学術分科会(第88回) 議事録

1.日時

令和5年3月28日(火曜日)15時30分~16時30分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 分科会長及び分科会長代理の選出等について(非公開)
  2. 第 11 期学術分科会での議論について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
大野分科会長、勝委員、白波瀬委員、鷹野委員、観山委員、大橋委員、尾辻委員、小野委員、尾上委員、加藤委員、神谷委員、北本委員、木部委員、治部委員、城山委員、関沢委員、戸田山委員、中野委員、長谷川委員、松岡委員、水本委員、安田委員、山本委員、吉田委員

文部科学省

森研究振興局長、仙波振興企画課長、永田学術研究推進課長、大久保大学研究基盤整備課企画指導係長、河村学術企画室長、二瓶学術企画室室長補佐

5.議事録


 
・議事のはじめに委員の互選により、大野委員が分科会長に選任された。
・続いて大野分科会長により、梶原委員が分科会長代理に指名された。
(以上の議事録は、人事に係る案件のため非公開。)
 
 
【大野分科会長】  それでは、議事を進行してまいりたいと思います。
 まず、事務局から、人文学・社会科学特別委員会の設置について、河村室長から御説明をお願いいたします。
【河村学術企画室長】  学術企画室長の河村でございます。
 では、資料3、通し番号では6ページの資料に基づきまして、御説明をいたします。
 学術分科会における委員会の設置についてというところで、科学技術・学術審議会学術分科会運営規則第5条の規定に基づき、以下の委員会を設置していただければと思っております。委員会名としては、人文学・社会科学特別委員会というところで、調査事項につきましては、人文学・社会科学の学問的特性を踏まえた振興の在り方、人文学・社会科学におけるデータ基盤整備方策、その他人文学・社会科学の学術研究に関する事項ということで、前期、第11期にもありましたけれども、人文学・社会科学特別委員会につきまして、第12期におきましても設置のほうをお願いしたいと思っております。
 説明は以上となります。
【大野分科会長】  ありがとうございました。今の御説明にありましたように、人文学・社会科学特別委員会を今期も設けることとし、人文学・社会科学に関する審議をお願いしたいと思いますけれども、皆様、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
【大野分科会長】  ありがとうございました。委員会の委員、加えて主査も含めて分科会長が指名することになってございますので、委員会に御出席をお願いする委員各位には、それぞれ後日御相談をさせていただきます。御多忙中とは思いますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、11期の審議状況、そして12期の検討事項について、河村室長から説明をお願いします。
【河村学術企画室長】  資料4-1、通し番号7ページでございます。第11期科学技術・学術審議会学術分科会の各部会等における審議状況という資料でございます。
 本資料につきましては、前回の学術分科会で御説明をいたしました、学術分科会、研究環境基盤部会、研究費部会、人文学・社会科学特別委員会につきまして、11期の審議内容及び12期に向けての引き続き検討すべき論点、または今後の方向性等を記載したものでございます。
 前回御説明したということもございますので、今回説明は以上とさせていただきます。
 続きまして、資料4-2、通し番号は9ページになりますが、第11期学術分科会の御意見についての資料でございます。これまでの学術分科会におきまして、御意見をいただき、第12期に向けた御意見ということをいただいたものをまとめたものでございます。主に前回いただいた御意見をピックアップして、御説明をさせていただければと思います。
 学術全般に関する御意見の部分でございますが、上から1行目でございます。国際共著論文の執筆や国際共同作業がどれだけ実施できているかが重要であるといった御意見、また、枠の下から3つ目ですが、学術分科会での議論を産業界に発信することが重要であると、こういった御意見。下から2つ目の黒ポツです。国際的なグループ研究を行う仕組みづくり等を検討する際、国内の学会の在り方についても考えていく必要があるといった御意見、また、一番下の黒ポツでございます。学会は研究者が自発的に集まる場所であるので、その在り方について、学術分科会の場で何かを決めるということには抑制的であるべきと思う一方、現状、学会が学術研究の推進に関してどれほど力になっているのかも考えていかなくてはならない状況であると、こういった御意見をいただいたところでございます。
 2つ目、研究時間の確保の部分でございますが、一番上の黒ポツです。現状様々な競争的資金があるが、種類によっては調整のために時間が取られてしまい、実際の研究時間が減っているのではないか、こういった御意見がございました。
 次のページ、通し番号10ページをお願いいたします。
 研究人材の育成・確保の部分でございますが、下から2つ目、日本で人社系の修士号取得者が少ないのは、非常に大きな問題である。今後日本の人社系の修士課程進学者を増やすには、アカデミックな研究者養成のみならず、プロフェッショナル人材の養成も視野に入れる必要があるのではないかといった御意見、また、一番下でございますが、今後はアカデミアのキャリア一筋の人だけでなく、産業界や社会が求める若手研究者にも対象の幅を広げて、全体の活躍を促進するための議論を行う必要があるのではないか、こういった御意見をいただいたところでございます。
 続きまして、通し番号11ページでございます。研究環境全般の整備というところでございますが、下の黒ポツでございます。ジャーナルの購読に費用がかかると。研究成果をオープンアクセスに出そうとしても、費用が必要となってくる。そこを学術界としてどのように支えるかを検討することが重要であるといった御意見がございました。
 続きまして、研究活動の基盤的経費の確保というところでございますが、上から2つ目、基盤的経費と競争的資金のバランスが崩れているといった御意見がございました。また、上から3つ目でございます。研究費の助成について、自由で、裁量度の高い資金を投入することが重要ではないか。また、最後の黒ポツでございますが、論文投稿出版料を支援するという新しい枠組みの支援が必要ではないか、こういった御意見をいただいたところでございます。
 前回いただいた主な部分ということで御説明をいたしました。私からは説明は以上となります。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から御説明がありました内容も踏まえて、第12期の学術分科会において議論すべき事項や方向性について、皆様から御意見をいただきたいと思います。本日は初回でございますし、時間も限られておりますので、自己紹介を兼ねて、お一人1分を目安に皆様から御意見をいただきたいと思います。
 機械的ではありますけれども、まずは名簿順で、勝委員から御発言いただけますでしょうか。
【勝委員】  そうですか。特に発言の準備をしていなかったので、申し訳ございません。
 今、事務局から御紹介がありましたように、様々な論点というところ、特に重要な部分は、やはり2つあるのかなと思います。1つは、やはり博士人材といいますか、研究人材、その裾野をさらに広げていくということが非常に重要であって、先ほど御紹介いただいたところに、例えば人社系の修士が少ないとか、プロフェッショナルな学位、そういったものを増やしていくべきであるというような意見がありましたけれども、やはりこれは博士人材、研究人材というものが、社会的に幅広くニーズがあるということが大前提になっていなければならないわけで、この辺においては、やはり日本の企業や政府が、なかなかそういったプロフェッショナルな修士や人社系博士人材を採らない傾向にあるということを踏まえると、それをどのように変えていくかということも重要になりますし、あるいは、特に博士人材について、自然科学系の博士人材においても、やはりそういったポジションの拡充や報酬体系を見直すことなどが非常に重要になると思いますので、この辺もトータルで考えて、社会的にそういった人材を広く受け入れていく俎上をつくっていくということが非常に重要だと思います。
 もう1点としては、先ほども御紹介があったように、オープン・アクセスのオンラインジャーナルの件ですけれども、これ、やはりこの20年で非常に大きく構造変化しているというところを踏まえて、やはりファクトの部分をしっかりと整理して、それに対してどういった政策を行っていくかということ、これは費用に対しての助成ということもあるのかもしれないんですけれども、そういったことも含めて広く考えていくということが重要なのではないかと思います。
 以上、2点申し上げました。ありがとうございます。
【大野分科会長】  勝委員、突然指名いたしまして、申し訳ありません。ありがとうございました。
 4時過ぎに御退室との御連絡をいただいておりますので、次に大橋委員に御発言いただきたいと思います。大橋委員、いかがでしょうか。
【大橋委員】  大変申し訳ございません。途中で退席ということで、御指名くださってありがとうございます。
 今回初めて参加させていただきます、大橋と申します。専門は経済学と公共政策学が専門で、大学のほうで人文・社会科学組織連携担当ということで、副学長を任じられているところでございます。
 経済も人文・社会科学系の1つということで、人文・社会科学系も含めて、日本の学術研究のこれまでの蓄積というものをしっかり振興につなげていく必要があると思っています。11期の議論では、産業界に向けてということも議論されたと伺いましたけれども、他方で、東アジアにおける我が国の学術の蓄積というものを、しっかり海外に出していくべきじゃないかなというふうな思いも持っております。特に人文・社会科学系は非常に分野が多様でありますので、そうしたものをそれぞれの分野の本質を踏まえながら、しっかり国内外に打ち出していくということは、私は学術研究の多様性を今後もしっかり伸ばす上で重要じゃないかなと思っています。
 その他、11期で議論された、研究時間の質の確保も含めて、私どれも重要なテーマだと思っています。いろいろ勉強させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 続きまして、白波瀬委員、御発言いただけますでしょうか。
【白波瀬委員】  今期もどうかよろしくお願いします。
 重要な案件が引き続き残っているようにも思います。まず、博士人材、高度人材ということなんですけれども、やはりこれ、いつもずっと言っていることなんですが、やっぱり労働市場との関係というか、学術の中だけで議論していては、次の出口の政策とうまく連携していかないと、こればかりは進んでいかないと思いますので、その辺り、より積極的に出口戦略含めた形での議論が展開できるように、どうか今期については少しよろしくお願いしたいと思います。
 あと、大きく3つあります。2点目はネットワークの話です。これはコロナ禍で、ある特定の世代、年齢層においては、新しくネットワークをつくるという機会が全く失われました。この段階についてどういうふうにキャッチアップができるのか、これもやっぱりかなり政策的に展開をしていかないと、落ちこぼれる方がいるのではないかと思います。
 3点目は、一応社会学ということで人文・社会系、ただ、理系もかなり分野は広いんです。これはやっぱり人文・社会系もそうなんですけれども、やっぱり肝は評価のあたりがまた議論になるかなとは思っております。どうかよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 続きまして、鷹野委員、お願いいたします。
【鷹野委員】  鷹野でございます。今期から委員となりました。よろしくお願いいたします。
 私の専門は理論化学ですけれども、理系の博士人材の育成には従来から大変興味を持っておりました。今、博士課程の学生への支援、それから若手研究者、学位を持った方の企業での活躍、そういったものが広がりつつある。それは、国としてもそういった考え方を発信したりとか、いろいろな制度の枠組みをつくりつつあるというところで広がってきていると思うんですけれども、それをさらに発展させていく必要があるのではないかと考えております。
 それからもう1点、本日の第11期の御意見なども踏まえまして、思うのは、電子ジャーナルの問題です。電子ジャーナルの問題は個々の研究者では解決できませんし、そしてまた、各大学といった、個々の大学といった組織でも、解決できないような大きな問題になっていると思います。東北大学で新しい取組をされているということを、あるシンポジウムで伺いましたけれども、国として方策を考えて、日本の学術の発展がますます進みますよう、考えていく必要があるのではないかと思っております。
 本日のところは、以上2点発言させていただきます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、観山委員、お願いいたします。
【観山委員】  ちょっと遅れて申し訳ありませんでした。
 私が感ずるところは、1つは、私は共同利用研、共同利用機関におりましたので、今回の資料の中に共同利用・共同研究システム形成事業というのがありまして、お話を聞いたときには画期的と思いました。複数の研究機関が新たな仕組みをつくっていく、それには大学共同利用機関だとか、特色ある私立の共同機関だとか、そういうことも入れるということだったと思います。ただ、予算がなかなか厳しく査定されていて、特に私が思うのは、共同利用の仕組みだとか、大学共同利用機関の仕組みというのは、我が国の非常に特色ある仕組みであります。それぞれを大学に付置されていますけれども、それはその大学のためということもありますが、その分野の研究者のために、例えば東京大学や東北大学に設置されていても、コミュニティーのために当該の大学に付置された研究所という意味合いです。それが今研究拠点という認定システムになっているわけですが、それが非常にうまくコミュニティーを支えてきたわけです。ただ、問題は、新しい分野の取組というのがなかなか、コミュニティーを守るということは結構重要なんですけれども、新たなコミュニティーをつくっていくとか、学際領域をつくっていくということで、共同利用機関同士が連携した新しい方向性をつくっていくという仕組みはぜひ必要だと思いました。そういう中で、このシステム形成事業というのを文部科学省で考えられて、非常に良いことではないかと思っておりました。けれども、予算的に新しい仕組みとか、新しい設備、新しい研究費という配分には難しいレベルであります。査定が厳しかったということで、これもぜひ将来も考えていただいて、例えば文系の研究者と理系の研究所との連携だとか、そういうこともあり得るかと思うんです。共同利用研にはいろいろな共同利用を活発にするような事務的な仕組みもありますので、それをぜひ使っていただければ、また我が国も、非常に学際的な分野にも発展できるのではないかと思っております。
 それから、前から申しましたけれども、今までも話ありましたが、やっぱり研究者としても、博士課程の学生をいかに増やすかということはもう喫緊の問題です。お話で聞きますと、税制の改革によって、企業に随分博士課程の学生を採るとメリットがあるというようなことも考えられて良い試みと思いますが、以前も言いましたけれども、これはやっぱり経団連なり、そこら辺からぜひ努力目標みたいな形で企業に示していただきたいと思います。博士課程の学生をいかに企業に採っていったかというのを数値的に毎年毎年調べていただいて、どのように改善したのかということを、量の面でしっかりと把握していって、もちろん学術分野に行く博士課程の学生もいましょうが、やっぱり社会の中に入っていろいろな貢献をするという博士課程の学生も十分可能性がありますし、それが新たな企業におけるイノベーションとか、そういうものの活力になると思いますので、そこら辺は今後もずっと見続け、確認していきたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、尾辻委員、お願いいたします。
【尾辻委員】  東北大通研の尾辻でございます。今期もまたお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは2点ほど申し上げたいと思います。
 1つは前期の第11期の学術分科会からの、次期への申し送りと申しますか、1つに研究活動の基盤的経費の確保、いわゆるデュアルサポートシステムが健全性を失っているのではないか。劣化しているということでございまして、大学で苗床を育てるための学術基盤、これはもうやはり研究基盤経費、運営費交付金に頼らざるを得ないんですけれども、今、国立大学法人以降、効率化係数も非常に利きまして、学長をはじめ中心的なガバナンスの強化もあって、各研究室レベルでの研究経費というのがないという状況が、これは翻って、科学研究費補助金、科学研究費の事業自体への影響も大きいです。2つ目の点ですが、御承知のとおり、基盤Cの応募者のみがどんどん増加し、科研費の中で基盤研究Cが占める割合が増すと。そうなりますと、大型種目の特別推進、それから基盤研究S、そういったトップを伸ばす部分への支援ができなくなってきます。ここのところを、学術振興会のほうでも今問題視をしているところでございますが、やはり、文科省のこの学術分科会の中で、新しい、皆様が、国民も含めて納得ができる、次の提案を出していけるように知恵を絞って、いい方向性を、それがやがては次代を担う若手研究者のポストの確保、ポジションの確保、キャリアパスにもつながると思いますので、引き続きそういったところで尽力させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、小野委員、お願いいたします。
【小野委員】  初めまして。豊橋技術科学大学の小野です。今回より参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
 学術会議の若手アカデミーの監事もやっておりまして、今そちらのほうでは、2040年を見据えたビジョンというものを、分野、人文・社会科学から自然科学にまたがる幅広い分野の研究者、若手研究者とともに今検討しておりまして、そこでの議論もちょっと踏まえながら、少しコメントをさせていただきたいと思います。
 3つほどあるんですけれども、まず1つ目、基盤経費の話がこれまでも何度も出ていましたが、やはり若手の中では、いくら競争的資金を取っても、それをうまく使いこなすだけの体力がない、研究環境がなかなか整わないという実態がすごく指摘されておりまして、やっぱり競争的資金を使うためにも基盤的経費が非常に重要だというのは、非常に重要なポイントかなと考えております。
 それから研究人材というところで、アカデミアだけでなくて、民間や官へという話がありましたけれども、それ以外にも、いわゆる研究に力を入れる研究者もいれば、やはり教育にももっと力を注ぎたいという研究者もおりますし、実務を研究と両輪でやっていかなければならない分野もあるということで、そうした研究者の多様性というところをきちんと、何というんですか、評価できるような、なかなか本人の努力だけでは生き残れないような状況もありますので、そういった研究者の多様性、研究生産の多様性というところをきちんと、もうちょっと具体的に見えるような形で評価していくということが必要かなと思っています。
 最後にその評価の話で、若手アカデミーでも、昨年若手研究者の評価に関する全国調査をやったり、シンポジウムをさせていただいたんですけれども、やはり個人の評価と機関評価というのが様々な複雑な形で結びついていて、なかなか若手研究者としてはかなりしんどいというような思いが、アンケート結果からも、8,000名の方から御回答いただいたんですが、出ていまして、その学術の振興というのが論文の量的生産なのか何なのかというところから、少しきちんと整理して、機関評価、個人評価というところを少し見える化するということが必要なのかなと考えています。
 以上になります。これからよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、尾上委員、お願いいたします。
【尾上委員】  大阪大学の尾上でございます。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
 私からは研究人材の育成・確保、博士課程の学生、我々の分野でいうと情報系なんですけれども、産業界でも博士学位に対しての扱いが変わってきつつあるかなというのを実感しております。博士修了者を積極的に採っていくか、あるいは入社した後でも博士の取得を推奨するということがございます。これは国の施策がそういうところがあると思うので、そういうことに対するきっかけとして、大学として戦略を持った人材を育てていくことが必要だということと、さらに産業界と大学との間で人材の流動性の確保というところが非常にポイントかと思っております。そのような観点でいろいろ御議論させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】  筑波大学、加藤でございます。今回で2期目を務めさせていただきます。私、専門分野は情報工学分野で、特にソフトウエア、システムソフトウエアだとか、分散システムとかをやっているものでございます。2年前から、大学の本部のほうで総務人事・情報環境担当の副学長、理事を務めております。
 皆様も、何人もの方が御指摘ありましたけれども、人材育成に関して気になるのは、博士の人材育成、それからもう一つは、女性の比率です。女性研究者、あるいは、大学女性教員の比率が日本は少な過ぎるということがございまして、ちなみに私がやっている情報分野は、国際会議等に行くと非常に思うんですけれども、女性が日本はすごく少なくて、ギャップを感じるところです。これは大学というか、アカデミアだけでは解決しにくい問題で、恐らく社会のほうで、博士研究者とか、あるいは女性研究者とか、あるいは高度な専門教育を受けた女性を求めるということが広がっていかないと、需要と供給が両方そろわないとうまく回らないことで、日本はそれがうまく回らずに、欧米に引けを取っている状態じゃないかと思います。
 皆様最近お聞き及びかと思いますが、ChatGPTというのが出てきて、あれは生成系AIというものなんですけれども、あれは典型的に、学部レベルの人が作るのはちょっと無理で、まさに博士人材みたいな人で、若手バリバリ、研究論文をバンバン読んだり書いたりできるような人がいないと作れない、非常に高度なものです。ここ数か月で有名になって、ちょうど我々、10年に1回級の大きな岐路に立っているんじゃないかと思います。ああいう技術をつくり出すためには、博士レベルの人材、あるいは専門知識を持った人が社会に増えていかないと太刀打ちができないということがあります。そんなこともアピールしながら、社会にアピールしていきたいなと思っているところでございます。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。残り15分を切りまして、14名の皆様に御発言いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、神谷委員、お願いいたします。
【神谷委員】  神谷でございます。専門は経済学でございます。それで大学運営に関しましては、長く財務に関わっておりますので、財務的なところに非常に興味があるところでございます。
 何人かの先生がおっしゃいましたように、やはり基盤的経費の部分で、非常に大学運営が困難になっているというところがあります。その1つの理由は、法人化以来、係数を掛けて予算を減らすと。総額はあまり、ここしばらくは変わってはいないわけですが、基盤的な部分で細っていて、それによって運営が非常に困難になっているというのを非常に強く感じます。今東京大学に所属しておりますが、東京大学でも感じますし、しばらく前まで神戸大学にもいたんですが、やはりそこでも感じました。多くの大学で同じようなことを感じているところだと思います。ぜひ運営費交付金だけではなく、競争的資金なども含めた全資金を、どのように基盤的経費や、それ以外の競争的な資金に振り向けていくかと、これが非常に重要な問題になっていくのだろうと思っております。
 第2点として私が感じることは、これも多くの皆さんがおっしゃっていたことですが、人材育成についてでございます。特に私が感じるのは若手で、若手にとって研究者になることが魅力的であるような大学をつくっていかなくてはいけない。このための制度、いろいろ工夫してはいるわけですが、必ずしもまだまだ機能してないというところで、今後考えていかなければいけない課題かなと思っております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、北本委員、お願いいたします。
【北本委員】  今回から初めて参加いたします、ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センターの北本と申します。私のバックグラウンドは情報学ですけれども、情報学の立場から、人文学とのコラボレーションというのをずっと進めるような研究をしております。
 こういう背景から考えますと、どなたか言及されていましたけれども、チームサイエンスとかビッグサイエンスというようなところに焦点を合わせたいと思っているんですが、やはりこういったコラボレーションというところが、競争的資金というところで、競争、競争という方向と、多少違うベクトルを向かないと実現できないというようなところがあります。先ほど言及された ChatGTPなんかも、一個人研究室では到底無理な規模の研究をしなきゃいけないということで、ある程度コラボレーションしながら競争していかなきゃいけないという、そういうところのリソース配分というのがまだうまくできていないような感じがしています。時間も人材も足りないという中で、資金だけがあっても研究ができないというようなこともあるでしょうから、やはりリソース配分をどうするのかということが大事な課題になってきているのかなと思っています。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、木部委員、お願いいたします。
【木部委員】  人間文化研究機構の木部と申します。今期から参加いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は人間文化研究機構というところに所属しておりますので、やはり何といっても、この第11期の御意見にある人文・社会系の修士号取得者が少ないというのが気になっています。人文・社会系は、今、修士号だけではなくて、学部もかなり厳しい状況にあります。というのは、人文系の教員が非常に少なくなっているんです。これは理系も同じかもしれませんけれども、例えば歴史を担当する教員が、大学の1つの学部に1名、2名しかいないとか、そういう状況になっております。
 ただ、これは1つの大学で解決できる問題ではないので、次の問題なんですけれども、いかに大学同士や異分野がコラボレーションするか、同じ分野でもいいんですが。それから、産業界とネットワークを結ぶか。私は産業界、大学同士に加えて、日本の学会をもっと力強くしていかなきゃいけないと思っています。日本の学会を、世界で通用するような学会に、研究者は育てていかなきゃいけないと思っているわけです。自分自身も学会で育ってきたという経験がありますので。ただ、ここにもありますように、学会はそれぞれの独自性、独立性を持っていますので、国がどうとか、学術、この会議がどうかということは強制できませんけれども、そこをうまくネットワーク化する、それから情報交換するということで、学会とのコラボレーションを進めていくことが、いろいろなことの解決につながるんじゃないかと考えております。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、治部委員、お願いいたします。
【治部委員】  治部です。私も今日が初めてになります。今東工大のリベラルアーツ研究教育院、文系教養部門に所属しているんですけれども、私のバックグラウンドは多分今日いらしている皆さん方、研究者の方と違っていまして、ずっと長いこと会社員をやっていました。会社員で、日経新聞系の出版社で記者を20年ほどやって、その後大学院に行ったという、そういう経歴になります。
 実務家の観点からしましても、日本の大学、大学院がやっていることはすごく意義があると思いますし、私の周りにも、働いてしばらくしてから大学院に行って、とてもよかったという人がたくさんいるんです。ただ、残念ながら、こういう教育機関としての意義、また、科学技術といったような学術の研究の意義というものが、恐らく一般の人にはほとんどちゃんと知られていないというところをとても残念に思っております。これは先ほど尾辻委員がおっしゃっていたことともちょっと共通すると思うんですけれども、やはりきちんと皆さん研究続けられるような経済的基盤を確保するためには、税金を使うことが必要ですし、そのためには一般の国民の理解というものが必要なんですけれども、多くの場合、報道はノーベル賞ですとか、そういう分かりやすいものしかやらない。今、記者クラブの方がいたらぜひ書いていただきたいんですけれども、ですが、科学技術とか研究というのは、非常に地道な営みの中でたくさんの発見があると、そういうことですよね。
 ですので、ちょっと私この委員の中では、できればどうやって発信をきちんと的確にしていくかということについて、何かできることがあればと思っています。具体的には、やはり基盤になっているのが新聞、テレビ等々になりますし、ちょっと関連の仕事もしておりますので、そういったところとどのように連携していくか。また、今若い人はネットしかメディアを見ませんので、そういったところに的確に科学のことを伝えていくことをどうすればいいか。これを研究者にやらせるのは私はよくないと思いますので、きちんとやはりメディアと連携した形で、研究者に追加の負担をかけずにどういうふうにやっていくかということを、ぜひ一緒に考えていけたらなと思っています。
 ちょっと最後に明るいニュースを申し上げますと、先ほど加藤委員から、情報分野で女性がすごく少ないと。これ東工大も課題なので感じているんですけれども、昨日東京都で、東京都とフェィスブックがタイアップした、女子中高生向けの「IT分野に女性を増やしましょう」という企画があったんです。これ50人想定していたところに、700人以上応募があったそうです。ですので、上手に企画をすれば、その分野への関心を喚起するということはできると思いますので、メディアですとか、企業と組んだ形で裾野を広げていくということについて、ちょっと今後意見を述べさせていただきたいと思っております。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、城山委員、お願いいたします。
【城山委員】  東京大学の城山と申します。引き続きよろしくお願いいたします。私自身、バックグラウンドは政治学、行政学という分野なんですけれども、公共政策という分野を経済学系の方と御一緒させていただいたり、あるいは分野横断的なセンターの運営のようなことをやらせていただいています。
 そういう観点で申しますと、人材、研究人材の育成というのは極めて重要な問題でありますし、最終的には労働市場というか、外部要因も大きいんですけれども、他方、やっぱりその専門をやりつつ、自分のやっていることをきちっと大きな文脈で語れる能力をつけるということもすごく重要だなというのを、現場として実感しているところもあります。そういうことは、まさに御議論があったようなチームサイエンス的なことができるということにもつながるでしょうし、多分社会にとってどういう形で受け入れてもらうかというときにも、そういうことはすごく重要だなというのを感じています。
 もう一つは、やはり評価というのは大事だなと。特に人社系だと、必ずしも論文に限定されないものも含めてどう評価するのかだとか、また、あるいはこれは理系も含めて、それこそ総合知とかいえば共通でしょうけれども、やはり社会的インパクトみたいなものをどう評価するかという、詰めていくとなかなか難しいところはありますが、そういうこともきちっと取り組んでいくことが必要だなというふうに感じております。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、関沢委員、お願いいたします。
【関沢委員】  今年から初めて参加させていただきます、国立歴史民俗博物館の関沢と申します。専門は民俗学です。
 私は大学共同利用機関におりまして、やはり大学共同利用機関として、研究者の若手の人材育成とか、あるいは研究ネットワークづくりなどに、どういう形でやって学術に貢献できるのか、そのようなことを考えながら勉強させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、戸田山委員、お願いいたします。
【戸田山委員】  戸田山です。引き続きよろしくお願いいたします。名古屋大学にいるのは今週いっぱいになりまして、来週から大学改革支援・学位授与機構のほうに移ります。皆さんお嫌いな大学評価の仕事をするわけですけれども、大学の評価という観点から、今後は発言させていただけるのではないかなと思います。
 この間、そうですね、ちょっと面白いなと思ったのは、イギリスで行っているソーシャルインパクトの評価です。イギリスでREF、Research Excellence Frameworkというのがあって、これは2014年から始まっているんですけれども、国立大学の予算配分を決めるための研究評価の枠組みですが、世界で初めてソーシャルインパクト、インパクト評価を指標に採用しています、研究のアカデミックなアウトプットの指数の評価ももちろんするんですけれども、それに併せて、研究の社会、経済、文化に対するインパクトを評価するという枠組み、学術を超えたというふうに定義されているところが大事です。この評価の仕方がとてもよくできているんじゃないかなと思うんです。ケーススタディーを提出して、そのケーススタディーというのは、何というか、ちょっとこう、単なる数字ではなくて、研究者がどのように実際の社会と関わって、自分が見いだした知見を社会のポジティブな変化につなげていったかというような経緯を、何というんですか、ヒストリーみたいな形で書いていくと。もちろんエビデンスを加えるんですけれども、そんなような、人文系に限らないですが、人文系、理系のインパクトをどうやってはかっていくのかということの、1つのモデルになるのではないかなと思います。こういうのをちょっと勉強していったらいいのではないかなと思っております。
 以上です。どうもありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 あと終了時間まで1分になってしまいましたが、7名の委員の皆様に御発言いただきたいと思います。短めに、ぜひお願いしたいと思います。今度名簿順で御発言いただくときには、逆順で必ずコンペンセイトさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  核物理研究センターの中野です。引き続きよろしくお願いいたします。
 研究力の強化のためには、個別の取組だけでは改善難しくなってきていると感じます。既に尾辻委員、小野委員、神谷委員からも御指摘あったところですが、基盤的経費と競争的資金のバランスの改善、健全なデュアルサポート体制の確立は、非常に重要だと私も思います。
 また、研究力強化のためには、それを支える人材の育成が重要ですが、優秀な若手が安心して研究の世界に飛び込めるようにするには、博士人材のキャリアパスの多様化や充実が非常に大切で、その点でも、アカデミアと産業界との連携強化も重要だと思っております。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 続きまして、長谷川委員、お願いいたします。
【長谷川委員】  青山学院大学の長谷川です。専門は化学で、レアアースを扱っております。
 私の今回の、第11期学術分科会の御意見というのをまとめていただいた中で思ったことは3点で、やはり産業界、学生が出ていった後の出口ですね。そことの連携のためにも、基盤的な研究というものを産業界とも連携していく、あるいは共有していくということは大事で、その中で修士、あるいは博士の人材というものがどれだけ重要かということも、改めて皆様と考えていきたいかと思いました。
 また、レアアースを使っているものですから、どうしても国際的な経済動向というのが価格にも反映されたりとか、競争している素材という意味では、また今後、広い意味、学術で考えるべきかなと思っております。
 以上です。よろしくお願いします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 続きまして、松岡委員、お願いいたします。
【松岡委員】  松岡です。京都大学におります。私、専門は自然界の磁場を測って、宇宙で起きている物理現象、そういうものを研究しております。
 この11期の意見、非常に大切なことがたくさんあったんですけれども、ちょっとその中で、あまりこれまで意見が出ていない研究時間の確保、これについてちょっと申し上げたいと思います。
 どうしたら研究時間が確保できるのか、一番いいのは人員が増える、研究者、教員の数が増える、そういうことがあればいいんですけれども、なかなかちょっとそれが難しい今、これがどうして時間が足りなくなっているのか、研究する時間が足りなくなっているかということを考えますと、私たち、学生をきめ細かく指導しようとすれば、それで時間が取られる。良い講義をしようとして準備に時間をかけてしまう、かければ時間が取られる。基盤的経費が足りないというお話ありましたけれども、外部資金の公募があれば、それの応募するための書類を書かなきゃいけないとか、その審査も私たちがやっているわけです。また、大きな研究活動があれば、それが正しく運営されているかというようなことの審査を受けますから、その審査の書類を書かなきゃいけないとか、審査をするほうに回らなければいけない。でも考えますと、こういうことというのは、全て研究を、よい研究をするために私たち本来はやっているはずなのに、何かそれが回り回って、結果的に研究力が落ちているという、何かこう、非常に矛盾した感じになっていると思います。意味のないことで忙しくなっているのであれば、もうそれはやめたほうがいいんですけれども、私たち、よい研究を日本としてやっていくためのやっていることで、研究時間が足りなくなっている。何かちょっとそういう、非常にどうしたらいいのか分からない状態になっているということで、もしかすると、今ではタブーと考えられているようなことも考えていく、結構大なたを振るうことが必要なのではないかというような気がしております。既にいる私たち研究者が生き生きと楽しく研究するという、そういう姿勢を見せることが、優秀な若い研究者を呼び込むことになると思いますので、この研究時間の確保についても、よく議論していけたらなと思っております。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、水本委員、お願いいたします。
【水本委員】  水本です。今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は今学術振興会に勤めておりますけれども、もともとは大学で電気電子工学分野の研究をやっておりました。それから、大学の後半では、10年ほど教育担当の副学長や理事・副学長といった職を務めてまいりました。この観点から、2点だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 まず1つは、既にいろいろな先生方おっしゃっていますけれども、基盤的な研究経費と、それから競争的研究経費のバランス、特に尾辻先生からおっしゃられました科研費のC、基盤Cですね。このところにすごく集中しているというのは、これがある意味基盤的な研究経費の一部とみなされつつあると。これ少しやっぱり問題で、国全体としてバランスをどういうふうなところに置くのかということを考えて、国全体で解決すべき問題かなと思います。
 それからもう一つは博士人材の育成。大学ではいろいろな仕組みで、非常に能力のある学生を博士人材として世の中に送り出していると思いますが、世の中が実はこれをうまく使いこなしていないんじゃないか。能力のある人は、ありていに言うと、それなりに見合った処遇でちゃんと処してほしい。それから、もっと活躍する場、例えば行政機関ですとか、国際的ないろいろな機関、こういったところにも博士人材がどんどん行けるような、そういうパスをつくってあげることが必要じゃないかなと、こんなことを考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、安田委員、お願いいたします。
【安田委員】  こんにちは。東京大学の安田です。私も小野委員と一緒で、学術会議のほうの若手アカデミーで副代表をやっております。先ほど小野さんからちょっと紹介があったと思うんですけれども、若手のほうで将来を見据えての提言書を今ちょうどまとめているところで、今話題になったことをかなり議論してきたような経緯です。
 私は東京大学に来る前は宮崎大学に10年いたんですけれども、もうそのときに地方大学の衰退が著しく進んでいて、いやもう人材とか、研究者もいっぱいいるんですが、何か研究者が研究をできなくて、生かし切れていない状況というのを見ています。あと一方で、私も子持ちなんですけれども、女性研究者、若手の女性研究者がやっぱり不安定な雇用で、子供がいて詰んでしまうという状況をどこの学会でも相談されて、みんな悲痛な叫びを上げているということで、ちょっと多様性を確保するためには、やっぱりある程度の安定的なポジションが必要だなということと、あと、やっぱり基盤経費というか、お金の面でもそうですし、過度な競争と評価はやっぱりちょっと、よりよくするために今まで積み重ねられてきたものが逆にがんじがらめになって、本質的に必要な研究時間とかを奪ってしまっているというところが問題だなと思っております。
 あと、ちょっとこれは話がそれてしまうかもしれないですけれども、研究費ってもともと税金が一番重要だと思うんですが、何かもうちょっと日本でも企業からの寄附がより多くなるように、税制のメリットを増やしたりだとか、あと研究費そのものはかなり民間に還元されるものですので、特に試薬会社とか、日本の研究に関係する試薬会社とか、研究に関連するような企業さんとかに、なるべくより使って活性化させることで、もうちょっと何かこう、日本が経済的に落ちている中でも、何か好循環を生み出せるような方法とか、今までになかった方法とかも考えていけないかなというところを考えているところです。
 以上です。すみません、長くなりました。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】  山本でございます。引き続きお世話になります。今は東京大学にいますが、4月から総研大に移ります。
 私からは1点、日本は賃金がずっと上がらないというのは問題になっていますけれども、同じことが科研費にも当てはまります。ここ20年近く、科研費の上限額は変わっていません。それに対して、物価や様々な経費は上がっています。そういうことを踏まえて、そろそろ、運営費交付金のこともあるんですけれども、それプラス、科研費も危機に瀕しているという理解で、本当に支援の在り方を抜本的に考え始める機会かと思っております。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、最後に吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  岐阜大学の吉田でございます。私も今回から委員に入れていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の背景は消化器外科医でございます。特にがんの外科、腫瘍外科医でございます。昨年1年は、大野先生とは研究力強化委員会で一緒にさせていただきました。その背景の中から、3つほど意見を言わせていただきます。
 1つは、博士課程の学生の支援はいいんですけれども、やはり修士課程、これを入り口のところもしっかり支援する必要があるのではないかというのが1点。2点目は、研究者として、MD、メディカルドクター、医師ですね。医学部を卒業した人たちが基礎研究に行くチャンスが、非常に少なくなっているというのを非常に危惧します。特に働き方改革、地域医療、それから専門医制度、そういうバランスの中で、なかなか博士課程に行く機会が少なくなっているのが大きな課題ではないかと思います。3つ目は、地域中核大学での研究者の育成、これは、御存知のように、国際卓越大学と地域中核大学になるんですけれども、国際卓越で条件のいいことになりますと、そちらへの流出ということも危惧されます。いかに地域中核大学で優秀な研究者を育成するというのも課題ではないかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上になります。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。司会の大変不手際で、10分ほどオーバーしてしまいました。本日の御意見を踏まえて、今後審議を進めていきたいと思います。
 それでは、これにて本日の議題は終了させていただきます。
 最後に事務局から、連絡事項があればお願いいたします。
【二瓶学術企画室室長補佐】  本日は長時間お時間をいただきまして、ありがとうございました。
 次回の学術分科会の日程等につきましては、後日改めて御連絡をさせていただきます。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成、公表することとなっております。一部非公表となりますが、本日の議事録(案)につきましては後日メールで送付いたしますので、御確認をお願いいたします。
 以上でございます。
【大野分科会長】  皆様の大変活発な御議論、御発言と、熱意、そして危機感を感じた次第でございます。これから、この学術分科会の議論、ぜひよろしくお願いいたします。
 これにて閉会をいたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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