、専門分野別のアーカイブなどへの研究者自らが論文等を掲載していくものによるものとに大別できる。

<カ行>

機関リポジトリ:
大学及び研究機関等において生産された電子的な知的生産物を保存し、原則的に無償で発信するためのインターネット上の保存書庫。研究者自らが論文等を掲載していくことによる学術情報流通の変革と同時に大学等における教育研究成果の発信、それぞれの機関や個々の研究者の自己アピール、社会に対する教育研究活動に関する説明責任の保証、知的生産物の長期保存の上で、大きな役割を果たす。

コンソーシアム:
2つ以上の個人、企業、団体、政府(あるいはこれらの任意の組合せ)から成る団体で、共同で何らかの目的に沿った活動を行うために結成されるもの。大学図書館のコンソーシアムとしては、電子ジャーナルの価格交渉について、国立大学図書館協会や、公立大学と私立大学が参加するPULC(Private University Libraries Consortium)などがある。

コンテンツ:
映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作、映像若しくはこれらを組み合わせたもので、電子計算機とネットワークを介して提供される電子的資料のこと。

<サ行>

査読:
論文・学会発表に際し、投稿論文の内容審査を行い、掲載・発表の可否を判定すること。

<ナ行>

ナショナル・サイトライセンス:
サイトライセンスとは、機関の所在地(サイト)においてならば機関の構成員が誰でも論文を利用できるという条件を有する使用許諾のこと。ナショナル・サイトライセンスとは、国全体を契約の対象とするライセンスを指す。

<ハ行>

パッケージ:
本まとめでは、複数の電子ジャーナルのタイトルをまとめて提供する販売方式のこと。個別タイトル毎の積み上げ額よりも割引された価格が設定されている。

<マ行>

メタデータ:
本まとめでは、図書、論文の著者、表題、発表年月日、キーワード、引用文献、概要などの情報を意味する。

<ラ行>

リモートアクセス:
本まとめでは、サイトライセンスを受けている機関の構成員がサイト(機関所在地)から離れた所在地からコンテンツにアクセスすること。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)