資料5-2 これまでの委員からの主な意見

これまでの委員からの主な意見

第61回学術分科会

【議題1】 学術研究を取り巻く動向について

  • (科政研の調査に対して)研究資金配分の変化その相関も併せて考える必要があるのではないか。
  • 科研費の伸びと成果は関係がある。個別に大学を見ると科研費が関与したものは伸びているが、それ以外のところが落ちているが原因まではわからない。また、私学ではこのような傾向は見られない。論文責任著者を見ると、3年に1度論文書く人が減っている。トップ層は変わっていない。
  • (科政研の調査結果を踏まえ、)文科省のどの部署が全体的な解釈や対処方策を考えているのか。
    (⇒(事務局)振興局内の関係課を集め勉強会を始めているところ。高等局や科政局にもまたがる話であり、今後分析していきたい。)

【議題2】 最終報告フォローアップについて
(総論)

  • 基本計画で定められた内容全てを分科会が負っていくのは難しいのでは。お金や時間など制約されながら論文増やせと言われても苦しい。産業界との関係も共同研究を増やすというが、具体方策を分科会で議論していくのは難しいのでは。
  • 別の会議で内閣府の担当者に、学術研究が基本計画に入ったことで、総額目標を踏まえ交付金・科研費の学術研究予算も増えるのか尋ねたが回答は明確でなかった。基本計画に学術研究が書かれているが、我々がどう動けば良いか具体に実現するシナリオが見えない。科政研においてもエビデンスデータを出すだけでなく、政策提言等の側面も強化すべき。
  • 基本計画ではTop10%だけでなく総論文も増やすとしているが正しいか。人の数が減る中で、量も質も増やせるのか。総論文数を増やさないとTop10%が増えないという根拠はあるのか。
  • Top10%の伸びは国際共著の増加と関係がある。ただ、分野によって異なる。因果関係は明らかでない。
  • 自分の分野では国際共著が進むと引用が上がるという実感はないが、国際共著に評価が移っている構造がよくわかった。

(情報関係)

  • 論文のエビデンスとしても、研究費の効率的使用、さらに不正防止の観点からもデータの保存・公開は必要。こういうことは一義的には学協会で取り組むことが望ましいのかもしれないが、人社系は学会が点々としているし、どこかの研究室が担うというのも現実的に困難。社会科学については共同利用機関もないので、取り組む主体が見えない。
  • オープンアクセスジャーナルについて、コンソーシアムで戦っても商業ジャーナルに勝てない。国が他国との連携も含め、主導的にやっていかないといけないのではないか。

(共同利用・共同研究体制関係)

  • 地方大の体力がなくなっており、人がそちらに行かなくなっている。地方大でPIが独立してやっていくためには基盤の共有が必要。政府として競争的資金で整備したものは共有化するなどの方針を進めて欲しい。
  • 機器共用は様々なスケールがあるが、運用に関する全国共通の理念があるとわかりやすくなるのでは。

(人社関係)

  • 自然科学も共通する話であるが、人社において、偏った評価軸を決めつけてしまうというのは避けてほしい。また、理系に比べると人社における学際研究はリスクがある。まずは足元の研究領域を確実に身につけるような振興方策も考えてほしい。
  • 人社の振興についてぴんとこない。リーディングプログラムは理系のものが中心で人社は一部だろう。人社の課題はわかるが本当に必要と思って具体にどう推進しようとしているのかよくわからない。人社事業についても認知度は低い。

【議題3】学術研究の研究力強化について

  • 論点の参考資料(第6期審議経過報告)で、「大学は知の拠点として、短期的に成果が求められる研究だけでなく」と書いていることに違和感がある。こんなことをやっていると日本の国力を弱めてしまう。東レでも30年先を見据えて研究している。世界に留学する人が増える中、日本人初は世界中で起こる可能性がある。世界中に研究所を作った経験から言うと、地道な研究は日本人にしかできず、ここが最大の強み。ナショプロは出口志向が強すぎ。10年程度先しか考えられない。本当に大学がやるべきことがおろそかになっているのではないか。
  • 競争力強化というと、評価を強めよう、など短期決戦を求められ、大学の基盤力を高めることを阻止している。大学では本当に研究時間がなくなっている。Top10%を高めるために国際共著をというのは本末転倒。真の国際的な研究を育てるじゃまになっている。地道に何十年もかける研究は諸外国よりも先を見据えてやっている。5年の任期制も落ち着いた研究ができない。今後提言をしていくならこの辺りを踏まえて欲しい。
  • Top10%はわかりやすいが、全ての分野で同じではない。一人歩きすると評価が画一的になる恐れ。中間層も見ていくことが必要。人社含め、役に立つかどうかを問われるが、結果が出ないものもあり、リスクを吸収してあげることが必要。若手キャリアを考える際には労働市場との関係も明示的に入れるべき。
  • Topの研究チーム、大学を高めることと、中堅の大学を引き上げることの2つが大切。WPIや特定研究大学など、Topを高めることはわかりやすく予算取りやすいが、中堅層を分厚くするのは地味で予算伸ばしにくいが、意識的に支援していかないといけない。科研費等の競金は競争的なのは仕方なく、その代わり、交付金は中堅層に厚くするとか、地方大向けの資金を作るなどの取組が必要。
  • Top10%などは研究者側が心がけるべき問題。ただ、評価に入れると画一的になってしまう。無視はできないがゴールとすると危険。地方大でもきらっと光る研究もある。トップダウン型の事業でも、地方大学を絡ませるなど、仕組みを工夫することで色々な配慮ができるのでは。多様性が全体の活性化になる。
  • トップの大学のポジションをとれるかどうかはたまたま。地方大にも優秀な人がいるが研究に専念できなくなっている。大学ではなく、個々のチームを作って支援するなどの取組を進めていくのがよい。
  • 企業からの寄附をシステム的にできるとよいが、税制上の問題があると聞く。
  • 税制もあるが、欧米ではビルゲイツなど大金持ちが自由に寄附しているところが日本と大きく異なる。日本の企業では寄附の決裁限度が決められており、設備投資のように大きな金額ではない。欧米では決裁限度のない、日本とは次元の違う大金持ちがやっている。
  • 第6期のまとめに記されていたデュアルサポートの重要性については、未だ実現していないしこの先も厳しい状況ではあるが、諦めずに言い続けることが大事なので、今回まとめる際にも記すべき。

第62回学術分科会

【議題1】学術研究を取り巻く動向について
(科研費改革関係)

  • 科研費改革については、半世紀ぶりの大転換であり、学術研究といえども競争が厳しくなっている中で、個人の自由な発想に基づく、学術を切り開いていく挑戦的な研究を推進するための改革として本当に大事なもの。
  • 科研費の充足率が70%を切るような状況もあるので、総合審査方式への移行に関する経費等も含めて予算を確保していく必要がある。
  • 第5期科学技術基本計画には、初めて学術研究が入ったが、科研費改革を乗り越えることができれば、科学技術のみならず、人文・社会学まで含めて、我が国の学術研究が世界をリードする、そういう時代が来るのではないかと期待している。
  • 科研費による研究成果が、他のものと比較して明確に国際優位性を示している。科研費を通じた研究資金投資には、質の向上を図りつつ、研究を活性化する優れた方策である。科研費を倍増させるような大きな方向に持って行ければ良い。
  • 科研費が総額で増加する見込みとは見えないが、研究者サイドからは、声を上げて求めることは必要だと思う。

(情報関係)

  • 学術の情報化は各分野の違いが大きく、世界的にも大事な問題であり、学術会議に求められるものは大きいと思う。学術会議で深めてもらいたい。
  • 国際的な学術外交を日本がある程度主導権を持ちながら進めていくためには、様々な研究者コミュニティーにおいてきっちりとしたポリシーを持ち、それを外に出していくことが必要。
  • データそのものが大きな利益を生むこともあるため、各国の考えは様々だと思うが、国際的な観点から、共通的なルールや共通的なコンセンサスを得ていくことは、学術の分野であれば可能性はあるのではないかと思う。これを日本が主導して行っていく上でも、各々の分野においてのきっちりとした考え方を持つことが大事。
  • オープンアクセスをするにしても、日本としてオープンアクセスジャーナルでの公表かリポジトリへの登載のどちらを主体にしていくかという方向性の議論も重要な課題。
  • 各分野において、データの公開に関する線引きをはっきりさせるための議論が必要。
  • オープンアクセスジャーナルの論文処理費用が非常に高額。大規模なプロジェクトに参加している若い研究者は、その費用をプロジェクトから出せるが、個人で研究している研究者にとっては非常に大きな負担。

【議題2】第5期科学技術基本計画の推進について
(学術研究に係る指標)
資料4-3参照


【議題3】学術研究の研究力強化について
[分科会後に委員からいただいた御意見]

  • 国際共著論文の前提となる研究活動の国際化の波に乗り遅れていることは、今後の日本の学術研究にとって深刻な事態であり、迅速な対応が必要。まず海外の研究機関が中核となる国際共同研究への参加を増やすためには、現在のサバティカル制度を見直す必要がある。さらに、日本が中核となる国際共同研究を推進するためには、学術研究の大型プロジェクトの予算増額が必要不可欠。
  • 科研費の審査システムや研究種目・枠組みを見直した改革を成果に反映させるためには科研費の総額を増やすことが必須である。総額が増えなければ、例えば中位の研究を犠牲にしてトップの研究に集中したり、特定の分野を犠牲にして別の分野に集中したりする結果になりかねず、トップの研究成果は向上しても全体の研究成果の向上には繋がりにくい。今回の科研費改革を後押しするために、各大学・学会が科研費改革を生かすために総額についても考えをまとめてこのタイミングでもあらためて主張しなくてはならない。
  • 科研費などの競争的資金の採択にあたり、研究成果をどこまでオープンにするのかという評価項目の比重を増やすべき。原則として、競争的資金による研究成果は社会の共有資産とする方向で議論を進めるべき。ただし、国を超えた国際的な共有については各国で知財に関する法令が異なることから慎重な対応が必要。
  • 「トップレベルの研究拠点群の厚層化」は是非推進していただきたい。特にRU11レベル以外の大学に数多く存在する卓越した拠点を支援していくことは、我が国全体としての研究の多様性の確保、大学等の機関全体の活性化にとっても大きな意義があると考えている。
  • 大学院生を含む国内外の若い研究者にとって魅力ある拠点となるかは拠点が持続的に発展していく鍵になるため、若手人材の育成施策との連携は図っていただきたい。その際、財政力の乏しい大学にとっては、全てを一つのプロジェクトで支援する場合、期間終了後に基盤的経費等でまかなうことは困難となることもあることから、いくつかのファンドを組み合わせながら支援していく方策は有効と考える。
  • 地方大学出身者からノーベル賞受賞者が輩出されていることから、中核となる研究拠点大学をハブとして地方大学や私学も拠点として研究に参画できる体制を一層、強化すべき。そのためには、中核となる研究機関の評価に占める共同利用実績の比重を増やすべき。

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