研究環境基盤部会(第31回)・研究環境基盤部会 学術研究の推進体制に関する作業部会(第19回)合同会議 議事録

1.日時

平成20年5月15日(木曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.出席者

委員

(委員)
佐々木部会長、三宅委員

(臨時委員)
飯吉主査、伊井委員、井上委員、岡本委員、甲斐委員、塚本委員

(専門委員)
稲永委員、海部委員、川合委員、西岡委員、松田委員、山本委員

文部科学省

徳永研究振興局長、戸渡政策課長、森学術機関課長、松永研究調整官、その他関係官

4.議事録

【佐々木部会長】

 それでは、ただいまより、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会(第31回)と、学術研究の推進体制に関する作業部会(第19回)の合同会議を開催する。
 本日の議題は、審議のまとめ(報告)(案)である。
 それでは、事務局から配付資料の確認及び傍聴登録の状況等を説明いただきたいと思う。

【中野専門官】

 まず、配付資料の確認をさせていただく。
 お手元の封筒の中に資料が入っている。議事次第の4に配付一覧があるが、本日、資料1として、審議のまとめ(報告)(案)である。資料2は、同じく(報告)(案)であるが、これは先般パブリックコメントにかけたバージョンからの見え消し版である。資料3は、学術研究の推進体制に関する審議のまとめ(案)に関する意見募集の結果、いわゆるパブリックコメントの結果の資料である。資料4は、報告書をおまとめいただく際の資料(案)として用意したものである。分厚い資料である。資料5は、平成18年度「学術情報基盤実態調査」の結果報告についてということで、紙の資料とともに冊子の薄紫色の資料を入れさせていただいている。
 配付資料は以上である。そのほか、机上資料として、封筒の外に置いてあったかと思うが、学術研究の推進体制に関する審議のまとめ(案)に関する意見募集の結果についてという、パブコメの結果についての資料を置かせていただいている。また机上に、前回までの資料とこれまでの審議会の答申等をつづったドッチファイル2冊を置かせていただいている。
 資料について欠落等があったら、事務局のほうまで申しつけいただくよう、お願いする。
 また、本日の傍聴登録であるが、26名の登録をいただいている。
 以上である。

【佐々木部会長】

 それでは、議事に入る。
 本日は、これまで審議を重ねてまいった学術研究の推進体制について、最終的な報告の報告書の取りまとめを行いたいと考えている。
 前回からの状況をご説明すると、2月22日の会議開催後、委員からメールでいただいた意見を踏まえて修正をし、そして、4月1日から4月30日の30日間、文部科学省ホームページ上においてパブリックコメントを実施し、多数の意見を頂戴したというところである。また、その間、4月8日には学術分科会が開催されたので、私のほうから当会議の審議状況とその内容について報告をしたところである。
 本日は、パブリックコメント等を踏まえた修正案を用意しているので、まず事務局から説明をいただき、続いて審議を行いたいと、このように考えている。
 なお、事務局より5月29日を会議の予備日とする連絡をしていただいているかと思うが、私としては、本日の会議でいただく意見をもって報告書を取りまとめたいと思うので、そのような観点からご発言を賜りたいと思っている。
 それでは、その修正点を中心にして、事務局から説明をお願いする。

【中野専門官】

 報告書(案)の説明の前に、パブコメの結果について簡単にご説明したいと思う。お手元の資料3をご用意いただきたいと思う。
 ただいま部会長からあったように、4月1日から4月30日の30日間にわたって、一般の方からの意見募集をした。その結果であるが、個人の方26名から40通、そして団体の方8団体から16通、合計で56通のご意見をいただいたところである。内訳についてはそこに記載しているとおりで、職業的には、大学関係者の方が個人で24名、大学共同利用機関の関係者が1名、その他1名ということになっている。また、団体としては、2つの大学、それから大学共同利用機関法人として1法人、そして、その他大学関係の団体として5団体から、ご意見をいただいたところである。
 2ページ以下に主な意見をまとめてある。本文の記載項目に従ってまとめたもので、パブコメ全体については机上資料のほうに時系列でいただいた意見そのものを置かせていただいているので、必要に応じてご参照いただければと思う。
 主な意見として、まず基本的な考え方については、学術研究の意義ということについて、極めて重要な指摘であるというようなご意見。あるいは、学術研究の政策的推進ということについて、例えば、社会的要請に基づく政策的緊急課題についても、国の学術政策として重点的に推進すべきというようなご意見をいただいている。
 2の学術研究組織の整備についてであるが、附置研究所等の位置づけ、役割などについて過不足なく記述されていて、強くサポートしたいというようなご意見。あるいは、3つ目であるが、ある程度長期的視点に立って継続的な研究を行う環境を整えることが重要であるというようなご意見。また、3ページに行って、私立大学の学術研究の推進に公的支援が十分に行われていないということを課題として明記すべきだというようなご意見。また、公立大学について、国私立大学の説明に比して不十分であるので、記述を補強していただきたいというようなご意見。あるいは、附置研究所の見直しの際には、研究面からだけではなく、学際融合的な大学院教育という視点も極めて重要であるというようなご意見をいただいている。また、その2つ下であるが、附置研究所が横の連携を持って、融合・新領域開拓、緊急課題解決などを進める方向の可能性も認識してほしいというようなご意見。さらには、研究組織のミッションと、共同利用化、共同研究拠点化について、バランスある発展を展望できる制度設計をしてほしいというようなご意見をいただいている。
 学術研究組織の整備に関する大学と国の役割については、国の役割として、新たな学問領域に係る研究組織や国内で唯一の研究の場となる研究組織について、一概に共同利用・共同研究型として組織できないことも予想されるが、世界的にも研究活動が高く評価されている場合は、我が国の学術政策として重点的に支援すべきというようなご意見。あるいは、一番下であるが、将来的に学術研究の大きなブレークスルーにつながる重要な基礎研究を発掘することが可能なサーベイシステムが必要ではないかというようなご意見をいただいている。
 4ページに参って、国立大学法人に対する国の関与の見直しということについては、附置研究所を国立大学法人の中期目標の記載事項にしないといった場合に、大学法人の方針の変化、短期的な財政的な見地からのみの方針の変化があった場合に、附置研の長期的な運営に大きな支障を来す可能性が高いことが危惧されるというようなご意見。あるいは、国立大学法人がみずから必要であると判断した附置研・センターの研究組織については、次期中期目標の記載事項とすることを妨げないとするべきであるというようなご意見。それから、下から3つ目であるが、共同利用・共同研究拠点ではない研究所・センターの中にあっても、1.大学の重点研究を担うような組織と2.そうでない組織に分かれ、1.のタイプに限っては、記載事項となる可能性についてご検討いただきたいというようなご意見。その次であるが、共同利用・共同研究拠点となる研究所・センターとそれ以外について、前者の拠点が格上であるというような印象を受けるので、格付や優劣をつけるのがねらいではないということを公表・明記して、ご配慮いただきたいというようなご意見をいただいている。また、5ページに参って、中期計画記載の有無にかかわらず、学術の多様性と継続性、個々の大学の個性を確保してきた研究所・センターの役割が変わらず保てることを要望するというようなご意見をいただいている。
 3の共同利用・共同研究の推進、意義・役割のところであるが、研究者コミュニティの定義を明確にしていただきたいというご意見。また一方では、コミュニティの定義について、一律的なものとせず、学問分野やそれぞれの研究機関のミッションに応じて柔軟に研究者間の合意形成が行えるようにしてほしいというようなご意見もいただいている。
 共同利用・共同研究の課題と今後の方向性については、公私立大学についても拠点として位置づけるという指摘について、極めて重要であるというようなご意見をいただいている。
 また、制度的位置づけの明確化については、その明確化を強く望むというようなご意見を何件かいただいている。また、大学内外の研究者コミュニティと大学法人との間で意見の齟齬が生じた場合に、そのような問題を回避するための具体的な方策についても提言が必要ではないかというようなご意見をいただいている。
 また、ネットワーク型の拠点の形成に関して、中心となる研究所を1つに限定せずに、特定の研究領域に関して各地域を代表する研究所が全国的ネットワークを形成するというようなケースも含めるべきというようなご意見。あるいは、一番下であるが、研究組織に附属するサブ組織であっても、これを拠点となる研究組織として位置づけることを可能にすることが考慮されてよいというようなご意見をいただいている。
 また、3番として、共同利用・共同研究拠点のあり方について、運営体制に関して、研究コーディネーターの育成も重要な課題になるというようなご意見をいただいている。また、支援体制に関して、一番下のマルであるが、支援者側が高度な能力を有していることも必要であり、そういった体制の構築が必要であるというようなご意見もいただいている。
 また、人材の流動性について、各種フェローシップ制度の活用、あるいは代替教員の確保に必要な経費の支援の方策という記述があったが、その実現に期待したいというようなご意見をいただいた。
 また、人材育成について、附置研における教育の制度的基盤が不明確であり、大学院生等が共同利用・共同研究拠点で共同研究に参加するための制度的基盤の整備が不可欠だというようなご意見をいただいている。
 また、評価に関して、関係者の負担が軽減されるような体制としてほしいというようなご意見。あるいは、評価の観点として、業務運営面だけではなく、母体となる組織の研究成果や国際競争力の重要性が明記されるべきであるというようなご意見をいただいている。
 8ページに参って、共同利用・共同研究拠点の整備であるが、拠点に関する明確な基準を提示していただきたい。あるいは、今後のスケジュールを示していただきたいというようなご意見。ネットワーク型の拠点が混在した研究所の場合に、研究所全体を拠点として申請するのか、それぞれの拠点機能について別々に申請していくのかというのがわからないというようなご意見もいただいている。また、研究の多様性の確保という観点から、大規模大学に少数の拠点のみがあればよいというものではなく、地方大学にも魅力ある研究拠点を設けるといった観点から、拠点形成プログラムに多様性を持たせることが重要というようなご意見もいただいている。
 また、経費の負担に関して、研究に対する投資を全体として増額させるべきである。あるいは、運営費交付金の長期削減傾向の中で共同利用・共同研究経費を確保・保証するために、これを明示した研究資金を手当てする仕組みが望まれるというようなご意見。あるいは、競争的研究資金での対応は長期的には困難であり、安定的な推進が必要であるというようなご意見。あるいは、共同利用・共同研究において、国際競争力を維持・強化させる上で、設備の高度化や新たな機能を有する設備の開発研究等が必要不可欠であり、そういった観点の経費の措置についても重要であるというようなご意見をいただいている。
 大学共同利用機関法人に期待される役割として、関連して、共同利用と共同研究の両側面を有するという認識が重要であり、さらに、それらの割合は、機関や、あるいは学問の進展段階に応じて変化してくるというようなご意見。また、大学共同利用機関の効率的な編成は重要であるが、学問上小規模でも独自性を保つような編成の仕方が望ましいというようなご意見をいただいている。
 最後、4番の学術研究の大型プロジェクトの推進については、大型プロジェクトの審査過程を公表していただき、透明性を担保していただきたいというようなご意見をいただいている。
 また、そのほか総論的なものも含めて最後にまとめているが、今回の本審議のまとめ(案)では、国立大学にのみ偏することなく、広く国公私立大学を視野に入れたものとなっており、基本理念は大いに歓迎すべきものであるというようなご意見。あるいは、10ページに参って、ITの活用も考慮すべきだというようなご意見。あるいは、3番目のマルであるが、博物館や図書館等も視野に入れるべきではないかといったご意見。さらには、国立大学の研究の内容を精査すべきであるというようなご意見。また、学術研究の支援体制は理想的な総花的なことはできるはずがないので、選択と集中が必要であるというようなご意見。あるいは、企業や民間の研究所も含めて日本の科学技術や文化全体との関連での審議が必要であるというようなご意見。そして、最後であるが、学会について、学会の役割も評価して、学会を学術研究体制の中に積極的に位置づけることを検討すべきではないかというようなご意見をいただいている。
 その他、全体については、机上資料のほうをご参照いただければと思う。
 続いて、報告書(案)についてご説明をさせていただく。資料1が案であるが、資料2のほうが見え消し版になっているので、資料2でご説明をさせていただきたいと思う。
 この資料2は、4月にパブコメにかけた時点の案について委員の先生方にメールでお送りしているが、そこからの修正点をアンダーラインで示したものである。
 まず変更点の概要であるが、一つには、この資料2の一番最初であるが、「学術研究の推進体制に関する審議のまとめ」というタイトルに、中身がわかるようにということでサブタイトルをつけてはどうか。具体的には、「国公私立大学を通じた共同利用・共同研究の推進」というサブタイトルをつけてはどうかという案である。ご意見いただければと思う。
 また、大きな変更として、本文の前に、2枚めくっていただいた1ページ以降であるが、「はじめに」という部分をつけている。こちらについては、後ほどご説明させていただく。
 また、本文の修正であるが、今ほどのパブリックコメント等も踏まえて、誤解のあるような表現があった場合について、わかりやすく修正をするというような記述の修正。あるいは、パブコメを踏まえて、新しい観点の追加といったことを盛り込んでいる。あわせて、表記の統一等や誤記の修正、それから、本文の中で小見出しをつけていた部分が従来からあったが、少し長くなっている部分について、小見出しの部分を若干追加をさせていただいている。また、最後にご説明するが、共同利用・共同研究拠点の整備に関して、前回、パブコメの前のご審議のときに整備のイメージということで別紙というものをつけていたが、パブコメのときには、時間的にもこの別紙についてはまだ審議ができていないということでパブコメにはかけていないが、本日改めてご審議をしていただきたいと思っている。一番最後の20ページのところである。
 まず、「はじめに」のところであるが、1ページをおあけいただきたいと思う。「はじめに」として、この審議の経緯的なことをまず書いている。これを読み上げさせていただく。
 平成18年12月、教育基本法が改正され、大学の役割が初めて明記された。「知識基盤社会」と言われる21世紀において、学術の中心として多様な知の創造と高度な人材育成を担う大学の役割と、それに対する社会の期待は、ますます高まっている。我が国の発展の基礎となる多様な学術研究を長期的な視野に立って推進することは、国の重要な責務である。
 学術研究の発展のためには、その中心的な担い手である国公私立大学や大学共同利用機関における研究組織の活性化が不可欠である。従来、学術研究組織に関する国の推進施策は、主として国立大学を対象として実施されてきた。国全体の学術研究の更なる発展のためには、国公私立大学を通じ、それぞれの研究組織が研究ポテンシャルを最大限に活かして研究活動を実施するとともに、相互に連携・協力することが重要であり、国の推進方策も、国公私立大学全体を通じた視点での新たな展開が求められている。
 他方、平成16年4月の国立大学の法人化や公立大学法人制度の創設等を契機に、国公私立大学を通じ、各大学が競争的な環境の中でそれぞれの特色を活かし、主体的・戦略的に組織編成や資源配分を行って研究活動を展開することが期待されているが、厳しい経営環境の中で、新たな研究組織の整備などは容易でないのが現状である。国として基盤的経費を確実に措置し、各大学の取組みを支援するとともに、研究組織の存在意義や役割等を改めて明確にすることが求められている。
 また、各大学の戦略や大学間の競争は重要なことであるが、一方で国全体の学術研究の発展のためには、所属機関の枠を越えて研究者が共同する横のつながりも重要であり、そのための体制整備が必要である。従来、大学共同利用機関や国立大学の全国共同利用型の附置研究所等を拠点として行われてきた共同利用・共同研究は、研究者コミニュティの意向を踏まえた運営により全国の研究者の知を結集する優れたシステムであるが、国立大学の法人化に伴い、全国共同利用型の附置研究所等も法人内の資源配分の中に位置付けられることとなり、大学の意向と研究者コミュニティの意向との調整が困難な場合が生じるなど、大学の枠を越えた取組が困難になる可能性が指摘されている。共同利用・共同研究の意義・役割を再確認するとともに、今後の方向性を新たな視点から検討することが求められている。
 さらには、これらの共同利用・共同研究拠点を中心に国立大学等の予算の中で推進されてきた学術研究の大型プロジェクトについて、国立大学の法人化後、新たなプロジェクトを推進するための手続きが定まっていないという課題もある。政策主導で実施されるいわゆるトップダウン型の大型プロジェクトとは異なる学術研究の大型プロジェクトの意義を明確にしつつ、国としてボトムアップ型の大型プロジェクトを推進するための意思決定プロセスのあり方等を検討することが求められている。
 このような状況を踏まえ、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会では、大学等の研究組織の活性化を図る観点から、国公私立大学を通じた学術研究機関における研究組織の意義・役割や、国による関与・支援のあり方など、今後の学術研究の推進体制のあり方について検討を行うため、平成18年11月に「学術研究の推進体制に関する作業部会」を設置し、同年12月より○回にわたって審議を行ってきた(平成19年2月からの第4期科学技術・学術審議会からは、同作業部会と研究環境基盤部会の合同会議で審議)。審議にあたっては、国公私立大学及び大学共同利用機関の関係者や有識者から学術研究の推進体制に関する現状と課題等について御意見を伺うとともに、委員が大学の附置研究所等を訪問して大学執行部や研究所長等の関係者と意見交換を行い、審議に資することとした。また、平成19年6月には、その時点での審議経過の概要案をまとめ、学術分科会や科学技術・学術審議会総会に報告して審議を行い、その後この概要案をもとに、関係者からのヒアリングを実施した。さらに、平成20年4月には国民一般への意見募集を行い、寄せられた御意見も踏まえつつ、最終的な検討を行い、本報告書をとりまとめた。
 本報告においては、学術研究の意義やその政策的推進のあり方、学術研究組織の整備に関する大学と国の役割分担のあり方、国公私立大学を通じた共同利用・共同研究の推進のあり方、学術研究の大型プロジェクトの推進のあり方などについて、基本的な考え方と今後の方向性を示した。今後、国において、本報告の内容に沿って、具体的な措置を講ずることを要請するとともに、各大学等や研究者コミュニティにおかれては、本報告を参考として、学術研究の推進に向けた取組を充実されることを期待したい。
 以上である。
 この「はじめに」については、本日初めてごらんいただくたたき台であるので、後ほどご意見をいただければと思う。
 3ページ以下の本文に入る。アンダーライン、まず学術研究の意義について、(2)であるが、「社会発展の基盤を形成し」の後に、「人類の福祉の向上に資するものである」ということを追加している。
 また、学術研究の政策的推進の(2)のところでは、学問の保障について、「尊重」という表現であったが、「学問の自由を保障」ということに記述を修正している。
 それから、5ページである。2の学術研究組織の整備であるが、(2)の前に小見出しを追加している。「学術研究組織の意義・役割等」という小見出しを追加している。また、下から4行目であるが、「長期的な視野に立った研究推進が必要」、これは、従来、原文のほうでも「ある程度長期的・継続的に取り組むべきものがある」ということを言っていたが、より明確にするために記述を追加している。
 6ページに参って、(4)の上、こちらも、少し長くなっていたので、小見出しを追加している。「国公私立大学等の研究組織の現状の課題」である。
 (6)、私立大学の部分であるが、(6)の中ほど下のほうであるが、「私立大学は授業料を主な収入源とし、主に自己収入によって研究環境を整備しなければならないことから」ということを追加しており、「多くの私立大学では、先端的な研究のために必要な組織を整備したり、優秀な研究者を研究所等で研究活動に専念させたりすることが困難」というところにつなげている。
 また、7ページ、(7)、公立大学のところについては、「国公私立大学のない地方都市や中山間地域において研究活動を実施したり、特色のある研究組織を設置する大学も見られるなど」という部分を追加している。
 8ページに参って、ここは学術研究組織の整備に関する大学と国の役割のところであるが、国の役割の部分の(5)として、学際的・学融合的分野等の支援ということに関して、各大学の取り組みに加え、「大学間の連携による取組」ということを追加している。
 9ページに参って、(6)、国立大学法人に対する国の関与の見直しであるが、原文において、「国の関与を廃止すべきであり」の後、「中期目標の記載事項としないことを検討する」ということで、その主体がちょっとわかりにくくなっていたが、「今後文部科学省において次期中期目標・中期計画のあり方を検討する際には、附置研究所の設置を中期目標の記載事項としないことを検討する必要がある」ということで主体を明確にしている。
 それから、若干、誤記の記述、直しもあるが、11ページに行っていただいて、共同利用・共同研究の課題と今後の方向性のところであるが、(4)の前に見出しを追加しており、「一分野一拠点の原則の見直しと柔軟な形態の拠点整備」と入れている。また、その(4)の最後のところは若干新しい事項として追加しているが、その前段で分野の話をしている。それを受けて、「なお」として、「幅広いミッションを掲げる大規模な研究所等においては、その一部が拠点となったり、場合によっては一つの研究所が複数の拠点を包含したりすることも考えられるが、そのような場合には、当該研究所において、研究所全体のミッションと拠点の活動との整合性や、研究組織全体の運営と拠点の運営との関係に十分留意することが求められる」としている。これは、先ほどパブコメの紹介でも申し上げたが、大きな研究所の中のサブセンターというような扱いというところが明確でなかったところがあるので、そういったことも可能であると言った上で、ただし、そのような場合に、当該研究所のミッションとの関係等を十分、当該研究所において留意することが必要であるということで原案をつくっている。ご意見をいただきたいと思う。
 また、12ページ、ネットワーク型の拠点の形成のところについては、ネットワーク型の例として従来からあった2.について、若干、絵のほうでは言っていたが、わかりやすくするために、バーチャルな拠点に関して、「国公私立大学の関連の研究者が所属機関に在籍したまま一定期間拠点に参加する」ということで記述を追加している。また、その下であるが、これはもともと例ということでお示ししていたものではあるが、そこをより明確にするために、「その他、研究分野の特性に応じ、多様な形態を工夫すべきである」ということを追加している。また、「その際」ということで、先ほどにも関連するが、「大規模な研究所等の部内組織が他の研究組織とネットワークを形成することも考えられる」というふうに追加をしている。
 それから、13ページに参って、拠点の人材育成の部分について、「若手研究者の共同利用・共同研究への参加を推進し、関連分野の人材育成に積極的な役割を果たすことが望ましい」と修正をしている。
 それから、15ページに飛んでいただくが、拠点の新設に係る手続等の中で、(6)、既存の拠点組織についての評価ということが書かれている部分であるが、「なお」として、「国による評価の実施にあたっては、拠点組織が実施する外部評価の資料等を活用するなどの工夫により、研究者の負担の軽減に留意することが適当である」。ここも実質的な追加であるので、ご意見をいただければと思う。
 それから、16ページ下ほど、(11)のところであるが、ここは、前回の審議会の案でもお示ししたように、共同利用・共同研究で言ってきたことを踏まえて、拠点の整備、それから、それに対する支援のあり方について、国において具体的な制度設計を行うことが必要であるという宿題をいただいている部分であるが、「その際、国公私立大学に設置する拠点の整備については、別紙のイメージにより、文部科学大臣が拠点を位置付けることとすることが適当である」としている。
 別紙は20ページであるが、本文を先に説明してしまうので、別紙は後ほど申し上げる。
 17ページ、学術研究の大型プロジェクトの推進のところについては、意義のところで「世界に貢献」というところを追加しているのと、(3)、学問の自由のところも、「尊重」というところから、「保障」ということに修正をしている。
 また、19ページの最後の部分であるが、原案だと(7)の前に「大型プロジェクトの推進やその評価については、日本学術会議においても議論が進められているところであり、今後国において更に具体的な手続きを定める際には、留意する必要がある」としていたが、その後にまた評価ということが出てきているので、記述の順番を入れかえて、評価の後、(8)として同じ記述を移動している。
 以上が本文で、20ページの別紙、先ほど申し上げた16ページを踏まえての部分であるが、これは2月に開催した前回の会議から若干修正も加えている。ご審議いただきたいと思う。
 「国公私立大学を通じた共同利用・共同研究拠点の整備等について(イメージ)」ということで、「研究者コミュニティの要請と大学からの申請を踏まえ、文部科学大臣が、国公私立大学の研究施設を、共同利用・共同研究拠点に位置付ける(認定等)」ということである。
 ここに書いてあることは、本文に書いてあることのエッセンスを抜き出したつもりであるが、まず「手続き等」として、共同利用・共同研究拠点を設置しようとする大学から文部科学大臣に申請していただく。その際、括弧内にあるように、複数の研究組織がネットワークを組んで拠点を形成しようとする場合には、関係の大学が共同して申請する。申請の際には、拠点形成に関する研究者コミュニティからの要望、あるいは拠点の計画等をご提出いただくというイメージである。2で、それを踏まえて、文部科学大臣が科学技術・学術審議会当部会に意見をお聞きする。で、基盤部会において妥当性の審査をしていただき、文部科学大臣として、拠点の決定・通知・公表をする。これらの位置づけについて、一定期間ごとに更新をする等々である。
 2番として、拠点の基準である。まず、研究者コミュニティからの要望があること。研究者コミュニティの意向を運営に反映するため、外部の研究者に開かれた運営体制が設備されていること。ここで括弧として、本文のほうには明確に書いていなかったが、外部委員が半数程度以上を占める運営委員会等を設けることとしてはどうかということである。共同利用・共同研究を広く公募し、外部の研究者を含む合議体により採択を行う仕組みが整備されていること。また、共同利用・共同研究に関する情報提供、研究成果の情報発信のための仕組みが整備されていること。共同利用・共同研究の参加者に対する支援体制が整備されていること。当該研究組織に研究の実績があること。一定規模の共同利用・共同研究の参加者が見込まれること。国全体の学術研究の発展に寄与すること。これらが基準として考えられるのではないかということである。
 それから、最後、3番であるが、基盤部会において審査いただく際の観点のイメージとして、拠点の計画内容が研究者コミュニティの要請を踏まえたものとなっているかというような観点。また、計画に具体性・実現性があるか。当該研究組織の研究環境・体制・実績等に照らし、COE性があるか。拠点の形成により、当該学問分野の発展にどのように寄与するか。内外の研究動向や国の学術研究全体の中での当該分野の役割の重要性等も踏まえ、拠点形成の必要性があるかといった観点としてはどうかということである。
 以上である。

【佐々木部会長】

 それでは、ただいまの説明を踏まえ、審議を行いたいと思う。私からのお願いであるが、いわゆる見え消しで今度新しくつけ加えられた点を中心にご意見を承りたいと思う。特に、「はじめに」というのが新たにつけ加わっているので、そこは初めてであるので、「はじめに」については特に、意見があればいただきたい。字句の問題等も含めていただきたいと思うが、順次、この棒線部分を中心に審議を進めてまいる。
 それでは、「はじめに」から、読んでお気づきになった点があれば、ご意見をお出しいただきたい。
 それでは、海部委員からどうぞ。

【海部専門委員】

 例によっていつも同じ歌を歌うのだが、まず表紙であるが、サブタイトルがついている。「国公私立大学を通じた共同利用・共同研究の推進」。これは、後でも出てくるが、大学共同利用機関はもう共同利用なんだからいいんだという感じで外に置かれているが、実はそうではない面がある。後のほうでもあるが、例えば新しい拠点形成のところでは大学共同利用機関は触れられてないけれど、大学共同利用機関と大学とが一緒になって拠点形成するというケースはまさにいろいろあるわけだ。そういう点も考えると、やはり少なくともここは国公私立大学等、いつも「等」にされるが、せめて「等」は入れていただく。「はじめに」のところも、大学共同利用機関も関係していることはちょっと明確にしたように、言葉遣いをご留意願いたい。一々申さないが、そういうことをまずお願いしておきたいと思う。
 ついでながら、全体として「はじめに」は、拝聴したが、かなりよくまとまっているというのが、私の印象である。

【佐々木部会長】

 それでは、具体的には表題のところについてご検討いただきたいと。確かに、ご指摘は根拠がある。誤解を避ける意味でも、ちょっと検討させていただきたい。
 ほかに、「はじめに」のところはないか。
 では、これはきょう初めてごらんいただいたものだから、後でまたご意見あれば、伺わせていただく。
 それでは、3ページ目は、憲法に書いてあり、人類の福祉の向上に資するものであることはもちろんそうであろうから、ここはよろしいかと思うが、よろしいか。
 4ページはなくて、5ページは少し区分けが入っているが、特に問題点はないか。よろしいか。
 次に、6ページ目で、これは国公私立大学等の組織の現状のところであるが、そこで若干、国立大学の場合、それから、私立大学の場合、公立大学の場合について、その活動及び現況について追加的な記述がなされているが、それぞれの大学の関係者から何かご発言があれば。

【稲永専門委員】

 関係者ではないが、公立大学のところの記述だが、下線で新しく加えた3行目、「国私立大学のない地方都市や中山間地域において研究活動を実施したり」と。これは必ずしも公立大学の特徴ではない。国立大学、私立大学もやっておると思うので、ここは、地域の要望の強い研究分野、例えば、間違ったらお許しいただきたいが、秋田なんかは、秋田大学に農学部がないので秋田県立大学にそういうものをつくったように記憶しているし、広島なんかにおいても同じような、広い意味のはあるが、農学というような。それから石川県は、金沢大学に農学がないので、短大から改組して石川県立大学と。だから、地域のニーズがあって、そこにある国立大学や私立大学ではカバーし切れないところを公立大学が使命を負ってつくったということがあると思うので、その辺を特徴として記載するほうがよろしいのではないか。中山間地は今、大規模大学でも一生懸命入り込んでいるところもあるので。
 それから、特色ある研究組織と言う場合に、具体的にどういうものがあるのか少し例示をすると、一般的な表現よりも理解を得やすいんじゃないかと思う。ただ、これについては、私は特に事例を知らないので、もしなければお許しいただきたい。
 以上である。

【佐々木部会長】

 ほかにないか。

【山本専門委員】

 私立大学のほうだが、「私立大学は授業料を主な収入源とし」というのがちょっと正しいのかどうかよくわからないが、この後のほうは、見え消しじゃないところは正しいと思う。先端的な研究のためにこういうふうなことをするのは困難な状況にあるのは確かだが、授業料を収入源とするからではないのではないか。どういう理由なのか、ちょっと難しくて言えないが、だからというのはちょっと違うかなと。
 それから、先ほどの公立大学の件だが、今おっしゃられたように、国立でカバーし切れないような人材育成ということを考えていて、看護系のところがあるとか、そういう県の事情ということでカバーするような、そういうふうなことをやっておられるケースが多いのではないかと思われる。

【佐々木部会長】

 今の2カ所について、何か事務局からあるか。授業料云々という話は、私もどう読んでいいのか。要するに、事柄自体は、授業料が大変大事な要素であることはわかるが、ただ、それと話の続きぐあいという話と、それから、公立大学については、ただいまお二人がご指摘あったような点について、こういう修文をした経緯も含めて、何かあればと思う。

【森学術機関課長】

 これはそれぞれ、パブリックコメントでも、関係団体からのご意見をもとに直しているが、私立大学のほうは、授業料ということは、意味があるということではないが、むしろ自己収入、授業料収入等とか、あるいは自己財源で研究環境を整備しなければならない状況であると。その点において国公立大学とは違うんだということもあって、研究環境の整備というのは、主に自己財源、授業料収入を含めた、そういうものでやらなければいけない環境にあるので、難しいような状況があるというような趣旨のご意見である。
 それから、公立大学のほうはこのような特徴を持っているということであるが、今、先生からあったように、地域のニーズに応じたものをやっているというのは、当然そうであるので、必要な表現は考えたいというふうに思っている。

【佐々木部会長】

 わかった。それでは、この2点については、何らかの修正を私にご一任いただきたいと思う。全体の流れからして特に本報告書の中枢的な部分に当たるわけでは必ずしもないと思うので、適宜、皆様方のご意見を参考にしながら考えさせていただきたいと思う。例えば私立大学については、最後は飯吉先生にも見ていただく。
 それでは、8ページは、下のほうに1カ所、新しくつけ加えた。それから、9ページは、真ん中ほどで、ここでもいろいろ議論が出た国立大学法人の話がまた出てきている。あと、下のほうに若干消したところがあるが、8ページ、9ページについていかがか。
 では、ここはこんな形で進めさせていただく。

【海部専門委員】

 これは確認であるが、これはさんざん議論をしたところなので、これで。パブリックコメントを見るとかなりここに注文がついているようではあるが、最後に「必要がある」というのをつけられた。前は「検討する」と言っていたのが、「必要がある」というのは、要するに今まで述べてきた論旨から、そうしなければならないんだという意味をここににじませたんだなというふうに思うが、若干あいまいにもなった。その辺のところはどうか。

【佐々木部会長】

 最終的にはこれ、中期計画、中期目標のスキームをどう設定するかということについて、我々以外の組織のところでこの問題を議論しなければいけないということであるから、我々が検討するとかいうような誤解を与えるのはやめたほうがよろしいのではないかということで、一歩、あいまいになったというか、距離を置いたというか、役目の整理をしたというのがむしろ趣旨だというふうにご理解いただければと思っている。だから、この前申し上げたように、本委員会でこれを決めるというわけにもちょっといかないものだから、いくという仕組みになっていないものだから、そういうことを、誤解を避けるためには一つ叙述面でつけ加えたほうが、海部委員が言われるようにちょっとあいまいになったというふうに受け取られるかもしれないが、趣旨は、これまで議論になってきたような形で、いろんな委員会の役割分担を前提にした記述により近づけようというようなことで、ここの前に加えたのもそういう趣旨だというふうにご理解いただければありがたいと思う。
 それでは、10ページ、11ページはいかがか。ここで、今の話とも関係しているが、特に11ページの右下の「幅広いミッション」云々という、これはおそらく大規模な研究所等においてということ、これはこの前から特に議論になっていた。だから、全部じゃなくて、その一部がお互いにネットワークをつくるような形を考えるんだと、こういうのもこのカテゴリーに入るんだと、拠点として認められるんだという話をしていたものだから、これをここに少し立ち入って記述をしたというのが事務局の原案なのだが、これについてご意見を。これは実質的なことにかかわることなものだから、ご意見を伺いたい。
 そうすると、A研究所の中に拠点が、このネットワークの拠点と、このネットワークの拠点と、いろんなものが入って、大丈夫かなというのは確かにあるが、でも、大きな研究所の場合はそういうことが研究の共同・連携としていいということは、ただ、そのときにもとの研究所の運営がどうなるかとか、どういうふうにされるのかという話、これはまた、どんな工夫がされるかはわからんけれども、ちょっと複雑な問題として注記しているということである。この記述はどうか。

【海部専門委員】

 ここは、私もちょっと気になった部分で、2点ある。
 1つは、この考え方であるが、この種のことは多分、実際には起こり得るので、想定しないわけにはいかない。ただし、うっかりするとこれは野放図になってしまって何が何だかわからなくなるようなケースも、時間がたつとあり得ると思う。だから、やはり研究所全体として拠点となるのが原則であるという、ある種の表現が必要なのではないか。それなしにこのまま出てしまうと、何段階にもこの種のものができていくという可能性すら考えられる。だから、この拠点を認める場合の考え方として、原則としては一組織一拠点だと。しかし、状況によってフレキシブルに考える。これは後で出てくるわけだね。最後のどういう基準でというところで、考える際の考え方にはある種そういうことを入れ込んだほうがいいのではないかという気がする。これは、この本文に入れるのがいいのか、基準のところでその種のことを入れるのがいいのか、どちらがいいのかなというふうに思っていた。それが1点。
 もう1つは、文章上のことだけれども、「十分留意することが求められる」だけではちょっと不十分で、つまり、仮に研究所全体としては共同利用ではない。しかし、その一部は共同利用であるということはあり得るわけだ、これだと。その際、やはり共同利用であるということで国の関与あるいは支援があるということだから、研究所はそれを保障する責任があると。十分に留意するというだけではなくて、研究所全体として責任を果たすという趣旨の言葉が欲しいというふうに思った。
 以上である。

【佐々木部会長】

 今の2点に対して、ほかの委員から何かあるか。

【甲斐臨時委員】

 私は、「一分野一拠点の原則の見直しと柔軟な形態の拠点整備」という言葉を入れていただいたことは、大変現実に即していて、ありがたいことだと思う。実際に大きな研究所が一分野で一拠点というふうにはなってなくて、そうなると、学問の進展に伴って一つの分野と次の一つの分野のほうが大きくなって、それが融合してまた大きな一つの拠点になるということはあり得ることであって、一分野一拠点を原則としというふうにかけると、足かせになると思う。現実に私の研究所なんかでは、例えばゲノムの拠点と言っていても、それががんのTRのほうの拠点になったり、感染症の拠点になったり、それがゲノムを使って感染症の発展になったりということで、現実にそれぞれが立派な拠点として動いているわけである。それが、最初に原則は一分野一拠点であるという足かせがあると、次の大きなところを走らせることに整合性を一々考えなければいけなくなるわけだ。だから、ここに「原則の見直しと柔軟な形態の拠点整備」という言葉を入れていただいたことによって、その学問の発展に即して動けると思う。その最後のほうに、研究組織全体が全体の拠点との運営の関係に責任を持って整合性を果たしていくことというような、そういうような文章を入れていただくのは構わないと思うが、原則は一分野一拠点なのだというふうに書くと、それは足かせになるかと思うので、このような柔軟な書き方のほうに賛成する。

【海部専門委員】

 それはおっしゃるとおりで、私も、今うっかりしたことを言ったなと思ったが、一研究所を原則としてとやると、それは一拠点の見直しにならない。だから、私はそのこと自体は賛成である。ただ、私は何となく心配な絵もかけるように思っているということだ。だから、そういうものを認める際の認め方について何らかの方策を考えたらいいのかとは思っている。そういう趣旨に修正する。

【佐々木部会長】

 飯吉委員からご発言あるか。

【飯吉主査】

 私は、これを読んでまずイメージしたのは、東大の生産研でしたかね。要するに、あそこは工学を研究テーマにしていて、わりあいと工学の中の一つのある限られたテーマを共同研究の対象にしているのではなくて、その学問全体、ある意味で工学全体をテーマにしていて、共同研究という研究所の体質は全部に共通しているというふうに僕は認識して、こういうふうな共同研究所もあるんだなあというふうに感じた。だから、研究所の運営の姿勢として、共同研究をいろいろなテーマについて全国的にやっている。これは非常に大きな規模の研究所に限られる話であって、したがって、むしろ私はちょっと質問なのだが、最後の「研究組織全体の運営と拠点の運営との関係に十分留意する」という、この表現がちょっとよくわからなかったので、むしろこのあたりで、今の海部先生の意見も含めて、いかがか。これはどういう意味なのか。最後の「研究組織全体の運営と拠点の運営との関係に十分留意する」というのは。

【佐々木部会長】

 これはいかがか。

【中野専門官】

 この研究組織というのは、ちょっと言葉に誤解があるかれしないが、上で言っている大規模な研究所等、研究所に直したほうがわかりやすいかもしれないが、研究所全体としてのミッションを踏まえた運営を考える場があり、さらに、その一部が拠点となった場合には、コミュニティの意向を踏まえた運営をしなければいけないということで、そことの関係をどうするのかということについてはしっかり留意をしていただくということで、これは、大学と全国共同利用の今の研究所との関係が研究所レベルで同じようなことが起こる可能性があるので、そこは留意してくださいという趣旨で書いている。また、記述、修正すべき点は、ご指示いただければと思う。

【佐々木部会長】

 山本委員、どうぞ。

【山本専門委員】

 いろいろ考えていたのだが、全国共同利用でないという、学内の附置研などでも、この間、東工大などに見学に行ったが、かなり大きくてしっかりした組織で附置研であるというところがある。そういうところはいろんな研究をやられておられるわけだが、そのうちの一部が共同利用になったということになると、そこは今おっしゃるように全体の研究者コミュニティに対して開かれた状態になるということになるが、そうすると、そういう共同利用の機関だと必ず運営協議会みたいなものがあって、それは外部の人も入って運営を組織するようになっている。そうすると、附置研で一部がそういうことになると、そこは運営協議会みたいなものを設けることになるのかどうか。
 それから、ネットワーク型の場合には、幾つかの違った研究所の一部分がネットワークになるかもしれないわけだが、そういうときには一体どういうふうに運営というものを考えていくのかについて、ちょっと具体的なイメージをお教えいただきたい。

【佐々木部会長】

 どうぞ、飯吉さん。

【飯吉主査】

 一部はやっていても、研究所全体としては共同利用という考え方をしてないというのは、やっぱり入らないんじゃないか。私が先ほど申し上げたのは、少なくとも研究所全体の姿勢は、共同利用・共同研究を大切にしてやっていく研究所なんだという、ちゃんとそういう意思表明がないと、大きな研究所の中の一部だけが共同利用というのは、ここで言う共同利用・共同研究にはならないと、私はそう理解したが、違うのか。

【佐々木部会長】

 海部さん。

【海部専門委員】

 そこは解釈の問題というか、私はどちらかというと、この文章がなぜ必要になるかというと、逆の場合のように思う。例えば、東大で言うと生産研は、全体としては共同利用研ではないが、かなり大きな組織としてほかの大学と連携して共同利用をやるというケースは、多分考えられると思う。それは歴史的にはある。従来、共同利用ということがそれほど一般的でなかった時期に実際に共同利用をやってきたような分野では、大学、あるいは学部の一部、研究所の一部が共同利用をやって、そのための運営委員会をつくってやるということ自体はあった。それは随分幾つもあって、そういうのを経ながら次第に共同利用という形態が一般化してきたという歴史はある。だから、それこそフレキシブルにこういうことをとらえて共同利用の芽を育てようとするならば、私はどちらかというと、現在、全体としては共同利用ではないと、それは運営上そうしないんだというところも実際あるわけで、その中では共同利用拠点ができないというふうになるのはやはりちょっとまずいかなと。私はむしろ、そういうのを育てるという趣旨でこれがあると思った。共同利用の大きな研究所が中に拠点をつくる場合、これは問題ない。運営は全体共同利用だから、それは何の齟齬も生じないが、そうでない場合に問題が生じるから、十分留意だけでなく、責任をということを、私は申し上げたい。

【飯吉主査】

 今、海部先生も生産研の話をされた。私も同じイメージで、だから、今度の中期目標・中期計画には、今までのままだったら載らないわけである。けれども、これからはそういう共同利用・共同研究拠点を載せるということになってきたわけだから、生産研はこれからはそういう共同利用というものを前面に出してもらわないと困るんじゃないか。そうしないといろんなものが混在してきて、これは入れるけど、これは入れないという話になってくる。違うか、この骨子は。

【佐々木部会長】

 この骨子は、一部分が入ると全部が入るというわけでは必ずしもない。入らないところも残るということが起こるために、そのマネジメントをどうするかという話が起こってくるということを想定して書いたのだろう、これは。だから、そういうことはあるべしと。

【森学術機関課長】

 例えば、附置研についているセンター、そこが共同利用になるというのであれば、そのセンターのためだけに共同利用の運営委員会をつくっていただくというのもあり得るわけで、そこは、具体の設計というか、それについては、多分、今後具体に構想いただいてということだろう。こちらとしては、できるだけいろんな先生方が主体的に構想されたものについて対応できるようにしておいたほうがいいという気がしている。

【飯吉主査】

 そうすると、中期目標には、附置研は載らないわけだね。センターは載るわけだね。

【佐々木部会長】

 いや、センターもいろんなセンターがある。

【森学術機関課長】

 今回の案は、結局、先ほどのあれだと、この部会としては、今まで附置研に対して、設置・改廃に対して認可的な取り扱いをしていたが、そういうことはこの部会としてはやめようと。それによって中期目標記載が影響受けるので、中期目標の記載をどうするのかについては、今後、評価委員会なり文科省等で次期に向けて検討するなら検討しようと、そういう話である。そういった共同利用・共同研究拠点の位置づけに関して、いろんな形態が今後あり得るだろうと。それは、研究所と考えていただく際に、そういう際にある部分がネットワークを組んでつくられる場合もあるんじゃないかと。ネットワークがつくられたものについては、ネットワークごとに運営委員会があるのだろうというイメージではあるが、そういった多様なものを今後対応していく必要があるかなというふうに思っていて、その中の一つとしてこういうケースもあり得るので、それに対しての留意というものを今後考えていかなきゃいけないということで案をつくっている。

【佐々木部会長】

 井上委員、どうぞ。

【井上臨時委員】

 この件に関して、やはり研究所の場合には、独立研究科なんかのいわゆる縦割り進化的なものではなしに、新しい、わりと学際的な融合的な複数の独立研究ごとに、所属ではなしに協力講座になっている、そういうような教員から構成されて、もともとこういう融合的な、そういうふうな特徴あるものが認められて全国共同利用型になっている。その中に、今お話の生産技術研究所は共同利用型ではないが、例えば金研の場合なんかでも、その学理と材料に関する学理の探究という、非常に広い、それが工学分野でもし拠点だと、あるいは理学分野で拠点だとすると、全然意味がなくなる。理学と工学が、あるいは化学と物理が融合し合って、初めてあのようになっている。それが別々になっては、やはりなかなかそういうようなのは難しい。これがひとり歩きして、そういうことになる。金研の場合にも、実際に運営協議会、全体的な運営協議会と同時に、例えば強磁場センターがある。そこで、その全体的な運営協議会のもとに3つか4つの協議会、全国共同利用型の研究会というか、そういう運営協議会が開かれている。全体は1つで、その中に3つ4つがあるという形で、それが個別になってしまうと、その研究所の特徴が薄らいでいくと、全国共同利用型のステータスがなくなってくるんじゃないのか。だから、その中に何個かあるという、それはよろしいと思うが、この文章がもしひとり歩きすると、そのそれぞれが1つずつになって、全体的にばらばらになって横の連絡がなくなると、特徴が薄らいでくる。そこがちょっと危惧されるけれども、今、甲斐先生がおっしゃられたこともある。だから、そのあたりはその中でどんどん融合していって自他ともに認められるようになれば、むしろ独立したセンターなり、初めてそういうことが可能になってくるのかなと思ったりもする。

【佐々木部会長】

 これはやっぱりチャレンジだから、今、井上さんが言われたように、いろいろ新しい問題が出てくるという可能性は排除できないだろうと思う。そういう意味で、全く安全、すべてすばらしいというわけにもいかない、いろんな問題が出てくると思う。ただ、先ほど来の皆さんからのお話を聞いていて、やっぱり組織面でグリップをきっちりかけたような形にしないと、わけがわからなくなってしまって、研究所と言うけどこれは何なのかという、これ自体がまた問題になっていくというようなこともあるので、可能性を開きつつ、その審査過程も含めてどういう形で何を見ていくかというあたりについては、やっぱりいろいろ議論が、きょう出たような議論はあるかなという感じが、私はしている。
 この文章そのものについては、私としては可能性を開いたほうがいいと思うが、海部さんから2つあったうちの後のほうについては、少し修文をさせていただいて、今、井上さんから出たような骨子も含めて、やっぱり責任体制の問題というのをきっちり書くと。山本さんが言われたように具体的にどういう運営になるかというのは、正直言って、ケース・バイ・ケースもあるし、いろんなアイデア、いろんな組織のつくり方が出てくるのだろうと、私は思う。しかし、井上さんが言われたように、1つの研究所の中に外部者が入るということは十分起こり得ることだろうと私自身も思っているが、ただ、ちょっと決め打ちができないというのも正直なところなので、組織運営のあり方と責任について十分な体制を整備するということを何らかの形でここで同時にうたっておくということは、「留意」ではちょっと弱いということについては、私も皆さんの意見を受けとめたいと思って、具体的にどういう文章にするかはちょっと考えるけど、そこの点は共通の意見としてよろしいか。そのあたりについて、皆さんから注意が出たと。危惧も場合によってはあるかもしれないというようなこともあったわけで、だから、海部さんが出されたうちの第2の部分について修文をさせていただくということでいかがか。
 それでは、そういう方針でこの件は取り扱いをさせていただく。
 次に、幾つか個別的なことが少しずつあるが、お気づきになった点があればご指摘をいただければと思うが、12ページ以後ではいかがか。

【伊井臨時委員】

 15ページの一番下のところでお聞きしたい。評価のことであるが、既存の組織について国の定期的な評価をするというのはよろしいのだが、「評価の実施にあたっては、拠点組織が実施する外部評価の資料等を活用するなどの工夫により、研究者の負担の軽減」ということがあるが、国が評価しようが、外部評価しようが、そこの研究組織の者は負担軽減になるのかどうか、そこらがよくわからないのだが、これはどういう意味なのか。

【佐々木部会長】

 何かあるか、事務局として。

【森学術機関課長】

 ここでは共同利用・共同研究拠点としての実施状況の評価という部分になっているが、その際には、この共同利用・共同研究拠点の定期的な評価のために改めて評価活動を一からし直すとかいうことではなしに、その研究所なりで定期的な外部評価もやっていることが多くあるので、それ等も活用するとか、あるいは、国立大学で言えば、中期計画終了時の評価とか、そういったものを活用するとか、そういうようなこともしながら、重複して新たに評価のための資料づくりとか活動をすることがないようにという、そういう意味合いである。

【佐々木部会長】

 これは実施細目レベルの話で取り扱えばいいかもしれないね、伊井さん。文章としては、今日つけ加えたところをこの本文につけ加える必要があるかどうか。今、課長が言われたようなことは、実際にやるときにどういうふうに考慮すればいいかという問題として処理したらいいんじゃないかなという感じを私は持つ。だから、ここの下線部は不要ということでどうか。

【稲永専門委員】

 そのほうがいい。

【佐々木部会長】

 そうしないと、何かここだけ特別みたいな印象を外部に与えるのはちょっとよろしくないので、私の提案は、15ページから16ページのところは削除して、実務的にそういうのを活用するということで問題ないんじゃないか。
 ほかにいかがか。
 特にご注意いただく点はないか。よろしいか。
 それでは、こうさせていただきたい。まず、確認的に申し上げると、6ページ、7ページのところは、そこで新たにつけ加えた部分についてはもう少し文章を整理・改訂するということで、ご趣旨は先ほどいただいたところである。それから、11ページの一分野一拠点の原則の見直し云々のところの一番最後の部分の文章を先ほど申し上げたような趣旨で書き改めるということにする。それから、15ページから16ページの3行のところは、削除をする、もとのままにしておく。というようなことについて、これはしなければいけないとして私が認識したところであるが、その具体的な文案についてはお任せいただくということを含めて、ご承認をいただいてよろしいか。
 それでは、本日のご意見を踏まえて修正を行って、その結果を皆様方にと伝えするようにしたいと思う。
 では本文に続いて、イメージの部分に移りたい。

【甲斐臨時委員】

 イメージの2の拠点の基準のところの3ポツ目の「共同利用・共同研究を広く公募し」というところだが、これは共同利用についてのことだけだろうと思う。共同利用研においては特殊設備・機器があるから、「広く公募し、外部の研究者を含む合議体により採択を行う仕組みが整備されていること」というのは共同利用研の基準だと思うのだが、今考えられている共同研究も拠点の基準になるとするならば、共同研究というのは、もっと自由に話し合いによって自然発生に生まれてくる共同研究って多くて、それ1つ1つ上がってくるたびに外部委員会の合議をしなければならないということは、おかしいと思う。もっと自由に始まっていいと思うので、これを残すのであれば、「共同利用は広く公募し」というふうに「共同研究」を外してもいいんじゃないかと思う。

【海部専門委員】

 私の印象から言うと、むしろ共同研究というのは、大型の設備は持たないけれども、非常に広い分野、例えば、今、大学共同利用機関で言うと日文研は、先生がおられるが、そういうところはむしろ共同研究を広く公募される。しっかり審査をされていくという、そういう面があるからここにこう入っているというふうに私は思っている。

【伊井臨時委員】

 いろいろある。研究組織のメンバーと外部の人とが一緒にいろんな問題を取り上げて、共同研究をしていく。それを外部評価委員が、これは採用しよう、予算をつける、ということでやっている。

【甲斐臨時委員】

 そうしたら、予算をつけないような共同研究の場合には関係ないわけだね。

【伊井臨時委員】

 それは自由に施設を使ってやればいいことだ。

【甲斐臨時委員】

 現在、この拠点として申請を出すような、外部コミュニティから求められている共同研究が盛んに行われているような、拠点化しているようなというような条件に合うような共同研究は、研究所から予算がついて、じゃあやろうと大型共同研究が始まったということだけではないと思う。私たちのような大きな研究所で行われている共同研究というのは、自然発生的に始まったようなのでものすごく大きな組織がだんだんできてきてというようなこともあるし、もうネットワークが既にできていて、それに対して一緒にやりたいという人たちが来ても、それを一々審査して、この共同研究はやっていいよとやらなければならない理由がない。つまり、予算があれば、それでは合議してお金をつけようだが、そういうことをされていない。もし予算の措置がないのであれば、それを毎回広く公募して外部の研究者を含む合議体をやる必要はない。そこに拠点があって、一緒にやれればいいと思う。だから、こういうふうに書かれると、共同研究の拠点になったところの研究所と共同研究をしたい人は公募をしないといけなくなるので、ちょっと狭い縛りかなというふうに感じる。

【川合専門委員】

 公募をしてこういうメカニズムで選ぶという仕組みがあるということが条件であって、それ以外のものをやっちゃいけないということを言っているわけではないと、私は思って見ていたのだが。

【甲斐臨時委員】

 これ、もしお金がつかない場合には、公募をする仕組みをつくらなければいけないことはどうしてなのか。これは必ずお金をつけてあげるということなのか。拠点ができたら、広く共同研究をすることに対しては、お金を措置すると。

【川合専門委員】

 こういうものを設定しなさいというのは必要条件であって、それ以外のものをやってはいけないと言っているわけではないと、私は読んでいた。だから、予算を配賦するためには必ずこれをとれということではなくて、公募して合議する仕組みは持っていなさいと。少なくともそういうメカニズムが、中で決めるだけではなくて、公募するメカニズムがあるということ。

【甲斐臨時委員】

 今、共同利用研には、そういう仕組みは既にある。ただ、今、大型の附置研でこの拠点に申請しようという条件を満たそうとしている研究所の中で、共同研究は盛んに行われているけれども、そういう仕組みを持っていないところというのはあると思う。そういうところは至急そういう仕組みを整備しなさいということだね、この条件は。その必要はあるのかという質問である。

【佐々木部会長】

 おそらく、実態的にあるか、必要があるかどうかということと、制度的にこのスキームにのるのなら、少なくともそういうスキームは整えなさいという話が出てくる可能性があるということだね、これは。

【甲斐臨時委員】

 それは必要条件としてここに入れなければいけない条件なのかという質問である。

【佐々木部会長】

 これは、おそらく趣旨は、非常に排他的ではないということを逆のほうから言っているんじゃないか。だから、先生が言っているようにどんどん受け入れるという話と同じことだろう。少なくとも、それがどこへ言っていいかわからないというような状態になっていては困るということではないか。

【甲斐臨時委員】

 そうすると、その2つの下の「共同利用・共同研究の参加者に対する支援体制が整備されていること」とリンクしていると思う、合議して話し合いということは。そうすると、これはやっぱりお金が必要となる。そうすると、今現実に拠点として手を挙げようとしているところは、お金なんかつけていない。つけろということか。

【佐々木部会長】

 ただ、そこで実際にだれに対してどのような取り扱いをするかは、その組織の問題だろうと思う。

【山本専門委員】

 お金がないと申請できないということではない。申請して通ったら、こういうのをつけろということだろう。

【海部専門委員】

 ちょっとよろしいか。そもそもこの話がなぜ出てきたかということから思い起こしたほうがいいと思う。つまり、大学に対する、特に研究所等の研究が主になっているところに対して、国としてどういう支援ができるかと。その際、法人化したということから今までと同じようにはできなくて、法人の枠を超えたような、そういう研究に対してなら支援ができるというところで、共同利用ということはそこで出てきた。それに対して、共同利用と言うとただ単に施設の利用というふうに受け取られてしまうということもあり、共同研究ということも明確につけ加わった。そこまではいいと思う。
 ただ、共同研究ということが出ると、今の議論でも感じられるように、共同研究って、どこでも、だれでもやっていることなわけだ。学問において、共同研究でない学問のほうがむしろ少ないぐらいであると。そうなると、じゃあ一体どこで見分けるのかということが非常に難しくなるという、そういう問題が甲斐先生のご議論であらわれたと思う。私は、この議論は、従来の共同利用という体制、研究の組織のモデルが日本にはあるので、そういうものをある程度踏まえながら書かれてきたイメージだと思う。それはやはり、共同利用、つまり法人の枠を超えてコミュニティに貢献する、コミュニティの利用に供するという趣旨から言えば、当然、運営も共同でなされるべきであるという視点でこの運営委員会、あるいは何とか委員会というものが想定されているし、外からの透明性であるとか説明責任とかいうことも当然そこであって初めて、それなら国が支援しようという話になるんだということで出てきたことであろうと思う。ですから、国が支援するといっても、今の時点で若干心配するのは、国はお金がないわけだから、これはお金がないのにどうやって支援しようかという発想から生まれた議論だと思っているから当然限界はあるが、それなりの体制をしっかり組むところにはある程度の支援をする。
 ただ、私たち共同利用ということをいわばゼロから立ち上げてきたような分野の者から言うと、共同利用ということは、基本的には全部手弁当でやってきた。そのほうが学問のためになるから、やってきた。自分の利益のためになるからというよりは、それが全体の役に立つと、発展のためになると思うから、みんな必死になってやってきた。それに少しずつ少しずついろんな手当がつき、スムーズにいくような組織も生まれてきたわけで、最初はそういうものはなかった。そういう意味から言うと、どなたかがパブリックコメントで書いておられたが、これがランクづけになるというような見方をされるは非常にまずいことで、そうではないということをどこかで明確にしないといけないのかなというふうに思う。

【佐々木部会長】

 イメージについて、ほかに意見あるか。井上さん、どうぞ。

【井上臨時委員】

 文章どうこうではないが、この内容についてちょっと教えていただきたい。
 手続の1番目のポツのところだが、「関係の大学が共同して申請」と。実際に共同ネットワーク研究なんかをされていて、Aは共同利用型で、B、Cはまだ共同利用でないとして、A、B、Cが連携してというときに、Aは共同利用型に認知されているとなると、B、Cだけを申請すればいいと、そんな感じでとらえていいのか。あるいは、Aはまた共同利用型だという認知を得るという。

【森学術機関課長】

 実はこの辺は、この報告ができた後、今後、この部会でもいろいろ審査をやっていただくので、審査方法なり審査基準は議論していただく。私の考えとしては、ここでイメージを示したのは、中にある文章からエッセンスを出すというのもあるのと同時に、皆様方、関係の研究の方々にある程度見やすいようにという形でやっているが、例えば、今、井上先生のご質問に関して言うと、A、B、Cがネットワークを組んで新たな共同利用拠点になるということであれば、A、B、C全体で申請していただくのがいいのだろうなという気はしている。

【井上臨時委員】

 わかった。あと、「一定期間毎に更新」という、これはどういうイメージとしてとらえさせていただいたらよろしいか。

【森学術機関課長】

 これは、本文にあるように、省令を、学校教育施行規則をつくって、それに基づいて文部科学省が共同利用・共同研究拠点に位置づけるということであるが、それには一定の期限がつくだろうと。例えば国立大学で言えば、国立大学は中期計画ごとに一定の評価があるので、そういったものを活用すれば6年間ごとということはあるが、そういったことで定期的な評価と見直しというのがあるので、そういった一定期間でやるというようなイメージである。

【井上臨時委員】

 ありがとう。実際の現場での各研究所、所長クラスの先生方は非常にこれを重視しているということで、今のようなことは我々が実際に質問受けたりしてことでもあるし、非常に重要なことだと思われる。どうもありがとう。

【海部専門委員】

 このイメージは大変重要で、おそらくこれが出るとここにいろんな議論が集中するだろうと思うものだから、この取り扱いは相当慎重にしていただきたいと思う。
 それで、同じことをまた申し上げて大変恐縮であるが、例えば手続等で「共同利用・共同研究拠点を設置しようとする大学から」と。これは、大学共同利用機関もあるということを決してお忘れにならないようにしていただかないと、後で困りますよということだ。
 それから、3の研究環境基盤部会における審査の観点とあるが、私、ここでちょっと気になるのは、研究水準というか、研究の意義というあたりの視点がほとんど見えないところである。COE性があるか。COE性というのは言葉として非常にあいまい過ぎるし、やはりその視点を一つぜひ入れていただけないかということである。

【佐々木部会長】

 わかった。その点も含めて、私の責任で処理するようにする。
 ありがとう。まだまだご意見あろうかと思うが、このイメージはいわば限定列挙みたいなところがあるので、これですべて尽きているというふうには私は考えてないので、これは、例えばそこから引っ張り出してきてこういうことがあるのだろうということであるのだが、今、井上委員からもお話があったように、これを具体的に現場で受けとめられる方々にとってはまたいろいろ疑問が出てくると思うので、その意味でこれからの本会議の運営等についても、あまりのんびりしているわけにはいかんということもあろうかと思う。いずれにしても、この審議について皆様にはいろいろご協力を賜りましたことについて、心から感謝申し上げたいと思う。
 そこで、資料の説明と、残った議題に入りたいと思うが、事務局のほうから、時間を見ながら説明をお願いする。

【中野専門官】

 配付資料4をごらんいただきたいと思う。今の本文をおまとめいただいた際に、冊子等で関係者にお配りする、周知をさせていただきたいと思っているが、その際に、本文の後ろにつける資料のイメージ案である。これまでの本審議会の中で使用した資料を中心に、本文に関係あると思われる資料を集めている。中身については、ここでご議論いただくというのは現実的に困難かと思うし、また、一部調整中ということもあるので、もし特段お気づきの点等があれば、教えていただきたいと思っている。
 具体的に、資料、データ集として、本文の基本的考え方に関して、研究費の状況について1−1から1−14まで、また、研究者等の状況について1−15から1−23というようなものをつけてはどうかと考えている。
 また、学術研究組織の整備という部分については、大学の研究組織の状況を示すものとして、ちょっとこれはなかなかイメージがわかないかと思うが、本文というか、物で言うと22ページ以降であるが、研究組織の状況がどんな状況になっているか、数的ものとか、あと、今、本日の資料は調整中になっていて用意できてなくて大変恐縮であるが、国公私立大学について研究所の例というふうなものも出してはどうかということである。また、大学間連携について、2−3からであるが、これも、コンソーシアムの例とか、大学間連携研究事業の例。また、研究所等の共同設置についてということについては、この議題を扱ったときに出した絵をつけてはどうかと思っている。また、国立大学附置研究所・全国共同利用研究施設ということで、これについて議題にしたときの参考資料を後ろに掲載してはどうかということである。また、目次の2ページであるが、共同利用機関ということで、これも、共同利用機関についてご審議いただいたときの配付資料をイメージしている。
 また、3、共同利用・共同研究の推進のところは、これは事務局のほうで資料をつくらせていただいていて、43ページであるが、本報告の中で新たなシステムとしてご提示いただいている国公私立大学等を通じた共同利用・共同研究の推進について学術分科会にご報告いただく際にイメージとして出させていただいている、部会の先生方には初めてごらんいただくものになるが、報告書の内容を書いているものである。43ページのところである。ご意見あったら、教えていただければと思う。そのほか、ネットワーク型のイメージ例とか、事例として、核融合の双方向型研究、地域研究の推進等について考えている。
 また、ビッグプロジェクトについては、これもビッグプロジェクトを扱ったときの配付資料のイメージであるので、ぜひご確認いただければと思う。
 これらがいわゆる資料集であるが、そのほか附属資料として、この審議のまとめ本文の骨子として、63ページにほんとうにエッセンスだけを抜いた1枚の骨子、それから、64ページ、65ページ、66ページという3枚にわたって、報告書の要旨というものもご用意させていただいている。それから、その後、参考資料として、名簿とか、審議経過の、何月何日から審議をしたというような資料をつけさせていただきたいと思っている。
 冒頭申し上げたように若干調整中のところもあるし、ここでごらんいただくのは困難かと思うので、お気づきの点があったら事務局のほうにお申しつけいただければと思う。よろしくお願いする。

【佐々木部会長】

 特に何かあるか。
 ありがとう。
 次に、その他であるが、18年度の「学術情報基盤実態調査」の結果報告ということについてお願いする。

【飯澤学術基盤整備室長】

 18年度の「学術情報基盤実態調査」の報告がまとまったので、ここでご披露させていただく。
 この研究環境基盤部会のもとに置かれている学術情報基盤作業部会において学術情報のあり方に関する審議を進めていただいているが、そのもとになるこういったデータについて、実態調査を毎年行っているところである。最新のデータがまとまったということで、今回ご報告をさせていただく。
 この実態調査については、資料5でお配りしているが、国公私立大学の学術情報基盤、図書館とか、あるいはネットワーク等についてであるが、こういった現状を明らかにして、改善に向けた基礎資料とするということを目的として、昭和41年度から実施しているものである。当初は図書館の調査だけであったけれども、平成17年度からは、従来の図書館調査に加えて、大学のコンピュータとかネットワーク等の実情に関する調査も実施をして、この18年度はその2年目に当たるというものである。
 調査方法については、資料5の2に書いてあるとおり、国公私立大学734大学に対して調査を実施し、調査の実施時期としては、平成18年5月1日現在で記入をいただいている。数値によっては17年度の実績を入れていただいているところがあろうかと思う。回答率は100%となっている。
 調査項目は、図書館編とコンピュータ・ネットワーク編の2つに分かれていて、結果についての概要、ポイントだけご説明させていただく。
 次のページ以降、概要が載っているが、まず2ページ目を開いていただくと、図書館の電子図書館機能の整備状況ということで、図書館のホームページで全文閲覧とか、あるいは資料検索等のサービスを実施している大学については、公私立含めて8割から9割、あるいは国立大学においては100%ということで、非常に高い実施率を維持しているところである。
 また、3ページにあるように、電子ジャーナルの所蔵種類数であるが、前年度に比べて国公私立大学全体で約26%増ということで、電子ジャーナルの所蔵の増が見てとれるかと思う。
 続いて、4ページのところには、時間外開館、あるいは、以降、休日等の開館の実施状況をお示ししているが、平日の時間外開館の実施率については、私立大学、公立、国立含めて8割以上ということで、ここも非常に高い実施率が続いている。
 今回の調査から、7ページにあるが、大学図書館における管理運営に関する課題ということで意識調査も実施している。これは初めて実施させていただいたものであるが、組織・人事面における課題としては、専門性を有する人材の養成・確保、さらには、経費面においては、外国雑誌・電子ジャーナル、さらにはその図書の購入に係る経費の確保、こういったことが課題であるということで述べられている。また、所蔵スペースの狭隘化の解消ということも挙げておられる。
 続いて、8ページ以降、コンピュータ・ネットワーク編であるが、8ページにおいては、学内LAN、あるいは無線LANの整備状況ということで、学内LANについては、国公私立大学を通じて、ほぼすべての大学で整備をされている。また、無線LANの整備状況については、約6割の大学で整備をされているという状況にある。
 12ページをお開きいただくと、コンピュータ・ネットワークの管理運営に関する課題について各大学でのご認識をお聞きしているが、課題としては、技術職員不足の解消とか、あるいは情報関連組織の再編・統合等が課題であるということ。あるいは経費面においては、システム、あるいは学内LANの管理運営に関する経費の確保、さらにはセキュリティー対策等の設備面の課題、こういったことが挙げられている。
 13ページ以降には、各大学図書館等における特色ある取り組みということで、論文の電子出版のこととか、データベース化、こういったことがご紹介されている。
 以上、簡単ではあるが、ご報告とさせていただく。

【佐々木部会長】

 どうもありがとう。いろいろ興味深いデータが入っているようだが、ご参考までにお願いする。
 本日予定した案件は、以上である。貴重なご指摘、ご意見等、ありがとう。
 それでは事務局よりお願いする。

【森学術機関課長】

 では、一言申し上げさせていただきたいと思う。
 これまで学術研究の推進体制について、1年半余りにわたってご議論いただき、御礼申上げる。今回ご議論いただいた審議のまとめは、これに対して一つの基本的な方向性をお示しいただいたものというふうに考えていて、私どもとしては、これを受けて、その具体化に向けてのさまざまな検討、予算措置等をいろいろ検討してまいりたいというふうに思っているし、また、関係のところともいろいろ相談していきたいというふうに思っている。
 それから、この内容については、もちろん研究の担い手である各大学、大学共同利用機関、研究所等に十分ご説明をして、そして、いろんな意見をさらに交換しながら、実施に努めてまいりたいというふうに思っている。
 なお、本件については決してこの審議のまとめで終わりということではないので、特にこの部会におかれては、実際に共同利用・共同研究拠点なりの位置づけというか、そういったものについての具体的なご検討をいただくことになるし、また、そのほか多様な学術研究をさらにどう進めていくかということについて、研究環境をどう整えていくかということについて、さまざまな角度から今後ともご議論いただきたいというふうに思っているところである。
 これまでこの審議のまとめに対して大変な、貴重なお時間とご努力をいただいたことに感謝申し上げて、区切りではあるが、あいさつとさせていただく。
 ほんとうにどうもありがとう。

【佐々木部会長】

 ほかに何かあるか。

【中野専門官】

 次回の日程についてであるが、先生方に日程の調整をさせていただいたところで、まだメールでのご連絡ができてないが、6月12日(木)午前10時から12時ということで開催をさせていただきたいと思っている。場所等、詳細については、改めてご連絡をさせていただきたいと思う。
 なお、あわせて、5月29日(木)について、予備日ということでご予定の確保をお願いしていたところであるが、日程は6月12日とさせていただきたいと思うので、29日のほうは、大変申しわけなかったが、よろしくお願いする。
 また、本日の資料であるが、大部になるので、そのまま机上にお残しいただけたら、郵送させていただく。
 それから、本日、机上資料でパブコメの資料があるが、これは個人情報が入っているので、お持ち返りならないようにご留意いただけるよう、お願いする。
 以上である。

【佐々木部会長】

 ありがとう。
 それでは、特にないようだったら、本日はこれにて閉会とする。ありがとう。

—— 了 ——

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