5 工学系科学分野の研究動向(要旨)

◇当該分野の特徴・特性等

 工学は、数学と自然科学を基礎とし、ときには人文社会科学の知見を用いて。豊かな経済基盤に立脚した安心・安全な社会を実現するために有用な事物や快適な環境を構築する学術分野である。そのため、数学、物理学、生物などの学術基礎と密接な関連のもとで、ITから環境・社会基盤や医学応用展開に至るまで多岐に渡る学術領域を擁するとともに、常に新しい研究領域を取り込んできている。また、工学は社会と純粋(または、基礎)科学をつなぐ重要な学術分野であるのみならず、産業、特に製造業の国際的競争力の強化に向けて中心的役割を果たしており、今後もその発展に向けて一層の支援が必要な学術分野である。

◇過去10年間の研究動向と現在の研究状況等(主要な例)

1)機械、電子情報、社会学などの多分野融合としてのロボティクス開発

 機械、電子情報、社会学、メカトロニクス、心理学などを含む総合融合分野として、ロボティクスが大きく発展してきた。また、応用分野としては、高齢化社会、レスキュー、エンターテイメントなどが注目され、多様な研究が行われてきた。

2)情報ネットワーク技術の展開

 快適かつ安心・安全なユビキタス情報ネットワーク社会の構築に向けて、システム、ヒューマンインターフェース、デバイスなどの各技術が発展を遂げてきた。今後、これらの統合的展開が期待される。

3)ナノ科学技術に立脚した新材料・デバイス開発

 カーボンナノチューブなどの新材料技術や、量子ドットやフォトニック結晶などの新ナノ構造技術の発展により、新たな情報通信デバイスやエネルギー蓄積デバイスなどが開発された。

◇今後10年間で特に進展が見込まれる研究対象・推進すべき研究及び諸課題と推進手法等(主要な例)

1) 宇宙・海洋の利用・探査のためのフロンティア技術
2) 資源・環境と調和した新エネルギー技術
3) ヒューマノイドロボットを含む人間・社会・環境と協調した未来機械システム
4) ユビキタスセンシングなど新世代ネットワーク技術
5) 量子情報科学技術
6) フレキシブルエレクトロニクスおよび分子エレクトロニクス
7) バイオ技術や医療と工学の融合による新技術
8) 防災と環境の融合技術

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