学術分科会(第89回) 議事録

1.日時

令和5年9月12日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 最近の科学技術・学術の動向について
  2. 各部会等の報告事項
  3. 大学研究力強化に向けた取組について
  4. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
大野分科会長、五十嵐先生、勝委員、白波瀬委員、鷹野委員、仲委員、中山委員、観山委員、井野瀬委員、大橋委員、尾辻委員、小野委員、尾上委員、加藤委員、神谷委員、北本委員、木部委員、城山委員、関沢委員、戸田山委員、長谷川委員、松岡委員、水本委員、安田委員、吉田委員

(科学官)
  森口科学官、磯科学官、松田科学官、原田科学官、柳田科学官、藤森科学官、加藤科学官、外田科学官

文部科学省

塩見研究振興局長、奥野大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、坂下振興企画課長、柳澤大学研究基盤整備課長、田畑学術研究推進課長、廣野産業連携・地域振興課 拠点形成・地域振興室長、小川大学研究基盤整備課 大学研究力強化室長、松本学術研究推進課 企画室長、滝川人材政策課長補佐、對崎人材政策課長補佐、山本大学研究基盤整備課長補佐、 名子学術企画室長、髙田学術企画室室長補佐

5.議事録


【大野分科会長】  皆様おそろいになられたということでございますので、第89回科学技術・学術審議会学術分科会を開催させていただきます。
 お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、まず、オンライン開催であること、そして本日の出席状況等の報告も含めて、事務局から発言をお願いいたします。
【髙田補佐】  失礼いたします。本日はオンラインでの開催となりますので、御発言の際には手を挙げるボタンをクリックしていただき、分科会長より指名を受けましたら、マイクをオンにしていただきまして、お名前から御発言いただければと思います。
 分科会長以外の委員の皆様につきましては、御発言されるとき以外はマイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。
 不具合等ございましたら、マニュアル記載の事務局連絡先まで御連絡をお願いいたします。
 なお、本日の会議につきましては、傍聴者を登録の上、公開としております。
 また、本日は、原田委員、治部委員、中野委員、長谷川委員、山本委員が御欠席となっております。委員30名中、現時点で23名の御出席をいただいておりますので、本分科会の定足数を満たしておりますことを御報告させていただきます。
 それから、7月末日をもちまして梶原委員が任期満了により御退任されております。参考資料の委員名簿にもございますが、今回の分科会より新たに五十嵐仁一委員に御参加いただいておりますことを御報告させていただきます。
 それから、本日は、事務局より、塩見みづ枝研究振興局長、奥野真大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、坂下鈴鹿振興企画課長、柳澤好治大学研究基盤整備課長、田畑磨学術研究推進課長、小川浩司大学研究基盤整備課大学研究力強化室長、廣野宏正産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長、名子学振興企画課学術企画室長が参加しております。
 ここで、研究振興局長の塩見は8月8日付での着任となりますので、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
【塩見研究振興局長】  研究振興局長を拝命しました塩見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、続いて事務局より、配付資料の確認をお願いします。
【髙田補佐】  本日の資料は委員の皆様へは事前に電子媒体にてお送りさせていただいております。
 本日の議題に係る資料につきましては、議事次第のとおり、資料1から資料5及び参考資料が1から3となっております。資料の不足等ございましたら、事務局のほうまでお願いいたします。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、まず、議事に入る前に、7月末日をもって御退任されました梶原委員が本分科会の分科会長代理を務めておられましたので、ここで改めて分科会長代理の指名を行いたいと思います。
 科学技術学術審議会令第5条第5項において分科会長代理は分科会長が指名することとされていますので、私から指名させていただきます。
 私といたしましては、白波瀬委員に分科会長代理をお願いしたいと思いますが、白波瀬委員、よろしゅうございますでしょうか。
【白波瀬委員】  謹んでお受けします。よろしくお願いします。
【大野分科会長】  どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議題は、議事次第のとおりで、その他以外3つございます。まず最初の議題、(1)最近の科学技術・学術の動向についてを御報告いただきたいと思います。
 なお、御報告の後、質疑応答の時間を設けています。
 それでは、坂下振興企画課長より御報告お願いします。
【坂下振興企画課長】  よろしくお願いいたします。資料1に基づきまして、令和6年度概算要求のポイント、特に、科学技術・学術関係の概算要求について御説明をさせていただきます。
 次のページをお願いします。こちら、全体像になっておりますので、御参照ください。
 次お願いいたします。まず、科学技術・イノベーション人材の育成・確保ということで、令和6年度要求・要望額528億円となっております。
 内容としましては、3つ柱がございまして、我が国の科学技術・イノベーションを担う多様な人材の育成や活躍促進を図るため、国家戦略分野をはじめとして、博士後期課程学生を含む若手研究者への経済的支援の強化、キャリア構築支援・研究環境確保・能力開発等を一体的に推進するというのが1点。
 また、次代の科学技術・イノベーションを担う人材の育成機会の拡大等に向け、初等中等教育段階における先進的な理数系教育実施等への支援や日本科学未来館等におけるSTEAM教育機能を強化するというのが2つ目の柱。
 3つ目が、多様な視点や優れた発想を取り入れた科学技術・イノベーションの活性化に向けて、女性研究者の活躍促進に向けた取組を充実するというものでございます。
 具体的には下に3つの四角に書かれております。次のページをお願いいたします。その中で、特に博士後期課程学生の処遇向上と研究環境確保のところを次に御説明いたします。
 令和6年度要求・要望額221億円となっております。
 内容としましては、事業概要のところにございますとおり、科学技術・イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業及び次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)を一体化して実施する博士支援事業となっております。
 優秀で志のある博士後期課程学生が研究に専念するための経済的支援、及び博士人材が産業界等含め幅広く活躍するためのキャリアパス整備を一体として行う実力と意欲のある大学を支援するということで、令和3年度より実施してございます。
 第6期の科学技術・イノベーション基本計画におきまして、令和7年度までに約2万2,500人を支援することとしておりますけれども、令和6年度の予定としましては、このうち2万400人、本事業において1万800人を支援する予定となっております。
 次お願いいたします。科研費でございます。平成23年から基金化されておりますけれども、令和6年度概算要求におきましては、若手・子育て世代の研究者等への支援強化ということで、基盤研究の(B)と学術変革領域研究(B)の基金化を推進してまいります。
 また、若手・子育て世代の研究者がより積極的に研究に復帰・参画できる環境を整備するため、研究活動のスタートを支援する研究活動スタート支援の応募要件の緩和・支援の拡充(採択増)を図ることとしております。
 あわせまして、高い研究実績を有するトップレベルの研究者が率いる優れた研究チームの国際共同研究を強力に推進すると同時に世界を舞台に戦う若手研究者の育成を強化するための国際先導研究を拡充するという要求になっております。
 次お願いいたします。戦略的創造研究推進事業でございます。これは国が定めた戦略目標の下で、組織・分野の枠を超えた時限的な研究体制を構築して、イノベーションの源泉となる基礎研究を戦略的に推進するものでございます。
 チーム型研究のCREST、若手登竜門となる「さきがけ」、卓越したリーダーによるERATO等の競争的研究費を通じて、研究総括が機動的に領域を運営するものでございます。
 令和6年度は、基礎研究の強化に向けた拡充や研究成果の切れ目ない支援の充実等を進めるとともに、創出されたトップサイエンス成果をトップイノベーションにつなぐ延長支援の拡充や物価高騰等への対応に取り組むこととしております。
 次お願いいたします。次は科学技術イノベーションの戦略的国際展開ということです。こちらは御参照いただければと思います。
 次お願いいたします。次は科学技術イノベーション・システムの構築というところです。こちら3つの柱がございまして、1つ目が、地域中核・特色ある研究大学の強化でございます。これは令和4年度の第2次補正予算によりまして、地域中核研究大学等強化促進基金が措置されておりまして、本年、既に審査に入ってございます。来年度の概算要求につきましては、この事業の伴走支援を行うための経費の要求となっております。
 その次は、大学を中心としたスタートアップ・エコシステム形成の推進、そして3つ目の柱は、産学官の連携による共創の場の形成支援等となっております。
 次お願いいたします。次は、創発的研究支援事業でございます。これは自由で挑戦的・融合的な構想に、リスクを恐れず挑戦し続ける独立前後の多様な研究者を対象に、最長10年間の安定した研究資金と研究者が研究に専念できる環境の確保を一体的に支援する事業でございます。
 この事業は創発的研究推進基金で実施されておりますけれども、概算要求としましては、創発研究者をリサーチアシスタントとして支える博士学生等に対する支援の増を要求してございます。
 こちらの事業、令和2年度から計3回の公募が既に終わっておりまして、今後、また3回程度、合計750件を今年度から毎年度募集していく予定になっております。
 次お願いいたします。次は世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)でございます。令和6年度は国際研究拠点の形成を計画的・継続的に推進していくということで、持続的な成長発展を実現するための制度改革等を進めていくということになっております。
 次お願いいたします。共同利用・共同研究システムの形成事業でございます。こちら、学際領域展開ハブ形成プログラムが今年度から新たに始まってございます。これは全国の研究者が集まる共同利用・共同研究機能を持つ大学共同利用機関や国公私立大学の共同利用・共同研究拠点がハブとなって行う、異分野の研究を行う大学の研究所や研究機関と連携した学際共同研究、組織・分野を超えた研究ネットワークの構築・強化・拡大を推進するものでございます。令和6年度は2件の新規採択を予定しております。
 次お願いいたします。世界の学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトの推進でございます。こちらにつきましては、ちょっと1ページ飛ばして、その後ろに行っていただけますか。参考に国立大学の運営費交付金等の一覧をつけておりますけれども、右のほうに世界の学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトの推進ということで235億円。このほか、先端研究推進費補助金等で202億円ということで、これを合わせたものとなっております。内容的には11ページのとおりでございます。
 最後になります。人文学・社会科学のDX化に向けた研究開発推進事業でございます。こちらは学術分科会でも後の議題で人文学・社会科学特別委員会からの報告がございますけれども、新たに令和6年度、2億円の新規要求となっております。
 諸外国は人文学研究のデジタル化を積極的に推進しておりますので、こういった「デジタル・ヒューマニティーズ」と称するような世界的動向への対応や総合知の創出に資する観点から、国内の学術機関の協働体制を構築し、分野に適したデータ規格モデルの開発やAI利活用研究の事例創出、人材育成プログラムの開発など、DX化のための基盤開発が必要と認識しております。
 したがいまして、Ⅰのところにありますデータ基盤の開発に向けたデジタル・ヒューマニティーズ・コンソーシアムというものを運営していくというのが1つ目の柱でございます。
 また、総合的・計画的な人文学・社会科学の振興に向けて、我が国全体の人文学・社会科学の研究動向や研究成果を把握するためのモニタリング手法の確立も喫緊の課題となっております。2つ目の柱である人文学・社会科学研究におけるデータ分析による成果の可視化に向けた研究開発というのがこちらに対応してございます。
 説明は以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、今、最近の科学技術・学術の動向について御報告をいただいたところですが、皆様から御質問あるいは御意見をお受けしたいと思います。
 いかがでしょうか。
 長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部委員】  博士課程の学生に対する支援を拡充していただけるということで、これは非常に大事なポイントかと思います。大変ありがとうございます。
 一方で、ポスドク1万人計画ですとか、あとは、その後で、我々の生物系ですと予算が増えてポスドクを雇用する数が増えたりして、それが結局、その後の就職がなくて、定年制で雇用されない人をたくさん生むという状況を生んで、それが回り回って学生が減るというところにつながっていると思うんですが、今回、博士課程の学生に対する支援を増やすことについて、その後のキャリアパスに対する見通しと、あと、今後どのくらいまでこれを増やしていったらいいのかという見通しについて教えていただけますか。
【大野分科会長】  いかがでしょうか。
【對崎人材政策課課長補佐】  科学技術・学術政策局の人材政策課の課長補佐の對崎と申します。御質問ありがとうございます。
 キャリアパスの見通しにつきましては、やはり博士人材が様々な社会の場で活躍をしていくということが我々も重要だと思っておりますので、もちろんトップオブトップの研究者を目指す支援というのも必要だと思いますが、それに加えて、産業界も含めた様々な場でのキャリアパスということで、この事業の中ではそうしたトランスファラブルスキルといいますか、博士の持つ様々な能力をさらに引き上げて、社会の多様な場で活躍できるといった支援を大学にやっていただくということも充実させていきたいと思っております。
 また、今後の見通しにつきましては、現在までは、令和7年度の、こちら、今表示されている資料でございますけども、令和7年度の支援目標として2万2,500人という形で、従来の博士課程の進学者の3割程度というところをまずは目指しているところでございますけれども、今後、8期の計画に向けて、さらに数と質の充実というところも、現状の支援策の成果とかを見ながら検討していくことになろうかと思っております。
 以上でございます。
【長谷部委員】  ぜひよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、吉田委員お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。私も博士人材の育成について、3ページのところで御質問というか、お願いをさせていただきたいと思います。
 博士後期課程の学生の処遇向上、そこのところで優秀で志のある博士後期課程の学生と書いてあるんですが、今、我々としても、国際化というキーワードの下で、ジョイントディグリーであるとか、そういうシステムを進めていると思うんですけれども、そういう学生というのはやっぱり確実に支援がないとなかなか応募しにくいという背景がありますので、ぜひ国際化を目指した、あるいはジョイントディグリーを含めた、そこら辺のところを強化するというような少し文言を付け加えていただければありがたいなと思っておりました。
 以上になります。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、松岡委員、お願いいたします。
【松岡委員】  どうもありがとうございます。ちょっと今の博士課程のこととも少し関連すると思いますが、私は女子学生のことについてちょっと伺いたいと思います。1つ前のそのページになります。その右下、女子中高生の理系進路選択支援プログラムということで、1.5倍になっているというのは大変喜ばしいことだと思います。
 一方で、ここに「適切に理系進路を選択することが可能となるよう」という文言がありまして、私、大学におりましても、なかなか優秀な女性の学生さんが理系を選択してくれないということで、私たちもどうやって女子学生を増やそうかということで、日々いろいろ考えながら苦労しているところです。
 ここのところ、「理系進路を選択することが可能」というのは、具体的にはどういうことを考えていらっしゃるのか、お聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いします。
【大野分科会長】  いかがでしょうか。
【滝沢人材政策課課長補佐】  すいません、御質問ありがとうございます。人材政策課の滝沢と申します。
 今御質問いただきました女子中高生の理系進路選択支援プログラムについては、今、これ、拠点をつくっておりまして、例えば女性が理系になって活躍するようなロールモデルをここで提示をするということだったりとか、あとは、文理選択に迷うような生徒がいらっしゃった場合、学校に訪問してワークショップを実施したりとかというところの関心とか興味を喚起するというところとか、あと、進路の選択は、結構保護者の方の影響もあるというところで、進路選択に大きな影響力のある保護者や教員向けに対して取組をちょっとしたりとかというところで、結構いろんな取組を、拠点を設けてやっているというところでございます。
 来年度の概算要求も、ある程度拠点の新規数を増やすというところで今考えているところでございます。
 とりあえず以上でございます。
【松岡委員】  やり方をいろいろ考えるということは大事だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【滝沢人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。
【大野分科会長】  それでは、続きまして、仲委員、お願いいたします。
【仲委員】  どうもありがとうございます。私も松岡委員と同じページなんですけれども、今とまさに同じところでして、女子中学生の理系進路選択支援とありますが、そうすると必ずその反対に文系というのがあるのかなと思います。これ、そもそもやっぱり中高となっていって、理系、文系と分けて、そういう系で進路選択していくというところが問題結構大きいんじゃないかなと思うところです。人文・社会総合知の推進も進められているところですので、できれば理系・文系をやめて、モザイク的にいろんな科目を取れる、複数取れるというふうにしていったらいいんじゃないかなあと思うところです。
 以上です。
【大野分科会長】  コメントいただきました。
 それでは、勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  御説明ありがとうございました。私も博士後期課程学生への支援のところなんですが、やはりこれは安定した支援というのは非常に重要だと思うんですけれども、当初、予算ではなくて、ファンドの運用益を充てるという話もあったと思うんですが、令和6年度が全体で2万人、7年度が2万2,500人と、かなり増えてくるわけですけれども、中長期的な見通しというのはどうなっているのかということと、あと、4ページの主要国における博士号取得者数の推移のところなんですが、フランスとかドイツ、イギリスが近年急激に低下しているんですけれども、これは何か理由があるのかということをちょっとお伺いしたいと。先ほどジョイントディグリーという話がありましたけれども、やはりそれは非常に重要なところで、7ページのところに科学技術イノベーションの戦略的国際展開というのがあって、これ共同研究が主体になっていますけれども、やはり教育の面でも博士後期あるいは博士前期の、そういったダブルディグリーあるいはジョイントディグリーというのもぜひ考慮に入れていただければと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  事務局いかがでしょうか。
【對崎人材政策課課長補佐】  御質問いただきましてありがとうございます。まず、ファンドとの関係でございますけれども、こちら、昨年の11月に文部科学大臣の決定した基本方針の中でも、大学ファンドの運用益の範囲内で当面200億程度を博士に支援するという形になっておりますので、安定的な支援を実施するまでの間は、一般会計も含めて安定的支援を行っていくというところでございますので、中長期的には、勝先生、御指摘いただいたように、今の支援がきちんとした形で継続されるように、ファンドからの支援、あるいは一般会計による支援というのを合わせて必要な額を確保していくということだと思っております。
 2点目の諸外国の動向のところですけれども、こちらは必ずしもちょっと分析しきれていないところがございますが、少なくともコロナ等の関係で諸外国においても、海外からの学生の流入や、あるいは海外に学生を送り込んでPh.D.を取らせるというところが少し停滞したのかなというところは分析しているところでございます。
 ジョイントディグリーの点は、先ほども御指摘いただいたとおりで、しっかりキャリアパスの一環としてそうしたことも含めて広げていきたいと思っております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、井野瀬委員、お願いいたします。
【井野瀬委員】  ありがとうございます。御説明でいろんなものが展開されつつあるということが分かりました。今議論されている博士課程人材、あるいは女性の支援、女子学生・院生の支援とも関わるのですけれども、こういった支援が多様になされていて、総合知が求められていて、そういう人材育成をしているということが、社会にどのように、こういった支援をしているということが、社会、日本社会を底上げするのか、そことの関連を少し教えてください。
 つまり、先ほど仲先生も少し触れられましたけれども、人文学・社会科学におきましては、ほかの大学院と同じかもしれませんが、かなり院への進学が減っています。それは大学院を出た後のキャリアパスということの問題もあるんですが、大学院に進んで、そこでさらに研究なり続けていくということに対する支援、社会の理解ということが保護者を含めてなかなかに得られないということがある。つまり、日本社会自身がどうもそういうところで閉じているという感じがあるんですが、今そこを開こうとしているこういった学術の在り方を社会にどうつなげていくかというところにどういうお考えを持たれているか、あるいはどういうパイプがあるのか、教えてくださればと思います。
【大野分科会長】  ありがとうございます。事務局よろしくお願いします。
【對崎人材政策課課長補佐】  御質問いただきましてありがとうございます。博士後期課程学生の全般的な支援というところで私のほうからお答えしたいと思いますけども、社会全体のというところで、またほかの事務局からも補足があればお願いしたいんですけれども、博士後期課程の分野によらず、我々としては、まずちゅうちょなく、どの分野であっても、経済的な事由によって進学をためらうことがないようにと、また、その後のキャリアパスに不安を抱かないようにしっかりと整備していくというところが総論としては大事だと思っておりまして、先生御指摘のとおり、人社系と自然科学系、分野によって様々必要とされる人材の規模とか必要とされる社会での在り方といったものが異なるところはあるかと思いますけれども、我々としては、博士のような高度な専門性を持って、かつ様々な課題解決能力を持った人間が社会の様々な場で活躍ができるというところがまずもって重要だと考えておりますので、そうした全体の数を増やしていく。それはもちろんストレートの博士だけではなくて、リカレント、リスキリングみたいなものも含めた形での人材の充実というところを第一に考えているところでございます。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 事務局のほかの方から補足はありますか。
【滝沢人材政策課課長補佐】  人材課、滝沢です。博士の活躍の話ですけども、我々として、例えば、明日、未来の博士フェスというものをやって、博士というものがどう活躍して、何となくやっぱりまだイメージつかないとかという方いらっしゃる中で、そういうところの発信というものを我々なるべく心がけていきたいなと思っておりますので、御指摘を踏まえながら我々もしっかり考えていきたいと思います。
 
【井野瀬委員】  ありがとうございます。経済的という物理的なことだけではなく、精神的、意識の上でがんじがらめになって動けないという学生たちもたくさんいますので、そういったところに少し緩く、できるんだということを、それは市民社会の役割かなと思っていますので、そことの関連もどうかよろしくお願いします。ありがとうございます。
【大野分科会長】  名子室長、お願いします。
【名子学術企画室長】  学術企画室長の名子でございます。人文・社会科学系の人材の話でちょっと御指摘いただきましたけれども、まずキャリアパス関係につきまして、今、一旦、高等教育局のほうでも人文・社会科学系の大学院生の在り方についてちょっと議論はされていますが、この分野の研究者として来て研究の道に行くのか、博士まで出て、ただ一般社会との関係で、必ずしも活躍する道がないわけではなくて、そこもあるということも含めての議論がされていると承知しております。
 ただ、研究調査能力ですとか、いろんなところに説明していく能力ですとか、そういったところで、その能力が育成されているということだと思いますので、それを社会にどう分かっていただけるのかというところは一つ大きなポイントかと思います。
 人文学・社会科学、分野がすごく広いのでいろいろございますけれども、そこの研究成果がどう世の中に見えていくのかとか、魅力を持った世界なのかというところの成果発信とか、それが見えていくというところも大事かと思いますので、そういったところも我々としても考えていきたいと思っているところでございます。
 すいません、ちょっと補足程度ですが、私からは以上でございます。
【井野瀬委員】  いえいえ、ありがとうございます。私も見ていきたいと思います。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、白波瀬委員、お願いいたします。
【白波瀬委員】  よろしくお願いします。若干繰り返しになりますけれども、やはり博士課程ということで、後期のボリューム感ということ、出口政策ということだと思うんですね。多分日本の中では縦割りがありますので、この整備というのをどこまで前のめりにやられるのかというのがすごく重要な点ではないかと思います。やはり先行きが見えないから。そういう意味で、出口政策自体がかなり国際化していることも事実だと思いますので、国際化というのができましたら、全体の別カテゴリーであるような時代はもう終わったほうがいいんじゃないかと思っているんですけれども、その辺りも含めて、やはりもう少し前のめりで具体策かあったほうがいいかなと。
 あと、何人かの先生からもありましたけれども、具体的なキャリアのイメージが持てないというのが基本的なことだと思いますので、拠点という話もありましたけれども、すごく足元のところで、もう少し丁寧なキャリア教育というのを積極的に、ロールモデルだけではなくて入れていただくというのは、地方の子たちは本当にイマジネーションがすごく乏しいところがありますので、この辺りよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。コメントということで次の御発言に移りたいと思いますが、尾辻委員、お願いします。
【尾辻委員】  ありがとうございます。尾辻でございます。ただいまの御議論にありました4ページの博士後期課程学生の処遇向上、これはもちろん若手育成支援の強化ということでございますけれども、その次のページの5ページで新年度の科研費事業に対する予算要求がはっきりと出てまいりました。基盤研究(B)等の基金化についても、やはりこれは若手支援育成の一環としての位置づけとして今回出されておりますし、それから、もう一つの国際共同研究の強化につきましても、国際化という、この大きな2本立てで新年度の予算要求が出ているということはよく理解しているところでございます。
 その上でなんですけれども、このページの右側に書いております科研費事業科研費種目のピラミッドの部分で俯瞰いたしますと、ボトムのところの若手育成をずっと最近強化が続いているわけですけれども、残念ながら科研費事業の年度予算自体はほぼ停滞が続いておりますので、私の問題意識としては、このピラミッドの上部のトップを伸ばし、さらに世界に伍して世界をリードしていくための大型種目、特別推進研究、基盤研究(S)、ここの部分の今後の強化・充実が重要だと認識しています。
 そういう意味からして、新年度予算要求というよりはもう少しロングスパンで見たときに、文部科学省として科研費事業の将来をどのように展望し、戦略を持って臨んでいかれるのか、その辺の考えについてお聞かせいただければと思います。
【大野分科会長】  ありがとうございます。それでは、事務局お願いします。
【松本学術研究推進課企画室長】  学術研究推進課企画室の松本です。
 尾辻先生おっしゃるとおりと思っていまして、今期の研究費部会、それから科学研究費補助金審査部会のほうでも議論していただくことを予定しているんですけれども、基盤研究全体の種目の枠組みを中長期的に議論をしていき、この図にある緑の部分に特別推進研究を含めた科研費の根幹の部分をどうやって伸ばしていくかということについて、先生方と一緒に検討していければと思っています。
 以上です。
【尾辻委員】  ぜひよろしく引き続きお願いいたします。
【大野分科会長】  それでは、加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】  加藤です。先ほどの博士学生のキャリアパスの件でのコメントですが、この話題は大分前から議論されていて、10年、20年前から言われていたんじゃないかと思います。文科省の施策でいえば、COE、グローバルCOEとかリーディング大学院をやっていた頃から、博士を出て、その後、学者になるだけではなく、産業界にもたくさん貢献してくださいということがうたわれていたと思います。ですが、このグラフは結構ショッキングで、ほかの国が伸びているにもかかわらず日本は伸び悩んでいる。日本の現在の現状というか、産業界、研究業界も含めた伸び悩みをある意味、如実に物語っているんじゃないかと思います。
 海外においては、こういう活動をしなくても、ハイレベルなエンジニアがいなかったら産業界は伸びていかないんだよねということが、自然と行われているように思います。特に欧米におきましては。
 私のコメントは、文科省だけで政策を打つには限界があって、むしろ産業界、例えば経産省とか、そちらの方との連携が必要であろうということです。例えば、産業界における成功モデル、博士課程がいたからこそこんなふうに成功したとか、海外でどれほど博士課程を取る人が活躍してこんな成果が出ているという紹介をするとか、省庁にまたがった活動をやらないと打開はできないんじゃないかという印象を持っています。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。いずれにせよ、今日のご意見は、社会が変わる必要があって、社会が変わる必要性をどう働きかけていくのか、あるいは社会との対話をどうするのかということだと思います。これは非常に重要な課題ですので、文科省のほうも、省に閉じずに、ぜひ様々な対話のチャネルを考えて進めていっていただければと思います。
 ちょうど区切りが来ました。また後ほど最後に御発言いただく機会もあるかと思いますけれども、次の議題の報告と質疑応答に入らせていただきたいと思います。
 次の議題は、各部会の報告事項であります。まず、柳澤大学研究基盤整備課長より研究環境基盤部会の報告事項について説明をお願いいたします。
【柳澤大学研究基盤整備課長】  大学研究基盤整備課長の柳澤でございます。よろしくお願いいたします。
 学術分科会の下に設置をされております研究環境基盤部会におきまして6月に取りまとめていただきました中規模研究設備の整備等に関する論点整理につきまして報告をさせていただきます。
 資料につきましては、資料2の1枚目から2枚目以降でございます。最初に今お示しいただいているのは2枚目の部分でございますけれども、そもそも大きな話としましてこの報告書に2ページ目、全体17ページのところにありますが、1つ目の丸にありますように、今期の研究環境基盤部会におきましては、第11期の科学技術・学術審議会を締めくくるに当たっての会長所感というのが1つのベースになっております。その中で、学術研究基盤の整備に関して中大規模の設備、それを支える専門技術人材の整備、さらには近隣分野の研究組織等、複数の大学等が連携して整備することを含め、全国的な学術研究振興の観点から検討すべきであるということとされた。これに基づき検討を進めてまいりました。
 その下の2つ目でございますが、今回の論点整理では、中大規模の設備のうち、学術研究の大型プロジェクトに関しましては、それぞれ開発、整備されるところの大型研究設備以外の設備、そういうのがありますが、それ以外の設備群を中規模の研究設備として主な議論の対象としてまいりました。
 具体的には、液体ヘリウム装置や小型放射光など、金額にして数億円から数十億円規模の設備を想定しているというのが大きな前提でございます。
 それから、概要のほうに戻っていただきまして、これからこれについてポイントを説明しますが、まず、現状と課題のところ、1番のところで取りまとめていただいておりますけれども、中規模研究設備には2つありまして、最先端の研究設備とそれから汎用性の高い先端設備というのがあり、このうち最先端の研究設備は、当該分野の全国の研究者、また、汎用性の高い先端設備につきましては、大学の共通基盤として、主に学内の研究者の共同利用のニーズが高いという現状があると認識をしております。
 国立大学等の研究設備の整備につきましては、運営費交付金の中で支援されておりますけれども、この場合、法人単位での要求を行う仕組みでありますので、法人の枠を超えた機能に対する要求ですとか予算の確保は厳しくなっているということが課題として挙げられているところでございます。
 また、大学ごとの設備の整備計画として、設備マスタープランということがありますが、これも大学の枠を超えた利用が想定される全国的な観点での中規模研究設備の要望が可視化されにくいという傾向がある。この辺りが1つの課題と認識しております。
 あと、さらに設備の高度化・光熱費の高騰等の問題もあるのは承知してございます。
 このような現状と課題を踏まえまして、2ポツの検討の方向性というところとしまして、まずは令和5年度早期に検討を行う事項を当面の検討事項として整理、さらに当面の検討事項としての状況を踏まえながら並行して検討を行う事項を中長期的な検討事項と整理をしてございます。
 当面の検討事項のほうでございますが、現行の設備整備に関する予算の枠組みの中では、言わば公立大学等ではなくて、全国的な観点からの選定など、中規模研究設備の整備の仕組みを検討すべきと。
 あるいは、今後の検討に向けまして、まずは我が国における中規模研究設備の整備状況ですとか、国際的な動向、装置開発の現状などの調査を実施することなどが示されているところでございます。
 さらに中期的な検討事項のほうにつきましては、国立大学等が策定します設備マスタープランにおきまして、中規模研究設備が明確に位置づけられるように検討するということと複数大学間の連携による整備の仕組みを検討する。
 さらに、国においては、各大学等の設備マスタープラン等を踏まえまして、戦略的・計画的な整備方針を策定するということを検討していこうと。
 併せて、これら整備方針を踏まえました毎年度の計画的な整備を可能とする安定的な予算の枠組みを検討することなどを示していただいたところでございます。
 最後に、3の設備整備に関する課題というところで、大学等における技術職員の配置の重要性というのを踏まえまして、実態の把握、あるいは諸外国の状況に関する必要な調査も実施をしようということを記載されているところでございます。
 内容については以上でございます。当課としましても、論点整理において御議論いただいた点を踏まえましてしっかり対応を進めていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
【大野分科会長】  ありがとうございます。もう1点御報告いただいてから質疑応答に入りたいと思います。
 城山人文学・社会科学特別委員会主査より、人文学・社会科学特別委員会の報告事項について御説明をお願いいたします。
【城山委員】  それでは、城山のほうから説明をさせていただきます。資料の3を御覧ください。人文学・社会科学特別委員会では、まず今年度の概算要求を見据えた形で、人文学・社会科学研究の振興に向けた当面の施策の方向性についてという形で整理をいたしました。
 その内容でありますけれども、人文学・社会科学の振興の観点として、第6期科学技術・イノベーション基本計画や統合イノベーション戦略2023等の方針を踏まえて、まず1つ目、人文学・社会科学が中心となった総合知の創出に資する取組。それから2つ目、人文学・社会学における研究DXに向けた基盤の開発・整備。それから3つ目ですが、人文学・社会科学の研究動向に係るモニタリング指標の開発の3点について、先ほど概算要求の説明にもございましたが、それぞれ現在の施策の推進状況、課題というものを検討して、当面の政策の展開の方向性というものを記載させていただいたわけでございます。
 議論のポイントだけ御紹介をさせていただきます。まず1つ目、総合知の創出に資する取組についてでございます。過去の文科省のモデル事業、人文学・社会科学を軸とした学術共創プロジェクトの成果報告を基に今後の検討課題というものを整理した形になっております。
 具体的には、異分野共同研究に関しまして、マネジメントの在り方やそれを担う人材の育成・確保、それから研究者のマッチング、相互理解の仕組みの在り方といったものが課題であり、これらについてはどういう形で施策が取り得るかということを引き続き検討していきたいとしています。
 加えて、日本学術振興会において既に実施されています学術知共創プログラムにおける具体的研究テーマの支援については引き続き継続していくという形にしております。
 それから、2つ目であります。人文学・社会科学における研究DXに向けた基盤の開発・整備についてです。現在、人文学・社会科学においてメタデータを集めたデータカタログなどを整備する取組などが進められておりますけれども、個別分野のデータ化に関して、特に人文学の分野において、資料の特性に応じたデータ規格の在り方や人材不足の課題から、国文学などの一部を除いて進んでいないという現状がございます。
 そこで、良好な学術データの構築に向けて、国内の人文学系学術機関の連携体制、協力体制を構築して、国際標準を踏まえた人文諸科学のデータ規格の調整やデータ構築、データ利活用の事例の構築、あるいはまた人文系のデータ特性を理解し、データ利活用の手法に通じた人文学系の研究者の育成ということを進めることが重要だとしております。
 それから最後、3つ目でありますけれども、人文学・社会科学の研究動向に係るモニタリング指標の開発についてであります。本年2月、我が国の研究動向を把握するため、本委員会において「モニタリング指標について」という文書を取りまとめたところであります。
 これを踏まえて、今後、国際ジャーナル論文や国内ジャーナル論文において研究動向のモニタリングを行う方策の検討、あるいは人文学・社会科学系においては重要性が高い研究者の体系的な研究成果をまとめた媒体である書籍についてのモニタリング手法の開発、あるいは社会的インパクトに係る指標の検討などを進めていく必要があるとしております。
 今後でありますけれども、秋以降、引き続き学術の進展や総合知の創出に資する共創による課題設定型プロジェクト型共同研究の推進、その支援の仕組みの在り方、あるいは研究データの利活用やAI利活用など、研究DXの推進、研究成果の可視化や国際発信について検討を進めていくという予定にしております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、今の2件の御説明、御報告について御意見あるいは御質問ありましたら、御発言をお願いいたします。挙手ボタンでお知らせください。
 水本委員、お願いいたします。
【水本委員】  ありがとうございます。後半の人文学・社会科学の振興に関して質問と確認がございます。これは私のちょっと個人的な感想になるかもしれないんですけれど、今の社会的な問題をきちんと解決する、あるいは、少しでもそれに近づけるというためには非常に大きないわゆるチームと言ったらいいんですかね、研究者のチーム、これを形成することが重要でないかと思います。つまり、社会的な課題がいろんな側面を持っていて、5人、10人の研究者だけでは解決なかなか難しい。そういう状況にあるように私は今感じております。
 そういった中で、資料の中ほど、①にありました人文学・社会科学が主体的となってプロジェクト研究を進める、そういうチームづくりというキーワードがあったと思うんですけれど、これに関してもし何かそういうのが既に行われている、あるいはこれからこういうふうにしてチームをつくっていきたい、そんな構想がもしあるようでしたら御説明をいただきたいと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  城山主査、いかがでしょうか。
【城山委員】  ちょっと十分に丁寧に説明できなかったところがあるんですけども、まさにチームづくりの在り方というのを、ここで書いていますモデル事業という形で簡潔に書いていますけども、こういう形で事業として過去3年間やってきて、具体的には大阪大学が受皿となってそういう試みをしていただいたというのがあります。
 それで、今後重要になるのは、阪大においては継続してやっていただくという方向になっているんですが、そういった仕組みづくりなりそれをサポートするメカニズム、ある種のURA的な人も含めてどういう支援体制をつくっていくのかというのが大事だという認識を関係者は持っていて、その在り方については今後議論をしていきたいと思っています。
 恐らく今年度の後半の議論のポイントになると思いますので、御指摘いただいた点のような課題意識を踏まえて進めていければなと思っています。
【水本委員】  ありがとうございました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、続きまして、長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部委員】  中規模研究設備について文科省にお伺いしたいんですけれども、研究基盤部会のほうでも話題になったんですが、最近の機器の高度化ですとか円高、特に私のいる生物学分野なんかはそうなんですが、例えば、私のいる自然科学研究みたいな共同利用研、そういうところでも、世界の最先端の機器をとても導入できる状況ではなくて、それで、例えば共同研究をしている中国の大学レベルだと向こうのほうがずっといい機械を持っていますし、インドの例えば共同利用研に当たるようなIISERに行くと、やっぱり日本の我々よりもずっといい機械を使っているんですね。
 ですので、先ほどの御説明でありました中長期的、短期的と中長期的というお話がありましたけれども、中長期的を考えるほど余裕のない状況に今置かれておりまして、文科省として早急に中規模研究設備というものに対して対応を取ることが必要ではないかなと思うんですが、どのようなタイムスケールでお考えになっているかということを教えていただけますか。
【大野分科会長】  事務局お願いします。
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  大学研究基盤整備課の山本と申します。今御指摘いただいた点は、基盤部会でこの議論いただいたときも御指摘いただいたところでございまして、検討の方向性にありますように、当面ということで、海外の動向を見ますとこういったミドルスケールの装置につきましても、いろんな戦略を立てて国が関与して整備をしていくという方向性があるというようなところもありますので、そういったタイムスケジュールも含めますと、国際的な整備状況に応じて日本が、今、中規模設備がどのような状況になっているかということ自体がまず網羅的に把握できていないということがありますので、そういったところを早急に調査して、その中でそれに対応する形で国がどういった形で関わるかという形で整備方針をつくっていくというところでございます。
 御指摘の点、今、中長期的に整備方針というところがありますが、調査の状況に基づいて、我々としてはなるべく可及的に予算要求も含めまして検討を早めていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
【長谷部委員】  喫緊の課題としてぜひよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  それでは、尾上委員、お願いいたします。
【尾上委員】  私もこの中規模研究設備のところなんですけども、一体型の資料の25ページ目なんですけども、企業との連携を行いつつというところで、これは非常に重要だと思っております。共同研究だけではなくて、様々な面でいろいろなことがプロモートできるというところで、昨年出していただいたガイドラインにもそのようなことが記載されていたと思うんですけども、ぜひこの辺りを国としても後押しできるといいかなと思います。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  コメントいただきました。
 それでは、続きまして、神谷委員、お願いいたします。
【神谷委員】  私は人文・社会科学のほうでございますけども、その中のモニタリング指標について伺いたいと思います。以前にも話したと思うのですが、最近、DORA、サンフランシスコ宣言が多くの大学で署名される可能性が高いと考えております。そこではインパクトファクターをはじめとした数量的指標を採用・昇進等々に用いないということで、研究内容の評価を重視すると理解しております。
 こういった評価が大学で行われますと、もちろんこれ個人の評価が主かもしれませんけども、当然、大学全体の研究内容、評価に密接に関わるということになります。
 今読んだところ、こういった視点は入ってないように思うのですが、こういった視点を入れるという予定はあるのかというのがひとつ。
 それからもう1点は、欧米では既にサンフランシスコ宣言の署名というのは定着しているのだろうと理解しております。その場合、欧米では、こういった視点をモニタリングする場合に考慮しているのか。この2点について伺いたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  事務局いかがでしょうか。
【名子学術企画室長】  学術企画室長の名子でございます。
 まず、今回のモニタリングのところは、一旦書籍のものを踏まえての分析ということになるんですが、国際的なジャーナルとか国内的な論文状況を踏まえて全体としてまず研究の量とか、そういったものの分析というのを今ちょっとやろうと思っています。
 おっしゃるとおり、インパクトファクター等にというところとはちょっとまた別の観点でやろうとは思っておりまして、別のところで今ちょっと考えておりますのは、少し研究者なんかもヒアリングしながら、どういったところの雑誌で、どういうところで成果を発表されているのかというのを量的に把握するということは考えております。
 また、書籍のところにつきましては、前回の御議論で、神谷先生、大変お詳しいと思うんですが、そもそも研究成果の発表の量的なところが、論文とか書籍とか学校発表とか、いろんなところのものが全体として把握されてない中で、一体それがどういった割合になっているのかというところなんかも把握したいと思っております。
 質のところにつきましては、定量的なところだけでということじゃなくて、またそれを含めてこういったデータも集めながら、また少しその動向についてどう見ていくのかという議論をしていくことになろうと思っていますので、一応まずは一旦ちょっと必要なデータもそろえながら検討を進めていきたいというところでございます。
 直接的な回答になっているかどうかちょっと分からないんですが、まず一旦そのようにお答えさせていただきます。
【神谷委員】  分かりました。海外ではどうかという質問をしたのですが、それもしお分かりであれば。分からなければもちろん回答されなくてよろしいですけど。
【名子学術企画室長】  サンフランシスコ宣言を使った評価について海外がどうなっているのかということですか。
【神谷委員】  はい、そういうことです。
【名子学術企画室長】  そこはまだ把握できてないんですが、前回の委員会でもイギリスの例とかノルウェーの例とかいろいろ御紹介をされていたと思うんですけれども、ちょっとそういったところもまた見ながらいろいろとやっていければと思っております。
【神谷委員】  いえいえ、どうもありがとうございました。
【大野分科会長】  ありがとうございました。それでは、仲委員、お願いいたします。
【仲委員】  どうもありがとうございます。私も人文学・社会科学のページなんですけれども、先ほど御意見がありましたように、本当に大きなチームをつくってチーム化を目指して、そして大規模な研究をぐいぐいと進めていくのもすごく重要だと思いますし、また同時に、人文・社会科学の研究って本当に、ページの中ぐらいにあったと思うんですが、意義を探求していくような、本当にこの時代のこの地域のこの部分をというふうな形で個別研究というのも大変多々あり、そこにまたすごく価値があるところかなと思います。そういう個別の研究を本当に保障されるような、そういうシステムになるといいなというふうなことが1つ。
 DX化というのも本当に重要だと思うんですけれども、これを例えば研究した研究者がDXも併せてやっていかなくてはいけないというのはなかなかやっぱり負担も大きいところかなと思いますので、これが本当に全体としてデータができるような、何かそういうシステムとかプラットフォームを構築していただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  コメントをいただきました。そのとおりだと思います。
 いかがでしょうか、ほかに御質問あるいは御意見ございますか。
 もし御発言がないようでしたら次の議題に移らせていただきます。次の議題は今後の学術研究の推進についてでございまして、大学研究力強化に向けた取組を御報告いただきます。まず、国際卓越研究大学候補大学の選定について、小川大学研究力強化室長より説明をお願いいたします。
【小川大学研究力強化室長】  よろしくお願いいたします。9月1日付で大学研究力強化室長を拝命しました小川と申します。本日は、先生方、お時間いただきまして、ありがとうございます。私のほうからは大学ファンドを通じました世界最高水準の研究大学の実現に向けてということで、国際卓越研究大学の審査の状況につきまして御報告させていただきます。
 次のページをおめくりいただければと思います。こちら、多くの先生方御案内の部分もあるかと思いますので、簡単に御説明いたしますと、本事業につきましては、背景としまして、欧米の主要大学は数兆円程度のファンドの運用益を活用し研究規模を拡大している。また、我が国においても言わずもがなですけれども、大学の研究力を強化することは極めて重要であり、世界レベルの研究基盤の構築のために大胆な投資を行っていくということで、科学技術振興機構(JST)に大学ファンドを設置いたしまして、右肩に記載ございますけれども、財投融資、また予算の措置を行っていただくことで、10兆円規模の大学ファンドを創設するとともに研究力を抜本的に強化していくと。
 具体的には、運用益につきまして、大学に助成を行っていくといったスキームを考えているといった事業でございます。
 次のページをおめくりいただければと思います。今回御報告差し上げる公募及び選定の状況についてでございます。公募・選定のポイントにつきましては、こちらの変革への意思、いわゆるビジョンですね、とコミットメントの提示に基づき実施するということで、これまでの実績や蓄積のみで判断するわけではないということ。
 また、最終的には、大学数は数校制度に限定ということで、こちら、段階的に認定及び認可を行っていくということ。
 また、要件としましては、研究力、事業・財務戦略、また自律と責任のあるガバナンス体制、こういったところを設定しているところでございます。
 また、審査体制につきましては、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)及び科学技術・学術審議会が適切に情報共有等の連携を行うことができる体制を構築。また、外国人有識者も加えた適切な体制を構築するということにしております。
 また、段階的審査におきましては、研究現場の状況把握や大学側との丁寧な対話を実施ということで、今回も3大学につきまして、有識者会議の先生方の御意見を受けまして、現地視察も行いつつ、面接審査も行いつつということで、丁寧な対話を実施して審査を進めてまいりました。
 一番下に記載ございますけれども、スケジュールとしましては、昨年度末に公募を締切りいたしまして、書面審査、面接審査など12回これまで行ってまいりました。
 また、現地視察につきましても、7月19日から21日というところで、こちら3大学を行ってきたところでございます。
 次のページお願いいたします。審査体制でございますけれども、こちら、一番下に、国際卓越研究大学法に基づく基本方針ということで、こちら、文部科学大臣は、今後は総合科学技術・イノベーション会議及び科学技術・学術審議会の意見を聴かなければならないこととされているということも鑑みまして、CSTIの委員の数名が参加、また大学研究力強化委員会の委員のうち数名が参加という形で、国際卓越研究大学アドバイザリーボードという、いわゆる審査を行う有識者会議を立ち上げまして、これまで内閣府ですとかNISTEP、こういったところとも連携しつつ、国内外のレビュアーのお力も借りつつ審査を行ってきたというところでございます。
 次のページをお願いいたします。具体的にアドバイザリーボードの構成員としましては、こちらの計10名の先生方に御協力いただきまして進めてまいっております。
 具体的には、左肩の梶原先生、先ほど7月末で学術分科会につきましては御退任ということでございましたけれども、梶原先生ですとか、CSTIの先生でいえば、篠原先生、菅先生、上山先生、こういった先生にも入っていただくと。また、外国人の委員ということで、前シンガポール国立大学の学長であるタン・チョー・チュアン先生、また、UCバークレーの副学長、また同じようにシンガポール国立大学では副学長となっておりましたジョン・ウィルトン先生などにも入っていただきつつ、審査を行っていただくというところでございます。
 次のページをお願いいたします。こちらの国際卓越研究大学への申請の概要というところになります。個別の大学1つずつ御説明詳細にしていると時間が限られているところでもございますけれども、例えば早稲田大学であれば、カーボンニュートラル社会の実現といったもの、また、東京科学大学であれば、人社も含む多様な分野が融合するコンバージェンス・サイエンス、また、名古屋大学であれば、世界最高レベルの知を創造するアカデミックインパクトとソーシャルインパクト、この両方を最大化。京都大学であれば、3つの構造改革を推進ということで、こちら①から③まで記載がある通りです。また東京大学であれば、全学組織としてのCollege/School of Designの創出というふうに、こちらは学内の改革を進めていくといった取組。また、東京理科大学であれば、研究と社会貢献、教育の3つの柱に沿って大胆な改革を推進。さらに筑波大学であれば、つくば地区、つくばと世界との連携による研究教育力の最大化。また、九大であれば、脱炭素、医療・健康、環境・食料の3研究領域を突破口にということで、また、東北大学であれば、今回、大野総長いらっしゃいますけれども、3つのコミットメントと6つの目標、また19の戦略を提示していただいているということ。さらに大阪大学であれば、いのちとくらしを守る強靱で持続可能な未来社会を切り拓くということで、各大学から非常に有識者会議でも意欲的な提案を反映されているということで、様々なコメントをいただいているところでございました。
 次のページをお願いいたします。こちら、全体の審査の経過についてでございます。冒頭申し上げましたけれども、申請が昨年度末で締切りになりまして、10大学につきまして、その後書面審査や国内外のレビュアーの意見に加えまして、大学側との丁寧な対話を実施するということで、10大学に対して面接審査を実施、また、3大学の現地視察を実施したというところでございます。
 計、これまでに12回の会合を開催したというところでございます。
 2ポツでございますけれども、こちら、今回の結論としまして、認定候補ということで、初回の国際卓越研究大学の認定候補としましては、一定の条件を満たした場合に認定するという留保を付した上で、東北大学を選定するということが適当ではないかと有識者会議の御意見をいただいたところです。
 東北大学におきましては、認定・認可に向けて、体制強化計画の磨き上げや合議体の設置等のガバナンス変更準備を行いまして、その状況についてアドバイザリーボードで継続的に確認していくということを考えているところでございます。
 具体的には、スケジュールにつきましては、真ん中のカラムのところでございますけれども、現在オレンジ色の認定候補選定と記載がございますけれども、この段階になっているところでございます。今後、体制強化計画の磨き上げ、こちら、アドバイザリーボード、有識者の先生方が何点か一定の条件ということで留保していただいていますので、こちらを受けた対応をしていただくということとともに、合議体の設置等の大学のガバナンス変更の準備などを行っていただきまして、CSTI及び科学技術・学術審議会の意見聴取を受けた上で、大学認定や計画の認可といったことを経て、令和6年度以降の支援開始ということを考えているところでございます。
 また、次の公募、第2期の公募につきましても、大学ファンドの運用状況等は勘案するということでございますけれども、初回の国際卓越研究大学の認定後、令和6年度中に公募を開始するということで今また準備を進めているところでございます。
 次のページをお願いいたします。こちら、今申し上げた中身を少し過去に遡っていろいろ整理したものでございますので、ある程度割愛させていただければと思いますけれども、例えば2023年度の右から2つ目のカラム、上の部分でございますけれども、今、まさに対象大学の選定ということで手続を進めていたというところでございます。また、大学認定、計画認可と並行しまして、その下の部分、第2期公募、大学ファンドの運用等を勘案し、令和6年度中に開始予定ということで考えております。
 また、本日お時間がちょっと限られておりますけれども、参考資料の2と参考資料3というところで、今回有識者の先生方のほうから各大学の審査の状況についてということで、個別の大学に関する調査も含めまして、より詳細な資料が出てございますので、こちらについても添付させていただいております。
 すいません。駆け足になりましたけれども、以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。続いて、次の説明も受けてから意見交換に入りたいと思います。
 続きまして、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の公募について、廣野拠点形成・地域振興室長より説明をお願いいたします。
【廣野産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長】  廣野でございます。私からは地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の公募の状況について御説明をさせていただきます。
 令和4年度の第2次補正におきまして、2,000億の地域中核・特色ある研究大学の振興のための予算措置がされたところでございます。そのうち、先行して事業を進展しております施設整備事業から説明できればと思います。資料番号62でございます。
 2次補正予算で2,000億が措置されたもののうち、約500億が施設整備事業ということで既に採択されておりまして、施設整備が進んでいるところでございます。
 地域中核・特色ある研究大学の施設整備ということで用意をしてございまして、それぞれ10年後の大学像、そこに至るまでの過程といったものを申請いただきまして、そこで整備する施設がどのように機能していくのかという観点から審査を行った結果、次、63ページになりますけれども、56件の応募に対しまして30件の採択を4月21日に行っているところでございます。後ほど御説明します促進事業との関係で申し上げれば、決して施設整備事業で採択されたことがアドバンテージになるわけではございませんけれども、この施設設備事業と後の促進事業による支援とが相乗効果を生むように、ということは各申請に当たって求めているところでございまして、両者が効果的に機能を発揮するということを求めているところでございます。
 64ページからは実際に採択されました30件の概要を並べてございます。それぞれの内容については説明を割愛させていただければと思います。
 続きまして、67ページでございます。こちら2,000億のうち約1,500億円を基金で助成をいたしまして、5年間の継続的支援が行えるようにということで事業を立ち上げてございます。
 単価ですとか、支援大学、支援内容については記載のとおりでございます。
 次のページお願いできますでしょうか。公募自体は5月26日に開始いたしまして、既に申請の提出が締め切られております。
 現在提出された申請書につきまして審査を行っているところでございます。
 各大学からは10年後の目指す大学の姿というものを明確に設定いただきまして、そこに至るまでのプロセス、また、そのプロセスを実際に5年間でどのように進めていくのか、その計画というものを策定いただき、申請をいただいたところでございます。
 研究力の向上戦略と計画につきまして、将来性や妥当性といったものを審査していくということで、今、それが継続しているところでございます。
 採択につきましては、12月下旬には決定ができればというスケジュールで進めさせていただいているところでございます。
 今年度、申請が69大学あったところでございます。翌年度以降につきましては、今年度で全てを採択するとか、何件まで採択するとか、あらかじめ枠を設定しているわけではございませんけれども、6年度以降の公募につきましては、様々な状況等も踏まえまして柔軟に事業設計をしていくということで計画しているところでございます。
 69ページ以降、それぞれの申請概要につきまして資料としてまとめさせていただいてございます。それぞれの大学が、約10年後の姿をどのように実現していくのか、そういったところをしっかりと審査いただければと思っているところでございます。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。ただいま大学研究力強化に向けた取組について2件の御説明をいただきました。
 それでは、御意見あるいは御質問等がありましたらば手を挙げるボタンで挙手をお願いいたします。
 神谷委員、お願いいたします。
【神谷委員】  どうも御説明ありがとうございました。大学ファンドのほうについてお伺いしたいのですが、新聞報道でもありますように600億円余りの運用益の赤字なんですけども、JSTの報告書を見ますと、赤字ということも重要なんですが、もう一つ重要な点は、ポートフォリオだと思います。要するに、非常に低リスクのポートフォリオを採用しているということです。皆様よく御存じだと思いますが、ローリスク・ローリターンですので、リスクが低ければ平均的リターンは非常に小さくなります。ぱっと見たところ、株式17%、債券55%、預金28%なのですけど、海外の債券なら非常に高いリターンがあるかというとそういうわけでもなくて、かなりの比率で為替ヘッジをしておりまして、お詳しい方は分かると思いますけど、為替ヘッジのコストというのは日米の金利差とか日本・ヨーロッパの金利差に依存しますので、かなりリターンは低くなると。その代わりもちろんリスクは低くなるという形になります。
 したがいまして、短期的には大きい運用益を得る可能性は低いと私は考えております。なので、今後の採択大学数とか配分額とかも徐々に徐々に増えていくというイメージをお持ちなのか、それとも、リスクを取って、もちろん確率的には運用費が赤字になる可能性がありますけども、確率的には大きい運用益を得る可能性はあるわけです。
 したがいまして、ある程度今後はリスクを取っていって、採択大学数も徐々にではなくてある程度のスピードで増やすと。それから配分額もある程度のスピードで増やしていくと。こういうふうにお考えなのか、この点について質問したいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 事務局いかがでしょうか。
【小川大学研究力強化室長】  ありがとうございます。足元の状況につきましては、円安の進行など、先生、御認識のとおりでございます。現段階におきましては、ポートフォリオも今つくっていっている途中でございますので、おっしゃっていただいたような債券を中心にリスクを低減してというところでございます。
 一方で、先生がおっしゃるように、この事業自体は、そういう意味ではポートフォリオをしっかり立てて、運用益がある程度の高さになっていくというところにつきましては時間が少しかかるというところもございますので、段階的に、認定校といいますか、助成していける大学というのをある意味詰めていくということを考えてございまして、その意味でも、今回認定候補ということで1校ということになりましたけれども、次回、公募のタイミング、今回、令和6年度中に行うということを公表してございますけれども、そういう意味で、最初から全大学、投資をするということではなくて、徐々に徐々に増やしていくという、先生のそういう意味ではお話あったうちの前者ということになるのかもしれないですけれども、そういった認識でやっているところでございます。
 そういった意味もありまして、今回、次回以降、各大学の方々は、先見性というか、予見性を持って御対応いただけるよう、次回の公募のタイミングというのもお示しさせていただいている、そういった考えでございます。よろしくお願いいたします。
【神谷委員】  どうもありがとうございました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 ございませんか。
 今回、並列的に御説明いただいた2つの大きな施策、大学ファンドと、それから、地域中核・特色ある研究大学、大学ファンドは25年たって自立するという設計になっていて、それを目指す設計です。
 地域中核・特色ある研究大学は、年限が限られており、これまでとはそこまで変わっていません。大学研究力強化委員会でも全体の概要が明らかになったときには、こういう小刻み、5年を小刻みと言っていいかどうかということはありますけれども、刻んだ形でつくっては壊しというようなイメージを持たれた委員の方もいらっしゃったと思います。長期の見通しといいますか、長期の研究大学の育成・発展という視点から何か事務局のほうからありますでしょうか。
【廣野産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長】  廣野でございます。地域中核・特色ある研究大学強化促進事業は、予算としては基金で積まれた費用を措置いただいております。この基金自体が5年という措置期間になってございますけれども、今回提案いただいている構想自体は、10年先の大学のありたい姿という形で戦略を策定いただいておりまして、それに向かってどのような取組を行うのかという申請に対して、審査、採択を進めさせていただきます。
 そのための支援費用については、基金自体が5年ということでありますので、5年の計画の中での対応ということになってございますけれども、この審査・採択を経た計画につきましては、5年度目をめどに評価をさせていただいた上で、必要な支援自体を展開できるようにという構想で捉えてございます。そのためにどのように経費、費用を措置するのかというところについては、財政当局との協議が必要になってございますけれども、構想自体は10年先を見通した取組というものを進めていただき、それによって大学の姿、改革というものを着実なものにしていただく、そういう構想というものを採択できればと考えているところでございます。
【大野分科会長】  ありがとうございます。このような学術分科会での議論、長期的な視点での研究大学の発展、研究活動の発展ということを社会、そして、今は財政当局というお話もありましたけれども、そういうところに示していく、学術界の声というのをきちんと示していくことが重要かと考えているところであります。
 いかがでしょうか、何か御発言ございませんでしょうか。
 五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】  今日から参加させていただいています委員の五十嵐でございます。大変すばらしい議論を聞かせいただいて、本当に感動しています。この間ちょうど、NHKの日曜討論で大学研究の在り方が取り上げられていました。大きな問題はやはり、今大野先生がおっしゃったようないわゆる研究力の基盤の底上げと、それから大学ファンドのようなトップ層の競争力強化と、大きく2つに分かれていて、もちろん両方に取り組まなければいけないのだけども、お金が限られている中で、両方のバランスというか、ポートフォリオというのか、それをどうするか。そういったところに関して、大きな視点から文科省なりに、両方大事なのはよく分かる、ただしお金は限られている、そういう中でどういう長期戦略を持ってやっていくか。今回の議論の中で、よく聞いているとそれが見えてくると思うんですけども。もし、分かりやすくお話しできることがあれば伺いたいのですけども。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか、事務局。
【小川大学研究力強化室長】  よろしければ研究力強化室のほうから回答させていただければと思います。大学研究力強化室のほうで大学研究力強化委員会ということで、大野先生にも御参加いただきながら議論を進めてまいっております。まさにおっしゃるとおりで、日曜討論の場でも、トップダウンとボトムアップのところ、なかなかいろんな意見があってかみ合わないようなところも若干見られたのかもしれないなという印象を私も受けながら伺っておりました。
 強化委員会の中の議論では、やはり大学の支援の在り方も、世界に伍するような大学と、あと地域中核、今回、廣野室長のほうから御説明ありましたけれども、ああいった地域の特色ある取組を支えるですとか、あと、地域の中核になるような大学、こういった大学への支援、さらには共同利用機関ですとか、共共拠点、そういった横につなぐような仕組み、こういったものを重層的に支援していく必要があるというところはもちろん議論があります。
 一方で、ポートフォリオといいますか、どこをどうやってはがして、どこでどうやってつけるという話というよりも、やはり全体に評価していくべきだということだと思いますので、そこは必ずしもべたっと同じ事業を全体にというよりも、やはり先ほど申し上げたような重層的な取組をうまく活用して、連携させて、なるべく省内でも、他部局との壁を排除して、そこの連携をつなげていくと、そういったことが重要なのではないかと感じております。
 すいません、答えになっているか分かりませんけれども、御回答させていただきます。
【五十嵐委員】  ありがとうございました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続いて小野委員、お願いいたします。
【小野委員】  御説明いただきありがとうございました。豊橋技術科学大学の小野です。方針や政策など十分に分かっていないところが多々ありますので、純粋な疑問ということで質問させていただきたいと思います。
 先ほど長期的な視点と短期的な視点というお話がありましたが、施設整備に関して、前半の設備マスタープランなど長期的な論点整理と方針のお話の中に、後半の地域中核の産学連携共同研究の施設整備事業がどのように位置づけられているのか、あるいは位置づけられてないにしても、どのように関係しているのかという点が、同じ施設というものに対して2つお話があったので、どうなっているのかなというのが素朴な疑問です。
 そのときに特に関心があるのは、学術会議の若手アカデミーで取りまとめている提言で、コアファシリティーの整備についてハードに投資が集中し、それを使えるプロフェッショナルな人材が足らないという問題を指摘しています。そうした設備は、研究体制が十分に整っていない若手の研究の活性化にとって非常に重要だという、そういう問題意識を持っています。長期的視点では、人材の話、技術者の話がありましたが、後半の地域中核のほうでは、人材の観点がどのように組み込まれているのかという観点で、長期的視点と短期のプログラムの関係について教えていただければと思います。
【大野分科会長】  事務局、よろしくお願いします。今日御説明あった様々な施策の関連を含めてお話しいただければと思います。廣野室長でしょうか。
【廣野産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長】  廣野でございます。御質問ありがとうございます。地域中核・特色ある研究大学の振興ということで、令和4年度の2次補正で措置された施設整備費につきましては、地域中核・特色ある研究大学をしっかりと振興していかなければいけないという枠組みの中で、一つ施設としての機能をどう加速させていくのかという観点でございまして、産学連携ですとか、いろんな協働的研究など、大学と社会がつながる場というものをしっかりと整理して、そこから、大学で生まれた知の源泉、シーズをしっかりと外とつなげていく。そういった機能も促進していこうと、重要だということを言われてございます。そういう場をしっかりと整備をしていくことで、地域中核・特色ある研究大学に期待される環境構築を支援していこうということで措置されておるのが施設設備の事業でございます。
 実際に何がどう整備されるかというところになりますと、まさに産学官連携、また共同研究を行うフィールドといいますか、場所ということで、ここからいろんな大学外のいろんなステークホルダーとつながって新しい何かを生み出していただくという施設を構築、整備していただくということで支援をさせていただいております。
 御疑問にはお答えになっていますでしょうか。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。ぜひ今後も、全体像がどう関連しているのか、そして、時間的にどういうスパンを押さえているかという地図があると小野委員の御疑問にも答えやすくなるかなと思います。
【小野委員】  ありがとうございました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。それでは、続きまして、吉田委員お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。地域中核・特色ある研究大学、この補正予算による基金による整備というのは非常に地域の大学にとっては、今まであんまり予算をもらったことがないという意味では、非常に活気づいた案件でありまして、非常に感謝しております。
 その中で、今回、提出するに当たっては、WPIやCOI-NEXT、共創の場、こういうものが拠点になっているということが基本的な前提になっていたと私どもは認識しております。今後やっぱり地域を活性化し裾野を広げることが高い塔が建つコツであるということを考えれば、その地域の、特に産業界との連携、COI-NEXT、共創の場、そういうものをぜひ少し予算を増やしていただきたい。最初の資料1にもそういうことを増やすということでありましたが、令和6年度に対しては非常に公募の数が減ってきたのは非常に危惧していたところなので、そういう手当てというものをぜひ考えていただきたいということを一つ発言させていただきます。
 以上になります。
【大野分科会長】  コメントいただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、白波瀬委員、お願いいたします。
【白波瀬委員】  よろしくお願いします。物すごく基本的なところをちょっと伺うので、私の理解不足かもしれません。1点目につきましては、やはり先ほども質問がありましたけど、全体像との関係で、これ2つの大きな支援ということで走っているんですけれども、ここでの高等教育の競争市場という点では、そもそも二重構造で、地域があって、それで世界に伍する、こういう前提をつけて制度設計をされているのかというのが1点目の確認です。
 2点目の確認につきましては、もともと、もちろんオックスフォード自体も大学債を出したときに、ハーバードのようなというところでモデル大学というのが出てきたんですけれども、ここでのモデルとされているものというのは、資料でも出ているようなハーバード、イェール、スタンフォードというところになってくるんでしょうかという、確認の2点目でございます。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【廣野産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室長】  廣野でございます。まず、地域中核・特色ある研究大学の促進事業で、目指す大学の姿というものは、大学によっていろんな目指す形があろうかと思っております。特定の分野・領域で国際的な競争力を伸ばしていくという構想を描きつつ、外部資金なども取り入れながら自律的な経営を行うという形を計画として策定させていただいているところであります。まさしく地域の貢献ということを軸にして、そこの特色を伸ばしていこうという構想を描いていただいている大学というものもございます。それぞれ大学ごとに、自らの描く10年後の姿ということで、強みや特色を伸ばして、そこでしっかりと存在を確立していくということを求めており、それぞれの構想はどちらに絞るべきということはしておりませんで、それぞれの大学で目指す姿というものをどのように実現していくのか、その計画に対して支援をさせていただきたいということで取り組んでいるところでございます。
【大野分科会長】  ありがとうございます。小川室長、お願いします。
【小川大学研究力強化室長】  今御質問いただいたハーバードとかイェールとかスタンフォードといったようなのは、恐らく大学ファンドを通じたという、そちらの資料の2ページ目ですかね、最初のページの右肩に書いてある欧米主要大学の基金規模というところのワードを引っ張っていただいているのは、恐らくそこの話かと思っております。ここで基金規模として挙げているもの自体は、ハーバードですとかイェール、比較的大きなところ、基金の運用をしっかりやっているというところと事業拡大進めてきたという、これは代表例として出しているところではございます。
 一方で、世界と伍する研究大学の実現ということでは、もちろんこちらの取組につきましては、世界トップクラスといいますか、世界で伍するような大学を生み出していくということで、これはある程度の大学を皆さん想定されると思うんですけれども、一方で、各大学においてガバナンスをどうするかですとか、ベンチマークの大学をどうするかというのは、提案されている大学の特色にも関わりますので、そこは個別にこの大学はこうしてくださいという話ではなくて、実際にベンチマーク取っていただいているところも、大学ごとにも違いますし、大学の研究力だったり、ガバナンスだったり、そういったものでそれぞれどこを目指すかというのは、それぞれの大学において考えていただいていて、私たちもそれがいい、悪いというか、提出していただいたものについて、私たちというか、有識者会議のほうでもそういったものを踏まえて議論した。そういった経緯があるところでございます。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 よろしゅうございますでしょうか。
 あと、今お手が挙がっているお二人と、まだ御発言いただいてない委員の皆様にも御発言をいただけたら大変ありがたいと思います。
 まずは、今、挙手されている城山委員からお願いいたします。
【城山委員】  どうもありがとうございます。ちょっと違った次元からの質問なんですけども、国際卓越の資料をいろいろ見させていただくと、ある種のハンズオン型で対応しながらそれぞれの状況に合った仕組みをうまくつくっていくんだという、そういう問題意識というのはかなりあるように思うんですけども、逆に言うと、ハンズオンでやっていくというのは、多分従来の申請をさせて、それをある一定基準で採択します、イエス・オア・ノーとはかなり違う体制なりマネジメントが必要になるんじゃないかなと思うんですよね。
 これ恐らく従来であれば例えば研究プロジェクトのレベルでも多分ハンズオンをやるタイプとやらないタイプというのがあるんだと思いますけれども、逆にこういう新しいタイプの対話型のハンズオンで大学と付き合っていくというときの体制づくりみたいなことはどういうことを工夫されたりとか考えられたりしているのか。もちろんアドバイザリーボードの先生方が重要な役割を果たすということは確かですが、とはいえ、パートタイプの方でやれることというのは当然限られているわけなので、逆に言うとそこをきちっとサポートするシステムというのをつくらないと結構業務負荷になっちゃうんじゃないかなという危惧もあるので、何かちょっとその辺り、どういう観点をお持ちなのか、あるいはどういう工夫をされているのかとか、あるいはJSTなどであれば個々のプロジェクトのハンズオンというのは一定程度やってこられたと思うんですが、じゃあ、個々のプロジェクトのハンズオンと大学という組織体全体を相手にするときのハンズオンというのは、どう同じでどう違うのかとか、ちょっとその辺りの問題意識について教えていただければと思いました。よろしくお願いします。
【大野分科会長】  よろしくお願いします。
【小川大学研究力強化室長】  御質問ありがとうございます。非常に核心を突いたというか、なかなか難しい質問だなと思いながら伺っていました。ハンズオンということで、今回、そういう意味では、このタイミングでは認定候補ということになっておりますし、これから来年度にかけて、事業計画、体制強化計画の磨き上げなど、東北大学のほうで行っていただきつつ、アドバイザリーボードのほうでもそれを確認していくということになりまして、今回の審査におきましても、例えば財務関係の海外の先生に入っていただくなどもしておりますけれども、一方で、レビュアーとしてかなり広く国内外の先生方から意見をいただくような体制をとっております。こちら、審査に入っていただくというよりは、いろんな御意見をいただくという形をとっていただいておりまして、そういう中で、財務面ですとか、専門的な先生方からの意見もいただくような形をしております。
 今後また、次のフェーズということで、ハンズオンの取組を行っていきますけれども、こちら、どのように進めるかというのはやはり大学側と丁寧に対話をしながら進めないといけないと思いますし、今、まさにそちらの話合いも進めているところでございます。その一方で、重要な視点としては、やはりアドバイザリーボードの先生だけでは時間が限られているのは当然でございますので、いかにしてそのチームといいますか、専門的な知見を持った方々をこういった取組に入れるチームをつくっていくかと。ここはまさにオンゴーイングで進めていくところでございますので、そちらの取組をうまくいろんな方の知見を入れながら進めていくところも必要なので。
 一方で、もちろん、まだ認定候補ということで、審査の途上ということでもございますので、そこはむしろどこまでうまく、広く、もしくは情報をうまく扱うかというところはあるのかなと思いつつも、今お話しさせていただいたような視点が重要なのかなと考えているところでございます。
 御質問ありがとうございました。非常に核心を突いた質問だと思いました。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、勝委員、お願いします。
【勝委員】  ありがとうございました。今回、こちらの卓越研究大学の部分なんですけれども、審査の基準として3つ、研究力とそれから財務、ガバナンス体制ということで審査されたと思うんですが、KPIを多分恐らく出して、なされているとは思うんですけども、今のお話で、アドバイザリーボードと大学側との丁寧な対話ということも書かれているんですが、今後としては、事後評価というか、そういった形で何かやっていくのかどうか。つまり、特に卓越研究大学の場合は、やはり大学の自律性というか、オートノミーというのは非常に重要になると思うので、どのような形で評価をしていくかということをちょっとお伺いしたいのと、それから、ペーパーでも大学の持続的成長という言葉が何度も出てくるんですが、この持続的成長というのは何を意味するのか。これ、3%という数字が、事業規模で3%の成長というのが、前、何かどこかで出てきたようにも記憶しているんですけれども、それとそれから研究力の強化というところの整合性というところ、もし分かれば教えていただければと思います。以上です。
【大野分科会長】  事務局、お願いします。
【小川大学研究力強化室長】  御質問ありがとうございます。2点、今後の評価、こちら、例えば、アドバイザリーボードですとか国がどのように大学の取組に関わっていくのか、また評価していくのかというところと、あと、持続的成長ですね、こちらの考え方、2点御質問いただいたと思っております。
 まず1点目なんですけれども、こちらの評価の基本的な考え方としましては、国際卓越研究大学自体は、こちらの事業設計としましては、やはり長期的に成果を見ていくというところ、手取り足取り、一々大学の研究の取組に個別に口を挟むというのは、やはり評価の観点、評価疲れの話もありますし、なかなか効率的ではない、効果的ではない部分もあるかと思いますので、そこはある程度長期的に成果指標を見ていくということを基本とするという考え方で進めるということを考えております。
 一方で、事業が実際にスタートしてからはそういった形になるのかと思いますけれども、これから認定・認可に向けてハンズオン支援を1年程度ですかね、来年度に向けて実施していくところではありますけれども、こういった中で、やはりこれまで有識者会議のやり取りの中で指摘があった、また、今お話の中でお互いに共通認識になっている部分もあると思いますけれども、そういった点につきましては大学との間で丁寧にコミュニケーションを取っていく。
 認定・認可に至りましたら、KPIですとか、目標、こういったところをある程度長期的に見ていけるような仕組みというのを考えているところではあります。
 実際に走っていって、どういった形で評価をするかなど、こちら、今後さらに検討も進めていく部分もあるかと思いますけれども、基本的な考え方としてはそういった形を考えているところでございます。
 あともう1点、持続的な成長ですね、こちらと研究力の話でございます。おっしゃるとおり、持続的な成長という意味では、3%の事業成長ということで、こちら、事業支出を3%拡大していくと。そういった目標を求めているところではございます。
 これ、趣旨としましては、やはり大学が様々な財源などを活用して、自らが持つリソースですね、こちらを基礎研究ですとか融合研究も含めて、多様な分野を切り開いていただきたいという趣旨で、事業成長3%というものを設定しております。
 ですので、3%ずつ事業成長が進んでいって支出が増えていけば、研究活動に利活用していくような予算も増えていくということで、研究力の強化にもつながっていく。そういった考え方で進めております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 まだ御発言されてない方を指名した後、井野瀬委員に戻っていきたいと思います。申し訳ありません。まずは鷹野委員、御出席でしょうか。
【鷹野委員】  はい。カメラがちょっと不調で、画面をオンできないんですけれども。
 コメントとして、別の部分でのお話でもよろしゅうございますか。
【大野分科会長】  はい。
【鷹野委員】  本日の資料1で、学術分科会からの報告の部分なんですけれども、実は私、学術分科会の一員ではございますけれども、1つちょっと最近気づいたことがございまして、そのことをちょっとコメントさせていただきたいと思います。
 科研費につきましては、キャリアの多様性への配慮がすごく進んでいると感じております。その中で、研究職一筋ではなく、といいましょうか、例えば研究職以外の職に一時就いていた方、そういった方について、年限の配慮があるんですけれども、年限の配慮にそういった時期を外していただくと、例えば8年という年限のうち、例えば3年、4年、別の職に就いていた方は、その期間を除いていただいて、その8年間を猶予いただくと、そういったような制度があるといいかなと思ったのが最近ございましたので、そのことをコメントさせていただきます。
 以上でございます。
【大野分科会長】  コメントありがとうございました。
 続いて大橋委員はいらっしゃいますか。
【大橋委員】  すみません。ちょっと発言するのをためらっていたんですけど、ご指名ありがとうございます。全体を通じてということかもしれませんけれども、今回の科学技術及び学術の分野での施策の取組について御説明いただいて大変参考になりました。特に、大学研究力の強化に向けた取組もそうですが、政策立案のプロセスというものをEBPMの観点からどう考えていくのかなという点はあるのかなと思いました。
 今回、大学の研究力というものを評価するのだと。評価をする観点というのは恐らく、 対象を学術研究だとすれば、各学術のコミュニティーでの評価ということもあると思いますし、またあと社会での受け止めということもあると思いますし、さらには研究と教育というのがある程度リンクされている分野においては教育側からの評価というのもあると思います。
 そうした評価が、最後、次の政策立案につながっていくのだと思うのですけれど、つまり、評価というのは評価で終わっているわけじゃなくて、さらに政策をよくしていくための立案につながるんだと思っているんですが、そうした立案と評価のサイクルというのが科学技術政策においてどうなっているのかなというのが、実のところ、長いこと見えないなと思っています。
 研究も生き物ですので、ある意味スタティックにこういうふうな評価軸でやっていきますという形には必ずしもならないとは思うものの、ある種、どうやって研究力を伸ばしていくのかという政策的な方法論というのは多分確立されていなくて、なおかつ施策の担当者も悩みながらやっている部分が相当程度あるのではないかと思うことを考えてみると、ある種幾つかの取組をやりながら、ある仮説というか、考え方に基づいてやってみながら、どういうものが成功してどういうものが失敗したのかということの中で施策をよりよいものにしていくというふうな、何かそういうふうな大きな考え方というか政策の取組の枠組みというのは科学技術政策においてもあっていいんじゃないかなあと思っています。
 今回の大学強化、研究力強化の取組がその一歩になればいいんじゃないかなとも思っていますけれども、感想としては以上です。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。極めて重要な視点だと思います。これまでは必ずしもそういうところが入ってなかったということだと思いますので、今後、これらも考慮した施策あるいは施策の考え方に反映していただければと思います。
 北本委員いらっしゃいますか。
【北本委員】  よろしくお願いします。私のほうから、ちょっと戻ってしまうんですけれども、中規模研究設備のほうについてちょっとお伺いしたいんですけれども、人文学・社会科学のほうで、こういった中規模研究設備というのはこれまでほとんど採択されている例がないようなんですけれども、これというのはそもそもこういった設備という考え方に人分学・社会科学あんまりなじまないからなのか、それとも、そもそも誰もやろうとしていないのか、ちょっとその辺りの状況について教えていただければと思います。
 人文学・社会科学のほうでも、今後の計画として、基盤整備ですとか研究開発等を考えられていますので、研究設備というのに出てくるのかなという感じもするんですけども、その辺りの、特に現状どういう整理になっているかということを教えていただけると助かります。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 これは事務局いかがでしょうか。
【山本大学研究基盤整備課課長補佐】  大学研究基盤整備課の山本でございます。中規模設備につきましては、特に分野というよりは、金額とか、あと外部資金でなかなか取りづらいというような領域であること、あと、大学単位で整備するには非常に大きくて、大学としてはやはり基盤的なものを優先するというところが教育研究活動の中であるということで、学問動向に応じた形でどうするかというところで、全国的な観点から中規模というのを考えないといけないんじゃないかということでございますので、人文・社会科学だからという側面というよりは全分野を通じた共通な概念だと考えています。
 ただ一方で、人文の分野においても、設備の高度化とか、大規模化しているとか、あと、分野融合という観点で人文・社会科学と自然科学系との融合によって、データ駆動でありますとか、そういった設備の面での大型化ということも話を聞いておりますので、そういった問題もとらまえて、分野を問わず、学問動向に応じた形での視点で物事を考えていきたいということで論点整理いただいたと記憶しております。
 以上でございます。
【北本委員】  ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、続いて木部委員いらっしゃいますか。
【木部委員】  はい。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。私もちょっと感想めいたことになるんですけども、人文・社会科学のDXに向けた研究開発事業が予算要求に載ったということで非常に喜んでおります。それと、それぞれの予算同士、予算が幾つも出てきたんですけども、それぞれの予算同士の連携がよく見えない、関連性がよく見えないというのを最後まで聞いていて思っていました。
 例えば、人文・社会系のDXも、結局はいろんな大学が連携して、研究所も連携してコンソーシアムをつくりましょうというのが1本目の柱ですよね。
 そうなると、最後の地域中核・特色ある研究大学というのも、これもいろんな大学が連携して、特色があるものを、研究をやって地域の活性化につなげましょうということですので、趣旨はよく似ているような気がします。
 それから、地域中核とは根本的な方針は違うかもしれませんけども、似たようなものがいろんなところで走っていて、もう少し全体として、文科省の研究推進全体として何か見えるものがないかなあというのを思いながら聞いておりました。
 以上です。
【大野分科会長】  コメントいただきました。時間が少し押してまいりましたので、コメントいただいたということで次へ進みたいと思います。
 関沢委員はいらっしゃいますか。
【関沢委員】  はい。ありがとうございます。私もちょっとコメントでございますけれども、今、人文学・社会学の振興に向けていろいろ検討が進んでいることを共有させていただきました。
 また、今日の地域中核・特色ある研究大学の提案内容を見ましても、人文系と自然科学系との文理融合的な提案もございますけれども、実際は、例えば、いろいろな審査で同じ土俵に乗せますと、なかなか文系が主となって提案するものというのはどうしても自然科学に負けちゃうところがありまして、そういったところを、でも、お互いニーズはあるはずなので、人文系・社会系、それがもうちょっと主張できるような、そういうふうになっていくといいなということを、いろいろな審査などをさせていただきますと思っているところでございます。
 以上です。
【大野分科会長】  コメントありがとうございました。
 それでは、続いて、安田委員いらっしゃいますか。
【安田委員】  はい、おります。ありがとうございます。
【大野分科会長】  お願いいたします。
【安田委員】  ありがとうございます。私も一番初めの話題に戻ってしまいますが、女性リーダーシップの話の予算について、これの具体的な方策についてもう少し詳しく知りたいと思いました。もう一点、地域中核に関してコメントがあります。私自身も結構長い間地方大学におりました。こうした政策は、非常にありがたいなと思うのと同時に、地方大学は大きく予算が削られて非常に大変な中で、そもそも研究を通じた教育が困難な事態に陥っています。特に学術誌の購読の契約ができなくなっております。こうなると、研究をする際の研究の位置づけを学ぶために学生が既往文献を調べて学ぶということがそもそもできなくなっています。当然教員などの研究者は研究計画を考えたり論文を書く上でも大きな支障となっています。研究を通じた教育という観点から少し地方大学にもお金が回るようになると良いと思っています。
 というのは、今回こういうふうな地域中核という文脈ではやっぱり地域の人材育成の場としての大学が非常に重要で、それには研究が不可欠であると思います。きちんと文献調査を自分で調べて情報の真偽を調べつつ研究に携わって教育された学生というのは、やっぱり科学技術の基礎というか、科学技術の重要性というものを非常に認識して、科学的な物の考え方を一応取り入れた状態で社会に排出できます。これは近年のフェイクニュースなどを見極める人材という意味でも社会にとって大切なことだと思います。
私自身が11年間宮崎大学で見ていた学生さんだけを一般化するのは難しいとはおもいますが、彼ら彼女らは非常に学問や研究に対してのモチベーションが高くて、社会をよくしたいという学生が地方大学にたくさんいます。一方で彼らの状況、特に奨学金などの大きな借金なくして学べない学生も多いという点で、地方大学の学生も大変な状況にある。小規模の地方大学でも日本の社会全体を考えたときには、研究を通じた教育の機会を与えることは大事であると思います。そしてそのために最低限の大学運営のための資金がいくというのは結構大事かなと思っています。
 
 すいません、長くなりました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 事務局お答えになりますか。
【坂下振興企画課長】  振興企画課長、坂下です。担当課が退席しておりますけれども、今いろいろ御指摘いただいた点、女性の政策、それから博士課程学生の支援、いずれも非常に重要な視点で、特に地方大学でモチベーション高く研究をして今後就職を考えていかれる方々の支援というのは大変重要な視点だと思っております。
 ほかの先生方からも、全体像が分かりづらいという御指摘も多々ございましたので、長期の大学の研究の支援、育成、発展に向けて、文部科学省が全体としてどういうふうに取り組んでいるのかというようなところが、それぞれの政策には重要性があってニーズもあるんですけれども、少しレイヤーごとに、あるいは分野ごとに、視点ごとに俯瞰して見られるような、そういった資料を御用意することも今後考えていきたいと思っております。
 本日はいろいろ御指摘ありがとうございました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 ちょっと時間が過ぎましたが、井野瀬委員、お待たせしました。どうぞよろしくお願いします。
【井野瀬委員】  先生、時間が過ぎてしまったので、私、国際卓越研究大学と審査ポイントとしての大学ガバナンス、それと大学改革との関係を聞きたかったのですが、時間が押しておりますので、先生、質問、大丈夫です。
【大野分科会長】  申し訳ありません。
【井野瀬委員】  いえいえ。御予定の先生あると思いますので。ありがとうございます、指名いただき。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 あと、私から最後にちょっとだけお話し申し上げます。今、安田委員から御発言があったジャーナルの問題に関しては、手元に資料がありますが、職員、大学院生、学部生を合わせて1万5,000人以上の大規模大学、35機関ありますが、そこは1万タイトル、海外のジャーナルが読めます。中規模、5,000人から1万5,000人になると、3,700タイトル。そして5,000人未満の小規模になると1,200タイトルとなります。すごく大きな差があって、これはもっと注目し、かつ是正されるべきであると思います。個別の大学の財力に頼るのではなく、国全体として取り組むべき課題だと思っています。
 これは私の今関わっている幾つかのことで、そういう認識が広がりつつあるということをお伝えしたいと思います。どうもありがとうございます。
 ということで、伸びてしまいました。また、私の司会の不手際で、それぞれの議題のところできちんと御発言を促せてなかったのは今後の反省点でございます。
 時間になりましたので、本日の議題はこれで終了させていただきます。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いします。
【名子学術企画室長】  大野先生、尾辻先生が手を挙げられていたそうです。
【大野分科会長】  それでは、尾辻委員、短めにお願いします。
【尾辻委員】  申し訳ありません、外側に出て。国際卓越研究大学、これは大学独自の取組が今後期待されるわけですけれども、総合大学として、人文学・社会科学、それから、医学、生物、理工学、全ての分野で特色を出すということはなかなか難しいところがあるということは重々承知しているんですが、そういった総合大学に課せられた知の創出をやはり考慮されて、特定の分野だけに偏ることがいいことか悪いことかも含めて、大学としてのガバナンス、それから、人材集約が要請されるんだろうという、問題意識を持った次第です。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、最後に事務局より連絡事項があればお願いします。
【髙田補佐】  先生方、どうもありがとうございました。次回の学術分科会の日程につきましては、日程調整の上、改めて御連絡させていただければと思います。
 また、本日の議事録につきましては、後日メールにてお送りいたしますので、御確認のほうよろしくお願いいたします。
 連絡事項、以上となります。
【大野分科会長】  ちょっと不手際で時間的に慌ただしくなってしまいまして申し訳ありません。
 いただいたコメントも含めて十分に考慮し、対応できるものは進めていっていただければと思います。
 それでは、これにて閉会といたします。今日はありがとうございました。
 
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