第12期研究費部会(第6回) 議事録

1.日時

令和6年3月28日(木曜日)16時00分~17時30分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 前回までの議論について
  2. 科研費の国際化(国際共同研究加速基金の見直し等)について
  3. 審査及び使用ルールに関する見直しについて
  4. その他

4.出席者

委員

白波瀬部会長、鷹野委員、大竹委員、尾辻委員、塩見委員、城山委員、中野委員、華山委員、山本委員

文部科学省

塩見研究振興局長、奥野大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、田畑学術研究推進課長、松本学術研究推進課企画室長、梅﨑学術研究推進課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

杉野日本学術振興会理事長、水本日本学術振興会理事、大野日本学術振興会学術システム研究センター所長、岸本日本学術振興会学術システム研究センター副所長、西田日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【梅﨑企画室長補佐】
 文部科学省でございます。開始時間が遅れまして申し訳ございません。本日ですけれども、再度の御連絡になりますが、傍聴者用のユーチューブ配信の接続がうまくいきませんで、同じWebexに入室していただく形で会議を公開させていただければと思いますので、その点御了承いただければと思います。
 また、もう傍聴者の方が入られているかもしれませんけれども、ミュートにしておいていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、会議を開始していただければと思います。白波瀬部会長、よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 時間が大きく遅れましたけれども、後ろのほうはそのまま引き延ばさないで、計画で予定どおりということで進めさせていただきたいと思います。議論の時間は短縮するわけにいきませんので、すみませんが御説明のあたりできるだけ効率的にと御協力いただければと思います。
 では、ただいまより第12期第6回の研究費部会を開催させていただきます。
 本日の議題について、最初に、前回の主な意見について説明をいただきました後、科研費の国際化などについて御議論いただきたいと思います。
 事務局より御連絡事項及び配付資料の確認等、よろしくお願いいたします。
【梅﨑企画室長補佐】
 次に、事務局から配付資料の確認とオンライン会議の注意事項について連絡します。
 資料につきましては、事前にお送りしましたファイルを御参照いただければと思います。
 1点、資料に誤りがございましたので、事前に御連絡をさせていただければと思います。
 資料の6ページに「海外連携研究」の応募区分別の応募・採択件数・採択率という表の資料がございます。一番下の合計欄の部分ですけれども、応募件数・採択件数・採択率ということで算出されておりますが、こちらの数字は全ての1から90までの中区分を合計しているものではありませんで、32から90までの一部だけを合計を足し上げたものになっており、誤っておりました。資料に関しましては後ほど修正して掲載とさせていただければと思いますので、あらかじめ御了承いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 また、オンライン参加の注意事項についてですが、音声安定のため、発言時を除き、常時ミュート、マイクをオフにしていただくようよろしくお願いします。部会長、委員、オブザーバーを含め、メイン席の方は常時ビデオをオンに、その他の方は常時ビデオをオフにしていただきますようお願いします。また、発言される際は挙手ボタンを押していただき、部会長が指名された後、ミュート解除、マイクをオンにして、その都度、お名前を発言いただくとともに、オンラインでも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言をいただくようお願いします。また、資料を参照される際は、資料番号、ページ番号などを分かりやすくお示しいただくようよろしくお願いします。トラブル発生のときには電話にて事務局に御連絡をお願いします。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 では、議事に入ります。資料1に基づきまして、前回の研究費部会での主な意見につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【松本企画室長】
 それでは、資料1に基づいて説明させていただきます。資料の共有をお願いします。前回の研究費部会における主な御意見をまとめたものでございます。簡単に説明させていただきます。
 まず、前回の資料1、令和5年度補正予算と6年度の予算案関係についてですが、こちら関係につきましては、基盤(B)にとどまらず、基盤研究(S・A)及び特別推進研究についても基金化を進めてほしいという御意見。それから、研究活動スタート支援等の応募要件緩和については、緩和後の効果検証を行ってほしいという御意見がございました。
 続きまして、前回資料2、今期の研究費部会の審議の進め方関係ですが、振興会の学術システム研究センターにおける科研費改革2028に向けた議論が本格化されることも踏まえて、研究費部会・審査部会の連携により、双方向の議論を進めていくことが重要だという御意見がありました。
 続いて、前回資料3-1と3-2関係ですけれども、基盤研究(B・C)において、民間企業から追加の助成をすることで幅広い研究の進め方が考えられるのではないかという御意見。それから、大学と企業が協定を締結して実施するような共同研究等の連携方策に対して、科研費制度による後押しを行うための検討があり得るのではないかという御意見。それから、企業との連携は重要だけれども、科研費は個人の自由な発想に基づく研究を支援するものであるので、組織対組織要素入れるのは慎重に検討すべきという御意見がございました。
 次のページです。前回資料3-3、3-4関係ですが、海外連携研究と国際共同研究強化を基盤研究(B)等に統合していく流れは国際性を高める上で非常にいい方向であり賛同するというご意見。制度設計に当たっては、国際共同研究強化における代替要員の雇用に係る実施状況や、海外連携研究における分野間バランスの2点を調査していただきたいという御意見がありました。
 これらについては、4ページ、5ページ、6ページを御覧いただければと思います。詳細の説明は割愛しますが、4ページ目の資料が国際共同研究強化の代替要員経費の活用状況についてです。令和5年度にJSPSにおいて実施したフォローアップ調査になります。回答数が67名ということですけれども、代替要員経費の活用状況について、活用したが59%、思うように活用できなかった、13%、代替要員を必要としなかった、26%というような結果になってございます。
 国際共同研究強化の見直し等につきましては今回の御議論ではなく、今回は特に海外連携研究について議論していただければと思っていますので、こちらの資料については、次回以降、国際共同研究強化を中心に議論していただくときにはもう少し詳細な資料等を用意して説明できればと思っております。
 それから、続いて5ページ、6ページが海外連携研究の応募区分別の応募・採択件数・採択率でございます。中区分ごとに応募件数・採択件数・採択率を示してございまして、特別どこかの区分にすごく偏っている状況ではないということが御覧いただけると思っています。
 それから、3ページに戻っていただきまして、先ほどの前回資料3-3、3-4関係についての御意見ですけれども、帰国発展研究については海外でPIになった方を取り込むために有効な施策であって、少し別枠として残しておくべきではないかという御意見がございました。
 それから、科研費の応募資格についてですけれども、平成21年度以前の応募資格者数等についてもデータが存在する範囲で示してほしいという御意見。それから、基盤的経費・競争的研究費の配分のバランスが崩れている現状で、対処療法的に応募資格を制限してしまうとかえって逆効果になる可能性もあるのではないかというご意見。審査区分ごとの配分方式は変更してもよいのではないかという御意見がございました。それから、応募資格者数の経年変化を分析する際に、大学全体における常勤ポストの減少など、科研費以外の要因が大きく変化していることも考慮すべきだというご意見や非常勤の者にもチャンスを与えることが必要ではないかという御意見がございました。こちらの応募資格等につきましては、もう少し慎重に継続的に検討していければなと思っています。
 資料の説明は以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 前回の研究費部会でいただきました主な意見も踏まえまして、引き続き、議論を行いたいと思いますので、皆さんの御意見、御質問も含めてよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、次の議題に移ります。資料2です。科研費の国際化について、事務局よりお願いします。これが、多分、中心になると思います。よろしくお願いします。
【松本企画室長】
 それでは、資料2を御覧ください。科研費(基盤研究)の国際化についてでございます。科研費における国際性の評価を行う研究種目についてということで、前回の研究費部会におきまして、基盤研究等における審査の際に国際性を評価しつつ、段階的に国際共同研究加速基金、特に海外連携研究を見直していく方向については御了承いただいたという状況だと思っています。つきましては、審査の際に国際性を評価していく研究種目については、まずは基盤研究(A・B・C)でよいかということについて御意見をいただければと思っています。
 それから、2つ目、審査の際の評定基準等についてですけれども、審査の際に国際性を評価することに関しまして、これまでの評定基準により採否を決定した上で、加えて、国際的にインパクトを与える研究成果が見込めるかといった観点や、国際的な共同研究の中心として活躍が期待されるかという観点で評価するというような方向でよいかということについてご意見をいただければ。単に、国際共同研究を実施するとか、英語の論文を出すことを高く評価することではないということに留意しつつ、このような観点で評価する方向でよいかということについて御意見いただければと思っております。下に一例としてこういうものが考えられないかというのを記載しております。また、研究費部会で今日、御意見いただいた後、具体的な評価基準、審査方法などにつきましてはJSPSで検討いただいて、令和7年度助成に係る公募から対応することとしてはどうかと思っています。
 次、資料の8ページを御覧ください。国際性の評価による増額イメージ。これは基金種目の場合ですけれども、基盤研究等の評定基準等に基づいて採択された課題のうち、特に国際性の評価が高い研究課題については通常より高い充足率として、国際的にインパクト与える研究成果を出せるように十分な研究費配分を行うようなイメージとしてはどうかと考えています。
 それから、次のページです。9ページ目。こちらは第11期の研究費部会における資料で、何度もこれまで研究費部会で出させていただいているので詳細の説明は省略をさせていただきます。
 それから資料の10ページ目と11ページ目、10ページ目が基盤研究(A・B・C)の評定基準を載せております。11ページ目は海外連携研究の評定基準を掲載してございます。赤字部分が基盤研究との違いという部分になっておりますので御参考にしていただければと思います。
 資料の説明は以上でございます。御審議よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 では、資料2の科研費の国際化について、御意見、御質問等ございましたらどうかよろしくお願いいたします。
 山本先生からすぐお手が挙がりましたので、どうぞ。よろしくお願いします。
【山本委員】
 何点かあります。まず、いろいろ調べていただいたのは大変よくて、少なくともこういうことをやったときにいろいろな分野バランスにおいて特に偏りが生じることはないということが分かったのでよかったかなと思いました。
 それからもう一つ、これは言葉尻で申し訳ないのですけど、「科研費の国際化」という言葉は変じゃないですか。研究の国際化であって、科研費を国際システムにするようなものではないような気がするのですけど、一般の新聞社から見ると何か変な感じがするかもしれません。
 それはどうでもいいところなのですけれども、もう一つ大事なことだと思っているのは、国際的にインパクトを与える研究成果を評価するというのが逆に難しいかもしれませんね。場合によっては、例えば、分野によってはもう全部国際的になって競争している分野があるわけで、そういうところで全部該当するということであっていいのかと。例えば。もしそうだとすると、そういうふうにして書いてあるものをアップの10位以上は全部認めてしまうのか。つまり、これの審査のやり方が結構プラクとかには大変だろうなという印象を私は持ちます。
 ちょっとお聞きしたいのは、何%ぐらいの課題に対してこれを想定しておられるのか。もしそれがある程度少ないようだったら、かなり厳密なディフィニションをしないと非常に難しいことになるような気がします。どのぐらいの規模でアドオンを考えておられるのかというのはお聞きしたいと思っています。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、事務局のほうから、質問が先生から出ましたので、よろしくお願いいたします。
【松本企画室長】
 山本先生、ありがとうございます。今の段階で何%かというのはちょっとお答えしづらいなと思っています。
 これから、概算要求を行い、来年度予算がどうなるかというところも考えないといけないので、結果としては予算の範囲内でしかできないことにはなるのかもしれないかなと思っています。科研費の採択率や充足率と一緒で、今の段階で何割ぐらいをこれによって増額できるのかについては、お答えするのは難しいと思っています。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。この図についてはちょっと誤解があると困るかもしれませんが、アイデアとして図化していたということになります。今の回答も関連して、アドオンする、という図にはなっていますが、その是非ややり方も含めてですね。ただ、こういう形で考慮しつつ結果としては採択されれば、できるだけ申請された形に近いようになる、なったらいいなというようなという気はしています。ありがとうございます。
 では、次、尾辻先生、よろしくお願いいたします。
【尾辻委員】
 ありがとうございます。尾辻です。何となく今日の御説明を聞いていて、「アドオン」というこの意味が、必ずしもを文科省様と我々委員の間でも統一できていないのではないかなと。
 私がアドオンだったら良いと思ったのは、基本的に科研費の審査自体は国際性という特別な評価基準を抜きにして、従来通りにサイエンティフィックメリットを酌んで採否を決めると。ここに国際性みたいな評価軸を入れてしまうと、いま山本先生がおっしゃられたみたいに、ある審査部門はみんなそうだと。ところが、ある審査区分は、国文学で純粋に日本の中だけで閉じた研究をやっている課題と外国との共同でやろうとしている課題が混在したときには、必然的に国際性を計画の中にうたっているものが相対的に高い評価を受ける可能性が非常に高くなってしまいます。ですから、私としては、まずは科研費の従来の通りの審査を行って、国際枠としての予算増額を希望する課題については、国際共同研究だとか国際的にインパクトを与える成果の出口をどのような計画としてなそうとしているのかという部分をその外側で評価して、そこのところでアドオンした分の追加の予算を配分するのかどうなのかということを議論していただく。そうしないとこれは大変なことになるというのが今日の説明を聞いて感じたところです。ぜひここのところは慎重な御議論をお願いしたいと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 次、まず中野先生に。事務局、何かありますか。今の。いいですか。
【松本企画室長】
 中野先生の御意見を聞いてからで。
【白波瀬部会長】
 では、中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 私からは2点ほどコメントさせていただきます。まず、私も尾辻先生と同じ感想を持ちましたので、その点についてはぜひお答えいただきたいと考えています。
 次に、山本先生の御意見にも関連しますが、分野によって国際性の定義が大きく異なるという点についてです。単に国際共同研究を行なっているとか、国際共著論文が出るといった事実だけで国際性を判断するのは問題があると思います。申請者に、自身の研究がなぜ国際的なインパクトを持つのかをアピールするチャンスを与え、そのための項目を申請書に含めることが重要だと考えます。分野ごとに国際性の定義が異なるため、それを総合的に評価するための2段階のプロセスが必要ではないでしょうか。国際共同研究が当たり前の分野において、「私の研究は国際共同研究をしているので国際性があります」と主張しても、インパクトはないと思われます。そのような分野では、国際共同研究が当たり前の状況の中でも自身の研究の国際的なインパクトを申請者がアピールし、審査員がそれを評価することが求められます。挑戦的研究では、分野ごとに挑戦性の意味について審査員の中で議論して、それから審査しております。同様に、審査員の側でも自分たちの分野における国際性の意味を議論した上で評価するという丁寧なステップが必要なんじゃないかなと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 極めて根幹的な議論がもう既に出ました。ちょっと気になっているのは、事務局側がこの議題を出した背景と、10ページの基盤研究の評定基準との関係について、ある意味で役所的なのですけれども、「国際」という言葉を入れ込むといったことですね。ここに何とか入れ込みつつ、研究の国際化という自明のことをより実質化するのがよいと思います。先生方がおっしゃった意見はそのとおりだと思うのですけど、このたびの議論の背景的なところをもう少し御説明いただくところは必要かもしれません。田畑課長でもいいけど、どうですかね。今、まずお答え。事務局側、よろしくお願いいたします。
【松本企画室長】
 中野先生がおっしゃったとおり、我々も単に国際共同研究をやっているというだけで評価をしてほしいと思っているわけではなくて、その中でもインパクトを与えるようなものとか、その中でも高いものがあればということで説明しているのですが、増額イメージを出したのは、分かりやすさを出す反面、誤解も与えるかなとも思いつつ、今の基盤研究Bでは2,000万円までしか助成できないので、イメージとしては、このような感じになったというところです。
 分野によってある程度違いがあるというのも、科研費が全分野を支援する制度であるので、それぞれの審査区分・分野の中で、多分、大きく違ってくるところではあるのかもしれません。ほぼ全部の研究課題が国際的な活動をされている区分もあれば、先ほど尾辻先生がおっしゃったような、一部はやっているけど一部はやっていないみたいなところも当然あるとは思うのですが、国際共同研究でなくても計画している研究自体が国際的に見てどうなのかという観点はあるのではないかと事務局としては思っています。多分、説明がうまくないところがあるので、もう少し工夫しないといけないと思っています。
 あと、非常に言いにくいのですけど、科研費の予算をどうして増やしていくのか、今でも十分な充足率とは言えませんし、十分な額を配分できていないという思いは我々もあるので、そこを何とか打破したいという気持ちが背景にあります。基盤研究の基金化も引き続きやってはいきたいと思いますけれども、1課題当たりの充足率、それから十分な研究費が渡るような仕組みを何とかしてつくって、総額としては科研費を増やしたいというところです。課長、補足あればお願いします。
【白波瀬部会長】
 では、課長、お願いいたします。
【田畑学術研究推進課長】
 私の方から2点説明申し上げます。資料の共有をお願いします。
資料の9ページを見ていただければと思います。これは前期の第11期でまとめていただいた科研費の国際化に係る取組になります。ステップの1、2、3に区分しており、今のところステップ2まで実現しております。ステップの3は検討のイメージということで、今後、研究活動の国際化に向け研究費の全ての種目で国際性を積極的に評価することを前期でまとめられております。このため、今回は、イメージとしては資料を出したのですけれども、先生方の御意見をしっかり取り入れた形で、国際性を積極的に評価する仕組みをつくり上げていただきたいというのが1点目。
 また、アドオンについて、資料の7ページをご覧ください。前回御議論いただいた1ポツの国際共同研究加速基金の一部について見直しをすることと、2ポツの国際性の評価の在り方が混在している資料構成でちょっと分かりづらくなっているところがありましたので、その点整理しまして、今後、説明できればと思っております。
 以上でございます。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、次、華山先生、よろしくお願いいたします。
【華山委員】
 ありがとうございます。先生方の御意見、全くそのとおりと感じて聞いておりました。審査の際の評定基準がやはり一番重要なところかなと思います。
 もともとの国際共同研究加速基金では、大学院生や若手研究者を海外に派遣するのが大きな目的だったのではないかなと思います。ですので、基盤研究にアドオンするという形においても、当初の目的どおり、若手とかを派遣するといったところを評価基準にするのが、これまでの流れをくむ上でも良いのではないかなと思いました。
 その場合、皆さん申請の段階ではいろいろな計画を立てますけれど、実際やらなかったということがあるかもしれませんので、例えば、受入先の共同研究者による確認の手紙やメールとかを必要にするとか、もしくは行った実績の報告書などの証拠書類を出すとか、そういった形できちっと本当に共同研究を進めたということを証拠として残すというのが有用なのではないかなと思いました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、中野先生、どうぞ、次。
【中野委員】
 すみません、続いての発言なのですけど、私は華山先生とは異なる意見を持っています。国際性を高めるということは、必ずしも学生や若手研究者を海外に送ることだけではないと思います。日本国内の研究に海外の研究者を招聘することも国際性の一つですし、また、日本国内で海外が着手していない研究を新たに始め、それを世界的なトレンドにするというのも国際性を高めるインパクトのある研究だと思います。特に、基盤(A・B・C)のように応募数が多く、様々な分野の方々が応募してくる場合、国際性という言葉をできるだけ広く捉えるというのが今回の審査では重要だと思います。分野ごと国際性の定義を考えるという、広い視野や柔軟性が必要だと思います。
 この科研費制度を通して「日本が発信する国際性というのはこういうものだ」ということを世界に発信していくというようなことがこれでできれば、非常にすばらしいものになるのではないかなと考えています。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 どうぞ、尾辻先生、お願いいたします。
【尾辻委員】
 ありがとうございます。私も中野先生の御発言に全く賛成でございます。新しい国際性の在り方とか日本独自の国際性というものが生まれるぐらいのインパクトがこういった制度改善で果たされれば、それは大きな成功になるのではないかなという期待感はあります。
 もう一つ念押ししたいのは、御承知のとおり、国際共同研究加速基金の制度というのは、まず、基盤研究の採択実績があって、そこでサイエンティフィックメリットがちゃんとクレデンシャルされている、保証されていると。その課題に対して新しい申請があったものに対してさらに国際性を評価してそれを付与するという形になっているので、基本的には2段階なのですね。ただ、それが制度的に後から国際共同研究強化がくっついちゃいましたから、新しい流れとしては基盤研究種目群の中にそれをアドオンで持っておいて、申請するときから皆さんが等しく意識できるような形で国際性をもっと高めるために、応募者側に対する学振としての意思表示ももっと強めることで、申請課題の中にそういったものがたくさん出てくるようになればいいと、私はそういう意識だったのですね。そこのところを私としては、採否は国際性を抜きにしたサイエンティフィックメリットでまずやって、採否決定をした後に、採択課題に対して国際性の高いものについてはさらに増額配分をするような形でまずは始めてほしいなというのが私の気持ちです。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 では、梅﨑さん。
【梅﨑企画室長補佐】
 事務局から御説明させていただければと思います。資料の23ページを御覧ください。国際共同研究加速基金の中には、今、4つほど研究種目がありまして、もともと基盤研究にあった海外連携研究を基金化すると同時に国際共同研究加速基金に持ってきたという経緯があります。基盤研究の中に海外学術調査という形で一緒に審査区分として設定されていたものです。今回は基盤研究(B)が基金化されたということで、国際共同研究もやりやすくなり、区別がつきづらくなっているところもあります。基盤研究(B)と規模も同じです。こういった海外連携研究と基盤研究(B)、この辺りが特に差がなくなってきているというところも踏まえて、基盤研究の中で国際性を評価するというところも少し考慮していってはどうかというのがもともとの見直しの御提案だったと思っております。
 また、資料の8ページをご覧いただければと思います。審査のイメージとしては、通常の基盤研究の評定基準で採否をまずは決定していただいて、評定基準とは違うのかもしれなませんが、国際性については加点の基準、増額の基準というほうがより適切かと思っています。今は、基本的に、基盤研究等ですと、採択された研究課題については充足率がどの課題も同じような率になっていると思いますけれども、国際的にインパクトが見込まれるような研究については少し充足率を増するとか、そういった研究費配分を行ってはどうかというのが今回の趣旨ですので、御理解いただければと思っております。
【白波瀬部会長】
 山本先生、どうぞ。
【山本委員】
 すみません、ありがとうございます。今の話、それから先生方の御意見を聞いていますと、結局、基盤(B)を合流させた上で充足率の向上に資するという形になるわけですね。もしそうであれば、国際性の定義とか国際性とは何だというのを言ってもいいのですけど、全ての課題に対して国際性に関する記述欄を設け、かつ、評点要素にそれを加え、それも踏まえて全部一律に審査した上で上位から充足率を上げるという考え方で非常にシンプルになるような気がするのですけど。国際性を審査するというのが本当にできるのという思いが僕は強くあります。むしろそうではなくて全員に書かせて、それも踏まえて評点も別につけて、最終的にどういうふうにまとめるかは別ですけど上位から与えれば、結局、国際性が高いものが勝っていくということになりますので。制度の趣旨、改編の趣旨に合わないかなという気がしてちょっと聞いていました。
 もう少し絞ってやるのであればあり得るのだと思うのですけど、今のような話だとやっぱり一緒にやっちゃったほうがいいような気がしております。例えばですけど。御検討いただければと思います。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。私から意見をいうことは控える立場ではあるのですが、少し言わせてください。これまでの議論が若干、説明もちょっと堂々巡りなところがあるような気がします。
 最初に合意形成しなきゃいけないのは、最終的な目的をどのあたりに置くかというところになると、科研費全体をもっと単純化しましょうというようなことになるかもしれない。あとは、予算という側面と、制度改革に関連した側面。それと制度改変のところでは評価ということも入ってきて、そこの整理も必要かもしれない。あとは国際性の定義づけなのですけれども、本音と建前があって、財務省側にはこの一文言はそれなりの意味をもつようです。でも、二重構造であること自体、社会科学、文系としてもちょっと違和感はありますよね。それをうまく説明しないと。科研としての第一段階があって、その上にアドオンでというのは現実的にはちょっと違うかもしれません。
 制度として別建てとして制度ができてきてきたけれど、それはもう戻しましょうという方向性ですね。そこを真正面から全部きれいに一枚板にすることができないので、何を優先していくのかというところで進めていかないと、国際化とは何かという根幹的な合意形成がぶれていて、同時にいまさら学術の国際化というのも変な気もするし。学術の中で。はっきり言って。科学と言うときに。どういう場面をもって国際化とするのかというのも。国文だって国際化というのはあると思います。学術市場はオープンになっているのではないかと私は思っているのですけど、人によって見方は違います。ですから、そこは学術分野ごとに国際化とは何かということを考えて、評価基準としてしっかり視覚化して、何よりも応募できる者たちに明確にしてあげるというのが、重要なところだと思います。
 ここは研究費部会だから、予算のところで本音と建前が絡んでしまいます。でも、たくさん予算は欲しいし充足率も上げたい。また、充足率は充足率で別の議論があります。かえって混乱させてしまったら申し訳ないですが。
 今日の先生方の御意見は、共通してとても根幹的なところでのご指摘があったということ。その一方で、結構堂々巡りのところもあるし、1つ方向性としては、優先順位としてどこをまず目指そうかというロードマップは少し整理してもよいのではないかと思います。
 私も後があってあまりあれなのだけど、ここら辺で一応切りますか。先生方、御意見あったらよろしくお願いします。
 では、中野先生、お願いします。
【中野委員】
 広い分野の方々の意見を聞くのはすごく大事だと思います。それから、審査に関わっている方に近い方々の意見を聞くというのはやっぱり大事で、本当にそれは審査にフィットするのかというようなところも含めて現場の意見を聞くというのは重要だと思います。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 できればそういう機会が、ヒアリングじゃないけどあるといいですね。
【中野委員】
 システム研究センターのほうでそのほうの議論をいたしますので、また御紹介させていただきたいと思います。
【白波瀬部会長】
 ぜひそういう意味で、JSPSにおいての議論も、適宜、共有させていただきながら議論できるとすごくありがたいと思います。ありがとうございます。
 次、まだ課題が残っているので、取りあえずはここまでで切らせていただいてもよろしいですか。ありがとうございます。引き続き何かありましたら、適宜、事務局のほうに御意見等お送りいただきますと、検討ということになるかと思います。
 では、続きまして資料3、帰国発展研究について、御説明をお願いいたします。松本室長、お願いします。
【松本企画室長】
 資料3をご覧ください。帰国発展研究についてです。帰国発展研究というメニューについてですが、海外で研究実績を重ねた優秀な日本人研究者の呼び戻しに資する研究種目として平成27年度に創設をされたものです。現状の応募資格として、破線で囲ってあるとおり、1から3の応募資格を設定していまして、JSPSの海外特別研究員は、応募が認められていない状況があります。一方、海外で活躍する優秀な若手研究者の応募機会を拡充するために、令和2年度から国外の研究機関にポスドクとして所属する者については応募を認めているのですが、審査の際に海外の教授・准教授クラスの研究者との競争となって、応募者間で業績に大きく差が生じているという意見もあるという状況です。そのため、ポスドクとして渡航して日本に帰国を希望する若手研究者向けの応募枠を設けてはどうかという意見もあって、審査等において何らかの検討が必要ではないかというご意見もあると伺っています。前回の研究費部会では、帰国発展研究については制度の趣旨、が違うので別枠として残したほうがいいという御意見もあったところ、実際の審査ではこのような御意見もありますので、若手研究者が海外で研さんを積むことを奨励しつつ、帰国しやすい環境を整えるため、まず、海外特別研究員に応募資格を認めることとしてはどうかということを考えてみました。それから、少し抽象的ではありますが、個人単位の支援だけではなくて、中長期的に計画的に研究者の海外派遣・帰国を進めるための枠組みなどについても検討すべきではないかと提案しています。
 資料の13ページが帰国発展研究の内容になっています。14ページを御覧いただくと、こちらは研究者の国際共同研究とか長期海外派遣とか帰国支援のための科研費とJSPSの国際交流事業とかの施策をイメージしてみたものです。左の下のほうに赤く丸で囲っていますけれども、海外に派遣された海外特別研究員など若手研究者で所属機関がない人の帰国に際して支援するメニューが、今のところ抜けているのではないかなと思っていまして、海外特別研究員については応募資格を与えてもいいのではないかなと思った次第です。
 帰国発展研究についての説明は以上になります。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 では、資料3の帰国発展研究につきまして、御意見、御質問ございましたらどうかよろしくお願いいたします。
 これは個人というところで設計してあるけれども、そこの中で穴場になっているところがあるということで、少しでも改善という御提案になるかと思います。御意見いかがでしょうか。
 中野先生、よろしくお願いします。
【中野委員】
 この科研費を獲得したいと考えている研究者はたくさんいると思われます。また、帰国してから応募しておけばよかったと後悔する人もたくさんいるのではないでしょうか。ただ、帰国を決心する時期と申請の時期が合っていないことが結構多いのではないかと思います。もし、二、三年以内に帰国したいと考えている研究者が、まず権利だけ獲得しておくというような使い方ができれば。権利を保持したまま、実際に帰国したときに科研費の執行が始まる、あるいはタイムラグが許容される仕組みがあれば、もっと応募する人は増えるのではないかなと思います。
 次に、若手支援を行う際には、その支援がキャリアパスに対する支援にもなっているということが強いインセンティブを生み出すと思います。他の支援事業である創発的研究支援事業を見ていると、かなりうまく機能しているように感じます。任期付の研究者が創発的研究支援事業に採択されると任期なしのポストや承継ポストに移行するケースをいろいろなところで目にします。若手研究者にとって、キャリアパスとして海外に一旦行き、帰国する際にこの科研費を獲得することによって任期なしのポストに就けるというような道筋が若手の中で見えてくると応募者が増えてくるのではないでしょうか。以上の2点、すなわち使い勝手の改善とキャリアパスとの連携が重要だと考えます。キャリアパスとの連携といってもポストを用意することはできないので完全な連携とは言えませんが、キャリア形成の一つの方法として、このような仕組みが当たり前になれば、応募がさらに増えるのではないかなと思います。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。事務局、何かありますか。
【松本企画室長】
 帰国発展研究については、採択というか、交付内定してから翌年の4月末まで猶予期間をある程度取っているので、戻ってくる先の採用が決まるまでは、ある一定期間は予約採択という形にはなっている制度ではあると思っています。
【中野委員】
 ありがとうございます。それをもう少し延ばせないか。
【松本企画室長】
 もう少し長くですね。
【中野委員】
 帰国の時期を明確に把握している人は少ないでしょう。そろそろ帰国しようかなと心の中に思って、帰ったときに研究費があったほうがいいから応募しようと考える人はいると思います。しかし、競争が非常に激しいです。特にパーマネントのポストについては、自分が思い描いているように帰れないかもしれないし、時期だけじゃなくて場所も変わってしまう可能性もあります。そのような状況においては、もう少し柔軟性というか、特に時間的な柔軟性が高ければ応募する人が増えるのではないかなと私は考えます。
【松本企画室長】
 はい。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、次、華山先生、よろしくお願いいたします。
【華山委員】
 ありがとうございます。留学された方々を見ていると、やはり帰ってくるときに対して非常に大きな不安があると思います。逆に日本から留学に行く人も将来を見越してなかなか行きにくくなっている状況です。ですので、帰ってくる方々をこういった形でエンカレッジするというのは、すごくよい試みかと思いました。
 その上で、受入れ側のポジションがないというのが一番大きな問題でして、助教のポストが空いていればいいのですけれど、非常にコンペティティブであります。そういったことを含めて、帰ってこられる方が自分でこの研究費を取ると、自分の人件費として、例えば、特任助教を3年間とかそういった形で使用できると非常にすばらしい制度になるのではないかなと感じました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。御感想ということで。ありがとうございます。
 では、尾辻先生、お願いいたします。
【尾辻委員】
 ありがとうございます。ちょうどこの施策イメージのキャリアパスに対してどういう帰国発展研究が生かせるかという絵があるかと思うのですけれども、御承知のとおり、本来の目的は、できれば教授、最低でも准教授、もう既に外国でぴかぴかの業績を上げている方を何とか引き抜いて日本に戻したいという、そのための5,000万円という制度だったと僕は理解しているのですね。結局、そんなお金だけでは何ともし難くて、御家族の教育の問題も含めて考えたときに、その制度を使って戻りたいと、そして実際に戻ってこられた方が本当に少なかった。だから、ある意味当初の目的は失敗したわけで、仕方なく、では、若手に間口を広げましょうということでポスドクまで対象を広げて現在に至っている。ですから、審査委員会の中で出る問題意識というのは全くそのとおりで、そういう形で持ってきたからそれはそうだろうなということで。だから、もうここで1回、今、提案が出ているような日本から海外に送り出した人たちが戻ってくるときのある意味保障を与えるために――それは研究予算の面もそうだし、人件費の問題で、先ほど山本先生がおっしゃられたみたいに、このお金を例えば1億円にして、3年間の自分自身の人件費もこの中から持たせることができて、その間にその期間でポストを獲得するようなことにも使えるぐらいの自由度を与えて、日本から送り出した人たちが戻ってくるための大きなファンド――もうこれは完全に衣替えだと思うのですけれども、何かそういうふうに抜本的に変えたほうがいいのではないかなと。すみません、危険な意見かもしれないのですけれども、そのぐらいのことを考えて組み直さないとこれはうまくいかないなというのが私の感想です。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 松本室長、どうぞ。
【松本企画室長】
 ありがとうございます。科研費の帰国発展研究と、尾辻先生がおっしゃったようなポストの問題とか、もう少し広い意味での支援というところが14ページの資料上では真ん中辺りのことだと思っていて、中長期で計画的に研究者の海外派遣、帰国を行うことが可能な別の枠組みとかがあったほうがいいのではないかということも考えられると思っています。
 これを科研費でやるべきなのか、例えば、JSPSの運営費交付金でやるべきなのかというのは議論あるところだとは思いますが、帰国発展研究のような一研究費メニューの中だけで、ポストや環境というところまでをカバーした制度もなかなかつくりづらい面もあるかもしれないなと思っています。
【白波瀬部会長】
 中野先生、どうぞ。手がばっと挙がったので。どうぞ。
【中野委員】
 この制度を上手く活用することで非常に有効な仕組みになるのではないかと考えています。現在、海外に出ていく若い人が少ないというのは、1つには、海外に行ってポスドクをやった後に日本に帰ってきたときにパーマネントポストが得られないのではないかという不安があるからです。それは皆さん御存じなのですけど、実際のところ、今、海外でポスドクしている人が日本に帰ってパーマネントポストを獲得する確率は大幅に低下しています。このことは国際共同研究の現場で非常にマイナスの影響を与えています。大きな国際共同研究では、テーマをどの研究者に与えるかを決める際、自国に戻ったときにすぐにパーマネント――例えば、教授になって学生をたくさん連れてくるという人は厚遇される傾向があります。実際に、我たちの分野でヨーロッパで起こっていて、中国や韓国から行ったポスドクのほうが日本人のポスドクよりもいいテーマを与えられるというようなことがグループによっては起こっています。これは、日本に帰ってきたとしてもすぐにはPIになれない状況があると、どのようなテーマを与えられるかという競争で不利な立場になるのです。もし、この制度がうまく使えて、例えば、2年から3年で日本に帰国したときにパーマネントのポストに就く確率が上がるような科研費を既に獲得しているというアピールが現地でできれば、海外滞在中にいい仕事もできるだろうし、帰ってきたときにパーマネントポストを獲得して、さらには自分が育てる若手をそのグループに送り込むというようないい循環が起こる可能性が僕はあると思います。
 現在の日本の状況は、承継ポストの不足や基盤的経費の少なさなどの影響により、なかなか挑戦的に国外に出ていけないといういろいろなネガティブな面が表れています。しかし、それを少しでも変えるような形でこの制度が使えて、それがうまくいくということが分かればそこにどんどん重点投資していけば良いわけなので、予算の大幅な増額が難しいのであれば、制度面での柔軟性を高めることによってうまく機能させることができないかということを探っていっていただきたいと思っております。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 今の室長からの意見は、そんな全部をかなえられるような制度はつくれないよとも聞こえたのですけれど、最初に尾辻先生のほうからあったように、そもそも論でどういうものの立てつけだったかということも外すことができません。そこからだんだん発展して、これは駄目だから次、次と、どんどんその上に建て増し建て増しということになってしまったところがあると思うのです。そういう意味で、そもそも論で、最初からサイズの問題というか、規模の問題はあまり考えていなかった部分もあるように思います。あとは、ここでいろいろな中継ぎ的なものもあると思うけど、長いキャリアの中で、それなりに評価するような制度をつくってあげることによってインセンティブも上げていくことができるのではないかと思います。これだけでするというのは出口戦略にもなります。でも、先生方の御意見で共通しているのは、見直しというのもそもそも論をまず共有しつつ、時代にあったニーズを考慮していくということではないでしょうか。
 つまり、一人ひとりに着目した見方と、何千万人という塊を対象とする見方では違っていて、一人ひとりを丁寧に見ていくと全体規模感が見えにくくなる感じもあります。分野による状況も違いますしポスドクの国内外の位置づけもおなじではありません。いろいろあると思うので、少しそこはサーチしていく必要があるのではないでしょうか。日本からだけ見ていても片手落ちなので、その辺りも検討できればいいなと思いました。
 よろしいですか。時間がどんどん過ぎていくので。何かありますでしょうか。
 塩見先生、どうぞ。
【塩見委員】
 すみません、一言。海外特別研究員という方の7割が身分がないと書いてありますけど、これはJSPSが身分を持たせないようにしているということですか。
【白波瀬部会長】
 いえ。
【塩見委員】
 制度上そうなんじゃないかなと思うのですよ。今、委員長が言われましたように、ポスドクがどういう状況に置かれているかということを理解することが重要で、身分がない人が日本でポジションを得られるはずがないので、やはり向こうで雇用はされているはずなのですよ。そうじゃないとビザとか取れないから。だけど、正式なポジションを与えられていないというのは、このフェローシップを取る限り、そういうポジションを与えられないような仕組みにJSPSがなっているのではないかなと僕は思っています。それは絶対改革しないと、若い人が実績として履歴書に書けないようなポジションだと、せっかくアメリカの、例えば、「ハーバードでポスドクやっています」と言ったって、身分がないと言われたら。多分、学振の制度上の仕組みなのだと思いますよ、これは。7割の人が身分がないというのは。
【白波瀬部会長】
 私もあまり分からないから間違えているかもしれないけど、雇用関係には、多分、ないと思うのですけどね。
【塩見委員】
 雇用関係にさせないということでしょう。
【白波瀬部会長】
 つまり、立てつけとしてはそういうことになりますよね。
【塩見委員】
 その2つのソースから給料が出せないような縛りをかけているということで、または、保険を出せないような。だから、それは変えないとかわいそうですよ。と思います。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。この辺り、数字と実態のところはもう少し確認していただけるといいかもしれないのですけど、事務局、いかがですか。
【梅﨑企画室長補佐】
 現状では海外特別研究員に関しては原則として海外特別研究員以外の身分は持てないような形になっています。ですので、ご意見を踏まえまして、事務局と振興会とも相談し、内容について検討できればと思っています。
 また、この後、その他について議題を設けておりましたが、開始時間が押してしまったこともあり、次回以降の研究費部会で扱わせていただければと思います。
 今回、帰国発展研究とか国際化に関してご議論いただいきましたが、メッセージが入っていまして、大竹先生の挙手がシステム上反映されていないようですので、大竹先生にご発言をいただければと思います。
【白波瀬部会長】
 ごめんなさい。見えなかった。ごめんなさい。すみません。
【大竹委員】
 大竹でございます。ありがとうございます。私のミスだと思いますので申し訳ありません。
 私がぜひ申し上げたいなと思っていたのは、前半の国際共同研究の項目の中で、松本室長が科研費全体を盛り上げていく必要があるだろうといった御発言があった中で、私自身もそのとおりだと思っているので。画面を共有させていただいてもよろしいですか。
 ごく短時間で申し上げたいと思いますが、以前、科研費の増額の必要性ということで、これを説明させていただいた経緯がございます。つまり、政府の負担額が、今、研究開発経費の16.8%で、それを25%まで増加させるとすると、科研費は今の1.64倍ぐらいになる必要があるだろうということから、科研費増額の必要性について述べたことがございます。
 今般、少しその影響というか、科研費が伸びたときにどうなのかということを論文と特許について調べてみました。こういうデータは先生方もお持ちだと思いますので、そうですよねということかもしれません。縦軸がトップテン論文数で、横軸の左上が基盤研究で右下が科研費なのですけれども、金額がかなりシャープに上がっていくと、2段階になっているところは非常に面白いなと思っているのですけれども、右下の科研費に注目していただくと、これが1,000億、2,000億と行くとだんだん伸びているのは分かっていただけると思いますし、基金化の部分があるのではっきりシャープに伸びているというところからずれているところもありますけれども、基本的には伸びているということで、相関係数でいくと0.968ぐらいになるので非常に高いということと、あと、特許は関係ないかと思って調べてみたのですけれども、右下を注目していただいて、科研費が横軸です。縦軸が特許出願数で、これはパテントファミリー――複数の国に出した特許に注目しています。そうするとやっぱり科研費に比例して特許出願数もかなりシャープに伸びるということで、特許に関しても非常に効果があるということを理解することができました。
 そんなわけで、最初に1.6倍と申し上げましたけれども、これから振興会で2028年に向けて検討が進むということも伺っていますけれども、やはり真剣に総額を上げるということは正面から申し上げる時期なのではないかと私自身は思っています。
 以上でございます。お時間いただきましてありがとうございました。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 多分、この件については全員、金額を引き上げることについては合意していると思います。まさしく人への投資のど真ん中でございますし、ぜひこれはやらないと後が続かないのではないかと思います。大変貴重な、本当にきれいに上がっていますので。ありがとうございました。
【大竹委員】
 ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 私、見逃している先生、いらっしゃいませんかね。もしあったら御発言いただきたいと思います。
 鷹野先生、お願いいたします。
【鷹野部会長代理】
 初めて手を挙げておりますが、参加しているので一言申し上げてもよろしいでしょうか。
【白波瀬部会長】
 お願いいたします。
【鷹野部会長代理】
 よろしくお願いいたします。私、これまでの経緯につきまして勉強不足で、本日、皆様の御発言でたくさん勉強させていただきありがとうございます。皆様の御意見を伺いながら思いましたのは、歴史はあるということでしたけれども、若手の研究者の国際共同研究とか長期海外派遣、そして戻っていただくための支援というところで、若手の方を重点的にやっていくのが将来のためにもなりますし、よいのかなということを強く感じました。
 以上でございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございました。
 いろいろ共通する部分と、かなりお金をかけてがっちり強化しなきゃいけない部分があると思いますので、大変ありがとうございます。
 では、すみません、時間が押しているのですけれども、よろしいでしょうか。今日のところはここで取りあえず区切らせていただきたいと思います。
 今日の議論はとても中身が濃く、あと、今期についてはある意味の方向性が出てきているような気がしますので、少し整理もさせていただきながら、先生方からの御意見も丁寧にお伺いして、1つまとまったものをつくりたいと感じた次第です。今日は本当に大変ありがとうございます。
【田畑学術研究推進課長】
 白波瀬先生、1点よろしいでしょうか。
【白波瀬部会長】
 どうぞ、お願いいたします。
【田畑学術研究推進課長】
 大竹先生から発表いただいてありがとうございました。我々も研究力を向上させるための1つの方策、予算ですけれども、科研費を含めた研究費を確保することは必要と考えております。予算について、社会から理解を得つつ、毎年毎年の積み上げになりますので、我々としてはあらゆる機会を捉まえて予算を獲得していきたいと考えております。特に科研費につきまして、今、課題になっております採択率、また、充足率の向上に向けた取組が重要だと認識しております。
 以上でございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 課長はじめ事務局の方々ともがっつり協力をいたしまして、予算獲得に邁進できればと感じる次第でございます。ありがとうございます。
 では、最後、事務局から連絡事項のほう、よろしくお願いいたします。
【梅﨑企画室長補佐】
 本日の議事録につきましては、委員の先生方に御確認ただいた上で公開させていただきたいと思います。本日は冒頭、事務局に不手際があって申し訳ございませんでした。次回の研究費部会につきましては、日程調整後に御案内させていただきますので、引き続き御検討、御協力のほう、よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 時間的に限りがありましたけれども、引き続き、どうかよろしくお願いいたします。今日の会議はこれで終了したいと思います。皆様、大変ありがとうございました。
 
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