学術分科会(第87回) 議事録

1.日時

令和5年2月9日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 最近の科学技術・学術の動向について
  2. 各部会等の報告事項
  3. 各部会等の審議状況について
  4. 今後の学術研究の推進について

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
大野分科会長、須藤分科会長代理、勝委員、梶原委員、長谷山委員、観山委員、井関委員、尾辻委員、神谷委員、岸村委員、小林委員、新福委員、武内委員、長谷部委員、原田委員、松岡委員、山本佳世子委員、山本智委員
(科学官)
松方科学官、森口科学官、磯科学官、松田科学官、野崎科学官、渡慶次科学官、黒橋科学官、北川科学官、上川内科学官、藤森科学官、外田科学官、長壁科学官、深川科学官
(オブザーバー)
後藤国立歴史民俗博物館准教授

文部科学省

森研究振興局長、木村大臣官房審議官(研究振興局担当)、仙波振興企画課長、黒沼大学研究基盤整備課長、永田学術研究推進課長、齊藤産業連携・地域振興課 拠点形成・地域振興室長補佐、對崎人材政策課長補佐、河村学術企画室長、二瓶学術企画室室長補佐

5.議事録


 
【大野分科会長】  それでは、皆様おそろいになったということですので、ただいまより第87回科学技術・学術審議会の学術分科会を開催いたします。本日が、第11期の学術分科会の最終回となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず本分科会の開催に当たり、出席状況あるいは注意事項等を事務局からお願いいたします。
【二瓶学術企画室室長補佐】  本日もオンラインでの開催となりますので、事前にお送りしておりますマニュアルに記載のとおり、御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、指名を受けましたらマイクをオンにし、お名前を言っていただいた上で、ゆっくり御発言いただければと思います。
 なお、分科会長以外の委員の皆様におきましては、御発言されるとき以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 機材の不具合等ございましたら、マニュアルに記載の事務局連絡先に御連絡ください。
 また、本日の委員の御出席状況について御報告いたします。本日は、小長谷委員、白波瀬委員、仲委員、福田委員、井野瀬委員、尾上委員、加藤委員、城山委員、戸田山委員、中野委員、中山委員が御欠席でございます。29名中、18名の御出席をいただいております。定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 また、本日はオブザーバーといたしまして、人間文化研究機構国立歴史民俗博物館の後藤准教授にも御出席いただいております。
 なお、本日の会議は傍聴者を登録の上、公開としております。
 以上でございます。
【大野分科会長】  改めて、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、まず配付資料の確認をお願いいたします。
【二瓶学術企画室室長補佐】  本日の資料は、委員の皆様へ事前に電子媒体にてお送りさせていただいております。
 本日の主な議題に係る資料に関しましては、議事次第のとおり資料1から資料5及び参考資料としてお配りしております。資料等、不足がございましたら、事務局まで御連絡願います。
 資料の確認は以上でございます。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は議事次第のとおりでございますので、まず議題(1)最近の科学技術・学術の動向について、御報告いただきたいと思います。なお、御報告の後、質疑応答の時間を確保したいと思います。
 それでは、まず最近の科学技術・学術の動向について、仙波振興企画課長より御報告をお願いいたします。
【仙波振興企画課長】  振興企画課長の仙波でございます。資料1に基づいて、簡単に説明させていただきます。
 1ページ目を御覧ください。こちらの資料、令和5年度の国全体の一般会計予算の状況でございます。左側が歳出でございまして、左側の円グラフの下のところになりますが、文教及び科学振興費という形で、国の予算の4.7%が文教及び科学振興というふうな形に割り振られてございます。これは他省庁も含めてでございます。
 2ページ目を御覧ください。文教関係費が4兆、こちらのほうが99%文部科学省でございますけれども、50億ぐらい他省庁があるというふうな形になってございます。
 それから、科学技術振興費、さっきの科学振興と書かれていた部分ですが、こちらの科振費と言われる科学技術振興費が1兆3,900億、こちらの5,000億ぐらいが内閣府、経済産業省等の他省庁になってございます。
 3ページ目を御覧ください。先ほどの科振費の中で約6割強を占める文部科学省の科学技術予算を、こちらのほうでピックアップして御説明させていただいてございます。柱として、この全体9,780億円あるものを4つの柱でまとめてございます。
 1つが、科学研究費助成事業、科研費というふうなものを含む研究力向上の予算、2つ目の柱が、その左側の下のほうにありますように、イノベーション創出と基盤の強化というふうな形の予算、右側に参りまして、量子・AI等の重点分野の研究開発を推進する予算、それから、右側の下のほうにある課題解決型の研究開発を進める予算というふうな形で、令和5年度に関しても頑張って予算を確保させていただいておりますが、この表の中で隅付き括弧で書かれている部分が、令和4年度の2次補正予算で確保した予算でございまして、こちらと合わせて大幅な拡充をさせていただいているというのが現状でございます。
 内容についてちょっと触れさせていただきます。4ページのほうは、先ほどの1つ目の柱、研究力向上をまとめた紙になってございます。こちらのほうでもちょっと字が小さいような形になっておりますので、この後ろに7枚のポンチをつけさせていただいてございまして、それぞれについて触れてございますので、5ページ目を御覧ください。
 科研費でございます。こちらのほうは令和5年度予算としては2,376億という形で、前年度同額の予算を確保しておりますが、令和4年度の2次補正予算で156億円を追加して措置してございます。合わせて大幅な拡充をさせていただいているというところでございます。
 内容といたしましては、下の令和4年度2次補正予算及び令和5年度予算の骨子という枠囲いの中の左側に書かれていますように、1つが、国際先導研究の拡充を含む国際共同研究の強化という部分でございます。こちら、2次補正予算で110億の予算措置をさせていただいておりますが、それを含めて、研究活動の国際化を図っているという形になってございます。
 もう一つが、2ポツ、アカデミアへのキャリアパスを支える切れ目ない支援の強化ということで、こちら、補正予算で特別研究員の基金化を含めて、46億の予算を確保させていただいてございます。そういった形で、科研費を着実に実施させていただいておるところでございます。
 6ページ目は、創発的研究支援事業でございます。こちらのほうも補正予算で553億という形で、これ、前回まで250件程度ずつ3回にわたって募集させていただいた750件程度と、ほぼ同程度の規模の募集ができるという形の基金を積み増しさせていただいておるような形になってございます。現在公募回数は調整中でございますが、そういった形で、同程度の支援が継続できる見込みが立ったところでございます。
 7ページ目を御覧ください。こちらはJSTの戦略的創造研究推進事業でございまして、こちらのほうも、令和5年度予算のポイントの下のところで、ちょっと小さいような形になってございますけれども、これ、すだれ予算でございますので、終了分も含めて、新しい領域が立つことが継続的にできるようになってございますが、その領域数を昨年度よりも増やさせていただいて、CRESTで言えば1領域から4領域、さきがけでは5領域、ERATOで4課題、ACT-Xで2領域という形の予算を確保し、全体として約9億増の予算が予算案として措置されてございます。
 8ページ目を御覧ください。こちらは地域中核・特色ある大研究大学の振興という形で、2次補正予算で2,000億、1,500億の基金プラス500億の補正予算という形で措置していただいたものになってございます。
 内訳は、下の事業内容の黄色の部分が1,500億の基金、これをJSPSに基金計上させていただいて、大学を支援する形、最大25件で、申請ごとに複数大学連携していただきながら、5年間、5億円程度の補助金を支援させていただくという形になっております。それに併せて、下の502億の補正予算、こちら、文科省のほうに施設整備費として計上されておりますが、同じく25件程度を平均20億円程度の支援という形で準備させていただいた予算になってございます。
 それから、9ページ、こちらはWPIの予算でございまして、これもちょうど左側の真ん中あたりになるんですが、令和5年度予算額(案)のポイントというところに書かせていただいておりますが、WPI CORE(伴走成長方式)として、令和5年度に2拠点の新規予算を認めていただいてございます。こちら、現行のWPIの7割程度の要求要件で立ち上げていただいて、ステージゲートを踏まえて段階的に拠点形成を進めていただくといった、皆さんからいろんな形でWPIのハードルが高いというふうなことに対しての、一つの我々の準備した回答でございます。そういった形の拡充をさせていただいてございます。
 10ページが、共同利用・共同研究システム形成事業という形で、こちらも4億円の増額という形で、「学際領域展開ハブ形成プログラム」というものを開始し、分野・組織を超えた研究ネットワークの構築を図っていただくという形で、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点を中核としたネットワークを組んでいただくのに5,000万、ステージゲートを設定しながらですが、10年間の支援ができるような形にしていきたいという形の予算を準備させていただきました。
 11ページは、学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトの推進でございまして、こちらも着実に確保させていただいてございますが、青の2つ、ハイパーカミオカンデ計画の推進を、令和9年度からの観測を目指して拡充させていただくとともに、ヒューマングライコームプログラムという形の新たな取組に取り組ませていただくという形で、全体として3億増という形の予算になってございます。
 12ページは、人材の話になってございます。博士後期課程学生の処遇向上と研究環境確保という形で、約2億強、2.3億ぐらいの増額をするとともに、下のほうのスーパーサイエンスハイスクールのコーディネーターの配置だとか、国際科学技術コンテストの数学・物理の日本開催などの増額を含めて措置をさせていただいておるところでございますが、13ページのほうに、博士後期課程学生のフェローシップ等の取組が書かれてございます。一応令和4年度よりも約1,000人増の予算が確保されたところでございます。
 14ページは、国際頭脳循環と国際共同研究の推進という形で、この図では、上の側がトップダウン、下のほうがボトムアップで、ボトムアップのほうは、科研費のところでも少し触れさせていただきました国際先導研究110億のことでございます。
 上のほうは、これまで取り組まれてきたSATREPS、SICORPに加えて、補正予算で先端国際共同研究推進事業という形で、JSTに440億、AMEDに61億の基金が新しく積まれてございます。
 内容については、15ページにJSTの事業を紹介させていただいてございますけれども、基本的には、Joint-Call方式で、これまで予算規模の小ささというのが問題になってきたところもあるので、1年間1億円で5年間の支援という形の大型の共同研究を行える制度を準備させていただいたところでございます。
 予算についてのポイントは、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 補正も含めると、科学技術関係に非常に大きな投資がされることになったということかと思います。
 いかがでしょうか。御発言あるいは御質問いただければと思います。
 それでは、観山委員、お願いいたします。
【観山委員】  どうもありがとうございます。
 大変努力していただいて、非常にありがたいことだと思っておりますが、1点お聞きしたいのは、今の13ページの博士後期課程の処遇向上と研究環境確保というところで、大学院生、特に博士課程の学生をいろんな分野で増やすということが非常に重要だと思いますが。丸1は具体的に書かれているのですが、丸2の博士人材のキャリアパス整備という点ですけれども、これ、やっぱり博士後期課程の間の経済的支援というのも非常に重要ですが、その先のキャリアパスがどのように開けているのかということが、博士課程に修士から進むというモチベーションにもなろうかと思うんですけれども、これは具体的にどのような活動と、どれぐらいの資金を割り当てられたのか。書いてあるのか分かりませんけれども、よく分からなかったので質問したいと思います。
【大野分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【對崎人材政策課課長補佐】  文部科学省人材政策課で本件事業を担当しております課長補佐の對崎と申します。御質問いただきありがとうございます。
 こちら、先生がおっしゃるように、キャリアパス整備、アカデミアに限らず、産業界も含めて、どういうところで活躍できるかというのを、学生にいろいろ体験をしながらやっていくのも重要だと思っていまして、例えば、産学共同で、大学院の研究活動の中に企業が入ってきて、学生の研究力を向上させて、さらに産業界へのキャリアパスの道を見せるとか、あるいは、大学と産業界でコンソーシアムみたいなものをつくって、複数大学、複数企業等を含めて、そういうコンソーシアムの中で、例えば、学生が企業に向けて自分の研究内容をプレゼンして、企業の人からコメントをもらって、こういう仕事の仕方もある、こういう研究が世の中につながっていくんだというところを体験させたり、基本的には、学生により異分野というか、自分のやっている研究のコア以外の部分の広がりをどう見せるかというところで、具体的には、申し上げたプログラムとかインターンシップとかということに各大学で取り組んでいただいております。
 予算の規模感としましては、基本的には2つの事業を合体させて並行して行っているものですけれども、一学生当たりで70万ぐらいの年間の単位を最大限として、一人当たり支援できるように、これは実際大学に配分しているものですので、一人当たりは年間70万ぐらい使えるような上限値で配分しているというところでございます。
【観山委員】  ありがとうございます。
 非常に大切なキャリアパス等をいかに広げるかというのは重要なことでございますので、ぜひぜひ御支援いただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【對崎人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、長谷山委員、お願いいたします。
【長谷山委員】  ありがとうございます。
 これは感想、要望ということになりますけれども、通し番号1の予算の歳入・歳出のところを見ていて、感じたことです。この左側の歳出を見て、やっぱり防衛関係費のほうが文教及び科学振興よりもパーセンテージが多くなっていると。ここで防衛関係費の多寡を論ずる気は毛頭ありませんし、文武両道という言葉もありますけれども、やはり日本は憲法にも定めているとおり、平和国家、文化国家を目指していますので、それを支えていく人材育成とか研究、そうしたものに割く予算をできるだけ増やしてほしいところです。具体的な予算ということになれば、文部科学省の皆さんが努力してくだすって相当に取れているというところには感謝いたしますけれども、ちょっとこの表を見て、感想を申し述べました。これが1つ。
 それから、8ページ、今話題になっている地域中核・特色ある研究大学の振興、これは別の議題、別の会議で申し上げるべきことかもしれませんが、一連のいろいろなところで伺っていて、少し感じたことがあります。それは、この上のほうに点線で囲った附帯決議がありますね。そこにははっきりと、この地域中核・特色ある研究大学というのは、卓越研究大学とは違って、地域に貢献する地方大学への支援に配慮する、そのために地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを構想するとなっていると思うんです。ところが、ここにあるように、具体的に地域中核、また特色ある研究大学、その事業はこういうものだと検討を進めてゆくにしたがって、だんだんと地方に根差し地方に貢献する地方大学を中心に支援していくというような表現が文章から薄れていくというか、消えていっているような、そういう印象を持っています。
 やはり、卓越研究大学が目指すところと、この地域中核・特色ある研究大学が目指すところは違うんだということを明確にしながら事業の内容をだんだんと固めていっていただきたいと思います。これは予算面でも、こういう説明のときとかも、十分に配慮し、意識して続けていただければなと思います。
 以上でございます。
【仙波振興企画課長】  大野先生、文部科学省のほうから答えさせていただいたほうがよろしいでしょうか。
【大野分科会長】  お願いします。
【仙波振興企画課長】  まず前者のほうは、すみません、我々も努力をして、科学技術振興に関わる予算を増やしていきたいというふうに努力していきたいと思います。叱咤激励ありがとうございました。
 後者のほうは、産地課。
【齊藤産業連携・地域振興課拠点形成・地域振興室室長補佐】  産業連携・地域振興課の地域中核の担当をやっています齊藤と申します。よろしくお願いします。
 先生のおっしゃるとおりでございまして、まさに附帯決議の話も踏まえて、地方の大学をどう支援していくかは非常に重要だと認識しております。
 そういった意味も込めまして、例えば、ポンチ絵の中での支援のスキームにも書いてありますが、まさに地域の経済社会、国内外の課題解決にちゃんと貢献していくような大学に関してもしっかり支援していこうということを記載させてもらっております。
 一方で、しっかりメッセージとして申請者等に伝えていきたいと思いますので、今後、意識して発信していきたいと思います。
 どうもありがとうございます。
【長谷山委員】  ありがとうございます。
 特に、通し番号4の資料がありますよね。ここに並んでいる中の右上に地域中核・特色ある研究大学の振興とあるんですけれども、この文章だけを見ると、やっぱり地域性とか地方大学ということは全く触れられていないんですよ。大学関係者は、色々な場で、色々な方からこの事業に関する説明を受けたり、ポンチ絵を見ていると、少しずつニュアンスが違うので大分混乱しているんですね。一体どうなっていくんだろうと。
 ですので、この事業について説明するときに、時々、場によって変わることのないように、文部科学省として統一的な見解といいますか、現状ではこういう案になっているということを明示していただきたいということをお願いしたいと思います。お願いでございます。
【大野分科会長】  どうぞよろしくお願いします。
 それでは、続きまして、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  ありがとうございます。
 いろいろ御努力いただいて、予算を確保していただき、対前年度を維持しつつも、補正予算で実質増やしていただいていることは感謝いたします。
 ただ、私、中国ではない別の国の、日本でいうところの旧科学技術庁の仕事もさせていただいていますので、一言申し上げますと、例えば、11ページのフロンティア促進事業になります。これも対前年度を増やしていただいたのは大変ありがたいのですが、日本が得意とする大型装置、これは日本が得意とするところで、東大宇宙線研とか、あるいは、KEKが世界最先端であったのですが、今、ほかの国が予算を増やす中で、最先端の地位というのが少し脅かされかねない状況です。
 具体的に言いますと、例えば、アルマは日米欧でやっていましたが、James Webb宇宙望遠鏡から日本は抜けています。欧米とカナダでやっています。約1兆円規模ですから、なかなか日本が入れなかったということになります。
 どうやってほかの国が、例えば私が関わっているアジアの国ですが、予算を増やしているかというと、やはり研究費のインフレ率を計算します。具体的には、分野別に人件費、備品、機器などのそれぞれの価格上昇を加重平均で測定いたします。ですから、一例を挙げますと、生理学はNIHが計算する、物理はほかが計算すると。
 具体的に言いますと、分野によっては、対前年比15%増というようなところで出てきます。つまり、トータル的には、研究インフレ率は一般の消費者物価指数よりも高くなっています。なので、どんどんほかの国が、ライバルとなるところが予算を増やしていっているという中で、やはり日本がそれについていかないと、なかなか知恵だけでは勝てなくなってきているというところが非常に厳しいところではあります。
 具体的な一例がJames Webb宇宙望遠鏡になります。あれはアルマを通して何とか参画はできるのかもしれませんが、ぜひそういうところを、財務当局はいろいろ厳しいと思うのですが、財務当局に対する要望をするときに、そういうやり方、私が関わっているアジアの国は、そういうやり方で財務当局と交渉していますが、ぜひそういう形で今後とも、その知恵では負けないので、お金で負けることがないように、ぜひよろしく御支援をお願いしたいと思います。
 これはお願いと要望でございます。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。文科省から。
【仙波振興企画課長】  そうですね。頑張りたいと思います。すみません。ありがとうございます。
【大野分科会長】  インフレは非常に重要なポイントですので、いろんな例を参考に、ぜひこれからも対応いただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、松岡委員、お願いいたします。
【松岡委員】  どうもありがとうございます。
 科学技術の予算の拡充に大変な努力をいただいているということを、まず感謝申し上げたいと思います。
 先ほど観山委員が御質問されました博士後期課程学生の処遇、14ページ、それについて、私もちょっと質問させていただきます。
 博士修了後、一般企業などに進む、そういうキャリアパス拡充を推進していただくということは大変良いことと思います。ただ、一方で、今、博士を終えた若手研究者が、アカデミア、大学であるとか国の研究所、そういうところに進むということがなかなかやりにくくなっているという現状があるのではないかと憂いております。分野によって状況は違うかもしれないんですけれども、そういうアカデミアに進んでもなかなか安定したポジションに就けない、そういうことが原因としてあって、それが日本の総合的な研究力にも影響しているのではないかというようなことを思います。
 ですので、大学や国の研究所の定員にも関わることで、今日御説明いただいた予算の話からはちょっと外れる部分もあるかと思うんですけれども、こういうアカデミアに優秀な若手研究者が進んでいただく、そういうことも大事であるということは、やはりいつも忘れないでいなければいけないということと、そういうアカデミアの優秀な若手研究者を増やすために、何か考えていることがあれば教えていただきたいと、そういうふうに思います。よろしくお願いします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【對崎人材政策課課長補佐】  人材政策課の對崎でございます。
 いろいろな観点があると思いますので、私から答えられる範囲というところでございますけれども。おっしゃるとおり、若手のその後のアカデミアでのキャリアパスというところのために、これまでも学術振興会のポスドク向けの支援でありましたり、国のほうでも様々なアカデミアの若手研究者向き支援というところは続けてきているところでございますけれども。
 先生おっしゃるとおり、若手が、最初はポスドクとかを幾つか繰り返す形かもしれませんが、将来的に安定的なポストで研究が進められるようにというところで、例えば、大学ではテニュアトラック制でありましたり、大学のマネジメントの中で、例えば、若手研究者の人件費に充てるためにというところであれば、その分、運営費交付金を重点的に配分するとか、様々な政策の中で若手研究者のポジションの確保と、将来につながる安定的なポストというところで取り組んでいるところかと思いますので、昨今そのような御指摘もいろいろなところからお受けするので、博士課程に進んでいただくという政策と同時に、その後のアカデミアでのキャリアパスというところも含めて、我々、人材政策課の所掌にとどまらないところではございますけれども、様々取組を引き続き進めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
【松岡委員】  お返事ありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  御説明、大変ありがとうございました。
 皆さん言っていらっしゃるとおり、科学技術予算、このように拡充しているというところは非常に歓迎すべきことだと思います。
 今御指摘のあった13ページの部分なんですけれども、やはり日本の場合、博士人材というもの、特にPhDを取った場合に、諸外国であれば、それだけ待遇が良くなるのに、日本の場合はなかなかそういった下地がないという中で、博士の後期課程の学生さんをたくさん出したことによって、それがなかなかキャリアパスにつながらないというのは従来からの問題でしたので、ここでその支援をしていくというのは非常にいいことだと思います。
 ただ、先ほど言われたように、博士人材のキャリアパス整備で、企業との連携を高める、共同研究等も含めてということなんですが、今後9,000人支援すると、これが単なるばらまきに終わらないように、やはりそれぞれの大学がしっかりとしたプログラムをつくって、企業との連携を、特に研究面での連携を高めていくというようなところをしっかり拡充していくということが必要であると思いますし、それから、やはりこれは期待で皆さん動くわけなので、国立大学であるとか、あるいは、政府系の研究機関で任期なしのポジションを増やしていくということ、特に博士課程の学生さんは皆さんアカデミア志向の研究者の方が多いわけですので、その辺もぜひ考えていかないと、研究者になりたいという裾野が縮小してしまうという懸念がございますので、この辺はぜひ考えていただければなと思います。
 それから、もう1点、質問なんですけれども、5ページのところで、科研費で、これは特に国際共同研究の強化、これは非常に重要だと思うんですけれども、従来のようなぽつぽつといった形での支援ではなくて、その研究者が世界に羽ばたいていくという、かなり動学的な意味での取組になっているというのは、非常に歓迎すべきことだと思います。その中で一番下にSPRINGとか、あるいは、ポスドクの博士課程の長期海外派遣、これは国際先導研究の要件になっているということなんですが、この辺、学振の特別研究員の方は、特に海外で研究するというのは非常に重要であると思うんですけれども、それ以外の学生さんたちのキャリアパスといいますか、海外での国際共同研究の強化について、ここの図だとよく分からなかったので、この国際先導研究につなげるような形での仕組みというのはどのようになっているのかというのを、簡単でいいので教えていただければと思います。
 以上2点でございます。
【大野分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【永田学術研究推進課長】  学術研究推進課長、永田でございます。
 御質問ありがとうございます。科研費の中では、国際共同研究を強化するという種目で、この国際先導研究というものを立ち上げてございますけれども、ここにありますとおり、ポスドクや博士課程学生を、参画要件として8割ぐらいをチーム構成に入れていただいて、その中でも若手を長期間、2~3年派遣するという仕組みになってございます。今までにない、科研費での国際共同研究の強化と併せて、人材育成も兼ねているといったものでございます。
 それに併せて、特別研究員の科研費の中でも、今回、抜本的見直しということでございまして、ポスドクも従来機関雇用になっておらず、非常に身分が不安定だったというところもございます。これを機関雇用として推進していくというものです。今回、令和5年度予算での取組ということで考えてございますので、これらの取組を通じながら、若手のキャリアパスということを科研費の中でも充実してまいりたいと思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【勝委員】  ありがとうございます。
【大野分科会長】  それでは、原田委員、お願いいたします。
【原田委員】  若手の研究環境、あるいは、処遇改善に御尽力いただきありがとうございます。今、永田課長からお話ありましたように、特別研究員が雇用関係を所属先と結ぶことで、例えば、社会保障の費用ですとか、住民税ですとか、そういった費用等の補助が得られるようになるといった非常に大きな改革をしていただいて、本当にありがたいと思っております。
 一方で、若手が手にすることのできるお給料、こちらもぜひとも増額の方向の活動をお願いします。
 というのも、私、海外のプロポーザルの審査等を通じて、欧米の若手研究者の雇用費のを日本円に換算すると、もう全く愕然とするぐらい、日本の特別研究員のお給料は安いんですね。特別研究員には世界最先端の研究成果を上げることを期待していることから、報酬面でそれに我々もやっぱり応えたいと思いますので、国際標準に照らして安い状況の改善をぜひともよろしくお願いいたします。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。いかがですか。
【永田学術研究推進課長】  原田先生、どうもありがとうございます。
 給与面でということになりますと、各機関での雇用になりますので、それぞれの機関での対応になろうかと思います。先ほど御説明しました令和5年度予算で今検討しております機関雇用に当たりましては、現在ポスドクですと36万2,000円、それぞれの機関での受ける金額の最低限とさせていただいており、それにプラスアルファして機関のほうで増額することは可能です。それぞれの機関に御理解いただきながら、私どもも一所懸命支援してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  今、原田委員がおっしゃられたように、国際比較をもとに予算を獲得していくということは極めて重要です。それぞれの機関の対応として元から強い機関だけが良い雇用条件を提供できるということでなく、是非、各機関に対する支援をよろしくお願いします。
 それでは、神谷委員、お願いいたします。
【神谷委員】  若手支援及び育成について、いろいろ御意見がありましたので、1つ付け加えさせていただきたいと思います。
 現在、若手の比率を国立大学の評価項目にしているところなのですけれども、やや問題があるのではないかと思いまして、もう少し違う策が取れるのではないかということで、少しお話しさせていただきます。
 国立大の若手比率を上げるということはどういうことになるかというと、私立を含めて大学に所属する研究者数というのは変わらないわけですから、国立の若手比率を上げれば、私立の若手比率が下がるということになります。もちろん企業にいる研究者もいますので、あまり正確な話ではないですが、アバウトにはそういうことになりまして、全体での若手比率が別に上がるわけではないということになりますし、さらに付け加えますと、若手比率を評価項目にいたしますと何が起こるかというと、若手も何年か経つと若手ではなくなりますから、何が起こるかというと、任期付きのポストで若手を雇って、それで、任期が終わったら別の若い方を雇うという、こういうことになります。
 勝先生がおっしゃったように、若手でなくても、40過ぎてもさらにテニュアで雇うということは、これは重要なことでございますので、そういうことも含めて、この若手比率ということについては、少し考えたほうがよいのではないかということは思います。
 要するに、これに関しましては、単なる支援だけではなくて、キャリアパス、特にテニュアを取って長らく勤める、こういうことも視野に入れて、かなり抜本的な対策を打つべきではないかと考えます。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。よろしいですか、事務局のほうから。
【仙波振興企画課長】  様々な意見あろうかと思いますので、いろいろな意見を参考にさせていただければと思っております。
【大野分科会長】  いずれにせよ、局をまたぎ、新たなエコシステムをつくっていかなければいけません。そういうデザインをどうやっていくのかということは極めて重要だと思います。ありがとうございます。
 尾辻委員、お願いします。
【尾辻委員】  尾辻でございます。ありがとうございます。
 御説明ありがとうございます。私のほうからは、国際共同研究の推進に関する14ページ、15ページのところで少し御意見申し上げたいと思います。
 今回、特に15ページで御紹介いただいております先端国際共同研究推進事業、こちらのほうに2次補正を合わせますと、45億円の予算計上がなされたというふうに見えます。それで、まず対前年度に比べて、これがどうなのかということが第1点。
 それから、15ページの上の囲みのところにも書いてございますけれども、米英独仏加等、水準の高い欧米先進諸国が日本を連携先として再評価するという大きなモーメンタムが働いていると。私自身も、非常にこれ実感として持っているところでございます。
 それで、何が申し上げたいかと申しますと、Joint-Call型の、相手方の国のファンディングエージェンシーとタイアップして、それぞれに研究資金支援が来る、本当の意味のバイラテラルの形の大型のこういった事業をぜひプロモートいただきたい。これが非常に重要だと私は強く認識しています。
 科研費、ボトムアップのほうでは、国際先導研究が単年度事業から持続可能な事業に発展的に展開していただいていることも大変ありがたく、うれしく思っているところですけれども、そこのJoint-Call型を取れないというところが、1つの大きな科研費制度のネックになっていると認識しています。そういう意味におきましても、トップダウン型の先端国際共同研究推進事業、いわゆるJoint-Call型の事業を、ぜひ我が国としては今まで以上に支援・推進していただきたいというのが私のお願いと申しますか、希望でございます。
 今後とも、ぜひよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。事務局いかがでしょうか。
【仙波振興企画課長】  ありがとうございます。
 多分、14ページの上のところで、トップダウンのほうを説明させていただいておるんですが、そちらのほうを見ていただければ、これまでSATREPS、SICORPで、20億かそのぐらいの規模で、足して30数億程度の規模で進めてきたところ、今回の補正で440億のJSTと61億のAMED、合わせて501億の基金が成立いたしました。これの事務経費が毎年1億ついておるような形になってございまして、その予算というふうな形ですので、規模的には、これまでの倍増以上というふうな形になるのではないかと思いますが。
【尾辻委員】  御指摘ありがとうございます。ちょっと桁を間違えていた可能性がありまして。1億は、どちらかというと事務運営のための経費ということで、その大本の予算は100億単位の規模でついたということを改めて理解いたしました。ありがとうございます。
【仙波振興企画課長】  ありがとうございます。
【大野分科会長】  それでは、次の議題に移らせていただきます。活発な御議論どうもありがとうございました。
 次の議題は、各部会等の報告ということでございます。
 まず研究費部会は、私、部会長でございますので、私から御報告させていただきます。
 今期の研究費部会において、取りまとめの審議をいたしました。
 今期は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため、今お話のありました国際的なネットワークが細ったという結果を生みましたので、それを強化していくための国際頭脳循環・国際共同研究の推進や挑戦的な研究に取り組む環境の構築などの現状・課題を踏まえた若手研究者支援の在り方について中心に議論してきたところです。
 もう既に予算に反映されておりますけれども、国際化については、研究者間の主体的なネットワークに基づくトップレベルの国際共同研究と、世界を舞台に戦う優秀な若手研究者育成を一体的に推進するという「国際先導研究」の新設、あるいは、科研費の全ての研究種目で国際性を積極的に評価する、そういう制度改善など、予算の充実も含めて議論を進めてきたところです。
 若手研究者におきましては、将来のアカデミアを牽引することが期待される日本学術振興会の特別研究員に対して、今、既にお話がありましたけれども、研究機関における雇用支援の議論を行って、それが実現したということでございます。
 そのほか、次期の部会でも引き続き検討すべき課題として、基盤研究の在り方、審査負担の軽減等による持続可能な審査システムの構築について議論いたしました。
 皆様のお手元の資料につけてございますけれども、審議まとめを取りまとめました。今後の科研費のさらなる改善・充実に向けて、学術研究をめぐる全体の動向も踏まえながら、研究活動の国際化、あるいは、若手研究者の育成、さらには、研究機関のマネジメント改革等に貢献する研究費の在り方に留意して、継続的な審議がこれからも行われることを、部会長としては期待したいと思います。
 これで報告を終わらせていただきます。すべての報告が終わりましてから、御発言の時間を取りたいと思います。
 続きまして、人文学・社会科学の研究成果のモニタリング指標について、河村学術企画室長から御説明をお願いします。
【河村学術企画室長】  資料3を御覧ください。人文学・社会科学の研究成果のモニタリング指標についての取りまとめということで御説明いたします。
 2ページを御覧ください。検討の経緯ですが、赤字の部分で、第6期科学技術イノベーション基本計画に人文学・社会科学に関連する指標について、2022年度までに検討を行い、2023年度以降モニタリングを実施するとされました。人文学・社会科学の多様性と特性などを踏まえ、研究評価指標ではなく、研究成果に関連するモニタリング指標について、人文学・社会科学特別委員会において検討を行ってまいりました。
 4ページを御覧ください。人文学・社会科学における研究成果の現状と課題について整理をしております。留意すべき多様性として、1つ目、論文や書籍など成果発表媒体が多様であること、2つ目、人文学・社会科学の一部の分野は、言語や地域に密接に関連した研究を行っており、当該言語で発表されることが多いため、発表言語が多様となること、3つ目、社会的な機能によるインパクトが多方面に多様な形で生じていることの3点が挙げられます。
 9ページを御覧ください。主要な成果発表媒体の特徴について整理をしております。
 国際ジャーナル論文については、経済学、心理学、経営学等の一部の分野においては主要な成果発表媒体の一つとなっており、書誌情報がデータベースとして整理されています。
 国内ジャーナル論文等については、主要な成果発表媒体の一つであり、例えば、J-STAGEでは、書誌情報が整理されております。
 プレプリントについては、人文学・社会科学においても一部の分野ではプレプリントサーバーへの投稿が行われており、昨年3月に運用開始となった「Jxiv(ジェイカイブ)」では、日本語と英語で投稿・公開が可能となっております。
 10ページを御覧ください。書籍については、主要な成果発表媒体の一つであり、例えば、大学図書館等で購入された書籍の書誌情報が登録されているCiNii Booksなどのデータベースがあります。ただ、学術書と一般書の区別や出版社の区分、名寄せ、データの網羅性に課題があります。
 14ページを御覧ください。海外の動向についてです。特に国際的研究コミュニティの動向として、研究評価に関するサンフランシスコ宣言や研究計量に関するライデン声明などにも配慮する必要があります。
 16ページを御覧ください。これらの状況を踏まえて、人文学・社会科学の研究成果のモニタリング指標について、まず目的としては、赤字の部分で、今回のモニタリングは、学術及び科学技術の観点から、我が国全体の人文学・社会科学の研究活動を可視化することを目的としており、その結果が研究力のトレンドやマクロの分析に活用されることで、我が国全体の人文学・社会科学のより一層の振興が図られることを目的とする。方針として、内閣府CSTIにおける検討で挙げられた研究力の柱に、人文学・社会科学の特性を踏まえた観点を加え、指標を設定することとしております。
 18ページを御覧ください。左の研究力の柱の部分で、真理の探究や新領域の開拓、新技術を創出する力に加え、人文学・社会科学の特性を踏まえ、自国の言語で実施できる研究力、研究活動の国際化の進展の観点の5つの柱で、アウトプットやアウトカム指標をイメージ図として示しております。
 19ページを御覧ください。モニタリング指標として具体的なまとめとなっております。成果発表媒体として、国際ジャーナル論文、国内ジャーナル論文等、プレプリント、書籍の4つを対象に、現状とモニタリングの方向性を示しております。
 国際ジャーナル論文は、経済学等の一部の分野の主要な成果発表媒体であることに留意しつつ、国・地域別の人文学・社会科学分野の総論文数をモニタリングしていく。分野別などより詳細な指標については、課題があるため引き続き検討していく。なお、後ほど御説明いたしますが、参考資料にSCOPUSを使ったモニタリングテストを掲載しております。
 国内ジャーナル論文等については、J-STAGEに掲載されている国内ジャーナル論文等を分野別に、総論文数や被引用数等をモニタリングしていく。
 プレプリントについては、その考え方にいまだ議論が続いており、慎重に検討していく。
 最後に、書籍については、CiNii Booksなどの既存の仕組みを活用した限定的なモニタリングを含め、引き続き手法を検討していくこととしております。
 また、これら指標を補完するため、他分野との連携、総合知の観点でNISTEPの総合的意識調査や、新領域を含む研究動向の観点で、NISTEPのサイエンスマップ調査なども参照することとしております。
 20ページを御覧ください。今後の課題をまとめております。
 書籍に関するデータの充実については、網羅性の観点で民間データベースの連携、図書館の書誌情報の引用情報などの充実による可視化などがあります。社会的インパクトについて、現時点では計量的モニタリングは困難ですが、研究成果としては重要なものであり、適切な捉え方について今後も検討を続ける必要があります。
 モニタリングの充実に向けた望まれるデータの測定について、他分野の研究者等との連携などは可視化されにくいですが、今後は論文や書籍の発表の際に、これら情報の登録を促すなどにより、モニタリング対象及び手法の充実が望まれます。また、被引用数とは異なる形で、研究成果物の影響度を指標化するオルトメトリクスなどの新たな手法も、将来的なモニタリング指標として検討することが望まれるとしております。
 21ページを御覧ください。国際性の向上に向け、国際ジャーナルへの投稿の促進や研究成果のデジタル化によるアクセスの向上、芸術分野においては独自の指標設定が必要としております。
 これら今後の課題の検討を進めつつ、モニタリングできるものを着実に実施していくことで、新たな知見も生まれると期待されます。引き続き、人文学・社会科学の研究成果の可視化及び一層の振興を図ってまいります。
 ここで参考資料を御紹介いたします。22ページを御覧ください。ページの下にも記載しておりますが、自然科学研究機構の小泉先生と本日御出席いただいております後藤先生を含めた共同研究として、SCOPUSを使った日本の人文学・社会科学分野の研究成果の国際ジャーナルモニタリングテストです。目視による精査を経て、1万1,400種を対象とし、英語圏のアメリカ、イギリス、非英語圏のドイツ、フランス、ロシア、アジアの日本、中国、韓国、台湾を比較したものとなっております。
 23ページを御覧ください。1966年以降、アメリカ、次いで中国、イギリスが、人文学・社会科学分野の論文数は増加が顕著です。
 24ページを御覧ください。総論文数が1万以下を拡大したものとなっております。いずれの国・地域も増加傾向にありますが、2015年以降、日本はロシアや韓国に追い越されている状況です。
 27ページを御覧ください。2010年の論文数を1としたときの倍率の表となっております。2010年以降、ロシア、次いで中国、韓国の論文数の倍率が伸びております。
 28ページを御覧ください。10倍以下を拡大した表となっております。2022年においては、韓国は7倍、ドイツ及び台湾、日本は約4倍の伸びとなっております。
 また、国内ジャーナルに関するJ-STAGEにおける分野別記事等の推移については、32ページ以降に掲載しております。
 本日は後藤先生に御出席いただいておりますので、後藤先生におかれましては、何か補足等がございましたら、お願いしたいと思います。
 私からは以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 後藤先生、いかがでしょうか。
【後藤オブザーバー】  後藤でございます。河村室長、どうもありがとうございました。
 今、様々な形でモニタリング指標を実験的に進めさせていただいているというところでございます。とりわけ最後のSCOPUSの数字につきましては、かなり実験的な部分も多々ございまして、統計的な課題みたいなところもまだ幾つか出ております。また、委員会等でも、この資料の使い方等についてはまだまだ課題等があるということも御指摘はいただいて、検討していかなければならないことは多々あると考えてございます。
 ただ、一方で、どのような形であれ、なかなかこれまで見えてこなかった人文学・社会科学系の研究活動の在り方のようなものが、このような形でデータ化していくと可視化されてくる。それが見えてくるということは、やはり非常に大きなことであると委員会のほうでも御理解いただいたというふうに理解はしております。
 なので、さらに、この後、このような統計的な部分の課題であるとか、その辺りを精査いたしまして、より実態を表せるような形での可視化というのを努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
【大野分科会長】  ありがとうございました。
 御報告の最後ですけれども、第11期学術分科会の調査審議の現状について、河村室長から御説明をお願いいたします。
【河村学術企画室長】  資料4を御覧ください。第11期の科学技術・学術審議会の学術分科会の各部会等における審議状況のまとめたものとなっております。
 11期におきます審議内容につきましては、これまで御説明等があったと思いますので、省略させていただきまして、主に12期、次期に向けてということを御説明いたします。
 学術分科会につきましては、「総合知」の創出・活用及びポストコロナ下における科学技術・イノベーション政策の在り方等を念頭に、各部会及び関係審議会等と必要な連携を図りながら、学術の振興方策について、引き続き審議を行うとしております。
 研究環境基盤部会につきましては、「大学共同利用機関検証ガイドライン」や「大学共同利用機関外部検証実施要領」の見直し等、審議を予定しております。
 また、国立大学の共同利用・共同研究拠点について、中間評価であったり、第4期の中間年度において、拠点の公募を実施する予定となっております。
 次のページですが、次期ロードマップについて、策定方針に基づき公募に向けた審議を行い、公募・審査を経て令和5年度中に新たなロードマップを策定予定となっております。
 研究費部会につきましては、科研費の国際化や若手研究者支援等について、引き続き改善・充実に取り組むとともに、基盤研究の助成の在り方や審査システムの改善に向けた検討を行い、制度の不断の改善を図るとなっております。
 人文学・社会科学特別委員会におきましては、「総合知」の創出・活用の観点も踏まえ、研究データの共同利用のための基盤整備及びデータサイエンスの応用促進等について、引き続き審議を行う。
 また、人文学・社会科学分野の、先ほど御説明いたしましたモニタリングに関して、モニタリングを実施するとともに、モニタリングの手法及び指標の扱いについて、引き続き改善・充実を図る予定となっております。
 説明は以上となります。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、説明のありました内容について、御質問あるいは御意見がございましたらば、御発言をお願いいたします。
 まずは、武内委員は今挙がったように見えましたけれども、よろしゅうございますか。
【武内委員】  武内です。よろしいですか。
【大野分科会長】  お願いします。
【武内委員】  1つ質問なのですが、この人文学・社会科学の研究成果のモニタリング指標をいろいろと説明していただきまして、いかにこれから自然科学と比べて遜色のないような形に評価をしていくかというのは、これは大変重要だと思うのですが、この評価の中で少し考えたほうがよいのではないかなと思うことがございますので、それを申し上げたいと思います。
 それは、著者の数ということでございます。一般的に言うと、自然科学系は、分野にもよりますけれども、非常に著者の数が多いと。特に先端的なものになると、ずらっと研究者の名前が並んでいるというようなこともあるわけで、それに対して、人文学・社会科学の場合は、私の印象ですけれども、単著とかが非常に多いというような。それを全部一覧表にすると、同じようにしてしまうと、本当にそれでいいのかどうかということになるのではないかと思っておりまして。そういう意味で、いかに著者の数といったものを可視化していくのか、ということについても考えたほうがいいのではないかと思うのですが、その点について、どういうふうにお考えか御意見を伺いたいと思います。
 最近は、分野によっても、評価の中で、私も経験したのですが、ファーストオーサーというものに対する優先度をより高くするというような評価もあると思いますし、逆にある分野では、オーサーの重みはつけないで、全部アルファベットの順番でオーサーを並べていくというようなこともありますので、一律にそういうことが可能かどうかということは、分野によっては難しいと思うのですが、少なくとも今、人文学・社会科学の中での著者数というものがハンディをもたらすようなものであってはいけないということだけは、私は考えていったほうがいいと思うのですが、それについて御意見いただければと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【河村学術企画室長】  事務局でございます。
 先生御指摘の著者数に関しまして、おっしゃるとおりでございまして、ただ、それの前提となる、そもそも書籍に関する編者、著者、分担執筆等々につきましては、まずデータとしてはないというところが、1つ大きなところがありますので、まずそこの整備から始まって、その中で、それぞれの重みというんですか、分担執筆等々の重み、また、それが、例えば論文等と比べてどこまでの重みがあるのか等も含めて、そこは、まずはデータをいかに取れるようになってからと考えております。
【武内委員】  それも大事だと思うんですが、私が特に申し上げたいのは、例えば、国際ジャーナルに出したときのオーサーの数というのが、自然科学系と人文学・社会科学系でかなり違っているのではないかということで、そこで、逆にオーサーが少ないことによって、評価の上でハンディを背負うということがあってはならないというふうな観点から、今申し上げたわけです。
【河村学術企画室長】  その、どう比べられるのか等も、まだそこまで至っていなかったところはあるんですが、引き続き検討させていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【大野分科会長】  可視化に当たっては、著者の数というものもきちんと可視化するべきであるという御意見だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  ありがとうございます。
 人文学・社会科学は、理系と違ってインパクトファクターになじまないとか、そういう意見を言う方もいますが、私は、それは誤解ではないかと思います。
 インパクトファクターのスパンの取り方が分野によって違う。ですから、例えば、人文学・社会科学の中でも、経済学は引用のピークは3年です。だから、インパクトファクターは3年で見ればいいのですが、それ以外の人文・社会科学は7年がピークになります。あるいは、哲学はもっと長いです。でも、これは理系でも、数学はもっと長いですよね。ABC予想も含めて。ですから、それは分野によって、スパンの取り方を変えれば、必ずしも理系と全く違うものではないと思うのです。
 それから、第2点で申し上げたいのは、今、武内先生のおっしゃるとおり、例えば、高エネルギーだったら、共著者3,000人というのもあります。それと、1人で論文を書くのを、それは同じにしか見てもらえないのというところは確かにあると思います。ですから、それは著者数で割るとかですね。
 なかなか難しいのは、数学は著者の並びの順がABC順ですから、必ずしもファーストオーサーというわけにもいかないのですが、例えば、コレスポンドコオーサーは少しポイントを上げるとかということはできると思います。もっと言えば、ページ数とか文字数もカウントするということもできます。
 こういう問題になると、データはどこにあるのかという話になるのですが、我々、科研を取ったらば、毎年その申請のときに全部出しています。ですから、researchmapとか、あるいは、科研の業績のところで、全部一つ一つのものを出しています。ページ数まで出しています。ですから、それはJSPSにあるのではないでしょうかと思います。
 それから、書籍についてなのですが、これ、日本の国内で出すものと、海外で、例えば、アメリカで英語で出すものは、本当に同じカウントなのだろうかと思います。私も海外で随分単著や共著書を出していますが、やっぱりエディターがいて、なかなか細かいことを言われるわけですね。それと、日本は、ちょっと言い方は語弊があるかもしれませんけど、こちらが書いたものをほぼそのまま受け入れて印刷してくれるわけですよね。それは多分、かなりウエートは違っていいのではないのかなという気がしております。
 いずれにせよ、そういうところをカウントしていけば、必ずしも理系と全く違う、異邦人の集まりでは決してなくて、同じように見ることは、私は十分にできるのではないかと思っております。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 よろしいですか、事務局は。
【河村学術企画室長】  御指摘を踏まえまして、引き続き検討させていただければと思っております。
【大野分科会長】  極めて重要な御指摘ですので、ぜひ引き続き御検討いただければと思います。
 それでは、岸村委員、お願いいたします。
【岸村委員】  ありがとうございます。
 私は、資料2の研究費部会の資料についてちょっと質問させていただきたいんですけれども。この枠囲み、一番下のところに、「学術変革領域研究」の検証というのがありまして、どのような検証が行われて、どのような議論が行われたのかというのにちょっと興味ありまして、もし共有していただけることがあるようでしたら、お願いしたいんですが。
【大野分科会長】  ありがとうございます。お願いします。
【永田学術研究推進課長】  御質問ありがとうございます。
 この学術変革領域研究につきましては、現在、文部科学省のほうで審査を行っておりますのは、この種目だけになってございます。そのほかは、日本学術振興会のほうで審査、配分等全て行っておりますが、この学術変革領域研究については、審査を文科省で行いまして、日本学術振興会のほうで実際、助成作業を行っております。
 今後、この学術変革領域研究につきましては、この制度自体、令和2年度に立ち上がったということもございますので、その辺を検証した上で、日本学術振興会に移管するという予定になってございます。
 当初は令和6年度に移管する予定になっておりましたが、今回、国際先導研究という新しい種目の立上げが重なったため、その移管時期をずらすということで、今、研究費部会のほうで方向性を検討してございまして、その移管に当たって、この制度が立ち上がった令和2年度から、その審査状況を検証する必要があるというところで、実際の検証はこれからという予定になってございます。
【岸村委員】  そういうことなんですね。じゃ、内容というよりは、仕組みのというか、動かし方についていろいろ検証、検討されているということになるんですかね。
【永田学術研究推進課長】  これから移管に向けて、審査業務がどうだったかというのを検証する予定ということで、今現在検証しているというわけではございません。
【岸村委員】  その際に、どういう議論になっているか私は分からないですけど、何を言いたかったかというと、基盤研究等を拡充されて、それは非常にいいとは思うんですが、やはり年齢を問わず新しいチャレンジをしようとした場合に、この学術変革か、あるいは挑戦的研究というのが大事な研究費になると思うんですけど、いかんせん採択率が低過ぎて、挑戦する前に心が折れてしまうという気もしているわけですね。ですので、制度上、採択件数を増やしたり、予算はもちろん必要になるんですけど、予算以上に、実務的に採択件数を増やしたりというようなことが果たしてできるのかどうかということですが、その辺りはいかがでしょうか。
【永田学術研究推進課長】  ほかの種目に比べまして、この学術変革領域研究については、応募件数も一定程度多いというところがございまして、非常に厳しい採択率になってございます。その辺は我々も課題だと思ってございます。その辺は予算の充実と併せて、この採択率の拡充や移管も含めながら、全体の種目の採択率をどうしていくのかということは、今後検討していく必要があるのではないかとは思ってございます。
【岸村委員】  ぜひ引き続き検討をよろしくお願いします。ありがとうございました。
【大野分科会長】  非常に低い採択率である、それを踏まえ予算を獲得すべきであるという議論の方向性になっています。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、井関委員、お願いいたします。
【井関委員】  ありがとうございます。
 私、2点ありまして、1点目は、おせっかいなお願いかもしれませんけれども、今画面に出ております学術変革領域研究が、日本学術振興会へ審査等が移管されるということで、言ってみれば、文部科学省の中での科研費審査というのがこれで一応なくなるということで理解しておりますけれども。科研費のシステムというのは、基本的には文部科学省のほうで、審査部会、研究費部会を通じていろいろ改革されております。ですので、ぜひ、これまでもそうなんですが、今後、一層学術振興会とも密な連携を取っていただいて、科研費の改革に進んでいただければと感じております。それが1点。
 あともう1点なんですが、人文学・社会科学のところで、私が聞き漏らしたかもしれないんですけれども、1996年ですとか2000年から、最後のほうに出ていたデータなんですが、韓国ですとか中国で急に論文数が非常に上がってきた。例えば、フランスなども上がっているんですけど、これには何か事情みたいなものはあるのでしょうか。これは質問です。よろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  いかがでしょうか。
【永田学術研究推進課長】  学術研究推進課長、永田でございます。井関先生、どうも御質問ありがとうございます。
 まず、最初にありました点についてお答えさせていただきます。私どもも科学研究費助成事業の改革に当たりましては、研究費部会の先生方の御意見を賜りながら、いろいろ制度改善に努めているところでございますけれども、その制度改善に当たりましても、日本学術振興会と連携を密にしながら現在も進めているところでございます。全ての審査業務を仮に移管したからといって、全て切り離すというつもりは全くございませんので、日本学術振興会のほうでもしかるべき御意見を伺いながら、研究費部会のほうでもしっかり御議論賜ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【井関委員】  よろしくお願いいたします。
【河村学術企画室長】  事務局でございます。SCOPUSの件につきまして、後藤先生、よろしければフォローいただければありがたいです。
【後藤オブザーバー】  後藤でございます。御質問ありがとうございます。
 今御指摘いただきました各国の伸びという点につきましては、素直に申し上げますと、まだ明確な理由というところを突き止めるまでには至ってございません。と言いますのも、例えば、特定の分野が伸びているとか、論文が伸びているということではなくて、大体満遍なく同じように伸びてきているという傾向がございますので、まだその辺りはさらにより詳しく、どの雑誌が伸びているかとか、そのような辺りについての精査を今後行う段階だと理解をしております。
 ただ、いわゆる国際ジャーナルを出していこうという傾向は比較的強くなっていると一般的傾向は言えるのではないかと思うんですけれども、今ここでお答えできるようなレベルで、厳密にこうだと言えるようなものというのは、申し訳ございません、まだすぐにはございません。
 ついでに少しだけお答えをしておきますと、これは全体のということになりますけれども、人社の様々な振る舞い、先ほどの著者の数でありますとか、あとは、研究者一人当たりが論文を書く速度みたいなのも、やはり分野ごとにも大きく違いますので、そのような特性につきましては、今様々な検討を加えておりまして、そのような課題については踏まえつつ、より見えるようなものを検討していきたいというところでございます。あまりはっきりした答えができず、申し訳ございません。
 以上でございます。
【井関委員】  ありがとうございます。
 少しそういうところを精査していくと、それが日本の人文・社会科学の研究発展、もちろん研究はもう既にしていると思うんですけれども、そういうのに何かもっと結びついていくのかなというふうな気がいたしました。それで御質問いたしました。ありがとうございました。
【後藤オブザーバー】  すみません。陪席なのであまり発言しすぎないようにと思いますが、おっしゃるとおりでして、国際ジャーナルの中でも、やはり特定に強い分野というのが見えてきているというところはあります。まだここで御報告するには至りませんけれども、その辺りの強みであるとか、そのようなところをしっかり解析していきたいと思っております。どうもありがとうございました。
【井関委員】  ありがとうございます。
【大野分科会長】  引き続き、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、梶原委員、お願いいたします。
【梶原委員】  ありがとうございます。
 私も2点ございます。資料2の中で、重複制限を緩和という箇所が2か所ありますが、この緩和することの背景といいましょうか、どういう事情の中で緩和されてきたのか、緩和することによってのインパクト、影響はどのぐらいのものなのかということを理解したいと思いまして、ここの意味合いを教えていただきたいというのが1点です。
 それから、資料3に人文・社会科学系のモニタリング指標をどう取るかということを書いていただいて、本当にすばらしいと思います。トライアル的にいろいろな仕組みを試行錯誤しながらだと思いますが、資料18ページに、アウトプットはこういうことを考えているという実線があるのですが、アウトカムのところで、非常に難しいと思うんですけれども、何らかの学問についてのアウトカムを取るだとか、トライアル的に何かを追求していくほうがよろしいのではないかと思いました。そこは継続的に見ていっていただければと思います。質問というよりも、こちらはコメントでございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 重複制限の緩和は、この場合には、若手が挑戦できるようにしようということで、ただ、そうなると審査システムに負荷がかかるので、そこの緩和、調整をどうしようかということが議論の中心だったと思います。
 事務局から、さらにお願いします。
【永田学術研究推進課長】  梶原先生、どうも御意見ありがとうございます。
 重複制限につきましては、比較的少額な科研費等の種目につきまして、幾つか同時に応募して受給ができるというような形で、徐々に緩和してきている部分がございます。それはやはり1つの種目に応募して不採択になってしまったときに、ほかが全く取れないと研究が進まないといったところもございますので、そういったチャンスを与えて、いろんなところにチャレンジしていただくということが1つの目的と思っております。そういった重複制限を緩和しますと、それだけ応募も増えたり、審査業務も増えるといったところもございますので、そういったところを勘案しながら、どういった種目については重複制限を緩和して、若い人にチャレンジの機会を与えるとか、そういったところを、いろいろ研究費部会の先生方にも御意見賜りながら、これまで進めてきているといったところでございます。
 今回、特別研究員の方々につきましては、国際共同研究にチャレンジしていただくといった観点から、国際共同研究強化という種目について、科研費の特別研究員奨励費を持ちながら、渡航費等につながる国際共同研究強化という種目に今回応募して、重複受給を可能とするということで制限緩和をするというのが、今期での取組になってございます。
【梶原委員】  基本的に、重複申請を制限するというのが基本線で、それを徐々に緩和していくという話なのでしょうか。先ほど少額の場合はということもおっしゃっていましたので、基本的な考え方があるのか、それとも、案件や内容によって徐々に緩和していくとか、どういった流れなのでしょうか。決まりがないのかもしれないのですが。
【永田学術研究推進課長】  基本的に、同じ科研費の種目でございますので、あまり重複はない形ということで、制度はもともと立ち上がってきたと思います。それを、徐々に、そういうチャレンジをして、渡航費と研究費で分かれている場合には受給できるような形にするとか、その種目と対象者に応じて緩和を検討してきて、取り入れているといったところが現状でございます。
【梶原委員】  ありがとうございます。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、新福委員、お願いいたします。
【新福委員】  ありがとうございます。
 私も、科研費の改善のところで、国際共同研究の推進や、若手研究者の支援を進めていただき、どうもありがとうございます。
 私もコメントしたいのは、先ほど岸村さんも指摘していたんですけれども、やはり採択率が非常に低いというものに関しては、研究者が申請書を書く時間を費やしても、結局、それが何もならないという数が非常に増えてしまうということがございますので、そちらはぜひ配慮していただきたいなと思います。
 また、質問は、審査員の選考に関することで、国際性に配慮した審査員選考実施とあるんですけれども、ある特定の専門性を持った方に審査が偏らないかというようなことをちょっと懸念しまして、審査委員が何度も来ると、1回でも審査の時間はすごくかかるので、どういうふうに平等性といいますか、あまり1人の方に偏らないということも配慮されているのかというところも含めてお伺いしたいです。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 じゃ、まず永田課長、お願いします。
【永田学術研究推進課長】  御意見ありがとうございます。
 採択率の向上につきましては、我々も長年の課題と思っており、全体的に30%程度の採択率を目指しながら取り組んでいるところでございます。一部、若手研究につきましては、採択率40%というところで、若手重視という方向性が出された中で、そういった形も取り組んでございますけれども、一方、学術変革領域研究のように、10%前後というような大変厳しい種目もございますので、この辺は、予算の充実と併せて、また検討してまいりたいと思います。
 それと、審査員の選考に当たりましては、現在、合議審査におきましても、幅広く、その分野に偏らない形で審査員を選考させていただいております。日本学術振興会のほうで審査員のデータベースを持っており、13万人の中から約8,000人程度の方々に審査に携わっていただいておりますので、しっかり選考していただくよう我々のほうでも対応してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして、山本佳世子委員、お願いいたします。
【山本(佳)委員】  山本佳世子です。モニタリング指標についての感想をお伝えします。
 こういった指標があってというのは、研究者の評価というのが大きな目的の一つかと思います。ですけれども、社会が研究者や研究室を知るためにですとか、その研究の社会における価値を知るために、こういう指標があるというのがいいなと思います。
 私、社会人の課程博士で学術博士を取得したんですけれども、その経験を踏まえて思うのは、やっぱり人文学・社会科学系は、分野によって、大学によって、研究室によって本当にばらばらで、自然科学系と比べて全く全体像が見えない。それが、不信感といいますか、よく分からない世界で終わってしまっていて、やっぱり社会から見えない、分からないということは、なかなか応援しようという気持ちになりにくいところがあります。ですので、こういった指標を使うことによって、できる部分での明確化、研究、研究者、研究室というものを社会が見える形にしていくということで、賛同を引き出せるといいなと思っています。その意味で、これはさらに進めていっていただきたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 事務局から何かありますか。
【河村学術企画室長】  まさに山本先生おっしゃっていただいたように、まず見えないと。どうしても見えないというのが、それは数値化するのがどこまでできるかというのも含めてなんですが、まずできるところから可視化というところは今回の狙いとなっておりますので、引き続き進めていきたいと思います。ありがとうございます。
【大野分科会長】  極めて重要な点です。社会から共感を得なければ、私達の学術の営みへの継続的な支援はできないわけですので、そこは重要であるとともに、今回は可視化という言葉を使っていて、評価という言葉は使っていないというところも重要かなと。まずは見えるようにしようというのが今回の第一歩なんだと思いますので、継続して議論が進むこと、深まることを期待したいと思います。
 山本智委員、お願いいたします。
【山本(智)委員】  山本でございます。
 先ほど重複制限の話がありましたけれども、議論の中の基本的な考えは、科研費の種目の中に基盤研究等のものと挑戦的研究と、2つの柱がございます。それらの間の重複については、挑戦を促す観点から、できれば自由にしたいところですが、あとは審査負担の関係から、ある程度の制限を設けているという議論であったと理解しております。ただ、挑戦的なほうの採択率が低いというのは、ちょっと低過ぎるような気もしますので、以後、予算増を含めて御検討いただきたいと思います。それが一つ。
 もう一つは、ここ随分の長い間、これはいつも申し上げているのですけれども、科研費の上限額というのが、もうここ10年以上変わっていません。20年近く変わっていないと思います。これは賃金が上がらないと同じで、研究の大きさを制限してきていると思いますので、やはり上限額についても、そろそろ考え直す時期に来ているのではないかということは申し上げたいと思います。
 コメントでございます。よろしくお願いします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。よろしいですね。
 それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  質問ではなくて、先ほどの井関先生の御質問に、代わってお答えさせていただいてもよろしいでしょうか。
 人社の資料の25ページになります。中国、韓国はがーっと伸びているというのは何があったのだということですが、これは必ずしも分野とは関係ありません。全分野で伸びています。私はソウル大の共同研究員もしていますので、行政大学院のプロジェクトで、何で中国はがっと伸びたのだというのを調べました。それは給与体系を変えたということです。
 今、中国では若手の最初の給料が大体月40万円ぐらいでしょうか。そのぐらいに抑えられています。ですから、年間で500万ぐらいでしょうか。あとは、残りで、物価が上がっても上げる代わりに、論文1本書いたら幾らという、研究奨励費という名前で出しています。ですから年収が実際には奨励費も入れれば1,000万ぐらいになるというところになります。
 それを韓国はどうしようと。Times Higher EducationのWorld University Rankingsですと、多分多くの方はソウル大が1番で、その次が延世大、高麗大、いわゆるSKYだと思っていらっしゃる方がいたら、ぜひTimes Higher Educationを見てください。もう全然今は違います。
 なぜならば、ソウル大は、その制度はやらないと。大体給料の1割ぐらいに抑えるというぐらい、一部入れるだけです。延世大も高麗大も中国のようには入れていませんが、今、韓国で1番はやはりソウル大ですが、2番はKAIST、3番は成均館大、4番がUNIST、5番が延世大、6番がPOSTECHで、高麗大は7番です。かつて上のほうだった西江大や漢陽大は、もう出てきません。
 これ、なぜならば、今申し上げましたKAISTや、成均館大や、UNISTや、POSTECHは、中国と同じような制度を導入しました。ですから、そういうところがもうがーっと論文を皆さん頑張って書くわけですね。そうすると、極端なことを言えば、ソウル大よりも給料が倍ぐらいになります。でも、ソウル大はプライドはあるから、自分が一番だからそれでいいという考えですけれども、物すごくそういうところでドラスティックに変わっています。
 韓国で論文数を抜かれるって、かなり大きな問題で、大体人口は日本の半分以下しかいませんから。なお、1人当たりの研究費は日本の3倍ですが。それは置いといても、そういう制度改革をしてやっているということです。
 日本では、大学によって、個人研究費をそういう形でやっているところはありますが、報酬をそこまでやっているところは恐らくないのだろうと思います。そこまでやることがいいかどうかという議論は、また別にあります。教育がおろそかになるか等ありますが。ただ、なぜ伸びているのだという井関委員の御質問でしたので、私から言えることは、そういうことが原因だということです。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部委員】  今の小林委員の御意見で、本件に直接関わりはないんですが、個人評価のことでちょっと気になったので、一言言わせてください。
 個人評価の問題は、小林委員がおっしゃったように、非常に重要な問題だと思います。それで、法人化以降、各日本の法人でも年次評価を行っていますけれども、この年次評価というのが、本当にサイエンスをやる上で有効に働いているのか。例えば、企業なんかでも年次評価というのを見直すところが結構出ていると思うんですね。それを一回きちんと文科省として検証されるのがよろしいのではないか。先ほど小林先生のおっしゃったように、論文1本当たりで給与を上げることが、本当に日本の科学を上げることにつながるか。つながるなら、そうしたほうがいいと思うんですが、そこを文科省として検証するのが必要ではないかと思うんです。
 年次評価、あるいは、給与の問題は、今、基本的には機関に投げられている問題かと思うんですが、機関だけで対応するのは、やはり動きも遅くなりますし、ぜひそこら辺を、次期のこの会議でも結構ですので、研究者の評価方法について検討していただければありがたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。重要な、学術分科会としても検討を要する事項だと思います。
 ほかは、よろしゅうございますでしょうか。それでは先に進ませていただきたいと思います。ありがとうございました。
 次に、議題3でございます。今後の学術研究の推進について、河村学術企画室長から御説明をお願いします。
【河村学術企画室長】  資料5を御覧ください。前回の学術分科会におきまして、今後の検討の方向性ということに関しまして、事務局から御説明いたしました。その際、先生方からいただいた御意見をまとめております。
 まず研究時間の確保というところにつきましては、競争的資金等があるが、調整のために時間が取られていると。また、デジタル化の活用が重要であるなど、御意見をいただきました。
 また、研究人材の育成・確保の観点に関しますと、例えば、学部生に対して研究者のキャリアパスを説明できると良いのではないか、海外で学位を取得している外国人をポスドクとして迎え入れると、多様性も増して良いのではないか、人社の関係ですと、修士の取得者が少ないところを検討すべきではないか、そういった御意見をいただいておりました。
 次のページをお願いいたします。また、研究活動の基盤的経費の確保に関しましては、例えば、国立大学法人の運営費交付金は、いろいろと課題等がある。ミッション実現に向けた取組を支える別途の財源を確保すべきではないかといったような御意見。
 また、学術全般に関する御意見では、例えば、国際性担保のために、一般的な研究者が国際的なグループ研究を行えるような仕組みをつくる必要があるといった御意見があったところでございます。
 ただ、前回は御意見、御議論いただいていなかったという論点もございまして、それは下のほうに3つほどあるのですが、1つは、研究時間の確保に関連する、研究における役割分担、研究者の方々、またURAの方々等のさらなる進展について、何か課題、解決策等はないのかということ。
 また、研究時間の確保と学内外の研究コミュニティにおける活動の関係についてというところで、例えば、学内外の研究コミュニティ、大きなところで言いますと、いわゆる学会があるかと思いますし、小さなところでいきますと、研究グループといったような、大きいところから小さいところまで、大学以外の研究コミュニティというのもあるかと思います。そういった中で、それぞれに研究者の方々は属されていて、研究をされたり、調査をされたり、また、いわゆる事務的な作業等もある。そういった中で、研究時間の確保との関係性のようなものを、研究コミュニティの観点から改善すべきというか、何か課題はないでしょうか。
 最後に、日本の学術研究の強みといったものが何か、そして、それを伸ばすことについてといったことで、前回、御意見いただいていなかった論点につきましても引き続き御意見をいただければ、また、前回の御意見を踏まえて、さらにといったところをいただければと思いまして、この資料を用意させていただいた次第でございます。
 私から以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 これから議論すべきことも含めて、第11期がこれで終わりますので、次期への申し送り等も含めて御発言いただけたらと思います。
 それでは、須藤委員、お願いいたします。
【須藤委員】  どうもありがとうございます。ちょっと予定で早めに退出しなければいけないので、直接関係ないかもしれないんですけれども、手を挙げさせていただきました。
 この会議でいろいろと議論してきたことで、もう少し産業界とのコネクションを取れないかなというふうに考えています。産学連携はもちろんなんですけど、今日いろいろ話題になりました人材の育成とか、博士課程の支援とか、当然、産業界でも関係してきますし、興味もあるところですので、こういった議論の内容をもう少しシステマティックに産業界に発信することを考えたほうがいいのかなという気がします。
 もちろん、個々にも産業界からいろんな委員が出ていて、個々に対応はしているんですけど、やっぱり限界はありますので、もう少し系統的なやり方で、こういったいい議論、いいシステムを産業界側にも発信することをぜひ考えていただきたいと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。システムとして産業界とのつながりをちゃんと強化しようということですね。
【須藤委員】  よろしくお願いします。
【大野分科会長】  ありがとうございます。非常に重要なポイントになると思います。
 続いて、観山委員、お願いいたします。
【観山委員】  ありがとうございます。非常に的確にまとめていただきまして、いい引渡しができるのではないかと思います。
 やはり懸念するのは、研究力が、下がってはいないのですけれども、ほかの国に抜かれているという状況ですよね。FTEというか、研究者の数、研究者の研究時間、それから、補助者、URAとか技術者、そういうものについてポイントだと思います。それは書かれていますので、非常に重要な点だと思います。
 2番目としては、小林先生もおっしゃいましたけれども、日本の研究現場が高度な研究環境にあるのかと。それは設備だとか、装置だとか、いろんな世界最先端のものが本当に提供されているのかどうかということも、やっぱり視点として持たなければいけないかと思います。
 それから、論文の数もですけれども、論文の質を科学系の場合はサイテーションなんかで判断しますので、やはり国際的な共同の論文とか、共同作業がどれだけできているのかという部分が大切です。
 それから、最後に指摘がありました研究者のモチベーションみたいなものですね。どんなに頑張っても、やっぱり同じような給料体系の中で、ほとんど他の人と変わっていない。それから、今、米国の研究者に比べたら、給与は全然少ないとかいうような状況もあります。私が思うのは今述べた4つのポイント、まだあるかもしれませんけれども、そういうことを総合的に調査して、それで、その中で何が足らないのかということを、今後の学術政策の方針にしていくことが重要だと思います。やっぱり調査をして、エビデンスに基づいてやっていくということが非常に重要だと思います。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。研究者の処遇、給料も含めた待遇なども、今日何度も話題になりましたし、そういうエコシステムをどう築いていくのかというのは極めて重要な観点だと思います。ありがとうございます。
 神谷委員、お願いいたします。
【神谷委員】  資料2にも若手研究者の割合の減少ということもありましたし、資料1に関連しましても、多くの先生方が若手研究者支援、割合の増加も含めまして、多くの御意見があったところです。が、この資料5を見ますと、若手研究者の割合、支援に関してはあまり文言がないように思いますので、皆様の意見を踏まえまして、何か加えたほうがいいのではないかと考えます。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。全くおっしゃるとおりでございます。
 山本委員、お願いいたします。
【山本(佳)委員】  山本です。学術分科会における若手研究者の議論について、少し考え方の土台を広げていったらどうかなということを1つ提案します。
 というのは、学術分科会なので当然だと思うんですけれども、若手研究者と言ったときに、アカデミアのキャリア一筋の人だけということが前提になってずっと議論しているところが気になります。もちろん科学審議会の中に人材委員会はございますので、幅広い若手については、そっちでやっているよ、こっちは学術分科会だからねというのは分かるんですけれども、ちょっと偏り過ぎていて、やっぱり社会から見たときに、ちょっと偏っているなというところが気になりました。
 今、産業社会は、博士人材に対して、これまでになく注目していると思うんですね。AIやITもそうですし、スタートアップスでもそうですし、ジョブ型雇用なんかは、博士レベルの人材から日本の社会の新しい形を切り開くところに来ていますし、企業からの、産業界がお金を出すと言ったときに、この人はアカデミアの人、この人はもしかしたら産業界に来そうな人と分けてないじゃないですか。分けずに、やっぱり全体を応援しようという気持ちになっている。すごいチャンスだと思うんですね。
 ですので、高度人材について議論するときに、アカデミアと、それ以外はうち関係ないよねというのではなくて、全体の活躍を広げていく。その中で、学術の課題としてという姿勢を強めてもいいのかなと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。今まさに社会が変わろうとしている、変わりつつあるところで、そこに対して、特にここで我々が若手研究者と言っているような資格を持っている皆さんが、様々なセクターで活躍してほしいと、そういうメッセージを踏まえた上で、制度、その他議論ができるととてもいいと思います。ありがとうございました。
 勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  ありがとうございます。
 今まさにここに出ている学術全般に関する御意見の一番上のところなんですが、国際的なグループ研究が行えるような仕組みを考える必要があるとあるわけですけれども、今までの議論は、大学であるとか、あるいは、政府系の研究機関であるとか、そういったものが主体となって考えていたわけですが、やはり学会の在り方、特に分野によって様々な学会があって、もちろん国際学会でも直接発表するという分野が多いところもあれば、人文・社会のように、国内で閉じられた学会というものが無数にあるというものもあるわけです。例えば、日本文化研究等にしても、実は、これは国際化を推進する上で非常に重要な分野でもあるので、やはり学会の在り方、特に国内の学会の在り方というのは、ぜひ考えていただければなと思います。
 それから、2番目は、先ほどの論文の韓国に抜かれたというところとも関係するわけですが、基盤部会でも議論になった情報の部分ですけれども、特に学術情報流通の活性化の部分において、その論文生産のあり方が今非常に大きく変わっている。世界全体の論文数が、20年前、2000年には74万だったのが、現在は190万になっている。この20年間でも3倍弱にも増大していて、ということは、やはりジャーナルが増えてきていると。これは全てオープンアクセスのオンラインジャーナルになっていて、そういった中で、中国であるとか韓国は非常に伸びているというところとどういう関係があるのか。あるいは、オープンサイエンスの中で論文数というものを増大させる、それ自体が研究力を測る上で、国際的に非常に大きな指標になっているということに鑑みると、その辺の学術情報の在り方というところもぜひ次期では考えていただければなと思いました。
 以上でございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございます。
 私自身も、今の勝委員がおっしゃられた2つの点は重要な点だと思っています。学会の在り方、これは皆さんが研究者として自発的に集まる集団ですから、こういう場で何かを決めるというのは、極めて抑制的であるべきだとは思います。
 一方で、現状を見ると、分野によって違うので、このことをもって全てがそうだと言うつもりはありませんけれども、例えば、支部活動というものがあります。たくさん学会がありますと、それぞれに支部長がいて、庶務幹事がいて、それで、それぞれの学会で仮に論文誌を出しているとすると、その論文誌に出してほしいと勧誘をし、その人たちも査読者として関わる場合も多い。その論文誌がどれだけインパクトがあるかということも考えると、これはよしあしであるとは思いますけれども、推進力にどのくらいなっているのかというところも考えていかなければいけない状況になっていると思います。そういう意味で、次期はぜひこういうところも議論していただけたらと思います。
 また、2番目の点も、大学によって読める論文が違います。それはもうお金がかかるからということです。包摂的な環境を我々の学術コミュニティは研究者に提供できていません。オープンアクセスで論文を出そうとすると、今度はそれ用のチャージが特別にかかりますので、そうすると、インパクトが大きいところに出そうとするとお金が必要だということになって、いよいよ包摂的ではなくなる環境にあります。そこをどう学術界としてきちんと下支えするのかというのは、極めて重要な論点、検討すべき点かと思います。ありがとうございます。
 小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  何度も申し訳ありません。この共有画面、1ページ前の研究人材の育成・確保の最後のところをお願いいたします。
 日本で人社系の修士取得者が少ないというところは、極めて重要な問題です。一流と呼ばれている国公私立大学でも、人社系の大学院は定員未充足のところが多いです。
 大学院へなぜ行かないかと言えば、それは行くメリットがなければ誰も来ません。ですから、欧米や韓国との違いは、プロフェッショナルスクールが少ないということですね。日本の場合は、アカデミックスクールがほとんどです。
 ですから、日本で成功しているのは法科大学院で、予備試験の枠はありますけど、それを別にすれば、司法試験を受けて弁護士、あるいは裁判官、検事になるためには、ロースクールへ行かなければ、法科大学院へ行かなければいけないから行くわけですね。だけども、ビジネススクールへ行かなくともビジネスマンにはなれるので、必ずしも行かないということになります。
 重要な点は何かというと、理系の場合、例えば、修士に行って、就職は多分研究室を通して紹介するなり何なりあると思うのですが、人社系の場合は、必ずしも研究室と民間の企業がつながっているわけではありませんから、院生が個人で就活を何か月かやるとか、あるいは、公務員試験を受けるとか、修士の2年のときのそういう活動と修士論文を書くということが両立できるかどうかというところが最大のネックになっているわけです。
 ですから、今あるアカデミックスクールとは別に、プロフェッショナルスクールを創るというような大きな改革もいいですが、そこまでやらなくても、現在の大学院の中にアカデミックコースとプロフェッショナルコースをつくるとか、あるいは、修士で終わる人は、修士論文を書く代わりに、タームペーパー2つでいいとかいう形にすると。しかし、それだと後期博士に行って研究者になる人間が修士論文を書かないでいいのかということになりますから、後期博士課程の試験は、筆記試験の後、二次試験で修士論文の口頭試問をするとかという形にすれば、後期博士に行く人は修士論文を書く、そうでない人はタームペーパーで修了することになります。
 これ、一番いい参考例が、東京大学の公共政策大学院です。ここは国家公務員の志望者がかなりいますので、ここは修論ではなくて、タームペーパー幾つかで修了できることになっています。ですから、東京大学で国家公務員には、総合職、いわゆるキャリアの試験に受かっているのは、学部生が半分で残りが大学院生になっています。つまりきちんと両立できているわけです。
 ですから、これはやればできることなので、日本もそういう形で、今のアカデミック、研究者養成だけに特化しているのではなくて、プロフェッショナルな養成ということも、今の制度の枠内で私は十分できることだと思いますから、ぜひ次期ではそのことも御議論いただければと思います。
 以上です。
【大野分科会長】  ありがとうございます。
 小林委員におかれましては、先ほどの強烈なインセンティブにドライブされた論文数の上昇とか、様々な背景も御説明いただきましたし、今はアイデアもいただきまして、どうもありがとうございます。
 長谷山委員、お願いいたします。
【長谷山委員】  ありがとうございます。
 今の議論を聞いていて、全般的な漠然とした話で恐縮ですけれども、やっぱり学術振興って、必要なのは、単純に言えば、人とモノとお金なんですよね。日本にはまだまだ若い優秀な人材はいると思います。要は、そのモノとお金のところが不足しているので、これを官民挙げて向上させなければいけないと。
 特にお金ですけれども、そのお金は、量を増やすだけではなくて、投入の仕方、お金の出し方ですよね。やっぱりこれまでの反省で、うまく学術が伸びていないのは、競争的資金の獲得等で研究者が疲弊している。ですから、十分な研究時間を与える、また、お金の面でも、持続性があって裁量性の高い資金を与えなければ研究力が上がらない。その反省で、卓越研究大学なり大学ファンドという発想が出てきたのは歓迎すべきことなんですが、現実の補助事業の内容が具体化してゆくにつれて、あれあれと、いろんな条件がくっついてきたなと。大学も自ら資金を集めなければいけないとか、研究論文の数とかで、とても最初に言っていた持続性と裁量性の高い資金になっていかないのではないかという、そういう気がします。全般的にやっぱりお金の出し方が問題と思います。
 ですので、このスライドの次のページでしょうか、出していただくと、学術全般に関する御意見の2つ目のポチですが、最後のほうに、単に大学にお金をつぎ込むのではなく云々とあって、それはそのとおりなんですが、単にお金をつぎ込むことも一所懸命やっていただきたい。そして、自由で裁量性の高いお金にしていただきたいと。
 それから、もう一つは、先ほども産学連携でやらなければいけないと強調されました。これについては今、採用に関する産学連携協議会をやっていて、大学の出口のところでいろんな議論が進んできたのは良いことですが、研究だけではなく教育、人を育てることに最初から大学と企業が一緒に取り組む。これはリーディング大学院の発想で、あれはとても良い事業で多くの大学が参加して、盛り上がりましたけど、やっぱり資金が切れたあとも続けることができた大学はすごく少ないんです。大規模な大学でも、良い仕組みだけれども、資金が続かなかった。だから、産学が連携して人を育てるという仕組みを持続させる必要があるのではないかと思います。
 最後に、企業を巻き込むという意味では、早い話が、人文系で修士に行く人が少ないとか、博士に行く人が少ないといいますが、例えば企業が大学院卒の給料を2倍にすれば、それはどんどんみんな行きますよ。乱暴に言えばですね。だから、そういうような、小林委員がおっしゃったとおり、どういう魅力を高等教育に付加していくのか。そのことを産学連携で考えていただきたい。そういう働きかけをしていくということが必要ではないかと思いました。
 以上です。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 尾辻委員が5時までということですので、発言をよろしくお願いします。
【尾辻委員】  ありがとうございます。
 端的に申します。各種の競争的資金制度を充実させること、これはもう本日の分科会でもたくさん議論されておるところでございますが、その一方で、今しがた議論に上がりましたハイインパクトファクター、オープンジャーナル、学術論文誌の投稿量が、研究費の大半を、しかも、小型の研究費しか持っていない人には、Nature、Science系には投稿できない。これが現実の問題として表面化しているわけですね。
 ぜひ、具体的な改善策として、科研費の応募資格のある機関に所属しておられる研究者、それから、特別研究員等もそうなんですけれども、そういった方が一定の国際学術誌で採択された場合には、論文投稿出版料を、日本の学術界として、あるいは、文科省として支援すると。何かそういう競争的資金制度とは違う新しい枠組みが要るのではないかということを、最近強く感じるところでございます。そうすることによって、お金の縛りなく、研究者の皆さんが自由にいい研究を国際誌に公表するチャンスをどんどん増やしていただきたいと最後に申し上げて、退出させていただきます。ありがとうございます。
【大野分科会長】  どうもありがとうございました。
 既にもう時間となりつつありますので、もし最後にこれだけはということがなければ、第11期の議論をこれで終わらせていただきます。
 それでは、これで本日の議題を終了とさせていただきます。
 最後ですので、私から一言だけ皆様に御礼を申し上げます。今回も時間いっぱい様々な御意見をいただきました。今回は「総合知」であったり、あるいは、ポストコロナ禍での学術の振興策なども一緒に議論させていただきましたし、12期に向けて何を考えなければいけないかも意見交換いたしました。単に、「単にがいいんだ」というお話もありましたが、ぜひそれらの点を次期の皆様に御議論いただければと思います。
 学術研究の振興は、日本にとって極めて重要なことですし、世界にも貢献していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 これまで学術分科会で参加されてこられた皆様、そして、科学官・学術調査官、さらには事務局の皆様に御礼を最後に申し上げたく思います。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局にバトンをタッチしたいと思います。
【二瓶学術企画室室長補佐】  大野分科会長、ありがとうございました。
 最後になりますけれども、事務局からも御挨拶させていただければと思います。研究振興局長の森から挨拶をさせていただければと思います。
【森研究振興局長】  大野分科会長をはじめ、委員の皆様方には、2年間にわたりまして、大変お忙しい中、時間を割いていただきまして、本学術分科会、また、各部会等の議論にも御参加いただきまして、誠にありがとうございました。
 今、大野分科会長からお話ございましたように、様々な角度から御議論いただいたわけでございますし、中には、本日の部会でも伺ったように、科研費の今後の進むべきありようでありますとか、あるいは、大学共同利用機関、共同利用・共同研究拠点、学術の大型プロジェクトについての評価、それから、審議もいただいたところでございます。また、加えて人文学・社会科学の振興方策について、モニタリング指標等も含めて検討いただき、御意見をいただいたわけでございます。
 本日の最後のところで、今後の御議論等についても御示唆をいただいたところでございますけれども、文部科学省といたしましても、今後とも我が国の学術研究の向上に向けまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
 今後とも委員の先生方におかれましては、引き続き、文部科学省に対しまして御指導、御助言を賜ればと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 誠にありがとうございました。
【二瓶学術企画室室長補佐】  以上をもちまして、第87回学術分科会を閉会とさせていただきます。本日の議事録につきましては、後日メールにてお送りいたしますので、御確認をお願いいたします。
 御退席の際は、画面右下の赤色のボタンから御退席ください。
 本日は誠にありがとうございました。

 

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