審議のまとめの概要

科学研究費補助金における今後のがん研究の推進方策について -がんの体系的理解と個人に最適ながん医療を目指して-

  1. 「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」の報告書による、第三次対がん戦略の構築と推進方策に沿って計画の立案を行う。
  2. 現在継続中の「がん特定領域研究」の組織の長所を生かしつつ、新しい時代に則した、がん研究をより強力に推進できる体制を構築する。
  3. 「がんの体系的理解と個人に最適ながん医療を目指して」をキャッチフレーズとして統合的ながん研究体制を推進する。
  4. 以下のように5領域を設定する。
    領域1 がん克服に向けたがん科学の統合的研究
        領域代表者:谷口維紹(東京大学大学院医学系研究科教授)
        (がん研究の統合的推進を図り、新分野と技術開発に関する研究を推進するとともに、支援や広報などの運営を行う)
    領域2 遺伝情報システム異常と発がん
        領域代表者:野田哲生(東北大学大学院医学系研究科教授)
        (がんの発生とその抑制機構に関する分子機構の解析を推進し、遺伝情報システムの異常としての発がんの機構に焦点を当てた研究を推進する)
    領域3 がんにおける細胞・組織システムの破綻
        領域代表者:高井義美(大阪大学大学院医学系研究科教授)
        (発がんによって細胞・組織の統合的システムがどのような機構で破綻し、がんの異常増殖や浸潤・転移などの特性が示されるのかについての解析を推進する)
    領域4 がんの診断と疫学・化学予防
        領域代表者:中村祐輔(東京大学医科学研究所教授)
        (発がんリスクなど体質や個々のがんの個性を科学的に解明し、がんの予防やオーダーメイド医療の基礎研究から臨床応用につながる研究を推進する)
    領域5 基盤研究に基づく体系的がん治療
        領域代表者:上田龍三(名古屋市立大学大学院医学研究科教授)
        (科学的な基盤的がん研究と新しい手法の導入などを通して、集学的な医療による個人に最適のがんの治療法の確立を目指す)
  5. 計画研究を充分に遂行できるような研究組織を維持しながらも、公募研究の枠をより広くすることによって研究体制の機動性・弾力性を強化し、新しいがん研究分野の発展や次世代のがん研究者の育成に努める。一方、グループ研究としての研究推進が求められる研究分野にも十分に配慮する。すべての研究に厳正かつ透明な評価を行う。領域間の緊密な連携を図り、基礎研究と臨床研究の統合的発展を目指す。
  6. 厚生労働省側のがん研究体制とより一層連携を深め、相補的・協調的な研究の推進を図る。
  7. ゲノム、トランスレーショナルリサーチ、及び他の関連研究分野との連携・交流を深め、相互の発展を図る。
  8. 国際的ながん研究との連携を図る。
  9. 研究成果とその応用について、産業界との連携を図り、同時に広く社会の理解を得ながら、その期待に応えて行く。

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