資料1-2 学術研究の推進体制に関する審議のまとめ(案)[要旨]-科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会-
1.基本的考え方
1.学術研究の意義
- あらゆる学問分野を対象とする知的創造活動。研究者の自由な発想を源泉として真理を探究
- 学術研究の推進とその発展のための人材育成は国の重要な責務
2.学術研究の政策的推進
- 憲法、教育基本法を踏まえ、研究者の自由な発想に基づくボトムアップが基本
- 学術政策の推進の方向は、研究の多様性の確保と卓越した拠点の形成が重要
- 多様性の確保の観点から研究者及び大学等が自主性を発揮できる環境整備が重要。国は基盤的経費の確実な措置と競争的資金の拡充(デュアルサポートシステム)により支援
- 拠点形成を重点的に推進する際には、研究者コミュニティにおける議論と合意形成を学術政策に反映
2.学術研究組織の整備
1.学術研究組織の現状と課題
- 附置研究所等の研究組織は、組織のミッション達成に向け体系的に研究活動を展開。大学に個性を付与
- 国立大学法人化による自主的な研究組織の整備の動き。国全体の観点からの学術研究の推進が困難になる可能性の指摘
- 大学全体の学生数の7割、教員数の5割を占め、特に人文学・社会科学において優れた実績を有する私立大学の研究機能の活用の必要性
- 国公私立大学の連携協力(研究組織の共同設置等)の推進
2.学術研究組織の整備に関する大学と国の役割
- 各大学の主体的判断による研究組織の設置・改廃が原則
- 大学の枠を越えた共同利用・共同研究の拠点となる研究組織(複数の研究組織によるネットワーク型研究拠点を含む)については、国が一定関与し、重点的に支援
- 国は、各大学の多様な研究活動を支援するとともに、必要な拠点的組織は、国の学術政策として重点的に支援
- 新たな学問領域に係る研究組織等について各大学の取組を重点的に支援。共同利用・共同研究拠点への発展を支援
- 国立大学の附置研究所について、各大学の自主的・自律的な判断による機動的・弾力的な設置改廃を可能にする観点から、共同利用・共同研究拠点以外の組織については、設置改廃に係る国の関与を廃止(次期中期目標の記載事項としないことを検討)
3.共同利用・共同研究の推進
1.共同利用・共同研究の意義・役割
- 個々の大学の枠を越え、全国の国公私立大学等から研究者が集まって共同利用・共同研究を行うシステムは、我が国の学術研究の発展に貢献。人的・物的資源の効率的な活用の観点からもその充実を図っていくことが重要
2.共同利用・共同研究の課題と今後の方向性
- 国公私立大学を通じた共同利用・共同研究拠点を整備し、重点的に支援(公私立大学にも拠点を位置付け)
- 共同利用・共同研究拠点の制度的位置づけと、支援のあり方の明確化が必要。学校教育法施行規則等に必要な規定を整備
- 従来の一分野一拠点から、分野の特性に応じて複数拠点も可能に
- ネットワーク型共同研究の推進
- 特定の研究所等が中心となり、他の研究組織とネットワークを形成
- 大学共同利用機関法人に特定のテーマの研究を推進する存続時限付きのヴァーチャルな研究組織を設置し、関連研究者が参加
3.共同利用・共同研究のあり方
- 開かれた運営体制を整備し、運営に外部研究者の意見を反映
- 国公私立大学等の研究者に広く公募を行い、公正に採択
- 外部研究者への支援体制(必要な職員、情報基盤、スペース等)の整備
- 情報提供・研究成果の積極的な発信
- 拠点組織と他の大学との間での人材の流動性を確保
- 人材育成と研究の活性化のため若手研究者の参加を積極的に推進
- 国際的な共同研究の実施とそのための環境やしくみの整備
- 研究者コミュニティによる評価
4.共同利用・共同研究拠点等の整備
- 新たな共同利用・共同研究拠点を形成する際には、研究者コミュニティからの要請に基づき大学等が計画案を策定し、学術分科会が妥当性を審議
- 既存の組織についても、研究者コミュニティの意向を踏まえて共同利用・共同研究が適切に行われているか等について、定期的に評価、見直し
- 共同利用・共同研究に必要な経費は、国として、各大学の優先順位とは異なる枠組みの下で財政措置を行うことが適当
5.大学共同利用機関法人に期待される役割
- 大学との連携を強化し、関連分野全体をリードする中核としての機能
- 学際的分野や新たな学問領域のコミュニティと拠点の育成
4.学術研究の大型プロジェクトの推進
1.学術研究の大型プロジェクトの意義
- 人類未到の研究課題に挑み、世界の学術を先導。大学の研究教育を支え、国民の科学への関心を高め、我が国が国際的なリーダーシップを発揮する上でも大きな意義
- 研究者コミュニティの意向を踏まえ、国の学術政策として共同利用・共同研究体制により国公私立大学の参加を得て推進
2.学術研究の大型プロジェクトの推進
- 学術研究全体の状況、公財政支出の相対的状況、今後の財政状況等に留意し、中長期的な資源投入の見込みのもと、計画的に推進
- 新たな大型プロジェクトを推進する際には、研究者コミュニティのボトムアップによる合意形成に基づき大学共同利用機関法人等の拠点組織が計画をまとめ、学術分科会において審議
- 当該分野のほか、幅広い研究者コミュニティの議論と大筋の合意形成が必要
- プロジェクトの進捗状況や成果を定期的に評価